(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154080
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】型締装置
(51)【国際特許分類】
B29C 45/64 20060101AFI20221005BHJP
B22D 17/26 20060101ALI20221005BHJP
B22D 18/02 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
B29C45/64
B22D17/26 A
B22D18/02 V
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056950
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】田島 久良
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 裕記
【テーマコード(参考)】
4F202
【Fターム(参考)】
4F202CA11
4F202CB01
4F202CL01
4F202CL22
4F202CL39
4F202CL44
4F202CL48
4F202CL50
(57)【要約】
【課題】 型締装置の固定盤または可動盤の軽量化を可能にするか、または型締装置の全長を短くする。
【解決手段】 型締装置2は、固定金型11が取り付けられる固定盤12に対して可動金型13が取り付けられる可動盤14をタイバ24に沿って型開閉方向に移動させる型開閉機構15と、前記固定金型11と可動金型13を型締する型締機構16を備えた型締装置2において、前記固定盤12または前記可動盤14は、盤の背面側に、タイバ24が挿通されるタイバ挿通部の延設部分44と、隣り合うタイバ挿通部の延設部分44,44を含む部分同士をそれぞれ連結するとともに内部に空洞部45を有する連結部46とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定金型が取り付けられる固定盤に対して可動金型が取り付けられる可動盤をタイバに沿って型開閉方向に移動させる型開閉機構と、前記固定金型と可動金型を型締する型締機構を備えた型締装置において、
前記固定盤または前記可動盤は、盤の背面側に、
タイバが挿通されるタイバ挿通部の延設部分と、
隣り合うタイバ挿通部の延設部部分を含む部分同士をそれぞれ連結するとともに内部に空洞部を有する連結部と、を備えた、型締装置。
【請求項2】
固定金型が取り付けられる固定盤に対して可動金型が取り付けられる可動盤をタイバに沿って型開閉方向に移動させる型開閉機構と、前記固定金型と可動金型を型締する型締機構を備えた型締装置において、
前記固定盤または前記可動盤は、盤の背面側に、
タイバが挿通されるタイバ挿通部の延設部分と、
隣り合うタイバ挿通部の延設部を含む部分同士の外側部分をそれぞれ連結する外側連結部と、
隣り合うタイバ挿通部の延設部を含む部分同士の内側部分をそれぞれ連結する内側連結部と、
を少なくとも備えた額縁形状の延設部を備えた、型締装置。
【請求項3】
盤の背面側のタイバ挿通孔の近傍にはハーフナットが取り付けられた、請求項1または請求項2に記載の型締装置。
【請求項4】
固定金型が取り付けられる固定盤に対して可動金型が取り付けられる可動盤をタイバに沿って型開閉方向に移動させる型開閉機構と、前記固定金型と可動金型を型締する型締機構を備えた型締装置において、
前記可動盤は、
前記可動金型が取り付けられる金型取付面を備えた金型取付部と、
前記金型取付部の背面側に接続され、タイバが挿通されるタイバ挿通部の延設部分を含む部分同士をそれぞれ連結するとともに内部に空洞部を有する連結部とを備え、
前記連結部の内壁面を含む壁面により形成された凹部内にエジェクタ機構のエジェクタプレートが配置された、型締装置。
【請求項5】
固定金型が取り付けられる固定盤に対して可動金型が取り付けられる可動盤をタイバに沿って型開閉方向に移動させる型開閉機構と、前記固定金型と可動金型を型締する型締機構を備えた型締装置において、
前記可動盤は、可動金型が取り付けられる金型取付面を備えた第1の可動盤と、該第1の可動盤と型締機構により接続された第2の可動盤とを備え、
前記第2の可動盤は、前記タイバが挿通されるタイバ挿通部の延設部分を含む盤本体部と、
前記盤本体部の背面外縁側に延設形成され、前記タイバ挿通部の延設部分を含む部分同士をそれぞれ連結するとともに内部に空洞部を有する連結部とを備え、
前記連結部の内壁面を含む壁面により凹部が形成され、該凹部内、第1の可動盤、第1の可動盤と第2の可動盤の間のいずれかにエジェクタ機構のエジェクタプレートが配置された、型締装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定金型が取り付けられる固定盤に対して可動金型が取り付けられる可動盤をタイバに沿って型開閉方向に移動させる型開閉機構と、前記固定金型と可動金型を型締する型締機構を備えた型締装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
型締装置については、工場の設置スペースの問題からその全長が問題となる。固定盤と可動盤と受圧盤を備え、可動盤と受圧盤の間にトグル機構を備えたトグル式型締装置と比較して、固定盤と可動盤を備え、型開閉機構と型締機構が別個に設けられた型締装置のほうが全長を短くできることが知られている。上記のような事情に対して、特許文献1は、エジェクタ装置のエジェクタプレートを駆動部に対して可動盤背面から遠ざかる側に設けることにより、更に型締装置の全長を短くする工夫がなされている。
【0003】
