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  • 特開-回転割出し装置 図1
  • 特開-回転割出し装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154089
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】回転割出し装置
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/3232 20160101AFI20221005BHJP
   F16C 33/78 20060101ALI20221005BHJP
   B23Q 16/10 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
F16J15/3232 201
F16C33/78 Z
B23Q16/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056962
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000215109
【氏名又は名称】津田駒工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石崎 純一郎
【テーマコード(参考)】
3J006
3J216
【Fターム(参考)】
3J006AE17
3J006AE41
3J006CA01
3J216AA03
3J216AA14
3J216AB24
3J216BA30
3J216CA01
3J216CA05
3J216CA06
3J216CB03
3J216CB12
3J216CC01
3J216CC09
3J216CC14
3J216CC33
3J216CC38
(57)【要約】
【課題】フレームの収容孔内で軸受を介して回転可能に支持された主軸及び主軸の一端側に設けられてワーク又はワークを取り付けるための治具が取り付けられるテーブル部から成る回転体と、フレームと回転体との間の空間のうちの軸受よりも一端側の部分である空隙部に設けられるオイルシールと、回転体を回転駆動する駆動機構と、割出し加工時において回転体を割り出された角度位置で保持するための保持機構とを備える回転割出し装置において、オイルシールが外部からのダストによってダメージを受けないような構成を提供する。
【解決手段】本発明は、前記回転割出し装置において、オイルシールに対し軸受側とは反対側で空隙部にダストシールを備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームの収容孔内で軸受を介して回転可能に支持された主軸及び前記主軸の一端側に設けられてワーク又は前記ワークを取り付けるための治具が取り付けられるテーブル部から成る回転体と、前記フレームと前記回転体との間の空間のうちの前記軸受よりも前記一端側の部分である空隙部に設けられるオイルシールと、前記回転体を回転駆動する駆動機構と、割出し加工時において前記回転体を割り出された角度位置で保持するための保持機構とを備える回転割出し装置において、
前記オイルシールに対し前記軸受側とは反対側で前記空隙部にダストシールを備える
ことを特徴とする回転割出し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレームの収容孔内で軸受を介して回転可能に支持された主軸及び主軸の一端側に設けられてワーク又はワークを取り付けるための治具が取り付けられるテーブル部から成る回転体と、フレームと回転体との間の空間のうちの軸受よりも一端側の部分である空隙部に設けられるオイルシールと、回転体を回転駆動する駆動機構と、割出し加工時において回転体を割り出された角度位置で保持するための保持機構とを備える回転割出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械に用いられる回転割出し装置としては、例えば、特許文献1に開示されたものがある。その回転割出し装置は、フレームの収容孔内で軸受を介して回転可能に支持される回転軸(主軸)と、その主軸の一端側に取り付けられた面盤としての加工テーブルであってワークが取り付けられる加工テーブル(テーブル部)とを備えている。そして、その回転割出し装置は、そのテーブル部及び主軸から成る回転体が駆動機構によって回転駆動されることにより、その回転体の角度位置を割り出すように構成されている。さらに、その回転割出し装置は、その割り出された角度位置で加工(割出し加工)が行えるように、その割り出された角度位置で回転体を保持(クランプ)するクランプ装置(保持機構)を備えている。
【0003】
なお、回転体を回転駆動する駆動機構は、フレーム内に配置されたウォームやウォームホイール等の歯車機構を含んでいる。そこで、回転割出し装置においては、そのフレーム内における少なくとも歯車機構が配置される部分に、その歯車機構を潤滑するための潤滑油が貯留されている。その上で、特許文献1の回転割出し装置には、そのように貯留された潤滑油が外部に流出するのを防止すべく、オイルシールが備えられている。但し、そのオイルシールが設けられる位置は、フレームと主軸との間の空間のうちの、軸受よりも主軸の一端側の部分(本発明で言う空隙部)となっている。また、特許文献2にも、同様の回転割出し装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-184021
