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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153999
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】通信システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/00 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
G06F13/00 520R
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056807
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植田 達也
(72)【発明者】
【氏名】森川 裕史
(72)【発明者】
【氏名】秦 直也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 千秋
(72)【発明者】
【氏名】白井 将太
(72)【発明者】
【氏名】尾林 万里江
(72)【発明者】
【氏名】大枝 真也
【テーマコード(参考)】
5B084
【Fターム(参考)】
5B084AA01
5B084AA02
5B084AA11
5B084AB50
5B084BB18
5B084CA01
5B084DB01
5B084DC03
5B084DC22
(57)【要約】
【課題】通信不良により通信要求信号の送信に成功しなかった場合に、その送信内容が誤って消失してしまうことを防止することができる通信システムを提供する。
【解決手段】通信システムは、サーバと、サーバと通信ネットワークを介して通信可能に構成され、ウェブブラウザが記憶された記憶器およびウェブブラウザ上でのユーザの操作に基づいて処理を行う演算器を備えた通信端末と、を含む。演算器は、ウェブブラウザ上でのユーザの操作に基づいてサーバに送信する所定の操作信号を生成する信号生成部と、操作信号を記憶器に記憶する信号記憶部と、操作信号をサーバに送信する信号送信部と、操作信号の送信に成功したか否かを判定する通信判定部と、を含む。信号送信部は、操作信号の送信に成功しなかった場合に、記憶器に記憶された操作信号を再送信する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと、前記サーバと通信ネットワークを介して通信可能に構成され、ウェブブラウザが記憶された記憶器および前記ウェブブラウザ上でのユーザの操作に基づいて処理を行う演算器を備えた通信端末と、を含む通信システムであって、
前記演算器は、
前記ウェブブラウザ上でのユーザの操作に基づいて前記サーバに送信する所定の操作信号を生成する信号生成部と、
前記操作信号を前記記憶器に記憶する信号記憶部と、
前記操作信号を前記サーバに送信する信号送信部と、
前記操作信号の送信に成功したか否かを判定する通信判定部と、を含み、
前記信号送信部は、前記操作信号の送信に成功しなかった場合に、前記記憶器に記憶された前記操作信号を再送信する、通信システム。
【請求項2】
前記操作信号は、前記通信端末から前記サーバに送信する所定のデータを含む、請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記所定のデータは、所定の作業の実施内容を示す作業実績データを含み、
前記サーバは、
複数の作業項目の進捗状況を示す作業管理データベースを記憶する記憶装置を備え、
前記通信端末から受信した前記作業実績データに基づいて前記作業管理データベースを更新する、請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記信号送信部は、一の作業の実施内容を示す前記作業実績データを含む第1の操作信号の送信に成功しなかった場合、次の作業の実施内容を示す前記作業実績データを含む第2の操作信号を送信する際に、前記記憶器に記憶されている前記第1の操作信号を再送信する、請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記操作信号は、所定の作業に対する作業要領または作業指示の内容を示す作業実施内容データの内容を前記通信端末に表示するための要求信号を含み、
前記サーバは、前記通信端末から受信した前記操作信号に基づいて前記作業実施内容データの内容を前記通信端末上に表示する、請求項1から4の何れかに記載の通信システム。
【請求項6】