また型締装置については、固定盤や可動盤の重量が問題となる。固定盤や可動盤の重量は、固定盤や可動盤自体のコストに直結する。また可動盤の重量は、可動盤を移動させる機構自体のコストや、可動盤を移動させる際のランニングコストに直結する。更に特に大型の型締装置では、固定盤や可動盤の重量は、製造工場から顧客の工場に型締装置を移動させる際の運送コストに直結し、場合によっては搬送できる車両や道路について制限を受けることがある。上記のような事情に対して、特許文献2は、リブ構造を多用することにより、更に可動盤の軽量化についての工夫がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-290184号公報
【特許文献2】特開平8-267463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1の射出成形機の型締装置のエジェクタ装置は、可動盤の背面25aよりも更に背面側にエジェクタプレート45が設けられているので、さほど型締装置の全長短縮にならない場合があった。また特許文献1では可動盤のタイバが挿通される部分は中央部分よりもやや板厚が厚くなっているが全て中実部となっており、台盤の軽量化を実現できないものであった。更に特許文献2の型締装置の可動盤は、可動盤の中央部が中実ボス20cとして板厚が厚くなっているので、エジェクタ機構等を設置ずる際に特別な工夫が必要となり、型締装置の全長が長くなる場合があった。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態に係る型締装置は、固定金型が取り付けられる固定盤に対して可動金型が取り付けられる可動盤をタイバに沿って型開閉方向に移動させる型開閉機構と、前記固定金型と可動金型を型締する型締機構を備えた型締装置において、前記固定盤または前記可動盤は、盤の背面側に、タイバが挿通されるタイバ挿通部の延設部分と、隣り合うタイバ挿通部の延設部分を含む部分同士をそれぞれ連結するとともに内部に空洞部を有する連結部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
型締装置は、固定金型が取り付けられる固定盤に対して可動金型が取り付けられる可動盤をタイバに沿って型開閉方向に移動させる型開閉機構と、前記固定金型と可動金型を型締する型締機構を備えた型締装置において、前記固定盤または前記可動盤は、盤の背面側に、タイバが挿通されるタイバ挿通部の延設部分と、隣り合うタイバ挿通部の延設部分を含む部分同士をそれぞれ連結するとともに内部に空洞部を有する連結部とを備えるので、固定盤または可動盤の軽量化、型締装置の全長短縮、固定盤または可動盤の重量抑制と型締装置の全長抑制をバランス良く実現、の少なくとも一つを達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態の射出成形機の型締装置の側面図である。
【
図2】第1の実施形態の可動盤等を
図1のA方向から見た正面図である。
【
図3】第1の実施形態の可動盤本体の斜視図である。
【
図4】第1の実施形態の可動盤等を
図2のB-B矢視図である。
【
図5】第1の実施形態の可動盤等を
図2のC-C矢視図である。
【
図6】第1の実施形態の可動盤本体を
図1のD-D矢視図である。
【
図7】第2の実施形態の射出成形機の型締装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜簡略化されている。また、図面が煩雑にならないように、ハッチングが省略されている部分がある。
<型締装置の概略構成>
【0011】
本発明の1実施形態の射出成形機1の型締装置2の概略について
図1を参照して説明する。
図1は型閉状態の射出成形機1の型締装置2の側面図であって一点鎖線の中心線より上側半分は型締装置の中心部の縦断面について隠れ線を破線で記載され、中心線よりも下側半分は型締装置のタイバの軸心部の縦断面について隠れ線を破線で記載されている。射出成形機1は、基台3上に型締装置2と射出装置4を備えている。型締装置2は、固定金型11が取り付けられる固定盤12に対して可動金型13が取り付けられる可動盤14を移動させる2基の型開閉機構15と固定金型11と可動金型13の型締を行う4基の型締機構16の型締シリンダ17を備えたものである。なお型締機構16については電動モータを使用したものでもよい。また射出装置4は加熱シリンダ18内部に図示しないスクリュ等を備えるとともに加熱シリンダ18の先端にはノズル19を備えている。
【0012】
基台3上に固定される固定盤12の金型取付面20には図示しないクランプ装置が設けられ、該クランプ装置により固定金型11が金型取付面20に取り付け可能となっている。また固定盤12の金型取付面20とは反対側の背面21の中央部には前記射出装置4のノズル19を挿入するためのすり鉢部22が設けられ、すり鉢部22の中央には固定金型11に前記ノズル19が接続される孔が設けられている。また固定盤12内部の四隅近傍には型締機構16の型締シリンダ17がそれぞれ設けられている。型締シリンダ17はピストン23の前側のロッドがタイバ24を構成している。従って本発明では、固定盤12にタイバ24が取り付けられている。型締シリンダ17は、ピストン23の前側に型締側油室25を備え、ピストン23の後側に強力型開側油室26を備えた復動シリンダである。また型締シリンダ17は図示しない油圧装置に接続されている。また固定盤12の背面21側にはタイバ24の位置調整機構32が設けられ、後述する係合溝27とハーフナット31の係合時のタイバ24の位置調整が可能となっている。
【0013】
前記各タイバ24の外周の先端側近傍位置には、係合溝27が型開閉方向の所定の長さにわたって複数同じピッチの溝が形成されている。そして各タイバ24は、可動盤14の四隅近傍に設けられたタイバ挿通孔28にそれぞれ挿通されている。そして可動盤14は、タイバ24に沿って基台3上を移動可能となっている。なお型締装置2は基台3上の可動盤14の背面29側に、前記可動盤14とは一定間隔を隔てて各タイバ24を保持するためのタイバホルダを設けてもよい。
