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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154042
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】チルト装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/18 20060101AFI20221005BHJP
   A47C 7/14 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
B60N2/18
A47C7/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056882
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】大島 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智
(72)【発明者】
【氏名】海老塚 義紀
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084BA00
3B087AA02
3B087BA12
3B087BD15
(57)【要約】
【課題】フレームの剛性を低下させ難いチルト装置を実現する。
【解決手段】チルト装置100において、一端部20a側にパンフレーム2が固定され、他端部20Bが左右一対のサイドフレーム1,1同士を連結している連結フレーム10に回動可能に取り付けられているリンクフレーム20は、左右一対のサイドフレーム1,1の間に配設されており、サイドフレーム1にはリンクフレーム20を取り付けるための加工は施されていないので、例えば、チルト部材をロアフレームに回動可能に取り付けた構造とするために形状が複雑化した従来技術のロアフレームのような剛性低下は生じていない。つまり、このチルト装置100はサイドフレーム1の剛性を低下させ難い構造を有しているので、シートを構成するフレームの剛性を低下させることなく、好適に使用することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを構成する左右一対のサイドフレームに掛け渡されているパンフレームを昇降させるチルト装置であって、
前記パンフレームが一端部側に固定されており、他端部が前記左右一対のサイドフレーム同士を連結している連結フレームに回動可能に取り付けられているリンクフレームと、
前記リンクフレームを回動させて、前記パンフレームの配置を、前記左右一対のサイドフレームに近接した下降位置と、前記左右一対のサイドフレームから離間した上昇位置とに切り替える駆動部と、
を備えたことを特徴とするチルト装置。
【請求項2】
前記リンクフレームは左右に対を成して配設されており、その左右一対のリンクフレーム同士を連結している連結部材が設けられており、
前記駆動部は、モータと、前記モータによって回転される駆動軸と、前記駆動軸に沿って螺進退可能に配設されている駆動軸ブラケットと、を備えており、
前記モータは、前記左右一対のサイドフレームの間に配設されているチルトブラケットに前記連結フレームの延在方向を軸方向として回動可能に配設され、前記駆動軸の先端が前記チルトブラケットの反対側に向けられて前記駆動軸ブラケットが前記連結部材に取り付けられており、
前記駆動軸ブラケットが前記駆動軸の先端側へ移動されることに伴い前記リンクフレームの一端部側が上昇され、前記駆動軸ブラケットが前記駆動軸の基端側へ移動されることに伴い前記リンクフレームの一端部側が下降されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のチルト装置。
【請求項3】
前記チルトブラケットは、前記連結フレームと略平行であってその連結フレームの下方に配置されているチルトフレームを備えており、
前記モータは、そのモータを回動可能に軸支するモータブラケットを介して前記チルトフレームに配設されていることを特徴とする請求項2に記載のチルト装置。
【請求項4】
前記チルトブラケットは、前記チルトフレームの両端側に対を成して配設されて、前記
チルトフレームを支持しているブラケット本体を備えており、
前記ブラケット本体は、前記シートを構成するシートフレームに固定されていることを特徴とする請求項3に記載のチルト装置。
【請求項5】
前記リンクフレームの一端部と他端部の間の中間部は、前記モータが配設されている下方に湾曲した形状に形成されており、
前記連結部材の両端部は前記リンクフレームの前記中間部に連結されていることを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載のチルト装置。
【請求項6】
前記連結部材はパイプ状の部材であり、
前記駆動軸ブラケットは、前記連結部材の周面の少なくとも一部を周方向に覆うように取り付けられていることを特徴とする請求項2~5のいずれか一項に記載のチルト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの座面を昇降させるチルト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両用シートにおいて、座面を昇降させるチルト機構を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
