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特開2022-154007電気集塵装置、及び、電気集塵装置の運転方法
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  • 特開-電気集塵装置、及び、電気集塵装置の運転方法 図1
  • 特開-電気集塵装置、及び、電気集塵装置の運転方法 図2
  • 特開-電気集塵装置、及び、電気集塵装置の運転方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154007
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】電気集塵装置、及び、電気集塵装置の運転方法
(51)【国際特許分類】
   B03C 3/68 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
B03C3/68 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056818
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】596032177
【氏名又は名称】住友金属鉱山エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 幸洋
(72)【発明者】
【氏名】竹脇 政春
(72)【発明者】
【氏名】岡田 尚之
(72)【発明者】
【氏名】阿部 丈晴
【テーマコード(参考)】
4D054
【Fターム(参考)】
4D054AA02
4D054BA01
4D054CA01
4D054CA12
4D054CB01
(57)【要約】
【課題】湿式の電気集塵機において、間欠荷電による運転時に、集塵効率を維持したまま、省電力効果を更に向上させること。
【解決手段】電気集塵機本体1と、スイッチング素子として絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を備える電源2と、間欠荷電制御装置3と、電気集塵機本体1から排出される排出ガスのダスト濃度を測定するダスト濃度計4と、を備え、間欠荷電制御装置3は、ダスト濃度計4によって測定された排出ガスのダスト濃度が所定の濃度範囲内に止まるように、電源2に対して、荷電時間と非荷電時間の組合せの変更を指示する信号を出力する、電気集塵装置10とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気集塵機本体と、
スイッチング素子として絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を備える電源と、
間欠荷電制御装置と、
前記電気集塵機本体から排出される排出ガスのダスト濃度を測定するダスト濃度計と、を備え、
前記間欠荷電制御装置は、前記ダスト濃度計によって測定された前記排出ガスのダスト濃度が所定の濃度範囲内に止まるように、前記電源に対して、荷電時間と非荷電時間の組合せの変更を指示する信号を出力する、
電気集塵装置。
【請求項2】
荷電時間と非荷電時間の前記組合せの変更幅の最小単位10m秒以下である、
請求項1に記載の電気集塵装置の運転方法。
【請求項3】
電気集塵装置の運転方法であって、
前記電気集塵装置は、
電気集塵機本体と、
スイッチング素子として絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を備える電源と、
間欠荷電制御装置と、
排出ガスのダスト濃度を測定するダスト濃度計と、を備え、
前記ダスト濃度計によって測定された前記排出ガスのダスト濃度の変動に応じた適切な荷電時間と非荷電時間の組合せを、前記間欠荷電制御装置によって前記電源に指示することにより、前記電気集塵装置の運転中に、前記荷電時間と非荷電時間の組合せを変更する、
電気集塵装置の運転方法。
【請求項4】
荷電時間と非荷電時間の前記組合せの変更幅の最小単位10m秒以下である、
請求項3に記載の電気集塵装置の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気集塵装置、及び、電気集塵装置の運転方法に関する。本発明は、より詳しくは、省電力を図る手段として間欠荷電による荷電を行う湿式の電気集塵装置、及び、その運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アルミニウム精錬排ガス処理等の廃棄物焼却プロセスにおいて発生する排ガスから、有害なダストを捕集する目的で、湿式の電気集塵装置が広く用いられている(特許文献1~3参照)。
