(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154219
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
B62J 23/00 20060101AFI20221005BHJP
B62J 50/30 20200101ALI20221005BHJP
【FI】
B62J23/00 C
B62J50/30
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057136
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼杉 哲太郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 達哉
(72)【発明者】
【氏名】三上 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】猪▲俣▼ 修身
(57)【要約】
【課題】空気を良好に排出し得るとともに良好な外観を実現し得る鞍乗型車両を提供する。
【解決手段】鞍乗型車両10は、燃料タンク40の側方に備えられたインナカバー60と、インナカバーの少なくとも一部を外側から覆うアウタカバー62とを備え、インナカバーとアウタカバーとの間には、流路86を流れる空気を車体12の後方に向けて排出するための排出口72が形成されており、アウタカバーは、接続部64A、64Bから後方に伸びる延出部84を有し、延出部は、後方に行くにつれて車幅方向内側に位置しており、インナカバーは、延出部の後方において車幅方向外側に突出する突出部82を備え、突出部のうちの前側の面88の車体中心線89に対する傾斜角θが後方に行くにつれて大きくなっている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンク(40)の側方に備えられたインナカバー(60)と、前記インナカバー(60)の少なくとも一部を外側から覆うアウタカバー(62)とを備える鞍乗型車両(10)であって、
前記インナカバー(60)と前記アウタカバー(62)との間には、前記インナカバー(60)と前記アウタカバー(62)との間に位置する流路(86)を流れる空気を車体(12)の後方に向けて排出するための排出口(72)が形成されており、
前記インナカバー(60)は、前記アウタカバー(62)に接続される第1接続部(64B)を前記流路(86)に備えており、
前記アウタカバー(62)は、前記第1接続部(64B)から後方に伸びる延出部(84)を有し、
前記延出部(84)は、後方に行くにつれて車幅方向内側に位置しており、
前記インナカバー(60)は、前記延出部(84)の後方において車幅方向外側に突出する突出部(82)を備え、
前記突出部(82)のうちの前側の面(88)の車体中心線(89)に対する傾斜角(θ)が後方に行くにつれて大きくなっている、鞍乗型車両(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の鞍乗型車両(10)において、
前記延出部(84)の後端(84A)は、前記第1接続部(64B)の車幅方向外端に対して、車幅方向内側に位置している、鞍乗型車両(10)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の鞍乗型車両(10)において、
前記突出部(82)の車幅方向外端は、前記延出部(84)の車幅方向外端に対して、車幅方向内側に位置している、鞍乗型車両(10)。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の鞍乗型車両(10)において、
前記インナカバー(60)は、前記第1接続部(64B)に対して下側に位置する第2接続部(64A)を前記流路(86)に更に備え、
前記第1接続部(64B)の車幅方向外端は、前記第2接続部(64A)の車幅方向外端に対して、車幅方向外側に位置しており、
前記延出部(84)は、上側に行くにつれて幅が広がっている、鞍乗型車両(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、切り込み部が設けられたアウターカウルが備えられた鞍乗型車両が開示されている。特許文献1では、ラジエータ等から放出された熱によって温められた空気、即ち、排風が、切り込み部を介して排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、より良好な外観を実現することが待望されている。