【0014】
可動盤14の金型取付面30には図示しないクランプ装置が設けられ、該クランプ装置により可動金型13が金型取付面30に取り付け可能となっている。また可動盤14の金型取付面30とは反対側の背面29のタイバ挿通孔28の近傍にはハーフナット31が取り付けられている。そしてハーフナット31は、前記タイバ24の係合溝27に係合可能となっている。なお固定盤12と可動盤14の金型取付面20,30は、加熱冷却金型やホットランナ金型を使用する場合には必要に応じて断熱板が取り付けられる。
【0015】
また基台3上には、固定金型11が取り付けられる固定盤12に対して可動金型13が取り付けられる可動盤14を近接・離間移動させる型開閉機構15が2基配設されている。本実施形態では型開閉機構15は電動機構を用いたものであり、サーボモータ33と、ボールねじ機構のボールねじ34、ボールねじナット35等を備えている。サーボモータ33は、図示しない制御装置と接続されている。なお型開閉機構は、油圧シリンダを用いたものでもよい。
<可動盤の説明>
【0016】
次に
図2ないし
図6を参照して可動盤14の詳細について説明する。
図2は、可動盤等を
図1のA方向から見た正面図である。
図3は、可動盤本体の斜視図である。
図4は、第1の実施形態の可動盤等を
図2のB-B矢視図である。
図5は、第1の実施形態の可動盤等を
図2のC-C矢視図である。
図6は、第1の実施形態の可動盤本体を
図1のD-D矢視図である。
【0017】
本明細書において可動盤14における可動盤本体39とは、他の部材が取り付けられていない状態の塊を指す。可動盤本体39は、鋳造による鋳鉄製であり、面精度を出す目的やボルト穴等を形成する目的のために後から機械加工がなされ、他の部材が取り付けられて可動盤14となる。可動盤本体39は、可動金型13が取り付けられる金型取付面30を備えた金型取付部40と、金型取付部40の背面側に接続される延設部41を備えている。そして延設部41は、隣り合うタイバ24がそれぞれ挿通されるタイバ挿通部の延設部分44,44、またはタイバ挿通部の延設部分44、44を含む部分同士をそれぞれ連結するとともに内部に空洞部45を有する連結部46とを備えている。なお可動盤本体39については、金型取付部40、延設部41であるタイバ挿通部の延設部分44および連結部46等の名称を付与して説明しているが、上記のように鋳造等により一体に成型されるものであるので、各部に明確な境界があるわけではない。
【0018】
可動盤本体39について更に詳しく説明すると、金型取付部40は可動金型13が取付けられる金型取付面30を備えており、金型取付面30には図示しない金型クランプ装置やボルト穴、金型用の各種バルブ等を備えている。金型取付部40の四隅近傍にはタイバ24が挿通されるタイバ挿通孔28が設けられる。金型取付部40のうちタイバ挿通孔28を備えた部分は、タイバ挿通部42のうちの金型取付面側の部分43であり、前記部分のタイバ挿通孔28にはタイバ24をガイドするブッシュ(図示せず)が嵌められている。また金型取付部40の中央側には前記したエジェクタロッド47のロッド孔48などが形成されている。金型取付部40はタイバ挿通孔28、エジェクタロッド47のロッド孔48、図示しないボルト穴等は形成されているが、それ以外の部分は中実の部材である。
【0019】
可動盤本体39の金型取付部40の背面側には延設部41が形成されている。
図4における可動盤本体39の下半分側のタイバ部分の断面、および
図6に示されるように、延設部41のうちの四隅にはタイバ挿通部の延設部分44のうちの盤の背面側の部分であるタイバ挿通部の延設部分44が形成されている。タイバ挿通部の延設部分44は型開閉方向の軸心部分にタイバ24が挿通されるタイバ挿通孔28を備えた略円筒形の部材である。ただしタイバ挿通部の延設部分44は、後述する他の部分との連結関係において断面がドーナツ状のものとは限らない。
【0020】
また
図5および
図6に示されるように可動盤14の盤の背面側の延設部41のうちタイバ挿通部の延設部分44から可動盤の中心Oに向けてタイバ24の直径よりも幅広の放射方向厚肉部49が形成されている。タイバ挿通部の延設部分44とその内側の放射方向厚肉部49は、型締時の型締力を最も多く直接的に可動金型13に伝達する型締力伝達部36である。なお放射方向厚肉部49の型開閉方向の長さについては、タイバ挿通部の延設部分44の近傍側に位置する部分の長さは、タイバ挿通部の延設部分44や後述する連結部46と同じ長さを備えている。しかし放射方向厚肉部49の可動盤14の中心Oの側の型開閉方向の長さは、
図3、
図5に示されるようにタイバ挿通部の延設部分44や連結部46の型開閉方向の長さよりも短くなっている。このことは主には可動盤14の軽量化のためであり、型締時の可動盤本体39の応力に対して安全率を見越して、放射方向厚肉部49のうち強度上の無くても問題ない部分は型開閉方向の板厚が薄くなっている。
【0021】
そして金型取付部40の背面に接続される延設部41のうち隣り合うタイバ挿通部の延設部分44同士、または隣り合うタイバ挿通部の延設部分44とその他の部材である放射方向厚肉部49同士を接続して連結部46が形成されている。
図2および
