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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154038
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】駐車設備
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/14 20060101AFI20221005BHJP
   E04H 6/08 20060101ALI20221005BHJP
   E04H 6/42 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
E04H9/14 Z
E04H6/08
E04H6/42 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056877
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000227043
【氏名又は名称】日精株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100208672
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 愼一
(74)【代理人】
【識別番号】100082692
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵合 正博
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 竜也
【テーマコード(参考)】
2E139
【Fターム(参考)】
2E139AA07
2E139AB16
2E139AC10
2E139AD03
2E139AD07
(57)【要約】
【課題】大雨などにより洪水等が発生した災害時に、溢れた水を駐車スペース下方に導いて一時的に貯水する駐車設備を提供する。
【解決手段】駐車設備1は、立体の構造体を有し、構造体に設けられる出入口8と、出入口8の階の下方に形成される駐車空間に設けられる駐車床18を含む駐車区画10と、を備えた駐車設備1であって、駐車設備1は、駐車設備1の外部から水の駐車区画10への導水を行う導水装置36、38、40、42と、駐車区画10からの排水を行う排水装置58と、導水装置36、38、40、42及び排水装置58の動作をコントロールする制御装置と、を含んで構成され、制御装置は、駐車設備1の周辺地域の水位情報を取得し、水位情報に基づいて導水装置36、38、40、42を作動させて駐車区画10内に導水する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体の構造体を有し、前記構造体に設けられる出入口と、前記出入口の階の下方に形成される駐車空間に設けられる駐車床を含む駐車区画と、を備えた駐車設備であって、
前記駐車設備は、前記駐車設備の外部から水の前記駐車区画への導水を行う導水装置と、前記駐車区画からの排水を行う排水装置と、前記導水装置及び排水装置の動作をコントロールする制御装置と、を含んで構成され、
前記制御装置は、前記駐車設備の周辺地域の水位情報を取得し、前記水位情報に基づいて前記導水装置を作動させて駐車区画内に導水する、
駐車設備。
【請求項2】
前記排水装置は、前記制御装置の制御により、前記導水装置によって前記駐車区画に貯留される水を前記駐車設備の外部に排水する、請求項1に記載の駐車設備。
【請求項3】
前記駐車設備は、前記駐車空間に設けられた前記駐車床を含む前記駐車区画に代えて、
前記駐車空間の床に設置された支柱と、前記支柱により支持された駐車棚と、を含んで構成されるフレーム構造体を有する機械式駐車装置を備える、請求項1又は2に記載の駐車設備。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記駐車設備の周辺地域の状況情報の受信動作を制御する外部信号受信制御部と、
受信した前記状況情報に基づいて導水又は排水の判定を行い、前記駐車設備への導水動作又は前記駐車設備からの排水動作を制御する導水・排水装置制御部と、
前記駐車設備の入出庫を制御するとともに、前記導水・排水装置制御部へ前記駐車設備の前記状況情報を送付する駐車設備制御部と、
を備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の駐車設備。
【請求項5】
前記制御装置は、前記駐車設備における自動運転車両の入出庫制御、及び前記導水・排水動作の制御を実行する前記駐車設備の制御部と、前記自動運転車両に対する自動運転による入出庫動作を制御する前記自動運転車両の制御部と、を備え、
前記駐車設備の制御部は、前記駐車設備における入出庫動作、前記自動運転車両に対する操作管理、及び操作判定を実行する駐車設備制御部と、前記駐車設備の周辺地域の状況情報を受信するとともに、前記自動運転車両に対する入出庫動作の情報を送受信する外部信号送受信制御部と、受信した前記状況情報に基づいて導水又は排水の判定を行い、前記駐車設備への導水又は前記駐車設備からの排水動作を制御する導水・排水装置制御部と、を備え、
前記自動運転車両の制御部は、前記自動運転車両に対する入出庫動作の情報の受信動作を制御する外部信号送受信制御部と、前記自動運転車両に対して自動運転動作を行わせる処理を実行する自動運転動作処理部と、を備え、
前記駐車設備の制御部が前記駐車設備の動作を制御し、前記自動運転車両の制御部が自動運転車両の動作を制御する、請求項1から3のいずれか1項に記載の駐車設備。
【請求項6】
前記制御装置は、前記駐車設備における自動運転車両の出庫許可を含む入出庫制御、及び水の導水・排水動作の制御を実行する前記駐車設備の制御部と、前記自動運転車両に対する出庫許可判定を行って自動運転による入出庫動作を制御する前記自動運転車両の制御部と、を備え、
前記駐車設備の制御部は、前記駐車設備における入出庫動作や前記自動運転車両に対する操作管理、操作判定を実行する駐車設備制御部と、前記駐車設備の周辺地域の状況情報を受信するとともに、前記自動運転車両に対する出庫許可を含む入出庫動作の情報を送受信する外部信号送受信制御部と、受信した周辺地域の前記状況情報に基づいて導水又は排水の判定を行い、前記駐車設備への導水及び前記駐車設備からの排水動作を制御する導水・排水装置制御部と、を備え、
前記自動運転車両の制御部は、前記自動運転車両に対する入出庫動作の情報の受信動作を制御する外部信号受信制御部と、前記自動運転車両の出庫許可申請を認めるか否かの判定を行う出庫許可申請信号判定部と、前記自動運転車両に対して自動運転動作を行わせる処理を実行する自動運転動作処理部と、を備え、
前記駐車設備の制御部が前記駐車設備の動作を制御し、前記自動運転車両の制御部が自動運転車両の動作を制御する、請求項1から3のいずれか1項に記載の駐車設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洪水等の災害時に、周辺地域における水位を検出して、雨水等の水を駐車設備における駐車区画の下方に導き、一時的に貯水する駐車設備に関する。
【背景技術】
【0002】
近年においては、台風の大型化、集中豪雨などが頻発し、特定の地域が災害に見舞われる事態が多々見られる。駐車設備の分野においても降雨から駐車設備内に格納された車両を守るために種々の技術が提案されている。
【0003】
特許文献1には、避難室を内部に備えており、出入口が下部に形成された、避難用建物であって、前記避難室と外気とが、前記出入口のみで連通しており、前記避難室と前記出入口とをつなぐ空間の床面の少なくとも一部または前記避難室の床面が、前記出入口の上端以上の高さに形成されていることを特徴とする避難用建物が記載されている。