【0005】
本発明の目的は、空気を良好に排出し得るとともに良好な外観を実現し得る鞍乗型車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による鞍乗型車両(10)は、燃料タンク(40)の側方に備えられたインナカバー(60)と、前記インナカバー(60)の少なくとも一部を外側から覆うアウタカバー(62)とを備える鞍乗型車両(10)であって、前記インナカバー(60)と前記アウタカバー(62)との間には、前記インナカバー(60)と前記アウタカバー(62)との間に位置する流路(86)を流れる空気を車体(12)の後方に向けて排出するための排出口(72)が形成されており、前記インナカバー(60)は、前記アウタカバー(62)に接続される第1接続部(64B)を前記流路(86)に備えており、前記アウタカバー(62)は、前記第1接続部(64B)から後方に伸びる延出部(84)を有し、前記延出部(84)は、後方に行くにつれて車幅方向内側に位置しており、前記インナカバー(60)は、前記延出部(84)の後方において車幅方向外側に突出する突出部(82)を備え、前記突出部(82)のうちの前側の面(88)の車体中心線(89)に対する傾斜角(θ)が後方に行くにつれて大きくなっている。
【0007】
前記延出部(84)の後端(84A)は、前記第1接続部(64B)の車幅方向外端に対して、車幅方向内側に位置しているようにしてもよい。
【0008】
前記突出部(82)の車幅方向外端は、前記延出部(84)の車幅方向外端に対して、車幅方向内側に位置しているようにしてもよい。
【0009】
前記インナカバー(60)は、前記第1接続部(64B)に対して下側に位置する第2接続部(64A)を前記流路(86)に更に備え、前記第1接続部(64B)の車幅方向外端は、前記第2接続部(64A)の車幅方向外端に対して、車幅方向外側に位置しており、前記延出部(84)は、上側に行くにつれて幅が広がっているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、空気を良好に排出し得るとともに良好な外観を実現し得る鞍乗型車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態による鞍乗型車両を示す側面図である。
【
図2】一実施形態による鞍乗型車両の一部を示す側面図である。
【
図3】一実施形態による鞍乗型車両の一部を示す側面図である。
【
図4】一実施形態による鞍乗型車両の一部を示す断面図である。
【
図5】一実施形態による鞍乗型車両の一部を示す正面図である
【
図6】一実施形態による鞍乗型車両の一部を示す断面図である。
【
図7】一実施形態による鞍乗型車両の一部を示す断面図である。
【
図8】一実施形態による鞍乗型車両の一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明による鞍乗型車両について、好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。
【0013】
[一実施形態]
一実施形態による鞍乗型車両について
図1~
図8を用いて説明する。
図1は、本実施形態による鞍乗型車両を示す側面図である。なお、発明の理解を容易にするために、特に指示のない限り、
図1に示す矢印の方向を基準として、前後及び上下の方向を説明する。また、車体12に着座した不図示の運転者(ユーザ)から見た方向を基準として、左右の方向を説明する。
【0014】
鞍乗型車両10には、車体12を構成する車体フレーム14と、車体フレーム14の前端部に設けられたヘッドパイプ16に回転自在に軸支される左右一対のフロントフォーク18とが備えられている。鞍乗型車両10には、フロントフォーク18に取り付けられた前輪(操舵輪)20が更に備えられている。鞍乗型車両10には、パワーユニット22が更に備えられている。パワーユニット22は、鞍乗型車両10の駆動源である駆動部23と、不図示の自動変速機とを含む。駆動部23、即ち、エンジンは、車体フレーム14に支持されている。駆動部23の前斜め上方には、不図示のラジエータが備えられている。
【0015】
車体フレーム14には、ヘッドパイプ16から後斜め下方に延出する一対のメインフレーム30と、メインフレーム30の後部に連接され下方に向かって延出するピボット部24とが備えられている。鞍乗型車両10には、ピボット部24に揺動可能に支持されたスイングアーム26が更に備えられている。鞍乗型車両10には、スイングアーム26の後端部に取り付けられた後輪(駆動輪)28が更に備えられている。車体フレーム14には、メインフレーム30の後部に取り付けられ後斜め上方に延びる左右一対のシートフレーム32が更に備えられている。車体フレーム14には、前輪20を上方から覆うフロントフェンダ38が更に備えられている。
