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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154156
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】エネルギー供給システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0438 20160101AFI20221005BHJP
   H01M 8/04858 20160101ALI20221005BHJP
   H01M 8/04014 20160101ALI20221005BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20221005BHJP
   F24H 1/00 20220101ALI20221005BHJP
   F24H 15/00 20220101ALI20221005BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20221005BHJP
【FI】
H01M8/0438
H01M8/04858
H01M8/04014
H01M8/00 Z
F24H1/00 631A
F24H1/18 301Z
H01M8/12 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057056
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】御堂 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】松崎 崚
【テーマコード(参考)】
3L122
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA28
3L122AA54
3L122AA73
3L122AD06
3L122BA02
3L122BA13
3L122BA32
3L122BB06
3L122BB16
3L122DA13
3L122DA33
3L122EA09
5H126BB06
5H127AA07
5H127AB02
5H127AB23
5H127AC07
5H127BA02
5H127BA05
5H127BA13
5H127BA33
5H127BA37
5H127BA59
5H127BB02
5H127BB18
5H127DB98
5H127DC50
5H127EE02
5H127EE03
5H127EE29
5H127GG04
5H127GG09
(57)【要約】
【課題】コージェネ運転とモノジェネ運転との使い分けを可能にすると共に、コージェネ運転を行うシステムを用いる場合には、設置コスト、機器コストの低減が可能なエネルギー供給システムを構成する。
【解決手段】燃料ガスから発電を行う燃料電池Mを有し、燃料電池Mでの発電に伴って排出される排ガスの熱を回収により温度が上昇した水を貯留する貯湯槽を有している。コージェネ運転と、貯湯槽に水を貯留しない状態で燃料電池Mでの発電の制御を行うモノジェネ運転との2種の運転モードのうちの一方を選択可能な運転制御部7を備え、運転制御部7は、2種の運転モードに対応したモード情報を取得することで、2種の運転モードの何れの運転に対応するものであるかを判定するモード判定部43を有し、運転制御部7は、モード判定部43で判定した運転モードで運転を行う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスから発電を行い、発電された電気エネルギーの供給が可能な燃料電池を有し、前記燃料電池での発電に伴って排出される排ガスの熱を回収することで温度が上昇した水を貯留する貯湯槽を有し、前記貯湯槽の温湯を供給するコージェネ運転が可能なエネルギー供給システムであって、
前記コージェネ運転と、前記貯湯槽に水を貯留しない状態で前記燃料電池での発電の制御を行うモノジェネ運転との2種の運転モードのうちの一方を選択可能な運転制御部を備え、
