(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154071
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】表示装置、制御プログラム、表示装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20221005BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20221005BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20221005BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20221005BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
H04N1/00 838
H04N1/00 127B
G06F3/12 322
G06F3/12 338
G03G21/00 386
G03G21/00 388
B41J29/00 T
B41J29/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056934
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】奥野 哲也
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061CQ04
2C061CQ05
2C061HK11
2C061HN05
2H270KA59
2H270NC02
2H270ND02
2H270PA59
2H270PA60
2H270PA62
2H270QA13
2H270QA23
2H270ZD04
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA29
5C062AB20
5C062AB23
5C062AB38
5C062AC02
5C062AC05
5C062AC34
5C062AE07
5C062AE15
5C062AF00
5C062AF12
5C062AF15
(57)【要約】
【課題】外部装置からの遠隔操作を受付け可能な表示装置において、表示装置に対するセキュリティの低下を抑制することを目的とする。
【解決手段】MFP10のコントローラ11は、リモートパネルと他の機能とを実行可能であり、表示された承認画面に対する入力IF17を介して受付けた承認操作により、他の機能を許可する承認処理を実行する。コントローラ11は、承認処理に対する開始要求を受付けた場合に、リモートパネルの実行中であるか否かを判断し、リモートパネルの実行中であることが判断された場合に、承認処理を実行しない。一方、リモートパネルが実行されていないことが判断された場合に、承認処理を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイを含む入力インタフェースと、
通信インタフェースと、
コントローラと、を備える表示装置であって、
前記コントローラは、複数の機能に係る処理を実行し、前記複数の機能には、外部端末に前記入力インタフェースに対応する遠隔操作画面を表示させ、表示された前記遠隔操作画面に対する操作に応じて前記通信インタフェースにより受信された外部端末からの指示により、前記表示装置を遠隔操作する遠隔操作機能と、他の機能とを含み、
前記コントローラは、
前記ディスプレイに承認画面を表示させ、表示された前記承認画面に対して受付けた承認操作により、前記他の機能の開始を許可する承認処理と、
前記承認処理に対する開始要求を受付けた場合に、前記遠隔操作機能の実行中であるか否かを判断する判断処理と、
前記判断処理で、前記遠隔操作機能の実行中であると判断した場合に、前記承認処理を実行せず、前記判断処理で、前記遠隔操作機能が実行されていないと判断した場合に、前記承認処理を実行する実行制御処理と、
を実行する表示装置。
【請求項2】
前記機能には、重要度が定められており、
前記実行制御処理では、
前記判断処理で、前記遠隔操作機能の実行中であると判断しており、かつ前記承認処理の前記開始要求を受付けた前記他の機能の前記重要度が、前記遠隔操作機能における前記重要度よりも高い場合に、前記遠隔操作機能を中断した状態で前記開始要求を受付けた前記承認処理を実行し、前記承認処理の完了後に、前記遠隔操作機能を再開し、
前記判断処理で、前記遠隔操作機能の実行中であると判断しており、かつ前記承認処理の前記開始要求を受付けた機能の前記重要度が、前記遠隔操作機能における前記重要度よりも低い場合に、前記開始要求を受付けた前記承認処理を実行しない、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記実行制御処理では、
前記判断処理で、前記遠隔操作機能の実行中であると判断しており、かつ前記承認処理の前記開始要求を受付けた前記他の機能の前記重要度が、前記遠隔操作機能における前記重要度と同じである場合に、前記承認画面を前記ディスプレイに表示させて、前記承認画面に対する承認操作に応じて前記通信インタフェースにより受信された外部端末からの指示により、前記他の機能の開始を許可する、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記実行制御処理では、
前記判断処理で、前記遠隔操作機能の実行中であると判断しており、かつ前記承認処理の前記開始要求を受付けた前記他の機能の前記重要度が、前記遠隔操作機能における前記重要度と同じである場合に、前記承認処理を優先して実行するか否かを問い合わせる問い合わせ画面を、前記ディスプレイに表示させ、
前記問い合わせ画面に対して前記承認処理を優先する旨の指示操作があった場合に、前記承認画面を前記ディスプレイに表示させて、前記承認画面に対する承認操作に応じて前記他の機能の開始を許可し、
前記問い合わせ画面に対して前記承認処理を優先しない旨の指示操作があった場合に、前記開始要求を受付けた前記承認処理を保留する、請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記実行制御処理では、前記開始要求を受付けた前記承認処理を保留した後、前記遠隔操作機能の終了指示を外部端末から受信した場合に、前記保留された承認処理を実行する請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記他の機能は、管理者権限で実行される第1の機能と、前記管理者権限よりも低い権限で実行される第2の機能とがあり、
