(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154247
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】摩耗量推定システム、演算モデル生成システムおよび摩耗量推定方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/30 20120101AFI20221005BHJP
【FI】
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057175
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】石坂 信吉
(72)【発明者】
【氏名】吉成 昭夫
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC42
(57)【要約】
【課題】タイヤの摩耗量の推定精度を向上することができる摩耗量推定システム、演算モデル生成システムおよび摩耗量推定方法を提供する。
【解決手段】摩耗量推定システム100の車両情報取得部12は、車両6の車内に輸送のために積載された積載物である乗客を検出した映像データを取得する。画像認識部13は、車両情報取得部12によって取得された映像データから乗客の位置を認識する。分布算出部14は、画像認識部13によって認識された乗客の位置に基づいて、停車地としての停留所で区切られる各区間の乗客による重みの分布状況を算出する。摩耗量算出部16は、入力された情報に基づいてタイヤ7の摩耗量を算出する演算モデル16aを有し、分布算出部14によって算出した分布状況を演算モデル16aに入力してタイヤ7の摩耗量を算出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車内に輸送のために積載された積載物を検出したデータを取得する車両情報取得部と、
前記車両情報取得部によって取得されたデータから積載物の位置を認識する認識部と、
前記認識部によって認識された積載物の位置に基づいて、停車地で区切られる各区間の積載物による重みの分布状況を算出する分布算出部と、
入力された情報に基づいてタイヤの摩耗量を算出する演算モデルを有し、前記分布算出部によって算出した前記分布状況を前記演算モデルに入力して前記タイヤの摩耗量を算出する摩耗量算出部と、
を備えることを特徴とする摩耗量推定システム。
【請求項2】
前記区間の距離をタイヤ摩耗に対する過酷度情報として生成するタイヤ過酷度生成部を更に備え、
前記摩耗量算出部は、前記タイヤ過酷度生成部によって生成した過酷度情報を前記演算モデルに入力して前記タイヤの摩耗量を算出することを特徴とする請求項1に記載の摩耗量推定システム。
【請求項3】
前記タイヤ過酷度生成部は、前記区間における前記車両の旋回に関する情報を前記過酷度情報として生成することを特徴とする請求項2に記載の摩耗量推定システム。
【請求項4】
前記タイヤ過酷度生成部は、停車地における停車時および発車時の加速度を前記過酷度情報として生成することを特徴とする請求項2に記載の摩耗量推定システム。
【請求項5】
前記タイヤ過酷度生成部は、前記区間における高低差に関する情報を前記過酷度情報として生成することを特徴とする請求項2に記載の摩耗量推定システム。
【請求項6】
車両の車内に輸送のために積載された積載物を検出したデータを取得する車両情報取得部と、
前記車両情報取得部によって取得されたデータから積載物の位置を認識する認識部と、
前記認識部によって認識された積載物の位置に基づいて、停車地で区切られる各区間の積載物による重みの分布状況を算出する分布算出部と、
入力された情報に基づいてタイヤの摩耗量を算出する演算モデルを有し、前記分布算出部によって算出した前記分布状況を前記演算モデルに入力して前記タイヤの摩耗量を算出する摩耗量算出部と、
前記タイヤで計測される摩耗量と前記摩耗量算出部により算出された摩耗量とを比較して前記演算モデルを学習させる学習処理部と、
を備えることを特徴とする演算モデル生成システム。
【請求項7】
車両の車内に輸送のために積載された積載物を検出したデータを取得する車両情報取得ステップと、
前記車両情報取得ステップによって取得されたデータから積載物の位置を認識する認識ステップと、
前記認識ステップによって認識された積載物の位置に基づいて、停車地で区切られる各区間の積載物による重みの分布状況を算出する分布算出ステップと、
入力された情報に基づいてタイヤの摩耗量を算出する演算モデルを有し、前記分布算出ステップによって算出した前記分布状況を前記演算モデルに入力して前記タイヤの摩耗量を算出する摩耗量算出ステップと、
を備えることを特徴とする摩耗量推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に装着されるタイヤの摩耗量を推定する摩耗量推定システム、演算モデル生成システムおよび摩耗量推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、タイヤは走行状態や走行距離等に応じて摩耗が進行する。また昨今ではタイヤの圧力および温度を計測するセンサをタイヤに取り付け、計測した圧力および温度を表示する装置などが製品化されている。