前記運転制御部は、2種の前記運転モードに対応したモード情報を取得することで、2種の前記運転モードの何れの運転に対応するものであるかを判定するモード判定部を有し、前記運転制御部は、前記モード判定部で判定した前記運転モードで運転を行うエネルギー供給システム。
【請求項2】
前記運転制御部は、前記コージェネ運転が行われる際に、前記貯湯槽の水位を検出する水位センサからの水位信号と、前記貯湯槽からの水を熱交換部に送り出す熱回収ポンプの駆動時の負荷信号と、前記熱回収ポンプの駆動時に送り出される水の流れを検出する水流センサからの水流信号と、を取得することにより水の管理を行うように構成され、
前記モード判定部は、前記水位信号と、前記負荷信号と、前記水流信号との少なくとも1つの信号に基づいて水の存在を検出できない場合に前記モノジェネ運転を選択する請求項1に記載のエネルギー供給システム。
【請求項3】
前記運転制御部は、最初の運転開始時に前記モード判定部で前記運転モードを判定して記憶し、この後の運転時には記憶された前記運転モードで運転が行われる請求項1又は2に記載のエネルギー供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー供給システムとして、供給される燃料ガスによって発電する燃料電池を有するものを例に挙げると、燃料電池で発電を行うと同時に、この発電時に生ずる温水を貯湯槽に蓄えておき、必要に応じて利用するコージェネシステムとして構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-273252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
固体酸化物形燃料電池(SOFCと称されることもある)は700℃から1000℃の高温で燃料ガス中の水素、一酸化炭素、炭化水素と酸化剤ガス中の酸素を電気化学的に反応させて発電が行われるものであり、他の燃料電池システムと比べて高発電効率での発電が可能である。
【0005】
現在流通している家庭用燃料電池は、発電した電力と、発電時に発生する熱とを同時に回収し、給湯や暖房等に利用できるコージェネレーションシステムが主流である。このようなシステムは、従来、家庭用燃料が比較的大きい電力需要、熱需要があるユーザー向けの製品であり、電気、熱を合わせた一次エネルギー需要に対応し、分散型システムの利点を活かすことで一次エネルギーを削減するためのものである。
【0006】
しかし今後、さらなる技術開発等により発電効率が向上し、排熱出力が小さくなる中で、発電のみで充分な省エネ性、経済メリットを生むことができれば、必ずしもコージェネレーションシステムである必要はなくなり、モノジェネレーションシステムとしての展開を可能にすると考えられる。
【0007】
コージェネレーションシステムとモノジェネレーションシステムとを比較する上で、投資回収期間(機器コスト、設置コストなどを踏まえたイニシャルコストをランニングメリットで回収できる期間)や、機器コスト、施工コスト、ランニングメリットを総合的に判断することが重要となる。投資回収期間は、全需要家で一律でなく、需要家ごとに電力と熱との需要量から光熱費メリットを試算し、設置に要するコスト等を踏まえたイニシャルコストと比較して最短で回収できるシステムを提案できることが望まれる。
【0008】
ここで、燃料電池システムの設置に要するコストを考える上で、コージェネレーションシステム由来の以下の2点に課題がある。
(1)運転時重要の増加
つまり、排熱を回収し蓄熱するため、一般的に液体の熱媒が用いられるため、熱媒が機器の運転時重量を増大させる。これにより機器重量が大きくなり、設置に求められる要件が厳しくなり、例えば、コンクリートの基礎や、固定部材等にコストを要する。
(2)配管接続作業
排熱回収配管や、給水用、給湯用の配管が必要となり、設置コストが上昇する。
【0009】
このような課題を考慮すると、燃料ガスとして都市ガスを用いて燃料電池で発電だけを行うモノジェネレーション運転(以下、モノジェネ運転と称する)専用のシステムを製造することも考えられる。
【0010】
しかしながら、モノジェネ運転専用のシステムの燃料電池部分をコージェネレーション運転(以下、コージェネ運転と称する)が可能なシステムと共通するものを用いても、コージェネレーションシステムと異なる構成のシステムを製造しなくてはならず、システムを新たに設計することや、専用の制御プログラムを用いることや、製造ラインを新たに設置する等の不都合を招く懸念があった。
