(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154224
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】運転支援装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20221005BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G08G1/09 F
G08G1/09 H
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057143
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】野口 恭甫
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB12
5H181BB13
5H181CC01
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC27
5H181FF04
5H181FF12
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF25
5H181FF27
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】車両を運転する運転者の運転技能を向上させることができる運転支援装置を提供すること。
【解決手段】運転支援装置11は、他車両が存在する車線へ車両1を車線変更することの可否を判定する車線変更可否判定部204と、車線変更が可能であると判定された場合、車両1の速度及び車両1と他車両との相対速度に基づいて、車両1が車線変更可能な目標操舵角、及び車線変更を実行するための目標速度を算出する目標値算出部205と、車線変更を実行したときに、車両1の運転者が操作した実操舵角及び車線変更中の車両1の実速度を取得する実挙動量取得部206と、目標操舵角と実操舵角との比較、及び目標速度と実速度との比較に基づく車線変更情報を車両1の車内に配置された表示装置92に表示させる表示制御部207と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の周辺情報を取得する周辺情報取得部と、
前記周辺情報取得部により取得される前記周辺情報に基づいて、前記自車両の周囲に存在する他車両を検出する他車両検出部と、
前記周辺情報に基づいて、前記自車両の速度、前記自車両と前記他車両との相対速度、前記自車両から前記他車両までの車間距離を取得する車両情報取得部と、
前記自車両の速度、前記自車両と前記他車両との相対速度、及び前記自車両から前記他車両までの前記車間距離に基づいて、前記他車両が存在する車線へ前記自車両を車線変更することの可否を判定する車線変更可否判定部と、
前記車線変更が可能であると判定された場合、前記自車両の速度及び前記自車両と前記他車両との相対速度に基づいて、前記自車両が車線変更可能な目標操舵角、及び前記車線変更を実行するための目標速度を算出する目標値算出部と、
前記車線変更を実行したときに、前記自車両の運転者が操作した実操舵角及び車線変更中の車両の実速度を取得する実挙動量取得部と、
前記目標操舵角と前記実操舵角との比較、及び前記目標速度と前記実速度との比較に基づく車線変更情報を前記車両の車内に配置された表示装置に表示させる表示制御部と、
を備える運転支援装置。
【請求項2】
前記目標操舵角と前記実操舵角との比較に基づいて、前記車両の操舵軸にアシストトルクを付与するアシストトルク制御部を更に備える請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記目標操舵角と前記実操舵角との差が所定値よりも低い値で車線変更が行われた車線変更回数を計数し、前記車線変更回数が所定値以上となった場合、前記運転者の運転技能の向上を示す表示内容を前記表示装置に表示させる、請求項1又は2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記目標操舵角と前記実操舵角との比較、及び前記目標速度と前記実速度との比較に代えて、目標操舵角速度と実操舵角速度との比較、目標加速度と実加速度との比較に基づく前記車線変更情報を前記表示装置に表示させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記目標操舵角と前記実操舵角との比較、及び前記目標速度と前記実速度との比較に基づいて、前記実速度及び前記実操舵角が車線変更に適しているか否かを判定し、
前記表示制御部は、前記実速度及び前記実操舵角が車線変更に適しているか否かに応じて、前記車線変更情報の表示内容を変更する、請求項1に記載の運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自車両と他車両との車間距離を計測し、車間距離に応じた時間の余裕を閾値と比較して異常接近の有無を判定し、異常接近の場合には、煽り運転か否かを判定する運転評価装置及び車載器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、自車両の後方及び側方を走行する他車両を、ミリ波レーダ等によって検出し、検出した他車両の存在を運転者へ報知する機能(Blind Spot Information(BSI)機能)を有する車両が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、BSI機能は、自車両の死角に他車両が存在するかの検出を行い、車線変更時の注意を促す機能であり、実際に車線変更を行うのは運転者である。そのため、BSI機能のみでは、車線変更が苦手な運転者の苦手意識を払拭することは困難である。