このチルト機構は、左右一対のロアフレームと、左右一対のロアフレームの前端側に掛け渡されたパンフレームとを備えたクッションフレームにおいて、ロアフレームに回動可能に取り付けられたチルト部材を具備しており、そのチルト部材が上下に回動することでパンフレームを昇降させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-129280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のチルト機構の場合、チルト部材がロアフレームに回動可能に取り付けられた構造となるため、ロアフレームの形状が複雑化するので、チルト部材が取り付けられる構造ではないロアフレームと同等の剛性が得られ難く、そのフレームの剛性が低下してしまうこともあった。
【0005】
本発明の目的は、フレームの剛性を低下させ難いチルト装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
シートを構成する左右一対のサイドフレームに掛け渡されているパンフレームを昇降させるチルト装置であって、
前記パンフレームが一端部側に固定されており、他端部が前記左右一対のサイドフレーム同士を連結している連結フレームに回動可能に取り付けられているリンクフレームと、
前記リンクフレームを回動させて、前記パンフレームの配置を、前記左右一対のサイドフレームに近接した下降位置と、前記左右一対のサイドフレームから離間した上昇位置とに切り替える駆動部と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のチルト装置において、
前記リンクフレームは左右に対を成して配設されており、その左右一対のリンクフレーム同士を連結している連結部材が設けられており、
前記駆動部は、モータと、前記モータによって回転される駆動軸と、前記駆動軸に沿って螺進退可能に配設されている駆動軸ブラケットと、を備えており、
前記モータは、前記左右一対のサイドフレームの間に配設されているチルトブラケットに前記連結フレームの延在方向を軸方向として回動可能に配設され、前記駆動軸の先端が前記チルトブラケットの反対側に向けられて前記駆動軸ブラケットが前記連結部材に取り付けられており、
前記駆動軸ブラケットが前記駆動軸の先端側へ移動されることに伴い前記リンクフレームの一端部側が上昇され、前記駆動軸ブラケットが前記駆動軸の基端側へ移動されることに伴い前記リンクフレームの一端部側が下降されるように構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のチルト装置において、
前記チルトブラケットは、前記連結フレームと略平行であってその連結フレームの下方に配置されているチルトフレームを備えており、
前記モータは、そのモータを回動可能に軸支するモータブラケットを介して前記チルトフレームに配設されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のチルト装置において、
前記チルトブラケットは、前記チルトフレームの両端側に対を成して配設されて、前記
チルトフレームを支持しているブラケット本体を備えており、
前記ブラケット本体は、前記シートを構成するシートフレームに固定されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項2~4のいずれか一項に記載のチルト装置において、
前記リンクフレームの一端部と他端部の間の中間部は、前記モータが配設されている下方に湾曲した形状に形成されており、
前記連結部材の両端部は前記リンクフレームの前記中間部に連結されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項2~5のいずれか一項に記載のチルト装置において、
前記連結部材はパイプ状の部材であり、
前記駆動軸ブラケットは、前記連結部材の周面の少なくとも一部を周方向に覆うように取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、チルト装置において、一端部側にパンフレームが固定され、他端部が左右一対のサイドフレーム同士を連結している連結フレームに回動可能に取り付けられているリンクフレームは、左右一対のサイドフレームの間に配設されており、サイドフレームにはリンクフレームを取り付けるための加工は施されていないので、上記特許文献1のロアフレームのような剛性低下は生じていない。
つまり、このチルト装置は、サイドフレームの剛性を低下させ難い構造を有しているので、シートを構成するフレームの剛性を低下させることなく、パンフレームの配置を下降位置と上昇位置とに切り替えるように好適に使用することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、チルト装置は、左右一対のサイドフレーム同士を連結している連結フレームに左右一対のリンクフレームの他端部が回動可能に取り付けられ、左右一対のサイドフレームの間に配設されているチルトブラケットに駆動部のモータが回動可能に取り付けられ、左右一対のリンクフレーム同士を連結している連結部材に駆動部の駆動軸に配設されている駆動ブラケットが取り付けられた構造を有しており、駆動部がチルトブラケットと連結フレームとによって支持された構造となっているので、このチルト装置を作動させる駆動部を支持するための剛性が高められている。