【0016】
ヘッドパイプ16の前方には、車体12の前方を照射するヘッドライト34が備えられている。ヘッドパイプ16の上方には、前輪20を操舵可能なバー状のハンドル36が備えられている。
【0017】
前輪20は、フロントフォーク18の下端部に回転自在に軸支されている。前輪20の側面には、前輪20に制動力を与える前輪ブレーキ装置(ディスクブレーキ)20aが備えられている。
【0018】
パワーユニット22は、メインフレーム30とピボット部24とによって固定支持されている。スイングアーム26は、ピボット部24から後方に向かって略水平に延びている。スイングアーム26の後端部には、後輪28が回転可能に軸支されている。後輪28の側面には、後輪28に制動力を与える後輪ブレーキ装置(ディスクブレーキ)28aが備えられている。
【0019】
パワーユニット22の上方には、燃料タンク40が備えられている。シートフレーム32の上方、且つ、燃料タンク40の後方には、不図示の搭乗者を載せるシート42が備えられている。シート42は、フロントシート42aと、フロントシート42aの後方に位置するリアシート42bとを含むタンデム型のシートである。フロントシート42aには運転者が着座し、リアシート42bには同乗者が着座する。シートフレーム32の後部には、後方に延び、その後部下側から斜め下方に延びるリアフェンダ44が備えられている。シート42の後方には、テールランプユニット46が備えられている。テールランプユニット46は、ブレーキランプ46aと後側ウィンカランプ46bとを含む。
【0020】
鞍乗型車両10には、車体12の前後方向に沿うように、車体12の意匠(外観)を構成する車体カバー48が備えられている。車体カバー48には、車体12の前部を覆うアッパーカウル50が備えられている。車体カバー48には、シートフレーム32に沿うように後上方に延出するとともにシートフレーム32の両側面を覆うリアカウル54が備えられている。アッパーカウル50の上部には、フロントバイザ56が備えられている。アッパーカウル50の左右には、前側ウィンカランプ58が備えられている。
【0021】
車体カバー48には、燃料タンク40の側方を覆うインナカバー60(
図2参照)が更に備えられている。車体カバー48には、インナカバー60の少なくとも一部を外側から覆うアウタカバー62が更に備えられている。インナカバー60及びアウタカバー62の詳細については、後述することとする。
【0022】
ハンドル36には、左右に延びたハンドル軸68が備えられている。ハンドル軸68の左端部には、左グリップ70が備えられている。ハンドル軸68の右端部には、不図示の右グリップ、即ち、スロットルグリップが備えられている。スロットルグリップは、ハンドル軸68に対して回動可能であり、加速、即ち、エンジン回転数の上昇を指示し得る。スロットルグリップは、アクセルグリップとも称される。スロットルグリップの車体12の前方側には、不図示の前輪ブレーキレバーが備えられている。前輪ブレーキレバーの基部には、油圧ブレーキシステムの作動油を貯留する不図示のリザーブタンクが備えられている。左グリップ70の車体12の前方側には、不図示の後輪ブレーキレバーが備えられている。不図示の後輪ブレーキレバーの基部には、油圧ブレーキシステムの作動油を貯留する不図示のリザーブタンクが備えられている。前輪ブレーキレバーを運転者が操作することによって、前輪ブレーキ装置20aが作動し、前輪20に制動力が与えられる。また、後輪ブレーキレバーを運転者が操作することによって、後輪ブレーキ装置28aが作動し、後輪28に制動力が与えられる。
【0023】
図2は、本実施形態による鞍乗型車両の一部を示す側面図である。アウタカバー62が外された状態が
図2には示されている。
図3は、本実施形態による鞍乗型車両の一部を示す側面図である。アウタカバー62が取り付けられた状態が
図3には示されている。
図4は、本実施形態による鞍乗型車両の一部を示す断面図である。
図4は、
図1におけるIV-IV線断面に対応している。
図1におけるIV-IV線は、鉛直方向に沿った線である。後側から鞍乗型車両10を見た状態が
図4には示されている。
図5は、本実施形態による鞍乗型車両の一部を示す正面図である。前側から鞍乗型車両10を見た状態が
図5には示されている。
