(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154218
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】シート分離供給装置
(51)【国際特許分類】
B65H 3/32 20060101AFI20221005BHJP
B65H 3/00 20060101ALI20221005BHJP
B65H 3/50 20060101ALI20221005BHJP
B65H 7/06 20060101ALI20221005BHJP
B65H 33/02 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
B65H3/32
B65H3/00 301
B65H3/50
B65H7/06
B65H33/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057135
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 忠司
【テーマコード(参考)】
3F048
3F107
3F343
【Fターム(参考)】
3F048AB04
3F048BA12
3F048BB03
3F048CB06
3F048DA04
3F048EB14
3F107AA04
3F107AB01
3F107AC08
3F107BA02
3F107CA41
3F343FA06
3F343FB13
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC05
3F343GD01
3F343HA12
3F343HA33
3F343JC10
3F343JC12
3F343JC16
3F343JC18
3F343JC20
3F343KB05
3F343KB14
3F343KB17
3F343KB20
3F343LA04
3F343LA13
3F343LA14
3F343LA15
3F343LC02
3F343LC16
3F343MA03
3F343MA14
3F343MA23
3F343MB04
3F343MB14
3F343MC04
3F343MC05
3F343MC07
3F343MC17
(57)【要約】
【課題】板状シートの積層体からシート束を分離して次工程に移送するための機構を小型化し、シート束を落下させることなく安定して積層体から取出すことができるシート分離供給装置を提供する。
【解決手段】一対の把持爪22、22はシート束Bの側方を把持する。係合部材31、32はアーム13により把持爪22が上昇された状態で、シート束Bの最下端に位置する板状シートSの下面に係合する。係合部材31、32は、シート束Bから離間した初期位置から、シート束Bの最下端に位置する板状シートSの下面に係合する係合位置へ移動して、垂れ下がった最下端の板状シートSを持ち上げる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状シートが段積みされて成る積層体から、所定枚数の板状シートから成るシート束を分離し、前記シート束を次工程へ供給するシート分離供給装置であって、
前記シート束の側方を把持する一対の把持手段と、
前記把持手段を昇降させる昇降手段と、
前記把持手段により前記シート束が把持され、前記昇降手段により前記把持手段が上昇された状態で、前記シート束の最下端に位置する板状シートの下面に係合可能な係合部材と、
前記係合部材を、前記シート束から離間した初期位置から、前記最下端に位置する板状シートの下面に係合する係合位置へ移動させる移動手段とを備えることを特徴とするシート分離供給装置。
【請求項2】
前記移動手段は、前記最下端に位置する板状シートの片側が前記把持手段により把持されなかった際に、前記最下端に位置する板状シートと段積みされた板状シートのなかの最上端の板状シートとの間の空間に前記係合部材を位置させることを特徴とする請求項1に記載のシート分離供給装置。
【請求項3】
前記最下端に位置する板状シートの垂れ下がりの状態を検知するセンサをさらに備え、
前記係合部材は水平方向に旋回可能に設けられ、
前記移動手段は、前記センサから出力される検知信号に基づき、前記最下端に位置する板状シートにおいて前記把持手段が接触している側から前記係合部材を旋回させることを特徴とする請求項2に記載のシート分離供給装置。
【請求項4】
前記係合部材は複数設けられ、
