(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154105
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】アンカー工又はロックボルト工における定着材注入ホースの接続治具
(51)【国際特許分類】
E21D 20/00 20060101AFI20221005BHJP
F16L 33/32 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
E21D20/00 L
F16L33/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056986
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】593112252
【氏名又は名称】サンスイ・ナビコ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】515245549
【氏名又は名称】株式会社フィールドサービス
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】末永 剛士
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 雅洋
(72)【発明者】
【氏名】大柴 俊紀
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アンカー工又はロックボルト工における定着材注入ホースの接続治具に関し、注入管同士を迅速に且つ簡単確実に接続できるようにした定着材注入ホースの接続治具を提供する。
【解決手段】注入管部1とガイド管部2とネジ切り部付き外部管部3からなり、外部管部3の内部にネジ切り部4によって、摩擦抵抗により注入圧がかかっても接続ホースが外れることがないようにし、ガイド管部2は接続ホースの外径より大きめに作製して、接続ホースの変形や曲がりがあっても接続ホースとの接続を容易にし、外部管部に設けた上下一対の台座を設け、上部台座5aを下部台座5bより大きく作製し台座締め付け用ボルト6を少し緩め、上部台座5aを指で押し上げるだけで接続ホースの着脱を容易にした構成。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定着材の注入管部(1)と筒形ガイド管部(2)とネジ切り付き開閉式ガイド管部(3)からなり、筒形ガイド管部(1)は接続ホース(H)の外径より大きめに作製されており、ホース(H)の変形や曲がりがあっても接続ホース(H)との接続を容易にしたことを特徴とするアンカー工又はロックボルト工における定着材注入ホースの接続治具。
【請求項2】
開閉式ガイド管部(3)の内部にネジ切り部(4)がなされており、摩擦抵抗により注入圧がかかっても接続ホース(H)が外れることがないように構成した請求項1記載のアンカー工又はロックボルト工における定着材注入ホースの接続治具。
【請求項3】
ガイド管部(2)は上下一対の半円形管部(2a)・(2b)からなり、上下の半円形管部を合わせてネジ切り部(4)で挟み込む形で接続ホース(H)を固定することにより、均一に力が加わり、偏圧によりホースの引き抜けや破損が防止できるように構成した請求項1又は2に記載のアンカー工又はロックボルト工における定着材注入ホースの接続治具。
【請求項4】
開閉式ガイド管部(3)に上下一対の台座(5a)・(5b)を設け、上部の台座(5a)の縁辺(4a′)を下部台座(5b)より大きく作製し、台座締め付け用ボルト(6)を少し緩め、上部の台座(5a)を指で押し上げるだけで、接続ホースの着脱を容易に構成した請求項1~3のいずれか一項に記載のアンカー工又はロックボルト工における定着材注入ホースの接続治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンカー工又はロックボルト工における定着材注入ホースの接続治具に関するもので、地山を掘削した穴と挿入した材料の空隙を埋める(定着作業)における、セメントミルク等の定着材を注入するホースを注入管部に迅速に且つ簡単確実に接続できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従前、アンカー工やロックボルト工の定着材注入では、注入プラントからホースと、地中に埋設されたアンカー等から、孔口へ伸びた注入ホースを、人力で押し込み、番線等で締め込み接続する工法が主であった。