前記第1の機能における前記重要度は、前記第2の機能における前記重要度よりも高い請求項2~5のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記実行制御処理では、前記判断処理で、前記遠隔操作機能の実行中であることを判断した場合に、前記遠隔操作機能の実行中であることを前記ディスプレイに表示させる請求項1~6のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項8】
ディスプレイを含む入力インタフェースと、通信インタフェースと、を備える表示装置のコントローラにより実行可能な制御プログラムであって、
前記コントローラに、複数の機能に係る処理を実行させ、前記複数の機能には、外部端末に前記入力インタフェースに対応する遠隔操作画面を表示させ、表示された前記遠隔操作画面に対する操作に応じて前記通信インタフェースにより受信された外部端末からの指示により、前記表示装置を遠隔操作する遠隔操作機能と、他の機能とを含み、
前記コントローラに、
承認画面を表示させ、表示された前記承認画面に対する前記入力インタフェースを介して受付けた承認操作により、前記他の機能の開始を許可する承認処理と、
前記承認処理に対する開始要求を受付けた場合に、前記遠隔操作機能の実行中であるか否かを判断する判断処理と、
前記判断処理で、前記遠隔操作機能の実行中であることを判断した場合に、前記承認処理を実行せず、前記判断処理で、前記遠隔操作機能が実行されていないことを判断した場合に、前記承認処理を実行する実行制御処理と、
を実行させる制御プログラム。
【請求項9】
ディスプレイを含む入力インタフェースと、通信インタフェースとを備える表示装置の制御方法であって、
前記表示装置に、複数の機能に係る処理を実行させ、前記複数の機能には、外部端末に前記入力インタフェースに対応する遠隔操作画面を表示させ、表示された前記遠隔操作画面に対する操作に応じて前記通信インタフェースにより受信された外部端末からの指示により、前記表示装置を遠隔操作する遠隔操作機能と、他の機能とを含み、
前記表示装置に、
承認画面を前記ディスプレイに表示させ、表示された前記承認画面に対する前記入力インタフェースを介して受付けた承認操作により、前記他の機能の開始を許可する承認処理と、
前記承認処理に対する開始要求を受付けた場合に、前記遠隔操作機能の実行中であるか否かを判断する判断処理と、
前記判断処理で、前記遠隔操作機能の実行中であることを判断した場合に、前記承認処理を実行せず、前記判断処理で、前記遠隔操作機能が実行されていないことを判断した場合に、前記承認処理を実行する実行制御処理と、
を実行させる表示装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部端末により遠隔操作可能な表示装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外部端末により遠隔操作可能な表示装置が記載されている。特許文献1に記載された表示装置では、外部端末に表示装置の入力インタフェースを擬似的に表示させることで、表示された入力インタフェースに対する操作により、遠隔操作に対する指示を受付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、表示装置を用いた所定の機能を開始する場合に、表示装置が有する入力インタフェースに対する承認操作を受付けたことを条件に、機能の開始を許可する承認処理を実行する装置がある。このような構成の表示装置では、表示装置の身近にいるユーザからの承認操作を受付けることを条件に機能の開始を許可することを前提としている。しかし、表示装置に対して外部装置による遠隔操作を許可した場合、遠隔地の外部装置に表示されたユーザインタフェースにより、承認操作が可能となることが懸念される。このような場合、表示装置の身近にいる者以外も承認操作が可能となり、表示装置のセキュリティが低下することが懸念される。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みたものであり、外部装置からの遠隔操作を受付け可能な表示装置において、表示装置に対するセキュリティの低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、ディスプレイを含む入力インタフェースと、通信インタフェースと、コントローラと、を備える表示装置に関する。表示装置のコントローラは、複数の機能に係る処理を実行し、複数の機能には、外部端末に入力インタフェースに対応する遠隔操作画面を表示させ、表示された遠隔操作画面に対する操作に応じて通信インタフェースにより受信された外部端末からの指示により、表示装置を遠隔操作する遠隔操作機能と、他の機能とを含む。コントローラは、ディスプレイに承認画面を表示させ、表示された承認画面に対して受付けた承認操作により、他の機能の開始を許可する承認処理と、承認処理に対する開始要求を受付けた場合に、遠隔操作機能の実行中であるか否かを判断する判断処理と、判断処理で、遠隔操作機能の実行中であると判断した場合に、承認処理を実行せず、判断処理で、遠隔操作機能が実行されていないと判断した場合に、承認処理を実行する実行制御処理と、を実行する。
【0007】
これにより、外部装置による遠隔操作中は、他の機能に対する承認処理を実行することができないため、表示装置の近くにいるユーザになり代わって、外部装置を操作する他のユーザにより承認処理が実行されてしまうことを防止することができる。その結果、表示装置のセキュリティの低下を抑制することができる。
【0008】
本発明は、種々の形態により実現することが可能であり、表示装置の発明以外にも、表示装置のコントローラが実行する制御プログラムの発明や、表示装置の制御方法の発明としても実現することができる。
【発明の効果】
【0009】
外部装置からの遠隔操作を受付け可能な表示装置において、表示装置に対するセキュリティの低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】リモートパネルに係る処理を説明するタイミングチャート。
【
図6】オンライン機能設定を説明するタイミングチャート。
【
図7】オンライン機能設定に係る画面を説明する図。
【
図8】
図6のS37で実行される処理のフローチャート。
【
図9】第2実施形態に係るオンライン機能設定を説明するタイミングチャート。
【
図10】アプリケーションにより表示される画面を説明する図。
【
図11】
図9のS64で実行される処理のフローチャート。
【
図12】アプリケーションにより表示される画面を説明する図。
【
図13】アプリケーションにより表示される通知画面を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
本実施形態に係る画像形成システム100を、図面を参照しつつ説明する。