【0004】
特許文献2には、車両を載置した状態で水面に浮上可能な浮上体と、前記浮上体の浮上動作および浮上状態からの下降動作を規制するガイド機構とを備える車両用浸水対策装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-076271号公報
【特許文献2】特開2019-052420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年発生した水災害の規模は、河川等の氾濫や洪水を起こすほどの大規模災害になることが多々あり、駐車設備が浸水の被害を受けなくても近隣で大きな浸水被害が発生した場合、駐車設備の収益が総じて低下する。よって、駐車設備の周辺地域で浸水が発生した場合は、周辺地域における浸水を抑制することが求められる。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された発明は、空間である避難室を内部に備えており、出入口が下部の床面に形成されたボックス構造の駐車建物を提案するものであるから、河川等の溢水による水を貯留することができない。
【0008】
また、特許文献2に記載された発明は、車両を載置した状態で水面に浮上可能な浮上体と、前記浮上体の浮上動作および浮上状態からの下降動作を規制するガイド機構とを備え、浮上体の周囲に浸水が発生した場合、浮上体を基台から浮上させ、浸水が終わったときはガイド機構により下降動作を案内するものであるから、河川等の溢水による水を貯留することができない。
【0009】
本発明は、上述する問題を解決するもので、大雨などにより洪水等が発生する災害時に、河川等から溢れた水等を駐車設備における駐車区画の下方に導いて、一時的に貯水する駐車設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1態様に係る駐車設備は、立体の構造体を有し、前記構造体に設けられる出入口と、前記出入口の階の下方に形成される駐車空間に設けられる駐車床を含む駐車区画と、を備えた駐車設備であって、前記駐車設備は、前記駐車設備の外部から水の前記駐車区画への導水を行う導水装置と、前記駐車区画からの排水を行う排水装置と、前記導水装置及び排水装置の動作をコントロールする制御装置と、を含んで構成され、前記制御装置は、前記駐車設備の周辺地域の水位情報を取得し、前記水位情報に基づいて前記導水装置を作動させて駐車区画内に導水する。
【0011】
第2態様に係る駐車設備は、第1態様に係る駐車設備において、前記排水装置は、前記制御装置の制御により、前記導水装置によって前記駐車区画に貯留される水を前記駐車設備の外部に排水する。
【0012】
第3態様に係る駐車設備は、第1態様又は第2態様に係る駐車設備において、前記駐車設備は、前記駐車空間に設けられた前記駐車床を含む前記駐車区画に代えて、前記駐車区画の床に設置された支柱と、前記支柱により支持された駐車棚と、を含んで構成されるフレーム構造体を有する機械式駐車装置を備える。
【0013】
第4態様に係る駐車設備は、第1態様から第3態様のいずれか1態様に係る駐車設備において、前記制御装置は、前記駐車設備の周辺地域の状況情報の受信動作を制御する外部信号受信制御部と、受信した前記状況情報に基づいて導水又は排水の判定を行い、前記駐車設備への導水動作又は前記駐車設備からの排水動作を制御する導水・排水装置制御部と、前記駐車設備の入出庫を制御するとともに、前記導水・排水装置制御部へ前記駐車設備の前記状況情報を送付する駐車設備制御部と、を備える。
【0014】
第5態様に係る駐車設備は、第1態様から第3態様のいずれか1態様に係る駐車設備において、前記制御装置は、前記駐車設備における自動運転車両の入出庫制御、及び前記導水・排水動作の制御を実行する前記駐車設備の制御部と、前記自動運転車両に対する自動運転による入出庫動作を制御する前記自動運転車両の制御部と、を備え、前記駐車設備の制御部は、前記駐車設備における入出庫動作、前記自動運転車両に対する操作管理、及び操作判定を実行する駐車設備制御部と、前記駐車設備の周辺地域の状況情報を受信するとともに、前記自動運転車両に対する入出庫動作の情報を送受信する外部信号送受信制御部と、受信した前記状況情報に基づいて導水又は排水の判定を行い、前記駐車設備への導水又は前記駐車設備からの排水動作を制御する導水・排水装置制御部と、を備え、前記自動運転車両の制御部は、前記自動運転車両に対する入出庫動作の情報の受信動作を制御する外部信号送受信制御部と、前記自動運転車両に対して自動運転動作を行わせる処理を実行する自動運転動作処理部と、を備え、前記駐車設備の制御部が前記駐車設備の動作を制御し、前記自動運転車両の制御部が自動運転車両の動作を制御する。
【0015】
第6態様に係る駐車設備は、第1態様から第3態様のいずれか1態様に係る駐車設備において、前記制御装置は、前記駐車設備における自動運転車両の出庫許可を含む入出庫制御、及び水の導水・排水動作の制御を実行する前記駐車設備の制御部と、前記自動運転車両に対する出庫許可判定を行って自動運転による入出庫動作を制御する前記自動運転車両の制御部と、を備え、前記駐車設備の制御部は、前記駐車設備における入出庫動作や前記自動運転車両に対する操作管理、操作判定を実行する駐車設備制御部と、前記駐車設備の周辺地域の状況情報を受信するとともに、前記自動運転車両に対する出庫許可を含む入出庫動作の情報を送受信する外部信号送受信制御部と、受信した周辺地域の前記状況情報に基づいて導水又は排水の判定を行い、前記駐車設備への導水及び前記駐車設備からの排水動作を制御する導水・排水装置制御部と、を備え、前記自動運転車両の制御部は、前記自動運転車両に対する入出庫動作の情報の受信動作を制御する外部信号受信制御部と、前記自動運転車両の出庫許可申請を認めるか否かの判定を行う出庫許可申請信号判定部と、前記自動運転車両に対して自動運転動作を行わせる処理を実行する自動運転動作処理部と、を備え、前記駐車設備の制御部が前記駐車設備の動作を制御し、前記自動運転車両の制御部が自動運転車両の動作を制御する。
【発明の効果】
【0016】
第1態様に係る駐車設備によれば、車両収容建物を浮上させるもの、又は車両を載置する土台を浮かせる方式の駐車設備に比べて、大量の水を貯留することができる。また、制御装置により周辺地域の水位情報を解析して導水を実行することから、水の浸水に対して駐車設備が効率良く対応することができる。
【0017】
第2態様に係る駐車設備によれば、車両収容建物を浮上させるもの、又は車両を載置する土台を浮かせる方式の駐車設備に比べて、大量の水を貯留することができ、制御装置により周辺地域の水位情報を解析して導水した水を排水することができる。
【0018】
第3態様に係る駐車設備によれば、車両収容建物を浮上させるもの、又は車両を載置する土台を浮かせる方式の駐車設備に比べて、大量の水を貯留することができる。また、制御装置により周辺地域の水位情報を解析して導水を実行することから、水の浸水に対して駐車設備が効率良く対応することができる。
【0019】
第4態様に係る駐車設備によれば、車両収容建物を浮上させるもの、又は車両を載置する土台を浮かせる方式の駐車設備に比べて、駐車設備の周辺地域における水位情報を含む状況の変化により駐車設備が適切に対応することができる。
【0020】
第5態様に係る駐車設備によれば、駐車設備に設けた制御装置が自動運転車両の管理情報を管理し、また自動運転車両の自動運転動作を制御する機能を有するから、駐車設備への導水により自動運転車両が浸水する虞がある場合、自動運転車両を自動運転操作して避難させることができる。よって、駐車設備への導水による車両の被害が抑制される。
【0021】
