(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022015406
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】タバコ
(51)【国際特許分類】
A24D 1/02 20060101AFI20220114BHJP
A24D 1/20 20200101ALI20220114BHJP
A24D 3/04 20060101ALI20220114BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20220114BHJP
【FI】
A24D1/02
A24D1/20
A24D3/04
A24F40/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020118227
(22)【出願日】2020-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】721008039
【氏名又は名称】Future Technology株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 龍志
【テーマコード(参考)】
4B045
4B162
【Fターム(参考)】
4B045AA11
4B045AB13
4B045BA08
4B045BB01
4B045BC37
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AB17
4B162AB21
4B162AB28
4B162AC14
4B162AC44
(57)【要約】
【課題】容易に喫煙感を調整することが可能なタバコを提供する。
【解決手段】 タバコは、筒状のカバーと、前記カバーの一端側に収容された、燃焼又は加熱されることによって芳香成分を含有する主流煙又は、エアロゾルを発生させる芳香基材と、前記カバーの他端側に収容されたフィルタと、を備える。前記カバーは、前記フィルタを覆うフィルタ外周部において形成されている複数の孔を有する。前記複数の孔は、前記カバーに対して剥離可能な封止材によって封止されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のカバーと、
前記カバーの一端側に収容された、燃焼又は加熱されることによって芳香成分を含有する主流煙又は、エアロゾルを発生させる芳香基材と、
前記カバーの他端側に収容されたフィルタと、を備え、
前記カバーは、前記フィルタを覆うフィルタ外周部において形成されている複数の孔を有し、
前記複数の孔は、前記カバーに対して剥離可能な封止材によって封止されていることを特徴とするタバコ。
【請求項2】
電気的加熱手段を有する吸引器具に装着され、前記電気的加熱手段によって加熱されることによって芳香成分を含有するエアロゾルを発生させる芳香カートリッジとして用いられる請求項1に記載のタバコ。
【請求項3】
前記複数の孔は、前記カバーの周方向に沿って配置されている請求項1又は2に記載のタバコ。
【請求項4】
前記カバーの周方向に沿って所定間隔で配置された前記孔の列が、前記カバーの軸方向に所定間隔をおいて複数列で設けられている請求項3に記載のタバコ。
【請求項5】
前記封止材は、塗膜層である請求項1乃至4のいずれかに記載のタバコ。
【請求項6】
前記塗膜層は、粉末状の無機材料を含有する請求項5に記載のタバコ。
【請求項7】
前記封止材は、剥離可能なシール材である請求項1乃至4のいずれかに記載のタバコ。
【請求項8】
前記封止材は、前記カバーとは異なる色調を有している請求項1乃至7のいずれかに記載のタバコ。
【請求項9】
前記封止材の剥離の度合いと、前記主流煙又は、前記エアロゾルに含まれる成分の度合いとの関係を示す指標が、前記カバー、複数のタバコを収容する包装体、又は前記タバコの説明資料に記載されている請求項1乃至8のいずれかに記載のタバコ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主流煙又は、エアロゾルに含まれている成分の濃度を調整可能なタバコに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、紙巻きタバコのタールや、ニコチンの量を調整するために、フィルタを覆うチップペーパーに複数の孔を設けることが行われている。すなわち、チップペーパーに設ける孔が多いほど、設けた孔からフィルタに空気が取り込まれ、結果として主流煙に含まれているタールやニコチンの濃度を減らすことができる。
【0003】
また、チップペーパーに設けた孔の開放度合いを調整することにより、例えば、主流煙のタールや、ニコチンの濃度を調整することも行われている。例えば、喫煙者がチップペーパーを押すか圧迫することによってチップペーパーに内包されたコア部材を移動させることによりチップペーパーに設けた孔の開放度合いを調整することが特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、チップペーパーは薄い紙であるため、コア部材を押圧等によって移動させると破れる恐れがある。また、チップペーパーが破れると、多くの空気がフィルタ内部に流れ込み主流煙の成分が著しく低下する問題がある。
【0006】
また、複数の孔は、互いに近接した位置に形成されているため、押圧等によってコア部材を移動させた際に、所望の位置に停止させることが困難であり、所望の開放度合いに調整することが困難であるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、容易に喫煙感を調整することが可能なタバコを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のタバコは、筒状のカバーと、前記カバーの一端側に収容された、燃焼又は加熱されることによって芳香成分を含有する主流煙又は、エアロゾルを発生させる芳香基材と、前記カバーの他端側に収容されたフィルタと、を備え、前記カバーは、前記フィルタを覆うフィルタ外周部において形成されている複数の孔を有し、前記複数の孔は、前記カバーに対して剥離可能な封止材によって封止されていることを特徴とする。
【0009】
本発明のタバコによれば、ユーザは、封止材を所望の割合で剥離することによって、複数の孔のうちの所望の数の孔を開口させることができるので、孔から吸引されて主流煙又は、エアロゾルに混合される空気の量を調整することができる。それによって、主流煙又は、エアロゾルに含まれる成分の濃度を所望の割合で薄めることができるので、喫煙時の気流に含まれる芳香成分や、ニコチン、タールの量(強さ)を調整することが可能となる。