【0003】
特許文献1にはタイヤ摩耗を推定する従来のタイヤメンテナンス支援システムが記載されている。このタイヤメンテナンス支援システムは、装着ポジションのそれぞれにおけるトレッド及びサイド部の摩耗進行度を取得する摩耗進行度取得部と、取得した摩耗進行度に基づいて、車両のメンテナンス時期までの装着ポジションのそれぞれにおけるトレッド及びサイド部の摩耗量である予測摩耗量を演算する摩耗量演算部と、演算した予測摩耗量に基づいて、タイヤを所定ポジションから他の装着ポジションに入れ替える複数のローテーションプランの中から、少なくとも何れかのローテーションプランを選択するローテーションプラン選択部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のタイヤメンテナンス支援システムでは、装着ポジションのそれぞれにおけるトレッド及びサイド部の摩耗進行度に基づいて、タイヤの予測摩耗量が演算されている。本発明者は、例えば路線バスのように乗客等の積載物を輸送する車両では、積載物の位置によって各タイヤの摩耗量が変動することから、タイヤの摩耗量推定に改善の余地があることに気づいた。また、発停車する停留所等の停車地で区切られる各区間の距離、停車地における車両の加減速などの要因によってもタイヤの摩耗量が変動するため、これらの要因を加味することでタイヤの摩耗量推定が改善し得ることに本発明者は気づいた。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、タイヤの摩耗量の推定精度を向上することができる摩耗量推定システム、演算モデル生成システムおよび摩耗量推定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様の摩耗量推定システムは、車両の車内に輸送のために積載された積載物を検出したデータを取得する車両情報取得部と、前記車両情報取得部によって取得されたデータから積載物の位置を認識する認識部と、前記認識部によって認識された積載物の位置に基づいて、停車地で区切られる各区間の積載物による重みの分布状況を算出する分布算出部と、入力された情報に基づいてタイヤの摩耗量を算出する演算モデルを有し、前記分布算出部によって算出した前記分布状況を前記演算モデルに入力して前記タイヤの摩耗量を算出する摩耗量算出部と、を備える。
【0008】
本発明の別の態様は演算モデル生成システムである。演算モデル生成システムは、車両の車内に輸送のために積載された積載物を検出したデータを取得する車両情報取得部と、前記車両情報取得部によって取得されたデータから積載物の位置を認識する認識部と、前記認識部によって認識された積載物の位置に基づいて、停車地で区切られる各区間の積載物による重みの分布状況を算出する分布算出部と、入力された情報に基づいてタイヤの摩耗量を算出する演算モデルを有し、前記分布算出部によって算出した前記分布状況を前記演算モデルに入力して前記タイヤの摩耗量を算出する摩耗量算出部と、前記タイヤで計測される摩耗量と前記摩耗量算出部により算出された摩耗量とを比較して前記演算モデルを学習させる学習処理部と、を備える。
【0009】
本発明の別の態様は摩耗量推定方法である。摩耗量推定方法は、車両の車内に輸送のために積載された積載物を検出したデータを取得する車両情報取得ステップと、前記車両情報取得ステップによって取得されたデータから積載物の位置を認識する認識ステップと、前記認識ステップによって認識された積載物の位置に基づいて、停車地で区切られる各区間の積載物による重みの分布状況を算出する分布算出ステップと、入力された情報に基づいてタイヤの摩耗量を算出する演算モデルを有し、前記分布算出ステップによって算出した前記分布状況を前記演算モデルに入力して前記タイヤの摩耗量を算出する摩耗量算出ステップと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、タイヤの摩耗量の推定精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る摩耗量推定システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図2】車載計測装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】タイヤ過酷度生成部によって生成するタイヤ過酷度情報の例を示す図表である。
【
図5】車両が走行する路線の一例を示す模式図である。
【
図6】演算モデルの摩耗量推定および学習について説明するための模式図である。
【
図7】演算モデル生成システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図8】演算モデル生成システムによる演算モデル生成の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに
