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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154133
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】電動機
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/06 20060101AFI20221005BHJP
   H02K 5/18 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
H02K9/06 E
H02K9/06 B
H02K5/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057026
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000176383
【氏名又は名称】三相電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149870
【弁理士】
【氏名又は名称】芦北 智晴
(72)【発明者】
【氏名】井寄 秀人
【テーマコード(参考)】
5H605
5H609
【Fターム(参考)】
5H605AA01
5H605BB05
5H605BB10
5H605BB17
5H605CC01
5H605CC04
5H605DD03
5H605DD12
5H605EB10
5H609BB02
5H609BB14
5H609BB19
5H609PP01
5H609PP05
5H609PP06
5H609PP07
5H609PP08
5H609PP09
5H609PP11
5H609QQ02
5H609QQ10
5H609QQ18
5H609QQ23
5H609RR11
5H609RR16
5H609RR27
5H609RR42
5H609RR58
5H609RR63
(57)【要約】
【課題】ベアリングの温度上昇を抑制する全閉外扇型の電動機を提供する。
【解決手段】ロータ5と第2ベアリング12との間に、回転軸3とともに回転して半径方向外方に空気を送る内部ファン7aを設ける。内部ファン7aと第2ベアリング12との間、および、ステータ4と第2ベアリング12との間に、内部ファン7aにより送られる空気を遠心方向に案内するとともに、第2ベアリング12への輻射熱を遮る遮熱板7bを設ける。ステータ4のコア部4aにステータコア通気穴4aaを設け、ロータ5のコア部5aにロータコア通気穴5aaを設ける。内部ファン7aが回転することにより、ステータコア通気穴4aaおよびロータコア通気穴5aaを通過する空気の流れを伴う対流を生じさせる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
前記ケーシングを貫通するとともに、前記ケーシングに対して複数のベアリングを介して回転自在に支持された回転軸と、
前記ケーシングの内側に固定されたステータと、
前記ステータの内側で前記回転軸とともに回転するロータと、
前記ケーシングの外側かつ前記回転軸の一端部に取り付けられ、前記回転軸とともに回転して前記ケーシングの表面を冷却する外部ファンと、
を備え、
前記複数のベアリングが、前記回転軸の前記一端部と前記ロータとの間に設けられた第1ベアリングと、前記回転軸の他端部と前記ロータとの間に設けられた第2ベアリングとで構成される電動機であって、
前記ロータと前記第2ベアリングとの間に、前記回転軸とともに回転して半径方向外方に空気を送る内部ファンが設けられ、
前記内部ファンと前記第2ベアリングとの間、および、前記ステータと前記第2ベアリングとの間に、前記内部ファンにより送られる空気を遠心方向に案内するとともに、前記ステータおよび前記ロータから前記第2ベアリングへの輻射熱を遮る遮熱板が設けられ、
前記回転軸と平行に前記ステータのコア部に通気穴(以下「ステータコア通気穴」という。)が設けられ、
前記回転軸と平行に前記ロータのコア部に通気穴(以下「ロータコア通気穴」という。)が設けられ、
前記内部ファンが回転することにより、下記(a)、(b)、(c)および(d)の空気の流れを伴う対流が生じることを特徴とする電動機。
(a)前記ステータコア通気穴の前記第2ベアリング側から流入し、前記ステータコア通気穴の前記第1ベアリング側から流出する空気の流れ。
(b)前記ステータコア通気穴の前記第1ベアリング側から流出し、前記ロータコアの前記第1ベアリング側から流入する空気の流れ。