【0010】
尚、本発明において「タバコ」とは、燃焼又は加熱することによって、芳香基材から発生する芳香成分を吸引することにより、その芳香を楽しむことができるようにした嗜好品を意味しており、タバコの葉を原料として含むものに限らず、非タバコ植物を原料とし、タバコの葉を原料として含まないものも含まれる意味である。
また、本発明のタバコは、紙巻きタバコ(シガレット)、加熱式タバコ、電子タバコを含む。ここで、紙巻きタバコは、例えば、タバコの葉等の芳香源材を含む芳香基材に火をつけることで煙を発生させ、それに含まれる芳香成分を吸引する、いわゆる燃焼式のタバコを意味している。
加熱式タバコは、例えば、タバコの葉等の芳香源材を含む芳香基材を燃焼させずに例えば数百度の高温で加熱し、それによって発生する芳香成分を含んだエアロゾル(霧状の物質)を吸引するものである。
電子タバコは、例えば、タバコの葉等の芳香源材から抽出したエキスを含む液状の芳香基材を加熱し気化させたものを吸入するものである。
【0011】
本発明のタバコは、電気的加熱手段を有する吸引器具に装着され、前記電気的加熱手段によって加熱されることによって芳香成分を含有するエアロゾルを発生させる芳香カートリッジとして用いられることが好ましい。
【0012】
本発明のタバコにおいて、前記複数の孔は、前記カバーの周方向に沿って配置されていることが好ましい。
【0013】
複数の孔がカバーの周方向に沿って所定間隔で配置されていることにより、封止材を周方向に沿って剥離することにより、所望の数の孔を開口させることができると共に、開口させる孔の軸方向における位置を揃えて、空気の流入による希釈効果が安定して得られるようにすることができる。
【0014】
本発明のタバコにおいて、前記カバーの周方向に沿って所定間隔で配置された前記孔の列が、前記カバーの軸方向に所定間隔をおいて複数列で設けられていることが好ましい。
【0015】
カバーの周方向に沿って所定間隔で配置された孔の列が、軸方向に所定間隔をおいて複数列で設けられていることにより、より多くの孔を形成することができ、孔から吸引される空気流の調整量を大きくすることができる。
【0016】
本発明のタバコにおいて、前記封止材は、塗膜層であることが好ましい。
【0017】
封止材が、塗膜層であることにより、例えば、ユーザがフィルタ外周部の塗膜層を擦ることにより容易に剥離することが可能となる。
【0018】
本発明のタバコにおいて、前記塗膜層は、粉末状の無機材料を含有することが好ましい。
【0019】
塗膜層が粉末状の無機材料を含有することにより、塗膜層を擦ったときに剥離しやすくすることができる。
【0020】
本発明のタバコにおいて、前記封止材は、剥離可能なシール材であることが好ましい。
【0021】
封止材が、剥離可能なシール材であることにより、ユーザがシール材を剥がすことにより、複数の孔を容易に開口させることができる。
【0022】
また、前記封止材は、前記カバーとは異なる色調を有していることが好ましい。
【0023】
封止材がカバーとは異なる色調を有していることにより、ユーザは封止材を剥離する位置を容易に認識することができる。
【0024】
更に、前記封止材の剥離の度合いと、前記主流煙又は、前記エアロゾルに含まれる成分の度合いとの関係を示す指標が、前記カバー、複数のタバコを収容する包装体、又は前記タバコの説明資料に記載されていることが好ましい。
【0025】
これにより、ユーザは、封止材をどの程度剥離して孔を開口させると、主流煙又は、エアロゾルに含まれる成分、例えば芳香成分や、ニコチン、タールなどの濃度がどの程度希釈されるかを知ることができるので、封止材の剥離度合いを決める際の参考にすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明のタバコによれば、封止材が所望の割合で剥離されることによって、主流煙又は、エアロゾルに含まれる成分の濃度を所望の割合で調整することができる。従って、主流煙又は、エアロゾルに含まれる芳香成分、ニコチン、タール等の量(強さ)、すなわち喫煙感を調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図3】
図2の封止材の封止の態様を示すタバコの断面図である。
【
図7】実施形態4に係るタバコのフィルタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[実施形態1]
以下、図面を参照して、本発明に係るタバコの、一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るタバコの斜視図である。
図2は、
図1のA-A線に沿った拡大断面図である。
図3は、タバコ100の平面図である。
【0029】
図1及び
図2に示すように、タバコ100は、例えば、紙巻きタバコ(シガレット)、加熱式タバコのカートリッジ、電子タバコのカートリッジ等に用いることができる。以下、タバコ100が、電気的加熱手段を有する吸引器具である加熱式タバコに用いられるカートリッジである例について説明する。
【0030】
タバコ100は、筒状のカバー10と、カバー10の一端側に収容された芳香基材20と、カバー10の他端側に収容されたフィルタ30と、カバー10に収容され、かつ芳香基材20及びフィルタ30の間に配された支持部材40と、を備える。
【0031】
本実施例においては、芳香基材20、支持部材40及びフィルタ30は、カバー10の一端側から他端側に向かって軸方向に沿って配設されている。なお、例えば紙巻きタバコ(シガレット)などの場合には、支持部材40を省略して、芳香基材20とフィルタ30とを隣接配置した構造にすることもできる。
【0032】
芳香基材20としては、タバコに限らず、非タバコ植物を原料とする芳香源材を含有するものが用いられる。紙巻きタバコの場合には、タバコの葉を細断して乾燥した芳香源材を充填したものが使用できるが、タバコ100が本実施形態のように加熱式タバコに用いられるカートリッジである場合、芳香基材20としては、タバコの葉、茎の他、非タバコ植物の葉、茎、花、種子、果実、樹皮、根などを含む芳香源材と、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールなどを含むエアロゾルフォーマとを少なくとも含有し、好ましくはセルロース類、ガム類、グルコマンナン、寒天などの結合剤を更に含有するものが好ましく用いられる。
【0033】
非タバコ植物としては、植物の根(鱗根(鱗茎)、塊根(イモ類)、球根などを含む)、茎、皮(茎皮、樹皮などを含む)、葉、花(花弁、雌蕊、雄蕊などを含む)、樹木の幹や枝など様々な部位を用いることができる。