前記移動手段は、前記センサから出力される検知信号に基づき、前記把持手段が接触している側の係合部材を旋回させた後、他方の係合部材を、同一方向に旋回させることを特徴とする請求項3に記載のシート分離供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段積みされた板状のダンボールシートから所定枚数のシート束を分離して取出し、ラップラウンドケーサ等に供給するシート分離供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このようなシート分離供給装置として特許文献1、2に開示された構成が知られている。例えば特許文献1に記載されたシート分離供給装置では、昇降テーブルの上に、多数の板状シートが段積みされて成る積層体が載置され、積層体の所定のシートの間に挿入される分離ニードルが挿入した状態で、昇降テーブルが下降することにより、分離ニードルの上方に、分離しようとする所定枚数のシート束が定められる。この状態で、上方のシート束と下方の積層体との間にシート分離バーとローラが進入して上昇し、シート束はフィーダに押されてコンベア上へ移載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3478956号公報
【特許文献2】実開平2-124939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のシート分離供給装置では、段積みされたシートを昇降させるための昇降テーブルや、分離しようとするシート束を次工程に移送するためのローラ等の移送機構が必要であり、装置全体が大型化するという問題があった。
【0005】
本発明は、板状シートの積層体からシート束を分離して次工程に移送するための機構を小型化し、シート束を落下させることなく安定して積層体から取出すことができるシート分離供給装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、板状シートが段積みされて成る積層体から、所定枚数の板状シートから成るシート束を分離し、シート束を次工程へ供給するシート分離供給装置であって、シート束の側方を把持する一対の把持手段と、把持手段を昇降させる昇降手段と、把持手段によりシート束が把持され、昇降手段により把持手段が上昇された状態で、シート束の最下端に位置する板状シートの下面に係合可能な係合部材と、係合部材を、シート束から離間した初期位置から、シート束の最下端に位置する板状シートの下面に係合する係合位置へ移動させる移動手段とを備えることを特徴としている。
【0007】
移動手段は、把持手段によりシート束の最下端に位置する板状シートの片側が把持されなかった際に、シート束の最下端に位置する板状シートと段積みされた板状シートのなかの最上端の板状シートとの間の空間に係合部材を位置させるように構成されることが好ましい。
【0008】
シート分離供給装置は、シート束の最下端に位置する板状シートの垂れ下がりの状態を検知するセンサをさらに備えていてもよく、この場合、係合部材は水平方向に旋回可能に設けられ、移動手段は、センサから出力される検知信号に基づき、シート束の最下端に位置する板状シートにおいて把持手段が接触している側から係合部材を旋回させる。また、好ましくは、係合部材が複数設けられ、移動手段は、センサから出力される検知信号に基づき、把持手段が接触している側の係合部材を旋回させた後、他方の係合部材を同一の方向に旋回させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、板状シートの積層体からシート束を分離して次工程に移送するための機構を小型化し、シート束を落下させることなく安定して積層体から取出すことができるシート分離供給装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態であるシート分離供給装置を示す側面図である。
【
図2】
図1に示すシート分離供給装置を上方から見た平面図である。
【
図3】
図1に示すシート分離供給装置を下方から見た底面図である。
【
図5】第2実施形態のシート分離供給装置を示す側面図である。
【
図6】第3実施形態のシート分離供給装置を示す側面図である。
【
図7】
図6に示すシート分離供給装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図示された実施形態を参照して本発明を説明する。
図1は第1実施形態であるシート分離供給装置を示している。この装置において、固定台10の上には、多数の板状シートが段積みされて成る積層体Aが載置されており、この積層体Aの上部にある所定枚数の板状シートから成るシート束Bが積層体Aから分離されて取出され、次工程へ供給される。固定台10は床面に設けられ、積層体Aが載置される面の高さ位置は一定であり、昇降することはない。なお固定台は、積層体Aが載置される面の高さ位置が一定となる無人搬送車(AGV)であってもよい。