第6態様に係る駐車設備によれば、駐車設備に設けた制御装置において、駐車設備の制御部と、自動運転車両の制御部とが連携処理により、出庫許可申請信号の送受信と判定処理を行い、それによって自動運転車両に対して自動運転動作を行わせるから、駐車設備への導水により自動運転車両が浸水する虞がある場合、自動運転車両をより確実、且つ安全に自動運転操作して避難させることができる。よって、駐車設備への導水による車両の被害が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る駐車設備の内部構成を示す側面図である。
図2】上記第1の実施の形態に係る駐車設備の動作をコントロールするための、駐車設備制御装置の第1例を示す機能ブロック図である。
図3】上記第1の実施の形態に係る駐車設備の動作をコントロールするための、駐車設備制御装置の第2例を示す機能ブロック図である。
図4】上記第1の実施の形態に係る駐車設備の動作をコントロールするための、駐車設備制御装置の第3例を示す機能ブロック図である。
図5】本発明の第2の実施の形態に係る駐車設備の内部構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1実施形態>
本実施形態に係る駐車設備の一例について図面を用いて説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る駐車設備の内部構成を示す側面図である。なお、図中に示す矢印Wは駐車設備の幅方向を示し、矢印Dは駐車設備の奥行方向を示し、矢印Hは駐車設備の高さ方向を示す。また、本実施形態では、幅方向Wを「駐車設備の短手方向」と、また、奥行方向Dを「駐車設備の長手方向」と、それぞれ言い換えることがある。
【0024】
図1において、符号1は本実施形態に係る駐車設備を示す。この駐車設備1は、立体の構造体を有し、当該構造体に設けられた車両の出入口8と、車両の出入口8の階の下方に形成された駐車空間に設けられた駐車床18を含む駐車区画10と、駐車設備1の外部からの雨水等(以下、「水」という。)の導水を行う導水装置と、駐車設備1の外部への排水を行う排水装置と、導水装置又は排水装置の動作をコントロールする制御装置とを備えた駐車設備であり、導水装置及び排水装置は、駐車設備1の構造体に設けられ、外部から水を取り込む水取込みユニット44と、水取込みユニットから取り込まれた水を駐車区画の底部へ誘導する送水パイプ36、38、40、42と、排水用のポンプ58とを含んで構成され、制御装置は、駐車設備の周辺地域の水位情報を取得し、取得した水位情報に基づいて導水装置を作動させて駐車区画内に導水する。ここで、水位情報とは、駐車設備1の周辺地域の水位の情報である。ここで、符号36で代表される送水パイプは、導水装置の一例であり、ポンプ58は排水装置の一例である。
【0025】
駐車設備1は、地下式の駐車設備であり、車両を駐車する駐車区画10と、駐車区画10に水を導水する導水装置と、を備えている。駐車設備1は、天井壁12と右側壁14と、左側壁16とを有し、全体として立体矩形、立体円形、その他の形状の構造体からなり、内部には駐車区画10が形成されている。左側壁16の上端には、駐車設備1の出入口8から駐車区画10まで延びる乗降室の通路が設けられており、駐車設備1に出入りする車両28、30、32、34が移動する。駐車区画10の内部の左側壁16に沿って、エレベータ24が設置され、このエレベータ24には駐車設備1の高さ方向Hに移動する昇降機26が設けられている。
【0026】
本実施形態では、駐車設備1は高さ方向Hに3層の駐車区画を等間隔に有しており、駐車区画10の底部に第1層駐車床18が設けられており、第1層駐車床18の上方所定の位置(例えば、2~3メートル上方)には第2層駐車床20が設けられており、さらに第2層駐車床20の上方所定の位置には第3層駐車床22が設けられている。第1層駐車床18、第2層駐車床20、及び第3層駐車床22は、コンクリートを打設するなどして構成されている。第1層駐車床18と、これに隣接したエレベータ24との間には駐車区画10の底部よりもさらに下方に深く掘り下げられるピット56、すなわち、水受部が設けられている。また、ピット56に対応する左側壁16部分には排水装置58が設置されている。この排水装置58はポンプ等により構成されている。第3層駐車床22は、出入口8と駐車区画10との間の乗降室の通路と同じレベルに設けられている。また、駐車設備1の各層の駐車床18、20、22には、駐車設備1に到達した隣接道路又は隣接敷地からの雨水、又は河川等から溢れた水を駐車設備内に誘導する配管設備が設けられている。この配管設備は、駐車区画10内の底部へ向けて雨水を誘導する第1の送水パイプ36と、第2の送水パイプ38と、第3の送水パイプ40と、第4の送水パイプ42とが設けられている。
【0027】
第1の送水パイプ36は、駐車設備1の出入口8から駐車区画10まで延びる通路の床面に開口して設けられた水取込みユニット44、46に接続され、上記通路の下部で駐車設備1の構造体内部に延伸して設置されている。水取込みユニット44は出入口8の近辺において通路の床面に開口する一方、水取込みユニット46は出入口8から離れた駐車区画10の近辺において通路の床面に開口している。そして、第1の送水パイプ36は、水取込みユニット44に対応する位置から水取込みユニット46に対応する位置まで、駐車設備1の奥行方向Dへ延びるとともに、その先端は駐車区画10に開口している。
【0028】
第2の送水パイプ38は、駐車設備の高さ方向Hに沿って延びる縦延伸部38Aと、奥行方向Dに傾斜して勾配を有して延びる横延伸部38Bと、を有する。縦延伸部38Aは、駐車設備1の天井壁12の上面12Aから右側壁14の外側を高さ方向Hに延びている。第2の送水パイプ38は、縦延伸部38Aの下端部が第1層駐車床18の下に到達した部位で、奥行方向Dの反対の方向に回り込み、横延伸部38Bに繋がって第1層駐車床18の下側を奥行方向Dとは逆のエレベータ24の側に向けてピット56まで延びている。この第2の送水パイプ38は、その縦延伸部38Aの上端において、天井壁12の上面12Aに開口して設けられた水取込みユニット48に接続され、その先端はピット56に開口している。また、第2の送水パイプ38は、横延伸部38Bにおいて、第1層駐車床18の上面に開口して設けられた水取込みユニット54に接続されている。
【0029】
第3の送水パイプ40は、第3層駐車床22とその下側に位置する第2層駐車床20の上面との間で高さ方向Hへ延びている。この第3の送水パイプ40は、第3層駐車床22の上面に開口して設けられた水取込みユニット50に接続され、第2層駐車床20の上面近辺に開口している。第4の送水パイプ42は、第2層駐車床20とその下側に位置する第1層駐車床18の上面との間で高さ方向Hへ延びている。この第4の送水パイプ42は、第2層駐車床20の上面に開口して設けられた水取込みユニット52に接続され、第1層駐車床18の上面に開口している。水取込みユニット44、46、48、50、52、54は開閉可能に構成され、その開閉動作は制御装置により制御される。そして、上記送水パイプ36、38、40、42と水取込みユニット44、46、48、50、52、54は導水装置を構成している。
【0030】
[第1例]
図2は、上記第1の実施の形態に係る駐車設備1の動作をコントロールするための、駐車設備制御装置の第1例を示す機能ブロック図である。この駐車設備制御装置は、駐車設備1の周辺地域の状況情報を受信する動作をコントロールする外部信号受信制御部80と、外部信号受信制御部80からの情報に基づいて駐車設備1への導水及び排水動作をコントロールする導水・排水装置制御部82と、駐車設備の入出庫をコントロールし、また、導水・排水装置制御部82へ駐車設備の状況情報を送付する駐車設備制御部84とを備えている。ここで、周辺地域の状況情報とは、周辺地域の水嵩が増えてきたことの水位情報のみならず、これに加えて、「雨の降り方の強弱」、「駐車設備の付近の堤防が決壊した」、「さらなる大雨をとなる雨雲の接近(気象庁予報)」、その他の情報を含んだ気象情報で、駐車設備にさらなる緊急動作(自動運転車両を退避させる等)を行わせることまでを判断できるようにするための情報である。
