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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154088
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】スクリード制御装置
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/48 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
E01C19/48 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056961
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000239437
【氏名又は名称】福田道路株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】599098127
【氏名又は名称】株式会社ソーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119220
【氏名又は名称】片寄 武彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 公一
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 英則
(72)【発明者】
【氏名】千葉 周
(72)【発明者】
【氏名】昌子 直文
【テーマコード(参考)】
2D052
【Fターム(参考)】
2D052AA03
2D052AD04
2D052BD03
2D052BD12
2D052CA01
2D052CA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】予め基準ラインを設けるような事前準備作業が不要で、コストや手間をかけることなく、アスファルト合材などを敷き均す際の、スクリードのレベリング制御を可能とするスクリード制御装置を提供する。
【解決手段】スクリード制御装置100は、道路の舗装材料を敷き均す敷き均し車両の後方に設けられるスクリードのレベル(垂直方向位置)を制御するものであって、スクリードに取り付けられ、光を用いて複数の点との間の距離データを検出する光測距部200と、光測距部200によって取得される複数の点の距離データを処理し、道路の進行方向に沿った異なる2つの面を推定し、2つの面が交わる線を基準ラインとして求めるデータ処理部110と、スクリードのレベルを調整するレベリングシリンダと、データ処理部110で求められた基準ラインに基づいて、レベリングシリンダを制御するシリンダ制御部170と、を有することを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の舗装材料を敷き均す敷き均し車両の後方に設けられるスクリードのレベル(垂直方向位置)を制御するスクリード制御装置であって、
前記スクリードに取り付けられ、光を用いて複数の点との間の距離データを検出する光測距部と、
前記光測距部によって取得される複数の点の距離データを処理し、道路の進行方向に沿った異なる2つの面を推定し、2つの面が交わる線を基準ラインとして求めるデータ処理部と、
スクリードのレベルを調整するレベリングシリンダと、
前記データ処理部で求められた基準ラインに基づいて、前記レベリングシリンダを制御するシリンダ制御部と、を有することを特徴とするスクリード制御装置。
【請求項2】
道路の舗装材料を敷き均す敷き均し車両の後方に設けられるスクリードのレベル(垂直方向位置)を制御するスクリード制御装置であって、
前記スクリードに取り付けられ、光を用いて複数の点との間の距離データを検出する光測距部と、
前記スクリードに取り付けられ、前記スクリードの傾き角度データを検出する傾斜センサーと、
前記光測距部によって取得される複数の点の距離データと、前記傾斜センサーで検出される前記スクリードの傾き角度データとを処理し、道路の進行方向に沿った異なる2つの面を推定し、2つの面が交わる線を基準ラインとして求めるデータ処理部と、
スクリードのレベルを調整するレベリングシリンダと、
前記データ処理部で求められた基準ラインに基づいて、前記レベリングシリンダを制御するシリンダ制御部と、を有することを特徴とするスクリード制御装置。
【請求項3】
前記光測距部にLIDARが用いられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスクリード制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、敷き均し車両におけるスクリードを制御するスクリード制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路舗装工事では、アスファルト合材をダンプトラックの荷台に載せて施工現場に運搬し、ダンプトラックをアスファルトフィニッシャーに連結してアスファルト合材を荷卸ししつつ、アスファルトフィニッシャーによりアスファルト合材を敷き均してローラーにより転圧する。
【0003】