【0011】
このような理由から、コージェネ運転とモノジェネ運転との使い分けを可能にすると共に、コージェネ運転を行うシステムを用いる場合には、設置コスト、機器コストの低減が可能なエネルギー供給システムが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るエネルギー供給システムの特徴構成は、燃料ガスから発電を行い、発電された電気エネルギーの供給が可能な燃料電池を有し、前記燃料電池での発電に伴って排出される排ガスの熱を回収することで温度が上昇した水を貯留する貯湯槽を有し、前記貯湯槽の温湯を供給するコージェネ運転が可能なエネルギー供給システムであって、
前記コージェネ運転と、前記貯湯槽に水を貯留しない状態で前記燃料電池での発電の制御を行うモノジェネ運転との2種の運転モードのうちの一方を選択可能な運転制御部を備え、
前記運転制御部は、2種の前記運転モードに対応したモード情報を取得することで、2種の前記運転モードの何れの運転に対応するものであるかを判定するモード判定部を有し、前記運転制御部は、前記モード判定部で判定した前記運転モードで運転を行う点にある。
【0013】
この特徴構成によると、モード判定部が、モード情報を取得し、取得したモード情報が2種の運転モードの何れの運転に対応するものであるかを判定し、運転制御部が、判定された運転モードに従ってコージェネ運転とモノジェネ運転とのうち、判定された運転を行う。これにより、コージェネ運転が可能なエネルギー供給システムを設置した後に、人為的に選択を行うことなく、2種の運転モードのうち必要とする運転モードが自動的に選択され、選択された運転モードでの運転が可能となる。
また、モノジェネ運転を行うものでは、貯湯槽に水を貯留することがないため、コージェネ運転を行うシステムと比較して、コンクリートの基礎の強度、固定部材の強度を高めなくて済む。
従って、コージェネ運転とモノジェネ運転との使い分けを可能にすると共に、コージェネ運転を行うシステムを用いる場合には、設置コスト、機器コストの低減が可能なエネルギー供給システムが構成された。
【0014】
上記構成に加えた構成として、前記運転制御部は、前記コージェネ運転が行われる際に、前記貯湯槽の水位を検出する水位センサからの水位信号と、前記貯湯槽からの水を熱交換部に送り出す熱回収ポンプの駆動時の負荷信号と、前記熱回収ポンプの駆動時に送り出される水の流れを検出する水流センサからの水流信号と、を取得することにより水の管理を行うように構成され、前記モード判定部は、前記水位信号と、前記負荷信号と、前記水流信号との少なくとも1つの信号に基づいて水の存在を検出できない場合に前記モノジェネ運転を選択しても良い。
【0015】
モノジェネ運転では、貯湯槽に水(温水)が貯留されないため水位センサからの水位信号から水の存在が検出されない。また、モノジェネ運転では、貯湯槽に水(温水)を貯留しないため熱回収ポンプを駆動した場合に負荷は極めて低い。また、モノジェネ運転では、貯湯槽に水(温水)を貯留しないため熱回収ポンプを駆動した際に水流センサの水流信号はで水の流れが検出されない。
このような理由から、水位信号と、負荷信号と、水流信号との少なくとも1つの信号に基づいて水の存在を検出できない場合に、モード判定部が、モノジェネ運転を選択する。これに対し、水の存在を検出した場合にコージェネ運転が選択される。
【0016】
上記構成に加えた構成として、前記運転制御部は、最初の運転開始時に前記モード判定部で前記運転モードを判定して記憶し、この後の運転時には記憶された前記運転モードで運転が行われても良い。
【0017】
これによると、最初の運転開始時にモード判定部が運転モードを判定してモード情報として記憶するため、この後に運転を行う場合には記憶されているモード情報に対応する運転モードでの運転が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】エネルギー供給システムの構成図である。
図2】運転制御部の構成を示す図である。
図3】運転制御部の制御を示すフローチャートである。
図4】別実施形態(a)のエネルギー供給システムの構成図である。