【0034】
鱗茎としては、タマネギ、ヒガンバナ、チューリップ、ヒヤシンス、ニンニク、ラッキョウ、ユリ、球茎としては、クロッカス、グラジオラス、フリージア、アヤメ、サトイモ、コンニャク、塊茎としては、コンニャク、シクラメン、アネモネ、べゴニア、チョロギ、・ジャガイモ、アピオス(ほど芋)、根茎としては、カンナ、ハス(レンコン)、ショウガ、塊根としては、ダリア、サツマイモ、キャッサバ、キクイモ、担根体としては、ヤマノイモ属(ヤマノイモ、自然薯、ナガイモなどのヤムイモ類)、その他として、カブ、ゴボウ、ニンジン、ダイコン、クズが挙げられる。茎としては、アスパラガス、タケノコ、ウド、ダイコン、ヤーコンが挙げられる。
【0035】
また、ハーブやスパイスとして使用されている植物として、くちなしの実、こぶみかんの葉、みょうが、よもぎ、わさび、アジョワンシード、アニス、アルファルファ、エキナセア、エシャロット、エストラゴン、エバーラスティングフラワー、エルダー、オールスパイス、オリスルート、オレガノ、オレンジピール、オレンジフラワー、オレンジリーフ、カイエンチリペッパー(カイエンヌチリペッパー)、カモミールジャーマン、カモミールローマン、カルダモン、カレーリーフ、ガーリック(にんにく)、キャットニップ、キャラウェイ、キャラウェイシード、キンモクセイ、クミン、クミンシード、クローブ、グリーンカルダモン、グリーンペッパー、コーンフラワー、サフラン、シダー、シナモン、ジャスミン、ジュニパーベリー、ジョロキア、ジンジャー(しょうが)、スターアニス、スペアミント、スマック、セイジ、セボリ(セイボリー)、セロリ、セロリシード、ターメリック(ウコン)、タイム、タマリンド、タラゴン、チャービル(セルフィーユ)、チャイブ、ディル、ディルシード、トマト(ドライトマト)、トンカ豆、ドライパクチー、ナツメグ、ハイビスカス、ハバネロ、ハラペーニョ、バーズアイ、バジル、バニラ、パクチー(コリアンダー)、パセリ、パプリカ、ヒソップ、ピメンツデスペレット、ピンクペッパー、フェヌグリークシード、フェンネル、ブラウンマスタード、ブラックカルダモン、ブラッククミン、ブラックペッパー、べチバー、ペニーロイヤル、ペパーミント(ハッカ)、ホースラディッシュ、ホワイトペッパー、ホワイトマスタード、ポピーシード、ポルチーニ、マジョラム、マスタードシード、マニゲット、マリーゴールド、マルバフラワー、メース、ヤローフラワー、ユーカリ、ラべンダー、リコリス、リンデン、レッドクローバー、レッドペッパー、レモングラス、レモンバーベナ、レモンバーム、レモンピール、ローズ(バラ)、ローズバッズ(パープル)、ローズヒップ、ローズペダル、ローズマリー、ローズレッド、ローレル(ローリエ)、ロングペッパー、胡麻(生胡麻、煎り胡麻)、黄金唐辛子、花椒(ホアジャオ)、三鷹、山椒、唐辛子、柚子などを使用できる。また、ミックススパイス(たとえば、五香粉、ガラムマサラ、ラスエルハヌート、バリグール、チキンカレーマサラ、タンドリーマサラ、カトルエピス、エルブ・ド・プロバンス)や、ポプリなどとして使用されている様々な植物の混合物を使用できる。
【0036】
また、例えば、モモ、ブルーベリー、レモン、オレンジ、リンゴ、バナナ、パイナップル、マンゴー、葡萄、キンカン、メロン、梅、アーモンド、カカオ、コーヒー、ピーナッツ、ひまわり、オリーブ、クルミ、その他ナッツ類などの食用果実(果肉部分)や種子を使用できる。
【0037】
また、茶類を使用することもできる。茶類は、原料とする植物によって異なるだけでな<、同じ植物であっても加工法によって異なるものになる。具体的には、たとえば、日本茶、紅茶、明日葉茶、甘茶、アマチャヅル茶、アロエ茶、イチョウ葉茶、ウーロン茶、ウコン茶、ウラジロガシ茶、エゾウコギ茶、オオバコ茶、カキオドシ茶、柿の葉茶、カミツレ茶、カモミールティ、河原決明茶、カリン茶、菊花茶、ギムネマ茶、グァバ茶、クコ茶、柔の葉茶、黒豆茶、ゲンノショウコ茶、玄米茶、ゴボウ茶、コンフリー茶、毘布茶、桜茶、サフラン茶、シイタケ茶、シソ茶、ジャスミン茶、しょうが茶、スギナ茶、セキショウ茶、センブリ茶、ソバ茶、タラノキ茶、タンポポ茶、甜茶、ドクダミ茶、杜仲茶、ナタマメ茶、ニワトコ茶、ネズミモチ茶、ハトムギ茶、ハブ茶、ビワの葉茶、プーアル茶、紅花茶、松葉茶、マテ茶、麦茶、メグスリノキ茶、ヨモギ茶、ユーカリ茶、羅漢果茶、ルイボスティ、ゴーヤ茶などが挙げられる。これらのお茶については、飲用後の茶殻を使用してもよい。茶殻などを使用すれば高価なお茶などを再利用して有効活用できる。
【0038】
その他にも植物として、アオサ、アオノリ、アカモク、アサクサノリ、アラメ、イワノリ(岩海苔)、エゴノリ、オゴノリ、ガゴメコンブ、カジメ、ガニアシ、クビレズタ、クロメ、コンブ、スサビノリ、ダルス、チシマクロノリ、ツルアラメ、テングサ、トロロコンブ、ネコアシコンブ属、ノリ(海苔)、ハバノリ、ヒジキ、ヒトエグサ、ヒロメ、フノリ、ボウアオノリ、マコンブ、メカブ、モズク、ワカメも使用することができる。
【0039】
また、米類として、玄米のほか、インディカ種(インド型、大陸型、長粒種)、グラベリマ種(アフリカイネ)、サティバ種(アジアイネ)、ジャバニカ種(ジャワ型、熱帯島嶼形、大粒種)、ジャポニカ種(日本型、温帯島嶼型、短粒種)、ネリカ(アジアイネとアフリカイネの種間雑種)の米も使用することができ、これらは、粉あるいは糠としても使用することができる。
【0040】
また、麦類として、小麦のほか、アワ、エンバク(カラス麦の栽培品種、オーツ麦とも)、オオムギ(大麦)、カラスムギ、キビ、コドラ(コードンビエ)、コムギ(小麦)、シコクビエ、テフ、トウジンビエ、ハダカムギ(オオムギの変種)、ハトムギ(種子ではなく果実である)、ヒエ、フォニオ、マコモ、モチムギ(オオムギのモチ種)、モロコシ(タカキビ、コウリャン、ソルガム)、トウモロコシ、ライムギ(ライ麦)も使用できる。
【0041】
また、マメ科植物として、黒豆の他、アズキ、イナゴマメ、インゲンマメ、エンドウキマメクラスタマメグラスピー、ケツルアズキ、ササゲ、シカクマメ、ゼオカルパマメ、ソラマメ、ダイズ、タケアズキ、タチナタマメ、タマリンド、テパリービーン、ナタマメ、ハツショウマメ、バンバラマメ、ヒヨコマメ、フジマメ、ベニバナインゲン、ホースグラム、モスビーン、ライマメ、ラッカセイ、リョクトウ、ルピナス、レンズマメ、レンズマメ(ヘントウ)などを使用できる。
【0042】
また、ソバ類として、ソバのほか、アマランス(アマランサス、センニンコク)、キヌア、ダッタンソバも利用することができる。
【0043】
また、きのこ類として、シイタケのほか、マツタケ、ハツタケ、シメジ、ショウロ、マツシュルーム、ハラタケなどを使用できる。