前記ウェブブラウザ上で表示される前記ユーザの操作が可能なウェブページは、単一のウェブページ上で内容表示を行うシングルページアプリケーションにより構成される、請求項1から5の何れかに記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場またはプラント等の広い敷地に配設された施設では、多数の工程が同時並行的に実施されており、その工程管理は重要である。このため、各工程における作業実施者は、タブレット端末等の通信端末を用いて作業実績等を入力し、サーバに送信することにより、サーバにおいて各工程の進捗等の生産情報を集約し、管理している(例えば下記特許文献1)。
【0003】
このような作業実績の管理のために通信端末とサーバとの間で通信を行う通信システムにおいて、通信端末を入力操作する作業実施者の利便性を高めるために、通信端末に所定のウェブブラウザが記憶され、ウェブブラウザによって表示されるウェブページ上で上記作業実績の入力を行うことが考えられる。
【0004】
さらに、サーバ装置と通信端末とのデータ通信量を低減するための構成として、シングルページアプリケーション(SPA)が知られている。SPAは、ウェブページ上のユーザの入力に対してその入力に必要な部分のデータだけを操作信号としてサーバに送信し、ブラウザ側では、サーバから送られてきたデータをJavaScript(登録商標)で処理し、HTMLを構築(ウェブページを更新)する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-106570号公報
【特許文献2】特開2008-304969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、SPAを作業実績の管理のための通信システムに適用するには以下の問題がある。工場またはプラント等の広い敷地に配設された施設では、通信のための電波状態が悪い場所または電波の届かない場所が存在し得る。例えば、このような施設が、山間部や海岸沿い等、電波状態が悪い場所に立地することにより、屋外での通信が困難な場合がある。また、施設内において無線LANによる通信が可能な環境を構築しても、施設内で製造する金属製の大型製品等の大きな障害物により通信状態が良くないエリアが生じ得る。
【0007】
一方、従来のSPAにおける通信態様は、サーバと通信端末との間で通信可能であることが前提となっており、通信不良によりデータを送信できなかった場合は、送信データは消去されてしまう。したがって、SPAを作業実績の管理のための通信システムに適用した場合、従来の通信態様では、通信状態が悪い状況下で通信端末を用いて作業実績等の入力を行ってもその入力がサーバに反映されない恐れがある。このため、通信端末を用いた工程管理が十分に行えない問題がある。このような問題は、データ送信時のみに限られない。すなわち、通信端末からサーバに対して所定の通信要求を行うための操作信号を送信する際に、通信不良が生じていると、その送信内容が消失する恐れがある。
【0008】
上記特許文献2には、通信におけるセッションタイムアウトやサーバシャットダウンが発生しても発生前の入力情報を保持するための構成として、通信端末が入力画面のフィールドの入力に応じて逐次保存要求のリクエストを発行し、サーバが逐次保存要求を受けて、送られてきた入力データを一時保存しておくことが開示されている。しかしながら、このような態様も、通信端末の入力時においてサーバとの通信が可能であることが前提であることには変わりなく、上記問題を解決することができない。
【0009】
本開示は上記に鑑みなされたものであり、通信不良により操作信号の送信に成功しなかった場合に、その送信内容が誤って消失してしまうことを防止することができる通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様に係る通信システムは、サーバと、前記サーバと通信ネットワークを介して通信可能に構成され、ウェブブラウザが記憶された記憶器および前記ウェブブラウザ上でのユーザの操作に基づいて処理を行う演算器を備えた通信端末と、を含む通信システムであって、前記演算器は、前記ウェブブラウザ上でのユーザの操作に基づいて前記サーバに送信する所定の操作信号を生成する信号生成部と、前記操作信号を前記記憶器に記憶する信号記憶部と、前記操作信号を前記サーバに送信する信号送信部と、前記操作信号の送信に成功したか否かを判定する通信判定部と、を含み、前記信号送信部は、前記操作信号の送信に成功しなかった場合に、前記記憶器に記憶された前記操作信号を再送信する。
【0011】