(c)前記ロータコア通気穴の前記第1ベアリング側から流入し、前記ロータコア通気穴の前記第2ベアリング側から流出する空気の流れ。
(d)前記ロータコア通気穴の前記第2ベアリング側から流出し、前記ステータコア通気穴の前記第2ベアリング側から流入する空気の流れ。
【請求項2】
請求項1に記載の電動機において、
前記回転軸は、前記ステータが設けられた部位と、前記第2ベアリングが設けられた部位との間に、その両側より外径が小さくなった小径部を有することを特徴とする電動機。
【請求項3】
請求項2に記載の電動機において、
前記内部ファンは、前記小径部に嵌め付けられていることを特徴とする電動機。
【請求項4】
請求項3に記載の電動機において、
前記小径部は、前記回転軸の軸線に対して傾斜したテーパ部(以下「軸側テーパ部」という。)を軸線方向両側に有し、
前記内部ファンは、
前記小径部に嵌め付けられたスリーブと、
前記スリーブの外周面に嵌め付けられたハブ部と、
前記ハブ部と一体に設けられた羽根部と、
を有し、
前記スリーブは、前記軸線に対して傾斜したテーパ部(以下「ファン側テーパ部」という。)を軸線方向両側に有し、
前記スリーブの前記ファン側テーパ部が、前記回転軸の前記軸側テーパ部に食い込んでいる、ことを特徴する電動機。
【請求項5】
請求項4に記載の電動機において、
前記スリーブは、半径方向に分割可能な部材で構成されている、
ことを特徴とする電動機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全閉外扇型の電動機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電動機は、例えば特許文献1,2に開示されている。全閉外扇型の電動機は、水滴、チリなどが入り込まないように、電動機のケーシングに通気用の開口を持たず、内部の発熱を外部に放出するために、ケーシングに熱伝導性の高い材料を採用し、回転軸に取り付けた外部ファンによってケーシング表面を冷却する。特許文献1における「外部ファン」は、同文献の図1において回転軸(6)の一端に図示されたファンである。特許文献2における「外部ファン」は、同文献の図1に示された「冷却ファン円板(7)」および「冷却羽根(9)」である。
【0003】
ところで、従来の全閉外扇型の電動機では、ロータおよびステータの発熱が、回転軸を支持するベアリングに伝わり、ベアリングの寿命に悪影響を及ぼすことがあった。特に、回転軸を支持する2つのベアリングのうち外部ファンから離れた方のベアリングは、外部ファンから離れていること、および、装置全体の奥まった場所に設置されていることから、温度上昇が著しく、温度上昇による悪影響を受けやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11―241697号公報
【特許文献2】特開平9―93867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、回転軸を支持するベアリングのうち、外部ファンから離れた方のベアリングの温度上昇を抑制することが可能な全閉外扇型の電動機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る電動機は、ケーシングと、前記ケーシングを貫通するとともに、前記ケーシングに対して複数のベアリングを介して回転自在に支持された回転軸と、前記ケーシングの内側に固定されたステータと、前記ステータの内側で前記回転軸とともに回転するロータと、前記ケーシングの外側かつ前記回転軸の一端部に取り付けられ、前記回転軸とともに回転して前記ケーシングの表面を冷却する外部ファンと、を備える。前記複数のベアリングは、前記回転軸の前記一端部と前記ロータとの間に設けられた第1ベアリングと、前記回転軸の他端部と前記ロータとの間に設けられた第2ベアリングとで構成される。前記ロータと前記第2ベアリングとの間に、前記回転軸とともに回転して半径方向外方に空気を送る内部ファンが設けられている。前記内部ファンと前記第2ベアリングとの間、および、前記ステータと前記第2ベアリングとの間に、前記内部ファンにより送られる空気を遠心方向に案内するとともに、前記ステータおよび前記ロータから前記第2ベアリングへの輻射熱を遮る遮熱板が設けられている。前記回転軸と平行に前記ステータのコア部に通気穴(以下「ステータコア通気穴」という。)が設けられている。前記回転軸と平行に前記ロータのコア部に通気穴(以下「ロータコア通気穴」という。)が設けられている。前記内部ファンが回転することにより、下記(a)、(b)、(c)および(d)の空気の流れを伴う対流が生じる。(a)前記ステータコア通気穴の前記第2ベアリング側から流入し、前記ステータコア通気穴の前記第1ベアリング側から流出する空気の流れ。(b)前記ステータコア通気穴の前記第1ベアリング側から流出し、前記ロータコアの前記第1ベアリング側から流入する空気の流れ。(c)前記ロータコア通気穴の前記第1ベアリング側から流入し、前記ロータコア通気穴の前記第2ベアリング側から流出する空気の流れ。(d)前記ロータコア通気穴の前記第2ベアリング側から流出し、前記ステータコア通気穴の前記第2ベアリング側から流入する空気の流れ。