【0031】
外部信号受信制御部80は、周辺地域の水位の情報を受信する水位情報受信部86と、緊急時などに本社等から発せられる強制操作指令を受信する強制操作指令受信部88とを有する。管理室には強制操作指令手段である強制操作ボタン112が設けられている。
【0032】
導水・排水装置制御部82は、駐車設備の浸水(貯水)量により駐車設備1への導水の可又は不可を判定する駐車設備の浸水状況管理部90と、この駐車設備の浸水状況管理部90からの情報、或いは導水・排水装置制御部82に集められた各種情報を基に導水、又は排水のいずれかを行うか否かを判定する導水・排水判定部92と、導水・排水判定部92からの判定結果信号に基づき導水動作を行う導水動作処理部94と、導水・排水判定部92からの判定結果信号に基づき排水動作を行う排水動作処理部96と、を有する。
【0033】
駐車設備制御部84は、駐車設備における通常の入出庫制御を行うとともに、導水する層の車両の有無、及び駐車車両の配置替えなどの管理を行う入出庫管理部104と、駐車設備1の操作盤、或いは制御盤に設けられた強制操作指令手段である強制操作ボタン106と、を有する。
【0034】
外部信号受信制御部80の水位情報受信部86は、導水・排水装置制御部82の導水・排水判定部92に信号線100により接続され、外部の洪水情報や周辺地域の水位の情報を受信し、この受信した水位情報を導水・排水判定部92へ送付する。強制操作指令受信部88は、導水・排水判定部92に信号線98により接続され、駐車設備1の管理室(本社、或いはメンテナンス部署等)から送信される強制操作指令を受信し、受信した強制操作指令を導水・排水判定部92へ送付する。強制操作指令手段である強制操作ボタン112は、導水・排水判定部92に信号線114により接続され、緊急時に駐車設備1の管理室から強制的に導水装置や排水装置58を作動させる操作ボタンであり、強制操作指令を導水・排水判定部92へ送付する。
【0035】
導水・排水装置制御部82の浸水状況管理部90は、導水・排水判定部92に信号線102により双方向通信可能に接続され、受信した水位情報や、駆動系、電子機器の状況を蓄積管理するとともに、管理情報、或いは導水の可又は不可情報を導水・排水判定部92へ送付する。導水・排水判定部92は、導水・排水装置制御部82に集められた各種情報を処理するためにCPU等が用いられ、各種駐車設備1の周辺の水位情報と駐車設備1の浸水状況から導水・排水の動作の、要又は不要、或いは可又は不可を判定する。また、導水・排水判定部92は、強制操作指令を受けたり、強制操作ボタン112が作動された場合に強制操作を行う。導水動作処理部94は導水・排水判定部92からの指令を受けて導水動作を行う。排水動作処理部96は、導水・排水判定部92からの指令を受けて排水動作を行う。
【0036】
駐車設備制御部84の入出庫管理部104は、導水・排水判定部92に信号線108により双方向通信可能に接続され、導水・排水判定部92からの指令を受け、又は、駐車設備における各種管理情報を導水・排水判定部92へ送付して、駐車設備1における車両28等の入出庫状況を管理する。強制操作ボタン106は、導水・排水判定部92に信号線110により接続され、緊急時に駐車設備側(制御盤、操作盤)から強制的に導水装置又は排水装置58を作動させる操作ボタンであり、強制操作指令を導水・排水判定部92へ送付する。
【0037】
〔第1例の動作〕
以上の構成を有する駐車設備1について、以下動作を説明する。
(導水の動作)
駐車設備1は、通常の状況においては、駐車設備1本来の機能として使用され、車両28、30、32の入庫及び出庫操作が行われる。そして、水取込みユニット44、46、48、50、52、54は閉鎖状態に維持されている。その場合でも駐車設備制御装置においては、駐車設備1の周辺地域に設置された水位センサーから発信される水位情報を水位情報受信部86により受信する。
【0038】
そして、駐車設備1の周辺地域が大雨等の自然現象に遭遇し、上記水位情報により、近隣の住居に床上浸水などの水災害発生の恐れがあると判断された場合、乗降室、または駐車区画10内に設置された導水装置を作動させる。これにより、水取込みユニット44、46、48、50、52、54が開動作し、駐車設備1の周辺に押し寄せた水を駐車設備1内部に導水する。導水された水は、第1~第4の送水パイプ36、38、40、42により駐車区画10内の最下層へ誘導され、導水によって次第にかさ上げされて貯水される。貯水レベルは、貯水量により決定されるが、第1層駐車床18が水没するレベルのみならず、第2層駐車床20が水没、さらには第3層駐車床22に到達する直前のレベルまでかさ上げされることも有り得る。また、水を駐車設備1内部に導水した後、駐車設備1の周辺地域の水位が低下した場合、当該水位の低下や水災害警戒警報の解除などを確認後、駐車設備1の排水装置を作動させ、貯水した水を雨水排水経路等に排水する。以上の導水から排水までの制御動作について説明する。
【0039】
(導水開始動作)
外部信号受信制御部80において、駐車設備1の周辺地域に設置された水位センサーから発信される水位情報を水位情報受信部86により受信し、水位情報受信部86はその受信データ(水位情報)を導水・排水装置制御部82の導水・排水判定部92へ送付する。導水・排水判定部92は、受信データを浸水状況管理部90へ転送して駐車設備1における浸水状況を管理させる。導水・排水判定部92はまた、水位情報とその水位情報に対応する水災害危険度とを対比させる水災害判定データをテーブル形式で有している。そして、この水災害判定データを用いて、周辺地域の浸水に伴う水位が導水の要又は不要の判定値を超えているか否かを判定する。
【0040】
上記水位が判定値を超えていると判定された場合、導水・排水判定部92は、導水動作処理部94へ水位危険信号を出力する。他方、導水・排水装置制御部82の浸水状況管理部90は、現在における駐車設備1の貯水レベル(貯水量)情報を保有しており、導水・排水判定部92からの要求により、又は自発的に駐車設備1における貯水レベル情報を導水・排水判定部92へ送付する。導水・排水判定部92は、この貯水レベル情報についても、貯水レベル情報とその貯水レベル情報に対応する導水許容度とを対比させる貯水許容判定データをテーブル形式で有している。そして、この貯水許容判定データを用いて、導水開始時の貯水レベルが導水の可又は不可の判定値を超えているか否かを判定する。
【0041】
上記貯水レベルが判定値を超えていない、すなわち、導水が可能であると判定された場合、導水・排水判定部92は、導水動作処理部94へ導水許容信号を出力する。さらに、駐車設備制御部84の入出庫管理部104は、導水する車両駐車層の車両の有無に関する情報を保有しており、導水・排水判定部92からの要求により、又は自発的に駐車設備1における車両有無情報を導水・排水判定部92へ送付する。導水・排水判定部92と入出庫管理部104は、この車両有無情報に基づき、車両有無により、導水が可能であるか、不可であるかの判定を協働処理動作により行う。
【0042】
上記車両有無情報に基づく判定処理動作は次のようにして実行される。
a)導水する車両駐車層に車両が無い場合は導水可能と判定し、導水・排水判定部92は、導水動作処理部94へ導水OK信号を出力する。
b)導水する車両駐車層に車両が有る場合、該当車両をその車両駐車層よりも上の車両駐車層に移動可能かどうかをチェックし、移動可能な場合は導水可能と判定し、導水・排水判定部92は、導水動作処理部94へ導水OK信号を出力する。
c)導水する車両駐車層に車両が有り、該当車両をその車両駐車層よりも上の車両駐車層に移動可能かどうかをチェックしたところ、移動不可能である場合は、さらに外部信号受信制御部80により洪水警報情報を受信してこの洪水警報情報をチェックし、洪水警報の危険度分布にて警戒レベル4相当、もしくはそれ以上の場合は導水すると判定し、導水・排水判定部92は、導水動作処理部94へ導水OK信号を出力する。これは、駐車設備1の周辺が大洪水に見舞われる可能性がある場合であるから、大洪水を食い止めるための緊急措置である。