図6に示されるように、前記連結部46は、上側2本のタイバ24がそれぞれ挿通される隣り合うタイバ挿通部の延設部分44,44、またはタイバ挿通部の延設部分44を含む部分同士を連結する上部水平連結部50、下側2本のタイバ24がそれぞれ挿通される隣り合うタイバ挿通部の延設部分44,44、またはタイバ挿通部の延設部分44を含む部分同士を連結する下部水平連結部51、操作側の2本のタイバ24がそれぞれ挿通される隣り合うタイバ挿通部の延設部分44,44、またはタイバ挿通部の延設部分44を含む部分同士を連結する操作側垂直連結部52、反操作側の2本のタイバ24がそれぞれ挿通されるタイバ挿通部の延設部分44,44またはタイバ挿通部の延設部分44,44を含む部分同士を連結する反操作側垂直連結部53の4本の連結部からなっている。従って可動盤14の対角方向に位置するタイバ挿通部の延設部分44,44同士(例えば操作側上部と反操作側下部のタイバ挿通部の延設部分44同士)は隣り合うタイバ挿通部の延設部分44同士ではなく、連結部46により連結されない。
【0022】
そして
図2ないし
図6に示されるように、可動盤14の盤の背面側は、上記した部材により額縁形状に延設部41が突出した形状となっている。なお本発明において額縁形状とは、延設部41の外壁面や内壁面に凹凸や曲面、角度が変化する平面等を備えたものも含まれ、完全に四角形のものに限定されない。また
図1および
図6に示されるように、下側のタイバ挿通部の延設部分44,44の更に下面側には、可動盤14を基台3に載置するための支持部54が設けられ、支持部54には車輪やボールが取り付けられた脚部55が取り付けられている。そして前記脚部55が基台3上のレール56の上を移動する。
【0023】
前記構造により可動盤14は、
図1の矢印A方向から見て、金型取付部40の中央側は相対的に型開閉方向の板厚が薄く、金型取付部40の外縁側は、金型取付部40の背面側にタイバ挿通部の延設部分44と連結部46等からなる延設部41を備えるので型開閉方向の板厚が厚くなっている。そして
図3ないし
図5に示されるように可動盤14の盤の背面側の額縁形状の延設部41の内側には凹部57が形成されている。そして前記凹部57の内部において各タイバ挿通部の延設部分44の四隅側には、上記した放射方向厚肉部49のうちの金型取付部40の背面59から突出したブロック形状の厚肉部58が形成されている。なお厚肉部58の部分は、
図1において矢印A方向から投影した際に、可動盤14に取り付けられた可動金型13の一部と重なって投影される部分である。そのため
図5に示されるように型締時の可動金型13からの反力のうちの多くは、金型取付部40の薄肉部60ではなく、金型取付部40に接続される放射方向厚肉部49の厚肉部58を介して連結部46を含む額縁形状の延設部41全体に伝達される。また凹部57の底部に相当する金型取付部40の背面59のうちの厚肉部58以外の
図2において十字形状の部分は更に板厚が薄い薄肉部60となっている。そして前記薄肉部60にエジェクタロッド47のロッド孔48が形成されている。なお第1の実施形態では、厚肉部58は中実に描画されているが、背面側から金型取付面30側に向けて複数または単数の長穴や円形穴を設けて更に軽量化を図ってもよい。その場合穴の深さは、金型取付部40の薄肉部60の背面59位置と同じ程度の深さ、またはそれよりもやや浅い深さであることが望ましい。
【0024】
図3ないし
図6により連結部46について更に説明する。それぞれの連結部46の形状は若干の相違があるが、機能的には同じであるので、上部水平連結部50について説明する。上部水平連結部50は、タイバ挿通部の延設部分44同士を連結する外側連結部61と、タイバ挿通部の延設部分44を含む部分である放射方向厚肉部49同士を連結する内側連結部62を備えており、両者の間は軽量化のために空洞部45となっている。なお第1の実施形態では空洞部45は1個形成されているが、空洞部45を複数個設けたり、空洞部45の内部に外側連結部61と内側連結部62を接続するリブや柱を設けてもよい。なお連結部46の外側連結部61と内側連結部62は、それぞれタイバ挿通部の延設部分44を含む部分同士の間に連結されていればよい。
【0025】
図3および
図5に示されるように外側連結部61は、可動盤14の外側側壁部の外壁面38を構成する部分である。外側連結部61にも軽量化の目的のために外界側と空洞部45とを接続する孔部63が形成されている。孔部63の形状および数は限定されないが、第1の実施形態では、外側連結部61のタイバ挿通部同士の中間位置に型開閉方向にリブ64が形成されて、前記リブ64の両側に孔部63が形成されている。また孔部63は、可動盤本体39の鋳造時に空洞部45を設けるためにも必要であり、その結果、空洞部45は孔部63により外界と接続される開放空洞部となっている。また第1の実施形態では、タイバ挿通部の延設部分44の内側部分から外側連結部61が接続され、タイバ挿通部の延設部分44と外側連結部61の外壁面38の間には凹溝部65が形成され、この部分における応力集中を回避している。なお前記リブ64および孔部63の本数や個数は限定されず、凹溝部65も必須のものではない。また外側連結部61は、曲面板状のものでもよく、その厚みは均等なものでも均等でないものでもよい。
【0026】
図3および
図5に示されるように内側連結部62は、可動盤14の背面側に形成された凹部57の型開閉方向の内壁部の内壁面66を構成する部分である。内側連結部62にも軽量化の目的のために空洞部45と凹部57を接続する孔部67が形成されている。孔部67の形状および数は限定されないが、第1の実施形態では、厚肉部58と厚肉部58との間の中間の部分の内側連結部62に1個の孔部67が形成されている。なお孔部67の個数は限定されない。第1の実施形態では、前記外側連結部61と内側連結部62により形成される連結部46の厚み(外側連結部61の外壁面38と内側連結部62の内壁面66の間の距離)は、タイバ24の直径よりも大きくなっている。連結部46の厚みがタイバ24の直径よりも大きいことは、可動盤本体39を箱型構造として強度を高めるためにも役立つし、連結部46とタイバ挿通部の延設部分44の背面29にハーフナット31を取り付けるためのスペースを確保するためにも役立つ。なお内側連結部62は、タイバ挿通部の延設部分44,44のうちの可動盤14の中心Oの側の部分にそれぞれ接続されたものでもよい。更に内側連結部62は、平板状のものに限定されず、曲面板状や屈曲した平板状のものでもよい。また内側連結部62の厚みは均等なものでも均等でないものでもよい。