【0006】
そこで、本発明は、車両を運転する運転者の運転技能を向上させることができる運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る運転支援装置(例えば、後述の運転支援装置11)は、自車両(例えば、後述の車両1)の周辺情報を取得する周辺情報取得部(例えば、後述の周辺情報取得部40)と、前記周辺情報取得部により取得される前記周辺情報に基づいて、前記自車両の周囲に存在する他車両(例えば、後述の他車両300)を検出する他車両検出部(例えば、後述の他車両検出部201)と、前記周辺情報に基づいて、前記自車両の速度、前記自車両と前記他車両との相対速度、前記自車両から前記他車両までの車間距離を取得する車両情報取得部(例えば、後述の車両情報取得部202)と、前記自車両の速度、前記自車両と前記他車両との相対速度、及び前記自車両から前記他車両までの前記車間距離に基づいて、前記他車両が存在する車線へ前記自車両を車線変更することの可否を判定する車線変更可否判定部(例えば、後述の車線変更可否判定部204)と、前記車線変更が可能であると判定された場合、前記自車両の速度及び前記自車両と前記他車両との相対速度に基づいて、前記自車両が車線変更可能な目標操舵角、及び前記車線変更を実行するための目標速度を算出する目標値算出部(例えば、後述の目標値算出部205)と、前記車線変更を実行したときに、前記自車両の運転者が操作した実操舵角及び車線変更中の車両の実速度を取得する実挙動量取得部(例えば、後述の実挙動量取得部206)と、前記目標操舵角と前記実操舵角との比較、及び前記目標速度と前記実速度との比較に基づく車線変更情報を前記車両の車内に配置された表示装置に表示させる表示制御部(例えば、後述の表示制御部207)と、を備える。
【0008】
また、前記運転支援装置は、前記目標操舵角と前記実操舵角との比較に基づいて、前記車両の操舵軸にアシストトルクを付与するアシストトルク制御部(例えば、後述のアシストトルク制御部208)を更に備える。
【0009】
また、前記表示制御部は、前記目標操舵角と前記実操舵角との差が所定値よりも低い値で車線変更が行われた車線変更回数を計数し、前記車線変更回数が所定値以上となった場合、前記運転者の運転技能の向上を示す表示内容を前記表示装置に表示させる。
【0010】
また、前記表示制御部は、前記目標操舵角と前記実操舵角との比較、及び前記目標速度と前記実速度との比較に代えて、目標操舵角速度と実操舵角速度との比較、目標加速度と実加速度との比較に基づく前記車線変更情報を前記表示装置に表示させる。
【0011】
また、前記表示制御部は、前記目標操舵角と前記実操舵角との比較、及び前記目標速度と前記実速度との比較に基づいて、前記実速度及び前記実操舵角が車線変更に適しているか否かを判定し、前記表示制御部は、前記実速度及び前記実操舵角が車線変更に適しているか否かに応じて、前記車線変更情報の表示内容を変更する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、車両を運転する運転者の運転技能を向上させることができる運転支援装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係る車両の構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態に係る車両の運転支援装置の機能構成を示す図である。
【
図3】車線変更しようとする車両と他車両との関係を示す図である。
【
図4】表示装置に表示される車線変更情報の具体例を示す図である。
【
図5】表示装置に表示される車線変更情報の具体例を示す図である。
【
図6】表示装置に表示される車線変更情報の具体例を示す図である。
【
図7】表示装置に表示される車線変更情報の具体例を示す図である。
【
図8】本実施形態に係る運転支援装置の処理を示すフローチャートである。
【
図9】本実施形態に係る運転支援装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本発明の運転支援装置の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る車両1の構成を示すブロック図である。
図1は、車両1の概略を平面図と側面図とを組み合わせて示している。車両1は、一例としてセダンタイプの四輪の乗用車である。
【0015】
車両1は、制御装置2を備える。制御装置2は、車内ネットワークにより通信可能に接続された複数のECU(自動運転ECU20~停止制御ECU29)を含む。各ECUは、CPUに代表されるプロセッサ、半導体メモリ等の記憶デバイス、外部デバイスとのインターフェース等を含むコンピュータとして機能する。記憶デバイスには、プロセッサが実行するプログラムやプロセッサが処理に使用するデータ等が格納される。各ECUは、プロセッサ、記憶デバイス及びインターフェース等を複数備えていてもよい。
