(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154120
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】複合カバリング糸およびそれからなるロープ
(51)【国際特許分類】
D02G 3/36 20060101AFI20221005BHJP
D02G 3/04 20060101ALI20221005BHJP
D02G 3/44 20060101ALI20221005BHJP
D07B 1/02 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
D02G3/36
D02G3/04
D02G3/44
D07B1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057010
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003001
【氏名又は名称】帝人株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169085
【弁理士】
【氏名又は名称】為山 太郎
(72)【発明者】
【氏名】水田 悠生
(72)【発明者】
【氏名】金 辰一郎
【テーマコード(参考)】
3B153
4L036
【Fターム(参考)】
3B153AA08
3B153AA26
3B153BB01
3B153CC13
3B153CC23
3B153FF17
3B153GG01
3B153GG05
4L036MA04
4L036MA37
4L036MA39
4L036MA40
4L036PA21
4L036RA25
4L036UA07
(57)【要約】
【課題】高伸度、高強度かつ軽量性であり、さらに良好な耐クリープ性を有することで、張力変化や経時による破断リスクが低減された複合カバリング糸を提供する。
【解決手段】芯糸および芯糸をカバリングする鞘糸からなる複合カバリング糸であって、芯糸は引張破断伸度15%以上の繊維からなり、鞘糸は引張破断伸度14%以下の繊維からなり、カバリング角度θが0.30~0.49ラジアンであることを特徴とする複合カバリング糸。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯糸および芯糸をカバリングする鞘糸からなる複合カバリング糸であって、
芯糸は引張破断伸度15%以上の繊維からなり、鞘糸は引張破断伸度14%以下の繊維からなり、
下記式にて求められるカバリング角度θが0.30~0.49ラジアンであることを特徴とする複合カバリング糸。
【数1】
ここで、
θ:カバリング角度(ラジアン)
D:芯糸直径(cm)
d:鞘糸直径(cm)
T:鞘糸撚り数(T/m)
【請求項2】
引張破断伸度が7%以上、引張破断強度が8cN/dtex以上、かつ平均比重が1.06以下である、請求項1に記載の複合カバリング糸。
【請求項3】
芯糸がポリオレフィン繊維からなる、請求項1または2に記載の複合カバリング糸。
【請求項4】
鞘糸がパラアラミド繊維からなる、請求項1~3のいずれかに記載の複合カバリング糸。
【請求項5】
係留ロープとして用いられる、請求項1~4のいずれかに記載の複合カバリング糸。
【請求項6】
請求項5に記載の複合カバリング糸からなる係留ロープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合カバリング糸およびロープに関する。詳しくは、複数の種類の繊維からなる複合カバリング糸およびそれからなるロープに関する。
【背景技術】
【0002】
船舶が係留施設へ接岸または離岸する際の繋離船作業は、港湾利用を支える基礎的な活動である。この活動が安全に遂行されるためには、係留作業性を確保しつつ、係留ロープの破断リスクを下げることが極めて重要である。
【0003】
一般的に、係留ロープは船の上下動が大きい環境下で使用されることがあるため、ロープにかかる張力変動の大きさは破断リスクを考慮する上で特に重要な要素となる。張力変動による破断リスクを小さくするためには、係留ロープ自体が伸長することで張力変動を吸収するという設計思想が効果的である。この思想に基づき現在は、高伸度性の発現が期待されるナイロン製のロープが主に使用されている。
【0004】
しかし、ナイロンの比重は1以上であり、ナイロン製の係留ロープは水に浮かないため、係留作業性上の課題がある。さらに、ナイロンは耐クリープ性が悪いため、経時使用による破断リスクの高さが懸念されている。
【0005】
上記課題の解決案として、ポリオレフィン系素材を用いたロープの使用が考えられる(特許文献1)。ポリオレフィン系のロープにより高伸度・低比重を両立させることができるが、耐クリープ性上の懸念は払しょくされない。
【0006】