【0027】
図3等に示されるように可動盤14の背面29側には凹部57が形成されている。第1の実施形態では、凹部57は、額縁形状の延設部41の内側連結部62の内壁面66、放射方向厚肉部49の厚肉部58、金型取付部40の背面59から構成される。ただし内側連結部62の内壁面66と金型取付部40の背面59から構成されるものでもよい。可動盤14は前記額縁形状の延設部41とその内部の凹部57を備えた箱型構造となっているので、強度の点でも有利であり、後述するエジェクタ機構72等の設置スペースの点でも有利である。なお凹部57は更にリブが設けられたものを除外するものではない。
【0028】
更に
図2、
図3に示されるように、額縁形状の延設部41の背面側には背面板部68が設けられている。背面板部68は、前記エジェクタ用のサーボモータ71や次に記載するハーフナット31を取り付けるため型開閉方向に直交する平面となっている。また第1の実施形態では、背面板部68の内周側の四隅は曲線となっている。背面板部68の内周側は、内側連結部62の内壁面66と同じ面でもよく、凹部57の開口部が小さくなるように張り出し部が設けられたものでもよい。
図4等に示されるように背面板部68の四隅近傍にはタイバ挿通孔28が形成され、タイバ挿通孔28の背面側に接する部分にはタイバ24をガイドするブッシュ(図示せず)が挿入されている。
【0029】
そして
図1および
図2に示されるように前記背面板部68のタイバ挿通孔28の近傍の面には、タイバ24の係合溝27に係合される係合歯を備えた一対のナットからなるハーフナット31がそれぞれ取り付けられている。本実施形態のハーフナット31は、1つのサーボモータ等のアクチュエータ37により2基のハーフナット31のナットがそれぞれ水平方向に開閉されるものである。なおハーフナット31の構造についてはこれに限定されない。また背面板部68の背面29には、エジェクタ用サーボモータ取付用のブラケット70が形成されている。なお型締装置2の型開閉方向の全長を短くすることを最優先し、型締装置2の操作側-反操作側の全幅が大きくなることを許容する場合は、駆動軸と駆動プーリのみが背面29から反金型取付面側に僅かに突出するようにジェクタ用のサーボモータ71を可動盤14の側面に取り付けしてもよい。
【0030】
なお本発明において背面板部68は必須のものではなく、タイバ挿通部の延設部分44の背面29と連結部46の背面29がそのまま額縁形状の延設部41の背面29を構成するものでもよい。その場合、タイバ挿通部の延設部分44の背面側の面と連結部46の背面側の面は、高さが異なっていてもよい。即ちいずれか一方が高くなっており、前記高くなっている部分により可動盤本体39の板厚が規定されるものでもよい。また額縁形状の延設部41のタイバ挿通部の延設部分44の背面側の面にハーフナットを備えることもまた必須ではない。即ちハーフナットは、第1の実施形態の可動盤14ではなく、固定盤12に設けたものでもよい。また外側連結部61と内側連結部62の背面側の部分は、一部または全部に背面板が無くてもよい。従って本発明における空洞部45とは凹状部の場合も含まれる。
【0031】
上記の構造による可動盤14は、
図2および
図4に示される可動盤14の金型取付面30の一辺の長さEに対して、可動盤14の金型取付面30とハーフナット31が取り付けられる背面29との間の長さF(可動盤の型開閉方向の板厚)の比率が大きくなっている。具体的には可動盤14の辺の長さEを板厚の長さFで除算した比率(E/F)は、これに限定されるものではないが、35%ないし50%とすることが好ましい。更には余り可動盤14の板厚を厚くしすぎると型締装置2の全長が長くなること等から、37%ないし45%とすることがより一層望ましい。また可動盤14の板厚の長さFに対する金型取付部40の薄肉部60の厚みGの関係は、金型取付部40の薄肉部60の厚みGを板厚の長さFで除算した比率(G/F)は、これに限定されるものではないが、8%ないし40%とすることが好ましく、更には10%ないし25%とすることがより一層望ましい。可動盤14の板厚の長さFに対する延設部41の長さIの比率(I/F)は、前記の比率から逆算され、60%ないし92%とすることが好ましく、更には75%から90%とすることがより望ましい。
【0032】
本発明は完全に限定するものではないが、ハーフナットによりタイバを係止する型締装置を主な発明対象としている。このハーフナットによりタイバを係止するタイプの型締装置では、可動盤や固定盤の金型が取り付けられた中央側と、ハーフナットが取り付けられた四隅近傍側の間の型開閉方向に直交する方向の距離が相対的に長い。そして型締時の型締力またはそれに伴う金型からの反力は、可動盤や固定盤の金型が取り付けられた中央側と、ハーフナットが取り付けられた四隅近傍側の間で相互に及ぼされるため、型締時には可動盤または固定盤に撓みが発生しやすい。そのため特に本発明の盤の構造が有効である。一方トグル式型締装置は、可動盤の背面側にリンク取付部が設けられていて基本的な構造が異なる。従ってトグル機構で型開閉のみ行いハーフナット係合後に別の機構で型締を行う型締装置以外のトグル式型締装置は、本発明の対象ではない。
【0033】
次に可動盤14に取り付けられるエジェクタ機構72について
図2、
図4を参照して説明する。エジェクタ機構72のエジェクタ用のサーボモータ71は、上記したように背面板部のブラケット70に、駆動プーリ75が取り付けられた駆動軸を固定盤側に向けて固定されている。また
