(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154271
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】回路基板内に電気部品を内蔵する半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20221005BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20221005BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
H01L23/12 J
H01L23/12 N
H01L23/36 C
H05K3/46 U
H05K3/46 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057203
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長井 彰平
(72)【発明者】
【氏名】青島 正貴
【テーマコード(参考)】
5E316
5F136
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA43
5E316CC09
5E316CC32
5E316FF07
5E316HH16
5E316JJ02
5E316JJ12
5F136BB02
5F136BB03
5F136BC03
5F136CC11
5F136DA27
5F136FA01
5F136FA03
5F136FA23
(57)【要約】
【課題】回路基板内に電気部品を内蔵する半導体装置において、電気部品の温度上昇を抑制しつつ、半導体装置の大型化を回避する。
【解決手段】半導体装置10は、第1面12a及び第2面12bを有する基板本体12と、前記基板本体内に配置された電気部品21、22と、前記第1面と前記電気部品との間に位置する回路層L2に設けられた第1内部導体パターン64と、前記基板本体の内部に配置されており、前記第1内部導体パターンと熱的に接続された少なくとも一つの吸熱部材90とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板内に電気部品を内蔵する半導体装置(10)であって、
第1面(12a)及び第2面(12b)を有する基板本体(12)と、
前記基板本体内に配置された電気部品(21、22、31、32)と、
前記第1面と前記電気部品との間に位置する回路層(L2)に設けられた第1内部導体パターン(64)と、
前記基板本体の内部に配置されており、前記第1内部導体パターンと熱的に接続された少なくとも一つの吸熱部材(90)と、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記第1面上に位置する回路層(L1)に設けられ、前記第1内部導体パターンと熱的に接続された第1表面導体パターン(62)をさらに備える、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1面上に位置する前記回路層に設けられ、前記電気部品の動作を制御する表面電気部品(52)をさらに備える、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記少なくとも一つの吸熱部材は、複数の吸熱部材を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2面と前記電気部品との間に位置する回路層(L5)に設けられた第2内部導体層(67)をさらに備え、
前記少なくとも一つの吸熱部材は、前記第2内部導体パターン(67)にも熱的に接続されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2面上に位置する回路層(L6)に設けられ、前記第2内部導体パターンと熱的に接続された第2表面導体パターン(69)をさらに備える、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記少なくとも一つの吸熱部材は、金属又はグラファイトで構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記少なくとも一つの吸熱部材は、その内部に流体(91)が封入されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1内部導体パターンから、前記少なくとも一つの吸熱部材へ延びる伝熱ビア(79)をさらに備え、
