(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154151
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】流体状態検出センサ
(51)【国際特許分類】
G01N 27/06 20060101AFI20221005BHJP
G01N 27/00 20060101ALI20221005BHJP
G01N 27/22 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
G01N27/06 A
G01N27/00 L
G01N27/22 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057047
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】吉田 尚弘
(72)【発明者】
【氏名】亀田 幸則
(72)【発明者】
【氏名】永井 勇冴
(72)【発明者】
【氏名】中村 瞭平
【テーマコード(参考)】
2G060
【Fターム(参考)】
2G060AA05
2G060AE30
2G060AF08
2G060AF11
2G060AG03
2G060EA08
2G060FA01
2G060HC01
2G060HC10
(57)【要約】
【課題】流体状態検出センサの特性による導電率の測定精度の悪化を抑制し、流体の状態を的確に検出する流体状態検出センサを提供する。
【解決手段】流体状態検出センサ1は、互いに対向配設された一対の電極で構成された電極部10と、電極部10を介して取得した電極間電圧値から抵抗値を検出し、流体の導電率を取得する導電率取得ユニット30と、ROM等に格納された制御プログラムに従って、流体状態検出センサ1全体の処理を実行する制御部50と、電極間電圧値から前記流体の導電率を算出する導電率算出部32により算出された導電率が所定値以上である流体の補正値を格納する記憶部60と、導電率算出部32により算出された導電率が所定値以上である流体の場合に、記憶部60に格納された補正値61を用いて、導電率算出部32において算出された導電率を補正する補正部70と、補正された導電率を出力する出力部80と、を含んでいる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体内に配置され、互いに対向配設された一対の電極で構成された電極部と、
前記電極部を介して電極間電圧値を取得する電圧取得部と、前記電圧取得部において取得された前記電極間電圧値から抵抗値を検出し、前記流体の導電率を算出する導電率算出部と、を有する導電率取得ユニットと、
前記導電率算出部により算出された前記導電率が所定値以上である前記流体の補正値を格納する記憶部と、
前記導電率算出部により算出された前記流体の前記導電率が所定値以上の導電率である場合に、前記記憶部に格納された補正値を用いて、前記導電率算出部において算出された導電率を補正する補正部と、
を含むことを特徴とする流体状態検出センサ。
【請求項2】
前記流体が、作動油であり、
前記電圧取得部において取得された電極間電圧値から静電容量値を検出し、前記作動油の比誘電率を算出する比誘電率算出部を有する比誘電率取得ユニットを、さらに含み、
前記記憶部が、前記作動油の基油の油種と、前記導電率と、前記比誘電率とを含む情報を紐付けた複数の作動油情報に関するデータベースを格納し、
前記データベースに格納されている複数の作動油情報のうち、前記作動油情報が近似する前記作動油の前記作動油情報を用いて、使用予定の作動油の前記補正値を推定し、該推定した前記補正値を前記記憶部に格納する補正値推定部と、
を含むことを特徴とした請求項1に記載の流体状態検出センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体状態検出センサに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧シリンダなどの油圧アクチュエータが配設された装置では、油圧ポンプから供給される作動油により機器が駆動する。
このような作動油を循環供給する機器には、円滑に機器を動作させ続けるために、当該作動油の劣化状態を検出する流体状態検出センサが備えられている。
この種の流体状態検出センサには、互いに対向配設された一対の電極が、作動油の流路に備えられている。
作動油の劣化要因としては、様々な要因があり、それぞれが導電率及び比誘電率などの電気的パラメータに変化を与える。
そして、当該電極に電圧を印加し、電極間電圧値から静電容量値及び抵抗値を検出することによって、作動油の比誘電率及び導電率を算出し、算出された作動油の比誘電率及び導電率によって作動油の状態を検出するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような、一対の電極に電圧を印加し、導電率と比誘電率とを取得する流体状態検出センサでは、測定精度を上げるために、電極の接続先を導電率測定回路または比誘電率測定回路に切替えて、導電率または比誘電率を取得する。