図1から
図8を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0013】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る摩耗量推定システム100の機能構成を示すブロック図である。摩耗量推定システム100は、車両6に搭載された車載計測装置70と、気象情報サーバ装置80と、車両6に装着された各タイヤ7の摩耗量を推定する摩耗量推定装置10とを備える。
【0014】
摩耗量推定システム100は、定められた路線を走行して乗客等の積載物を輸送する車両6に装着された各タイヤ7の摩耗量を推定する。車両6は、例えば路線バスであり、停車地として始発停留所および終着停留所を含み、始発停留所から終着停留所までの間に設けられた停車地としての停留所を経由し、各停留所で乗客を乗降させて輸送する。始発停留所と終着停留所とが同じであっても異なっていてもよい。また車両6は、予め経路が設定された輸送トラックであり、出発地点、到着地点および途中の経由地点を含む停車地で荷物等の積載物を積載し、荷下ろしして輸送する。以下、車両6として路線バスの場合を例にして説明するが、車両6が輸送トラックの場合も同等であり、路線バスの停留所を輸送トラックの停車地点に置き換え、車両6に積載する乗客を輸送トラックに載せる荷物に置き換えられる。本発明における車両6の停車地は、輸送トラックの場合、出発地点、到着地点、並びに荷積みおよび荷下ろしする停車地点であり、路線バスの場合は各停留所である。
【0015】
また路線は、各停留所で区切られた区間を繋ぎ合わせて構成されている。摩耗量推定システム100は、後述するように各区間における既知の走行距離、旋回回数、旋回方向および高低差などの情報、並びに走行中に計測される車両6の加速度や乗客の重みの分布状況などの情報を用いて、各タイヤ7の摩耗量を推定する。尚、路線は、予め定められているものに限られず、出発地から目的地までの経路を含む運行予定が立案されたときに当該経路の走行距離や旋回回数などの情報を、外部のコンピュータ支援による地図ルーティングサービスから取得してもよい。
【0016】
摩耗量推定装置10は、例えばインターネット等の通信ネットワーク9を介して車両6に搭載された車載計測装置70から車両6の速度、加速度および位置情報等の車両計測情報、並びにタイヤ7で計測されるタイヤ計測情報を取得する。また摩耗量推定装置10は、気象情報サーバ装置80から気象情報を取得する。摩耗量推定装置10は、取得した情報に基づいて学習型の演算モデルによる演算を行って各タイヤ7の摩耗量を推定する。
【0017】
図2は、車載計測装置70の機能構成を示すブロック図である。車載計測装置70は、車両計測部71、タイヤ計測部72、車内撮像部73、情報取得部74および通信部75を備える。車載計測装置70における各部は、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする電子素子や機械部品などで実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラムなどによって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろな形態で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0018】
車両計測部71は、車両6に搭載された速度メータ71aおよび加速度センサ71bを有する。速度メータ71aは、車両の速度を計測する。加速度センサ71bは、車両6の3軸方向の加速度を計測する。車両計測部71は、車両6の位置情報を計測する装置を有していてもよい。
【0019】
タイヤ計測部72は、温度センサ72aおよび圧力センサ72bを有する。温度センサ72aおよび圧力センサ72bは、車両6に装着されたタイヤ7のエアバルブ等に配設されていたり、あるいはベルト等でホイールに強固に巻き付け固定されており、タイヤ7の温度および空気圧を計測する。温度センサ72aは、タイヤ7のインナーライナー等に配設されていてもよい。また、更に詳細なタイヤ情報を得ることができるようにタイヤ計測部72の構成に、加速度センサが含まれていてもよい。
【0020】
車内撮像部73は、例えばCCD等の検出器を有するカメラ装置であり、車内を撮影し、車内の映像データを生成する。車内撮像部73は、車内を撮影した映像データに撮影された時刻情報および停留所での着発停時刻などの情報を付加するようにしてもよい。
【0021】
情報取得部74は、車両計測部71で計測された車両計測情報(速度および加速度等)、タイヤ計測部72で計測されたタイヤ計測情報(タイヤの温度および空気圧等)、および車内撮像部73で撮影された映像データを取得する。情報取得部74は、車両計測情報およびタイヤ計測情報に含まれる各計測データに対して、計測された時刻情報、または取得した時刻情報を対応付ける。