図1に示す画像形成システム100は、MFP10と、PC30,50と、サーバ60とを備えている。MFPは、multifunction peripheralの略称である。MFP10と、PC30,50と、サーバ60とはネットワーク200に接続されており、ネットワーク200を通じて通信可能である。ネットワーク200は、LANや、インターネットである。本実施形態において、MFP100が、表示装置の一例である。
【0012】
次に、MFP10の構成を説明する。MFP100は、コントローラ11、メモリ12、プリンタ部13、スキャナ部14、FAX部15、通信IF16、入力IF17、及びバス18を備えている。IFは、interfaceの略語である。
【0013】
通信IF16は、所定の通信プロトコルに準拠して、MFP10をネットワーク200に接続する。通信IF16は、例えば、IEEEの802.11の規格およびそれに準ずる規格に基づいて、Wi-Fi(R)(登録商標)方式の無線通信を行うことが可能とされている。入力IF17は、MFP10を直接操作するユーザと、コントローラ11との間に介在するインタフェースであり、画像を表示可能なタッチパネル171や、物理キーである操作キー172を有している。
【0014】
プリンタ部13は、シートやディスクなどの被記録媒体に画像を印刷する印刷動作を実行する。プリンタ部13の記録方式としては、インクジェット方式や、電子写真方式などを採用することができる。スキャナ部14は、原稿に記録されている画像を読み取って画像データを生成するスキャン動作を実行する。FAX部15は、FAXプロトコルに準拠した方式で画像データを送受信するFAX動作を実行する。また、MFP10は、複数の動作を組み合わせた複合動作を実行可能であってもよい。プリンタ部13によるプリント動作と、スキャナ部14によるスキャン動作とを組み合わせたコピー動作は、複合動作の一例である。
【0015】
コントローラ11は、CPUや、ASIC(Application Specific Integrated Circuitの略称)等により構成されており、プリンタ部13、スキャナ部14、FAX部15、通信IF16、及び入力IF17の各動作を制御する。メモリ12は、データ記憶領域を備える。データ記憶領域は、プログラム等の実行に必要なデータなどを記憶する領域である。メモリ12は、RAM、ROM、SSD、HDD等が組み合わされて構成されている。各種プログラムの実行時に用いられる、コントローラ11が備えるバッファも、メモリ12の一部とみなしてよい。なお、メモリ12は、コントローラ11が読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。コントローラ11が読み取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読み取り可能な信号媒体であるが、non-transitoryなコンピュータが読み取り可能なストレージ媒体には含まれない。
【0016】
メモリ12には、コントローラ11が実行可能な制御プログラムとして、ファームウェア20が記憶されている。以下の説明では、プログラムを実行するコントローラ11のことを、単にプログラム名でも記載する場合がある。例えば、「ファームウェア20が」という記載は、「ファームウェア20を実行するコントローラ11が」という意味で使用する。本実施形態では、主に、プログラムに記述された命令に従ったコントローラ11の処理を示す。すなわち、以下の説明における「判断」、「抽出」、「選択」、「算出」、「決定」、「特定」、「取得」、「受付」、「制御」等の処理は、コントローラ11の処理を表している。なお「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。すなわち、コントローラ11が要求することなくデータを受信するという処理も、「コントローラ11がデータを取得する」という概念に含まれる。また、本明細書中の「データ」とは、コントローラに読取可能なビット列で表される。そして、実質的な意味内容が同じでフォーマットが異なるデータは、同一のデータとして扱われるものとする。本明細書中の「情報」についても同様である。
【0017】
ファームウェア20は、PC30,50に対して、所定のWebページを表示させるためのWebサーバとしても機能する。また、ファームウェア20は、PC30,50に対してリモートパネルを提供することができる。リモートパネルは、PC30,50に、MFP10の入力IF17を擬似的に表すリモート画面を表示させることで、このリモート画面に対する操作により、MFP10を遠隔操作させる遠隔操作機能である。ファームウェア20は、PC30,50に対して、リモート画面を表示するためのWebページデータを送信することで、PC30,50の後述するブラウザ41にリモート画面を表示させることができる。リモート画面に対する各種操作を示す情報は、MFP10に通知される。操作を示す情報を受信したMFP10は、入力IF17に表示された操作画面が操作されたときと同様に、操作に従った処理を実行する。MFP10は、例えば、PC30,50から設定ボタンへの操作を示す情報を受信した場合、MFP10は設定画面の表示を含む、MFP10のパラメータを設定するための処理を実行する。リモート画面が遠隔操作画面の一例である。
【0018】
次に、PC30の構成を説明する。PC30は、通信IF31、メモリ32、コントローラ33、ディスプレイ34、入力IF35を備えている。PC30が備える各部31,32,33,35は、MFP30が備えるコントローラ11、メモリ12、通信IF16、入力IF17と同様の構成であり、その説明を省略する。
【0019】
メモリ32には、OS40と、ブラウザ41と、アプリケーション42とが記憶されている。ブラウザ41は、OS40の実行下において、コントローラ33に、MFP10から送信されるWebページデータに応じた画像をディスプレイ34に表示させるプログラムである。
【0020】
サーバ60は、PC30を操作するユーザに対して、MFP10を用いたサービスを提供するための各種処理を実行する。本実施形態では、サーバ60は、一つの装置に限らず、役割の異なる複数の装置により構成されている。具体的には、サーバ60には、管理サーバ、サービスサーバを含んでいる。管理サーバは、サービスを提供するために、MFP10やPC30の管理を行うためのサーバであって、管理対象となるMFP10やPC30の情報が登録される。サービスサーバは、管理サーバに登録されたPC30及びMFP10に対してサービスを提供するサーバである。
【0021】