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、チルト装置は、左右一対のサイドフレーム同士を連結している連結フレームに左右一対のリンクフレームの他端部が回動可能に取り付けられ、その連結フレームと略平行であってその連結フレームの下方に配置されているチルトフレームに駆動部のモータが回動可能に取り付けられ、左右一対のリンクフレーム同士を連結している連結部材に駆動部の駆動軸に配設されている駆動ブラケットが取り付けられた構造を有しており、駆動部がチルトフレームと連結フレームとによって支持された構造となっているので、このチルト装置を作動させる駆動部を支持するための剛性が高められている。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、チルト装置は、チルトフレームの両端側に対を成して配設されてチルトフレームを支持しているブラケット本体を備えており、そのブラケット本体はシートを構成するシートフレームに固定されているので、チルト装置を作動させる駆動部を支持するための剛性が一層高められている。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、チルト装置におけるリンクフレームの一端部と他端部の間の中間部は、モータが配設されている下方に湾曲した形状に形成されて、リンクフレームが側面視略ハット型を呈するようになっており、リンクフレーム同士を連結している連結部材の両端部がリンクフレームの中間部に連結されているので、駆動部によるリンクフレームの回動量を増やして好適にリンクフレームを回動させることができる。
また、リンクフレームの中間部が下方に湾曲した形状に形成されて、リンクフレームが側面視略ハット型を呈するようになっていることで、上下に回動するリンクフレームの上下方向の剛性が高められている。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、チルト装置においてリンクフレーム同士を連結している連結部材はパイプ状の部材であり、駆動部の駆動軸ブラケットはパイプ状の連結部材の周面の少なくとも一部を周方向に覆うように取り付けられているので、その部分の剛性が高められており、駆動部の駆動力を連結部材(リンクフレーム)に好適に作用させたり、連結部材を介して駆動部(駆動軸ブラケット)にかかる荷重を好適に受けたりすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態のチルト装置を示す斜視図である。
図2】本実施形態のチルト装置を示す側面図であり、パンフレームが下降位置にある状態を示している。
図3】本実施形態のチルト装置を示す側面図であり、パンフレームが第1の上昇位置にある状態を示している。
図4】本実施形態のチルト装置を示す側面図であり、パンフレームが第2の上昇位置にある状態を示している。
図5】チルト装置を備えたシートフレームを示す斜視図であり、パンフレームが下降位置にある状態を示している。
図6】チルト装置を備えたシートフレームを示す斜視図であり、パンフレームが第1の上昇位置にある状態を示している。
図7】チルト装置を備えたシートフレームを示す斜視図であり、パンフレームが第2の上昇位置にある状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明に係るチルト装置の実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0020】
なお、以下でいうシートは、例えば車両用シート、航空機用シート、船舶用シート等の乗物用のシートであるが、シートが乗物用のシートである場合に限定されない。
また、以下においては図5などに示すように、前後方向、左右方向及び上下方向を定めて説明する。ここでは、シートの背もたれ側を「後」、その反対側を「前」、シートに着座して前方を正面視した状態における左手側を「左」、シートに着座して前方を正面視した状態における右手側を「右」とし、上下方向は鉛直方向に準じる。すなわち、シートの幅方向は左右方向に相当する。
【0021】
本実施形態のチルト装置100は、シートを構成する左右一対のサイドフレーム1,1(図5~7参照)に掛け渡されているパンフレーム2を昇降させる装置である。
このチルト装置100は、例えば、図1図2図4図5図7に示すように、パンフレーム2が一端部20a側に固定されており、他端部20bが左右一対のサイドフレーム1,1同士を連結している連結フレーム10に回動可能に取り付けられているリンクフレーム20と、リンクフレーム20を回動させて、パンフレーム2の配置を、左右一対のサイドフレーム1,1に近接した下降位置と、左右一対のサイドフレーム1,1から離間した上昇位置とに切り替える駆動部30等を備えている。
【0022】
シートフレームFは、サイドフレーム1,1やパンフレーム2を備えて座部の骨格となるクッションフレームと、背もたれの骨格となるバックフレーム等で構成されている。
つまり、サイドフレーム1とパンフレーム2は、シートフレームFの一部を成している。
なお、図5図7においては、シートのシートフレームFのみを図示しているが、シートフレームFにクッションやカバーが取り付けられて、ユーザーが座るシートが構成される。
【0023】