【0007】
かかる構成を備える電動機によれば、少なくとも第2ベアリングの温度上昇を抑制することができる。
【0008】
本発明の第2態様に係る電動機は、第1態様に係る電動機において、前記回転軸は、前記ステータが設けられた部位と、前記第2ベアリングが設けられた部位との間に、その両側より外径が小さくなった小径部を有する。
【0009】
かかる構成を備える電動機によれば、回転軸が小径部を有するため、ロータから回転軸を介して第2ベアリングに伝わる熱を抑制することができる。
【0010】
本発明の第3態様に係る電動機は、第2態様に係る電動機において、前記内部ファンは、前記小径部に嵌め付けられている。
【0011】
かかる構成を備える電動機によれば、内部ファンを回転軸の小径部に嵌め付けることで、ケーシング内の狭いスペースを有効に活用することができる。
【0012】
本発明の第4態様に係る電動機は、第3態様に係る電動機において、前記小径部は、前記回転軸の軸線に対して傾斜したテーパ部(以下「軸側テーパ部」という。)を軸線方向両側に有する。前記内部ファンは、前記小径部に嵌め付けられたスリーブと、前記スリーブの外周面に嵌め付けられたハブ部と、前記ハブ部と一体に設けられた羽根部と、を有する。前記スリーブは、前記軸線に対して傾斜したテーパ部(以下「ファン側テーパ部」という。)を軸線方向両側に有する。前記スリーブの前記ファン側テーパ部が、前記回転軸の前記軸側テーパ部に食い込んでいる。
【0013】
かかる構成を備える電動機によれば、ファン側テーパ部が軸側テーパ部を突っ張ることになるため、小径部の強度を高めることができる。
【0014】
本発明の第5態様に係る電動機は、第4態様に係る電動機において、前記スリーブは、半径方向に分割可能な部材で構成されている。
【0015】
かかる構成を備える電動機によれば、スリーブが径方向に分割可能な部材で構成されているため、回転軸の小径部に対するスリーブの取付けが容易になされる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、回転軸を支持するベアリングのうち、少なくとも、外部ファンから離れた方のベアリングの温度上昇を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る電動機を備えたモータポンプの断面図である。
図2】内部ファンおよびその周囲を示す部分断面図である。
図3】内部ファンおよび回転軸を軸線方向から視た図である。
図4】(a)は回転軸の小径部にスリーブを嵌め付ける状態を軸線方向から視た図である。(b)は、回転軸の小径部に嵌め付けられたスリーブの外周に、焼き嵌めのために高温にしたハブ部7a2を嵌め付ける状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る電動機について、図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、本実施形態に係る電動機1は、主に、ケーシング2、回転軸3、ステータ4、ロータ5、外部ファン6および対流発生装置7を備えている。なお、本実施形態では、電動機1として、モータポンプ100に備わった電動機1を例に挙げて説明する。
【0019】
ケーシング2は、電動機1の外被を構成している。本実施形態では、ケーシング2は、第1ケーシング部2Aおよび第2ケーシング部2Bから構成されている。第1ケーシング部2Aは、ケーシング2において、外部ファン6側の端面2Aaから胴部2Abに亘って形成されている。第1ケーシング部2Aには放熱性に優れた材料、例えばアルミニウム合金、が用いられている。また、第1ケーシング部2Aの外周部には、放熱用のフィン2Ab1が多数形成されている。第2ケーシング部2Bは、外部ファン6と反対側の端面を形成している。本実施形態では、第2ケーシング部2Bは、ポンプ101側の部材の一部と一体に形成されている。第2ケーシング部2Bの材質は例えばねずみ鋳鉄(FC200)である。
【0020】