上記構成によれば、ウェブブラウザ上でのユーザの操作に基づいてサーバに送信される操作信号が記憶器に記憶される。そのため、電波状況が悪い場所で通信端末を用いて所定の通信を行おうとしたことにより、通信不良により操作信号の送信に成功しなかった場合でも、その送信しようとしていた操作信号が誤って消失してしまうことを防止することができる。また、通信端末を使用するユーザがサーバへの操作信号送信時に都度電波状況を気にする必要がなくなるため、ユーザの利便性を高めることができる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、通信不良により操作信号の送信に成功しなかった場合に、その送信内容が誤って消失してしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本開示の一実施の形態に係る通信システムの概略構成を示すブロック図である。
図2図2は、本実施の形態における作業実績入力画面の一例を示す図である。
図3図3は、本実施の形態における作業実績データの送信処理の流れを示すフローチャートである。
図4図4は、作業実績入力画面の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、一実施の形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一または相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0015】
図1は、本開示の一実施の形態に係る通信システムの概略構成を示すブロック図である。本実施の形態における通信システム100は、通信端末1、管理端末2、およびサーバ3を備えている。通信端末1および管理端末2は、それぞれ、サーバ3と通信ネットワーク4を介して通信可能に構成されている。
【0016】
通信端末1は、例えばタブレット端末またはスマートフォン等の携帯端末である。通信端末1は、工場またはプラント等の施設における所定の場所で所定の作業に従事する作業者が所持する。通信端末1は、所定のウェブブラウザにより後述する機能を発揮する限り、市販(汎用)の通信端末でもよいし、施設作業専用の通信端末でもよい。作業者は、通信端末1にダウンロードした作業内容(作業項目)や作業要領を参照して施設の所定の場所で所定の作業を行う。作業者は、所定の作業の完了後、その作業実績を送信するための通信を、通信端末1を通じてサーバ3に対して行う。
【0017】
このために、通信端末1は、携帯電話網の基地局等を介して通信ネットワーク4に接続可能である。これに加えてまたはこれに代えて、通信端末1は、無線LANを介して通信ネットワーク4に接続可能としてもよい。
【0018】
通信端末1は、入力器11、表示器12、記憶器13、演算器(プロセッサ)14および通信インターフェイス15等を備えたコンピュータ装置として構成される。入力器11および表示器12は、例えばタッチパネルにより構成される。記憶器13は、例えば、RAM、ROM等のメインメモリと、ハードディスク、フラッシュメモリ等の書き込み可能なストレージとを含む。演算器14は、例えばCPUにより構成される。これらの各構成は、通信バス16により互いに通信接続されている。
【0019】
なお、図1には、1つの通信端末1のみが示されているが、通信システム100には、複数の通信端末1が含まれ得る。例えば、複数の作業者のそれぞれが1つの通信端末1を所持している場合、通信システム100は、作業者の数に対応する数の通信端末1を含んでいてもよい。
【0020】
管理端末2は、例えばパーソナルコンピュータ等の据え置き型の端末である。管理端末2は、通信端末1に対する指示を行ったり、サーバ3に記憶される作業管理データベースの内容を閲覧したりする管理者が操作する端末である。管理端末2も、通信端末1と同様、入力器、表示器、記憶器、演算器および通信インターフェイス等(いずれも図示せず)を備えたコンピュータ装置として構成される。ただし、管理端末2は、通信環境(有線LANまたは無線LANによる通信環境)が良好な施設の事務所等に設置されることが想定されている。通信システム100は、1または複数の管理端末2を含み得る。
【0021】
サーバ3は、各種データを記憶する記憶装置30を備えたデータサーバ等のコンピュータによって構成される。例えば、サーバ3は、演算器、メインメモリ(RAM)、ストレージ、通信インターフェイス等を備えている。
【0022】
なお、本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成またはプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、および/または、それらの組み合わせを含む回路または処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路または回路と見なされる。本明細書において、回路、ユニット、または手段(…部)は、列挙された機能を実行するハードウェアであるか、または、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されているハードウェアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラムまたは構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、ユニット、または手段はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせであり、ソフトウェアはハードウェアおよび/またはプロセッサの構成に使用される。