【特許文献2】特開2011-104725
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、そのような回転割出し装置においては、前記空隙部に侵入する切粉等のダストによってオイルシールがダメージを受け、オイルシールのシール性能が低下してしまうといった問題が生じる場合がある。詳しくは、回転割出し装置に備えられるオイルシールは、前述のようにフレーム内に貯留されている潤滑油を外部に流出させないために設けられるものである。そして、一般的なオイルシールは、シールリップ部(主リップ部)を有し、その主リップ部を回転体に押接させることによって空間(回転割出し装置の場合は、潤滑油が貯留される空間)を密封するように設けられている。
【0006】
しかし、回転割出し装置の場合には、前記空隙部に切粉等のダストが侵入することにより、オイルシールにおける主リップ部がダメージを受けてしまうことがある。そして、主リップ部がダメージを受けると、その結果として、オイルシールのシール性能が低下してしまうといった問題が生じる。
【0007】
なお、特許文献1に開示されているオイルシールもそうであるように、オイルシールには、前記のような主リップ部に加え、外部からのダストの侵入を防止するためのダストリップ部(副リップ部)を含むように構成されたものもある。しかし、一般的なオイルシールにおいては、その副リップ部は、あくまで補助的なものであって、軽微なダスト(例えば、切粉やクーラント液等の異物)の侵入しか防止できないように構成されたものとなっている。
【0008】
そのため、副リップ部を有するオイルシールであっても、その副リップ部のみでは外部からのダストの侵入を完全に防止することはできない。したがって、オイルシールが副リップ部を有していたとしても、副リップ部において侵入を防止できなかった前記ダストにより、前述した主リップ部のみを有するオイルシールを備える回転割出し装置の場合と同様に、主リップ部がダメージを受けてしまい、オイルシールの性能が低下してしまうこととなる。
【0009】
また、特許文献2に開示された回転割出し装置は、そのような副リップ部を有するオイルシールを2個備える構成となっている。しかし、前述のように、副リップ部は軽微なダストの侵入しか防止できない補助的なものであり、また、主リップ部は潤滑油を外部に流出させないことを主目的とした(すなわち、外部からのダストの侵入に弱い)ものであることから、そのようなオイルシールを2個備えたとしても、副リップ部を有するオイルシールを1個備える回転割出し装置の場合と同様に、各オイルシールにおける主リップ部が前記ダストによってダメージを受けてしまうことになる。
【0010】
なお、オイルシール(主リップ部)がダメージを受けてそのシール性能が低下すると、フレーム内に貯留された潤滑油が流出して潤滑油の量が減少したり、あるいはクーラント液が内部へ浸入して潤滑油の濃度が低下したりする場合がある。そして、いずれの場合においても、歯車機構を適切に潤滑できない状態となる虞がある。
【0011】
以上のような実情を鑑み、本発明は、前記空隙部にオイルシールを備える回転割出し装置において、外部からのダストによるオイルシールへのダメージを防止することができる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、フレームの収容孔内で軸受を介して回転可能に支持された主軸及び主軸の一端側に設けられてワーク又はワークを取り付けるための治具が取り付けられるテーブル部から成る回転体と、フレームと回転体との間の空間のうちの軸受よりも一端側の部分である空隙部に設けられるオイルシールと、回転体を回転駆動する駆動機構と、割出し加工時において回転体を割り出された角度位置で保持するための保持機構とを備える回転割出し装置を前提とする。その上で、本発明は、オイルシールに対し軸受側とは反対側で空隙部にダストシールを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明による回転割出し装置によれば、ダストシールが、前記空隙部のうちの軸受側とは反対側の部分に設けられている。すなわち、その回転割出し装置は、オイルシールが設けられる位置よりもダストが侵入する側に、ダストシールが設けられるように構成されたものとなっている。なお、ダストシールは、ダストの侵入を防止するのを主目的とし、外部からのダストの侵入に対し高いシール性能を有するように構成されている。したがって、前記のように構成された回転割出し装置によれば、前記空隙部に対し外部から前記ダストが侵入したとしても、そのダストシールによってオイルシール側へ前記ダストが侵入するのが防止されるため、オイルシールが前記ダストによってダメージを受けるのを可及的に防ぐことができる。それにより、オイルシールのシール性能を低下しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明による回転割出し装置の一実施形態を示す断面図である。