【0003】
このような湿式の電気集塵装置において、重金属を含むダストの集塵効率を高める一般的な手法としては、集塵極と放電極との電圧、即ち、放電極に対する印加電圧を一定電圧以上(一例として70kV以上)の高電圧とする手法が知られている。そして、このような高電圧での運転における省電力を図る手段として、処理対象とする排ガスのダスト濃度が一時的に低下した場合には、放電極への印加を連続荷電から間欠荷電に切り替える運転方法が実施されている(特許文献4参照)。
【0004】
上記の間欠荷電による運転方法によれば、湿式の電気集塵装置において、集塵効率を概ね維持したまま、省電力による節電効果を享受することができる。但し、間欠荷電による運転方法においては、処理対象とする排ガスのダスト濃度が何らかの理由で急増した場合には、集塵効率が許容範囲を超えて低下してしまうリスクもあった。
【0005】
このため、従来、湿式の電気集塵装置の運転においては、上記リスクを回避するために、間欠荷電による運転時の荷電時間と非荷電時間の組合せについて、安全幅を加味して荷電時間を十分に長くした組合せが設定されていた。そして、これに対して、湿式の電気集塵装置の運転方法について、間欠荷電による運転時の荷電時間と非荷電時間の組合せの最適化を更に進めて省電力効果を更に向上させることが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-196159号公報
【特許文献2】特開2002-119889号公報
【特許文献3】特公平6-91965号公報
【特許文献4】特開2020-11208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、湿式の電気集塵機において、間欠荷電による運転時に、集塵効率を維持したまま、省電力効果を更に向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、間欠荷電を行う電気集塵装置の電源をスイッチング素子として絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を備える電源(以下、「IGBT方式の電源」とも言う)とし、これと併せて、排出ガスのダスト濃度を電源の動作にフィードバックして、荷電時間と非荷電時間の組合せの変更を制御することにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。尚、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)とは、入力部にMOSFET、出力部にバイポーラトランジスタを用いてなるパワースイッチング素子のことを言う。
【0009】
(1) 電気集塵機本体と、スイッチング素子として絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を備える電源と、間欠荷電制御装置と、前記電気集塵機本体から排出される排出ガスのダスト濃度を測定するダスト濃度計と、を備え、前記間欠荷電制御装置は、前記ダスト濃度計によって測定された前記排出ガスのダスト濃度が所定の濃度範囲内に止まるように、前記電源に対して、荷電時間と非荷電時間の組合せの変更を指示する信号を出力する、電気集塵装置。
【0010】
(1)の発明によれば、間欠荷電を行う電気集塵機において、集塵効率を維持したまま、省電力効果を更に引き上げることができる。
【0011】
(2) 荷電時間と非荷電時間の前記組合せの変更幅の最小単位10m秒以下である、(1)に記載の電気集塵装置の運転方法。
【0012】
(2)の発明によれば、従来広く用いられていたサイリスタ方式の電源によっては、実現不可能であった極めて短い時間単位での荷電時間と非荷電時間の前記組合せの制御を行うことにより、(1)の発明の奏する効果を更に優れた効果として享受することができる。
【0013】