【0023】
サーバ3の記憶装置30には、施設における作業に関する作業実施内容データが記憶される。例えば、作業実施内容データには、作業項目データ、作業要領データ、作業指示データ等が含まれる。作業項目データは、作業の名称、作業の実施場所、作業頻度等が作業項目(作業番号)ごとにリスト化されたデータである。作業要領データは、作業項目データの各作業項目に対応付けられ、対応する作業の内容を図示等により分かり易く示したデータである。作業指示データは、管理端末2を操作する管理者から通信端末1を操作する作業者への個別の指示内容を示すデータである。
【0024】
作業項目データおよび作業要領データは、予めサーバ3の記憶装置30に記憶される。作業指示データは、管理者が管理端末2を用いて作成し、対応する作業項目または作業者に紐付けてサーバ3にアップロードする。
【0025】
作業者は、自らが行う作業項目に対応する各種データをサーバ3から作業者の通信端末1にダウンロードする。通信端末1には、所定のウェブブラウザ(アプリケーションプログラム)が記憶されている。作業者は、ウェブブラウザで動作する所定の作業管理用のウェブページにアクセスし、そのウェブページ上で操作入力を行うことにより、各種データのダウンロードおよびアップロードを行うことができる。
【0026】
通信端末1の演算器14は、ウェブブラウザ(アプリケーションプログラム)により、ウェブブラウザ上での操作入力に基づいて後述する信号生成部41、信号記憶部42、信号送信部43および通信判定部44等の機能を発揮する。信号生成部41、信号記憶部42、信号送信部43および通信判定部44は、演算器14の機能ブロックを構成する。
【0027】
ウェブブラウザに表示される作業管理用のウェブページは、単一のウェブページでアプリケーションを構成するシングルページアプリケーション(SPA)により構成される。SPAは、サーバ3の記憶装置30に記憶される。なお、SPAがサーバ3とは別のウェブサーバ(図示せず)に記憶されていてもよい。
【0028】
SPAにおいては、通常のウェブアプリケーションのようにページ全体(HTML)の生成を都度ウェブサーバ側で行う代わりに、ウェブページ上で作業者が所定の操作(タッチ操作等)を行うと、ウェブブラウザ(ウェブブラウザを実行する通信端末1の演算器14)がその操作に必要な部分のデータをサーバ3に要求し、サーバ3から送られてきた部分的なデータをウェブブラウザがJavaScript(登録商標)で処理し、通信端末1側でHTMLを反映する。
【0029】
このように、作業者管理用のウェブページがSPAで構成されることにより、作業者の操作に応じたウェブページの更新等がサーバ3との必要最小限のデータとなるため、通信端末1とサーバ3との通信量を低減することができる。また、通信を通信端末1側のキャッシュを利用して非同期に実行することができるため、ウェブページの更新にかかる時間が短縮される。
【0030】
本実施の形態において、作業者は、所定の作業項目の実行を完了した場合に、通信端末1を操作してサーバ3に作業の実施内容を示す作業実績データを送信する。
【0031】
図2は、本実施の形態における作業実績入力画面の一例を示す図である。例えば、作業者が自身のID等を通信端末1に入力することにより、その作業者が所定期間(例えば今日一日)のうちに行うべき少なくとも1つの作業項目の情報がサーバ3から通信端末1にダウンロードされ、記憶器13に記憶される。通信端末1は、その作業者が今から行うべき作業内容についての作業実績入力画面50をウェブブラウザ(SPA)上に表示する。
【0032】
作業実績入力画面50は、現作業内容表示欄51、作業情報表示欄52、作業要領表示欄53を含む。現作業内容表示欄51には、その作業者が現在行うべき作業(現作業)の概要またはタイトルが表示される。例えば、作業項目には、所定の製品を製造するための部品の取り付け作業、取り付けた部品の調整作業等が含まれる。さらに、作業項目には、所定の装置の動作(起動、停止、調整等)に関する作業、所定の計測値(電流、電圧、電力、圧力等)を読み取る作業、装置の点検、清掃等を行う作業、所定の消費物等を補充する作業等が含まれ得る。現作業内容表示欄51の近傍には、次作業の内容(タイトル等)が表示されてもよい。
【0033】