【0012】
固定台10の側方にはシート束Bを積層体Aから取出して次工程へ移送するための取出し機構11が配置される。取出し機構11は、床面に固定された本体12と、本体12の上部に連結されたアーム13とを有する。アーム13の先端には支持枠14が取付けられ、支持枠14には、シート束Bの側方を把持する一対の把持機構(把持手段)20、20が設けられる。アーム13は水平面内および鉛直面内において自由に回動することができ、したがって一対の把持機構20、20はシート束Bを把持した状態で昇降するとともに水平面内で回動して、次工程へ移送することができる。すなわちアーム13は把持機構20、20を昇降させる昇降手段を構成する。
【0013】
各把持機構20は、支持枠14に固定されたエアシリンダ21(
図2参照)と、エアシリンダ21のピストンに設けられ、相互に対向する把持爪22と有する。一対の把持爪22は相対的に接離する方向に同時に進退動し、これによりシート束Bを把持し、また解放することができる。なお支持枠14の下面には距離センサ15が取付けられており、距離センサ15はシート束Bの最下端に位置する板状シートSの垂れ下がりの状態、すなわち最下端の板状シートSの一端が把持爪22に係合しないでシート束Bから垂れ下がっているか否かを検知する。
【0014】
また支持枠14には、アーム13により把持機構20が上昇された状態で、シート束Bの最下端に位置する板状シートSの下面に係合可能な第1および第2の係合部材31、32が設けられる。支持枠14の上面には、係合部材31、32を旋回させるためのモータ(移動手段)33が取付けられる。モータ33の回転軸34は鉛直下方に延び、その先端は距離センサ15の高さ位置とほぼ同じ高さ位置まで達しており、係合部材31、32は回転軸34の先端に固定される。
【0015】
図2はシート分離供給装置を上方から見た平面図であり、
図3はシート分離供給装置を下方から見た底面図である。
図2の状態では、第1の係合部材31がシート束Bの下方に位置してシート束Bの下面に係合し、第2の係合部材32がシート束Bから離間した位置にある。
図3の状態では、第1および第2の係合部材31、32が共にシート束Bの下面に係合している。
【0016】
図2の状態では、第1の係合部材31側の把持爪22にシート束Bの全ての板状シートの端面が係合している一方、第2の係合部材32側の把持爪22には、シート束Bのうちの最下端に位置する板状シートの端面が係合していない。この状態は、後述するように距離センサ15によって検知される。
図3の状態では、第1および第2の係合部材31、32が共にシート束Bの下面に係合しており、シート束Bを次工程に移送することができる。
【0017】
再び
図1を参照して、距離センサ15の作用を説明する。距離センサ15は水平方向にレーザ光を照射し、障害物までの距離を測定するもので、本実施形態ではシート束Bの最下端に位置する板状シートSまでの距離を測定する。
図1に示す例では、第1の係合部材31側の距離センサ15(図において左側)から出力される検知信号と、第2の係合部材32側の距離センサ15(図において右側)から出力される検知信号とに基づいて、最下端の板状シートSは図において右下がりの状態にあり、右側の把持爪22から外れていることが検知される。
【0018】
図4を参照して本実施形態の作用を説明する。
符号(a)は初期状態を示し、支持枠14は定位置にあり、把持爪22、第1および第2の係合部材31、32等の各構成要素は板状シートの積層体Aよりも上方に位置している。また第1および第2の係合部材31、32は支持枠14の長手方向(
図4において左右方向)に平行な状態(初期位置)にある。符号(b)はアーム13(
図1)が下方に揺動することにより支持枠14が下降している状態を示し、把持爪22と第1および第2の係合部材31、32は積層体Aに干渉することなく、積層体Aの側面に対向する位置まで下降する。
【0019】
符号(c)は支持枠14が所定位置まで下降して停止し、一対の把持爪22が前進して積層体Aの上部に位置するシート束Bの側面に当接した状態を示す。このとき第1および第2の係合部材31、32はまだ、シート束Bから離間した初期位置にある。次いで符号(d)の状態では、支持枠14が所定高さまで上昇して一旦停止する。この停止状態で、各距離センサ15が作動し、シート束Bの中の最下端に位置する板状シートSまでの距離を測定する。図示しない制御ユニットでは、2つの距離センサ15から出力される検知信号に基づき、板状シートSの垂れ下がりの状態を検知する。
【0020】
ここで、符号(d)の状態のように、第1の係合部材31側の把持爪22のみが最下端の板状シートSに接触している場合、モータ33(