図5】別実施形態(b)のエネルギー供給システムの構成図である。
図6】別実施形態(c)のエネルギー供給システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔基本構成〕
図1に示すように、燃焼部1、改質処理部2、燃料電池3を有する発電モジュールMと、発電モジュールMでの発電に伴い発生する排熱(発電排熱)で水を加熱して温湯として貯留する貯湯槽4と、発電モジュールMからの電力を交流に変換して送り出す電力変換部6と、これらを制御する運転制御部7とを備えてコージェネレーション運転(コージェネ運転と称している)が可能なエネルギー供給システムAが構成されている。
【0020】
ここで、コージェネ運転とは、コージェネ運転可能なエネルギー供給システムAにおいて燃料電池3で発電を行いつつ、発電排熱により貯湯槽4に温湯の貯留を可能にする運転と定義している。また、モノジェネレーション運転(モノジェネ運転と称している)とは、コージェネ運転可能なエネルギー供給システムAにおいて燃料電池3で発電を行うものの、温湯の貯留を行わない運転と定義している。
【0021】
図1に示すエネルギー供給システムAは、貯湯槽4に貯留した温湯の供給を可能にする貯湯ユニットUを備えている。この貯湯ユニットUは、貯湯槽4に対する水の供給、及び、貯湯槽4の温湯の排出を可能にする給排水部Fと、発電モジュールMでの発電排熱に含まれる熱を回収する排熱回収交換部5(放熱部の一例)とを備えている。
【0022】
このエネルギー供給システムAは、家屋の外部に設置されるものを想定しており、運転制御部7は、発電モジュールMと貯湯ユニットUとを含むシステムを制御すると共に、発電モジュールMの電力を家屋内の電気機器に供給する制御、貯湯槽4に貯留された温湯をキッチンや浴室、あるいは暖房機器に供給する出湯制御、あるいは、リモートコントローラ8の操作に対応した制御を実現する。
【0023】
発電モジュールMは、燃焼部1と改質処理部2と燃料電池3とをケースに収容して構成され、外部からガス供給流路11を介して燃料ガスが供給され、空気供給流路12を介して空気が供給される。図面には示していないが、発電モジュールMは、外部から改質水が供給される。更に、ガス供給流路11には燃料ガスの供給を制御する電磁式の供給制御弁13が備えられている。
【0024】
この発電モジュールMでは、燃料ガス(基本的に都市ガス)の一部を燃焼部1で燃焼させ、燃焼部1での燃焼熱により蒸気化した改質水と、燃料ガスとを改質処理部2での反応によって改質して燃料電池3に供給し、この燃料電池3において空気(空気に含まれる酸素)と反応により発電が行われる。発電した電力は、電力変換部6で交流に変換してエネルギー供給システムAの外部に送り出される。
【0025】
エネルギー供給システムAは、発電モジュールMで発生した燃焼ガスを含む高温化した排ガスを送り出す排ガス流路14の流路中に排熱回収交換部5(放熱部)を備え、この排熱回収交換部5で排熱が回収され、このように回収した排熱で貯湯槽4に貯留される水の温度上昇が図られる。
【0026】
貯湯ユニットUでは、貯湯槽4の底部と上部とに循環路15が連通し、この循環路15の流路の中間に排熱回収交換部5を備えている。貯湯槽4の底部に連通する循環路15に熱回収ポンプ16と、水流スイッチ17(水流センサの一例)とを備え、貯湯槽4には水位センサ18を備えている。
【0027】
これにより、発電モジュールMでの発電時には熱回収ポンプ16の駆動により、排熱回収交換部5に水を供給して熱量を回収し、排熱の回収により昇温した水(温湯)を貯湯槽4に戻し、貯湯槽4に貯留する。貯湯槽4に水(温湯)が貯留されている場合には水位センサ18で水位が検出され、また、熱回収ポンプ16の駆動によって循環路15に水が流れる際には、水流スイッチ17がON状態となる。
【0028】
給排水部Fは、外部から貯湯槽4に水(基本的に水道水)を供給する給水流路20と、貯湯槽4から温水を送り出す出湯流路21と、給水流路20から分岐する分岐路20Aと、分岐路20Aから分岐して出湯流路21に合流する冷水流路22とを備えている。
【0029】