第1ベアリング11は、回転軸3の外部ファン6が設けられた一端部と、ロータ5との間に設けられている。第2ベアリング12は、回転軸3の他端部(ポンプ101側)とロータ5との間に設けられている。特に、2つのベアリングのうち第2ベアリング12は、外部ファン6から離れていること、および、モータポンプ100全体(装置全体)の奥まった場所(ケーシング2の第2ベアリング12が取り付けられている部分が外部に露出していない場所)にあることから、第1ベアリング11よりも温度が上昇し易く、温度上昇による悪影響を受けやすい。
【0021】
回転軸3は、ケーシング2に対して第1ベアリング11および第2ベアリング12を介して回転自在に支持されている。回転軸3は、ケーシング2を貫通して設けられており、一端側が第1ケーシング部2Aを貫通し、他端側が第2ケーシング部2Bを貫通している。なお、本実施形態では、回転軸3は、ポンプ101の回転軸と一体に構成されている。回転軸3の材質は、例えば機械構造用炭素鋼(S45C)である。
【0022】
図1に例示する回転軸3は、ステータ4が設けられた一般部3aと、第1ベアリング11に支持される第1被支持部3bと、第2ベアリング12に支持される第2被支持部3cとを有する。更に、回転軸3は、一般部3aと第2被支持部3cとの間に、小径部3dおよび大径部3eを有する。小径部3dは、一般部3aと大径部3eとの間に形成されている。小径部3dは一般部3aよりも外径が小さい。大径部3eは、小径部3dと第2被支持部3cとの間に形成されている。大径部3eは一般部3aおよび第2被支持部3cよりも外径が大きい。
【0023】
ステータ4は、第1ケーシング部2Aの内側に固定して設けられている。ステータ4は、コア部4aおよび界磁コイル部4bを含んでいる。ステータ4のコア部4aには、回転軸3と平行に通気穴4aa(本明細書において「ステータコア通気穴4aa」という。)が設けられている。
【0024】
ロータ5は、ステータ4の内側において回転軸3に固定され、回転軸3とともに回転する。ロータ5は、コア部5a、エンドリング5b、回転羽根5cを含んでいる。エンドリング5bは、ロータ5の両側に設けられており、回転羽根5cは、各エンドリング5bに設けられている。ロータ5のコア部5aにも、回転軸3と平行に通気穴5aa(本明細書において「ロータコア通気穴5aa」という。)が設けられている。
【0025】
外部ファン6は、ケーシング2の外側かつ回転軸3の一端部に取り付けられている。外部ファン6は、回転軸3とともに回転してケーシング2の表面に対して送風し、当該表面を空冷する。なお、ケーシング2には、外部ファン6を覆う外扇カバー13が取付けられている。外部ファン6が回転すると、外扇カバー13に設けられた多数の通気用スリットから外気が吸入される。
【0026】
対流発生装置7は、内部ファン7a、遮熱板7b、ステータコア通気穴4aa、ロータコア通気穴5aa等で構成される。
【0027】
内部ファン7aは、回転軸3に対し、ロータ5と第2ベアリング12との間に取り付けられている。内部ファン7aは、回転軸3と共に回転して、ロータコア通気穴5aaの第2ベアリング12側から流出する空気を半径方向外方に送る。
【0028】
本実施形態では、内部ファン7aは、図2に示すように、回転軸3の小径部3dに嵌め付けられている。回転軸3の小径部3dは、軸線Nに対して傾斜したテーパ部3da(本明細書において「軸側テーパ部3da」という。)を軸線N方向両側に有する。これに対し、内部ファン7aも、軸線Nに対して傾斜したテーパ部7aa(以下「ファン側テーパ部7aa」という。)を軸線N方向両側に有する。
【0029】
内部ファン7aは、図2および図3に示すように、小径部3dに嵌め付けられるスリーブ7a1と、スリーブ7a1の外周面に嵌め付けられるハブ部7a2と、ハブ部7a2と一体に設けられた複数の羽根部7a3とを備えている。ハブ部7a2および羽根部7a3に採用する材質は熱伝導性に優れたもの、例えばアルミニウム合金、が好ましい。
【0030】
図2に示すように、スリーブ7a1の両側に形成された、ファン側テーパ部7aaは、回転軸3の小径部3dに形成された、軸側テーパ部3daに食い込んでいる。このため、スリーブ7a1のファン側テーパ部7aaは、一対の軸側テーパ部3daに突っ張り力を働かせることとなり、その結果として、小径部3dの曲げ強度が高まることとなる。
【0031】
スリーブ7a1の両側に形成されたファン側テーパ部7aaを、回転軸3の小径部3dに形成された軸側テーパ部3daに食い込ませるために、スリーブ7a1は、半径方向に2分割可能な部材、すなわち、断面半円状の2部材で構成されている。
【0032】