アスファルト合材による舗装面の敷き均し面を所定のレベル(垂直方向位置)に調節するためには、予め基準ラインを設定し、係る基準ラインに沿って、敷き均し面を所定のレベルとなる様に制御している。すなわち、敷き均し面が基準ラインに沿っており、敷き均し面の垂直方向位置(レベル)と基準ラインとの間隔(距離)が常に一定となるようにしている。
【0004】
ところで、特に橋梁における舗装においては、アスファルト合材の敷き均しを行うべき道路の縁部には構造物の壁面が存在し、基準ラインであるワイヤを張設することが困難である、という問題があった。
【0005】
そこで、例えば、引用文献1(特開2008-285962号公報)には、走行車両の後方に設けられた敷均し装置1(スクリード)の姿勢を調整する姿勢調整装置(レベリングシリンダ及びアーム)を制御するために、敷均し装置1を移動させる方向に沿わせて延設した基準電線2と、基準電線2に給電する給電器4と、基準電線2に近接して移動し、基準電線2を流れる電流により生じる磁界を検出する検出器3(3b)と、その検出結果に応じて、基準電線2に対する検出器3の上下位置が一定となるように姿勢調整装置を制御する技術が提案されている。
【特許文献1】特開2008-285962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
引用文献1に提案されている従来技術では、高欄Aの側面に対して、基準電線2を粘着テープ2aで貼り付ける作業を実施しなければならないが、このような作業は非常に手間がかかる上に、作業員にとって負担が大きい、という課題があった。また、通常コンクリート製の高欄Aから粘着テープ2aは剥がれやすく、テンションがかけられた基準電線2の取り扱いを誤ると、簡単に基準電線2が高欄Aから脱落してしまい、再作業をしなければならない、というような課題もあった。また、基準電線2は、粘着テープ2aによって貼り付けられているために、雨など天候の影響を受けて、脱落するリスクがある、という問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような課題を解決するために、本発明に係るスクリード制御装置は、道路の舗装材料を敷き均す敷き均し車両の後方に設けられるスクリードのレベル(垂直方向位置)を制御するスクリード制御装置であって、前記スクリードに取り付けられ、光を用いて複数の点との間の距離データを検出する光測距部と、前記光測距部によって取得される複数の点の距離データを処理し、道路の進行方向に沿った異なる2つの面を推定し、2つの面が交わる線を基準ラインとして求めるデータ処理部と、スクリードのレベルを調整するレベリングシリンダと、前記データ処理部で求められた基準ラインに基づいて、前記レベリングシリンダを制御するシリンダ制御部と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るスクリード制御装置は、道路の舗装材料を敷き均す敷き均し車両の後方に設けられるスクリードのレベル(垂直方向位置)を制御するスクリード制御装置であって、前記スクリードに取り付けられ、光を用いて複数の点との間の距離データを検出する光測距部と、前記スクリードに取り付けられ、前記スクリードの傾き角度データを検出する傾斜センサーと、前記光測距部によって取得される複数の点の距離データと、前記傾斜センサーで検出される前記スクリードの傾き角度データとを処理し、道路の進行方向に沿った異なる2つの面を推定し、2つの面が交わる線を基準ラインとして求めるデータ処理部と、スクリードのレベルを調整するレベリングシリンダと、前記データ処理部で求められた基準ラインに基づいて、前記レベリングシリンダを制御するシリンダ制御部と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るスクリード制御装置は、前記光測距部にLIDARが用いられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のスクリード制御装置は、光測距部によって取得される複数の点の距離データを処理し、道路の進行方向に沿った異なる2つの面を推定し、2つの面が交わる線を基準ラインとして求めるようにしているので、このような本発明のスクリード制御装置によれば、高欄の側面に基準電線を粘着テープで貼り付ける、といったような事前準備作業は、一切不要となり、コストや手間をかけることなく、アスファルト合材などを敷き均す際の、スクリードのレベリングの制御を簡単に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るスクリード制御装置100が適用されたアスファルトフィニッシャー10を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係るスクリード制御装置100のブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係るスクリード制御装置100が適用されたアスファルトフィニッシャー10を後方よりみた模式図である。
図4】コンクリート製橋梁50の一例を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係るスクリード制御装置100による制御処理のフローチャートの一例を示す図である。
図6】第1面と第2面の推定、及び、これらの面の交線として基準ラインを抽出する様子を示す図である。