良好な耐クリープ性の発現のためには、アラミド繊維製のロープの使用が考えられる(特許文献2)。しかし、アラミド繊維ロープは比重上海水に浮かず、さらに、破断伸度が低いため、急激な張力変動をロープの伸長によって対応することが困難である。
以上述べた通り、高伸度、高強度、軽量性を両立する係留ロープが望ましいが、全てを満たす効果的な素材系は提案されていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007-254941号公報
【特許文献2】特許第4787508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、高伸度、高強度かつ軽量性であり、さらに良好な耐クリープ性を有することで、張力変化や経時による破断リスクが低減された複合カバリング糸を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明は、
芯糸および芯糸をカバリングする鞘糸からなる複合カバリング糸であって、
芯糸は引張破断伸度15%以上の繊維からなり、鞘糸は引張破断伸度14%以下の繊維からなり、
下記式にて求められるカバリング角度θが0.30~0.49ラジアンであることを特徴とする複合カバリング糸である。
【0010】
【0011】
ここで、
θ:カバリング角度(ラジアン)
D:芯糸直径(cm)
d:鞘糸直径(cm)
T:鞘糸撚り数(T/m)
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高伸度、高強度かつ軽量性であり、さらに良好な耐クリープ性を有することで、張力変化や経時による破断リスクが低減された複合カバリング糸を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
〔カバリング〕
本発明の複合カバリング糸は、芯糸および芯糸をカバリングする鞘糸からなる。
鞘糸によるカバリングは、直線性を維持させた芯糸の外周に鞘糸が巻き付いた態様である。この態様をとることで、鞘糸の幾何学的な伸びしろを容易に得ることができ、従来の合撚糸と比較して、より高い伸度を得ることができ、外的環境に由来する張力変動があったときに、伸長により応力を吸収することができる。このため。破断を低減することができる。このカバリングは、互いに撚り合わせた合撚糸構成とは異なる。
【0015】
本発明の複合カバリング糸のカバリング角度θは、0.30~0.49ラジアン、好ましくは0.30~0.44ラジアンである。カバリング角度θが0.30ラジアン未満であると、鞘糸の幾何学的な伸びしろが十分確保されないため、複合糸としての高伸度性を発現することが困難になる。他方、カバリング角度θが0.49ラジアンを超えると、繊維の配向角上鞘糸の強度利用率が下がるため、複合カバリング糸として十分な強度を発現させることが困難となる。
【0016】
〔芯糸〕
芯糸は、引張破断伸度15%以上の繊維からなる。芯糸の引張破断伸度が15%未満であると、鞘糸の強度が十分に利用されないうちに複合カバリング糸として破断点を迎えるため、高い強度を得ることができない。
この芯糸には、引張破断伸度15%以上の有機高分子繊維を用いることができるが、高伸度と軽量化を得る観点から、好ましくはポリオレフィン繊維を用いる。
【0017】
〔鞘糸〕
鞘糸は、引張破断伸度14%以下の繊維からなる。鞘糸の引張破断伸度が14%を超えると、鞘糸の伸度が芯糸の伸度に近づくため、鞘糸が力学強度を担う領域が小さくなり望ましくない。
【0018】
この鞘糸には、引張破断伸度14%以下の有機高分子線条体を用い、例えば全芳香族ポリアミド、ポリエチレン、液晶ポリエステル、ポリアリレート、ポリパラフェニレン・ベンゾビス・オキサゾールの繊維または線状のフィルムを用いることができる。耐寸法変化
性と耐クリープ性の観点から、好ましくは全芳香族ポリアミド繊維を用い、特に好ましくはパラ型芳香族ポリアミド繊維を用いる。
【0019】
このパラ型芳香族ポリアミド繊維として、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(帝人アラミド株式会社製、「トワロン(登録商標)」)、3,4’オキシジフェニレンジアミンまたは4,4’オキシジフェニレンジアミンを共重合成分とする共重合タイプのパラ系アラミド繊維(例えば、コポリパラフェニレン‐3、4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維、帝人株式会社製、「テクノーラ」)を例示することができる。
【0020】
有機高分子線状体が繊維である場合、マルチフィラメントでもモノフィラメントでもよい。線状のフィルムである場合、スリットフィルムでもテープでもよく、これらを撚って形成された線状体であってもよい。
【0021】