図2図1に示す回転割出し装置の要部の拡大断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下では、図1図2に基づき、本発明による回転割出し装置の一実施形態(実施例)について説明する。
【0016】
回転割出し装置1は、その構成要素として、工作機械等に設置されるフレーム10と、フレーム10の収容孔11内で軸受2を介して回転可能に支持される主軸21と、その主軸21の一端側に取り付けられる加工テーブルであってワーク又はワークを取り付けるための治具が取り付けられる加工テーブル(テーブル部22)とを備えている。また、その回転割出し装置1は、その主軸21及びテーブル部22から成る回転体20を回転駆動して設定された角度位置に割り出す駆動機構30と、その割り出された角度位置で回転体20をクランプ(保持)するための保持機構40とを備えている。
【0017】
フレーム10は、その大部分を占める本体部12を主体として構成されている。そして、そのフレーム10は、その本体部12に対し組み付けられるベース部13を含んでいる。詳しくは、本体部12は、主軸21が挿通可能な内径の貫通孔を有している。但し、その貫通孔は、その一端側の内径が他端側の内径より小さくなるように形成されている。すなわち、その貫通孔は、前記一端側に内径の小さい小径部、及び前記他端側に内径の大きい大径部を有するように構成されている。
【0018】
また、ベース部13は、円盤状であって、その外周面において本体部12の貫通孔における前記大径部に嵌装可能な大きさに形成されている。さらに、ベース部13は、その厚さ方向に貫通するように形成された貫通孔であって、主軸21を挿通可能な内径の貫通孔を有している。但し、そのベース部13における貫通孔は、その厚さ方向に見て、その中心がベース部13の中央に位置するように形成されている。その上で、ベース部13は、本体部12に対し、本体部12の貫通孔における前記大径部に嵌装されるかたちで組み付けられている。したがって、そのように本体部12及びベース部13を含むように構成されるフレーム10は、その内部に、本体部12の貫通孔とベース部13の貫通孔とから成る収容孔であって主軸21を挿通可能な収容孔11を有する構成となっている。
【0019】
また、主軸21には、前記のように、テーブル部22が取り付けられている。そして、主軸21は、その一端側がベース部13とは反対側となる向きで、フレーム10の収容孔11内に配置されている。その上で、主軸21及びテーブル部22から成る回転体20は、フレーム10における本体部12と主軸21との間に介装された軸受2により、フレーム10の収容孔11内において回転可能に支持されている。
【0020】
駆動機構30は、回転体20を回転駆動するための駆動源としての駆動モータ(図示略)と、その駆動モータの出力軸の回転を回転体20に対し伝達する駆動伝達機構31とで構成されている。また、駆動伝達機構31は、回転体20(主軸21)に対し相対回転不能に取り付けられたウォームホイール32と、そのウォームホイール32に噛合するかたちでフレーム10に対し回転可能に支持されるウォーム33とで構成されている。その上で、駆動モータは、その出力軸において駆動伝達機構31におけるウォーム33に対し連結されている。したがって、回転割出し装置1においては、その駆動モータが予め設定された数値制御プログラムに従ってその駆動を制御されることにより、回転体20がその数値制御プログラムに設定された角度位置に割り出される。
【0021】
また、保持機構40は、駆動機構30によって割り出された角度位置で加工(割出し加工)が行えるように、その割出し加工時において回転体20をその角度位置で保持するためのものである。なお、本実施例では、その保持機構40は、所謂ディスクタイプの保持機構である。具体的には、その保持機構40は、回転体20(主軸21)に対し相対回転不能に取り付けられたクランプディスク42を、クランプピストン41とフレーム10に形成されたクランプ面14とで挟持することでクランプディスク42を介して回転体20をクランプ(保持)状態とするように構成されたものである。
【0022】
また、その保持機構40では、クランプピストン41とフレーム10とで画定される空間43に作動流体が供給されることで、その作動流体の圧力により前記のような保持状態が実現されるものであり、その空間43が圧力室となっている。そこで、フレーム10における本体部12には、その圧力室43に作動流体を供給するための供給路15が形成されている。
【0023】
また、前記のようにベース部13を含むように構成されたフレーム10について、そのフレーム10は、本体部12に対しそのベース部13とは反対側に組み付けられるカバー部16を含んでいる。そのカバー部16は、円盤状に形成されると共に、その板厚方向に貫通するように形成された貫通孔を有している。そして、カバー部16は、その貫通孔の中心がフレーム10における収容孔11(本体部12における貫通孔)の中心に一致するような配置で、その両端面の一方(一方の端面)を当接させた状態で、本体部12に対し組み付けられている。
【0024】