【0022】
情報取得部74は、車両計測情報およびタイヤ計測情報を各計測データに対応付けられた時刻情報とともに通信部75から摩耗量推定装置10へ送信する。また情報取得部74は、車内撮像部73によって撮影された映像データを通信部75から摩耗量推定装置10へ送信する。
【0023】
情報取得部74は、車両6にデジタルタコメータ等の装置が搭載されている場合には、当該装置において収集した車両6の速度および加速度等の情報を取得するようにしてもよい。通信部75は、例えばWiFi(登録商標)等の無線通信によって通信ネットワーク9に通信接続し、情報取得部74が取得した映像データ、車両計測情報およびタイヤ計測情報(時刻情報を含む)を通信ネットワーク9を介して摩耗量推定装置10へ送信する。
【0024】
図1に戻り、気象情報サーバ装置80は各地における気象情報を提供する。気象情報サーバ装置80が提供する気象情報は、各地における降水量、積雪量、降雪量、気温および日照時間等を含む情報である。摩耗量推定装置10は、気象情報サーバ装置80から車両6が走行している場所における気象情報を取得する。
【0025】
摩耗量推定装置10は、通信部11、車両情報取得部12、画像認識部13、分布算出部14、タイヤ過酷度生成部15、摩耗量算出部16および記憶部17を備える。摩耗量推定装置10における各部は、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする電子素子や機械部品などで実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラムなどによって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろな形態で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0026】
通信部11は、無線または有線通信によって通信ネットワーク9に通信接続し、車載計測装置70の通信部75との間で通信する。また通信部11は、通信ネットワーク9を介して気象情報サーバ装置80との間で通信する。
【0027】
車両情報取得部12は、車両6に搭載された車載計測装置70から送信された車両計測情報、タイヤ計測情報および車内を撮影した映像データを取得する。車両情報取得部12は、取得した映像データを画像認識部13へ出力する。車両情報取得部12は、取得したタイヤ計測情報(タイヤの温度および空気圧等)を摩耗量算出部16へ出力する。車両情報取得部12は、車両計測情報(速度および加速度)の情報をタイヤ過酷度生成部15へ出力する。
【0028】
車両情報取得部12は、車両仕様データ17a、タイヤ仕様データ17bおよびタイヤ位置データ17cのうちタイヤ7の摩耗量の推定に用いるデータを記憶部17から取得し、摩耗量算出部16へ出力する。また車両情報取得部12は、路線データ17dを記憶部17から取得し、タイヤ過酷度生成部15へ出力する。尚、路線データ17dは出発地、経由地および到着地を含む各停車地に基づいて、外部のコンピュータ支援による地図ルーティングサービスから取得してもよい。
【0029】
記憶部17は、例えばSSD(Solid State Drive)、ハードディスク、CD-ROM、DVD等によって構成される記憶装置であり、予め各種の車両およびタイヤ7の仕様に関して提供されているデータ、並びに車両6が走行する路線に関する路線データを記憶している。
【0030】
車両仕様データ17aには、例えばメーカー、車両名、車両型式、車体重量、ドライブトレーン、全長、車幅、車高、最大積載荷重などの車両の性能等に関する情報が含まれる。タイヤ仕様データ17bには、例えばメーカー、商品名、タイヤサイズ、タイヤ幅、扁平率、耐摩耗性能、タイヤ強度、静的剛性、動的剛性、タイヤ外径、ロードインデックス、製造年月日など、タイヤ7の性能に関する情報が含まれる。また、タイヤ位置データ17cには、摩耗予測するタイヤの車両における位置や取り付けられている車軸に関する情報が含まれる。路線データ17dは、停留所間の各区間の距離、旋回に関する情報、高度変化量、高度変化回数および高度変化量等のデータを含む。
【0031】
画像認識部13は、車内を撮影した映像データから乗客、および車内における乗客の位置を画像認識する。画像認識部13は、乗客が複数存在する場合には乗客毎にその位置を認識する。画像認識部13は、画像認識された各乗客の位置を分布算出部14へ出力する。尚、画像認識部13は、画像認識の技術分野において、撮影した映像データから人を認識する種々の公知の画像認識方法を用いることができ、例えば学習モデルを用いて画像認識方法などを用いることができる。尚、画像認識部13は、本発明における認識部に相当する。また、画像認識部13が用いる映像データは、認識部が積載物の位置を認識するために用いるデータに相当する。また、乗客の位置を検出する構成は、画像認識部13による構成に限られず、超音波または電波(ミリ波)を用いて、例えばエコーロケーション技術等によって物体検出を行うセンサ装置を含む構成となっていてもよい。