鞘糸は、その引張強度が好ましくは18~60cN/dtex、さらに好ましくは20~50cN/dtex、特に好ましくは22~40cN/dtexである。引張強度が18cN/dtex未満であると、当該複合糸でロープを構成した際に強度を得ることができず好ましくない。他方、60cN/dtexを超えると、ロープが柔軟性や屈曲性を得ることが難しくなる。なお、60cN/dtexを超える引張強度を示すものとして、PAN系炭素繊維がある。
【0022】
〔物性〕
本発明の複合カバリング糸は、張力の変動時の破断を軽減する観点から、その引張破断伸度が、好ましくは7%以上、さらに好ましくは9%以上である。
本発明の複合カバリング糸は、大張力への耐久性の観点から、その引張破断強度が、好ましくは8cN/dtex以上、さらに好ましくは9.5cN/dtexである。
本発明の複合カバリング糸は、係留ロープとして良好な作業性と取り扱い性を確保する観点から、その平均比重が、好ましくは1.06以下、さらに好ましくは1.025以下である。
【0023】
〔係留用ロープ〕
本発明の複合カバリング糸は、係留ロープとして好適に用いることができる。すなわち、本発明により、上記の複合カバリング糸からなる係留用ロープが提供される。
【実施例0024】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。評価は、以下の方法で行った。
(1)引張破断伸度および引張強度
試料について、引張試験機(INSTRON社製、商品名:INSTRON)を用いて、ASTM D885に準拠して、以下の条件にて測定した。
温度 :25℃
測定試料長 :750mm
引張速度 :250mm/min
チャック間距離:500mm
【0025】
(2)平均比重
平均比重ρ(Ave)は、下記の式で算出した。
【0026】
【0027】
Dtex(Total):総繊度(dtex)
S(Total): 総断面積(cm2)
Dtex(Total)は、芯糸、鞘糸それぞれの繊度(dtex)の和から算出した。
S(Total)は、芯糸および鞘糸それぞれの断面積(cm2)の和から算出した。
なお、芯糸および鞘糸それぞれの断面積(cm2)は、以下の式にて算出した。
【0028】
【0029】
S(芯): 芯糸の断面積(cm2)
Dtex(芯):芯糸の繊度(dtex)
ρ(芯): 芯糸の密度(g/cm3)
【0030】
【0031】
S(鞘): 鞘糸の断面積(cm2)
Dtex(鞘):鞘糸の繊度(dtex)
ρ(鞘): 鞘糸の密度(g/cm3)
【0032】
(3)耐クリープ性
試料について、20℃の温度条件で破断荷重の40%に相当する荷重をかけ、試験荷重印加40分間後から70分間後までの間での試験片の伸び率(%)を試験時間(30分間)で割り返し、クリープレート(%/分間)を求めた。耐クリープ性を以下の基準で評価した。
〇(良好): クリープレートが1×10-3%/分間未満
×(不良): クリープレートが1×10-3%/分間以上
【0033】
(4)編組ロープの引張試験
両端部をアイ加工した編組ロープ(ロープ部の長さ:1m)を試料として使用した。引張試験では、張力付与によるロープ構造の引き締め効果を考慮するために、編組ロープの荷伸曲線において、曲線が立ち上がり始める地点まで編組ロープを伸長して引き締め、初期状態まで除荷したうえで再度伸長する方法を採用した。
【0034】
(5)編組ロープ対象の耐クリープ性
両端部をアイ加工した編組ロープ(ロープ部の長さ:1m)を試料として使用した。20℃の温度条件で破断荷重の40%に相当する荷重をかけ、試験荷重印加40分間後から70分間後までの間での試験片の伸び率(%)を試験時間(30分間)で割り返し、クリ
ープレート(%/分間)を求めた。編組ロープの耐クリープ性を以下の基準で評価した。
〇(良好): クリープレートが1×10-3%/分未満
×(不良): クリープレートが1×10-3%/分以上
【0035】
〔実施例1〕
芯糸としてポリプロピレン繊維(繊度:1100dtex 繊維束本数:2本 撚り条件:Z50T/m)を用い、鞘糸としてアラミド繊維(帝人株式会社製 テクノーラ(登録商標)品番:T221 1100T/667 繊維束本数:1本、繊維束中の単糸本数:667本、撚り条件:S160T/m)を用いて、複合カバリング糸(総繊度:3300dtex)を作製した。なお、この複合カバリング糸のカバリング角度θは0.41ラジアンとした。作製した複合カバリング糸について、引張破断伸度、引張強度、平均比重および耐クリープ性をそれぞれ評価した。
【0036】
つぎに、上述した複合カバリング糸を用い、2本で下撚りを行い、その後6本で上撚りを行い、合計12本合撚の線状体束を作成した。上撚り条件は40T/mとした。この線状体束24本を14T/mの条件で撚り上げて、ストランドを作成した。得られたストランドの総繊度は、95万dtexであった。このストランドを2本ずつ1組にして6組使用し、ストランド12本からなる総繊度1,140万dtexの12打ち編組ロープを作成し、引張破断伸度、引張強度および耐クリープ性を評価した。
【0037】
〔実施例2〕