また、給排水部Fは、分岐路20Aと出湯流路21との合流位置に電磁式の混合弁23を備え、冷水流路22には、電磁式の開閉弁24を備えている。これにより、混合弁23の制御により貯湯槽4の温湯と、給水流路20からの冷水を混合して送り出すことや、開閉弁24を開放することで給水流路20の冷水を出湯流路21に流れる温湯に混合して送り出すことを可能にしている。
【0030】
この給排水部Fでは、分岐路20Aに給水流路20に供給される水の水温を計測する水温センサ25を備え、出湯流路21のうち、混合弁23より下流側に出湯温センサ26を備えている。尚、このエネルギー供給システムAは、システムの外部の温度を検出する外気温センサ27を備えている。
【0031】
〔運転制御部〕
運転制御部7は、マイクロプロセッサや、DSP(Digital Signal Processor)等を備え、予め記憶されたプログラムに従って処理を実行する。この運転制御部7は、前述したように、発電モジュールMと貯湯ユニットUとを含むシステムを制御し、電力の供給を制御し、出湯を制御するだけでなく、後述するモード判定を行う。この運転制御部7では、図2には一部だけを記載しているが、水流スイッチ17、水位センサ18、水温センサ25、出湯温センサ26、外気温センサ27等からの検出信号が入力し、供給制御弁13、混合弁23、開閉弁24、熱回収ポンプ16等を制御する制御信号を出力する。
【0032】
図2に示すように、運転制御部7は、EEPROMやフラッシュメモリ等の不揮発性メモリで成るモード記憶部41と、ソフトウエアで構成されるシステム制御部42と、モード判定部43と、負荷判定部44とを備えている。モード記憶部41は、コージェネ運転とモノジェネ運転との2種の運転モードの何れか一方のモード情報を記憶する。システム制御部42は、発電モジュールMの制御と、貯湯ユニットUの制御とを行う。
【0033】
モード判定部43は、エネルギー供給システムAを最初に稼動させた試験運転の際に、コージェネ運転とモノジェネ運転との2種の運転モードの何れのモードに対応するかを判定する。負荷判定部44は、モード判定部43での判定時に必要な情報を取得するため、エネルギー供給システムAを最初に稼動させた際にセンサ類で検知された負荷信号等に基づき運転モードを判定する。
【0034】
尚、システム制御部42と、モード判定部43と、負荷判定部44とは、ソフトウエアで構成されるものであるが、夫々における制御の一部をハードウエアで行わせるようにハードウエアと組み合わせても良い。
【0035】
また、システム制御部42は、前述したように、家屋の内部での電気機器の操作や、キッチンや浴室での出湯操作、あるいは、リモートコントローラ8が操作された場合に、制御情報を取得し、取得した情報に基づいて必要とする制御を実現する。
【0036】
〔運転制御部による制御〕
運転制御部7は、エネルギー供給システムAにおいてコージェネ運転と、モノジェネ運転との運転のためのプログラムを備えると共に、モード判定部43の判定を実現するためのプログラムを備えており、このモード判定を実現するプログラムの概要を図3のフローチャートに示している。
【0037】
つまり、エネルギー供給システムAの電源スイッチ等をON操作する操作が行われた場合には、モード記憶部41における運転モードを示すモード情報の記憶の有無を判定し(#101ステップ)、モード記憶部41に既に運転モードを示すモード情報を記憶している場合には(#101ステップのYes)、モード情報を取得して#106ステップの処理に移行し、記憶していない場合には(#101ステップのNo)、判定処理(#102ステップ)の処理を行う。
【0038】
判定処理(#102ステップ)は、モード判定部43が、水位センサ18からの信号を取得し、熱回収ポンプ16を一時的に駆動するための制御信号を出力することにより供給される電流値から負荷を取得し、熱回収ポンプ16を一時的に駆動するための制御信号を出力することにより水流スイッチ17からの信号を取得する。
【0039】
図1に示すエネルギー供給システムAでは、水位センサ18、熱回収ポンプ16、水流スイッチ17を備えているため、例えば、貯湯槽4に水が貯留されている場合には、負荷判定部44の判定処理(#103ステップ)において水が貯留されていることを示す信号(水流スイッチ17がOFFからONに変化する情報と、熱回収ポンプ16に負荷が作用している情報)を得る。その結果、モード判定部43においてコージェネ運転モードを選択する判定が行われ(#103ステップのYes)、モード記憶部41に対してコージェネ運転モードをモード情報として記憶する(#104ステップ)。