図7】本発明の第2実施形態に係るスクリード制御装置100が適用されたアスファルトフィニッシャー10を後方よりみた模式図である。
図8】本発明の第2実施形態に係るスクリード制御装置100のブロック図である。
図9】本発明の第2実施形態に係るスクリード制御装置100による制御処理のフローチャートの一例を示す図である。
図10】傾き角度データによる複数の点の距離データの補正のイメージを示す図である。
図11】コンクリート製基礎部80の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施形態に係るスクリード制御装置100が適用されたアスファルトフィニッシャー10を示す図である。
【0013】
本発明に係るスクリード制御装置100は、アスファルトフィニッシャー、コンクリートフィニッシャーなどのスクリードを備える敷き均し車両に好適に用いることができる。本実施形態では、敷き均し車両としてはアスファルトフィニッシャー10を例に挙げて説明を行うが、本発明に係るスクリード制御装置100の適用範囲がこの例に限定されるものではない。
【0014】
敷き均し車両であるアスファルトフィニッシャー10は、ダンプトラック30から受け入れたアスファルト合材を積み込むホッパー部13と、走行装置を有する走行部15と、アスファルト合材を敷均すスクリード20とからなる。走行部15には、アスファルトフィニッシャー10の操縦者のための操縦席16が設けられている。
【0015】
また、アスファルトフィニッシャー10は、スクリード20を車両本体に支持するレベリングアーム23と、スクリード20の高さを変動するレベリングシリンダ4と、を有している。本発明に係るスクリード制御装置100は、敷き均し面を所定のレベル(垂直方向位置)とするため、スクリード20のレベルを変更する上記のようなレベリングシリンダ25に対して制御指令を出力する構成とされている。
【0016】
図2は本発明の実施形態に係るスクリード制御装置100のブロック図である。また、図3は本発明の実施形態に係るスクリード制御装置100が適用されたアスファルトフィニッシャー10を後方よりみた模式図である。
【0017】
図2において、スクリード制御装置100における情報処理装置105は、例えば、CPUとCPU上で動作するプログラムを保持するROMとCPUのワークエリアであるRAM、HDDやSSDなどの大容量記憶部、通信部などからなる汎用のノートパソコンを用いることができる。このような情報処理装置105は、図2で接続される各構成とデータ通信を行い、各構成から所定のデータを受信して演算を行ったり、所定のデータを指令などとして出力したりすることができるようになっている。
【0018】
指示入力部120は情報処理装置105が備えるキーボード、ポインティングデバイスなどの入力手段であり、表示部160は情報処理装置105が備えるディスプレイである。これら指示入力部120、表示部160は、スクリード制御装置100のユーザーインターフェイスとして機能するものである。これにより、スクリード制御装置100のユーザーは、例えば、レベリングシリンダ25の舗装面レベルと基準ラインとの差分などを指定したりすることができる。
【0019】
また、本発明に係るスクリード制御装置100の構成要件の一部は、情報処理装置105で動作するプログラムとすることができる。データ処理部110は、光測距部200から取得された複数の距離データに基づいて基準ラインを算出し、さらに、この算出された基準ラインに基づいてシリンダ制御部170を動作させる。このようなシリンダ制御部170は、情報処理装置105で動作するプログラムとすることができる。シリンダ制御部170は、スクリード20のレベルを変更するレベリングシリンダ25に対して制御指令を出力する。
【0020】
なお、本実施形態では、情報処理装置105として汎用のートパソコンを用いるようにしているが、本発明に係るスクリード制御装置100は専用のハードウエアによっても構成することもできる。
【0021】
光測距部200としては、例えば、2次元型のLIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)センサーを用いることができる。図3には、LIDARを用いた光測距部200の拡大図が破線枠中に示されている。
【0022】
光測距部(LIDAR)200は、本体部203と、レーザー光を透過するカバー205とから構成されている。本体部203の中には、レーザー光を出射するレーザー発光素子(不図示)が設けられている。カバー205の中には、不図示のモーターによって回転するミラー207が設けられており、ミラー207が回転することで、円筒状のカバー205の円周方向360°に対して、カバー205からスキャン用のレーザー光を出射する。
【0023】
カバー205から、対象物に当たり散乱し、LIDAR側に戻ってきたレーザー光は、カバー205を透過し、ミラー207で反射され、本体部203の中に設けられているレーザー受光素子(不図示)で検出される。LIDARセンサーでは、このように対象物から反射したレーザーを受光することで、当該対象物とLIDARセンサーとの間の距離に係るデータ(点群データ)を、例えばTOF(Time of Flight)により取得する。上記のような距離データは、ミラー207が1秒間に10数回回転し周囲をスキャンすることで、1秒あたり数百~数千の数のものが取得可能である。本発明に係るスクリード制御装置100の光測距部(LIDAR)200として、例えば、SICK社製のTiM510を利用することができる。光測距部200で取得される複数の距離データは、データ処理部110に入力され処理され、シリンダ制御部170の制御に利用される。