(3) 電気集塵装置の運転方法であって、前記電気集塵装置は、電気集塵機本体と、スイッチング素子として絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を備える電源と、間欠荷電制御装置と、排出ガスのダスト濃度を測定するダスト濃度計と、を備え、前記ダスト濃度計によって測定された前記排出ガスのダスト濃度の変動に応じた適切な荷電時間と非荷電時間の組合せを、前記間欠荷電制御装置によって前記電源に指示することにより、前記電気集塵装置の運転中に、前記荷電時間と非荷電時間の組合せを変更する、電気集塵装置の運転方法。
【0014】
(3)の発明によれば、荷電時間と非荷電時間の組合せを、装置の運転を停止させずに、運転を継続したまま適切に切り替えることにより、間欠荷電を行う電気集塵機において、集塵効率を維持したまま、省電力効果を更に引き上げることができる。
【0015】
(4) 荷電時間と非荷電時間の前記組合せの変更幅の最小単位10m秒以下である、(3)に記載の電気集塵装置の運転方法。
【0016】
(4)の発明によれば、従来広く用いられていたサイリスタ方式の電源によっては、実現不可能であった極めて短い時間単位での荷電時間と非荷電時間の前記組合せの制御を行うことにより、(3)の発明の奏する効果を更に優れた効果として享受することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、湿式の電気集塵機において、間欠荷電による運転時に、集塵効率を維持したまま、省電力効果を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の電気集塵装置の構成を模式的に示す正面図である。
図2】本発明の電気集塵装置用の断面図である。図2(A)及び図2(B)は、相互に略直角の別々の方向からみた断面図である。
図3】本発明の電気集塵装置の電源の電力変換回路の回路構成を示す等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<電気集塵装置>
本発明の実施形態の一つである電気集塵装置10は、各種の排ガス中に微粒子として含有される有害なダストを捕集する湿式の電気集塵装置である。そして、この電気集塵装置10は、図1に示す通り、電気集塵機本体1と、IGBT方式の電源2、間欠荷電制御装置3、及び、ダスト濃度計4を含む構成からなる「電源制御システム」によって構成されている。
【0020】
電気集塵装置10を構成する上述の「電源制御システム」は、ダスト濃度計4によって測定された処理済みの排ガスのダスト濃度に係る情報を、間欠荷電制御装置3の動作に反映させることによって、電気集塵装置10の運転中において、間欠荷電を行うIGBT方式の電源2の動作を制御する。
【0021】
[電気集塵機本体]
電気集塵装置10を構成する電気集塵機本体1は、図2に示すように、上部ケーシング11、側部ケーシングとしても機能する集塵極12、下部ケーシング13、及び、架構14を含んで構成されている。上部ケーシング11、集塵極12、及び、下部ケーシング13が、上方からその順番で組合されることによって、電気集塵機本体1の筺体が構成されている。又、電気集塵機本体1の筺体は、通常、架構14により、地上から所定距離だけ上方に離間して設置されている。
【0022】
電気集塵機本体1の筺体内部には、図2に示すように、上部グリッド121、集塵極12、下部グリッド122、電極ロッド123、放電線124、ウェイト125が設けられている。上部グリッド121、集塵極12、及び、下部グリッド122は、上方から、その順番で相互に所定距離だけ離間して、水平方向に相互に略平行となるように配設されている。又、電気集塵機本体1の筺体内部には、その他に、集塵極12に付着したダストを洗い流すためのスプレーノズル及び洗浄用配管が設けられている。
【0023】
尚、電気集塵機本体1の筺体の材質の好ましい一例として、導電性のFRP(Fiber Reinforced Plastic)を挙げることができる。電気集塵装置10で処理される排ガスには、有害なダストの他に、例えばフッ酸や亜硫酸ガス等のいわゆる腐食性物質を含有する場合がある。このため、近年では、電気集塵装置のケーシングや集塵極等の接ガス部分を構成する材料として、従来の金属材料に替わって導電性の繊維強化プラスチックが採用されている。FRPを採用することで、主に耐食性を強化し、尚且つ、高耐食性金属材料よりも安価に製作することが可能になっている。
【0024】
[電源制御システム]