【0040】
これに対し、貯湯槽4に水が貯留されない状況のように、モノジェネ運転モードで用いる場合には、判定処理(#103ステップ)において水位センサ18や水流スイッチ17等から適正な信号を得ることがない。つまり、水流スイッチ17がOFFの状態を維持し、熱回収ポンプ16に作用する負荷が極めて低い値となる情報を得る。その結果、モード判定部43において運転モードを選択する判定が行われ(#103ステップのNo)、モード記憶部41に対してモノジェネ運転モードをモード情報として記憶する(#105ステップ)。
【0041】
このようにモード情報は、EEPROM等の不揮発性メモリ等で成るモード記憶部41に記憶され、この後、記憶されたモード情報に対応する運転モードに従ってエネルギー供給システムAを制御するシステム制御が実行され、このシステム制御はシステムが停止するまで継続される(#106、#107ステップ)。
【0042】
〔実施形態の作用効果〕
このエネルギー供給システムAは、同じ構成のエネルギー供給システムAを用いるものでありながら、使用目的に応じてコージェネ運転で使用するための状態と、モノジェネ運転で使用するための状態との、何れかの状態で設置されることになる。
【0043】
具体的には、コージェネ運転で使用する場合には、貯湯槽4に貯留された水の重量に耐え得るように設計された強度となるようにコンクリート基礎の工事を行い、貯湯槽4に水を供給する水道と接続する工事を行い、貯湯槽4の温湯を送り出すための配管を設ける工事が行われる。
【0044】
これに対し、このエネルギー供給システムAを、モノジェネ運転で使用する場合には、コージェネ運転で使用する場合と比較して、低い強度の基礎工事で済み、貯湯槽4に水を供給する水道と接続する工事と、貯湯槽4の温湯を送り出すための配管を設ける工事とが不要となる。
【0045】
このような設置形態が異なるため、エネルギー供給システムAを設置した後に、最初に電源スイッチ等をON操作する等の操作を行うだけで、設置形態が異なることに対応してコージェネ運転とモノジェネ運転との何れを実行すべきかモード判定部43で自動的に判定され、運転モードを決めるためのスイッチ類を人為的に操作することなく、人為的な操作ミスを排除することが可能で、適正に選択された運転モードでエネルギー供給システムAを制御できる。
【0046】
特に、モノジェネ運転を行うエネルギー供給システムAでは、貯湯槽4を備えた構成でありながら、貯湯槽4に水(温湯)を貯留しないため、コンクリート基礎の強度の低減することが可能で、貯湯槽4を基礎に固定するアンカーボルト等の強度の低減も可能となる。しかも、貯湯槽4に水を供給する水道と接続する工事と、貯湯槽4の温湯を送り出すための配管を設ける工事とが不要等が不要となるため、設置工事のコストの低減が可能となる。また、同じ構成のエネルギー供給システムAを、コージェネ運転とモノジェネ運転とに用いるため、例えば、モノジェネ運転専用のシステムを構成する場合と比較して機器コストの低減が可能となる。
【0047】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い(実施形態と同じ機能を有するものには、実施形態と共通の番号、符号を付している)。
【0048】
本発明は、図4図6に示す、別実施形態(a)~(c)に示す構成のエネルギー供給システムAに適用することも可能である。これら(a)~(c)に示す構成のエネルギー供給システムAは、同じ構成のエネルギー供給システムAを用いるものでありながら、使用目的に応じてコージェネ運転で使用するための状態と、モノジェネ運転で使用するための状態との、何れかの状態で設置されるものである。
【0049】
つまり、コージェネ運転で使用する場合には、貯湯槽4に貯留された水の重量に耐え得るように設計された強度となるようにコンクリート基礎の工事を行い、貯湯槽4に水を供給する水道と接続する工事を行い、貯湯槽4の温湯を送り出すための配管を設ける工事が行われる。
【0050】
これに対し、このエネルギー供給システムAを、モノジェネ運転で使用する場合には、コージェネ運転で使用する場合と比較して、低い強度の基礎工事で済み、貯湯槽4に水を供給する水道と接続する工事と、貯湯槽4の温湯を送り出すための配管を設ける工事とが行われない。