【0024】
なお、本実施形態では、光測距部200のLIDARセンサーとして、2次元型のLIDARセンサーを用いているが、3次元型のものを用いるにしてもよいし、また、ミラー207が機械的に駆動されないタイプのものも用いることができる。
【0025】
上記のような光測距部200は、例えば、スクリード20に対して図3に示すように取り付けられる。図3はスクリード20をアスファルトフィニッシャー10の後方側からみた図である。本発明に係るスクリード制御装置100においては、車両の進行方向(図3の紙面の奥側の方向)の垂直な断面を、光測距部200がスキャンするように光測距部200がスクリード20に取り付けられる。図3中の点線の矢印は、光測距部200から出射されたレーザー光のイメージである。
【0026】
ここで、本発明に係るスクリード制御装置100が設けられたアスファルトフィニッシャー10によってアスファルト合材が敷き均される道路として、コンクリート製橋梁50が用いられる道路を例に説明する。
【0027】
図4はコンクリート製橋梁50の一例を示す図である。図4においては、コンクリート製橋梁50の高欄部55の片側のみが示されている。コンクリート製橋梁50は、プレキャスト工法ななどにより工場等で製造され、現場に移送・設置後、アスファルト合材が敷き均される。コンクリート製橋梁50は、水平面内で延在する床版部53と、この床版部53から立設けられる左右の高欄部55とを有している。
【0028】
床版部53には、アスファルト合材が敷き均されることが想定されているアスファルト敷設部68が設けられている。高欄部55には、高欄天面66が設けられており、この高欄天面66に敷き均し面を所定のレベルとする際の基準ラインとしてワイヤを設けることも考えられる。しかしながら、実際には高欄天面66に防音壁などの構造物が予め設けられているケースが多く、高欄天面66にワイヤの基準ラインを設けることは困難である。
【0029】
本発明に係るスクリード制御装置100においては、光測距部200によって取得された複数の距離データに基づいて、一定の高さが担保され、道路の車線の方向に沿ったラインを、基準ラインとして抽出するようにしている。コンクリート製橋梁50の内側においては、第1内壁面61と、この第1内壁面61とは所定の角度をなすようにして設けられている第2内壁面62とが形成されていることが一般的である。本実施形態では、光測距部200で取得される距離データによって、第1内壁面61と第2内壁面62とを推定し、さらにこれらの面が交わるラインを求め、レベリングシリンダ25の設定を調整する際の「基準ライン」として利用するものである。なお、本実施形態では、第1内壁面61と第2内壁面62との交線から、基準ラインを求めるようにしているが、その他の2つの面を利用して、基準ラインを求めるようにすることもできる。
【0030】
図5は本発明の実施形態に係るスクリード制御装置100による制御処理のフローチャートの一例を示す図である。
【0031】
図5において、ステップS100で制御処理が開始されると、続いて、ステップS101に進み、複数の点の距離データを光測距部200から取得する。
【0032】
ステップS102では、光測距部200から取得から取得した複数の点の距離データから第1面を推定する。図6は、第1面と第2面の推定、及び、これらの面の交線として基準ラインを抽出する様子を示す図である。ステップS102においては、複数の点の距離データから第1面であるPに示す面の位置を算出して推定する。
【0033】
続いて、ステップS103では、複数の点の距離データから第2面を推定する。このステップでは、複数の点の距離データから第2面であるQに示す面の位置を算出して推定する。
【0034】
続いて、ステップS104では、第1面Pと第2面Qとが交わる線を基準ライン70として抽出し、ステップS105で、当該基準ライン70に基づいて、シリンダ制御部170からレベリングシリンダ25に対して制御指令を出力する。
【0035】
ステップS106では、指示入力部120からユーザーによる終了指示があったか否かが判定される。この判定の結果が、NOである場合には、ステップS101に戻ってループする。一方、判定の結果がYESである場合には、ステップS107に進み、制御処理を終了する。
【0036】
以上、本発明のスクリード制御装置100は、光測距部200によって取得される複数の点の距離データを処理し、道路の進行方向に沿った異なる2つの面を推定し、2つの面が交わる線を基準ライン70として求めるようにしているので、このような本発明のスクリード制御装置100によれば、高欄の側面に基準電線を粘着テープで貼り付ける、といったような事前準備作業は、一切不要となり、コストや手間をかけることなく、アスファルト合材などを敷き均す際の、スクリードのレベリングの制御を簡単に行うことが可能となる。