【0003】
金属製ホースジョイントを用いる方法での接続工法も用いられているが、ホースとの接続で番線等の接続治具を用いなければならず、締め付け不足によるジョイント外れや、締め付けすぎによるホースの破損など、重大事故につながる事例が発生していた。
【0004】
上記のいずれの接続方法も、ジョイント部を線的に結束する工法であり、特に注入圧が高いアンカー工やロックボルト工での定着作業では、接続部に偏圧がかかり、ホースの破損や、引き抜け事故が発生する危険がある。
【0005】
外気温下での作業であり、特に寒冷地ではホースの伸縮性、柔軟性がなくなり、ホース同士の接合や金属製ジョイントの接合部への、ホースの挿入が困難な事例がある。
【0006】
また、着脱に関しても、番線やホース自体を切断しなければならず、再利用が不可能になる事例や、切断時加圧された注入材が噴出する危険があった。
【0007】
そこで従来においても、金属製筒形本体の長さ方向の一部を軸芯方向に沿うと共に半径方向に欠徐部を形成し、その欠徐部に相当する半円形の蓋体をヒンジを介して開閉自在に結合し、当該ヒンジと対向位置の本体に締め付け用レバーハンドルを回動自在に結合し、その半円形蓋体の頂面にテーパー形突起を設けた供給ホースと供給管の連通用接続工具は存在している(特許文献1)。
【0008】
上記の特許文献1の構成によって、液体や気体等の各種供給ホースと供給管を接続するのにいわゆる番線と呼ばれる金属線やその番線で緊締する工具を使用することなく簡単且つ確実に連結固定できる効果を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1にあっては、ホースを抑える円筒形本体と蓋体の摩擦力が弱いので締め付け力必ずしも万全でなく、また、その蓋体上面に設けたテーパー形突起にレバーハンドルを水平回動してホースを締め付けるのであるが、使用しているうちに徐々に締め付け力が低下する傾向にあった。そこで、上記のような締め付け力の低下を防止することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1は、アンカー工又はロックボルト工における定着材注入ホースの接続治具において、定着材の注入管部、筒形ガイド管部及び開閉式ガイド管部からなり、当該開閉式ガイド管部は接続ホースの外径より多少大きめに作製されており、ホースの変形や曲がりがあっても接続が容易な構造にしたものである。
【0012】
本発明の第2は、第1の発明に係るアンカー工又はロックボルト工における定着材注入ホースの接続治具において、開閉式ガイド管部の内部にネジ切り部を設け、摩擦抵抗により注入圧がかかってもホースが外れることがないようにしたものである。
【0013】
本発明の第3は、第1ないし第2の発明に係るアンカー工又はロックボルト工における定着材注入ホースの接続治具において、開閉式ガイド管部は上下一対の半円形管部からなり、上下半部を合わせてネジで挟み込む形でホースを抱持して固定することにより、均一に力が加わり、偏圧によりホースの引き抜けや破損が防止できるようにしたものである。
【0014】
本発明の第4は、第1の発明に係るアンカー工又はロックボルト工における定着材注入ホースの接続治具において、開閉式ガイド管部のボルト締め付け部の台座の大きさは上部台座を下部台座より大きく作製しており、ボルトを少し緩め、上部の台座を指で押し上げるだけで、接続ホースの着脱を容易にしたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は上記の構成であるから、次のような効果がある。
第1に、開閉式ガイド管部が接続ホースの外径より大きめに作製されているので、当該ホースの変形や曲がりがあっても接続が容易になる。
【0016】
第2に、開閉式ガイド管部の内部にねじ切り部を設けたことにより、強力な摩擦抵抗によって注入圧がかかってもホースが外れたりずれたりすることがなくなる。
【0017】
第3に、開閉式ガイド管部は、2枚の半円形の管を合わせてボルトで挟み込む形でホースを固定するようになっているから、偏圧によるホースの引き抜けや破損が防止される。
【0018】