図1)が駆動され、符号(e)に示すように第1の係合部材31がシート束Bから離間した初期位置から最下端の板状シートSの下面に係合する係合位置へ移動し、支持枠14の幅方向を向く。その後、第2の係合部材32が第1の係合部材31と同一方向に旋回し、符号(f)に示すように、第1の係合部材31と平行な位置に定められ、板状シートSの下面に係合する。これにより板状シートSは持ち上げられて上方に位置する板状シートに密着し、シート束Bの垂れ下がり状態は解消する。
【0021】
なお垂れ下がり状態の解消は、一対の距離センサ15によって、最下端の板状シートSまでの距離を測定することにより確認される。
【0022】
シート束Bが一対の把持爪22と第1および第2の係合部材31、32とによって保持されると、アーム13が水平方向に揺動し、符号(g)に示すように、シート束Bは次工程へ移送される。
【0023】
このように本実施形態では、第1および第2の係合部材31、32は、最下端に位置する板状シートSの片側が把持爪22により把持されなかった際に、最下端に位置する板状シートSと段積みされた板状シートのなかの最上端の板状シートとの間の空間に位置するように制御される。この動作において係合部材31、32は、距離センサ15から出力される検知信号に基づき、最下端に位置する板状シートSにおいて把持爪22が接触している側から水平方向に旋回する。したがって最下端の板状シートSは確実にシート束Bの一部として組み込まれ、次工程へスムーズに移送される。
【0024】
また本実施形態では、板状シートの積層体Aが載置される固定台10は、把持機構20によってシート束Bを取出す際に昇降するように構成されておらず、その高さ位置は一定である。したがって本実施形態の構成は従来装置と比較して小型化され、設置面積も縮小される。
【0025】
図5は第2実施形態のシート分離供給装置を示している。この実施形態では、第1実施形態と異なり、距離センサは設けられておらず、係合部材41はシート束Bを積層体Aから取出す動作では常に、シート束Bの下面に当接するように駆動される。このため係合部材41は支持枠14に対して昇降自在であり、またシート束Bから離間した初期位置から、最下端に位置する板状シートSの下面に係合する係合位置まで、水平方向に直線的に移動するように構成される。すなわち支持枠14には、係合部材41を昇降および水平移動させるための駆動機構42が設けられ、駆動機構42の駆動力は鉛直方向に延びる連結棒43によって伝達される。
【0026】
係合部材41としては種々の形状が採用可能であり、例えば連結棒43との連結部を頂点とする三角形であってもよく、あるいは連結棒43側からシート束Bの方向へ延びるフォーク形状であってもよい。
【0027】
図6、7は第3実施形態のシート分離供給装置を示している。この実施形態では、一対の把持爪22は第1および第2実施形態とは異なり、シート束Bの長手方向の中央付近の側面を把持する、すなわちシート束Bの幅方向に沿って拡縮するように構成されている。また第1および第2の係合部材51、52はそれぞれ、シート束Bの長手方向において、把持爪22の前側と後ろ側に設けられ、支持枠14の上面に回動自在に取付けられている。
【0028】
また第3実施形態では、第1実施形態と同様に距離センサ(図示せず)が設けられており、距離センサによって板状シートの垂れ下がりが検知されたとき、最下端の板状シートが係合している側の係合部材が先に回動してシート束Bの下面に係合し、その後、最下端の板状シートが係合していない側の係合部材が回動して最下端の板状シートを持ち上げる。すなわち
図7の例は、第1の係合部材51が先に回動し、次の第2の係合部材52が回動する状態を示している。その他の動作は第1実施形態と同様である。
【0029】
第2および第3実施形態によっても、第1実施形態と同様な効果が得られ、シート分離供給装置において、シート束を確実に積層体から取出して次工程へ搬送させることができ、またシート分離供給装置を小型化することができる。
【0030】
係合部材として、第1~第3実施形態のような構成に限定されず、種々の構造が可能である。例えば、最下端の板状シートの四隅を保持するようにしてもよく、この場合、係合部材は上記各実施形態のものよりも短い部材から構成される。また係合部材は、第1実施形態のように水平面内で旋回する構成、第2実施形態のように水平面内で進退動する構成、第3実施形態のように垂直面内で旋回する構成等、種々の構成を採用することができる。
【符号の説明】
【0031】
13 アーム(昇降手段)
20 把持機構(把持手段)
22 把持爪
31、32、41、51、52 係合部材
33 モータ(移動手段)
A 積層体
B シート束
S 板状シート