しかしながら、使用する流体状態検出センサの特性により、所定の導電率以上の油種の導電率を検出する際に、導電率の検出精度が悪化するという課題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、作動油の状態をより正確に検出するために、導電率の検出精度を向上させる流体状態検出センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
形態1;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、流体内に配置され、互いに対向配設された一対の電極で構成された電極部と、前記電極部を介して電極間電圧値を取得する電圧取得部と、前記電圧取得部において取得された前記電極間電圧値から抵抗値を検出し、前記流体の導電率を算出する導電率算出部と、を有する導電率取得ユニットと、前記導電率算出部により算出された前記導電率が所定値以上である前記流体の補正値を格納する記憶部と、前記導電率算出部により算出された前記流体の前記導電率が所定値以上の導電率である場合に、前記記憶部に格納された補正値を用いて、前記導電率算出部において算出された導電率を補正する補正部と、を含むことを特徴とする流体状態検出センサを提案している。
つまり、補正部は、導電率算出部により算出された流体の導電率が所定値以上の導電率である場合に、記憶部に格納された補正値を用いて、導電率算出部において算出された導電率を補正する。
そのため、導電率算出部により算出された流体の導電率の検出精度を向上させることができる。
【0007】
形態2;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記流体が、作動油であり、前記電圧取得部において取得された電極間電圧値から静電容量値を検出し、前記作動油の比誘電率を算出する比誘電率算出部を有する比誘電率取得ユニットを、さらに含み、前記記憶部が、前記作動油の基油の油種と、前記導電率と、前記比誘電率とを含む情報を紐付けた複数の作動油情報に関するデータベースを格納し、前記データベースに格納されている複数の作動油情報のうち、前記作動油情報が近似する前記作動油の前記作動油情報を用いて、使用予定の作動油の前記補正値を推定し、該推定した前記補正値を前記記憶部に格納する補正値推定部と、を含むことを特徴とした流体状態検出センサを提案している。
つまり、補正値推定部は、データベースに格納されている基油の油種、導電率あるいは比誘電率等の複数の作動油情報のうち、作動油情報が近似する作動油の作動油情報を用いて、使用予定の作動油の前記補正値を推定し、推定した使用予定の作動油の導電率の補正値を記憶部に格納する。
そのため、今まで補正値が不明な作動油を用いた場合であっても、好適な導電率の補正値を利用することが可能となり、導電率の検出精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の1またはそれ以上の実施形態に係る流体状態検出センサによれば、精度の高い導電率を得ることにより、流体の状態を的確に検出することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る流体状態検出センサの電気的構成を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る流体状態検出センサの導電率補正処理フローを示す図である。
【
図3】本発明の第2の実施形態に係る流体状態検出センサの電気的構成を示す図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態に係る流体状態検出センサの記憶部に格納されているデータベースを示す図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係る流体状態検出センサの導電率補正値推定処理フローを示す図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係る流体状態検出センサの補正値推定部がデータベースの情報を用いて行う導電率の算出処理を示す図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係る流体状態検出センサの補正値推定部がデータベースの情報を用いて行う導電率補正値の算出処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施形態]
以下、
図1及び