【0044】
その他、さとうきび(糖蜜の搾りかすでもよい)、てんさい(ビート)、ヒノキ、松、杉、ヒバ、椿、白檀など芳香を有する樹木の幹や枝、これらの樹皮や葉、根なども使用できる。シダ類、コケ類等も非タバコ植物として使用することが可能である。非タバコ植物としては、例えば、日本酒、ワインなどの発酵酒を製造する際の副産物や絞りかす(酒粕、葡萄の絞りかす(葡萄の皮や種子、果軸などからなる))なども使用できる。更には、上述したさまざまな植物を混合して使用してもよい。勿論、ここに挙げた以外の植物を使用することもできる。
【0045】
また、漢方薬として知られているものも好ましく用いられる。例えば、藍草(アイソウ)、茜根(アカネコン)、赤目柏(アカメガシワ)、阿仙薬(アセンヤク)、安息香(アンソクコウ)、威霊仙(イレイセン)、菌陳蕎(インチンコウ)、茴香(ウイキョウ)、ウコン(ターメリック)、烏梅(ウバイ)、烏薬(ウヤク)、裏白柏(ウラジロガシ)、ウワウルシ、営実(エイジツ)、延胡索(エンゴサク)、延命草(エンメイソウ)、黄耆(オウギ)、黄今(オウゴン)、黄精(オウセイ)、黄柏(オウバク)、黄連(オウレン)、桜皮(オウヒ)、弟切草(オトギリソウ)、遠志(オンジ)、槐花(カイカ)、薤白(ガイハク)、夏枯草(カゴソウ)、訶子(カシ)、何首烏(カシュウ)、莪朮(ガジュツ)、霍香(カッコウ)、葛根(カッコン)、カミツレ、瓜呂根(カロコン)、瓜呂仁(カロニン)、乾姜(カンキョウ)、甘草(カンゾウ)、款冬花(カントウカ)、艾葉(ガイヨウ)、桔梗(キキョウ)、枳具子(キグシ)、枳殻(キコク)、枳実(キジツ)、菊花(キクカ)、橘皮(キッピ)、羌活(キョウカツ)、杏仁(キョウニン)、金柑(キンカン)、金銀花(キンギンカ)、金銭草(キンセンソウ)、枸杞子(クコシ)、枸杞葉(クコヨウ)、苦参(クジン)、胡挑(クルミ)、苦棟皮(クレンピ)、黒文字(クロモジ)、瞿麦(クバク)、荊芥(ケイガイ)、桂皮(ケイヒ)、決明子(ケツメイシ)、牽牛子(ケンゴシ)、玄参(ゲンジン)、膠飴(コウイ)、紅花(コウカ)、合歓皮(ゴウカンピ)、降香(コウコウ)、香鼓(コウシ)、香需(コウジユ)、紅参(コウジン)、香附子(コウブシ)、粳米(コウベイ)、厚朴(コウボク)、藁本(コウホン)、五加皮(ゴカヒ)、牛膝(ゴシツ)、呉茱萸(ゴシュユ)、虎杖根(ゴジョウコン)、牛蒡子(ゴボウシ)、五昧子(ゴミシ)、柴胡(サイコ)、細辛(サイシン)、サフラン、山帰来(サンキライ)、山査子(サンザシ)、山梔子(サンシシ)、山茱萸(サンシュユ)、山豆根(サンズコン)、酸棗仁(サンソウニン)、山椒(サンショウ)、三稜(サンリョウ)、山薬(サンヤク)、地黄(ジオウ)、紫苑(シオン)、地骨皮(ジコッピ)、紫根(シコン)、紫蘇子(シソシ)、紫蘇葉(シソヨウ)、▲疾▼藜子(シツリシ)、柿帯(シテイ)、地膚子(ジフシ)、芍薬(シャクヤク)、蛇床子(ジャショウシ)、沙参(シャジン)、車前子(シャゼンシ)、車前草(シャゼンソウ)、縮砂(シュクシャ)、十薬(ジュウヤク)、生姜(ショウキョウ)、棕櫚実(シュロジツ)、棕櫚葉(シュロヨウ)、升麻(ショウマ)、小麦(ショウバク)、菖蒲根(ショウブコン)、辛夷(シンイ)、女貞子(ジョテイシ)、秦皮(シンピ)、神麹(シンキク)、奏ぎょう(ジンギョウ)、充蔚子(ジュウイシ)、椒目(ショクモク)、青皮(セイヒ)、石菖根(セキショウコン)、石榴実皮(セキリュウジツヒ)、石斛(セッコク)、川弓(センキュウ)、前胡(ゼンコ)、川骨(センコツ)、旋覆花(センプクカ)、接骨木(セッコツボク)、草果(ソウカ)、皀角刺(ソウカクシ)、桑寄生(ソウキセイ)、蒼耳子(ソウジシ)、蒼朮(ソウジュツ)、側柏葉(ソクハクヨウ)、続断(ゾクダン)、桑白皮(ソウハクヒ)、蘇木(ソボク)、蘇葉(ソヨウ)、ソウ莢(ソウキョウ)、大黄(ダイオウ)、大棗(タイソウ)、大腹皮(ダイフクヒ)、沢瀉(タクシヤ)、丹参(タンジン)、竹如(チクジョ)、竹節人参(チクセツニンジン)、竹葉(チクヨウ)、知母(チモ)、地楡(チユ)、丁子(チョウジ)、釣腰鈎(チョウトウコウ)、陳皮(チンピ)、天南星(テンナンショウ)、天麻(テンマ)、天門冬(テンモントウ)、冬瓜子(トウガシ)、当帰(トウキ)、唐胡麻(トウゴマ)、党参(トウジン)、灯芯草(トウシンソウ)、桃仁(トウニン)、橙皮(トウヒ)、兎絲子(トシシ)、栃実(トチノミ)、杜仲(トチュウ)、独活(ドッカツ)土瓜根(ドカコン)、肉従容(ニクジュヨウ)、ニクズク、忍冬(ニンドウ)、人参(ニンジン)、貝母(バイモ)、麦芽(バクガ)、柏子仁(ハクシニン)、白扁豆(ハクヘンズ)、麦門冬(バクモントウ)、破胡紙(ハコシ)、簿荷(ハッカ)、蕃果(バンカ)、半夏(ハンゲ)、反鼻(ハンビ)、板藍根(バンヲンコン)、半枝連(ハンシレン)、百合根(ユリネ)白止(ビャクシ)、白花蛇舌草(ビャクカジャゼツソウ)、百部根(ヒャクブコン)、白朮(ビャクジュツ)、檳榔子(ビンロウジ)、防已(ボウイ)、茅根(ボウコン)、防風(ボウフウ)、蒲黄(ホウオウ)、蒲公英根(ホウエイコン)、牡丹皮(ボタンピ)、麻黄(マオウ)麻子仁(マシニン)、蔓荊子(マンケイシ)、松脂(マツヤニ)、木適(モクツウ)、木瓜(モッカ)、木香(モッコウ)、没薬(モツヤク)、木賊(モクゾク)、射干(ヤカン)、益智(ヤクチ)、夜交藤(ヤコウトウ)、羅漢果(ラカンカ)、蘭草(ランソウ)、竜眼肉(リュウガンニク)、竜胆(リュウタン)、良姜(リョウキョウ)、霊芝(レイシ)、連翹(レンギョウ)、達銭草(レンセンソウ)、蓮肉(レンニク)、芦根(ロコン)などが挙げられる。
【0046】
また、上記に例示した非タバコ植物の抽出物、所謂エキスも使用することができる。抽出物の形態としては、液体、水あめ状、粉末、顆粒、溶液等が挙げられる。
【0047】
また、これらの植物にメントール、はっか等の揮発性成分を添加してもよい。更に、これらの植物に、酒の風味を有するもの、例えば、日本酒、ワインなどの発酵酒を製造する際の副産物や絞りカスを添加してもよい。また、当該植物は、これらの植物を混合して使用してもよい。また、上記の植物は一例であり、これらの植物以外の植物を使用することもできる。
【0048】
エアロゾルフォーマとしては、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、トリエチレングリコール、乳酸、ジアセチン(グリセリンジアセタート)、トリアセチン(グリセリントリアセタート)、トリエチレングリコールジアセタート、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸メチル、ドデカンジオン酸ジメチル、テトラデカンサンジオン酸ジメチルなどが使用できるが、特に、グリセリン、プロピレングリコールが好ましく用いられる。