【0032】
分布算出部14は、画像認識部13によって認識された車内の各乗客の位置に基づいて、乗客による重みの分布状況を算出し、摩耗量算出部16へ出力する。
図3は、車両6の車内を上方から見た平面図である。車両6の最前部右側には運転席61が設けられ、運転席61の後方から車両6の最後部まで座席62が設けられている。タイヤ7は、車両6の前部および後部の左右に装着されている。
【0033】
図3に示す例では、右前輪を含む領域A1、左前輪を含む領域A2、右後輪を含む領域A3および左後輪を含む領域A4の4つの領域に車内を分割している。分布算出部14は、各乗客の位置に基づいて各乗客が領域A1~A4のいずれに該当するかを判定し、各領域に存在する乗客の数を算出する。尚、運転手の1名は、領域A1の乗客に含ませて乗客の数を算出する。
【0034】
分布算出部14は、乗客の重みが同一であると仮定して乗客による重みの分布状況を算出する。分布算出部14は、例えば領域A1に4人、領域A2に3人、領域A3に3人、領域A4に2人が存在すると判定した場合に、乗客による重みの分布状況を、領域A1で3、領域A2で3、領域A3で3、領域A4で2と算出する。画像認識部13において大人と子供の画像認識が可能である場合には、分布算出部14は、大人の重み1に対して子供の重みを0.5などとしても良い。また分布算出部14は、乗客の重みを例えば60kgであるとし、領域A1に4人の乗客が存在する場合に、領域A1における分布状況が240kgであると算出してもよい。更に、車両乗車口に乗客の重量を計測できる装置などを搭載して、実際の乗客の重みを計測し、更に詳細な重量分布状況を算出してもよい。
【0035】
タイヤ過酷度生成部15は、車両6が走行する路線における各区間の距離などの情報に基づいてタイヤ摩耗に対する過酷度情報(以下、タイヤ過酷度情報と表記する。)を生成し、摩耗量算出部16へ出力する。
【0036】
図4は、タイヤ過酷度生成部15によって生成するタイヤ過酷度情報の例を示す図表である。タイヤ過酷度情報は、走行関連、旋回関連、発停車関連、高低差関連の4つに分類される。タイヤ過酷度生成部15は、走行関連では、停留所によって区切られる各区間の距離および車両の速度をタイヤ過酷度情報として生成する。各区間の距離が長く、各区間における車両の速度が高いほど、タイヤ7の摩耗量が増加する。尚、
図4の備考欄には、タイヤ過酷度情報として用いられるデータの取得元を示している。各区間の距離は路線に依存して既知であり、路線データ17dから取得される。また、車両の速度は、速度メータ71aによって計測され、車載計測装置70から取得される。
【0037】
図5は、車両6が走行する路線の一例を示す模式図である。
図5に示す路線の例では、車両6は、停留所ST1を始発および終着停留所とし、停留所ST2および停留所ST3を経由して循環する。例えば停留所ST1および停留所ST2の間には旋回箇所P1~P3が存在する。車両6が走行する旋回箇所P1~P9は、路線に応じて既知であり、路線データ17dに含まれている。
【0038】
タイヤ過酷度生成部15は、旋回関連では、停留所によって区切られる各区間における旋回箇所での旋回半径、旋回方向、旋回速度および横方向加速度をタイヤ過酷度情報として生成する。旋回箇所における旋回半径が小さく、旋回速度および横方向加速度が大きいほど、タイヤ7の摩耗量が増加する。また、旋回方向に依存して車両6の右側または左側のタイヤ7の摩耗量が増加する。各旋回箇所における旋回速度および横方向加速度は、速度メータ71aおよび加速度センサ71bによって計測され、車載計測装置70から取得される。
【0039】
タイヤ過酷度生成部15は、発停車関連では、各停留所における停車時の速度および加速度、並びに発車時の速度および加速度をタイヤ過酷度情報として生成する。停車時および発車時における速度および横方向加速度が大きいほど、タイヤ7の摩耗量が増加する。各停留所における車両の停車時の速度および加速度、並びに発車時の速度および加速度は、速度メータ71aおよび加速度センサ71bによって計測され、車載計測装置70から取得される。
【0040】
タイヤ過酷度生成部15は、高低差関連では、各区間における高度変化量、高度変化回数および高度変化方向をタイヤ過酷度情報として生成する。高度変化量は、例えば各区間における道路の上りによる高度差、および下りによる高度差の絶対値を積算した総変化量とする。高度変化回数は、例えば各区間における道路の上りの回数、および下りの回数を積算した総変化回数とする。高度変化方向は、例えば各区間で総合して上りとなっているか下りとなっているかを表す。
【0041】
各区間における高度変化量および高度変化回数が大きいほど、タイヤ7の摩耗量が増加する。また高度変化方向に応じて、前輪側または後輪側のタイヤ7の摩耗量が増加する。各区間における高度変化量、高度変化回数および高度変化方向は、既知であり、路線データ17dに含まれている。
【0042】