図6は、本実施形態による鞍乗型車両の一部を示す断面図である。
図6は、
図1におけるVI-VI線断面に対応している。
図7は、本実施形態による鞍乗型車両の一部を示す断面図である。
図7は、
図1におけるVII-VII線断面に対応している。
図1におけるVI-VI線及びVII-VII線は、水平方向に沿った線である。
図8は、本実施形態による鞍乗型車両の一部を示す斜視図である。斜め後方から鞍乗型車両10を見た状態が
図8には示されている。
【0024】
図2に示すように、燃料タンク40の一部と、ヘッドパイプ16の一部と、フロントフォーク18の上部と、駆動部23の上部と、不図示のラジエータとが、インナカバー60によって覆われている。インナカバー60は、上述したように、燃料タンク40の側方に備えられている。インナカバー60は、燃料タンク40の左右にそれぞれ備えられている。
【0025】
インナカバー60には、前側上縁部60Aと、前側下縁部60Bと、後側下縁部60Cと、後側上縁部60Dと、後側上縁部60Eとが備えられている。前側上縁部60Aは、インナカバー60の前端からフロントフォーク18の上部に沿って伸び、更に、後斜め上方に伸びている。前側上縁部60Aの後端は、燃料タンク40の側方に位置している。前側下縁部60Bは、インナカバー60の前端から後斜め下方に伸びている。後側下縁部60Cは、前側下縁部60Bの下端、即ち、インナカバー60の下端から後斜め上方に伸びている。後側上縁部60Dは、後側下縁部60Cの後端、即ち、インナカバー60の後端から前斜め上方に伸びている。後側上縁部60Eは、後側上縁部60Dの前端から後斜め上方に伸び、前側上縁部60Aの後端に達している。
【0026】
図2、
図4及び
図5に示すように、インナカバー60には、空気が流入する流入口66A、66Bが更に備えられている。
図2に示すように、流入口66A、66Bは、前側下縁部60Bの近傍に位置している。換言すれば、流入口66A、66Bは、前側下縁部60Bと、後述する排出口72(
図3参照)との間に位置している。即ち、流入口66A、66Bは、排出口72の前方に位置している。
【0027】
図2、
図4及び
図5に示すように、インナカバー60には、空気が流入する流入口66C~66Eが更に備えられている。
図2に示すように、流入口66C~66Eは、後側上縁部60Eの近傍に位置している。換言すれば、流入口66C~66Eは、前側上縁部60Aと後側上縁部60Eとの間に位置している。流入口66C~66Eは、前側上縁部60Aと、後述する排出口74(
図3参照)との間に位置している。即ち、流入口66C~66Eは、排出口74の前方に位置している。
【0028】
図2に示すように、インナカバー60には、アウタカバー62に係合する爪部76A~76Cが更に備えられている。爪部76A~76Cは、前側下縁部60Bに沿って配されている。
【0029】
インナカバー60には、アウタカバー62が接続される接続部64A~64E、即ち、締結部が備えられている。接続部64A~64Cは、後側下縁部60Cの前端と後側上縁部60Dの前端とを結ぶ線78に対して後方に位置している。接続部64B、即ち、第1接続部64Bは、後述する流路86(
図6参照)に備えられている。第1接続部64Bに対して下側に位置する接続部64A、即ち、第2接続部64Aも、流路86(
図7参照)に備えられている。接続部64Dは、インナカバー60の前端の近傍に位置している。接続部64Eは、前側上縁部60Aの近傍に位置している。より具体的には、接続部64Eは、前側上縁部60Aの前端と前側下縁部60Bの後端との間に位置している。接続部64A~64Eには、例えばネジ90(
図6、
図7参照)、即ち、締結部材を用いて、アウタカバー62が固定される。
【0030】
図2に示すように、インナカバー60には、車幅方向外側に突出する突出部82が形成されている。突出部82は、下側突出部82Aと、後側突出部82Bと、上側突出部82Cとを備える。下側突出部82Aの前端は、第2接続部64Aの前斜め下方に位置する。下側突出部82Aは、後斜め上方に伸びる。上側突出部82Cの前端は、第1接続部64Bの前斜め上方に位置するとともに、接続部64Cの前斜め下方に位置する。上側突出部82Cは、後斜め上方に伸びる。後側突出部82Bは、下側突出部82Aの後端から上側突出部82Cの後端に達する。
【0031】
図3に示すように、インナカバー60の一部と、燃料タンク40の一部とが、アウタカバー62によって覆われている。アウタカバー62は、上述したように、インナカバー60の少なくとも一部を外側から覆っている。アウタカバー62は、燃料タンク40の左右にそれぞれ備えられたインナカバー60の左右にそれぞれ備えられている。