【0049】
また、結合剤としては、前述したように、例えば、セルロース類、ガム類、グルコマンナン、寒天などを用いることができるが、特に、多糖類系高分子、セルロース系高分子、及び、セルロース繊維の中から選択される少なくとも一つ以上を含むことが好ましく、これによって、少なくとも、エアロゾルフォーマ及び芳香源材を一体化することができる。特に、多糖類系高分子又はセルロース系高分子とセルロース繊維の二種、及び、多糖類系高分子とセルロース系高分子とセルロース繊維の三種を結合剤として使用することが好ましい。
【0050】
このような結合剤は、水やアルコール等と共に芳香源材やエアロゾルフォーマ等を混合した被加熱芳香発生基材用組成物として用い、その際に、成形加工、特に、圧縮剪断法に適した粘性を付与することができる。そして、粘性を有する塊状状態から、圧縮剪断法を含む成形加工によって、シート状、円柱状、角柱状、粒状、鱗片状等の被加熱芳香発生基材としての形状が形成され、紙等の筒状の巻物であるラッピング部材によって巻装された被加熱芳香発生源が製造される。その結果、密度及び質量対表面積比が制御された被加熱芳香基材が製造されると共に、加熱式喫煙具の熱源に被加熱芳香カートリッジを着脱しても、被加熱芳香発生基材の崩落することがない強度を産生することができる。
【0051】
芳香基材20の形態は、タバコ100の形態によって適宜選択することができ、例えば、棒状、短冊状、粉体状、顆粒状、ペレット状、小片状、シート状、繊維状、多孔質状またはブロック状の形態をとりうる。なお、紙巻きタバコの場合、芳香基材20は、タバコの葉を細断して乾燥した、いわゆる「刻みタバコ」を紙でできたカバー10で包むことにより構成することもできる。
【0052】
フィルタ30は、芳香基材20から発生する主流煙又は、エアロゾルに対して一定の通気性を有し、かつ主流煙又はエアロゾルに含まれている有害成分などを吸着する機能を有するものが好ましく用いられる。フィルタ30の形状は、特に限定されず、カバー10で包むことができる形状であればよい。
【0053】
フィルタ30としては、例えば、アセテート繊維を用いたアセテートフィルタ、アセテートフィルタに活性炭を含有するチャコールフィルタ、フィルタ30の外周面からカバー10の軸方向に亘って凹んで形成されている複数の溝を有するAFT(Advanced Filter Technology)などを用いることができる。フィルタ30は、カバー10のフィルタ外周部12に接着剤等の適当な固定手段により固定されている。
【0054】
支持部材40は、芳香基材20及びフィルタ30に近接して配されている。支持部材40は、カバー10の内周面の形状に応じた外周面を有する形状であり得る。支持部材40は、本実施形態においては、円筒状に形成されている。支持部材40は、外周面が例えば接着剤によりカバー10の内周面に固定されている。
【0055】
支持部材40は、その一端側及び他端側に対して通気性を有し、かつ芳香基材20の他端側への移動を規制する形状であれば、その形状は限定されない。
【0056】
支持部材40は、カバー10の軸方向に貫通する1又は複数の通気路を有する。通気路は、本実施形態においては、支持部材20の外周面において、カバー10の軸方向に沿って形成された凹状の溝41及びカバー10の内周面によって画定されている。尚、通気路は、例えば、カバー10の一端面から他端面にかけて、その中央部を軸方向に貫通するように形成された貫通孔であってもよい。
【0057】
支持部材40は、カバー10の軸方向の一又は両方の端面、好ましくは芳香基材20側に配される端面において、吸引器具の電気的加熱手段を挿入された際に、芳香基材20がカバー10の軸方向への移動を規制可能な形状をなしていることが好ましい。
【0058】
また、支持部材40は、タバコ100の燃焼温度又は、加熱温度に応じた耐熱性を有する部材によって形成されている。例えば、タバコ100が加熱式タバコのカートリッジである場合、支持部材は、200~350℃程度の耐熱性を有する部材で形成されているとよい。このような部材としては、例えば、シリコーン等の樹脂が挙げられる。
【0059】
支持部材40がこのように形成されていることにより、電子タバコの芳香基材20を加熱する電気的加熱手段がタバコ100の一端側から挿入された際に、支持部材40が芳香基材20の他端側への移動を規制する。言い換えれば、支持部材40は、芳香基材20を支持する。
【0060】
カバー10は、本実施形態においては円筒状に形成されている。カバー10は、筒状であれば特に形状は限定されない。カバー10は、例えば、多角柱状、直方体状等に形成されていてもよい。
【0061】
カバー10は、芳香基材20を覆う巻紙11及びフィルタ30を覆うフィルタ外周部12を有する。巻紙11及びフィルタ外周部12は、例えば、紙やフィルムによって構成することができる。巻紙11及びフィルタ外周部12は、その表面の一方又は両方にコーティングやラミネートが施されていてもよい。
【0062】
例えば、巻紙11及びフィルタ外周部12の内周面にアルミニウム等の金属箔が設けられることによって、芳香基材20に対する熱伝導率を高めることができる。したがって、加熱式タバコや電子タバコの加熱手段によって発せられた熱を効率的に芳香基材20に伝達させることが可能となる。
【0063】
巻紙11及びフィルタ外周部12は、例えば、接着剤、熱融着等の固定手段によって互いに固定されている。尚、巻紙11及びフィルタ外周部12は、1枚のシートで一体に形成されていてもよい。
【0064】
図2、3に示すように、カバー10は、フィルタ外周部12において形成されている複数の孔13を有する。言い換えれば、フィルタ30の周囲を覆うカバー10のフィルタ外周部12には、複数の孔13が設けられている。
【0065】
複数の孔13の径は、主流煙又はエアロゾル中に含まれている成分の調整しやすさの観点から、例えば、0.05~0.2mmであり、好ましくは、0.07~0.1mmとするとよい。
【0066】
複数の孔13は、カバー10の周方向に沿って所定の間隔で配置されている。本実施形態においては、カバー10の周方向に沿って所定間隔で配置された孔の列R1~R4が、カバーの軸方向に所定間隔をおいて4列で設けられている。尚、孔13の列は、本実施形態においては、4列の例を説明するが、これには限定されず、例えば、1列であってもよいし、4列以上であってもよい。
【0067】
カバー10のフィルタ外周部12には、複数の孔13を封止する封止材50が設けられている。言い換えれば、複数の孔13は、カバー10に対して剥離可能な封止材50によって封止されている。
【0068】