【0016】
以下、各自動運転ECU20~停止制御ECU29の機能等について説明する。なお、ECUの数や、担当する機能については適宜設計可能であり、本実施形態に示すECUよりも細分化する又は統合することが可能である。
【0017】
自動運転ECU20は、車両1の自動運転に関する制御を実行する。自動運転においては、自動運転ECU20は、車両1の操舵と、加減速の少なくともいずれか一方を自動制御する。
【0018】
操舵ECU21は、電動パワーステアリング装置3を制御する。電動パワーステアリング装置3は、ステアリングホイール31に対する運転者の運転操作(操舵操作)に応じて前輪を操舵する機構を含む。また、電動パワーステアリング装置3は、操舵操作をアシストする又は前輪を自動操舵するための駆動力を発揮するモータや、操舵角を検知する操舵角センサ61等を含む。車両1の運転状態が自動運転の場合、操舵ECU21は、自動運転ECU20からの指示に対応して電動パワーステアリング装置3を自動制御し、車両1の進行方向を制御する。
【0019】
走行支援ECU22及び23は、車両の周囲状況を検知するカメラ41、LIDAR42及びミリ波レーダ43の制御及び検知結果の情報処理を行う。カメラ41は、車両1の前方、側方及び後方を撮像する。本実施形態の場合、カメラ41は、車両1の前部に2つ設けられ、更に側部及び後部に1つずつ設けられる。走行支援ECU22及び23は、カメラ41が撮影した画像の解析により、物標の輪郭抽出や、道路上の車線の区画線(白線等)を抽出可能である。
【0020】
LIDAR42は、Light Detection and Ranging(LIDAR)であり、車両1の周囲の物標を検知し、物標との距離を測距する。本実施形態の場合、LIDAR42は、5つ設けられており、車両1の前部の各隅部に1つずつ、後部中央に1つ、後部各側方に1つずつ設けられている。
【0021】
ミリ波レーダ43は、車両1の周囲の物標を検知し、物標との距離を測距する。本実施形態の場合、ミリ波レーダ43は、5つ設けられており、車両1の前部中央に1つ、前部各隅部に1つずつ、後部各隅部に1つずつ設けられている。
【0022】
走行支援ECU22は、車両1の前部の一方のカメラ41と、各LIDAR42の制御及び検知結果の情報処理を行う。走行支援ECU23は、車両1の前部の他方のカメラ41と、各ミリ波レーダ43の制御及び検知結果の情報処理を行う。車両1の周囲状況を検知するECUを二組備えたことで、検知結果の信頼性を向上でき、また、カメラ41、LIDAR42及びミリ波レーダ43といった種類の異なる検知ユニットを備えたことで、車両1の周辺環境の解析を多面的に行うことができる。
【0023】
位置認識ECU24は、ジャイロセンサ5、GPSセンサ24b、通信装置24cの制御及び検知結果又は通信結果の情報処理を行う。ジャイロセンサ5は、車両1の回転運動を検知する。位置認識ECU24は、ジャイロセンサ5の検知結果や、車輪速等により車両1の進路を判定することができる。
【0024】
GPSセンサ24bは、車両1の現在位置を検知する。通信装置24cは、地図情報、交通情報等を提供するサーバと無線通信を行い、これらの情報を取得する。位置認識ECU24は、記憶デバイスに構築された地図情報のデータベース24aにアクセス可能であり、位置認識ECU24は、現在地から目的地へのルート探索等を行う。
【0025】
通信制御ECU25は、車車間通信用の通信装置25aを備える。通信装置25aは、周辺の他車両と無線通信を行い、車両間での情報交換を行う。
【0026】
駆動制御ECU26は、パワープラント6を制御する。パワープラント6は、車両1の駆動輪を回転させる駆動力を出力する機構であり、例えば、エンジンと変速機とを含む。駆動制御ECU26は、例えば、アクセルペダル7Aに設けた操作検知センサ7Dにより検知した運転者の運転操作(アクセル操作あるいは加速操作)に対応してエンジンの出力を制御する。そして、駆動制御ECU26は、車速センサ7Cが検知した車速等の情報に基づいて変速機の変速段を切り替える。車両1の運転状態が自動運転の場合、駆動制御ECU26は、自動運転ECU20からの指示に対応してパワープラント6を自動制御し、車両1の加減速を制御する。
【0027】
車外報知制御ECU27は、方向指示器(ウィンカー)8等の照明装置を制御する。
図1の例の場合、方向指示器8は、車両1の前部、ドアミラー及び後部に設けられている。
【0028】
車内報知制御ECU28は、入出力装置9の制御を行う。入出力装置9は、運転者に対する情報の出力と、運転者からの情報の入力の受け付けを行う。入出力装置9は、音声出力装置91と、表示装置92と、入力装置93と、を有する。
【0029】