【0051】
別実施形態(a)~(c)に示す貯湯槽31は、図1に示した貯湯槽4と同じ構成のものが使用されるが、コージェネ運転で使用する場合には、貯湯槽31に対し外部に供給可能な温湯(水)が貯留され(貯湯槽4として機能し)、モノジェネ運転で使用される場合には、給湯に用いる温湯(水)は貯留されず、熱媒に利用される僅かな量(2L程度)の水が貯留される。
【0052】
また、図4図6に示す、別実施形態(a)~(c)には、センサ類を示していないが、実施形態と同様に複数のセンサを備えており、運転制御部7がセンサの信号を取得することによりコージェネ運転とモノジェネ運転と2種の運転モードの一方の選択を行えるように構成されている。このような運転モードの選択は、実施形態に記載したものと同様の処理によって実現し、選択された運転モードは運転制御部7に記憶される。
【0053】
(a)図4に示すエネルギー供給システムAでは、燃焼部1と改質処理部2と燃料電池3とを有する発電モジュールMを備え、凝縮水タンク30と、貯湯槽31と、排熱回収交換部5と、放熱器32と、給排水部Fとを備えている。
【0054】
このエネルギー供給システムAでは、発電モジュールMで発生した高温の排ガスを、排ガス流路14に送り出し、この排ガスに含まれる排熱を、この排ガス流路14の流路中に備えた排熱回収交換部5によって回収する。排熱回収交換部5は、排ガス流路14の排熱を熱媒流路36の熱媒に与え、排ガス流路14に流れるガスから水を凝縮して凝縮として凝縮水流路35に送る。凝縮水流路35に送られる凝縮水は凝縮水タンク30に貯留され、第1ポンプP1で改質処理部2に供給する。
【0055】
また、熱媒流路36に流れる熱媒は、貯湯槽31に貯留された後に、第2ポンプP2によって放熱器32に送って放熱し、この放熱の後に排熱回収交換部5に戻される。貯湯槽31には、給排水部Fとして、外部から貯湯槽31(貯湯槽4と同様に機能する)に水(基本的に水道水)を供給する給水流路20と、貯湯槽31から温水を送り出す出湯流路21と、給水流路20から分岐する分岐路20Aと、分岐路20Aから分岐して出湯流路21に合流する冷水流路22とを備えている。
【0056】
更に、給排水部Fは、分岐路20Aと出湯流路21との合流位置に電磁式の混合弁23を備え、冷水流路22に電磁式の開閉弁24を備えている。特に、出湯流路21から送り出される温湯の温度上昇を可能にするため補助熱源機28を備えている。
【0057】
(b)図5に示すエネルギー供給システムAは、燃焼部1と、改質処理部2と、燃料電池3とを有する発電モジュールMを備え、凝縮水タンク30と、貯湯槽31と、排熱回収交換部5と、放熱器32と、給排水部Fとを備えている。
【0058】
この別実施形態(b)では、給排水部Fは、別実施形態(a)と共通する構成を有している。特に、出湯流路21から送り出される温湯の温度上昇を可能にするため補助熱源機28を備えている。
【0059】
このエネルギー供給システムAでは、発電モジュールMで発生した高温の排ガスを、排ガス流路14に送り出し、この排ガスに含まれる排熱を、この排ガス流路14の流路中に備えた排熱回収交換部5によって回収する。排熱回収交換部5は、排ガス流路14の排熱を熱媒流路36の熱媒に与え、排ガス流路14に流れるガスから水を凝縮して凝縮として凝縮水流路35に送る。凝縮水流路35に送られる凝縮水は凝縮水タンク30に貯留され、第1ポンプP1で改質処理部2に供給する。
【0060】
また、熱媒流路36に流れる熱媒は、貯湯槽31に貯留された後に、第2ポンプP2によって放熱器32に送って放熱し、この放熱の後に排熱回収交換部5に戻される。貯湯槽31には、給排水部Fとして、外部から貯湯槽4に水(基本的に水道水)を供給する給水流路20と、貯湯槽4から温水を送り出す出湯流路21と、給水流路20から分岐する分岐路20Aと、分岐路20Aから分岐して出湯流路21に合流する冷水流路22とを備えている。
【0061】
この別実施形態(b)の発電モジュールMは、改質処理部2では供給された燃料ガスを改質して燃料電池3の燃料極に供給し、この燃料極から送り出された高温のガスを排ガス流路14に送り出す点、及び、燃料電池3の空気極に空気を供給し、この空気極から送り出されたガス(基本的に空気)を燃焼部1に供給する点が、別実施形態(a)として図4に示した構成と異なっている。