左右一対のサイドフレーム1,1同士を連結している連結フレーム10は、シートの幅方向(左右方向)に延在しているパイプ状部材であり、連結パイプである連結フレーム10を軸心にしてリンクフレーム20が回動可能に配設されている。
【0024】
リンクフレーム20は左右に対を成して配設されており、その左右一対のリンクフレーム20,20同士を連結している連結部材21が設けられている。
リンクフレーム20の一端部20aと他端部20bの間の中間部20cは、下方に湾曲した形状に形成されており、連結部材21の両端部はリンクフレーム20の中間部20cに連結されている。
このリンクフレーム20の中間部20cは、後述するモータ31(駆動部30)が配設されている下方に湾曲した形状に形成されており、リンクフレーム20は側面視略ハット型を呈している。
【0025】
駆動部30は、モータ31と、モータ31によって回転される駆動軸32と、駆動軸32に沿って螺進退可能に配設されている駆動軸ブラケット33と、を備えている。
【0026】
モータ31は、左右一対のサイドフレーム1,1の間に配設されているチルトブラケット40に、連結フレーム10の延在方向(左右方向)を軸方向として回動可能に配設されている。
このモータ31がチルトブラケット40に回動可能に配設された状態で、駆動軸32の先端がチルトブラケット40の反対側に向けられて駆動軸ブラケット33が連結部材21に取り付けられている。
ここで、左右一対のリンクフレーム20,20同士を連結している連結部材21はパイプ状の部材であり、駆動軸ブラケット33は、連結部材21の周面の少なくとも一部を周方向に覆うように取り付けられている。
【0027】
また、モータ31は所謂スクリューモータであり、駆動軸32はスクリュー軸である。
また、駆動軸ブラケット33には、駆動軸32に対応するナット(図示省略)が支持軸33aによって軸支されている。
そして、モータ31の駆動軸32は、駆動軸ブラケット33に軸支されているナット(図示省略)に螺入されており、駆動軸32は駆動軸ブラケット33のナットに螺入された状態で、シートの幅方向と交差する方向を軸方向として回転可能となっている。
【0028】
こうした駆動部30において、駆動軸ブラケット33がナットの螺進によって駆動軸32の先端側へ移動されることに伴いリンクフレーム20の一端部側が上昇され、駆動軸ブラケット33がナットの螺退によって駆動軸32の基端側へ移動されることに伴いリンクフレーム20の一端部側が下降されるように構成されている。
なお、モータ31の駆動によって駆動軸ブラケット33が駆動軸32に沿って螺進退するように移動し、リンクフレーム20を上下に回動させる動作については後述する。
【0029】
チルトブラケット40は、連結フレーム10と略平行であってその連結フレーム10の下方に配置されているチルトフレーム41と、チルトフレーム41の両端側に対を成して配設されてチルトフレーム41を支持しているチルトブラケット本体42と、モータ31を回動可能に軸支するモータブラケット43と、モータブラケット43をチルトフレーム41に連結する連結ブラケット44と、を備えている。
つまり、駆動部30のモータ31は、モータ31を回動可能に軸支するモータブラケット43を介してチルトフレーム41に配設されている。
このチルトブラケット40のチルトブラケット本体42が、シートを構成するシートフレームFのクッションフレームに固定されている。
【0030】
次に、本実施形態のチルト装置100の動作について、図2図4図5図7を用いて説明する。
【0031】
チルト装置100を作動させない状態では、図2図5に示すように、パンフレーム2は左右一対のサイドフレーム1,1に近接した下降位置に配置されている。
このとき、図2に示すように、駆動部30の作動量は「0mm」であり、駆動軸ブラケット33が駆動軸32におけるモータ31寄りの軸元の位置にある。
【0032】
チルト装置100を作動させて、シートの座部を高さ調整する場合には、図示しないスイッチを操作して、駆動部30の作動量を例えば「20mm」とするようにモータ31を駆動させ、駆動軸32を正方向に回転させると、図3図6に示すように、駆動軸ブラケット33がナットの螺進によって駆動軸32の先端側へ移動することで、駆動軸ブラケット33に連結部材21を介して繋がれているリンクフレーム20の一端部20a側が一段階上昇して、リンクフレーム20に固定されているパンフレーム2は左右一対のサイドフレーム1,1から離間した第1の上昇位置に配置される。
例えば、駆動部30の作動量が「20mm」であるとき、図3に示すように、駆動軸ブラケット33は駆動軸32における中央側の位置にある。
【0033】
また、図示しないスイッチを操作して、駆動部30の作動量を例えば「40mm」とするようにモータ31を駆動させ、駆動軸32を正方向に回転させると、図4図7に示すように、駆動軸ブラケット33がナットの螺進によって駆動軸32の先端側へより移動することで、駆動軸ブラケット33に連結部材21を介して繋がれているリンクフレーム20の一端部20a側がさらに一段階上昇して、リンクフレーム20に固定されているパンフレーム2は左右一対のサイドフレーム1,1からより一層離間した第2の上昇位置に配置される。
例えば、駆動部30の作動量が「40mm」であるとき、図4に示すように、駆動軸ブラケット33は駆動軸32における軸先端側の位置にある。
【0034】
このように、チルト装置100によってパンフレーム2を第1の上昇位置や第2の上昇位置に配置させて、シートの座部を高さ調整することができる。