本実施形態では、サーバ60により提供可能なサービスとして、「Eメールプリント」、「リモートプリント」、「Scan to Moblile」がある。Eメールプリントでは、印刷データが添付されたEメールデータを、サーバ60(サービスサーバ)を経由してMFP30に転送し、MFP30にEメールデータに添付された印刷データを印刷させるサービスである。リモートプリントは、印刷データを、サーバ60を経由してMFP30に転送し、MFP30に印刷データを印刷させるサービスである。Scan to Mobileは、MFP10によりスキャンされたスキャンデータを、PC30,50や、携帯端末からアクセス可能なサーバ60に保存させるサービスである。
【0022】
次に、MFP10を、PC30に表示されたリモートパネルにより遠隔操作する場合に、MFC10と、PC30との間で実行される処理の手順を、
図2を用いて説明する。
【0023】
図2の処理に先立ち、MFP10のコントローラ11は、タッチパネル171に操作画面を表示し、タッチパネル171を介した操作、MFP10の動作状況などに従って、操作画面の表示を変更していく。操作画面を変更していく処理は、
図2の処理とは並列に実行される。操作画面には、印刷、スキャンなどの処理実行中を示す実行中画面、コピー、スキャンなどの実行指示を受け付けるための指示画面、各種設定変更のための設定画面、MFP10の状態を示すステータス画面、実行指示画面、設定画面などの表示指示を待機する待機画面などがある。
【0024】
図2のステップ10(以下、単にS10と記載する。)では、PC30のブラウザ41は、Web画面の表示要求をMFP10に送信する。ブラウザ41は、例えば、ユーザによりMFP10を指定するURLの入力を受付けた場合に、要求をファームウェア20に送信する。ブラウザ41と、ファームウェア20との間の通信は、http(s)のプロトコルに従い実行される。
【0025】
ファームウェア20は、Web画面の表示要求を受信すると、S11において、Web画面を表示するためのWebページデータである画面データをPC30に送信する。ブラウザ41は、画面データを受信すると、S12で、受信された画面データが示すホーム画面をディスプレイ34に表示させる。ホーム画面には、MFP10で実行可能な機能や、権限(Administrator、General)に対する指定操作を受付けるタブが複数表示される。いずれかのタブが選択された場合、ホーム画面は、選択されたタブに関連づけられた画面に遷移する。本実施形態では、ホーム画面において、管理者権限である「Administrator」が選択されると、ホーム画面は、PC30を操作するユーザに対してログインパスワードを要求するための画面に遷移する。
【0026】
ディスプレイ34に表示されたホーム画面にて、ログイン操作が行われると、ブラウザ41は、S13で、MFP10に対して。管理者権限を有するユーザにのみ表示される管理者用画面の表示要求を行う。このとき、ブラウザ41は、表示要求とともに、入力されたログインパスワード等をMFP10に送信する。ファームウェア20は、管理者用画面の表示要求を受けると、ログインパスワードの認証を行う。そして、ファームウェア20は、認証が成功したことを条件に、S14で、管理者用画面の画面データをPC30に送信する。
【0027】
ブラウザ41は、画像データを受信すると、S15で、管理者用画面をディスプレイ34に表示する。
図3に示す管理者用画面300は、項目選択領域301と、機能表示領域302とを含んでいる。項目選択領域301は、管理者権限のユーザに対して、許可された機能等の一覧が表示される領域である。機能表示領域302は、項目選択領域301で選択された機能に関する画像が表示される領域である。
【0028】
PC30のユーザにより、項目選択領域301に表示された「リモートパネル」の項目303の選択操作を受け付けた場合、ブラウザ41は、S16で、MFP10に対して承認処理の要求を行う。なお、本実施形態では、ブラウザ41は、項目303が選択操作された場合に、再度のログイン操作を要求し、ログイン操作が成功したことを条件に、承認処理の要求を行う。
図3では、管理者用画面300に重畳させて、ユーザ名と、パスワードとの入力を受付けるログイン画面310が表示される。ブラウザ41は、ログイン画面310でのユーザ名とパスワードとの入力を受付けたことを条件に、S16で、MFP10に対して承認処理を要求する。
【0029】
MFP10のファームウェア20は、承認処理の要求を受信すると、S17で、承認処理を実行する。具体的には、ファームウェア20は、ディスプレイ34に承認画面を表示させて、ユーザによる承認操作を受付け可能な承認待ち状態に遷移する。
図4は、MFP10による承認処理において、ディスプレイ34に表示される承認画面400を示す図である。承認画面400には、テキスト領域401と、YESボタン402と、NOボタン403とを含んでいる。テキスト領域401には、ユーザに対してMFP10に対するリモートパネルの実行を承認するか否かを尋ねるテキストが表示される。YESボタン402は、ユーザがリモートパネルの実行を承認する場合に、承認操作を受付けるボタンである。NOボタン403は、ユーザがリモートパネルの実行を承認しない場合に、操作を受付けるボタンである。
【0030】
ユーザによるYESボタン402に対する操作(即ち、承認操作)が行われた場合、S18では、ファームウェア20は、PC30に対して、承認結果として、リモートパネルが承認されたことを示す情報を送信する。このとき、ファームウェア20は、リモートパネルに関するトークンを発行し、トークンをPC30に送信する。ファームウェア20により発行されるトークンは、PC30がリモートパネルを実行することを承認するワンタイムトークンである。具体的には、トークンには、承認された機能の種別、PC30を識別するための情報、状態(機能の実行中、機能の終了)、更には機能を実行するユーザが権限を有する場合のログインID等を含んだ情報である。ファームウェア20は、例えば、機能の種別に応じて、トークンが発行済であるか否かを示す情報をメモリ12に記憶する。一方、ユーザにより、NOボタン403に対する操作が行われた場合、S18では、ファームウェア20は、承認結果として、リモートパネルが承認されなかったことを示す情報を送信する。
【0031】
ブラウザ41は、MFP10からリモートパネルが承認されたことを示す承認結果を受信すると、S19で、リモート画面の表示要求をMFP10に送信する。ファームウェア20は、リモート画面の表示要求を受信すると、S20で、Web画面を更新するためのWebページデータであるリモート画面データを送信する。本実施形態では、リモート画面データは、現在、MFP10のタッチパネル171に表示されている操作画面を示すデータを含んだデータである。ブラウザ41は、リモート画面データを受信すると、S21でリモート画面データを解釈し、ディスプレイ34にリモート画面を表示させる。