音声出力装置91は、運転者に対して音声により情報を報知する。表示装置92は、運転者に対して画像の表示により情報を報知する。表示装置92は、例えば、運転席正面に配置され、インストルメントパネルやその近傍に設けられた液晶ディスプレイでもよいし、フロントガラスに画像が投影されるヘッドアップディスプレイでもよい。また、例えば、表示装置92は、入力装置を有するタッチパネルに含まれていてもよい。なお、ここでは、音声と表示を例示したが振動や光により情報を報知してもよい。また、入出力装置9は、音声、表示、振動又は光のうちの複数を組み合わせて情報を報知してもよい。更に、入出力装置9は、報知すべき情報のレベル(例えば緊急度)に応じて、組み合わせを異ならせたり、報知態様を異ならせたりしてもよい。
【0030】
入力装置93は、運転者が操作可能な位置に配置され、車両1に対する指示を行うスイッチ群であるが、音声入力装置を含んでもよい。
【0031】
停止制御ECU29は、ブレーキ装置10やパーキングブレーキ(不図示)等を制御する。ブレーキ装置10は、例えばディスクブレーキ装置であり、車両1の各車輪に設けられ、車輪の回転に抵抗を加えることで車両1を減速又は停止させる。
【0032】
停止制御ECU29は、例えば、ブレーキペダル7Bに設けた操作検知センサ7Eにより検知した運転者の運転操作(ブレーキ操作)に対応してブレーキ装置10の作動を制御する。車両1の運転状態が自動運転の場合、停止制御ECU29は、ECU20からの指示に対応してブレーキ装置10を自動制御し、車両1の減速及び停止を制御する。ブレーキ装置10やパーキングブレーキは、車両1の停止状態を維持するために作動することもできる。また、パワープラント6の変速機がパーキングロック機構を備える場合、当該パーキングロック機構が、車両1の停止状態を維持するために作動することもできる。
【0033】
車両1は、車内の状態を検出する車内検出センサ50を更に備える。ここでは、車内検出センサ50として、撮像部としてのカメラや、重量センサ、温度検知センサ等により構成され、その種類は特に限定するものではない。なお、車内検出センサ50は、車両1に設けられた座席ごとに設けられてもよいし、車内全体を俯瞰及び監視可能なように単一の構成にて設けられてもよい。
【0034】
[制御機能の例]
本実施形態に係る車両1の制御機能は、車両1の駆動、制動、操舵の制御に関わる走行関連機能と、運転者に対する情報の報知に関わる報知機能と、を含む。
車線維持制御とは、車線に対する車両の位置の制御の一つであり、車線内に設定した走行軌道上で車両を自動的に(運転者の運転操作によらずに)走行させる制御である。
【0035】
車線逸脱抑制制御とは、車線に対する車両の位置の制御の一つであり、白線又は中央分離帯を検知し、車両が線を超えないように自動的に操舵を行うものである。車線逸脱抑制制御と車線維持制御とはこのように機能が異なっている。
【0036】
車線変更制御とは、車両が走行中の車線から隣接車線へ車両を自動的に移動させる制御である。
前走車追従制御とは、自車両の前方を走行する他車両に自動的に追従する制御である。
衝突軽減ブレーキ制御とは、車両の前方の障害物との衝突可能性が高まった場合に、自動的に制動して衝突回避を支援する制御である。
誤発進抑制制御は、車両の停止状態で運転者による加速操作が所定量以上の場合に、車両の加速を制限する制御であり、急発進を抑制する。
【0037】
隣接車両報知制御とは、自車両の走行車線に隣接する隣接車線を走行する他車両の存在を運転者に報知する制御であり、例えば、自車両の側方、後方を走行する他車両の存在を報知する。
前走車発進報知制御とは、自車両及びその前方の他車両が停止状態にあり、前方の他車両が発進したことを報知する制御である。これらの報知は上述した車内報知デバイスにより行うことができる。
【0038】
以下、本実施形態に係る車両1の運転支援装置11の処理について説明する。
図2は、本実施形態に係る車両1の運転支援装置11の機能構成を示す図である。
図2に示すように、運転支援装置11は、制御装置2と、周辺情報取得部40と、車両センサ60と、表示装置92と、を備える。
【0039】
制御装置2は、他車両検出部201と、車両情報取得部202と、車線変更軌跡算出部203と、車線変更可否判定部204と、目標値算出部205と、実挙動量取得部206と、表示制御部207と、アシストトルク制御部208と、を備える。周辺情報取得部40は、上述したカメラ41と、LIDAR42と、ミリ波レーダ43と、を備える。
【0040】
周辺情報取得部40は、車両1の周辺情報を取得する。例えば、周辺情報取得部40は、車両1の前方、側方及び後方における周辺情報を取得する。周辺情報は、例えば、カメラ41によって取得される車両1の前方、側方及び後方周辺の画像である。また、周辺情報は、例えば、LIDAR42又はミリ波レーダ43によって取得される車両1の前方、側方及び後方周辺のデータであってもよい。
【0041】
車両センサ60は、車速センサ7Cと、操舵角センサ61と、加速度センサ62と、を備える。車速センサ7Cは、上述したように、車両1の速度を検出する。操舵角センサ61は、上述したように、車両1の操舵角を検知する。加速度センサ62は、車両1の加速度を検出する。なお、車速センサ7C、操舵角センサ61及び加速度センサ62は、いずれも既知のセンサによって構成される。また、車両センサ60は、上記の構成以外のセンサを備えていてもよい。
【0042】
他車両検出部201は、周辺情報取得部40により取得される周辺情報に基づいて、車両1の周囲に存在する他車両を検出する。具体的には、他車両検出部201は、周辺情報取得部40により取得された車両1の周辺情報に基づいて、車両1の後方又は側方に存在する他車両を検出する。