【0062】
つまり、の発電モジュールMでは、排ガス流路14に流れるガスに含まれる排熱を、排ガス流路14の流路中に備えた排熱回収交換部5によって回収する点で、図4に示した構成と共通するものであるが、排熱回収交換部5を通過したガスの一部を燃焼部1に供給することで、空気極から供給されたガス(基本的に空気)と混合状態で燃焼させ、ガスの残余分を改質処理部2に供給する点において異なっている。つまり、排熱回収交換部5を通過したガスには未反応のガス(改質された燃料ガス)を含んでいるため、改質処理部2において反応させるように構成されている。
【0063】
また、別実施形態(b)では、排熱回収交換部5が、凝縮水を回収し、凝縮水流路35によって凝縮水タンク30に送り出し、この凝縮水タンク30に貯留した水を改質処理部2に供給することで、改質時に発生するCO(一酸化炭素)の濃度を低減している。
【0064】
(c)図6に示すエネルギー供給システムAは、燃焼部1と、改質処理部2と、燃料電池3とを有する発電モジュールMを備え、凝縮水タンク30と、貯湯槽31と、排熱回収交換部5と、放熱器32と、給排水部Fとを備えている。
【0065】
この別実施形態(c)では、給排水部Fは、別実施形態(a)と共通する構成を有している。特に、出湯流路21から送り出される温湯の温度上昇を可能にするため補助熱源機28を備えている。
【0066】
また、この別実施形態(c)では、発電モジュールMの構成と、燃焼ガスの流れが異なるものの、基本的な構成が、先に説明した別実施形態(b)として図5に示した構成と類似している。つまり、別実施形態(c)では、排熱回収交換部5において空気を加熱して発電モジュールMの空気極に供給しており、このような空気の加熱を可能にするために排熱回収交換部5が、空気が流れる流路と、排ガス流路14からの排ガスが流れる流路と、熱媒流路36からの熱媒が流れる流路とに分離されている。
【0067】
また、この別実施形態(c)では、別実施形態(b)と同様に、改質処理部2では供給された燃料ガスを改質して燃料電池3の燃料極に供給し、この燃料極から送り出された高温のガスを排ガス流路14に送り出し、燃料電池3の空気極に空気を供給し、この空気極から送り出されたガス(基本的に空気)を燃焼部1に供給している。
【0068】
この別実施形態(c)では、別実施形態(b)と同様に、凝縮水タンク30に貯留した水を改質処理部2に供給することで、改質時に発生するCO(一酸化炭素)の濃度を低減している。また、外部から吸入した空気の温度上昇を図って空気極に供給することで発電効率を高めている。
【0069】
このように構成された別実施形態(a)~(c)の構成であっても、実施形態の作用効果の項で説明した作用効果を奏する。つまり、エネルギー供給システムAを設置した後に、最初に電源スイッチ等をON操作する等の操作を行うだけで、コージェネ運転とモノジェネ運転との何れを実行すべきかモード判定部43で自動的に判定され、運転モードを決めるためのスイッチ類を人為的に操作することなく、人為的な操作ミスを排除することが可能となる。
【0070】
また、モノジェネ運転を行うエネルギー供給システムAでは、水(温湯)を貯留しないため、システムの重量が増大することはない。このような理由からシステムを設置する場合のコンクリート基礎の強度の低減が可能となり、また、アンカーボルト等が不要となり、設置のための工事に要する時間やコストの低減が可能となる。
【0071】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、供給される燃料ガスにより発電を行う燃料電池を有するエネルギー供給システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0073】
3 燃料電池
4,31 貯湯槽
5 排熱回収交換部(放熱部)
7 運転制御部
16 熱回収ポンプ
17 水流スイッチ(水流センサ)
18 水位センサ
43 モード判定部
A エネルギー供給システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6