摩耗量算出部16は、演算モデル16aを有し、タイヤ7の摩耗量を推定する。演算モデル16aは、入力された情報に基づいてタイヤ7の摩耗量を算出する学習型モデルである。
図6は、演算モデル16aの摩耗量推定および学習について説明するための模式図である。演算モデル16aへの入力データは、概ね車両計測情報、タイヤ計測情報、乗客の重みの分布状況、タイヤ過酷度情報およびその他情報の各系統に分類される。
【0043】
車両計測情報関連の入力データは、車両6の速度および加速度を含む。タイヤ過酷度生成部15では、発停車時の速度および加速度をタイヤ過酷度情報として用いているが、区間内における走行中の速度および加速度を演算モデル16aへの入力データとしてもよい。タイヤ計測情報関連の入力データは、タイヤ7の温度および空気圧を含む。
【0044】
タイヤ過酷度情報関連の入力データは、タイヤ過酷度生成部15において算出されたタイヤ過酷度情報である。タイヤ過酷度情報は、上述のように走行、旋回、発停車および高低差の各関連のデータである。
【0045】
その他情報による入力データは、気象情報に基づいて推定される路面状態、気温および降水量等、車両仕様データ17aに含まれる車両の最大積載荷重、並びにタイヤ仕様データ17bに含まれるタイヤ7の耐摩耗性能等である。タイヤ7の耐摩耗性能は、例えばランボーン摩耗試験に基づき標準配合を100として各種トレッド配合の耐摩耗性能を指標化したタイヤ摩耗指標値等を用いる。また、その他情報による入力データは、タイヤ位置データ17cに含まれるタイヤ7の位置や車軸に関する情報である。
【0046】
演算モデル16aは、例えばニューラルネットワーク等の学習型モデルを用いる。演算モデル16aは、例えばDNN(Deep Neural Network)や、決定木などの手法を用いて構築される。また演算モデル16aは、例えば入力情報に対する多重線形回帰モデルとし、学習によってモデル生成されるものであってもよい。
【0047】
図7は、演算モデル生成システム110の機能構成を示すブロック図である。演算モデル生成システム110は、摩耗量推定システム100の構成に加えて、タイヤ摩耗量計測装置60、および学習処理部21を有する演算モデル生成装置20を備える。
【0048】
タイヤ摩耗量計測装置60は、タイヤ7のトレッドに設けられた溝の深さを直接計測し、タイヤ7の摩耗量を取得する。作業者が計測器具やカメラ、目視等によって各溝の深さを計測し、タイヤ摩耗量計測装置60は、作業者が入力する計測データを記憶するものであってもよい。また、タイヤ摩耗量計測装置60は、機械的あるいは光学的な方法によって溝の深さを計測して摩耗量を記憶する専用の装置であってもよい。
【0049】
具体的には、タイヤ摩耗量計測装置60は、例えば、タイヤの溝が4本あった場合に、幅方向の4か所で計測し、さらに同一溝の周方向、例えば120°間隔で、3か所計測する。これにより、タイヤの幅方向または周方向での偏摩耗データもタイヤ摩耗量計測装置60に記憶される。なお、タイヤ摩耗量計測装置60は、タイヤの摩耗で直径が変わるため、走行距離とタイヤの回転数・速度の情報から計算によって溝の深さを間接的に計測してもよい。加えて、溝の深さを直接計測するものに、走行距離とタイヤの回転数・速度から計算によって予測するもの、とを併用してもよい。
【0050】
演算モデル生成装置20は、摩耗量推定装置10の各構成に加えて学習処理部21を有する。演算モデル生成装置20における摩耗量推定装置10の各構成に相当する部分は、摩耗量推定装置10のそれらと同等の機能を有するが、演算モデル16aは学習前または学習中のものとなる。
【0051】
学習処理部21は、通信部11を介してタイヤ摩耗量計測装置60からタイヤ7の摩耗量を取得する。
図6を参照し、演算モデル16aの学習過程では、入力情報に基づいて演算モデル16aによって出力データとしてのタイヤ7の摩耗量を推定し、教師データと比較する。教師データは、タイヤ摩耗量計測装置60によって計測されたタイヤ7の摩耗量を用いる。
【0052】
学習処理部21は、演算モデル16aによって推定したタイヤ7の摩耗量と教師データとを比較し、重みづけ等の演算過程における各種係数を演算モデル16aに新たに設定し、モデルの更新を繰り返すことで学習を実行する。摩耗量推定システム100は、演算モデル生成システム110によって学習済みの演算モデル16aを用いてタイヤ7の摩耗量を推定する。尚、学習処理部21は、勾配ブースティングなどの公知の学習方法を用いることができる。また演算モデル16aの検証には、ランダムデータサンプリングや交差検証などの公知の検証方法を用いることができる。
【0053】
次に摩耗量推定システム100および演算モデル生成システム110の動作を説明する。
図8は、演算モデル生成システム110による演算モデル生成の手順を示すフローチャートである。演算モデル生成装置20の車両情報取得部12は、車両計測情報、タイヤ計測情報および映像データの取得を開始する(S1)。また車両情報取得部12は、ステップS1において、その他情報として車両仕様、タイヤ仕様、タイヤ位置、車両の最大積載荷重、タイヤの耐摩耗性能および路線データなど必要な情報を記憶部17から読み出す。画像認識部13は、映像データに基づき乗客および乗客の位置を画像認識する(S2)。分布算出部14は、画像認識された各乗客の位置に基づいて、乗客による重みの分布状況を算出する(S3)。