スイッチング素子として絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を備える電源2、間欠荷電制御装置3、及び、ダスト濃度計4と含んで構成される「電源制御システム」は、ダスト濃度計4によって測定された電気集塵機本体1から排出される排ガスのダスト濃度を、間欠荷電制御装置3にフィードバックし、予め設定したダスト濃度の閾値を目標値として、間欠荷電を行う電源2における荷電時間と非荷電時間の組合せを制御する。
【0025】
上記制御を実行するために、「電源制御システム」は、電気集塵装置10の運転中にダスト濃度計4によって上記のダスト濃度をリアルタイムで測定する。そして、間欠荷電制御装置3が、上記の排出ガスのダスト濃度が、予め設定された所定の濃度範囲内に止まるように、電源2に対して、荷電時間と非荷電時間の組合せの変更を指示する信号を適宜出力する。
【0026】
(電源)
「電源制御システム」を構成する電源2は、スイッチング素子として絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を備える直流高電圧電源である。この電源2は、一例として、図2に示す通り、直流高電圧発生部2A及び直流高電圧入力部2Bを含んで構成される。電気集塵機本体1の放電極を構成する電極ロッド123には、この電源2から、負極の直流高電圧が印加される。
【0027】
直流高電圧発生部2Aにおいては、交流電源(図2においては図示せず。図3における交流電源25)から供給される交流電圧に、昇圧、及び、整流等の一連の処理が実行されることにより得られる高電圧の直流を出力する。
【0028】
図3は、電源2を構成する電力変換回路の等価回路を示す。同図に示す通り、電力変換回路C1は、入力側から出力側に向けて、交流電源25、入力側整流器24、スイッチング素子23、変圧器22、出力側整流器21が順次接続されている。そして、電力変換回路C1においては、スイッチング素子23は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)とされている。
【0029】
又、電力変換回路C1には、例えば、電気集塵機本体1に投入されるガス中の微粒子濃度が一定濃度以下となった場合等に、電気集塵機本体1に対する荷電方式を、連続荷電から間欠荷電に切り替える荷電方式切り替え手段(図示せず)も設置されている。
【0030】
そして、図3に示すように、電力変換回路C1には、更に、間欠荷電による運転中において、電気集塵機本体1から排出される処理済みの排ガスのダスト濃度に応じて、電源2の動作を制御する間欠荷電制御装置3が設置されている。
【0031】
(間欠荷電制御装置)
間欠荷電制御装置3は、上記の通り、排ガスのダスト濃度に応じて、「IGBT方式の電源」である電源2における荷電時間と非荷電時間の組合せを制御する機能を備える情報処理装置によって構成することができる。
【0032】
荷電時間と非荷電時間の組合せにかかる上記の電源の動作の制御は、具体的には、ダスト濃度計4によって測定された上記の排出ガスのダスト濃度を入力値とし、この入力値と予め設定した基準値との差が閾値を超えた場合に、電源2に対して、荷電時間と非荷電時間の組合せの変更を指示する信号を出力することによって行うことができる。間欠荷電制御装置3は、例えば、既存の電気集塵装置に設置されている汎用的な「電気集塵機本体用の制御盤」に、必要な改良を施して、上記機能を付加することによっても構成することができる。
【0033】
[電気集塵装置の動作]
上述した構成からなる電気集塵装置10の基本動作及び運転方法について説明する。電気集塵装置10においては、直流高電圧発生部2A(図2)から発生された負極の直流高電圧が、直流高電圧入力部2B(図2)を介して、直流高電圧として放電極(電極ロッド123及び放電線124)に印加される。そして、直流高電圧の値が上昇すると、放電極と、その周囲を囲む集塵極12の「室」の各側面との間に負コロナ放電が発生し、その結果、放電極から、集塵極12の「室」の各側面の各々に向かう方向に負イオンが移行すると共に、同方向にイオン風が発生する。
【0034】
このように、電気集塵装置10では、集塵極12の周辺空間がイオン空間になる。従って、図2に示すように、ミストやダスト等の微粒子を含む処理対象の排ガスG1が、電気集塵装置の筺体の下部に供給されて、集塵極12の周辺空間を流通すると、負イオンの衝突により微粒子が帯電する。帯電した微粒子は、集塵極12の側面に付着する。このようにして、処理対象の排ガスG1から上記微粒子が除去される。微粒子が除去された処理済みの排ガスG2は、電気集塵装置10の筺体の上部から排出される。