なお、ここではパンフレーム2の高さ位置を、第1の上昇位置(作動量「20mm」)と第2の上昇位置(作動量「40mm」)の二段階に切り替えるように説明したが、パンフレーム2の高さ位置は、駆動軸ブラケット33が駆動軸32に沿って移動できる範囲で任意であり、例えば、駆動部30の作動量を「15mm」や「35mm」とするように、パンフレーム2の高さを切り替えて、シートの座部を高さ調整することができる。
【0035】
そして、シートの座部の高さを元に戻す場合には、図示しないスイッチを操作して、駆動部30の作動量を「0mm」とするようにモータ31を駆動させ、駆動軸32を逆方向に回転させると、図2図5に示すように、駆動軸ブラケット33がナットの螺退によって駆動軸32の軸元側へ移動することで、駆動軸ブラケット33に連結部材21を介して繋がれているリンクフレーム20の一端部20a側が下降して、リンクフレーム20に固定されているパンフレーム2は左右一対のサイドフレーム1,1に近接した下降位置に戻される。
【0036】
以上のように、本実施形態のチルト装置100は、左右一対のサイドフレーム1,1に掛け渡されているパンフレーム2を昇降させて、シートの座部を高さ調整することができる。
【0037】
このリンク装置100は、左右一対のサイドフレーム1,1の間に配設され、その左右一対のサイドフレーム1,1同士を連結している連結フレーム10にリンクフレーム20が回動可能に取り付けられており、サイドフレーム1にはリンクフレーム20を取り付けるための加工は施されていないので、上記特許文献1のロアフレームのような剛性低下は生じていない。
つまり、本実施形態のチルト装置100は、サイドフレーム1や、サイドフレーム1を含むシートフレームFの剛性を低下させ難い構造を有しているので、シートを構成するフレームの剛性を低下させることなく好適に使用することが可能である。
【0038】
また、このチルト装置100は、左右一対のサイドフレーム1,1同士を連結している連結フレーム10に左右一対のリンクフレーム20の他端部20bが回動可能に取り付けられ、その連結フレーム10と略平行であってその連結フレーム10の下方に配置されているチルトフレーム41に駆動部30のモータ31が回動可能に取り付けられ、左右一対のリンクフレーム20同士を連結している連結部材21に駆動部30の駆動軸32に配設されている駆動ブラケット33が取り付けられた構造を有しており、駆動部30がチルトフレーム41と連結フレーム10とによって支持された構造となっているので、このチルト装置100を作動させる駆動部30を支持するための剛性の向上が図られている。
【0039】
また、このチルト装置100は、チルトフレーム41の両端側に対を成して配設されてチルトフレーム41を支持しているブラケット本体42を備えており、そのブラケット本体42はシートを構成するシートフレームFに固定されているので、チルト装置100を作動させる駆動部30を支持するための剛性が一層向上されている。
【0040】
また、このチルト装置100において、リンクフレーム20の一端部20aと他端部20bの間の中間部20cは、モータ31が配設されている下方に湾曲した形状に形成されて、リンクフレーム20が側面視略ハット型を呈するようになっており、リンクフレーム20同士を連結している連結部材21の両端部がリンクフレーム20の中間部20cに連結されているので、駆動部30によるリンクフレーム20の回動量を増やして好適にリンクフレーム20を回動させることができる。
また、リンクフレーム20の中間部20cが下方に湾曲した形状に形成されて、リンクフレーム20が側面視略ハット型を呈するようになっていることで、上下に回動するリンクフレーム20の上下方向の剛性の向上が図られている。
【0041】
また、このチルト装置100において、リンクフレーム20同士を連結している連結部材21はパイプ状の部材であり、駆動部30の駆動軸ブラケット33はパイプ状の連結部材21の周面の少なくとも一部を周方向に覆うように取り付けられているので、その部分の剛性の向上が図られており、駆動部30の駆動力を連結部材21(リンクフレーム20)に好適に作用させたり、連結部材21を介して駆動部30(駆動軸ブラケット33)にかかる荷重を好適に受けたりすることが可能になっている。
【0042】
このように、本実施形態のチルト装置100は、サイドフレーム1の剛性を低下させない構造でシートフレームFに取り付けられているとともに、チルト装置100を作動させる駆動部30を支持するための剛性の向上が図られたり、リンクフレーム20の剛性の向上が図られたりしているので、チルト装置100を良好に作動させることができ、好適に使用することができる。
【0043】
なお、本発明の適用は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 サイドフレーム
2 パンフレーム
10 連結フレーム
20 リンクフレーム
20a 一端部
20b 他端部
20c 中間部
21 連結部材
30 駆動部
31 モータ
32 駆動軸
33 駆動軸ブラケット
33a 支持軸
40 チルトブラケット
41 チルトフレーム
42 チルトブラケット本体
43 モータブラケット
44 連結ブラケット
100 チルト装置
F シートフレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7