【0054】
タイヤ過酷度生成部15は、走行、旋回、発停車および高低差の各関連データに基づいてタイヤ過酷度情報を生成する(S3)。上述のように、タイヤ過酷度情報の生成には、車載計測装置70で計測された車両6の速度および加速度の情報、並びに路線データ17dに含まれるデータが用いられる。
【0055】
摩耗量算出部16は、車両情報取得部12およびタイヤ過酷度生成部15からの入力データを取得し、演算モデル16aによってタイヤ7の摩耗量を算出して推定する(S5)。尚、路面状態等を演算モデル16aの入力データとする場合には、路面状態を推定する処理部(図示略)を設け、当該処理部から摩耗量算出部16へ推定した路面状態を入力する。
【0056】
学習処理部21は、演算モデル16aによって算出されたタイヤ7の摩耗量と、タイヤ摩耗量計測装置60によって計測された教師データとしてのタイヤ7の摩耗量とを比較する(S6)。学習処理部21は、ステップS6による比較結果に基づいて演算モデル16aを更新し(S7)、処理を終了する。演算モデル生成装置20は、これらの処理を繰り返すことによって、演算モデル16aを更新し、タイヤ摩耗量の推定の精度が高められる。
【0057】
摩耗量推定システム100は、演算モデル生成装置20によって生成された学習済みの演算モデル16aを利用して、タイヤ7の摩耗量を推定する。摩耗量推定システム100は、
図8に示したフローチャートにおけるステップS1からステップS5までの処理を実行することによって、タイヤ7の摩耗量を推定する。
【0058】
摩耗量推定システム100は、車内を撮影した映像データに基づいて乗客による重みの分布状況を算出し、演算モデル16aの入力データとして用いることにより、タイヤ7の摩耗量推定の精度を向上することができる。同様に、演算モデル生成システム110は、車内を撮影した映像データに基づいて乗客による重みの分布状況を算出し、演算モデル16aの入力データとして用いることで、タイヤ7の摩耗量を精度良く推定する演算モデル16aを生成することができる。
【0059】
また、摩耗量推定システム100は、タイヤ7の偏摩耗量を出力する演算モデル16aを構築し、偏摩耗量の推定をすることも可能である。この場合、摩耗量推定システム100は、乗客による重みの分布状況等によって生じるタイヤ7の偏摩耗を推定する。また、演算モデル生成システム110は、タイヤの各溝で計測された摩耗量を偏摩耗の教師データとして演算モデル16aを学習させることによって、偏摩耗量を推定する演算モデル16aを生成することができる。
【0060】
タイヤ過酷度生成部15は、停留所で区切られる各区間の距離をタイヤ摩耗に対する過酷度情報として生成している。摩耗量推定システム100は、各区間の距離、および乗客による重みの分布状況を演算モデル16aの入力データとすることによって、タイヤ7の摩耗量推定の精度をより向上することができる。
【0061】
摩耗量推定システム100は、上述のように走行、旋回、発停車および高低差の各関連においてタイヤ7の摩耗量に寄与する各データを用いることによって、タイヤ7の摩耗量推定の精度をより向上することができる。摩耗量推定システム100は、走行関連では、各区間における距離および車両の速度を、旋回関連では、旋回半径、旋回方向、旋回速度、および横方向加速度などをタイヤ過酷度情報として用いることによって、タイヤ7の摩耗量推定の精度をより向上することができる。
【0062】
摩耗量推定システム100は、発停車関連では、停車時の速度および加速度、並びに発車時の速度および加速度をタイヤ過酷度情報として用いることによって、タイヤ7の摩耗量推定の精度をより向上することができる。摩耗量推定システム100は、高低差関連では、各区間の高度変化量、高度変化回数および高度変化方向などをタイヤ過酷度情報として用いることによって、タイヤ7の摩耗量推定の精度をより向上することができる。
【0063】
演算モデル生成システム110は、走行、旋回、発停車および高低差の各関連においてタイヤ摩耗量に寄与する各データを演算モデル16aの入力データとして用いることで、タイヤ摩耗量を精度良く推定する演算モデル16aを生成することができる。
【0064】
摩耗量推定システム100は、GPS(Global Positioning Satellite)による位置情報を取得するGPSセンサを搭載している場合には、GPSセンサによって取得される位置情報を利用する構成としてもよい。即ち、摩耗量推定システム100は、GPSセンサによって取得される位置情報に基づき、車両計測情関連等の入力データに代えて、旋回半径、旋回方向、旋回速度、発車、停車時の速度、高度変化量、高度変化回数、高度変化方向などの情報を算出して、演算モデル16aへの入力データとしてもよい。同様に、演算モデル生成システム110は、GPSセンサによって取得される位置情報に基づき、車両計測情関連等の入力データに代えて、旋回半径、旋回方向、旋回速度、発車、停車時の速度、高度変化量、高度変化回数、高度変化方向などの情報を算出して、演算モデル16aへの入力データとしてもよい。