図6に示されるように可動盤本体39の金型取付部40の十字形の薄肉部60の4点のガイドロッド挿通用の穴76にはガイドロッド77が型開閉方向に向けて突出固定され、前記ガイドロッド77の先端側には支持プレート78が薄肉部60の背面59と平行に固定されている。型開閉方向における支持プレート78の位置は、その反金型取付面側の表面79が背面板部68の背面29と約同じ位置となっている。即ち支持プレート78自体は、
図4等に示されるように側面視して可動盤14の凹部57の中に完全に入り込んでいるか僅かに出ている状態となっている。
【0034】
そして前記支持プレート78には2本のボールねじ80,80がベアリングにより回転自在に取付られ、ボールねじ80,80の先端側には従動プーリ81,81がそれぞれ取り付けられている。そして前記サーボモータ71の駆動プーリ75と前記2個の従動プーリ81,81の間にはタイミングベルト82が掛け渡されている。また前記ボールねじ80,80の先端側と反対側端部は、金型取付部40の薄肉部60に設けられたベアリングにより回転可能に軸支されている。更にガイドロッド77にはエジェクタプレート83が型開閉方向に移動可能にガイドされている。従ってエジェクタプレート83は、連結部46の内壁面66を含む壁面により形成された凹部57内に設けられている。そしてエジェクタプレート83には2個のボールねじナット84,84が固定され、前記ボールねじナット84,84には前記ボールねじ80,80が挿通されている。またエジェクタプレート83の金型取付部40側には複数本のエジェクタロッド47が型開閉方向に向けて固定されている。
【0035】
上記したようにエジェクタロッド47は、金型取付部40に形成されたロッド孔48に挿通され、更に可動金型13のロッド孔74にも挿通される。そして可動金型13内の突出プレート85の背面に当接されている。また可動金型13の突出プレート85のキャビティ面86側にも複数の突出ロッド87が形成され、突出ロッド87はキャビティ面86に向けて形成されたロッド孔88に挿通されている。また突き出された突出ロッド87はバネ89により原位置に復帰されるようになっている。なおエジェクタ機構72は、前記構成に限定されず、電動モータを用いる場合は、ボールねじナットが回転され、ボールねじが前進するものでもよい。またエジェクタ機構は電磁石、油圧シリンダ、エアシリンダ等を用いたものでもよい。いずれにしてもエジェクタプレート83を含むエジェクタ機構72の過半の部分が額縁形状の延設部41により構成される凹部57の中に収納されるので、型締装置2、ひいては射出成形機1の全長を抑制することができる。
【0036】
<型締装置の作動説明>
次に第1の実施形態の射出成形機1の型締装置2の制御方法について簡単に説明する。まず可動盤14が後退した型開き状態から型開閉機構15のサーボモータ33の作動によりボールねじ34が回転され、ボールねじ34に挿通されるボールねじナット35が型開閉方向に移動されることにより、型開位置に停止していた可動盤14および可動金型13は、固定盤12および固定金型11に向けて移動される。そして固定金型11に対して可動金型13が型当接されると固定金型11と可動金型13の間には溶融樹脂が射出されるキャビティc1が形成される(型閉工程)。次に各ハーフナット31が作動され、ハーフナット31の係合歯が各タイバ24の係合溝27に対して係合される(ハーフナット係合工程)。
【0037】
次に型締機構16の型締シリンダ17の型締側油室25に作動油が供給されてタイバ24がけん引されることにより型締増圧され、固定金型11と可動金型13は圧締される(増圧工程)。所定の型締力となったことが確認されると次に射出装置4から溶融樹脂がキャビティc1に向けて射出される(射出工程・型締工程)。
【0038】
型締工程における固定盤12および可動盤14の状態について説明すると、型締シリンダ17によりタイバ24が牽引され、タイバ24の係合溝27からハーフナット31の係合歯を介して可動盤14に型締力は伝達される。そして可動盤14の延設部41のタイバ挿通部の延設部分44から金型取付部40に伝達された型締力により固定金型11に対して可動金型13が圧締される。この際の金型側からの反力は、逆に可動盤14の金型取付部40から延設部41の側に向けて発生する。
【0039】
この際に特許文献1のように可動盤の金型取付面の一辺の長さに対して、可動盤の金型取付面とハーフナットが取り付けられる背面との間の長さ(可動盤の型開閉方向の板厚)が小さい場合は、可動盤に働く曲げ応力は大きいものとなり可動盤の撓みは大きくなる。また前記可動盤の撓みを抑制しようとすると可動盤の板厚を厚くする必要があり重量が増大する。
【0040】
一方第1の実施形態では、上記したように
図2および
図4に示される可動盤14の金型取付面30の一辺の長さEに対して、可動盤14の金型取付面30とハーフナット31が取り付けられる背面29との間の長さF(可動盤の型開閉方向の板厚)が大きいので、可動盤14の可動盤本体39に働く曲げ応力は小さいものとなり可動盤本体39の撓みは小さくなる。本発明では可動盤本体の型開閉方向に延設されたタイバ挿通部の延設部分44と放射方向厚肉部49が連結部46により連結され額縁形状となっている。そのため前記延設部41の部分に働く引っ張り応力を分散して受けることができ、その結果、金型取付部40の部分に働く圧縮応力を小さくすることができる。
【0041】
また特許文献2では、可動盤の中心部分までクロスリブが必要であったが、第1の実施形態では、放射方向厚肉部49の長さを可動盤14の中心まで延設しないでも可動盤14により型締時の盤の撓みに対する強度が確保でき、それとともに可動盤14の背面側の中央に凹部を形成可能となっている。これは箱型構造の可動盤14の放射方向厚肉部49の背面側に働く引っ張り応力が、外側連結部61や内側連結部62により分散されるからである。