図5は、一例として、S21でディスプレイ34に表示される画面である。S21で表示される管理者用画面300には、機能表示領域302にリモート画面330が表示されている。リモート画面330には、画面表示領域331と、操作キー表示領域332と、終了ボタン333とを含んでいる。画面表示領域331には、現在、MFP10のタッチパネル171に表示されている操作画面と同じ画面が表示される。
図5では、一例として、画面表示領域331に、待機画面が表示されている。操作キー表示領域332には、入力IF17の操作キー172を模した画像が表示される。
【0032】
リモート画面データに含まれる、操作画面、操作キー及び終了ボタンを示すデータは、ラスタデータ等の同じデータ形式であってもよいし、それ以外のデータ形式であってもよい。操作画面、操作キー及び終了ボタンを示すデータは、別々のデータ形式であってもよい。また、ファームウェア20は、S20で、リモート画面データとして操作画面を示すデータのみをブラウザ41に送信し、ブラウザ41は、S21で、リモート画面データに操作キー及び終了ボタンを示すデータを重畳してリモート画面を表示するものであってもよい。更に、ファームウェア20は、S20において、リモート画面データをブラウザ41に送信することに代えて、リモート画面データを含む画面全体を表示するためのWebページデータを、ブラウザ41に送信するものであってもよい。
【0033】
ディスプレイ34に表示されたリモート画面330(
図5)に対して操作を受付けた場合、ブラウザ41は、S22で、ファームウェア20に対して、受付けた操作に応じた指示を要求する。このとき、ブラウザ41は、操作に応じた指示の要求とともに、ファームウェア20により発行済みのトークンを送信する。例えば、リモート画面330に対する操作が、画面の更新に係る操作である場合、ブラウザ41は、ファームウェア20に対して、トークンと共に、更新後のリモート画面の表示要求を送信する。ファームウェア20は、PC30からの指示を受けると、トークンが正しいことを条件に、S23で、タッチパネル171に現在表示している画面を、リモート画面を介して受付けた指示に応じて反映させる。S24では、更新後のリモート画面330を表示するためのリモート画面データを作成し、ブラウザ41に送信する。
【0034】
PC30のディスプレイ34に表示されるリモート画面330は、MFP10のユーザが入力IF17を操作する場合にも更新される。この場合、ファームウェア20は、タッチパネル171に表示された画面の変更操作を受付けた場合に、更新後のリモート画面330に係るリモート画面データをPC30に送信する。ブラウザ41は、ユーザによる終了ボタン333に対する操作入力を受付けると、S25で、ファームウェア20に、トークンと共に、リモートパネルの終了要求を行う。ファームウェア20は、PC30からの終了要求を受付けた場合に、トークンが正しいことを条件に、S26で、リモートパネルを終了させるための終了処理を行う。ファームウェア20が、リモートパネルを終了することにより、メモリ12に記憶されたリモートパネルの実行状態を示す情報、トークンの発行済みを示す情報、リモートパネルの許可状態を示す情報等の各種情報は削除される。なお、ファームウェア20は、リモートパネルが開始されてから、一定時間、ブラウザ41からのアクセスがなかった場合も、終了ボタンが押されたときと同様に、リモートパネルを終了してもよい。
【0035】
次に、PC30を操作して、リモートパネル以外の他の機能であるオンライン機能設定を実行する際に、MFP10、PC30、サーバ60との間で行われる処理を説明する。オンライン機能設定は、PC30を操作することで、オンライン上で、上述した「Eメールプリント」、「リモートプリント」、「Scan to Moblile」等に対する初期設定を行う機能である。オンライン機能設定により、PC30及びMFP10を、各種サービスで用いるデバイスとしてサーバ60に登録することが可能となる。
【0036】
ユーザがPC30を操作して、Web画面を表示するための表示操作を行うと、ブラウザ41は、S30で、MFP10に対してWeb画面の表示要求を行う。MFP10のファームウェア20は、Web画面の表示要求を受信すると、S31で、Web画面を表示するための画面データを送信する。
【0037】
ブラウザ41は、画面データを受信すると、S32で、受信された画面データを用いてホーム画面を表示する。S32で表示されるホーム画面は、
図2のS12で表示されるホーム画面と同様の画面である。ユーザがホーム画面のタブ「General(ゲスト)」を選択し、項目選択領域301の項目「オンライン機能設定」を選択操作したとする。S33では、ブラウザ41は、「オンライン機能設定」に係る画面の表示要求を、MFP10に送信する。なお、オンライン機能設定は、ホーム画面のタブ「Adminstrator(管理者)」の選択により表示される管理者用画面からも選択することができる。この場合において、
図2のS12で示したのと同様、ホーム画面において、PC30を操作するユーザに対してログイン操作が要求される。
【0038】
MFP10のファームウェア20は、画面の表示要求を受信すると、S34で、オンライン機能設定に係る画面データをPC30に送信する。S35では、ブラウザ41は、受信された画面データを用いて、
図7に示すオンライン機能設定に係る画面410を表示させる。
図7に示す画面410では、テキスト表示領域411と、実行ボタン412とを含んでいる。テキスト表示領域411は、「Eメールプリント」を含む各種サービスの初期設定をオンライン上で実行可能であることを示すテキストが表示される。実行ボタン412は、オンライン機能設定を開始するための操作を受付けるためのボタンである。
【0039】
ユーザによる実行ボタン412の操作を、入力IF35を介して受付けると、ブラウザ41は、S36で、オンライン機能設定の有効化の要求を行う。ファームウェア20は、有効化の要求を受信すると、S37で、オンライン機能設定に対する承認処理を許可するか否かを判断するための判断処理を行う。
【0040】
図8はS37で実行される判断処理の詳細を示すフローチャートである。S50では、現在、発行されているトークンを解析する。上述のように、トークンは、各種機能又はサービスの実行を許可する場合に、発行される情報である。特に、MFP10に対するリモートパネルが許可されている場合、ファームウェア20は、遠隔操作を行うPCに対してトークンを発行したことをメモリ12に記憶している。具体的には、PC30とのオンライン機能設定に先立ち、PC50とMFP10との間でリモートパネルが実行されている場合、MFP10はPC50に対してトークンを発行している。
【0041】