なお、カバー部16における貫通孔は、その内径がフレーム10における収容孔11の内径(本体部12の貫通孔における前記小径部)より小さい孔となっている。したがって、カバー部16は、前記のように本体部12に組み付けられた状態(組付け状態)で、フレーム10における収容孔11(前記小径部)の内周面よりも内側に位置する部分(内周部)を有するように構成されたものとなっている。
【0025】
また、カバー部16は、その内周部において前記一方の端面から突出する部分(突出部)を有している。そして、カバー部16は、前記組付け状態において、その突出部が本体部12の貫通孔(前記小径部)に対し嵌め合わされてその貫通孔内に突出するような状態となっている。なお、本体部12の貫通孔内において、本体部12と主軸21との間には前記のように軸受2が介装されており、その突出部は、本体部12(より詳しくは、本体部12における貫通孔内の軸受2を支持する面)との協働で軸受2を保持(挟持)するようにもなっている。
【0026】
また、カバー部16の貫通孔は、当然ながら、主軸21を挿通可能な内径を有している。そして、その貫通孔は、前記組付け状態において本体部12に連続するかたちとなっていることから、本体部12の貫通孔及びベース部13の貫通孔と共に収容孔11の一部となっている。さらに、カバー部16の貫通孔の内径は、主軸21がその収容孔11に収容された状態で、その貫通孔の内周面と主軸21の外周面との間に所定の大きさの間隙50が形成されるような大きさとなっている。そして、その間隙50は、カバー部16と主軸21との間に形成されるものであり、収容孔11(フレーム10と主軸21との間の空間)における軸受2よりも主軸21の一端側の部分であることから、本発明で言う空隙部に相当する。
【0027】
その上で、その空隙部50には、オイルシール51が設けられている。なお、そのオイルシール51は、駆動伝達機構31を潤滑するためにフレーム10の内部に貯留された潤滑油が外部に流出するのを防止するためのものである。また、本実施例では、そのオイルシール51は、主リップ部に加え、副リップ部を有するように構成されたものとなっている。
【0028】
そのオイルシール51に関し、より詳しくは、前記のように主軸21の外周面とで空隙部50を形成するカバー部16には、その貫通孔の内周面に開口すると共に全周に亘るように形成された溝(第1の溝16a)が設けられている。言い換えれば、空隙部50は、そのカバー部16に形成された第1の溝16aによって画定される空間を含むものとなっている。また、その第1の溝16aは、溝幅がオイルシール51を収容可能であるような大きさに形成されている。その上で、オイルシール51は、空隙部50において第1の溝16aに嵌装されるかたちで設けられている。そして、オイルシール51は、そのように空隙部50に設けられることで、両リップ部(主リップ部及び副リップ部)が主軸21の外周面と接触する状態となっている。
【0029】
以上のように構成された回転割出し装置1において、その回転割出し装置1は、空隙部50内においてオイルシール51と共に設けられるダストシール52を備えている。より詳しくは、カバー部16には、前記のように設けられた第1の溝16aと同様に、カバー部16における貫通孔の内周面に開口するようにして形成された第2の溝16bが設けられている。すなわち、空隙部50は、その第2の溝16bによって画定される空間も含んでいる。
【0030】
但し、その第2の溝16bは、前記板厚方向に関し、第1の溝16aよりもカバー部16の他方の端面(本体部12に当接する前記一方の端面とは反対側の端面)側に設けられている。すなわち、第2の溝16bは、フレーム10において、第1の溝16aに対し軸受2の側とは反対側となる位置に設けられている。
【0031】
また、その第2の溝16bは、溝幅がダストシール52を収容可能であるような大きさに形成されている。その上で、その第2の溝16bには、ダスト(切粉やクーラント液等)の侵入を防止するのを主目的として構成されたダストシール52が、嵌装されるかたちで設けられている。そして、そのダストシール52は、そのように空隙部50に設けられた状態において、リップ部が主軸21の外周面と接触する状態となっている。また、ダストシール52は、第2の溝16bが第1の溝16aに対し前記のように設けられていることから、前記板厚方向(主軸21の軸線方向)において、オイルシール51に対し軸受2の側とは反対側に位置するように配置された状態となっている。
【0032】
なお、回転割出し装置1において、空隙部50は、テーブル部22とフレーム10(カバー部16)との間の隙間を介して外部と連通しており、ダストは、その隙間を経由して空隙部50に侵入する。すなわち、空隙部50においては、テーブル部22側がダストの侵入する側である。そして、その空隙部50において、オイルシール51に対する軸受2側とは反対側は、テーブル部22側である。したがって、前記のようにダストシール52を設けることは、空隙部50において、オイルシール51に対するダストの侵入側にダストシール52を設けるということになる。
【0033】
そして、そのように構成された回転割出し装置1によれば、ダストが空隙部50内に侵入したとしても、ダストシール52によってダストがオイルシール51側に侵入するのが防止される。それにより、オイルシール51がダストによってダメージを受けることが防止され、オイルシール51のシール性能が低下してしまうといった問題の発生を可及的に防止することができる。