【0035】
そして、電気集塵装置10は、処理対象の排ガス中のダスト濃度が一定濃度以下となった場合に、電気集塵機本体1に対する荷電方式を、連続荷電から間欠荷電に切り替える運転方法によって運転される。
【0036】
(間欠荷電の制御)
電気集塵装置10において、間欠荷電による運転が行われる場合、スイッチング素子として絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を備える電源2、間欠荷電制御装置3、及び、ダスト濃度計4を含んで構成される「電源制御システム」によって、間欠荷電を行う電源2における荷電時間と非荷電時間の組合せが適宜適切な組合せとなるように制御される。
【0037】
ここで、従来広く採用されていたサイリスタ方式の電源においては、荷電時間と非荷電時間の組合せの設定が、サイリスタ方式の特性上、それぞれの時間を20m秒、40m秒、60m秒というように20m秒の倍数での設定に限られていた。又、それらの設定値は電気集塵装置の運転開始前に予め設定をする必要があり、運転中における上記組合せの時間変更は不可能であった。
【0038】
これに対して、電源2として、「IGBT方式の電源」を備える電気集塵装置10においては、高周波でIGBT方式のスイッチング素子が動作しているため、荷電時間と非荷電時間の組合せの変更幅の最小単位10m秒以下とすることが容易に実現可能であり、又、1m秒単位での荷電時間と非荷電時間の組合せの設定も可能である。又、運転中の設定時間の変更も、同様に1m秒単位の任意の時間単位で自由に設定して行うことができる。
【0039】
従って、「IGBT方式の電源」である電源2と、電気集塵機本体1から排出される処理済みの排ガスのダスト濃度に応じて、電源2の動作を制御する間欠荷電制御装置3との組合せによれば、電気集塵装置10の間欠荷電による運転中に、荷電時間と非荷電時間の組合せを、他の構成ではなし得ない極めて高い自由度と迅速さで、より適切な組合せに変更することできる。このようにして、電気集塵装置10においては、このような「電源制御システム」の動作により、所定のダスト濃度許容範囲内で、最大限の省エネ効果が実現される。
【実施例0040】
以下、試験操業による実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0041】
(比較例:サイリスタ方式電源)
図2に示す構造からなる電気集塵機本体と、サイリスタ方式の電源とを備える電気集塵装置において8時間の試験操業を行い、連続荷電と間欠荷電の切り替えによる消費電力の変動を確認した。この電気集塵装置において、連続荷電時の排出ガスの平均ダスト濃度は、10mg/Nmであり、消費電力量は、591kWhであった。
【0042】
続いて、サイリスタ方式の電源を備える上記の電気集塵装置において間欠荷電による8時間の試験操業を行った。この際、荷電時間と非荷電時間の組合せの設定は、荷電時間100m秒と非荷電時間80m秒との固定された組合せとした。この試験操業においては、平均ダスト濃度は、10mg/Nm(8hr平均)に維持したまま、消費電力量を403kWhにまで低減させることができた(表1参照)。
【0043】
(実施例:IGBT方式電源)
上記比較例と同様の構成からなる電気集塵機本体と、IGBT方式の電源とを備える電気集塵装置において、荷電時間と非荷電時間の組合せを排出ガスのダスト濃度をリアルタイムでフィードバックして制御することにより、運転中の平均ダスト濃度を10mg/Nm以下に維持した。その際の消費電力は、296kWhにまで低減させることができた(表1参照)。
【0044】
【表1】
【0045】
上記表1の試験結果より、本発明が、湿式の電気集塵機において、間欠荷電による運転時に、集塵効率を維持したまま、省電力効果を更に向上させることができるものでることが分かる。
【符号の説明】
【0046】
1 電気集塵機本体
11 上部ケーシング
12 集塵極(側部ケーシング)
13 下部ケーシング
14 架構
121 上部グリッド
122 下部グリッド
123 電極ロッド
124 放電線
125 ウェイト
2 電源
2A 直流高電圧発生部
2B 直流高電圧入力部
3 間欠荷電制御装置
4 ダスト濃度計
10 電気集塵装置
21 出力側整流器
22 変圧器
23 スイッチング素子(IGBT)
24 入力側整流器
25 交流電源
C1 電力変換回路
G1 処理対象の排ガス
G2 処理済みの排ガス
図1
図2
図3