現在、リモートパネルに関するトークンが発行されている場合、S51を肯定判定して、S52に進む。S52では、判定フラグを、オンライン機能設定に対する承認処理を不許可とする値に設定する。承認処理は、タッチパネル171に承認画面を表示させ、この承認画面に対して、MFP10の身近にいるユーザからの承認操作を受付けることを条件に、機能の実行を許可する処理である。しかし、MFP10に対してリモートパネルを許可した場合、MFP10の身近にいる者以外も承認操作が可能となり、MFP10のセキュリティが低下することが懸念されるためである。
【0042】
一方、現在、リモートパネルに関するトークンが発行されていない場合、S51を否定判定し、S53に進む。S53では、判定フラグを、オンライン機能設定の承認処理を許可する値に設定する。これは、リモートパネルが実行中でなければ、承認処理を行っても、MFP10のセキュリティが低下する可能性が低いためである。S52又はS53の処理を終了すると、
図6のS38に進む。
【0043】
S38では、S37での判断処理により、承認処理が許可されたか否かを判断する。具体的には、S38で、判定フラグが許可を示す値に設定されている場合、S40に進む。S40では、ファームウェア20は、承認処理を行うために、承認待ち状態に遷移する。即ち、ファームウェア20は、承認処理において、ディスプレイ34に承認画面を表示させて、ユーザによる入力IF17を介した承認操作を受付ける。S40で表示される承認画面は、
図4で示されるリモートパネルでの承認画面と同様、オンライン機能設定の実行を承認する承認操作、又は承認しない操作を受付ける画面である。ファームウェア20は、承認画面において承認操作を受付けた場合、S41に進む。一方、ファームウェア20は、承認画面において承認操作を受付けない場合、
図6の処理を終了することで、オンライン機能設定を実行しない。
【0044】
S41では、ファームウェア20と、管理サーバとの間で、MFP10を各種サービスで使用するデバイスに登録する本体セットアップ処理を行う。S42では、ファームウェア20と管理サーバとの間で、オンライン機能設定に関するトークンの取得処理が行われる。上述のようにトークンには、オンライン機能設定を許可するに際し、発行される情報である。
【0045】
S43では、ファームウェア20は、PC30に対してオンライン機能設定における設定画面のアドレスを示すURLを送信する。S43で送信されたURLによりアドレスが指定される設定画面は、各種サービスの設定を、オンライン上で設定するための画面であり、サービスサーバにより提供されるWebページである。S44では、PC30のブラウザ41は、MFP10から送信されたURLに対してリダイアルを行うことで、オンライン機能設定の設定画面をディスプレイ34に表示させる。
【0046】
S38で、判定フラグが不許可を示す値に設定されている場合、S39に進む。S39では、ファームウェア20は、オンライン機能設定を不許可としたことをユーザに通知するための通知処理を行う。具体的には、ファームウェア20は、現在、リモートパネルの実行中であり、オンライン機能設定を不許可としたことをタッチパネル171に表示させる。このとき、MFP10に対してリモートパネルが実行されているため、ファームウェア20は、リモートパネルによる遠隔操作元のPCに対しても、タッチパネル171に表示されたオンライン機能設定を不許可にしたことを示す画面を、PC30に表示させてもよい。即ち、ファームウェア20は、リモートパネルが実行されていることが判断されている場合に、ディスプレイ34に承認画面を表示させない。なお、S39の処理を終了した後、
図6の処理が終了される。本実施形態では、ファームウェア20が実行するS38,S39,S40の処理が実行制御処理の一例である。
【0047】
以上説明した本実施形態では以下の効果を奏することができる。
MFP10のコントローラ11は、タッチパネル171に表示された承認画面に対して受付けた承認操作により、オンライン機能設定の開始を許可することができる。コントローラ11は、承認処理に対する開始要求を受付けた場合に、リモートパネルの実行中であると判断した場合に、承認処理を実行せず、リモートパネルが実行されていないと判断した場合に、承認処理を実行する。これにより、MFP10の近くにいないユーザによる遠隔操作により承認処理が実行されてしまうことを防止し、ひいてはMFP10のセキュリティの低下を抑制することができる。
【0048】
コントローラ11は、リモートパネルの実行中であることを判断した場合に、リモートパネルの実行中であることをタッチパネル171に表示させる。これにより、MFP10を操作するユーザは、リモートパネルが実行中であることに起因して、オンライン機能設定を実行できないことを判断することができる。
【0049】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態と異なる構成を主に説明を行う。第2実施形態において第1実施形態と同一の箇所については同じ符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0050】
第1実施形態では、PC30のブラウザ41が、ファームウェア20から送信されたWebページデータを用いてオンライン機能設定を実行した。これに代えて、本実施形態では、PC30は、ブラウザ41上でのオンライン機能設定の実行に加えて、アプリケーション42上でのオンライン機能設定を実行可能である。
【0051】
図9は、本実施形態において、オンライン機能設定を実行する場合の、各装置の処理を示すタイミングチャートである。まずは、ユーザが、アプリケーション42上で、オンライン機能設定の選択操作を行った場合を説明する。アプリケーション42は、S60で、MFP10に対して能力情報の取得要求を行う。能力情報は、MFP10で実行可能な機能の種別や、サービスの種別を示す情報である。具体的には、MFP10がオンライン機能設定に対応している場合、能力情報で示される項目にはオンライン機能設定が含まれている。
【0052】
MFP10のファームウェア20は、能力情報の取得要求を受信すると、S61で、自装置の能力情報をメモリ12から読み出し、送信する。
【0053】
PC30のアプリケーション42は、S61で送信された能力情報により、MFP10がオンライン機能設定に対応していることを判断することができる。そのため、S62で、オンライン機能設定に応じた設定画面を表示する。具体的には、アプリケーション42は、
図10に示す設定画面500を表示させる。設定画面500には、テキスト表示領域501と、有効化ボタン502とを含んでいる。テキスト表示領域501は、ネットワーク200を通じて、各種サービスに対するオンライン機能設定を行えることを示すテキストが表示されている。有効化ボタン502は、オンライン機能設定の開始操作を受付けるためのボタンである。