【0043】
そして、他車両検出部201は、他車両を検出した場合、他車両の存在を車両1の運転者に報知する。具体的には、他車両検出部201は、他車両の存在を示す情報を表示装置92のBSI(Blind Spot Information)インジケータに表示することによって、車両1の運転者に報知する。
【0044】
このように本実施形態に係る車両1は、車両1の後方又は側方を走行する他車両を検出し、検出した他車両の存在を車両1の運転者へ報知する機能(BSI(Blind Spot Information)機能)を実現する。
【0045】
図3は、車線変更しようとする車両1と他車両300との関係を示す図である。
図3に示す例では、車両1は、道路A1の左側車線を走行しており、右側車線へ車線変更しようとしている。車両1の後方では、他車両300が右側車線を走行しているが、車両1と他車両300との車間距離が離れている。そのため、車両1は、BSI機能が作動しない状況において、他車両300と衝突しないように車線変更を行う必要がある。そこで、本実施形態に係る運転支援装置11は、以下に説明するように、車線変更をアシストする処理を実行する。
【0046】
車両情報取得部202は、他車両検出部201によって他車両を検出し、かつBSI機能が作動しない程度に車両1と他車両との車間距離が離れている場合、少なくとも周辺情報取得部40により取得される周辺情報に基づいて、車両1の速度、車両1と他車両との相対速度、及び車両1から他車両までの車間距離を取得する。
【0047】
具体的には、車両情報取得部202は、車速センサ7Cによって検出される車両1の速度を取得する。車両情報取得部202は、周辺情報取得部40により取得される周辺情報に基づいて、車両1と他車両との相対速度、及び車両1から他車両までの車間距離を取得する。
【0048】
車線変更軌跡算出部203は、車両1の速度、車両1と他車両との相対速度、及び車両1から他車両までの車間距離に基づいて、車両1が他車両と接触せずに、円滑に車線変更が可能な軌跡を算出する。
【0049】
具体的には、車線変更軌跡算出部203は、車両1の速度、車両1と他車両との相対速度、及び車両1から他車両までの車間距離に基づいて、車両1が、現在の走行車線から他車両が走行している車線(例えば、現在の走行位置から他車両が走行している車線の中央まで)へ、3秒程度で車線変更可能な軌跡を算出する。また、車線変更軌跡算出部203は、車両1の速度、車両1と他車両との相対速度、及び車両1から他車両までの車間距離に基づいて、車両1と他車両との相対速度が0の場合の車線変更が可能な軌跡を算出してもよい。
【0050】
車線変更可否判定部204は、車両1の速度、車両1と他車両との相対速度、及び車両1から他車両までの車間距離に基づいて、他車両が存在する車線へ車両1を車線変更することの可否を判定する。
【0051】
具体的には、車線変更可否判定部204は、車両1の速度、車両1と他車両との相対速度、及び車両1から他車両までの車間距離に基づいて、車両1と他車両との衝突余裕度(MTC:Margin-To-Collision)を算出する。
衝突余裕度(MTC)は、下記の式から求めることができる。
MTC=(D+(V2/2ug))/(V1/2ug)
ここで、Dは車間距離、V1は車両1の速度、V2は他車両の速度、uはタイヤと路面との摩擦係数、gは重力加速度である。
【0052】
そして、車線変更可否判定部204は、算出した衝突余裕度が、所定の閾値x以上である場合、他車両が存在する車線へ車両1を車線変更することが可能であると判定する。ここで、所定の閾値xは、1.01以上であることが好ましい。
【0053】
目標値算出部205は、車線変更可否判定部204によって車線変更が可能であると判定された場合、車両1の速度及び車両1と他車両との相対速度に基づいて、車両1が車線変更可能な目標操舵角を算出する。
【0054】
具体的には、目標値算出部205は、車線変更軌跡算出部203によって算出された車線変更可能な軌跡を実現するために、車両1の速度及び車両1と他車両との相対速度に基づいて、車両1が、現在の走行車線から他車両が走行している車線(例えば、現在の走行位置から他車両が走行している車線の中央まで)へ、3秒程度で車線変更可能な目標操舵角を算出する。
【0055】
また、目標値算出部205は、車両1の速度及び車両1と他車両との相対速度に基づいて、車線変更を実行するための目標速度を算出する。具体的には、目標値算出部205は、車線変更軌跡算出部203によって算出された車線変更可能な軌跡を実現するために、車両1の速度及び車両1と他車両との相対速度に基づいて、車両1が、現在の走行車線から他車両が走行している車線(例えば、現在の走行位置から他車両が走行している車線の中央まで)へ、3秒程度で車線変更可能な目標速度を算出する。
【0056】
実挙動量取得部206は、車線変更を実行したときに、車両1の運転者が操作した実操舵角及び車線変更中の車両1の実速度を取得する。具体的には、実挙動量取得部206は、操舵角センサ61を用いて、車両1の運転者が操作した実操舵角を取得し、車速センサ7Cを用いて、車線変更中の車両1の実速度を取得する。
【0057】