【0065】
次に各実施形態に係る摩耗量推定システム100、および演算モデル生成システム110の特徴について説明する。
摩耗量推定システム100は、車両情報取得部12、認識部としての画像認識部13、分布算出部14および摩耗量算出部16を備える。車両情報取得部12は、車両6の車内に輸送のために積載された積載物である乗客を検出した映像データを取得する。分布算出部14は、画像認識部13によって認識された乗客の位置に基づいて、停車地としての停留所で区切られる各区間の乗客による重みの分布状況を算出する。摩耗量算出部16は、入力された情報に基づいてタイヤ7の摩耗量を算出する演算モデル16aを有し、分布算出部14によって算出した分布状況を演算モデル16aに入力してタイヤ7の摩耗量を算出する。これにより、摩耗量推定システム100は、車内の乗客による重みの分布状況を演算モデル16aの入力データとして用いて、タイヤ7の摩耗量推定の精度を向上することができる。
【0066】
摩耗量推定システム100は、停留所で区切られる区間の距離をタイヤ摩耗に対する過酷度情報として生成するタイヤ過酷度生成部15を更に備える。摩耗量算出部16は、タイヤ過酷度生成部15によって生成した過酷度情報を演算モデル16aに入力してタイヤ7の摩耗量を算出する。これにより、摩耗量推定システム100は、各区間の距離、および乗客による重みの分布状況を演算モデル16aの入力データとして用いて、タイヤ7の摩耗量推定の精度をより向上することができる。
【0067】
またタイヤ過酷度生成部15は、停留所で区切られる区間における車両6の旋回に関する情報を過酷度情報として生成する。これにより、摩耗量推定システム100は、車両6の旋回に関する情報を演算モデル16aの入力データとして用いて、タイヤ7の摩耗量推定の精度をより向上することができる。
【0068】
またタイヤ過酷度生成部15は、停留所における停車時および発車時の加速度を過酷度情報として生成する。これにより、摩耗量推定システム100は、停車時および発車時の加速度を演算モデル16aの入力データとして用いて、タイヤ7の摩耗量推定の精度をより向上することができる。
【0069】
またタイヤ過酷度生成部15は、停留所で区切られる区間における高低差に関する情報を過酷度情報として生成する。これにより、摩耗量推定システム100は、高低差に関する情報を演算モデル16aの入力データとして用いて、タイヤ7の摩耗量推定の精度をより向上することができる。
【0070】
演算モデル生成システム110は、車両情報取得部12、認識部としての画像認識部13、分布算出部14、摩耗量算出部16および学習処理部21を備える。車両情報取得部12は、車両6の車内に輸送のために積載された積載物である乗客を検出した映像データを取得する。分布算出部14は、画像認識部13によって認識された乗客の位置に基づいて、停車地としての停留所で区切られる各区間の乗客による重みの分布状況を算出する。摩耗量算出部16は、入力された情報に基づいてタイヤ7の摩耗量を算出する演算モデル16aを有し、分布算出部14によって算出した分布状況を演算モデル16aに入力してタイヤ7の摩耗量を算出する。学習処理部21は、タイヤ7で計測される摩耗量と摩耗量算出部16により算出された摩耗量とを比較して演算モデル16aを学習させる。これにより、演算モデル生成システム110は、タイヤ7の摩耗量を精度良く推定する演算モデル16aを生成することができる。
【0071】
摩耗量推定方法は、車両情報取得ステップ、認識ステップとしての画像認識ステップ、分布算出ステップおよび摩耗量算出ステップを備える。車両情報取得ステップは、車両6の車内に輸送のために積載された積載物である乗客を検出した映像データを取得する。画像認識ステップは、車両情報取得ステップによって取得された映像データから乗客の位置を認識する。分布算出ステップは、画像認識ステップによって認識された乗客の位置に基づいて、停車地としての停留所で区切られる各区間の乗客による重みの分布状況を算出する。摩耗量算出ステップは、入力された情報に基づいてタイヤ7の摩耗量を算出する演算モデル16aを有し、分布算出ステップによって算出した分布状況を演算モデル16aに入力してタイヤ7の摩耗量を算出する。この方法によれば、車内の乗客による重みの分布状況を演算モデル16aの入力データとして用いて、摩耗量推定の精度を向上することができる。
【0072】
以上、本発明の実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【符号の説明】
【0073】
6 車両、 7 タイヤ、12 車両情報取得部、 13 画像認識部(認識部)、
14 分布算出部、 15 タイヤ過酷度生成部、 16 摩耗量算出部、
16a 演算モデル、 21 学習処理部、
100 摩耗量推定システム、 110 演算モデル生成システム。