【0034】
以上では、本発明が適用された回転割出し装置の一実施形態(以下、「前記実施例」と言う。)について説明した。しかし、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、以下のような他の実施形態(変形例)での実施も可能である。
【0035】
(1)空隙部においてオイルシールと共に設けられるダストシールについて、前記実施例では、回転割出し装置1は、ダストシール52を1個のみ備えるように構成されている。しかし、本発明において、回転割出し装置に設けられるダストシールは、1個には限られず、2個以上(複数)であっても良い。なお、その場合において、その2個以上のダストシールは、当然ながら、オイルシールに対し軸受2側とは反対側となる位置に設けられる。また、本発明が前提とする回転割出し装置に設けられるオイルシールについても、前記実施例のように1個には限られず、2個以上(複数)であっても良い。
【0036】
(2)ダストシールが設けられる空隙部について、前記実施例では、ダストシール52が設けられる空隙部50は、フレーム10と回転体20における主軸21との間に形成された空隙となっている。しかし、本発明において、その空隙部は、フレームと回転体との間に形成される空隙であってオイルシールに対し軸受側とは反対側の空隙であれば良く、フレームと回転体におけるテーブル部との間に形成される空隙であっても良い。
【0037】
詳しくは、先ず本発明が前提とする回転割出し装置について、その回転割出し装置における回転体は、フレームの収容孔内で回転可能に支持される主軸と、その主軸の一端側に設けられてワーク又はワークを取り付けるための治具が取り付けられるテーブル部とから構成されたものである。なお、前記実施例の回転体20は、図1等から理解されるように、主軸21及びテーブル部22がそれぞれを成す部材で構成されているが、本発明における回転体は、主軸に相当する部分とテーブル部に相当する部分とを有していれば良く、その構成(成り立ち)が特に限定されるものではない。その上で、前記実施例の回転割出し装置1は、その回転体20におけるテーブル部22全体がフレーム10の外側に位置するように構成されているが、公知の回転割出し装置としては、テーブル部の板厚方向(主軸の軸線方向)に関し、テーブル部の一部又は大部分がフレームに収容されるように構成されたものも存在する。
【0038】
そして、回転体におけるテーブル部がフレームに収容された回転割出し装置においては、主軸よりもテーブル部側においても、フレームと回転体との間の空隙(テーブル部側空隙)が存在することとなる。そこで、そのような回転割出し装置の場合、そのフレームと回転体におけるテーブル部との間に形成されるテーブル部側空隙が本発明で言う空隙部に含まれることとなり、そのテーブル部側空隙にダストシールを設けるようにしても良い。なお、その場合において、オイルシールは、前記実施例と同様に主軸とフレームとの間の空隙における軸受よりもテーブル部側(テーブル部側空隙の側)に設けられても良いし、テーブル部側空隙においてダストシールよりも主軸側(軸受側)に設けられても良い。
【0039】
(3)本発明が前提とする回転割出し装置について、前記実施例では、その回転割出し装置1における駆動機構30は、ウォームホイール32及びウォーム33から成る駆動伝達機構31を介して駆動モータの回転を回転体20に伝達するように構成されており、所謂ウォームギア機構を駆動伝達機構として採用したものとなっている。しかし、本発明における駆動機構は、そのように構成されたものには限られない。
【0040】
例えば、駆動機構は、駆動伝達機構として、複数のローラが円周方向に配置されたローラギヤ及びそのローラギヤと噛合する螺旋状のカム溝を有するローラカム軸で構成されたローラギヤカム機構を採用したものであっても良い。あるいは、その駆動機構は、駆動伝達機構を介さずに回転体を直接的に回転駆動するDDモータ(直接駆動型駆動モータ)を駆動源として構成されたものであっても良い。
【0041】
また、本発明が前提とする回転割出し装置において、前記実施例では、保持機構40は、所謂ディスクタイプの保持機構となっている。しかし、本発明における保持機構は、そのようなディスクタイプのものに限らず、他の公知の保持機構、例えば、回転体の周りに設けられたクランプスリーブを縮径方向に撓ませて回転体に接触させることで回転体を保持するように構成された所謂スリーブタイプの保持機構であっても良い。
【0042】
また、本発明は、以上で説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 回転割出し装置
2 軸受
10 フレーム
11 収容孔
12 本体部
13 ベース部
14 クランプ面
15 供給路
16 カバー部
16a 第1の溝
16b 第2の溝
20 回転体
21 主軸
22 テーブル部
30 駆動機構
31 駆動伝達機構
32 ウォームホイール
33 ウォーム
40 保持機構
41 クランプピストン
42 クランプディスク
43 圧力室
50 空隙部
51 オイルシール
52 ダストシール
図1
図2