【0037】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。アスファルト合材を敷き均し道路においては、敷き均しが想定されている面に傾斜が設けられると共に、当該傾斜が車線方向の位置に応じて変化していることがある。この場合、先の実施形態では、基準ラインを常に正確に抽出することができない、という問題が発生する。以下に説明する第2実施形態に係るスクリード制御装置100は、このような問題を解決するものである。
【0038】
図7は本発明の第2実施形態に係るスクリード制御装置100が適用されたアスファルトフィニッシャー10を後方よりみた模式図である。また、図8は本発明の第2実施形態に係るスクリード制御装置100のブロック図である。図において、先の実施形態と同様の参照番号が付された構成は、先の実施形態と同様のものである。
【0039】
第2実施形態に係るスクリード制御装置100においては、スクリード20には、光測距部200に加えて、傾き角度データを取得することができる傾斜センサー220が取り付けられている。傾斜センサー220は、スクリード20の傾きの状態、すなわち光測距部200自体の傾きの状態を検出するものである。傾斜センサー220で取得される傾き角度データは、図8に示すようにデータ処理部110に送信され、シリンダ制御部170による制御に利用される。
【0040】
次に、以上のように構成される第2実施形態に係るスクリード制御装置100の制御例について説明する。図9は本発明の第2実施形態に係るスクリード制御装置100による制御処理のフローチャートの一例を示す図である。
【0041】
図9において、ステップS200で制御処理が開始されると、続いて、ステップS201に進み、複数の点の距離データを光測距部200から取得し、ステップS202で、傾き角度データを傾斜センサー220から取得する。
【0042】
次に、ステップS203においては、傾斜センサー220から取得した傾き角度データに基づいて、光測距部200から取得した複数の点の距離データを補正する。図10は傾き角度データによる複数の点の距離データの補正のイメージを示す図である。
【0043】
図10(A)は傾き角度データによる補正前における、複数の点の距離データを示している。ここで、×の位置が、光測距部200で取得される距離データの計測対象点を示している。補正前においては、傾斜センサー220により、水平に対して紙面右方向にα°の傾きがあることが検出されたものとする。このような傾きα°が検出されると、図10(B)に示すように、複数の点の距離データを、光測距部200を中心として、紙面左方向にα°回転させて補正を行う。
【0044】
ステップS204では、上記のように補正された複数の点の距離データから第1面を推定する。図11は、アスファルト合材を敷き均すコンクリート製基礎部80の一例を示す図である。コンクリート製基礎部80は、敷き均すことが想定されているアスファルト敷設部88と、このアスファルト敷設部88の両方の縁(図では一方のみ図示)に設けられている縁石81とを有している。縁石81においては、内側面83と、天面84とを有している。ステップS204においては、補正された複数の点の距離データから第1面であるPに示す面(内側面83)の位置を算出して推定する。
【0045】
続いて、ステップS205では、補正された複数の点の距離データから第2面を推定する。このステップでは、複数の点の距離データから第2面であるQに示す面(天面84)の位置を算出して推定する。
【0046】
続いて、ステップS206では、第1面Pと第2面Qとが交わる線を基準ライン90として抽出し、ステップS207で、当該基準ライン90に基づいて、シリンダ制御部170からレベリングシリンダ25に対して制御指令を出力する。
【0047】
ステップSS208では、指示入力部120からユーザーによる終了指示があったか否かが判定される。この判定の結果が、NOである場合には、ステップS201に戻ってループする。一方、判定の結果がYESである場合には、ステップS209に進み、制御処理を終了する。
【0048】
以上のような第2実施形態に係るスクリード制御装置100によれば、先の実施形態と同様の効果を享受することができると共に、さらに、アスファルト合材を敷き均すことが想定されている面に傾斜が設けられているような場合においては、正確にスクリードのレベリングの制御を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0049】
10・・・アスファルトフィニッシャー
13・・・ホッパー部
15・・・走行部
16・・・操縦席
20・・・スクリード
25・・・レベリングシリンダ
30・・・ダンプトラック
35・・・荷台部
50・・・コンクリート製橋梁
53・・・床版部
55・・・高欄部
61・・・第1内壁面
62・・・第2内壁面
66・・・高欄天面
68・・・アスファルト敷設部
70・・・基準ライン
80・・・コンクリート製基礎部
81・・・縁石
83・・・内側面(第1面)
84・・・天面(第2面)
88・・・アスファルト敷設部
90・・・基準ライン
100・・・スクリード制御装置
105・・・情報処理装置
110・・・データ処理部
120・・・指示入力部
160・・・表示部
170・・・シリンダ制御部
200・・・光測距部(LIDAR)
203・・・本体部
205・・・カバー
207・・・ミラー
220・・・傾斜センサー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11