図2を用いて本実施形態に係る流体状態検出センサ1について説明する。なお、本実施形態においては、流体を作動油として以下説明する。
【0011】
<流体状態検出センサ1の電気的構成>
本実施形態に係る流体状態検出センサ1は、
図1に示すように、電極部10と、切替部20と、導電率取得ユニット30と、比誘電率取得ユニット40と、制御部50と、記憶部60と、補正部70と、出力部80と、を含んで構成されている。
なお、導電率取得ユニット30と、比誘電率取得ユニット40と、制御部50と、記憶部60と、補正部70とは、CPUの機能の一部である。記憶部60は、CPUの外部に構成されていてもよい。
【0012】
電極部10は、作動油の流路に配置され、互いに対向配設された一対の電極で構成され、電極(陽極)11と、電極(陰極)12と、を含んで構成されている。
電極(陽極)11と、電極(陰極)12とは、同軸円筒状に対向配設されている。
【0013】
切替部20は、陽極切替部21と、陰極切替部22と、を含んで構成されている。
陽極切替部21と、陰極切替部22とは、c接点のリレーを用いて構成されている。
【0014】
陽極切替部21は、後述する制御部50の切替制御信号により、電極(陽極)11の接続先を導電率取得ユニット30あるいは比誘電率取得ユニット40のいずれかに切替える。
【0015】
陰極切替部22は、後述する制御部50の切替制御信号により、電極(陰極)12の接続先を導電率取得ユニット30あるいは比誘電率取得ユニット40のいずれかに切替える。
【0016】
導電率取得ユニット30は、電圧取得部としての第1の電圧取得部31と、導電率算出部32と、を含んで構成されている。
第1の電圧取得部31は、電極部10を介して電極間電圧値を取得する。
導電率算出部32は、第1の電圧取得部31において取得された電極間電圧値から抵抗値を検出し作動油の導電率を算出する。
【0017】
比誘電率取得ユニット40は、電圧取得部としての第2の電圧取得部41と、比誘電率算出部42と、を含んで構成されている。
第2の電圧取得部41は、電極部10を介して電極間電圧値を取得する。
比誘電率算出部42は、第2の電圧取得部41において取得された電極間電圧値から静電容量値を検出し作動油の比誘電率を算出する。
【0018】
なお、本実施形態では、導電率取得ユニット30及び比誘電率取得ユニット40に、それぞれに電極間電圧値を取得する電圧取得部(第1の電圧取得部31及び第2の電圧取得部41)が設けられた構成を例示しているが、導電率取得ユニット30及び比誘電率取得ユニット40に共通の電圧取得部が設けられた構成であってもよい。
【0019】
制御部50は、図示しないROM(Read Only Memory)等に格納された制御プログラムに従って、流体状態検出センサ1全体の処理を実行する。
本実施形態において、制御部50は、例えば、切替部20に電極部10を導電率取得ユニット30あるいは比誘電率取得ユニット40に切り替える切替制御信号を出力する。
また、制御部50は、導電率取得ユニット30あるいは比誘電率取得ユニット40において算出された導電率あるいは比誘電率を取得する。
また、制御部50は、導電率取得ユニット30から出力された導電率を補正部70に転送する。
さらに、制御部50は、導電率取得ユニット30あるいは比誘電率取得ユニット40において算出された導電率及び比誘電率により、作動油の劣化状態を判断し、作動油の交換等を知らせる警告等を図示しない表示部に表示を指示させる。
【0020】
記憶部60は、導電率算出部32により算出された導電率が所定値以上である作動油の補正値61を格納する。なお、「所定値」としては、5000ps/mを例示することができる。
【0021】
補正部70は、導電率算出部32により算出された作動油の導電率が所定値以上の導電率である場合に、記憶部60に格納された補正値61を用いて、導電率算出部32において算出された導電率を補正し、導電率算出部32において算出された導電率を記憶部60に格納する。
【0022】
出力部80は、補正部70から出力された補正された導電率を外部機器等に対して出力する。
【0023】
<流体状態検出センサ1の導電率補正処理>
図2を用いて、本実施形態に係る流体状態検出センサ1の導電率補正処理について説明する。
【0024】
制御部50は、切替部20に切替制御信号を出力し、電極部10の接続先を比誘電率取得ユニット40から導電率取得ユニット30に切替える(ステップS101)。
【0025】
制御部50は、第1の電圧取得部31及び導電率算出部32に導電率の取得指示を行い、第1の電圧取得部31に電極間電圧値を取得させる(ステップS102)。
ここで、導電率を取得するときの取得時間は、電極間電圧が十分安定する時間であればよい。
【0026】
第1の電圧取得部31は、取得した電極間電圧値を導電率算出部32に転送する(ステップS103)。
【0027】