作業情報表示欄52には、現作業に付随する情報(例えば、作業ごとに割り当てられた識別符号(ID)、製品番号、工程の種別、現作業を完了するまでの目標時間、作業者名等)が表示される。作業要領表示欄53には、サーバ3から作業要領データを取得した場合に、その内容が表示される。なお、現作業に対応付けられた作業要領データがサーバ3に記憶されている場合、作業項目の情報をダウンロードする際に、当該作業要領データもダウンロードされる。
【0034】
また、作業実績入力画面50には、仮想の次作業移行ボタン54が表示される。次作業移行ボタン54を操作入力(タッチ操作)した場合、作業実績入力画面50は、作業者が次に行うべき作業内容が表示される。ここで、次作業移行ボタン54は、現作業の実施内容を示す作業実績データをサーバ3に送信するための仮想の操作信号送信ボタンとして機能する。
【0035】
さらに、作業実績入力画面50には、現作業の実施内容についてのコメント入力を行うための仮想のコメント入力ボタン55が表示される。コメント入力ボタン55を操作入力(タッチ操作)した場合、ウェブブラウザ上にコメント入力画面(図示せず)が表示され、作業者によるコメント入力が可能である。なお、コメント入力画面には、作業項目に応じて、作業の実施内容についての作業内容入力欄が設けられてもよい。例えば、作業内容入力欄には、計測値または消費物の補充数等の入力欄が設けられてもよいし、複数の選択項目が表示された選択欄(例えば異常なしまたは要補修の選択欄等)が設けられてもよい。あるいは、作業実績入力画面50に、作業内容入力欄が設けられていてもよい。また、作業実績入力画面50には、作業を一時中断する場合や作業者が休憩を取る場合に、作業が停止していることを示す信号をサーバ3に送信するための仮想のボタンが設けられてもよい。
【0036】
図3は、本実施の形態における作業実績データの送信処理の流れを示すフローチャートである。通信端末1の信号生成部41は、作業実績入力画面50の表示中、作業者から操作信号送信操作の入力の有無を監視する(ステップS1)。信号生成部41は、作業者が作業実績入力画面50の次作業移行ボタン54を操作入力した場合に、操作信号送信操作の入力があったと判定する。
【0037】
操作信号送信操作の入力があったと判定した場合(ステップS1でYes)、信号生成部41は、作業実績データを含む操作信号を生成する(ステップS2)。作業実績データは、完了した作業項目の項目番号または作業項目ごとに割り当てられる作業項目ID等の作業項目認識番号データおよび作業内容を示すデータを含む。作業内容を示すデータは、作業の開始、作業の完了、日時、計測値等の情報を含み得る。
【0038】
例えば、作業実績データを含む操作信号のデータは、操作信号送信操作の入力時の日時データ、作業内容を示すイベントコード(例えば、1:作業開始、2:作業終了、…等)、作業項目認識番号データ、コメントデータ(コメント入力を行った場合)を含んでいる。
【0039】
信号記憶部42は、生成した操作信号を記憶器13に記憶する(ステップS3)。このとき、信号記憶部42は、操作信号のデータに1:1で対応付けられる属性データを生成し、操作信号のデータを属性データに対応付けて記憶器13に記憶する。属性データは、その操作信号のサーバ3への送信が完了したか否かの状態を示すデータである。属性データ生成時(操作信号送信前の状態)において、属性データの状態は、「未完了」に設定される。また、信号送信部43は、操作信号をサーバ3に送信する(ステップS4)。
【0040】
サーバ3の記憶装置30には、複数の作業項目の進捗状況を示す作業管理データベースが記憶される。作業管理データベースは、各作業項目における作業の完了の有無、作業内容(計測値等)、更新日時等のデータを含む。サーバ3は、通信端末1から作業実績データを含む操作信号を受信した場合、受信した作業実績データに基づいて作業管理データベースを更新する。より具体的には、サーバ3は、受信した作業実績データに対応する作業項目の作業状況を作業未完から作業完了に変更し、計測値等の作業内容を示すデータが含まれる場合には、そのデータを作業項目に関連付けて記憶する等の処理を行う。
【0041】
操作信号を送信した通信端末1の通信判定部44は、その操作信号の送信に成功したか否かを判定する(ステップS5)。ここで、サーバ3は、操作信号の受信後(または作業管理データベースの更新後)、その操作信号を送信した通信端末1に対して、応答信号を送信する。例えば、通信判定部44は、通信端末1が操作信号を送信してから所定時間内にサーバ3から応答信号を受信した場合に、操作信号の送信に成功したと判定する。また、通信判定部44は、通信端末1が操作信号を送信してから所定時間内に応答信号を受信できなかった場合に、操作信号の送信に成功しなかったと判定する。
【0042】