表示制御部207は、目標操舵角と実操舵角との比較、及び目標速度と実速度との比較に基づく車線変更情報を車両1の車内に配置された表示装置92に表示させる。具体的には、表示制御部207は、
図4から
図7に示すような車線変更情報を表示装置92に表示させる。
【0058】
図4から
図7は、表示装置92に表示される車線変更情報の具体例を示す図である。
図4から
図7に示すように、表示制御部207は、車線変更情報として、表示画面101、表示画面102、表示画面103及び表示画面104を表示装置92に表示させる。
【0059】
具体的には、
図4に示すように、表示画面101において、メッセージ111は、車線変更をアシストする処理が実行中であることを示し、表示項目112は、目標速度の値を示し、表示項目113は、目標操舵角と実操舵角とを比較し、操舵角について車線変更することの可否を判定した結果(例えば、OK、NG等)を示す。表示項目114は、車線変更についての運転技能の評価をトロフィーの図柄によって示し、表示項目115は、車線変更中の実速度の値を示す。表示項目116は、目標操舵角の向きを示し、表示項目117は、実操舵角の向きを示す。
【0060】
表示制御部207は、目標操舵角と実操舵角との比較、及び目標速度と実速度との比較に基づいて、実速度及び実操舵角が車線変更に適しているか否かを判定する。そして、表示制御部207は、実速度及び実操舵角が車線変更に適しているか否かに応じて、車線変更情報の表示内容を変更する。
【0061】
例えば、表示制御部207は、目標値算出部205によって算出された目標操舵角と、実挙動量取得部206によって検出された実操舵角とを比較し、実操舵角が目標操舵角を含む許容範囲内である場合、実操舵角が車線変更に適していると判定する。また、表示制御部207は、目標値算出部205によって算出された目標速度と、実挙動量取得部206によって検出された実速度とを比較し、実速度が目標速度を含む許容範囲内である場合、実速度が車線変更に適していると判定する。
【0062】
そして、表示制御部207は、実操舵角が車線変更に適していると判定した場合、
図4に示すように、車線変更情報として、表示項目113において車線変更することが可能であることを示すメッセージを表示する。
【0063】
一方、表示制御部207は、実操舵角が車線変更に適していないと判定した場合、
図5の表示画面102の表示項目113に示すように、表示項目113において車線変更することが可能ではないことを示すメッセージを表示する。
【0064】
また、表示制御部207は、実速度が車線変更に適していると判定した場合、
図4の表示項目115のように実速度の値を表示する。一方、表示制御部207は、実速度が車線変更に適していないと判定した場合、
図4の表示項目115の表示態様に替えて、
図5の表示項目115のように実速度の値の表示態様を変更する。
【0065】
図2に戻り、アシストトルク制御部208は、目標操舵角と実操舵角との比較に基づいて、車両1の操舵軸にアシストトルクを付与する。
【0066】
具体的には、アシストトルク制御部208は、目標操舵角と実操舵角とを比較し、実操舵角が、目標操舵角を含む許容範囲内にある場合、ステアリングホイール31に対する運転者の運転操作(操舵操作)が軽くなるように、車両1の操舵軸にアシストトルクを付与する。
【0067】
一方、アシストトルク制御部208は、目標操舵角と実操舵角とを比較し、実操舵角が、目標操舵角を含む許容範囲内にない場合、ステアリングホイール31に対する運転者の運転操作(操舵操作)が重くなるように、車両1の操舵軸にアシストトルクを付与する。
【0068】
また、表示制御部207は、目標操舵角と実操舵角との差が所定値よりも低い値で車線変更が行われた車線変更回数を計数し、車線変更回数が所定値以上となった場合、運転者の運転技能の向上を示す表示内容を表示装置92に表示させてもよい。ここで、所定値は、例えば、車線変更についての運転者の運転技能が十分に向上したことを示す値であってもよい。
【0069】
具体的には、表示制御部207は、
図6に示すように、表示項目118において運転者の運転技能の向上を示すメッセージを表示し、表示項目119においてトロフィーの画像を表示する。表示項目119は、例えば、
図4の表示項目114に示されるブロンズトロフィーからシルバートロフィーに変更されてもよい。
【0070】
また、表示制御部207は、
図7に示すように、表示項目120において運転者の運転技能の向上を促すメッセージを表示してもよい。
図6及び7のようなメッセージ及び画像を表示することによって、車両1の運転者は、車線変更についての運転技能が向上したことを把握することができる。
【0071】
また、表示制御部207は、目標操舵角と実操舵角との比較、及び目標速度と実速度との比較に代えて、目標操舵角速度と実操舵角速度との比較、目標加速度と実加速度との比較に基づく車線変更情報を表示装置92に表示させてもよい。
【0072】
この場合、目標値算出部205は、車線変更可否判定部204によって車線変更が可能であると判定された場合、車両1の速度及び車両1と他車両との相対速度に基づいて、車両1が車線変更可能な目標操舵角速度を算出する。また、目標値算出部205は、車両1の速度及び車両1と他車両との相対速度に基づいて、車線変更を実行するための目標加速度を算出する。