【0043】
導水OK信号は、上記a)~c)の各場合に分けて判定した結果出力されるものであるから、a)~c)の各場合のいずれか1つの場合の判定結果に対応する導水OK信号のみが出力される。導水動作処理部94は、導水・排水判定部92からの水位危険信号、導水許容信号、及び導水OK信号を受信した場合、導水装置を起動して導水を開始し、実行する。
【0044】
(導水中の動作)
導水中においては、外部信号受信制御部80から送付される水位情報、導水・排水装置制御部82から送付される貯水レベル情報、及び駐車設備制御部84から送付される導水OK信号(いずれも検知情報である)を導水・排水判定部92において監視し判定を実行する。この判定処理動作において、判定結果が導水の条件を満たしている間は導水操作が継続して行われ、送水パイプ36、38、40、42と水取込みユニット44、46、48、50、52、54により構成された導水装置により導水が行われ、駐車設備1内へは水が誘導されて駐車区画10内に貯水される。これにより、駐車設備1の周辺地域では水による増水が抑制され、洪水や床下、床上等の浸水が抑制される。
【0045】
他方、上記導水・排水判定部92による判定処理動作において、判定結果が導水の条件を満たさない状態になった場合は、導水・排水判定部92から導水動作処理部94へ導水停止信号が出力され、導水動作処理部94は、導水停止信号を受信した場合、導水装置をオフ動作して導水を停止する。判定結果が導水の条件を満たさない状態になる、とは、導水が行われて駐車設備1内の貯水が進んで第1層駐車床18が冠水或いは浸水したとき、或いは、さらに貯水が進んで第2層駐車床20や第3層駐車床22が冠水或いは浸水した状態をいう。当該第1層駐車床18に載置されていた自動運転車両を上層の駐車床64または66へ避難移動させる場合にも上述の自動運転動作処理を実行することができる。
【0046】
(排水動作)
上述したとおりの導水処理動作を行った後、導水・排水判定部92は、外部信号受信制御部80の水位情報受信部86から送付された水位情報に基づいて駐車設備1の周辺地域の浸水に伴う水位が排水の可又は不可の判定値を超えているか否かを判定する。上記水位が判定値を超えていないと判定された場合、導水・排水判定部92は、導水動作処理部94へ出力していた水位危険信号を停止するとともに排水動作処理部96へ排水指示信号を出力する。また、導水・排水判定部92は、導水・排水装置制御部82の浸水状況管理部90から送付された貯水レベルに基づいて、貯水レベルが排水の要又は不要の判定値を超えているか否かを判定する。上記貯水レベルが判定値を超えている(導水が不可能なレベルに到達した)と判定された場合、導水・排水判定部92は、導水動作処理部94へ出力していた導水許容信号を停止するとともに排水動作処理部96へ排水指示信号を出力する。なお、導水・排水判定部92は、駐車設備制御部84の入出庫管理部104から送付される車両有無情報に基づく判定は実行処理しない。排水動作処理部96は、導水・排水判定部92からの排水指示信号を受信した場合、排水装置58を起動して排水を開始し、実行する。
【0047】
(排水中の動作)
排水中においては、外部信号受信制御部80から送付される水位情報、導水・排水装置制御部82から送付される貯水レベル情報、及び駐車設備制御部84から送付される導水OK信号(いずれも検知情報である)を導水・排水判定部92において監視し判定を実行する。この判定処理動作において、判定結果が排水の条件を満たさない状態になった場合(再度増水し、駐車設備1の周辺の水位が排水不可能なレベルまで上がった場合)は、導水・排水判定部92から排水動作処理部96へ排水停止信号が出力され、排水動作処理部94は、排水停止信号を受信した場合、排水装置58をオフ動作して排水を停止する。
【0048】
〔強制操作〕
外部信号受信制御部80の強制操作指令受信部88は、駐車設備1の管理室(本社、或いはメンテナンス部門を含む)からの強制操作指令を受信すると、この強制操作指令情報を導水・排水判定部92へ送付する。導水・排水判定部92は強制操作指令情報を受信すると、その判定結果の一部が判定条件を満たさない場合でも、導水動作の開始、導水動作の停止、及び排水動作の停止を行う。
【0049】
(導水開始動作における強制操作)
この場合、導水・排水判定部92は、水位情報受信部86で受信された水位情報を受け取っても、当該導水・排水判定部92において判定した導水の要又は不要の判定結果を無視して導水する。また、導水・排水判定部92は、入出庫管理部104から送付された車両有無情報を受け取っても、導水する車両駐車層の車両有無に拘わらず導水する。他方、駐車設備の浸水状況管理部90からの貯水レベル情報については、判定操作の対象外とする。これは、駐車区画10が満水状態では導水が出来ないことによる。
【0050】
なお、上記導水の要又は不要の判定、及び導水する車両駐車層の車両有無判定のいずれの場合においても、導水・排水装置制御部82は、強制操作指令を受けた場合、操作者に確認を求める。確認の内容は、強制操作の最終確認や、強制操作を実施する前に車両の入出庫を行う等の事柄である。
【0051】
(導水を停止する強制操作)
この場合、導水・排水判定部92は、水位情報受信部86で受信された水位情報を受け取っても、当該導水・排水判定部92において判定した導水の要又は不要の判定結果を無視して導水を停止する。また、導水・排水判定部92は、駐車設備の浸水状況管理部90から送付された貯水レベル情報を受け取っても、導水・排水判定部92において判定した貯水レベルが導水の可又は不可の判定値の結果を無視して導水を停止する。他方、入出庫管理部104から送付された車両有無情報については、判定操作の対象外とする。これは、車両有無は導水を停止する条件にならないことによる。
【0052】
(排水を停止する強制操作)
この場合、導水・排水判定部92は、水位情報受信部86で受信された水位情報を受け取っても、当該導水・排水判定部92において判定した排水の可又は不可の判定結果を無視して排水を停止する。また、導水・排水判定部92は、駐車設備の浸水状況管理部90から送付された貯水レベル情報を受け取っても、導水・排水判定部92において判定した貯水レベルが排水の要又は不要の結果を無視して導水を停止する。他方、入出庫管理部104から送付された車両有無情報については、判定操作の対象外とする。これは、車両有無は導水を停止する条件にならないことによる。
【0053】
なお、上記排水の可又は不可の判定、及び排水の要又は不要の判定、のいずれの場合においても、導水・排水装置制御部82は、強制操作指令を受けた場合、操作者に確認を求める。確認の内容は、強制操作の最終確認や、強制操作を実施する前に車両の入出庫を行う等の事柄である。
【0054】
[第2例]
図3は、本発明に係る駐車設備1の動作をコントロールするための、駐車設備制御装置の第2例を示す機能ブロック図である。この第2例に係る駐車設備制御装置は、駐車設備1における導水又は排水の制御動作に加えて、駐車設備1に格納されている車両を出庫操作したり、駐車設備1内で移動操作する制御動作を含む制御装置である。本駐車設備制御装置の第2例において、駐車設備1に格納されている車両は自動運転車両を対象としており、この自動運転車両として図1に示された車両28を代表させる。この駐車設備制御装置は、駐車設備1における各種動作をコントロールする駐車設備の制御部120と、自動運転車両に搭載され、駐車設備の制御部120によるコントロール下で自動運転車両の動作を制御する自動運転車両の制御部122とを備えている。
【0055】