導電率算出部32は、第1の電圧取得部31から転送された電極間電圧値から検出した抵抗値に基づいて、導電率を算出し、算出した導電率を制御部50に転送する(ステップS104)。
【0028】
制御部50は、導電率算出部32から転送された導電率を補正部70に転送し、補正部70に補正処理を指示する(ステップS105)。
補正部70は、制御部50から転送された導電率が、予め設定された所定値以上か否かを判定する(ステップS106)。
【0029】
補正部70は、制御部50から転送された導電率が、予め設定された所定値以上であると判定した場合に(ステップS106の「YES」)、記憶部60から使用されている作動油種に対応する補正値61を検索する。
補正部70は、検索した補正値を用いて、制御部50から転送された導電率を補正し、補正された導電率を記憶部60に格納し、出力部80へ出力する。(ステップS107)
出力部80は、補正部70から出力された補正された導電率を外部機器等に対して出力する。
【0030】
一方で、補正部70は、制御部50から転送された導電率が、予め設定された所定値以上ではないと判定した場合に(ステップS107の「NO」)、制御部50から転送された導電率を記憶部60に格納して、出力部80に転送し、導電率補正処理を終了する(ステップS108)。
【0031】
<第1の実施形態の作用・効果>
本実施形態に係る流体状態検出センサ1は、作動油内に配置され、互いに対向配設された一対の電極で構成された電極部10と、切替部20と、電極部10を介して電極間電圧値を取得する第1の電圧取得部31と、第1の電圧取得部31において取得された電極間電圧値から抵抗値を検出し、作動油の導電率を算出する導電率算出部32と、を有する導電率取得ユニット30と、導電率算出部32により算出された導電率が所定値以上である作動油の補正値を格納する記憶部60と、導電率算出部32により算出された作動油の導電率が所定値以上の導電率である場合に、記憶部60に格納された補正値を用いて、導電率算出部32において算出された導電率を補正する補正部70と、該補正された導電率を出力する出力部80と、を含んで構成されている。
【0032】
つまり、補正部70は、導電率算出部32により算出された作動油の導電率が所定値以上の導電率である場合に、記憶部60に格納された補正値を用いて、導電率算出部32において算出された導電率を補正する。
そのため、導電率算出部32により算出された作動油の導電率が所定値以上の導電率である場合に、補正された導電率を利用することにより、導電率の検出精度を向上することができる。
また、本実施形態に係る流体状態検出センサ1によれば、導電率の測定精度を向上することができ、作動油の状態をより的確に検出することが可能となる。
【0033】
[第2の実施形態]
以下、本実施形態に係る流体状態検出センサ1Aについて、
図3~
図7を用いて説明する。
【0034】
<流体状態検出センサ1Aの電気的構成>
本実施形態に係る流体状態検出センサ1Aは、
図3に示すように、電極部10と、切替部20と、導電率取得ユニット30と、比誘電率取得ユニット40と、制御部50と、記憶部60と、補正部70と、出力部80と、補正値推定部90と、を含んで構成されている。
なお、第1の実施形態と同一の符号を付す構成要素については、同様の機能を奏することから、その詳細な説明は省略する。また、導電率取得ユニット30と、比誘電率取得ユニット40と、制御部50と、記憶部60と、補正部70と、出力部80と、補正値推定部90とは、CPUの機能の一部である。
【0035】
補正値推定部90は、データベース62に格納されている複数の作動油情報のうち、作動油情報が近似する作動油の作動油情報を用いて、使用予定の作動油の導電率補正値を推定する。
そして、補正値推定部90は、推定した補正値を記憶部60に格納する。
なお、
図4に示すように、データベース62には、作動油の基油の油種と、添加物の含有量と、導電率と、比誘電率を含む作動油情報(例えば、作動油の基油の油種、添加物の種別、添加物の含有量、導電率、比誘電率)が紐付けられ、記憶部60に格納されている。
ここで、「近似」とは、上記作動油情報のうち、例えば、基油及び添加物が同一である場合を例示することができる。
【0036】
<流体状態検出センサ1Aの導電率補正値推定処理>
【0037】
図5を用いて、本実施形態に係る流体状態検出センサ1Aの導電率補正値推定処理について説明する。
【0038】
補正値推定部90は、図示されていないキーボードなどの入力部により入力された使用予定の作動油の作動油情報を取得し、記憶部60に格納する(ステップS301)。
【0039】
補正値推定部90は、入力された使用予定の作動油の作動油情報と、記憶部60に格納された作動油の作動油情報とを比較し、例えば、基油及び添加物が同一である作動油情報をデータベース62から抽出する。(ステップS302)。
具体的には、補正値推定部90は、使用予定の作動油の作動油情報として、基油の油種がA1、添加物の種別がXX1である場合に、例えば、