封止材50は、フィルタ外周部12の周方向に亘って設けられている。本実施形態においては、連続した被膜をなす一の封止材50によって、全ての列R1~R4の複数の孔13の各々が封止されている。
【0069】
尚、封止材50による複数の孔13の封止は、複数の封止材50を用いて行ってもよい。例えば、列R1~4に応じた4つの封止材50を設けて、当該列毎に封止されるようにしてもよい。
【0070】
封止材50は、孔13を通気不能に封止することができ、かつカバー10のフィルタ外周部12に対して剥離可能であれば特には限定されない。封止材50は、本実施形態においては粉末状の無機材料(以下「無機粒子」とも称する)及びバインダーを有する塗膜層で構成されている。
【0071】
無機粒子IPとしては、ユーザが封止材50を剥いだ際に、容易に形が崩れるものであるものが好ましく、例えば、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、タルク、カオリン、酸化チタン、無水ケイ酸、塩基性炭酸マグネシウム等が挙げられる。無機粒子IPの平均粒径は、特に限定されないが、例えば1nm~500μmが好ましく、5nm~10μmがより好ましく、10nm~5μmがさらに好ましい。なお、本発明において、平均粒径は、レーザー回折・散乱法によって測定されたメディアン径を意味する。また、封止材50中に含まれる無機粒子IPの含有量は、乾燥被膜状態での封止材中の含有量として、10~90質量%が好ましく、30~70質量%がより好ましく、40~60質量%がさらに好ましい。
【0072】
バインダーとしては、経口安全性を有するものが好ましく、例えば、セルロース樹脂、メチルセルロース樹脂、グルテン、ゼラチン、寒天、経口安全性を有する合成樹脂、動物性たんぱく、植物性たんぱく、その他の結着剤等が挙げられる。
【0073】
封止材50は、フィルタ外周部12とは、異なる色調を有するようにするとよい。例えば、フィルタ外周部12を白色とし、複数の孔13の列R1~R4を封止する封止材50の領域を赤色としてもよい。このように、封止材50の色調を互いに異なる色調にすることにより、ユーザは封止材50をはがす位置を容易に認識することが可能となる。
【0074】
また、封止材50が孔13を封止する領域に応じて異なった配色をしてもよく、例えば、孔の列R1を封止する封止材50の領域を赤色、孔の列R2を封止する封止材50の領域を青色、孔の列R3を封止する封止材50の領域を黄色、孔の列R4を封止する封止材50の領域を緑色としてもよい。このように、孔13を封止する領域に応じて封止材50を異なる配色とすることにより、ユーザは、封止材50を剥離すべき領域を容易に認識することが可能となる。
【0075】
塗膜層は、例えば、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷、凹版印刷、水なし平版印刷、タコ印刷、転写、インクジェット等の方法によってフィルタ外周部12に設けることができる。これらの方法の中でも、シルクスクリーン印刷がインキの厚みを厚く印刷できるため好ましい。
【0076】
このように、封止材50が塗膜層によって構成されていることにより、ユーザは、フィルタ外周部12の所定の領域を軽く摘まんで押し潰すなど外力を加えるか、フィルタ外周部12の表面を軽く引っ掻くことにより容易に剥離することができる。
【0077】
尚、本実施形態においては、タバコ100が加熱式タバコのカートリッジである例を説明したが、タバコ100は、上述のように当該カートリッジに限られず、例えば、紙巻きタバコ(シガレット)であってもよい。タバコ100を紙巻きタバコとした場合は、前述したように、本実施形態で説明した支持部材40を除いて実施してもよい。
【0078】
以上のように、本発明のタバコ100によれば、封止材50が所望の割合で剥離されることによって、主流煙又は、エアロゾルに含まれる成分の濃度を所望の割合で調整することができる。従って、主流煙又は、エアロゾルに含まれる芳香成分、ニコチン、タール等の量(強さ)、すなわち喫煙感を調整することが可能となる。
【0079】
[実施形態2]
上記の実施形態においては、封止材50は、塗膜層で構成されるものであったが、封止材50は、シール材等で構成されるものであってもよい。
【0080】
図4は、実施形態2に係るタバコ100の断面図である。
図4に示すように、この実施形態では、フィルタ外周部12には、複数の孔13の列R1~R4の各々を封止するシール材からなる封止材60が設けられている。
【0081】
封止材60は、孔13の列R1を封止するシール材61、孔13の列R2を封止するシール材62、孔13の列R3を封止するシール材63及び孔13の列R4を封止するシール材64を有する。
【0082】
シール材61~64は、例えば、フィルタ外周部12に対して剥離可能なシール材で構成されている。シール材61~64は、各々の列R1~R4においてフィルタ外周部12の周方向に亘って設けられている。シール材61~64は、実施形態1で説明したように、フィルタ外周部12とは異なる色調であり、かつ互いに異なる色調を有することが好ましい。
【0083】
したがって、ユーザは、シール材61~64を個別に剥がすことにより、複数の孔13を容易に開口させることができる。また、シール材61~64は、個別に剥がすことができるため、孔13の開口度合いの調整を容易に行うことができる。
【0084】
本実施形態においては、封止材60は、複数の孔13の列R1~R4の各々をシール材61~64によって封止するようにした。しかし、1のシール材が封止する孔13の領域は自由に設定することができる。例えば、シール材61は、孔13の列R1及びR2の複数の列を封止するようにしてもよい。また、シール材61は、フィルタ外周部12においてカバー10の軸方向に形成されている複数の孔13の所定の領域を封止するようにしてもよい。
【0085】
尚、封止材60は、フィルタ外周部12に対して剥離可能なものであれば、どのような材質のものであってもよい。封止材60は、例えば、フィルムや紙でできた帯状のシートからなり、フィルタ外周部12に対して剥離可能な接着層を介して接着されたものであってもよい。
【0086】
[実施形態3]
上述の各実施形態において、複数の孔13の開口の度合いを調整することによって、主流煙又は、エアロゾルに含まれる成分の濃度を所望の割合で調整することができることを説明した。この実施形態では、当該孔13の開口度合いによる、主流煙又は、エアロゾルに含まれる成分の濃度の指標をタバコ100や、タバコ100のパッケージに記載したものとなっている。尚、実施形態1と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0087】