駐車設備の制御部120は、駐車設備の入出庫動作、自動運転車両28に対する操作管理、及び操作判定を実行して制御する駐車設備制御部124と、外部から受信された水位情報などの各種情報に基いて駐車設備1への導水及び駐車設備からの排水動作をコントロールする導水・排水装置制御部126と、駐車設備1の周辺地域の状況情報を受信し、また、自動運転車両に対する入出庫動作の情報を送受信して制御する外部信号送受信制御部128とを備えている。
【0056】
駐車設備制御部124には駐車設備における自動運転車両28の入庫、及び出庫の状況を管理する入出庫管理部130が設けられており、この入出庫管理部130は、自動運転車両28についての操作情報を管理する自動運転車両に対する操作管理部132と、自動運転車両28についての操作の可又は不可を判定する自動運転車両に対する操作判定部134と、自動運転車両に対する操作判定部134からの信号に基づき自動運転車両28の入出庫を行う入出庫動作処理部135と、を有している。導水・排水装置制御部126は駐車設備1における導水又は排水の要又は不要を判定する導水・排水判定部136を有している。外部信号送受信制御部128は、入出庫動作処理部135において入出庫動作の処理が行われたことを示す信号(入出庫動作処理信号)を受け取って自動運転車両28の制御部122へ送付する出庫動作信号送信部140を有している。
【0057】
自動運転車両の制御部122は、自動運転車両28の入出庫動作に関する外部からの情報の受信動作をコントロールする外部信号受信制御部144と、自動運転車両28に対して自動運転動作を行わせる処理を実行する自動運転動作処理部146とを有している。外部信号受信制御部144は駐車設備において入出庫動作処理が行われたことを示す入出庫動作処理信号を受信する出庫動作信号受信部148を有している。
【0058】
駐車設備の制御部120において、導水・排水装置制御部126の導水・排水判定部136は、駐車設備制御部124の自動運転車両に対する操作判定部134に信号線138により接続され、当該導水・排水判定部136により得られた判定結果を自動運転車両に対する操作判定部134へ送付する。自動運転車両に対する操作判定部134は車両が自動運転車であるか、及び出庫操作の可又は不可を判定する。外部信号送受信制御部128の出庫動作信号送信部140は、入出庫管理部130の入出庫動作処理部135に信号線142により接続され、また、この出庫動作信号送信部140は、出庫動作信号受信部148と信号線152により接続され、また、この出庫動作信号受信部148は、自動運転動作処理部146に信号線150により接続されている。これにより、入出庫動作処理部135から出力された入出庫動作処理信号は出庫動作信号送信部140に送付され、さらに、出庫動作信号受信部148へ送付される。
【0059】
〔第2例の動作〕
以上の構成を有する駐車設備1の制御装置について、以下動作を説明する。
通常の状況における自動運転車両28の入庫及び出庫動作は上述の第1例に係る駐車設備1の制御動作と同様に行われる。また、通常の入出庫動作の間でも駐車設備制御装置においては、駐車設備1の周辺地域に設置された水位センサーから発信される水位情報を水位情報受信部(第1例の符号86)により受信し、導水・排水判定部136において導水または排水の要又は不要が判定される点についても同様である。
【0060】
降雨などにより、周辺地域の水位が上昇した場合、駐車設備の制御部120においては導水・排水判定部136により導水の要又は不要が判定される。この判定の結果、導水が「要」であると判定された場合、その判定結果信号は、導水・排水判定部136から自動運転車両に対する操作判定部134へ送付される。自動運転車両に対する操作判定部134は、判定結果信号を受け取ると、自動運転車両に対する操作管理部132から自動運転車両28についての操作情報を受け取り、駐車している車両が自動運転車両であるか、及び出庫操作の可又は不可を判定する。
【0061】
上記操作判定において、駐車している車両が自動運転車両であるか否かは、次のようにして判定する。
a)路上を自動走行し、避難途中または逃げ遅れた人が車両を停止させ、乗車し、避難所(安全な場所)に自動又は手動運転にて移動する操作、動作に対応する機能を有する場合は自動運転車両と判定する。
b)路上を自動走行し、車両が避難途中または逃げ遅れた人を検知して停止、乗車させ、避難所(安全な場所)に自動又は手動運転にて移動する操作、動作に対応する機能を有する場合は自動運転車両と判定する。
【0062】
上記自動運転車両に対する操作判定部134による操作判定がなされると、その操作判定結果信号は、自動運転車両に対する操作判定部134から入出庫動作処理部135へ送付される。入出庫動作処理部135は、受け取った操作判定結果信号が「駐車している車両が自動運転車両である」と判定されたものである場合、自動運転車両58を入出庫させる入出庫動作処理信号を出庫動作信号送信部140へ送付する。出庫動作信号送信部140は、この入出庫動作処理信号を自動運転車両の制御部122側の出庫動作信号受信部148へ送付する。
【0063】
自動運転車両の制御部122においては、出庫動作信号受信部148へ送付された入出庫動作処理信号が自動運転動作処理部146へ転送され、自動運転動作処理部146が自動運転車両28を自動運転させる。自動運転車両28は、自動運転により駐車設備1に対して入出庫し得ることはもちろんであるが、本発明においては、送水パイプと水取込みユニットにより構成された導水装置により導水が行われ、駐車設備1内の貯水が進んで第1層駐車床18が冠水或いは浸水したときに当該第1層駐車床18に載置されていた自動運転車両28を上層の駐車床64または66へ避難移動させる場合にも上述の自動運転動作処理を実行することができる。
【0064】
[第3例]
図4は、本発明に係る駐車設備1の動作をコントロールするための、駐車設備制御装置の第3例を示す機能ブロック図である。この第3例の実施の形態に係る駐車設備制御装置は、駐車設備1における導水又は排水動作に際して、駐車設備1に格納されている自動運転車両28を駐車設備1内で移動操作するための制御装置である。第3例が第2例と異なるところは、第3例に係る駐車設備制御装置は、自動運転車両28を入出庫するための制御動作をより一層詳細に行うため追加された複数の機能部が設けられている点である。
【0065】
第3例の制御装置において、駐車設備1に格納されている車両は自動運転車両であり、この自動運転車両として図1に示された車両28を代表させる。この駐車設備制御装置は、駐車設備1における各種動作をコントロールする駐車設備の制御部160と、自動運転車両に搭載され、駐車設備の制御部160によるコントロール下で自動運転車両の動作を制御する自動運転車両の制御部162とを備えている。
【0066】
駐車設備の制御部160は、自動運転車両28の出庫許可を含む、駐車設備の入出庫動作や自動運転車両28に対する管理、動作を制御する駐車設備制御部164と、外部から受信された水位情報などの各種情報に基いて駐車設備1への導水又は駐車設備1からの排水の動作をコントロールする導水・排水装置制御部166と、駐車設備1の周辺地域の状況情報の受信動作をコントロールする外部信号送受信制御部168とを備えている。
【0067】
駐車設備制御部164には駐車設備における自動運転車両28の入庫、及び出庫の状況を管理する入出庫管理部170が設けられており、この入出庫管理部170は、自動運転車両28についての操作情報を管理する自動運転車両28に対する操作管理部172と、自動運転車両28についての操作の要否を判定する自動運転車両に対する操作判定部174と、自動運転車両に対する操作判定部174からの信号に基づき自動運転車両28の入出庫を行う入出庫動作処理部176と、を有している。導水・排水装置制御部166は、駐車設備1における導水又は排水の要又は不要を判定する導水・排水判定部178を有している。外部信号送受信制御部168は、自動運転車両28の出庫許可を申請するための出庫許可申請信号送信部182と、自動運転車両28の制御部162から送付された出庫許可申請信号を受信する出庫許可申請信号受信部184と、入出庫動作処理部176において入出庫動作の処理が行われたことを示す信号(入出庫動作処理信号)を受け取って自動運転車両の制御部162側へ送付する出庫動作信号送信部186を有している。