前記ビアを構成する材料は、前記基板本体を構成する材料よりも、高い熱伝導性を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記基板本体の前記第1面又は前記第2面に設けられたグラウンド配線(63)をさらに備え、
前記第1内部導体パターンは、前記基板本体内において、前記グラウンド配線と電気的に接続されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、回路基板内に電気部品を内蔵する半導体装置に関する。
【0002】
特許文献1に、半導体装置が開示されている。この半導体装置は、基板本体と、基板本体内に配置された電気部品と、基板本体の上面に位置する導体パターンとを備える。導体パターンは、複数のビアを介して電子部品と熱的に接続されている。このような構成によると、電子部品で生じた熱が、複数のビアを介して導体パターンへ伝達され、導体パターンから基板本体の外部へ放散される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した構造では、導体パターンの面積を大きくするほど、導体パターンによる放熱効果を高めることができる。しかしながら、導体パターンの面積を大きくしていくと、基板本体の表面の大部分が、導体パターンによって大きく占有されてしまう。この場合、その他の必要な構成を、基板本体の残された表面に設けることが難しくなり、基板本体のサイズを拡大する必要が生じ得る。従来の構造では、電気部品の温度上昇を避けるためには、半導体装置の大型化を許容する必要があり、半導体装置の大型化を避けるためには、電気部品の温度上昇を許容する必要がある。
【0005】
上記を鑑み、本明細書は、回路基板内に電気部品を内蔵する半導体装置において、電気部品の温度上昇を抑制しつつ、半導体装置の大型化を回避し得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する半導体装置(10)は、第1面(12a)及び第2面(12b)を有する基板本体(12)と、前記基板本体内に配置された電気部品(21、22、31、32)と、前記第1面と前記電気部品との間に位置する回路層(L2)に設けられた第1内部導体パターン(64)と、前記基板本体の内部に配置されており、前記第1内部導体パターンと熱的に接続された少なくとも一つの吸熱部材(90)とを備える。
【0007】
上記した構成によると、電気部品で生じた熱が、基板本体内の第1内部導体パターンを通じて、同じく基板本体内の吸熱部材へ伝達される。これにより、電気部品で生じた熱の多くを、基板本体内で拡散させることができ、電気部品の温度上昇を抑制することができる。また、第1内部導体パターン及び吸熱部材が、基板本体内に設けられていることで、基板本体の第1面や第2面には、他の必要とされる構成を自由に設けることができる。これにより、半導体装置の大型化を回避することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】実施例1の半導体装置10の回路構造を示す回路図。
【
図3】
図1中のIII-III線における断面図。図示明瞭化のために、基板本体12のハッチングは省略されている。また、一部の重なり合う構成は、意図的に位置を変更して図示されている。
【
図4】表面電気部品52に対する第2導体パターン62の配列パターンのバリエーションを示す。
【
図5】実施例2の半導体装置110の構成を示す断面図。
【
図6】実施例3の半導体装置210の構成を示す断面図。
【
図7】実施例4の半導体装置310の構成を示す断面図。
【
図8】実施例5の半導体装置410の構成を示す断面図。
【
図9】実施例6の半導体装置510の構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本技術の一実施形態において、前記半導体装置は、前記第1面上に位置する回路層(L1)に設けられ、前記第1内部導体パターンと熱的に接続された第1表面導体パターン(62)をさらに備えてもよい。このような構成によると、基板本体の第1面で生じた熱についても、第1表面導体パターン及び第1内部導体パターンを通じて、吸熱部材へ伝達することができる。これにより、基板本体の第1面に設けられた電気部品といった、当該第1面に位置する発熱源の温度上昇も抑制することができる。
【0010】
上記した実施形態において、前記半導体装置は、前記第1面上に位置する前記回路層に設けられ、前記電気部品の動作を制御する表面電気部品(52)をさらに備えてもよい。この場合、前記第1表面導体パターンは、前記表面電気部品に近接して位置するとよい。このような構成によると、基板本体内の電気部品だけでなく、当該電気部品の動作を制御する表面電気部品の温度上昇も抑制することができる。
【0011】