【0032】
アウタカバー62には、前側上縁部62Aと、前側下縁部62Bと、下縁部62Cと、後側下縁部62Dと、後側上縁部62Eとが備えられている。アウタカバー62の前端は、インナカバー60の前端と一致している。前側上縁部62Aは、インナカバー60の前側上縁部60Aに沿って伸び、更に、後方に伸びている。前側上縁部62Aの後端は、燃料タンク40の側方に位置している。前側上縁部62Aの後端は、インナカバー60の前側上縁部60Aの後端よりも後方に位置している。前側下縁部62Bは、インナカバー60の前側下縁部60Bに沿って伸びている。前側下縁部62Bの下端は、インナカバー60の前側下縁部60Bの下端と一致している。下縁部62Cは、インナカバー60の後側下縁部60Cに沿っている。後側下縁部62Dは、接続部64A~64Cに沿っている。後側下縁部62Dは、接続部64A~64Cに対して後方に位置している。
【0033】
後側下縁部62Dには、切り欠き部80A、80Bが備えられている。切り欠き部80Aは、後側下縁部62Dの下端の近傍に位置している。切り欠き部80Bは、後側下縁部62Dの上端の近傍に位置している。切り欠き部80A、80Bは、後側下縁部62Dから前方に向かって伸びている。切り欠き部80A、80Bには、インナカバー60に備えられた突出部82の一部が入り込む。即ち、切り欠き部80Aには、下側突出部82Aが入り込む。また、切り欠き部80Bには、上側突出部82Cが入り込む。
【0034】
アウタカバー62には、延出部84が備えられている。延出部84は、切り欠き部80Aと切り欠き部80Bとの間に位置している。延出部84は、接続部64A、64Bから後方に伸びる。延出部84は、インナカバー60に備えられた後側突出部82Bよりも前側に位置している。
【0035】
図6及び
図7に示すように、インナカバー60とアウタカバー62との間には、空気の流路86が形成されている。また、インナカバー60とアウタカバー62との間には、排出口72が更に備えられている。延出部84の後端とインナカバー60とによって、排出口72の一部が画定されている。排出口72は、流路86内を流れる空気を車体12の後方に向けて排出するためのものである。また、
図3に示すように、燃料タンク40とアウタカバー62との間には、流路86内を流れる空気を排出するための排出口74が備えられている。流入口66A~66Eから流入する空気は、流路86を経由し、排出口72、74から排出される。
【0036】
図6及び
図7に示すように、延出部84は、後方に行くにつれて車幅方向内側に位置している。延出部84の後端84Aは、第1接続部64Bの車幅方向外端に対して、車幅方向内側に位置している。突出部82は、延出部84の後方において車幅方向外側に突出している。より具体的には、後側突出部82Bは、延出部84の後方において車幅方向外側に突出している。このため、本実施形態によれば、良好な外観を得ることができる。
【0037】
図6及び
図7に示すように、突出部82の車幅方向外端は、延出部84の車幅方向外端に対して、車幅方向内側に位置している。より具体的には、後側突出部82Bの車幅方向外端は、延出部84の車幅方向外端に対して、車幅方向内側に位置している。このため、本実施形態によれば、排出口72からの空気の排出に影響が及ぶのを防止することができる。
【0038】
図6及び
図7に示すように、突出部82のうちの前側の面88の車体中心線89に対する傾斜角θは、後方に行くにつれて大きくなっている。より具体的には、後側突出部82Bのうちの前側の面88の車体中心線89に対する傾斜角θは、後方に行くにつれて大きくなっている。このため、本実施形態によれば、不図示のラジエータ等によって温められた空気を良好に排出することができる。なお、車体中心線89の長手方向は、車体12の前後方向である。
【0039】
図4に示すように、第1接続部64Bの車幅方向外端は、第2接続部64Aの車幅方向外端に対して、車幅方向外側に位置している。また、延出部84は、上側に行くにつれて幅が広がっている。このため、本実施形態では、不図示の搭乗者から第1接続部64B及び第2接続部64Aが見えにくくなり、より良好な外観を実現することができる。
【0040】