図5は、タバコ100の包装体の外観を示す斜視図である。
図5に示すように、タバコ100のパッケージである包装体70は、例えば、タバコ100を20本収容することが可能な箱状に形成されている。
【0088】
包装体70は、例えば、その正面において包装されているタバコ100の銘柄(図中における〇〇〇〇)、タール・ニコチンが調整可能な表記及び孔13の開放度合いとタール・ニコチンの濃度の指標との関係が記載されている。
【0089】
孔13の開放度合いとタール・ニコチンの濃度の指標(以下、単に指標ともいう)は、言い換えれば、封止材50(60)の剥離の度合いと、主流煙又は、エアロゾルに含まれる成分の度合いとの関係を示す指標である。
【0090】
本実施形態において、タール・ニコチンの濃度の指標は、5段階の孔13の開口度合いに応じたレベルである。具体的には、孔13の列R1~R4の4列の封止材50(60)を剥離した場合、タール・ニコチンの濃度、すなわち喫煙感が最も低いレベル1(L1)となる。孔13の列R1~R4のうち任意の3列の封止材50(60)を剥離した場合、タール・ニコチンの濃度、すなわち喫煙感がレベル2(L2)となる。孔13の列R1~R4のうち任意の2列の封止材50(60)を剥離した場合、タール・ニコチンの濃度、すなわち喫煙感がレベル3(L3)となる。孔13の列R1~R4のうち任意の1列の封止材50(60)を剥離した場合、タール・ニコチンの濃度、すなわち喫煙感がレベル4(L4)となる。孔13の列R1~R4の封止材50(60)をいずれも剥離しない場合、タール・ニコチンの濃度、すなわち喫煙感が最も高いレベル5(L5)となる。
【0091】
尚、孔13からフィルタ30に流入する空気の量は、孔13の形成されている位置が、カバー10の軸方向において他端側(吸い口側)に近づくにつれて多くなる。
【0092】
したがって、主流煙又はエアロゾルに含まれる成分の希釈度は、開口している孔13のカバー10の軸方向の位置に応じて変わり得る。そこで、主流煙又はエアロゾルに含まれる成分の希釈度をより正確に規定するため、剥離する封止材50(60)の順番を複数の孔13の列R1~R4に応じて規定するようにしてもよい。例えば、全ての列R1~R4の封止材50(60)を剥離した場合をレベル1(L1)、列R1~R3の封止材50(60)を剥離した場合をレベル2(L2)、列R1及びR2の封止材50(60)を剥離した場合をレベル3(L3)、列R1の封止材50(60)のみを剥離した場合をレベル4(L4)、全ての封止材50(60)を剥離しなかった場合をレベル5(L5)と規定してもよい。
【0093】
尚、包装体70に表記されるこれらの指標は、芳香基材20の成分に応じて変更してもよい。例えば、芳香基材20にメントールを含む場合、孔13の開放度合いに応じたメントールによる清涼感の強さを指標としてもよい。また、芳香基材20がタバコ植物を含まず、かつ非タバコ植物を含んで構成される場合、当該非タバコ植物の芳香の強度を指標として記載してもよい。
【0094】
これらの指標は、タバコ100の包装体70のみならず、タバコ100に表記してもよい。
図6は、実施形態3の変形例を示すタバコ100の平面図である。
図6に示すように、この変形例では、タバコ100のカバー10に上記指標が記載されている。
【0095】
具体的には、この変形例では、指標は、カバー10のフィルタ外周部12に記載されている。指標は、カバー10の外周面においてユーザが視認できる位置に記載されていればよい。例えば、指標は、巻紙11に記載されていてもよい。
【0096】
また、指標は、タバコ100の説明資料(図示せず)に記載されていてもよい。説明資料は、例えば、包装体70に封入されるリーフレット、店頭に掲示されるパンフレット、web上のホームページであってもよい。
【0097】
尚、指標は、上記のレベルに応じた成分の量を記載するとよい。例えば、記載する指標をタール及びニコチンにした場合、以下の表記例1乃至3のように指標を表記してもよい。
【0098】
(表記例1)
レベル1(4列剥離) タール 6mg、ニコチン 0.6mg
レベル2(3列剥離) タール 8mg、ニコチン 0.7mg
レベル3(2列剥離) タール 10mg、ニコチン 0.9mg
レベル4(1列剥離) タール 21mg、ニコチン 1.9mg
レベル5(剥離なし) タール 28mg、ニコチン 2.3mg
【0099】
(表記例2)
レベル1(4列剥離) タール 4mg、ニコチン 0.4mg
レベル2(3列剥離) タール 5mg、ニコチン 0.5mg
レベル3(2列剥離) タール 7mg、ニコチン 0.6mg
レベル4(1列剥離) タール 10mg、ニコチン 0.8mg
レベル5(剥離なし) タール 14mg、ニコチン 1.2mg
【0100】
(表記例3)
レベルL1(4列剥離) タール 1mg、ニコチン 0.1mg
レベルL2(3列剥離) タール 3mg、ニコチン 0.3mg
レベルL3(2列剥離) タール 6mg、ニコチン 0.5mg
レベルL4(1列剥離) タール 8mg、ニコチン 0.7mg
レベルL5(剥離なし) タール 10mg、ニコチン 0.8mg
【0101】
尚、上記のタール及びニコチン含有量は、例えば、国際標準化機構(ISO)に基づいた自動喫煙器での測定方法を用いて測定することができる。
また、上記の指標は、レベルのみの表記でもよいし、レベルと主流煙又は、エアロゾル中の成分の数値とを併記してもよいし、主流煙又は、エアロゾル中の成分の数値のみを表記してもよい。
【0102】
また、前述したように、孔13からフィルタ30に流入する空気の量は、開口している孔13の位置が、カバー10の軸方向において他端側(吸い口側)に近づくにつれて多くなる。そこで、剥離すべき封止材50(60)をカバー10の軸方向の位置に応じて設定してもよい。例えば、カバー10の軸方向において他端側(吸い口側)から遠い複数の孔13の列をR1とし、列R1よりも他端側(吸い口側)に近い複数の孔13の列をR2として、2つの列R1、R2を設けた場合、列R1及びR2を封止する封止材50(60)の両方を剥離したときが最も希釈度が高く、列R2を封止する封止材50(60)のみを剥離したときが次に希釈度が高く、列R1を封止する封止材50(60)のみを剥離したときがその次に希釈度が高く、いずれの封止材50(60)も剥離しなかったときが最も希釈度が低くなる。
【0103】
このように、剥離すべき封止材50(60)をカバー10の軸方向の位置に応じて設定することにより、主流煙又はエアロゾルに含まれる成分の希釈度を多段階的に設定することができる。すなわち、開口している孔13の数及び開口している孔13のカバー10の軸方向の位置を複合的に設定することにより、主流煙又はエアロゾルに含まれる成分の希釈度を多段階に調整することができる。