本技術の一実施形態において、少なくとも一つの吸熱部材は、複数の吸熱部材を含んでもよい。このような構成によると、複数の吸熱部材によって、より多くの熱を吸収及び拡散することができ、電気部品の温度上昇をさらに抑制することができる。
【0012】
本技術の一実施形態において、前記半導体装置は、前記第2面と前記電気部品との間に位置する回路層(L5)に設けられた第2内部導体層(74)をさらに備えてもよい。この場合、前記少なくとも一つの吸熱部材は、前記第2内部導体パターンにも熱的に接続されていてもよい。このような構成によると、電気部品で生じた熱が、さらに第2内部導体パターンを通じて吸熱部材へ伝達される。第1内部導体パターンと第2内部導体パターンとの間に電気部品が配置されていることで、電気部品で生じた熱を電気部品の両側から効果的に拡散させることができる。
【0013】
本技術の一実施形態において、前記半導体装置は、前記第2面上に位置する回路層(L6)に設けられ、前記第2内部導体パターンと熱的に接続された第2表面導体パターン(69)をさらに備えてもよい。このような構成によると、電気部品で生じた熱を、第2内部導体パターンを通じて第2表面導体パターンへ伝達し、第2表面導体パターンから外部へ放散させることができる。これにより、電気部品の温度上昇をさらに抑制することができる。
【0014】
本技術の一実施形態において、前記少なくとも一つの吸熱部材は、金属又はグラファイトで構成されていてもよい。但し、吸熱部材は、金属又はグラファイトに限定されず、基板本体よりも高い熱伝導率を有する材料や構造であるとよい。
【0015】
本技術の一実施形態において、前記少なくとも一つの吸熱部材は、例えばヒートパイプやヒートスプレッダのように、その内部に流体(91)が封入されていてもよい。このような構成によると、吸熱部材における熱の移動効率が高まることで、吸熱部材による吸熱性を効果的に高めることができる。
【0016】
本技術の一実施形態において、前記半導体装置は、第1内部導体パターンから少なくとも一つの吸熱部材へ延びる伝熱ビア(79)をさらに備えてもよい。この場合、伝熱ビアを構成する材料は、基板本体を構成する材料よりも高い熱伝導性を有するとよい。このような構成によると、第1内部導体パターンと吸熱部材とが異なる層に位置する場合でも、第1内部導体パターンから吸熱部材への熱伝達を効果的に高めることができる。
【0017】
本技術の一実施形態において、前記半導体装置は、前記基板本体の前記第1面又は前記第2面に設けられたグラウンド配線(63)をさらに備えてもよい。この場合、前記第1内部導体パターンは、前記基板本体内において前記グラウンド配線と電気的に接続されていてもよい。このような構成によると、第1内部導体パターンの電位が安定することで、電気部品に対向する第1内部導体パターンが、電気部品から放射される電磁ノイズを遮蔽するシールド層としても機能することができる。
【0018】
上記した実施形態において、前記伝熱ビアを構成する材料は、前記第1内部導体パターンを構成する材料と等しくてもよい。このような構成によると、半導体装置の製造工程を簡素化することができる。
【実施例0019】
(実施例1) 図面を参照して、実施例1の半導体装置10について説明する。本実施例の半導体装置10は、例えば電動車両の電力制御ユニットに採用され、電源と走行用モータとの間で電力変換するための電力変換回路の一部を構成することができる。ここでいう電動車両とは、車輪を駆動する走行用モータを有する車両を広く意味し、例えば、外部の電力によって充電される電気自動車、走行用モータに加えてエンジンをさらに有するハイブリッド車、及び燃料電池を電源とする燃料電池車等が含まれる。但し、本実施例の半導体装置10の用途は、電動車両に限定されず、各種の電気機器に採用されることができる。
【0020】
図1-
図3に示すように、半導体装置10は、基板本体12と、二つの半導体素子21、22と、二つのヒートシンクプレート31、32とを備える。基板本体12は、板状の形状を有しており、上面12aと、上面12aの反対側に位置する下面12bとを有する。基板本体12は、例えばエポキシ樹脂といった、絶縁体で構成されている。基板本体12は、上面12aから下面12bに向かって、上層14、中間層16及び下層18を備える。上層14は、基板本体12の上面12aを含む層である。下層18は、基板本体12の下面12bを含む層である。そして、中間層16は、上層14と下層18との間に位置する層である。
【0021】
ここで、図面におけるX方向及びY方向は、基板本体12の上面12a及び下面12bに平行な方向であって、互いに垂直な方向である。Z方向は、基板本体12の上面12a及び下面12bに垂直な方向であって、X方向及びY方向のそれぞれに垂直な方向である。即ち、上述した上層14、中間層16及び下層18は、Z方向に沿って積層されている。
【0022】