【0042】
そして型締工程では射出後も所定の時間は型締シリンダ17による型締が継続され、キャビティc1内に射出された溶融樹脂は冷却される。型締工程が終了すると型締シリンダ17の型締側油室25はドレンに接続され型締側油室25内の作動油の圧力が0に落とされる(圧抜工程)。
【0043】
圧抜工程が終了すると型締シリンダ17の強力型開側油室26に作動油が供給され、強力型開が行われる(強力型開工程)。強力型開工程により可動盤14および可動金型13が所定の位置まで型開移動されると、次の型開閉機構15のサーボモータ33を作動させ可動盤14および可動金型13を型開完了位置まで移動させる(型開工程)。そして型開完了位置では、エジェクタ機構72のサーボモータ71の作動により成形された成形品が可動金型13のキャビティ面86から突き出され、図示しない取出機で取り出される(取出工程)。そして次の成形サイクルの型閉工程へと移行する。
【0044】
取出工程のエジェクタ機構72の作動について更に詳しく記載すると、エジェクタ機構72のサーボモータ71が作動されると駆動プーリ75の回転力はタイミングベルト82を介して2個の従動プーリ81,81に伝達され、従動プーリ81,81が固着された2本のボールねじ80,80がそれぞれ回転される。ボールねじ80,80の回転とともにボールねじナット84,84は、
図4における右方向に移動される。そのことによりボールねじナット84,84が固定されているエジェクタプレート83と、エジェクタプレート83に取り付けられている可動盤14側のエジェクタロッド47もまた同時に
図4における右方向に移動される。そしてエジェクタロッド47は可動金型13内の突出プレート85の背面を押圧し、突出プレート85の前面側に固定されている突出ロッド87がキャビティ面86から突出されて図示しない成形品が突き出される。
【0045】
<第2の実施形態>
第2の実施形態は、請求項5および
図7に対応するものである。
図7では、射出成形機101の型締装置102は、型開状態を表しており、中心線よりも上半分が可動盤106等の中心断面を示しており、中心線よりも下半分は、タイバ107部分の断面を示している。第2の実施形態の射出成形機101の型締装置102は、固定金型103が取り付けられる固定盤104に対して可動金型105が取り付けられる可動盤106をタイバ107に沿って型開閉方向に移動させる型開閉機構108と、前記固定金型103と可動金型105を型締する型締機構109を備えた型締装置102において、前記可動盤106は、可動金型105が取り付けられる金型取付面110を備えた第1の可動盤111と、該第1の可動盤111と型締機構109により接続された第2の可動盤112とを備え、前記第2の可動盤112は、前記タイバ107が挿通されるタイバ挿通部の延設部分113を含む盤本体部114と、前記盤本体部114の背面外縁側に延設形成され、前記タイバ107が挿通されるタイバ挿通部の延設部分113を含む部分同士をそれぞれ連結するとともに内部に空洞部115を有する連結部116とを備え、前記連結部116の内壁面を含む壁面により形成された凹部117が形成され、該凹部117内、第1の可動盤111、第1の可動盤111と第2の可動盤112の間のいずれかにエジェクタ機構118のエジェクタプレート119が配置されている。
【0046】
即ち第2の実施形態の型締装置102は、固定盤104に対して、可動金型105が取り付けられる第1の可動盤111と型締機構109の型締シリンダ120を備えた第2の可動盤112が設けられ、型締シリンダ120のラム121が第1の可動盤111の背面に固定されている。そして第1の可動盤111と第2の可動盤112は、固定盤104に対して型開閉機構108の作動によりベッド122上を型開閉移動する。そして第2の可動盤112の型締シリンダ120が設けられた盤本体部114の背面側の四隅に延設されたタイバ挿通部の延設部分113およびタイバ挿通部の延設部分113を含む部材である型締力伝達部同士が連結部116によりそれぞれ結合されている。そして
図7の上半分に表示されるように連結部116は、外周側連結部123と内周側連結部124が設けられ両者の間には空洞部115が形成されている。
【0047】
そしてこれらのタイバ挿通部の延設部分113、型締力伝達部、連結部116により額縁形状の延設部125が形成され、額縁形状の延設部125の内部にエジェクタ機構118のエジェクタプレート119を含む過半の部分が収納されている。また額縁形状の延設部125のタイバ挿通部の延設部分113の背面126のタイバ挿通孔127の近傍にはハーフナット128がそれぞれ取り付けられている。第2の実施形態の型締装置102の型締時には、第2の可動盤112のみが型締力により撓み変形する。しかし第2の可動盤112の形状を額縁形状の延設部125を設けることにより可動盤の1辺の長さ(例えば上下方向の長さ)に対して型開閉方向の板厚の比率を大きくすることができ、同じ重量であっても型締時の撓み変形を小さくすることができる。なお第2の実施形態は、型締シリンダが1個の場合は、エジェクタ機構118は、第1の可動盤111か、または第1の可動盤111と第2の可動盤112の間に機構部が設けられることもある(モータは第1の可動盤111の側面に取付)。
【0048】
<他の実施形態>
上記の第1の実施形態では、固定盤12に型締シリンダ17が設けられ、固定盤12に連接されたタイバ24に対して、可動盤14にハーフナット31が設けられている。しかし本発明は、可動盤に型締シリンダが設けられ、固定盤にハーフナットが設けられたものでもよい。その場合、固定盤の金型取付部は中央に射出装置が挿入されるすり鉢部が形成される。そしてすり鉢部以外の金型取付部の背面(反金型取付面)から盤の背面側に向けて更に額縁形状の延設部が形成される。延設部にはタイバが挿通されるタイバ挿通部の延設部分を含む部分と、前記部分同士をそれぞれ連結する連結部が含まれる。前記連結部は、重量軽減のために複数のリブや梁から構成されており、内部に空洞部を備える。そして前記延設部の背面のタイバが挿通されるタイバ挿通孔の近傍にそれぞれハーフナットが取り付けられる。その場合額縁形状の延設部の内部とすり鉢により形成される凹部にエジェクタ機構を取り付けてもよい。また第2の実施形態についても、第2の可動盤にタイバを固着するとともに固定盤にハーフナットを設けるともに固定盤に本発明の構造を採用してもよい。