【0073】
そして、実挙動量取得部206は、車線変更を実行したときに、操舵角センサ61を用いて、車両1の運転者が操作した実操舵角速度を検出し、加速度センサ62を用いて、車線変更中の車両1の実加速度を検出する。そして、表示制御部207は、目標操舵角速度と実操舵角速度との比較、目標加速度と実加速度との比較に基づく車線変更情報を表示装置92に表示させる。
【0074】
また、表示制御部207は、運転技能が未熟な運転者と、運転技能が成熟した運転者とで車線変更情報の表示内容を異ならせてもよい。例えば、表示制御部207は、運転技能が未熟な運転者に対して、目標操舵角と実操舵角との比較、及び目標速度と実速度との比較に基づく車線変更情報を車両1の車内に配置された表示装置92に表示させる。
【0075】
一方、表示制御部207は、運転技能が成熟した運転者に対して、目標加速度と実加速度との比較に基づく車線変更情報を表示装置92に表示させてもよい。これにより、運転支援装置11は、運転技能が未熟な運転者に対して運転技能の向上を促すと共に、運転技能が成熟した運転者のより円滑な運転技能の向上を促すことができる。
【0076】
図8及び
図9は、本実施形態に係る運転支援装置11の処理を示すフローチャートである。
ステップS1において、車両1は、車線変更を開始する。運転支援装置11の制御装置20は、例えば、方向指示器8の操作を検出することによって、車両1の車線変更の開始を識別する。
【0077】
ステップS2において、他車両検出部201は、表示装置92のBSIインジケータが点灯状態であるか否かを判定する。ここで、表示装置92のBSIインジケータが点灯状態であることは、他車両検出部201が他車両を検出し、かつ車両1と他車両との車間距離が、車線変更が不可能な程度に接近していることを意味する。
【0078】
また、表示装置92のBSIインジケータが点灯状態でないことは、他車両検出部201が他車両を検出し、かつ車両1と他車両との車間距離が、BSI機能が作動しない程度に車両1と他車両との車間距離が離れていることを意味する。
【0079】
表示装置92のBSIインジケータが点灯状態である場合(YES)、処理は、ステップS6へ移る。一方、表示装置92のBSIインジケータが点灯状態でない場合(NO)、処理は、ステップS3へ移る。
【0080】
ステップS3において、車両情報取得部202は、少なくとも周辺情報取得部40により取得される周辺情報に基づいて、車両1の速度、車両1と他車両との相対速度、及び車両1から他車両までの車間距離を取得する。
【0081】
ステップS4において、車線変更軌跡算出部203は、車両1の速度、車両1と他車両との相対速度、及び車両1から他車両までの車間距離に基づいて、車両1が他車両と接触せずに、円滑に車線変更が可能な軌跡を算出する。
【0082】
ステップS5において、車線変更可否判定部204は、車両1の速度、車両1と他車両との相対速度、及び車両1から他車両までの車間距離に基づいて、車両1と他車両との衝突余裕度を算出する。そして、車線変更可否判定部204は、算出した衝突余裕度が、所定の閾値x以上であるか否かを判定する。衝突余裕度が、所定の閾値x以上である場合(YES)、処理は、ステップS7へ移る。一方、衝突余裕度が、所定の閾値x未満である場合(NO)、処理は、ステップS6へ移る。
【0083】
ステップS6において、車線変更可否判定部204は、他車両が存在する車線へ車両1を車線変更することが不可能であると判断し、その後、処理を終了する。
【0084】
ステップS7において、目標値算出部205は、車線変更可否判定部204によって車線変更が可能であると判定された場合、車線変更軌跡算出部203によって算出された車線変更可能な軌跡を実現するために、車両1の速度及び車両1と他車両との相対速度に基づいて、車両1が車線変更可能な目標速度を算出する。
【0085】
ステップS8において、目標値算出部205は、車線変更軌跡算出部203によって算出された車線変更可能な軌跡を実現するために、車両1の速度及び車両1と他車両との相対速度に基づいて、車両1が車線変更可能な目標操舵角を算出する。
【0086】
ステップS9において、実挙動量取得部206は、車線変更を実行したときに、車両1の運転者が操作した実操舵角及び車線変更中の車両1の実速度を取得する。そして、表示制御部207は、目標操舵角と実操舵角との比較、及び目標速度と実速度との比較に基づく車線変更情報(例えば、
図4に示すような目標速度、目標操舵角等)を車両1の車内に配置された表示装置92に表示させる。
【0087】
ステップS10において、表示制御部207は、目標操舵角と実操舵角との比較、及び目標速度と実速度との比較に基づいて、実速度及び実操舵角が車線変更に適しているか否かを判定する。実速度及び実操舵角が車線変更に適している場合(YES)、処理は、ステップS11へ移る。一方、実速度及び/又は実操舵角が車線変更に適していない場合(NO)、処理は、ステップS12へ移る。
【0088】
ステップS11において、表示制御部207は、車線変更情報として、例えば
図4に示すように、車線変更することが可能であることを示す表示内容を表示する。
ステップS12において、表示制御部207は、
図5に示すように、表示項目113において車線変更することが可能ではないことを示す表示内容を表示する。