【0068】
自動運転車両の制御部162は、自動運転車両28の動作に関する情報の受信動作をコントロールする外部信号送受信制御部192と、自動運転車両28の出庫許可申請を認めるかどうかの判定を行う出庫許可申請信号判定部194と、自動運転車両28に対して自動運転動作を行わせる自動運転動作処理部196とを有している。自動運転車両の制御部162の外部信号送受信制御部192は、出庫許可申請信号を受信する出庫許可申請信号受信部198と、出庫許可申請信号を送信する出庫許可申請信号送信部200と、駐車設備において入出庫動作処理が行われたことを示す入出庫動作処理信号を受信する出庫動作信号受信部202と、を有している。
【0069】
駐車設備の制御部160において、導水・排水装置制御部166の導水・排水判定部178は、駐車設備制御部164の自動運転車両28に対する操作判定部174に信号線180により接続され、当該導水・排水判定部178により得られた判定結果を自動運転車両に対する操作判定部174へ送付する。また、外部信号送受信制御部168の出庫許可申請信号受信部184は、駐車設備制御部164の自動運転車両28に対する操作判定部174に信号線188により接続され、当該出庫許可申請信号受信部184が受け取った出庫許可申請信号を自動運転車両28に対する操作判定部174へ送付する。外部信号送受信制御部168の出庫動作信号送信部186は、入出庫管理部170の入出庫動作処理部176に信号線190により接続され、また、この出庫動作信号送信部186は、自動運転車両28の制御部162側の出庫動作信号受信部202に信号線206により接続されている。これにより、駐車設備の制御部160側の入出庫動作処理部176から出力された入出庫動作処理信号は出庫動作信号送信部186へ送付され、さらに、自動運転車両28の制御部162側の出庫動作信号受信部202へ送付される。
【0070】
また、駐車設備の制御部160側の出庫許可申請信号送信部182は、自動運転車両の制御部162側の出庫許可申請信号受信部198に信号線212により接続され、さらに、出庫許可申請信号受信部198は、出庫許可申請信号判定部194に信号線208により接続されている。これにより、駐車設備の制御部160側で生成された出庫許可申請信号は、出庫許可申請信号送信部182と自動運転車両の制御部162側の出庫許可申請信号受信部198を経由して出庫許可申請信号判定部194へ送付され、この出庫許可申請信号判定部194において出庫許可申請信号に対する判定が実行される。
【0071】
また、駐車設備の制御部160側の出庫許可申請信号受信部184は、自動運転車両28の制御部162側の出庫許可申請信号送信部200に信号線204により接続され、さらに、出庫許可申請信号送信部200は、出庫許可申請信号判定部194に信号線210により接続されている。これにより、自動運転車両28の制御部162側の出庫許可申請信号判定部194で得られた判定結果信号は、出庫許可申請信号送信部200と駐車設備の制御部160側の出庫許可申請信号受信部184を経由して自動運転車両28に対する操作判定部174へ送付される。自動運転車両28の制御部162側の自動運転動作処理部196は、駐車設備の制御部160側の入出庫動作処理部176から出力された入出庫動作処理信号に基づき自動運転車両28に対して自動運転動作を行わせる。
【0072】
〔第3例の動作〕
以上の構成を有する駐車設備1の制御装置について、以下制御動作を説明する。この第3例の制御動作は複数の部分において第2例の制御動作と一致する。しかしながら、本第3例に係る駐車設備制御装置では、追加して設けられた複数の機能部がそれぞれの機能に対応する動作を行うから、第2例の制御動作と部分的に重複した説明は生じるが全体の制御動作を説明する。
【0073】
通常の状況における自動運転車両28の入庫及び出庫動作は上述の第1例及び第2例の制御装置により実行される駐車設備1の制御動作と同様に行われる。また、通常の入出庫動作の間でも駐車設備制御装置においては、駐車設備1の周辺地域に設置された水位センサーから発信される水位情報を水位情報受信部(第1例の符号86)により受信し、導水・排水判定部178において導水または排水の要又は不要が判定される点についても同様である。
【0074】
降雨などにより、周辺地域の水位が上昇した場合、駐車設備の制御部160においては、導水・排水判定部178により導水の要又は不要が判定される。この判定の結果、導水が「要」であると判定された場合、その判定結果信号は、信号線180を通して、導水・排水判定部178から駐車設備制御部164の自動運転車両28に対する操作判定部174へ送付される。他方において、外部信号送受信制御部168の出庫許可申請信号受信部184は、自動運転車両28の制御部162側から受信した出庫許可申請信号を、信号線182を通して、自動運転車両28に対する操作判定部174へ送付する。信号線180と信号線182とは、いずれも自動運転車両28に対する操作判定部174に接続されているから、導水・排水判定部178からの判定結果信号と出庫許可申請信号受信部184からの出庫許可申請信号とは、自動運転車両の操作判定のための制御信号として自動運転車両28に対する操作判定部174へ入力されることになる。
【0075】
自動運転車両28に対する操作判定部174は、導水・排水判定部178からの判定結果信号と出庫許可申請信号受信部184からの出庫許可申請信号とを受け取ると、両方の制御信号を演算解析し、また、自動運転車両に対する操作管理部172から自動運転車両28についての操作情報を受け取り、駐車している車両が自動運転車両28であるか否か、及び出庫操作の可又は不可を判定する。この操作判定において、駐車している車両が自動運転車両28であるか否かは、次のようにして判定する。
a)路上を自動走行し、避難途中または逃げ遅れた人が車両を停止させ、乗車し、避難所(安全な場所)に自動又は手動運転にて移動する操作、動作に対応する機能を有する場合は自動運転車両と判定する。
b)路上を自動走行し、車両が避難途中または逃げ遅れた人を検知して停止、乗車させ、避難所(安全な場所)に自動又は手動運転にて移動する操作、動作に対応する機能を有する場合は自動運転車両と判定する。
【0076】
ここで、上記出庫許可申請信号受信部184から操作判定部174へ出力される出庫許可申請信号、及びその処理について説明する。導水・排水判定部178により導水の要又は不要が判定され、この判定結果信号は自動運転車両28に対する操作判定部174へ送付されるが、それのみではなく、上記判定結果信号は外部信号受信制御部168及びその中の出庫許可申請信号送信部182へも送付される。出庫許可申請信号送信部182は、受け取った出庫許可申請信号を自動運転車両28の制御部162側の出庫許可申請信号受信部198へ送信する。
【0077】
出庫許可申請信号受信部198はこの出庫許可申請信号を出庫許可申請信号判定部194へ転送し、出庫許可申請信号判定部194ではこの出庫許可申請信号について自動運転車両28の出庫許可申請をするか否かを判定する。出庫許可申請信号判定部194により判定処理された出庫許可申請信号は、当該出庫許可申請信号判定部194から出庫許可申請信号送信部200へ送付され、出庫許可申請信号送信部200は、上記出庫許可申請信号を駐車設備1の制御部160側の出庫許可申請信号受信部184へ送付する。出庫許可申請信号受信部184は、受け取った出庫許可申請信号を自動運転車両28に対する操作判定部174へ送付するが、この送付動作は上述した通りである。
【0078】