【0049】
また更に別の実施形態としては、可動盤の可動金型が取り付けられる金型取付面を備えた金型取付部や、固定盤の固定金型が取り付けられる金型取付面を備えた金型取付部については、タイバに挿通されていないものでもよい。その場合、金型取付部の背面側の中央の押圧部に対して盤本体部が接続される。または盤本体部の中央の押圧部が金型取付部に接続される。そして盤本体部のタイバが挿通される部分にはタイバ挿通部が形成される。また盤本体部から背面側に向けてタイバ挿通部は延長されており、そのタイバ挿通部の延設部分から可動盤の中心側に向けて放射方向厚肉部が形成される。放射方向厚肉部もまた盤本体部の背面側に接続される。そしてタイバ挿通部の延設部分同士、またはタイバ挿通部の延設部分および放射方向厚肉部同士を連結する連結部が形成される。これらタイバ挿通部の延設部分、放射方向厚肉部、連結部は盤の板厚を厚くする延設部に相当する。そして額縁形状の延設部のうちの少なくとも連結部は内部が中空となっている。また額縁形状の延設部の背面(反金型取付面)のタイバ挿通部分の近傍にはハーフナットが取り付けられる。更に別の実施形態では、盤の背面側に形成される凹部は、金型取付部ではなく、盤本体部の背面壁面と延設部の内壁面により形成されるものでもよい。
【0050】
また本発明の可動盤や固定盤は、特許第5567066号に示されるように、全体が1個の鋳造体ではなく、複数の部材が結合されたものでもよい。即ち金型取付部と、盤本体部および延設部は別体に鋳造等がなされ、後から組み立てられたものでもよい。
【0051】
可動盤または固定盤の連結部は、外側連結部61、内側連結部62以外の連結部を備えるものでもよい。連結部は空洞部を備えるが空洞部と外部を接続する孔部、または空洞部同士を接続する孔部、連結部同士を接続するリブは適宜に設けられる。更に連結部は、一部または全部が内部に空洞部を備えたハニカム構造のものでもよい。その場合ハニカムの形状は六角形に限定されず、三角形や四角形のものでもよい。または連結部は、内部に空洞部を備えた円筒部材が、型開閉方向またはタイバ挿通部の延設部分を接続する方向に一つまたは複数備えられたものでもよい。
【0052】
更に本発明の型締装置は、固定盤または可動盤の盤表面に回転テーブルが取付られた金型回転式射出成形機の型締装置でもよい。その場合は、金型取付面に金型が取付けられる回転テーブルが金型取付部に相当し、前記金型取付部の背面側に可動盤や固定盤の盤本体部が接続される。そして盤本体部の更に背面側の外周には本発明のタイバ挿通部の延設部分を含む部材や連結部等から構成される額縁形状の延設部が形成される。そして延設部の背面のタイバ挿通部分の近傍にハーフナットが取付られる。また盤本体部の背面壁面と延設部の内壁面から凹部が形成される。回転テーブルが取付られた金型回転式射出成形機の場合は、前記凹部にエジェクタ機構以外に、回転テーブルの回転モータ、回転テーブルの回転軸部分から金型に温調媒体を送る配管を設ける場合の機構等を設けることもできる。
【0053】
更に本発明の型締装置は、固定盤と可動盤の間に回転可能な中間盤が設けられたものでもよい。その場合、本発明の連結部を備えた盤は固定盤または可動盤の少なくとも一方の盤であればよい。前記中間盤のように型締時に型締力が及ぼされて殆ど変形しない盤については、本発明を用いることはあまり有用ではない。また本発明の型締装置は、固定盤と、固定盤に相当する受圧盤の間にタイバが渡され、前記タイバまたはベッド上を型開閉機構により可動盤が移動され、型締機構により型締されるものでもよい。その場合のベッド上に設けられ型締時に僅かな量しか移動されない受圧盤は本発明の固定盤に相当し、背面側に凹部を備えた箱型構造のものが採用される。
【0054】
また本発明の型締装置における可動盤の型開閉方向は水平方向に限定されず、垂直方向に可動盤が型開閉される竪型型締装置であってもよい。その場合本発明の可動盤は、固定盤の上方において型開閉される上盤であってもよく、固定盤の下方において型開閉される下盤であってもよい。また竪型型締装置の固定盤に本発明を用いてもよい。本発明の射出成形機の型締装置の型締力は特に限定されないが、一例として型締力8,000kN以上の大型の型締装置により一層好適に用いられる。
【0055】
なお本発明については、一々列挙はしないが、上記したものに限定されず、当業者が本発明の趣旨を踏まえて変更を加えたものについても、適用されることは言うまでもないことである。以上で説明した複数の例は、適宜組み合わせて実施されることもできる。本発明の型締装置を用いた制御方法は、完全に昇圧した状態で射出開始から冷却終了時まで継続される一般的な型締制御の他、射出圧縮成形制御、射出プレス成形制御、発泡成形制御などの制御に使用されるものでもよい。また成形される材料や成形品の種類も限定されない。
【符号の説明】
【0056】
1 射出成形機
2 型締装置
11 固定金型
12 固定盤
13 可動金型
14 可動盤
15 型開閉機構
16 型締機構
20,30 金型取付面
21,29 背面
24 タイバ
31 ハーフナット
40 金型取付部
41 延設部
44 タイバ挿通部の延設部分
45 空洞部
46 連結部
57 凹部
60 薄肉部
61 外側連結部
62 内側連結部
66 内壁面
72 エジェクタ機構
83 エジェクタプレート