操作信号の送信に成功したと判定された場合(ステップS5でYes)、信号記憶部42は、記憶器13に記憶されている、対応する操作信号の属性データの内容を「送信完了」に変更して記憶して、その操作信号についての送信処理を終了する。
【0043】
一方、操作信号の送信に成功しなかったと判定された場合(ステップS5でNo)、通信端末1は、操作信号の送信が未完了な状態で、操作信号の送信以外のウェブブラウザ上での処理を継続する。ウェブブラウザ上での処理の継続は、上述したように、JavaScript(登録商標)によって実行される。
【0044】
操作信号の送信が成功しなかった場合、信号送信部43は、記憶器13に記憶されている操作信号を所定のタイミングで読み出し、再送信する(ステップS6)。例えば、再送信のタイミングは、次作業の内容を表示している作業実績入力画面50において次作業移行ボタン54が操作入力された場合(次作業の完了時)である。すなわち、信号送信部43は、一の作業の実施内容を示す作業実績データを含む第1の操作信号の送信に成功しなかった場合、次の作業の実施内容を示す作業実績データを含む第2の操作信号を送信する際に、記憶器13に記憶されている第1の操作信号を再送信する。より詳しくは、信号送信部43は、次作業移行ボタン54が操作入力された場合に、記憶器13に記憶されている操作信号のデータのうち、対応付けられた属性データの状態が「未完了」である操作信号のデータを読み出し、再送信する。次作業がない場合、または、次作業完了までの時間が所定時間以上である場合には、信号送信部43は、前回送信から所定時間経過後に再送信を行ってもよい。このようにして、信号送信部43は、操作信号の送信が成功するまで、操作信号の送信処理を繰り返し実行する。
【0045】
なお、一の操作信号が一時記憶されている間も、その通信端末1のウェブブラウザ上では他の操作入力が可能である。このため、通信端末1(信号生成部41)は、他の作業項目についての作業実績データを含む操作信号の生成処理等を実行し得る。この場合、他の作業項目についての操作信号の送信も成功しない恐れがある。この場合、記憶器13には、対応する属性データの状態が「未完了」である複数の操作信号のデータが記憶され得る。信号送信部43は、記憶器13に「未完了」である複数の操作信号が記憶されている場合、複数の操作信号を所定のタイミングで順次再送信する。
【0046】
また、操作信号送信操作の入力があった場合において、通信端末1が受信する無線通信電波強度が所定値以下の場合(通信圏外と判定される場合等)には、通信端末1の信号送信部43は、操作信号を送信しない。この場合も、通信判定部44は、操作信号の送信に成功しなかったと判定し(ステップS5でNo)、その操作信号を所定のタイミングで再送信する。
【0047】
上記構成によれば、ウェブブラウザ上でのユーザの操作に基づいてサーバ3に送信される操作信号が記憶器13に記憶される。そのため、電波状況が悪い場所で通信端末1を用いて所定の通信を要求しようとしたことにより、通信不良により操作信号の送信が成功しなかった場合に、その送信しようとしていた操作信号が誤って消失してしまうことを防止することができる。特に作業実績データ等のサーバ3で管理すべきデータが誤って消失してしまうことを防止することができ、サーバ3の記憶装置30に記憶される作業実績データベースの更新漏れを防止することができる。また、通信端末1を使用するユーザがサーバ3への操作信号送信時に都度電波状況を気にする必要がなくなるため、ユーザの利便性を高めることができる。
【0048】
さらに、上記構成によれば、サーバ3の動作プログラムを変更することなく、上記態様を実現可能である。すなわち、サーバ3は、通信端末1からの操作信号を受信した場合に、それに応じた処理を行う。したがって、作業者の通信端末1に所定のウェブブラウザを導入するだけで既存のシステムに容易に適用することができる。
【0049】
また、上記構成によれば、送信に成功しなかった操作信号は、次の作業についての操作信号送信時に再送信される。これにより、頻繁な再送信処理が行われるのを防止しつつ、定期的な再送信処理を行うことができる。
【0050】
また、本実施の形態では、作業者が通信端末1においてウェブブラウザにより表示されるウェブページがSPAにより構成されるため、サーバ3に送信するデータ量を少なくすることができるとともに、サーバ3との通信を通信端末1のキャッシュを利用して非同期に実行することができる。このため、ウェブページの表示更新時間を短縮することができる。
【0051】
以上、本開示の実施の形態について説明したが、本開示は上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
【0052】
例えば、上記実施の形態では、作業実績データを含む操作信号を送信する場合の例を示したが、通信端末1からサーバ3に対して送信する操作信号であれば、これに限られない。