自動運転車両28に対する操作判定部174による操作判定がなされると、その操作判定結果信号は、自動運転車両28に対する操作判定部174から入出庫動作処理部176へ送付される。入出庫動作処理部176は、受け取った操作判定結果信号が「駐車している車両が自動運転車両である」と判定されたものである場合、自動運転車両28を入出庫させる入出庫動作処理信号を出庫動作信号送信部186へ送付する。出庫動作信号送信部186は、この入出庫動作処理信号を自動運転車両28の制御部162側の出庫動作信号受信部148へ送付する。自動運転車両の制御部162においては、出庫動作信号受信部148へ送付された入出庫動作処理信号が自動運転動作処理部146へ転送され、自動運転動作処理部146が自動運転車両28を自動運転させる。
【0079】
自動運転車両28は、自動運転により駐車設備1に対して入出庫し得る。本例の制御装置においては、第2例の制御装置について述べたのと同様、符号36で代表される送水パイプと、符号44で代表される水取込みユニットと、を含んで構成される導水装置により導水が行われ、駐車設備1内の貯水が進んで第1層駐車床18が冠水或いは浸水したときに当該第1層駐車床18に載置されていた自動運転車両を上層の駐車床64または66へ避難移動させる場合にも上述の自動運転動作処理を実行することができる。
【0080】
<第2実施形態>
図5は、本発明の第2実施形態に係る駐車設備の内部構成を示す側面図である。図5において、図中に示す矢印Wは駐車設備の幅方向を示し、矢印Dは駐車設備の奥行方向を示し、矢印Hは駐車設備の高さ方向を示す。また、本実施形態では、幅方向Wを「駐車設備の短手方向」と、また、奥行方向Dを「駐車設備の長手方向」と、それぞれ言い換えることがある。
【0081】
図5の駐車設備1は図1に示された駐車設備1と構造的には概ね同様であり、各部材の機能も同様であるため、同一の部材には同一の符号を付けて詳細な説明は省略する。図5において、符号1は本実施の形態に係る地下式の駐車設備であり、車両を駐車する駐車区画10と、駐車区画10を利用して水を導水する導水装置と、を含んで構成されている。本実施形態に係る駐車設備1が図1に示された駐車設備1と異なる点は、後者では、第1層駐車床18、第2層駐車床20、及び第3層駐車床22がコンクリートを打設するなどして、駐車設備1の躯体に一体的に構成されるのに対して、本実施形態に係る駐車設備1では、車両の駐車部分が金属材料等によりフレーム構造体60に構成され、このフレーム構造体60が駐車設備1の空間である駐車区画10に設置される点である。この構成から、図5に示された駐車設備1は機械式駐車装置を備える駐車設備1である。
【0082】
フレーム構造体60は、駐車区画10の床に設置された支柱60、68、70、72と、符号60で代表される支柱により支持された複数の層の駐車棚62、64、66と、を含んで構成される。支柱は、駐車設備の出入口8側から見て、奥行方向Dの最も奥側に高さ方向Hに沿って立ち上がる奥側支柱68と、出入口8側から見て、奥行方向Dの最も出入口8に近い側に高さ方向Hに沿って立ち上がる手元側支柱70と、奥側支柱68と手元側支柱70との間に高さ方向Hに沿って立ち上がる中間支柱72と、を備えている。奥側支柱68と、手元側支柱70と、中間支柱72との間は、駐車される自動運転車両28が余裕をもって収容できるよう、十分な長さに間隔を隔てて設けられている。
【0083】
駐車棚は、駐車区画10の床面付近で支柱68、70、72に支持された第1段駐車棚62と、支柱68、70、72の高さ寸法の中間位置において支持された第2段駐車棚64と、支柱68、70、72の高さ寸法の最上段に近い位置において支持された第3段駐車棚66と、を含んで構成されている。フレーム構造体60は、上述したように、金属材料等、一般的にはH形鋼、I形鋼、或いは、溝形鋼、等辺山形鋼等を使用して製作されるから、第1段駐車棚62、第2段駐車棚64、第3段駐車棚66は、底部が抜けた構造とされている。したがって、各駐車棚にトレーが移動可能に載置されていても、駐車設備1に雨水が導水された場合、駐車区画10内において貯水がフレーム構造体60によって妨げられることはない。そのため、導水装置を構成する送水パイプ及び水取込みユニットの多くは不要となり、送水パイプ36と水取込みユニット44,46を残してその他は設けられていない。
【0084】
かかる構成を有する駐車設備1においても図2乃至図4に示された駐車設備の制御装置の機能が適用され、導水又は排水の要否の判定の後、導水又は排水操作が行われる。
【0085】
以上、一実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、本実施形態は一例であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更をして実施でき、また、本発明の権利範囲がこれら実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0086】
例えば、駐車設備1は、駐車床18、20、22が3層に構成されたもので説明したが、これに限らず、2層或いは4層以上に構成されていてもよく、また、1層のみで構成してもよいことは勿論である。1層のみで構成される場合は、駐車床22が駐車の用に供されず、店舗、事務所、倉庫等の他の用途として区切られる態様としてよい。また、図5に示す駐車設備1においても、駐車棚の層数が限定されないことは勿論である。
【0087】
また、図1において、送水パイプ42、44は、各駐車床18、20、22を連絡する1本ずつとして図示して説明したが、これに限らず、駐車区画10が総じて広い面積を有する場合は、奥行方向D又は幅方向W、又はその両方において、複数の送水パイプを設けてもよい。
【0088】
また、図1における駐車設備1は、エレベータ24を有すると説明したが、これに限らず、大規模な駐車設備において、スロープで各駐車床を連絡する態様の駐車設備であってもよく、駐車設備の構成は種々の態様としてよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0089】
1 駐車設備
8 出入口
10 駐車区画
12 天井壁
14 右側壁
16 左側壁
18 第1層駐車床
20 第2層駐車床
22 第3層駐車床
24 エレベータ
26 昇降機
28,30,32,34 自動運転車両
36 第1の送水パイプ(導水装置の一例)
38 第2の送水パイプ(導水装置の一例)
40 第3の送水パイプ(導水装置の一例)
42 第4の送水パイプ(導水装置の一例)
44,46、48、50、52、54 水取込みユニット
56 ピット
58 ポンプ(排水装置の一例)
60 フレーム構造体
62 第1段駐車棚
64 第2段駐車棚
66 第3段駐車棚
68 奥側支柱
70 手元側支柱
72 中間支柱
80、128、144、168、192 外部信号受信制御部
82、126、166 導水・排水装置制御部
84、124 駐車設備制御部
86 水位情報受信部
88 強制操作指令受信部
90 駐車設備の浸水状況管理部
92 導水・排水判定部
94 導水動作処理部
96 排水動作処理部
98、100、102、108、110、114、138、142、150、152、180、188、190、204、206、208、210、212 信号線
104 入出庫管理部
106 強制操作ボタン
120、160 駐車設備の制御部
122、162 自動運転車両の制御部
130、170 入出庫管理部
132、172 自動運転車両に対する操作管理部
134、174 自動運転車両に対する操作判定部
135、176 入出庫動作処理部
136、178 導水・排水判定部
140、186 出庫動作信号送信部
146、196 自動運転動作処理部
148、202 出庫動作信号受信部
182、186、200 出庫許可申請信号送信部
184、198、202 出庫許可申請信号受信部
194 出庫許可申請信号判定部
図1
図2
図3
図4
図5