【0054】
アプリケーション42は、設定画面500上で有効化ボタン502の操作を受付けたことを検出すると、S63で、MFP10に対して、オンライン機能設定の有効化を要求する。
【0055】
MFP10のファームウェア20は、有効化の要求を受信すると、S64で、オンライン機能設定の実行を許可するか否かを判断するための判断処理を行う。
図11はS64で実行される判断処理の詳細を示すフローチャートであり、主体はファームウェア20である。S50では、現在、発行されているトークンを解析する。S50の判断により、現在、リモートパネルに関するトークンが発行されている場合、S51を肯定判定して、S80に進む。
【0056】
S80では、承認処理の対象となるオンライン機能設定の重要度が、リモートパネルの重要度よりも高いか否かが判断される。本実施形態では、重要度の対比として、管理者権限で実行される機能の重要度を、ゲスト権限で実行される機能の重要度よりも高くしている。具体的には、管理者権限で実行されるブラウザ41上でのオンライン機能設定の重要度は、リモートパネルの重要度と同じになる。一方で、ゲスト権限で実行されるブラウザ41上でのオンライン機能設定の重要度は、リモートパネルの重要度よりも低くなる。更に、アプリケーション42上で実行されるオンライン機能設定は、ゲスト権限で実行されるため、その重要度はリモートパネルの重要度よりも低くなる。本実施形態では、管理者権限で実行されるブラウザ41上でのオンライン機能設定が第1の機能の一例である。ゲスト権限が、管理者権限よりも低い権限の一例である。ゲスト権限で実行されるブラウザ41上でのオンライン機能設定、及びアプリケーション42上で実行されるオンライン機能設定が第2の機能の一例である。
【0057】
承認処理の対象となる機能の重要度がリモートパネルの重要度と同じ又は低い場合、S80を否定判定して、S82に進む。S82では、承認処理の対象となる機能の重要度が、リモートパネルの重要度と同じであるか否かを判断する。ここでは、承認処理の対象は、アプリケーション42上でのオンライン機能設定であるため、S82を否定判定して、S52に進む。S52では、判定フラグを、オンライン機能設定に対する承認処理の不許可を示す値に設定する。
【0058】
一方、現在、リモートパネルが実行されておらず、S51を否定判定すると、S53に進み、判定フラグを、オンライン機能設定に対する承認処理の許可を示す値に設定する。S52又はS53の処理を終了すると、
図9のS65に進む。
【0059】
S65では、MFP10のファームウェア20は、S64での判断処理により、オンライン機能設定に対する承認処理の実行が許可されたか否かを判断する。具体的には、S64で、判定フラグが承認処理の許可を示す値である場合、S67に進む。
【0060】
S67では、ファームウェア20は、承認処理を開始するために承認待ち状態に遷移する。ファームウェア20は承認待ち状態に遷移すると、タッチパネル171に承認画面を表示させる。このとき、
図11のS51を否定判定してS53に進んだ場合では、MFP10に対してリモートパネルが実行されていない。そのため、ファームウェア20は、MFP10のタッチパネル171に表示された承認画面に対する操作のみで承認処理を実行する。この場合において、ファームウェア20は、PC30に対して、
図12に示すように、現在、承認処理中であることを示す画面510を表示させる。なお、
図12に示す画面510において、ユーザがキャンセルボタン511を操作すると、PC30からMFP10に対して、承認処理の終了要求が送信される。一方、承認画面において承認操作を受付けた場合、S68に進む。なお、ファームウェア20は、承認画面において承認操作を受付けない場合、オンライン機能設定を終了する。
【0061】
S68では、ファームウェア20と、管理サーバとの間で、MFP10を各種サービスに使用するデバイスに登録する本体セットアップ処理を行う。S69では、PC30を、各種サービスで使用する端末に設定する端末セットアップ処理を行う。このとき、アプリケーション42と、管理サーバとの間で、トークンの取得処理が行われる。
【0062】
S70では、アプリケーション42は、ファームウェア20に対して、S68及びS69での各処理が終了したことを示すアクセス終了通知を行う。S71では、ファームウェア20は、アクセス終了通知を受信すると、S72で、PC30に対して応答通知を行う。S72では、ファームウェア20は、リモートパネルが後述するS81(
図11)の処理により一時的に中断されているか否かを判断する。ここでは、S81での処理により、リモートパネルが中断されていないとして、ファームウェア20は、S72の処理を実行しない。
【0063】
一方、S65を否定判定する場合、S66に進み、ファームウェア20は、オンライン機能設定に関する承認処理を不許可としたことをユーザに通知するための通知処理を行う。S66で実行される通知処理では、ファームウェア20は、PC30に
図13に示す通知画面530を表示させるための画面データを送信する。通知画面530は、他のユーザがMFP10をリモートパネルで使用中であることを示すテキストと、オンライン機能設定を終了する操作を受付ける戻るボタン532を含んでいる。ユーザが、PC30の入力IF35を介して、戻るボタン532を操作した場合、
図9の処理は終了される。なお、S66において、S39で実行される通知処理と同様、ファームウェアは、現在、リモートパネルの実行中であり、オンライン機能設定に関する承認処理を不許可としたことをタッチパネル171に表示させてもよい。本実施形態では、ファームウェア20が実行するS65,S66,S67の処理が実行制御処理の一例である。
【0064】
次に、ユーザが、第1実施形態と同様、ブラウザ41上で、オンライン機能設定の選択操作を行った場合を例に説明を行う。なお、ブラウザ上でオンライン機能設定を実行する場合、
図9のS60,S61,S62の各処理を、
図6のS30,S31,S32の各処理に置き換えればよい。S64の処理を詳細に示す
図11のS50でリモートパネルに係るトークンの有無を判断した後、S51に進む。S51を肯定判定した場合、S80に進み、承認処理の対象となる機能の重要度が、リモートパネルの重要度よりも高いか否かを判断する。承認処理の対象が、ゲスト権限で実行されるブラウザ41上でのオンライン機能設定である場合、S80を否定判定して、S82に進む。更に、S82を否定判定し、S52に進み、判定フラグを、不許可を示す値に設定する。
【0065】