第4に、開閉式ガイド管部のボルト締め付け部に上部台座縁辺の大きさを下部台座の縁辺より大きくしたので、締め付け用ボルトを少し緩め、上部台座を指で押し上げるだけで、接続ホースの取り出しが容易になる効果がある。
【0019】
第5に、アンカー工及びロックボルト工におけるセメントミルク等の定着材の注入を安全かつ簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係るアンカー工又はロックボルト工における定着材注入ホースの接続治具の開閉式ガイド管部を開いた状態の斜視図である。
【
図2】
図1の開閉式ガイド管部を閉じた状態の斜視図である。
【
図5】ガイド管部にホースを装着した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、金属製注入管部とガイド管部とネジ切り部付き開閉式ガイド管部からなり、当該開閉式ガイド管部の内部にネジ切り部によって、摩擦抵抗により定着材の注入圧がかかっても接続ホースが外れることがないようにしてある。そして、開閉式ガイド管部は接続ホースの外径より大きめに作製してあり、接続ホースの変形や曲がりがあっても接続ホースとの接続を容易にし、開閉式ガイド管部に設けた上下一対の台座を設け、上部台座の縁辺を下部台座の縁辺より大きく作製して台座締め付け用ボルトを少し緩め、上部の台座を指で押し上げるだけで接続ホースの着脱が容易になっている。
【実施例0022】
図1において、1は定着材の注入管部であり、その端部側を供給ポンプPに注入用ホースH′で繋ぎ、主にセメントミルクを供給するものである。2は注入管部1に接続する筒形のガイド管部であり、ホースHの基部を挿入するようになっている。
3は開閉式ガイド管部であり、これを直径方向に二つ割りして上半部3aと下半部3bとし、その内径面にはネジ切り部4を成形してある。当該ネジ切り部4はホース先端を開閉式管部3で抱持したときにセメント等定着材の供給圧力によってホースHがガイド管部3からずれたり抜けたりする恐れを防止する。5は二つ割りした開閉式ガイド管部3に設けた台座であり、上部台座5aの縁辺5a′を下部台座5bの縁辺5b′より指掛け可能な幅wだけ大きくしてある。また、当該上下の台座5a・5bの付け根はガイド管部3の上半部3aと下半部3bにそれぞれ溶接で固着してある。
【0023】
6は開閉式ガイド管部3の上下一対の上半部3aと下半部3bを開閉できるように溶接で固着
したヒンジ、7は下部台座5bにあけたネジ孔である。なお、
図3のように下部台座5bの下面に別部材のナットを溶接した場合は、当該下部台座5bにあけたネジ孔7をボルト通し孔にすることができる。8は上部台座5aにあけたボルト通し孔、9はボルト通し孔8に通してネジ孔7にねじ込む締め付けるためのレバーハンドル9′付きのボルトを示す。図中Hは、端部を外部管部3(3a・3b)で抱持してボルト9で締め付けるホースである。
【0024】
[具体的組立例]
本発明に係る治具において、金属製の定着材注入管部1の長さLa=90.47mm、筒形ガイド管部2の長さLb=45.00mm、開閉式ガイド管部3の長さLc=60.00mmの長さを合わせた全長L=195.47mmであり、ホースHの直径は21.5mm又は17mmの2通りがある。
【0025】
次に、開閉式ガイド管部3の上半部3aを開いて下半部3bの凹弧状部にホースHの端部を装入し、且つその先端を円筒部内に端部を嵌入した後、開閉式ガイド管部の上半部3aを閉じて当該ホースHを抱持し、レバーハンドル9′を回動してボルト9を締め付けて開閉式ガイド管部3の内径ネジ切り部4によって、ホースHに対する摩擦力を増して強固に抱持して引き抜け作用を防止する。
【0026】
この連通状態でレバーハンドル9′を解除方向に緩めると、台座5の上半部5aが注入管部1に対して開蓋状態になり、ホースHの端部を開閉式ガイド管部3から離脱することができる。
【0027】
[作業工程例]
(1)まず、注入材を練り混ぜたプラントに、注入材を送り出すポンプPを設置する。
(2)次に、ポンプPから延びている注入用ホースH′に、本件治具における注入管部1の端部を接続する。
(3)掘削した孔に挿入されている、アンカー材等から出ている、注入用ホースHの先端を本件治具の開閉式ガイド管部3に連結する。
(4)上記の注入用ホースHの接続が完了したら、ポンプPで注入材を送り込む。