半導体素子21、22及びヒートシンクプレート31、32はそれぞれ、半導体装置10において電気回路の一部を構成する電気部品である。二つの半導体素子21、22は、二つのヒートシンクプレート31、32と共に、基板本体12の中間層16に配置されている。各々の半導体素子21、22は、パワー半導体素子であって、特に、スイッチング素子である。このスイッチング素子は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)又はMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)であってよい。各々の半導体素子21、22は、上面電極21a、22aと下面電極21b、22bとを有しており、上面電極21a、22aと下面電極21b、21bとの間を電気的に導通したり、遮断したりすることができる。
【0023】
一例ではあるが、二つの半導体素子21、22には、第1半導体素子21と第2半導体素子22とが含まれる。第1半導体素子21と第2半導体素子22とは、基板本体12の内部において、電気的に直列に接続されている。前述したように、二つの半導体素子21、22は、IGBT又はMOSFETといったスイッチング素子である。本実施例の半導体装置10は、例えばインバータ回路やDC-DCコンバータ回路の一部を構成することができる。なお、半導体素子21、22の数は、二つに限定されない。また、半導体装置10は、半導体素子21、22及びヒートシンクプレート31、32に限られず、少なくとも一つの電気部品を備えればよい。
【0024】
二つのヒートシンクプレート31、32は、それぞれ板状の形状を有しており、基板本体12と平行に配置されている。各々のヒートシンクプレート31、32は、例えば銅又はその他の金属といった導体で構成されている。一例ではあるが、二つのヒートシンクプレート31、32は、X方向に沿って配列されている。二つのヒートシンクプレート31、32には、第1ヒートシンクプレート31及び第2ヒートシンクプレート32が含まれる。第1ヒートシンクプレート31には、第1半導体素子21が配置されており、第1半導体素子21の下面電極21bが、第1ヒートシンクプレート31と電気的に接続されている。第1半導体素子21と第1ヒートシンクプレート31とは、一体的に接合されており、一つの電気部品として解釈することができる。同様に、第2ヒートシンクプレート32には、第2半導体素子22が配置されており、第2半導体素子22の下面電極21b、22bが、第2ヒートシンクプレート32と電気的に接続されている。第2半導体素子22と第2ヒートシンクプレート32もまた、一体的に接合されており、一つの電気部品として解釈することができる。
【0025】
半導体装置10は、複数の端子40、42、44を備える。これらの端子40、42、44は、外部の回路と接続するための外部接続端子である。複数の端子40、42、44は、例えば銅又はその他の金属といった導体で構成されている。一例ではあるが、複数の端子40、42、44には、P端子40と、N端子42と、O端子44とが含まれる。複数の端子40、42、44は、基板本体12の下面12bに位置している。但し、複数の端子40、42、44の一部又は全部は、基板本体12の上面12aに位置してもよい。これにより、第1半導体素子21がターンオンされると、P端子40とO端子44との間が電気的に接続される。一方、第2半導体素子22がターンオンされると、N端子42とO端子44との間が電気的に接続される。
【0026】
P端子40は、基板本体12の内部において、第1ヒートシンクプレート31と電気的に接続されており、第1ヒートシンクプレート31を介して、第1半導体素子21の下面電極21bと電気的に接続されている。N端子42は、基板本体12の内部において、第2半導体素子22の上面電極22aと電気的に接続されている。O端子44は、基板本体12の内部において、第1半導体素子21の上面電極21a及び第2ヒートシンクプレート32と、電気的に接続されている。即ち、O端子44は、第1半導体素子21の上面電極21aと、第2半導体素子22の下面電極22bとのそれぞれと、電気的に接続されている。
【0027】
基板本体12には、複数の回路層L1-L6が設けられており、多層基板の構造が形成されている。複数の回路層L1-L6には、第1回路層L1、第2回路層L2、第3回路層L3、第4回路層L4、第5回路層L5及び第6回路層L6が含まれる。第1回路層L1は、基板本体12の上面12aに位置している。第2回路層L2は、基板本体12の上層14内に位置している。第3回路層L3は、基板本体12の上層14と中間層16との境界に位置している。第4回路層L4は、基板本体12と中間層16と下層18との境界に位置している。第5回路層L5は、基板本体12の下層18内に位置している。そして、第6回路層L6は、基板本体12の下面12bに位置している。