回転軸3の小径部3dに内部ファン7aを取り付ける場合、先ず、図4(a)に示すように、小径部3dを一対のスリーブ7a1で挟むようにして当該小径部3dに嵌め付ける。次に、スリーブ7a1の外周面の半径より内径の小さいハブ部7a2を小径部3dに嵌め付けられたスリーブ7a1に焼き嵌めし、スリーブ7a1の外周に固定する。具体的には、図4(b)に示すように、高温にしたハブ部7a2を回転軸3に沿って移動させて、図2に示したように、小径部3dに嵌め付けられたスリーブ7a1に嵌め付ける。その後、ハブ部7a2が常温まで冷えると、ハブ部7a2の内径が縮小し、ハブ部7a2より軸線N側に押圧されるスリーブ7a1は更に小径部3dに食い込むこととなる。なお、スリーブ7a1に採用する材質は熱伝導性に優れたもの、例えばアルミニウム合金、が好ましい。
【0033】
遮熱板7bは、内部ファン7aと第2ベアリング12との間、および、ステータ4と第2ベアリング12との間に設けられている。この遮熱板7bは、発熱するステータ4およびロータ5から第2ベアリング12への輻射熱を遮る役割を果たす。また、遮熱板7bは、内部ファン7aにより送られる空気を遠心方向に案内する役割も果たす。本実施形態では、遮熱板7bは、環状の薄板材を用いて構成され、所定半径位置から内径側が平板状に形成され、所定半径位置から外径側がステータ4側に湾曲した形状に形成されている。また、本実施形態では、遮熱板7bは、その外周部がケーシング2に接するまで遠心側に延びている。なお、遮熱板7bに採用する材質は熱伝導性に優れたもの、例えばアルミニウム合金、が好ましい。
【0034】
以上の構成を備える電動機1において、回転軸3が回転すると、内部ファン7aおよび外部ファン6が回転軸3とともに回転する。内部ファン7aが回転することにより、次の(a)、(b)、(c)および(d)の空気の流れを伴う対流がケーシング2内に発生する。
(a)ステータコア通気穴4aaの第2ベアリング12側から流入し、ステータコア通気穴4aaの第1ベアリング11側から流出する空気の流れ。
(b)ステータコア通気穴4aaの第1ベアリング11側から流出し、ロータ5のコア部5aの第1ベアリング11側から流入する空気の流れ。
(c)ロータコア通気穴5aaの第1ベアリング11側から流入し、ロータコア通気穴5aaの第2ベアリング12側から流出する空気の流れ。
(d)ロータコア通気穴5aaの第2ベアリング側から流出し、ステータコア通気穴4aaの第2ベアリング12側から流入する空気の流れ。
【0035】
以上に説明した本発明の実施形態に係る電動機1によれば、次の(1)~(4)の作用効果が奏される。
(1)従来、ステータ4およびロータ5と第2ベアリング12との間は、比較的高温の空気が滞留し易くなる場所であり、その高温の空気が第2ベアリング12の温度を上昇させる一因となっていたが、本発明の実施形態に係る電動機1によれば、上記(a)~(d)の空気の流れを伴う対流をケーシング2内に発生させることで、ステータ4およびロータ5と第2ベアリング12との間に発生する高温の空気の滞留が解消される。特に、ステータ4およびロータ5と第2ベアリング12との間の空気は、内部ファン7aによって遠心側に送られ、直ちに第2ケーシング部2Bの胴部2Abに接して冷却されるので、効率的に対流する空気が冷却される。その結果、第2ベアリング12の温度上昇を効率的に抑制することができる。
(2)従来、ロータ5の発熱が回転軸3を介して第2ベアリング12に伝達し易い構造になっていたが、本発明の実施形態に係る電動機1によれば、回転軸3のロータ5と第2ベアリング12との間に小径部3dが設けられているため、ロータ5の発熱が回転軸3を介して第2ベアリング12に伝達され難くなっている。
(3)さらに、小径部3dに、放熱性に優れた材料を用いて構成された内部ファン7aが取り付けられているため、回転軸3を介して内部ファン7aに伝達された熱は、羽根部7a3から効率よく放熱される。このため、更に、ロータ5の発熱が回転軸3を介して第2ベアリング12に伝達され難くなっている。
(4)発熱するステータ4およびロータ5から第2ベアリング12への輻射熱が、遮熱板7bによって遮られるため、ステータ4およびロータ5からの輻射熱による第2ベアリング12の温度上昇が抑制される。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、全閉外扇型の電動機に適用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 電動機
2 ケーシング
3 回転軸
3d 小径部
3da 軸側テーパ部
4 ステータ
4a ステータのコア部
4aa ステータコア通気穴
5 ロータ
5a ロータのコア部
5aa ロータコア通気穴
6 外部ファン
7a 内部ファン
7a1 スリーブ
7a2 ハブ部
7a3 羽根部
7aa ファン側テーパ部
7b 遮熱板
11 第1ベアリング
12 第2ベアリング
図1
図2
図3
図4