一方、承認処理の対象が、管理者権限で実行されるブラウザ41上でのオンライン機能設定である場合、その重要度はリモートパネルの重要度と同じであるため、S80を否定判定した後、S83を肯定判定して、S83に進む。S83では、タッチパネル171に問合せ画面を表示させる。問合せ画面は、MFP10の周囲にいるユーザに対して、リモートパネルの実行中であっても、オンライン機能設定に対する承認画面を表示させるか否かの問合せを行う画面である。問合せ画面上で、ユーザが承認処理を優先する操作を行った場合、S84を肯定判定し、S53に進む。S53では、判定フラグを、オンライン機能設定に対する承認処理を許可する値に設定する。これは、リモートパネルが実行中の場面において、ユーザ自らが、承認処理の実行を選択したためである。
【0066】
ユーザが問合せ画面上で、承認処理を優先しない操作を行った場合、S84を否定判定し、S85に進む。S85では、リモートパネルは終了したか否かを判断し、S85を否定判定する場合、待機する。即ち、現在、実行中のリモートパネルが終了するまで、判定フラグの値を設定しない。例えば、PC50により、実行中のリモートパネルが終了し、PC50からリモートパネルの終了指示を受信した場合、S85を肯定判定し、S53に進む。S53では、判定フラグを、オンライン機能設定に対する承認処理を許可する値に設定する。
【0067】
なお、S82を肯定判定した場合において、ファームウェア20は、問合せ画面をタッチパネル171に表示させなくともよい。この場合において、S82を肯定判定した場合、直ちにS53に進む。そのため、S83,S84の処理は省略すればよい。
【0068】
S80において、承認処理の対象となる機能の重要度がリモートパネルの重要度よりも高い場合、S80を肯定判定して、S81に進む。S81では、リモートパネルの実行を一時的に中断にする。これは、承認処理の対象となる機能の重要度が高いため、承認処理において他のユーザによる遠隔操作を防止するためである。S81の処理を終了すると、S53に進み、判定フラグを、オンライン機能設定に対する承認処理を許可する値に設定する。S52又はS53の処理を終了すると、
図9のS65に進む。その後、ファームウェア20は、S65を肯定判定すると、S67に進み、承認処理を実行する。このとき、
図11のS84を肯定判定して、承認処理を実行する場合、MFP10に対してリモートパネルが実行されている。そのため、承認処理では、ユーザは、MFP10のタッチパネル171に表示された承認画面、又はPC50のディスプレイ34に表示された承認画面(リモート画面)に対する承認操作が可能となる。言い換えると、MFP10は、PC30のディスプレイ34に表示された承認画面(リモート画面)に対する承認操作に応じて、通信IF16により受信された指示により、オンライン機能設定の開始を許可することが可能となる。
【0069】
S68~S71の処理が実行された後、ファームウェア20は、S72では、リモートパネルの実行が、S81(
図11)での処理により一時的に中断されているか否かを判断する。S81での処理により、リモートパネルが中断されている場合、ファームウェア20は、リモートパネルの中断を解除する。
【0070】
以上説明した本実施形態では、以下の効果を奏することができる。
コントローラ11は、リモートパネルの実行中であると判断しており、かつ承認処理の開始要求を受付けた他の機能の重要度が、リモートパネルにおける重要度よりも高い場合に、リモートパネルを中断した状態で開始要求を受付けた承認処理を実行し、この承認処理の完了後に、リモートパネルを再開する。コントローラ11は、リモートパネルの実行中であると判断しており、かつ承認処理の開始要求を受付けた機能の重要度が、リモートパネルにおける重要度よりも低い場合に、開始要求を受付けた承認処理を実行しない。これにより、重要度の高い機能に対してはリモートパネル中でも承認処理が実行されるため、一律に、開始要求を受けた承認処理が実行されないことに伴う悪影響を抑制することができる。
【0071】
コントローラ11は、リモートパネルの実行中であると判断しており、かつ承認処理の開始要求を受付けた他の機能の重要度が、リモートパネルにおける重要度と同じである場合に、承認処理を優先して実行するか否かを問い合わせる問い合わせ画面を、ディスプレイに表示させる。問い合わせ画面に対して承認処理を優先する旨の指示操作があった場合に、承認画面をディスプレイ34に表示させて、承認画面に対する承認操作に応じて他の機能の開始を許可し、問い合わせ画面に対して承認処理を優先しない旨の指示操作があった場合に、開始要求を受付けた承認処理を保留する。これにより、リモートパネルの実行中であっても、ユーザが承認処理を承諾した場合は、承認処理が行われるため、一律に承認処理を実行しない場合と比べて、他の機能の許可、不許可を柔軟に行うことができる。
【0072】
コントローラ11は、開始要求を受付けた承認処理を保留した後、リモートパネルの終了指示を外部端末から受信した場合に、保留された承認処理を実行する。これにより、セキュリティの低下が危ぶまれる場面を回避した状態で、他の機能に係る承認処理を実行することができる。
【0073】
(第2実施形態の変形例)
上述した第2実施形態では、重要度の対比として、機能を実行するユーザの権限(管理者権限、ゲスト権限)の有無を比較した。これに代えて、各機能に応じて、予め重要度の高低を定めておくものであってもよい。この場合において、ファームウェア20は、オンライン機能設定の重要度がリモートパネルの重要度よりも高く設定されている場合に、
図11のS80を肯定判定して、S81に進む。一方、ファームウェア20は、オンライン機能設定の重要度がリモートパネルの重要度よりも低く設定されている場合に、
図11のS80及びS82を否定判定して、S52に進む。
【0074】
(その他の実施形態)
本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
上述した実施形態では、他の機能として、オンライン機能設定を例に説明を行った。これに限らず、他の機能は、承認処理を必要とする機能やサービスであれば、どのようなものであってもよい。例えば、「Eメールプリント」、「リモートプリント」、「Scan to Moblile」等のサービスを他の機能としてもよい。この場合において、各サービスの実行に先立ち、承認処理が必要である場合に、PC30がMFP30に対してサービスの開始を要求(例えば、
図6のS36の有効化の要求)した場合に、S37の判断処理を実行すればよい。
【0075】
上述した実施形態では、表示装置の一例として、MFP10を例に挙げて説明したが、表示装置は、タッチパネルやディスプレイ等、承認画面を表示できるものであればよく、プリンタやスキャナ、コピー機であってもよい。端末の一例として、PCを例に挙げて説明したが、端末は、スマートフォンなどのモバイル端末であってもよい。
【符号の説明】
【0076】
10…MFC、11…コントローラ、17…入力IF、20…ファームウェア、30,50…PC、100…画像形成システム