図4を用いて、使用予定の作動油の基油の油種及び添加物の種別と同一で、添加物の種別XX1の添加物の含有量が異なるある作動油1、作動油2、作動油3の作動油情報を抽出する。
【0040】
補正値推定部90は、データベース62から抽出した複数の添加物の含有量及び導電率の情報を用いて、添加物の含有量及び導電率の関係を表す算出式を作成する。(ステップS303)。
なお、算出式は、上記の例示の場合、
図6に示すように、添加物の含有量をX軸、導電率をY軸とした場合に、複数の点に対する近似直線を例示することができる。
【0041】
また、補正値推定部90は、入力された使用予定の作動油の添加物の含有量に基づき、算出した添加物の含有量及び導電率の関係を表す算出式を使用して、使用予定の作動油の導電率を算出し導電率補正値を推定する。(ステップS304)。
なお、算出式は、上記の例示の場合、導電率をX軸、導電率の補正値をY軸としたときに、
図7に示すように、複数の点に対する近似直線を例示することができる。
【0042】
具体的には、例えば、補正値推定部90は、
図6の近似直線を用いて、入力された使用予定の作動油の添加物の含有量に基づき、
図6において破線矢印で示される導電率を算出し、算出された導電率に基づいて、
図7の近似直線を用いて、
図7において破線矢印で示される-8%を導電率補正値として推定する。
【0043】
補正値推定部90は、推定した導電率補正値と、使用予定の作動油の作動油情報とを記憶部60に格納して、導電率補正値推定処理を終了させる(ステップS305)。
なお、推定した導電率補正値と、使用予定の作動油の作動油情報とを記憶部60に格納する際、使用予定の作動油の作動油情報と、推定した導電率補正値を紐づけてデータベース62に対しても格納するようにしてもよい。
また、記憶部60に使用予定の作動油の作動油情報と、推定した導電率補正値を紐づけて任意の領域に格納してもよい。
【0044】
<第2の実施形態の作用・効果>
本実施形態に係る流体状態検出センサ1Aは、作動油の状態を検出するセンサであって、電極部10と、切替部20と、導電率取得ユニット30と、比誘電率取得ユニット40と、制御部50と、記憶部60と、補正部70と、出力部80と、補正値推定部90と、を含んで構成されている。
【0045】
補正値推定部90は、例えば、図示されていないキーボード等からの入力情報、あるいは比誘電率取得ユニット40にて算出した比誘電率を含む使用予定の作動油の作動油情報を記憶部60に格納されているデータベース62から検索する。補正値推定部90は、データベース62に格納されている複数の作動油情報を用いて、使用予定の作動油の導電率を導く算出式を作成する。補正値推定部90は、作成された算出式を利用して、使用予定の作動油の導電率を算出し、導電率補正値を推定する。
そして、補正値推定部90は、推定した導電率補正値を記憶部60に格納する。
【0046】
つまり、補正値推定部90は、データベースに格納されている基油の油種、導電率あるいは比誘電率等の複数の作動油情報を用いて、使用予定の作動油の導電率の補正値を推定し、推定した使用予定の作動油の導電率の補正値を記憶部60に格納する。
そのため、今まで補正値が不明な作動油を用いた場合であっても、好適な導電率の補正値を利用することが可能となり、導電率の検出精度を向上させることができる。
また、本実施形態に係る流体状態検出センサ1Aによれば、導電率の測定精度を向上することができ、作動油の状態をより的確に検出することが可能となる。
<変形例>
【0047】
第2の実施形態においては、データベース62に格納されている複数の情報を用いて、使用予定の作動油の導電率を導く算出式を作成し、使用予定の作動油の導電率を算出し、導電率補正値を推定することを例示したが、補正値推定部90は、データベース62に格納されている作動油の基油の油種と、添加物の種別と、添加物の含有量と、導電率と、比誘電率を含む作動油情報のうち、使用予定の作動油の基油の油種と、添加物の種別とが一致し、添加物の含有量と、比誘電率とが一定範囲の類似性を有する場合には、使用予定の作動油の導電率と一定範囲の類似性を有する作動油の導電率との差分値を導電率補正値と推定してもよい。
【0048】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計なども含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1;流体状態検出センサ、1A;流体状態検出センサ、10;電極部、11;電極(陽極)、12;電極(陰極)、20;切替部、21;陽極切替部、22;陰極切替部、30;導電率取得ユニット、31;第1の電圧取得部、40;比誘電率取得ユニット、41;第2の電圧取得部、50;制御部、60;記憶部、70;補正部、80;出力部、90;補正値推定部