【0053】
例えば、上記実施の形態では、作業実績入力画面50の作業要領表示欄53に表示される作業要領のデータは、作業項目の情報をダウンロードする際に、一緒にダウンロードされるとした。これに代えて、ウェブブラウザ上で所定の作業要領表示操作した場合に対応する作業項目についての作業要領が個別にダウンロードされ、作業要領表示欄53に表示されてもよい。この場合、作業要領表示操作に基づいて、通信端末1から作業要領表示要求信号が送信される。このような作業要領表示要求信号を送信する場合にも、上記態様を適用可能である。すなわち、作業要領表示操作が行われた場合に、作業要領表示要求信号が生成され、それが記憶器13に記憶される。作業要領表示要求信号の送信に成功しなかった場合、信号送信部43は、記憶器13に記憶された作業要領表示要求信号を所定のタイミングで再送信してもよい。
【0054】
また、例えば、管理端末2からサーバ3にアップロードされた作業指示の内容を通信端末1の操作に基づいて取得する場合には、信号生成部41は、操作信号として作業指示内容要求信号を生成する。この場合も、作業指示内容要求信号が記憶器13に記憶され、作業指示内容要求信号の送信に成功しなかった場合、信号送信部43は、記憶器13に記憶された作業指示内容要求信号を所定のタイミングで再送信してもよい。なお、作業指示内容要求信号の送信に成功することにより取得された作業指示内容のデータは、通信端末1のウェブブラウザ上に表示される。また、作業指示内容のデータをサーバ3からダウンロードして通信端末1の記憶器13に記憶可能としてもよい。
【0055】
また、上記実施の形態においては、通信端末1のウェブブラウザ上で、操作信号の送信に成功した旨の報知および操作信号の送信に成功しなかった旨の報知は何れも行われない。これに代えて、通信端末1のウェブブラウザ上で送信に成功した旨および/または成功しなかった旨の報知が行われてもよい。例えば、通信端末1は、操作信号の送信に成功した場合に、作業実績入力画面50に操作信号の送信完了を示すテキストデータを表示してもよい。また、例えば、操作信号の送信に成功しなかった場合に、作業実績入力画面50に「送信できなかったので後で送信します」等のテキストデータを表示してもよい。
【0056】
また、上記実施の形態では、作業実績入力画面50において作業者が行うべき複数の作業項目が作業順に表示される(現作業が完了した後に次作業の作業内容が表示される)態様としたが、これに限られない。
【0057】
図4は、作業実績入力画面の他の例を示す図である。例えば、通信端末1は、作業者が自身のID等を入力することにより、その作業者が行うべき作業項目が一覧表示された作業実績入力画面60をウェブブラウザ(SPA)上に一覧表示してもよい。
【0058】
作業実績入力画面60には、その作業者が行うべき作業を特定するための項目番号および作業内容(概要またはタイトル)が一覧表示される。作業実績入力画面60には、作業項目ごとに、その作業が完了した場合に、その作業の実施内容を示す作業実績データをサーバ3に送信するための仮想の作業完了ボタン61が表示される。作業完了ボタン61が操作入力された場合に、信号生成部41は、対応する作業の作業実績データを含む操作信号を生成する。以降の操作信号の送信処理は、上記実施の形態と同様である。作業実績入力画面60において、送信完了した作業項目の作業完了ボタン61を削除し、作業が完了した旨の表示(図4においては「完了済」の表示)が行われてもよい。
【0059】
さらに、作業完了ボタン61が表示される作業実績欄には、作業項目に応じて、作業完了ボタン61に加えて作業の実施内容についての作業内容入力欄が設けられてもよい。例えば、作業内容入力欄には、計測値または消費物の補充数等の入力欄が設けられてもよいし、複数の選択項目が表示された選択欄(例えば異常なしまたは要補修の選択欄等)が設けられてもよい。なお、例えば部品の組付け作業や装置の動作に関する作業等の場合には、作業実績欄に、作業完了ボタン61のみが表示されてもよい。また、作業実績入力画面60には、作業項目ごとに、より詳しい作業要領を取得するための仮想の要領取得ボタン62が表示されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本開示は、通信不良により操作信号の送信に成功しなかった場合に、その送信内容が誤って消失してしまうことを防止することができる通信システムを提供するために有用である。
【符号の説明】
【0061】
1 通信端末
3 サーバ
4 通信ネットワーク
13 記憶器
14 演算器
30 サーバの記憶装置
41 信号生成部
42 信号記憶部
43 信号送信部
44 通信判定部
100 通信システム
図1
図2
図3
図4