【0028】
第1回路層L1は、複数の導体パターン61、62、63を有する。それぞれの導体パターン61、62、63は、銅又はその他の金属といった導体で構成されている。複数の導体パターン61、62、63には、第1導体パターン61と、第2導体パターン62と、第3導体パターン63とが含まれる。第1導体パターン61は、二つの半導体素子21、22を制御する制御回路50を構成する。そのために、第1導体パターン61には、複数の表面電気部品52が実装されている。複数の表面電子部品52には、例えば、半導体素子21、22のスイッチングを制御するゲート駆動回路が含まれる。
【0029】
なお、ここでいう第1導体パターン61とは、制御回路50を構成するのに必要とする一又は複数の導体パターンの総称である。即ち、第1導体パターン61は、単一の導体パターンであってもよいし、複数の導体パターンの組み合わせであってもよい。以下に説明する第2導体パターン62から第9導体パターン69についても同様である。第2導体パターン62から第9導体パターン69のそれぞれは、共通の機能を有する一又は複数の導体パターンの総称であり、単一の導体パターンであってもよいし、複数の導体パターンの組み合わせであってもよい。
【0030】
第2導体パターン62は、表面電気部品52に隣接して設けられている。これにより、表面電気部品52で生じた熱が、第2導体パターン62へ伝達されるように構成されている。但し、第2導体パターン62は、基板本体12の上面12aにおいて、第1導体パターン61や表面電気部品52から電気的に絶縁されている。第3導体パターン63は、制御回路50の一部であって、グラウンド電位に接続されるグラウンド配線として機能する。
【0031】
図4(A)-(D)に、第2導体パターン62の配置について、いくつかの具体例を示す。
図4の(A)-(D)に示すように、第2導体パターン62の数や、表面電気部品52との位置関係については、特に限定されない。第2導体パターン62は、単一の領域であってもよいし、複数の領域の組み合わせであってもよい。また、第2導体パターン62は、隣接する二つの表面電気部品52の間に位置してもよいし、一又は複数の表面電気部品52を取り囲むように設けられてもよい。
【0032】
第2回路層L2は、複数の導体パターン64、65、66を有する。それぞれの導体パターン64、65、66は、銅又はその他の金属といった導体で構成されている。複数の導体パターン64、65、66には、第4導体パターン64と、第5導体パターン65と、第6導体パターン66が含まれる。ここで、複数の導体パターン64、65、66は、実際には同一平面上に位置しているが、
図3では図示明瞭化を目的として、第4導体パターン64が、第5導体パターン65及び第6導体パターン66に対して意図的に変位されている。
【0033】
第4導体パターン64は、第2回路層L2の大部分に亘って広がっており、複数の半導体素子21、22と対向するように設けられている。これにより、半導体素子21、22で生じた熱が、第4導体パターン64を通じて基板本体12の広い範囲へ拡散する。また、第4導体パターン64は、半導体素子21、22から放射される電磁ノイズを遮蔽するシールド層としても機能する。第4導体パターン64は、一又は複数の第1ビア71を介して、第1回路層L1の第2導体パターン62に接続されている。加えて、第4導体パターン64は、一又は複数の第2ビア72を介して、第1回路層L1の第3導体パターン63にも接続されている。第1ビア71及び第2ビア72は、銅又はその他の金属といった導体で構成されている。これにより、第4導体パターン64は、第1回路層L1の第2導体パターン62及び第3導体パターン63と電気的に、かつ、熱的に接続されている。
【0034】
前述したように、第1回路層L1の第2導体パターン62は、表面電気部品52に隣接して設けられている。従って、表面電気部品52で生じた熱が、第1回路層L1の第2導体パターン62から第1ビア71を通じて第4導体パターン64へと伝達される。その結果、表面電気部品52で生じた熱もまた、第4導体パターン64を通じて基板本体12の広い範囲へ拡散する。加えて、第4導体パターン64が、第1回路層L1の第3導体パターン63、即ち、グラウンド配線と電気的に接続されていることで、第4導体パターン64のシールド層としての機能が向上する。
【0035】
第5導体パターン65は、第3ビア73を介して、O端子44に接続されている。加えて、第5導体パターン65は、二つの第4ビア74を介して、第1半導体素子21の上面電極21aと、第2ヒートシンクプレート32とに接続されている。第3ビア73及び第4ビア74は、銅又はその他の金属といった導体で構成されている。これにより、二つの半導体素子21、22は、第5導体パターン65によって電気的に直列に接続され、かつ、第5導体パターン65を介してO端子44と電気的に接続されている。