【0089】
ステップS13において、表示制御部207は、目標操舵角と実操舵角との差が所定値よりも低い値で車線変更が行われた車線変更回数を計数(カウント)する。
【0090】
ステップS14において、表示制御部207は、車線変更回数(カウント)が所定値以上であるか否かを判定する。カウントが所定値以上である場合(YES)、処理は、ステップS15へ移る。一方、カウントが所定値未満である場合(NO)、処理は、その後、終了する。
【0091】
ステップS15において、表示制御部207は、車線変更回数(カウント)が所定値以上となった場合、運転者の運転技能の向上を示す表示内容を表示装置92に表示させる。
【0092】
本実施形態によれば、例えば、以下の効果が奏される。
本実施形態に係る運転支援装置11は、車両1の周辺情報を取得する周辺情報取得部40と、周辺情報取得部40により取得される周辺情報に基づいて、車両1の周囲に存在する他車両を検出する他車両検出部201と、周辺情報に基づいて、車両1の速度、車両1と他車両との相対速度、車両1から他車両までの車間距離を取得する車両情報取得部202と、車両1の速度、車両1と他車両との相対速度、及び車両1から他車両までの車間距離に基づいて、他車両が存在する車線へ車両1を車線変更することの可否を判定する車線変更可否判定部204と、車線変更が可能であると判定された場合、車両1の速度及び車両1と他車両との相対速度に基づいて、車両1が車線変更可能な目標操舵角、及び車線変更を実行するための目標速度を算出する目標値算出部205と、車線変更を実行したときに、車両1の運転者が操作した実操舵角及び車線変更中の車両1の実速度を取得する実挙動量取得部206と、目標操舵角と実操舵角との比較、及び目標速度と実速度との比較に基づく車線変更情報を車両1の車内に配置された表示装置92に表示させる表示制御部207と、を備える。
【0093】
これにより、運転支援装置11は、車線変更情報を表示装置92に表示させることによって、車両1の運転者の車線変更操作をアシストし、運転者の運転技能を向上させることができる。
【0094】
また、運転支援装置11は、目標操舵角と実操舵角との比較に基づいて、車両1の操舵軸にアシストトルクを付与するアシストトルク制御部208を更に備える。これにより、運転支援装置11は、運転者に対して、目標操舵角に沿った車線変更操作を促すことができ、運転者の運転技能を向上させることができる。
【0095】
また、表示制御部207は、目標操舵角と実操舵角との差が所定値よりも低い値で車線変更が行われた車線変更回数を計数し、車線変更回数が所定値以上となった場合、運転者の運転技能の向上を示す表示内容を表示装置92に表示させる。これにより、運転支援装置11は、運転者の運転技能の向上を示す表示内容を運転者に視認させることによって、当該表示内容が運転者の運転技能を向上させる動機付けとなり、運転者が更に運転技能を向上させることを促すことができる。
【0096】
また、表示制御部207は、目標操舵角と実操舵角との比較、及び目標速度と実速度との比較に代えて、目標操舵角速度と実操舵角速度との比較、目標加速度と実加速度との比較に基づく車線変更情報を表示装置92に表示させる。これにより、運転支援装置11は、車両1の操舵角及び速度の一次微分である操舵角速度及び加速度を用いて車線変更操作をアシストすることによって、より円滑な車線変更操作を運転者に促すことができる。
【0097】
また、表示制御部207は、目標操舵角と実操舵角との比較、及び目標速度と実速度との比較に基づいて、実速度及び実操舵角が車線変更に適しているか否かを判定する。表示制御部207は、実速度及び前記実操舵角が車線変更に適しているか否かに応じて、車線変更情報の表示内容を変更する。これにより、運転支援装置11は、実速度及び実操舵角が車線変更に適しているか否かを運転者に通知することによって、運転者の運転技能の向上を促すことができる。
【0098】
なお、上述した実施形態では、運転支援装置11を有する車両1は、四輪車として説明されたが、例えば、本実施形態に係る運転支援装置11は、二輪車等にも適用可能である。
【0099】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の運転支援装置11は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。また、上記の運転支援装置11により行なわれる制御方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0100】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。
【0101】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限らない。本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0102】
1 車両
11 運転支援装置
40 周辺情報取得部
60 車両センサ
201 他車両検出部
202 車両情報取得部
203 車線変更軌跡算出部
204 車線変更可否判定部
205 目標値算出部
206 実挙動量取得部
207 表示制御部
208 アシストトルク制御部