【0104】
尚、複数の孔13の列をカバー10の軸方向の位置が互いに異なるように複数設けた場合、互いに隣接する列のカバー10の軸方向の距離が長くなるにつれて調整可能な希釈度の幅を長くすることができる。
【0105】
[実施形態4]
上述の各実施形態において、芳香基材20にメントール、はっか等の揮発性成分を添加してもよいことを説明した。メントール、はっか等の揮発性成分は、その芳香を味わうための芳香剤としてフィルタ30に含まれていてもよい。尚、実施形態1と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0106】
図7は、本実施形態に係るタバコ100のフィルタ80を示している。
図8は、本実施形態に係るタバコ100の断面を示している。尚、
図8の一点鎖線の矢印は、空気の流れを示している。
図7及び
図8に示すように、フィルタ80は、例えば、芳香基材20側に配される第1のフィルタ81及び第1のフィルタよりもカバー10の他端側に配されている第2のフィルタ82を有する。
【0107】
第1のフィルタ81は、例えばセルロースアセテートトウの素材で円筒状に形成されている。第1のフィルタ81は、その軸方向において貫通して形成されている貫通孔83を有する。貫通孔83の壁部においては、芳香剤(図示せず)が設けられている。
図8にも示すように、貫通孔83の壁部は、カバー10(12)に設けられている孔13と対向する位置に配されている。
【0108】
芳香剤は、メントール、はっかだけでなく、ユーザの使用目的に応じて用いることができる。たとえば、主流煙又はエアロゾルの風味を補助することを目的とする場合、メントール、はっか、海の汐の香りである硫化ジメチル(DMS)の成分を用いることができる。また、ユーザの口臭の消臭(デオドラント効果)を目的とする場合や、喫煙又は吸引終了後にスッキリとした風味を提供すること(口直し効果)を目的とする場合は、メントール、はっか、森林の香りの成分であるフィトンチッド、フラボノイド等を用いることができる。
【0109】
芳香剤は、例えば、第1のフィルタ81の壁部に含浸させることによって第1のフィルタ81に設けられている。芳香剤が第1のフィルタ81に設けられている態様は、このような態様に限られず、例えば、当該芳香剤が封入されているカプセルを第1のフィルタ81の壁部に埋設することによって、第1のフィルタ81に芳香剤が設けられているようにしてもよい。芳香剤がカプセルに封入されている場合、ユーザは、カプセルを指で押圧することにより、カプセルを破壊することができ、所望のタイミングで芳香剤の芳香成分を揮発させることが可能となる。
【0110】
第2のフィルタ82は、例えばセルロースアセテートトウの素材で円筒状に形成されている。第2のフィルタ82は、上述の実施形態で説明したフィルタ30と同一の構成のものを用いることができる。したがって、このようにフィルタ80が構成されていることにより、第1のフィルタ81の貫通孔83から積極的に空気を取り入れることができ、第2のフィルタ82において主流煙又はエアロゾルに含まれている成分を除去することが可能となる。
【0111】
したがって、
図8の一点鎖線の矢印が示すように、ユーザは、封止材50(60)を剥離して喫煙又は吸引すると、空気が孔13を介して第1のフィルタ81に導入される。第1のフィルタ81に設けられている芳香剤は、導入された空気と共に第1のフィルタ81の貫通孔83を通って、第2のフィルタ82に導かれ、主流煙又はエアロゾルとともにユーザに喫煙又は吸引される。すなわち、孔13の開口度合いが高くなるにつれて、第1のフィルタ81に導入される空気の量が多くなるため、導入された空気と共にユーザに吸引される芳香剤の芳香成分の量も増加する。したがって、ユーザは、開口度合いに応じた芳香成分の調整を行うことができる。
【0112】
封止材50(60)の剥離は、芳香成分を発生させる目的に応じて行うとよい。例えば、主流煙又はエアロゾルの風味を補助することを目的とする場合、喫煙又は吸引をする際に風味を補助する所望のタイミングで封止材50(60)を剥離するとよい。
【0113】
また、ユーザの口臭の消臭(デオドラント効果)を目的とする場合や、喫煙又は吸引終了後にスッキリとした風味を提供すること(口直し効果)を目的とする場合は、喫煙又は吸引が終了したタイミングで、封止材50(60)を剥離するとよい。このようなタイミングで封止材50(60)を剥離することにより、例えば、喫煙又は吸引の終了後にメントールなどの爽やかな芳香が口中に拡がり、ユーザの吐息を爽やかな香りとすることができる。
【0114】
また、上記の目的に応じて封止材50(60)を剥離する位置を調整するとよい。例えば、主流煙又はエアロゾルの風味を補助することを目的とする場合、
図4に示した孔の列R1を封止するシール材61及び孔の列R2を封止するシール材62を剥離するとよい。また、ユーザの口臭の消臭(デオドラント効果)を目的とする場合や、喫煙又は吸引終了後にスッキリとした風味を提供すること(口直し効果)を目的とする場合、
図4に示した孔の列R3を封止するシール材63及び孔の列R4を封止するシール材64を剥離するとよい。このような態様で封止材50(60)を剥離することにより、上記の複数の目的を一のタバコで達成することができる。
【0115】
また、第1のフィルタ81には、芳香成分が互いに異なる複数種の芳香剤を設けてもよい。具体的には、第1のフィルタ81の軸方向の互いに異なる位置において、複数種の芳香剤を設けてもよい。
【0116】
例えば、含浸により芳香剤を第1のフィルタ81に設ける場合、例えば、第1のフィルタ81の軸方向の互いに異なる位置に、各々の芳香剤を含浸させるとよい。また、互いに異なる芳香剤が含浸された複数の第1のフィルタ81を設けてもよい。
【0117】
また、カプセルにより芳香剤を第1のフィルタ81に設ける場合、第1のフィルタ81の軸方向の互いに異なる位置に、各々の芳香剤を配設させるとよい。
【0118】
このように芳香剤を設けることにより、所望の芳香剤が設けられている位置に応じた封止材50(60)を剥離するだけで、ユーザの好みや目的に応じた芳香成分を所望のタイミングで発生させることが可能となる。
【0119】
尚、カプセルを用いて芳香剤を第1のフィルタ81に設けた場合、上記の目的に応じた位置及びタイミングでカプセルを潰すことにより、より効果的に上記の目的を果たすことができる。
【符号の説明】
【0120】
100 タバコ
10 カバー
12 フィルタ外周部
13 孔
20 芳香基材
30、80 フィルタ
50、60 封止材
70 包装体