このように、本実施形態によれば、後方に行くにつれて車幅方向内側に位置する延出部84がアウタカバー62に備えられており、延出部84の後方において車幅方向外側に突出する突出部82がインナカバー60に備えられている。このため、本実施形態によれば、良好な外観を得ることができる。しかも、突出部82のうちの前側の面88の傾斜角が、後方に行くにつれて変化している。このため、本実施形態によれば、ラジエータ等によって温められた空気を良好に排出することができる。このように、本実施形態によれば、空気を良好に排出し得るとともに良好な外観を実現し得る鞍乗型車両10を提供することができる。
【0041】
本発明についての好適な実施形態を上述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。
【0042】
上記実施形態をまとめると以下のようになる。
【0043】
鞍乗型車両(10)は、燃料タンク(40)の側方に備えられたインナカバー(60)と、前記インナカバー(60)の少なくとも一部を外側から覆うアウタカバー(62)とを備える鞍乗型車両(10)であって、前記インナカバー(60)と前記アウタカバー(62)との間には、前記インナカバー(60)と前記アウタカバー(62)との間に位置する流路(86)を流れる空気を車体(12)の後方に向けて排出するための排出口(72)が形成されており、前記インナカバー(60)は、前記アウタカバー(62)に接続される第1接続部(64B)を前記流路(86)に備えており、前記アウタカバー(62)は、前記第1接続部(64B)から後方に伸びる延出部(84)を有し、前記延出部(84)は、後方に行くにつれて車幅方向内側に位置しており、前記インナカバー(60)は、前記延出部(84)の後方において車幅方向外側に突出する突出部(82)を備え、前記突出部(82)のうちの前側の面(88)の車体中心線(89)に対する傾斜角(θ)が後方に行くにつれて大きくなっている。このような構成によれば、後方に行くにつれて車幅方向内側に位置する延出部がアウタカバーに備えられており、延出部の後方において車幅方向外側に突出する突出部がインナカバーに備えられている。このため、このような構成によれば、良好な外観を得ることができる。しかも、突出部のうちの前側の面の車体中心線に対する傾斜角が、後方に行くにつれて大きくなっている。このため、このような構成によれば、ラジエータ等によって温められた空気を良好に排出することができる。このような構成によれば、空気を良好に排出し得るとともに良好な外観を実現し得る鞍乗型車両を提供することができる。
【0044】
前記延出部(84)の後端(84A)は、前記第1接続部(64B)の車幅方向外端に対して、車幅方向内側に位置しているようにしてもよい。
【0045】
前記突出部(82)の車幅方向外端は、前記延出部(84)の車幅方向外端に対して、車幅方向内側に位置しているようにしてもよい。このような構成によれば、排出口からの空気の排出に影響が及ぶのを防止することができる。
【0046】
前記インナカバー(60)は、前記第1接続部(64B)に対して下側に位置する第2接続部(64A)を前記流路(86)に更に備え、前記第1接続部(64B)の車幅方向外端は、前記第2接続部(64A)の車幅方向外端に対して、車幅方向外側に位置しており、前記延出部(84)は、上側に行くにつれて幅が広がっているようにしてもよい。このような構成によれば、搭乗者から第1接続部及び第2接続部が見えにくいため、より良好な外観を実現することができる。
【符号の説明】
【0047】
10:鞍乗型車両 12:車体
14:車体フレーム 16:ヘッドパイプ
18:フロントフォーク 20:前輪
20a:前輪ブレーキ装置 22:パワーユニット
23:駆動部 24:ピボット部
26:スイングアーム 28:後輪
28a:後輪ブレーキ装置 30:メインフレーム
32:シートフレーム 34:ヘッドライト
36:ハンドル 38:フロントフェンダ
40:燃料タンク 42:シート
42a:フロントシート 42b:リアシート
44:リアフェンダ 46:テールランプユニット
46a:ブレーキランプ 46b:後側ウィンカランプ
48:車体カバー 50:アッパーカウル
54:リアカウル 56:フロントバイザ
58:前側ウィンカランプ 60:インナカバー
60A、62A:前側上縁部 60B、62B:前側下縁部
60C、62D:後側下縁部 60D、60E、62E:後側上縁部
62:アウタカバー 62C:下縁部
64A:接続部、第2接続部 64B:接続部、第1接続部
64C~64E:接続部 66A~66E:流入口
68:ハンドル軸 70:左グリップ
72、74:排出口 76A~76C:爪部
78:線 80A、80B:切り欠き部
82:突出部 82A:下側突出部
82B:後側突出部 82C:上側突出部
84:延出部 84A:後端
86:流路 88:面
89:車体中心線 90:ネジ