実施例1において、芯糸および鞘糸の構成とカバリング条件を変更した。具体的には、芯糸として使用するポリプロピレン繊維のストランド本数を3本とし、撚り条件をZ33T/mとし、鞘糸として使用するアラミド繊維(帝人株式会社製 テクノーラ(登録商標))の品番をT221 1670T/1000(繊維束中の単糸本数:1,000本)とし、鞘糸の撚り条件をS90T/mとした。なお、複合カバリング糸のカバリング角度θは0.30ラジアンとした。作製した複合カバリング糸の評価を実施例1と同様に実施した。
さらに、実施例1同様の方法で12打ち編組ロープを作成し、引張破断伸度、引張強度および耐クリープ性を評価した。
【0038】
〔比較例1〕
実施例1で芯糸として使用したポリプロピレン繊維を用意し、このポリプロピレン繊維単独の物性を評価した。このポリプロピレン繊維を複合カバリング糸の代わりに用いた他は実施例1と同様にして12打ち編組ロープを作成し、引張破断伸度、引張強度および耐クリープ性を評価した。
【0039】
〔比較例2〕
実施例1で鞘糸として使用したアラミド繊維を用意し、このアラミド繊維単独の物性を評価した。このアラミド繊維を複合カバリング糸の代わりに用いた他は実施例1と同様にして12打ち編組ロープを作成し、引張破断伸度、引張強度および耐クリープ性を評価した。
【0040】
〔比較例3〕
鞘糸の撚り条件をS110T/mに変更した以外は実施例1と同様にして複合カバリング糸を作製した。得られた複合カバリング糸のカバリング角度θは0.29ラジアンであった。
複合カバリング糸の評価を実施例1と同様に実施した。さらに、実施例1と同様の方法で12打ち編組ロープを作成し、引張破断伸度、引張強度および耐クリープ性を評価した。
【0041】
〔比較例4〕
鞘糸の撚り条件をS550T/mに変更した以外は実施例1同様にして複合カバリング糸を作製した。得られた複合カバリング糸のカバリング角度θは0.99ラジアンであった。
複合カバリング糸の評価を実施例1と同様に実施した。さらに、実施例1と同様の方法で12打ち編組ロープを作成し、引張破断伸度、引張強度および耐クリープ性を評価した。
【0042】
〔比較例5〕
実施例1で使用した芯糸(ポリプロピレン繊維 繊度1100dtex 繊維束本数:2本、撚り条件Z50T/m)と、実施例1で使用した鞘糸(帝人株式会社製 テクノーラ(登録商標) 品番:T221 1100T/667 繊維束本数:1本、撚り条件:S160T/m)とを用いてZ160T/mの上撚りを与えて合撚糸を得た。この合撚糸のカバリング角度θは0.41ラジアンであった。
作製した合撚糸の評価を実施例1と同様に実施した。さらに、この合撚糸を用いて実施例1同様の方法で12打ち編組ロープを作成し、引張破断伸度、引張強度および耐クリープ性を評価した。
【0043】
〔比較例6〕
実施例1で使用した芯糸(ポリプロピレン繊維 繊度1100dtex 繊維束本数:2本、撚り条件Z50T/m)と、実施例1で使用した鞘糸(帝人株式会社製 テクノーラ(登録商標) 品番:T221 1100T/667 繊維束本数:1本、繊維束中の単糸本数:667本、撚り条件:S160T/m)とを用いてZ220T/mの上撚りを与えて合撚糸を得た。この合撚糸のカバリング角度θは0.54ラジアンであった。作製した合撚糸の評価を実施例1と同様に実施した。この合撚糸を用いて実施例1同様の方法で12打ち編組ロープを作成し、引張破断伸度、引張強度および耐クリープ性を評価した。
【0044】
【0045】
【0046】
実施例1および2の評価結果のとおり、本発明の複合カバリング糸は、高伸度、高強度、低比重および良好なクリープ性を備えることが確認された。
複合カバリング糸を構成する各繊維について、比較例1および2から、ポリプロピレン繊維を単独で使用した場合には強度に問題があり、アラミド繊維を単独で使用した場合には伸度および比重に問題あることが確認された。
【0047】
鞘糸のカバリング条件を変更した比較例3および4から、引張破断伸度および引張強度を両立するためには、カバリング角度θが重要であることが分かる。すなわち、カバリング角度θが小さい比較例3では、複合カバリング糸の強度は高水準を維持しているものの、引張破断伸度は低い。また、カバリング角度θが大きい比較例4では、複合カバリング糸の引張破断伸度は高水準を維持しているものの、引張強度は低い。したがって、引張破断伸度および引張強度を共に高水準とするためには、複合カバリング角度θを一定の範囲内とすることが重要と考えられる。
【0048】
複合方法をカバリングではなく合撚とした比較例5について、カバリング角度は実施例1と同値であるものの、合撚糸では高伸度を達成すことが困難出逢った。これは、合撚構造によりポリプロピレン糸とアラミド糸とが互いの伸長時挙動を拘束し合うためであると考えられる。
さらに、実施例1と同等の引張破断伸度が達成される撚り条件を設定した比較例6の場合には、撚り角度の増大によって引張強度が十分維持されないことが確認された。