【0036】
第6導体パターン66は、第5ビア75を介して、第2半導体素子22の上面電極22aに接続されている。加えて、第6導体パターン66は、第6ビア76を介して、N端子42に接続されている。第5ビア75及び第6ビア76は、銅又はその他の金属といった導体で構成されている。これにより、第2半導体素子22の上面電極22aが、第6導体パターン66を介して、N端子42と電気的に接続されている。
【0037】
第3回路層L3及び第4回路層L4には、半導体素子21、22及びヒートシンクプレート31、32が配置されている。ヒートシンクプレート31、32は、第3回路層L3から第4回路層L4までの距離に等しい厚みを有する。ヒートシンクプレート31、32上に配置された半導体素子21、22は、第3回路層L3に位置している。
【0038】
第5回路層L5は、複数の導体パターン67、68を有する。それぞれの導体パターン67、68は、銅又はその他の金属といった導体で構成されている。複数の導体パターン67、68には、第7導体パターン67と、第8導体パターン68とが含まれる。ここで、複数の導体パターン67、68は、実際には同一平面上に位置しているが、
図3では図示明瞭化を目的として、第7導体パターン67が、第8導体パターン68に対して意図的に変位されている。
【0039】
第7導体パターン67は、第5回路層L5の大部分に亘って広がっており、複数の半導体素子21、22と対向するように設けられている。これにより、半導体素子21、22で生じた熱が、第7導体パターン67を通じて基板本体12の広い範囲へ拡散する。また、第7導体パターン67は、半導体素子21、22から放射される電磁ノイズを遮蔽するシールド層としても機能する。図示省略するが、第7導体パターン67は、第1回路層L1の第3導体パターン63、即ち、グラウンド配線と電気的に接続されてもよく、それによって第7導体パターン67のシールド層としての機能が向上する。
【0040】
第8導体パターン68は、第7ビア77を介して、第1ヒートシンクプレート31に接続されている。加えて、第8導体パターン68は、第8ビア78を介して、P端子40に接続されている。第7ビア77及び第8ビア78は、銅又はその他の金属といった導体で構成されている。これにより、第1半導体素子21の下面電極21bが、第1ヒートシンクプレート31及び第8導体パターン68を介して、P端子40と電気的に接続されている。
【0041】
第6回路層L6は、第9導体パターン69を有する。第9導体パターン69は、第6回路層L6の大部分に亘って広がっており、第5回路層L5の第7導体パターン67と対向している。これにより、半導体素子21、22で生じた熱が、先ずは第5回路層L5の第7導体パターン67へ伝達し、次いで、第6回路層L6の第9導体パターン69へ伝達する。これにより、半導体素子21、22で生じた熱は、基板本体12において広く拡散するとともに、第9導体パターン69から基板本体12の外部へ放散される。
【0042】
半導体装置10はさらに、吸熱部材90を備える。吸熱部材90は、基板本体12の内部に位置している。吸熱部材90は、熱伝導性に優れた材料で構成されるとよく、例えば、銅又はその他の金属や、グラファイトで構成されるとよい。吸熱部材90は、半導体素子21、22及びヒートシンクプレート31、32と同じく、基板本体12の中間層16に位置している。但し、吸熱部材90は、基板本体12の内部に位置すればよく、その具体的な位置は特に限定されない。一例ではあるが、本実施例における吸熱部材90は、第1半導体素子21と第2半導体素子22との間に位置している。
【0043】
吸熱部材90は、一又は複数の第9ビア79を介して、第4導体パターン64に接続されている。一又は複数の第9ビア79は、第7ビア77及び第8ビア78は、銅又はその他の金属といった導体で構成されている。これにより、吸熱部材90は、一又は複数の第9ビア79を介して、第4導体パターン64と電気的に、かつ熱的に接続されている。第9ビア79を構成する材料は、特に限定されず、基板本体12を構成する材料よりも、高い熱伝導性を有するとよい。一例ではあるが、第9ビア79を構成する材料は、第4導体パターン64を構成する材料と等しくてもよい。吸熱部材90は、比較的に大きな体積を有しており、例えばヒートシンクプレート31、32と同様に、比較的に多くの熱を吸収することができる。
【0044】
以上のように、本実施例の半導体装置10は、基板本体12と、基板本体12内に配置された半導体素子21、22と、基板本体12の上面12aと半導体素子21、22との間に位置する第2回路層L2に設けられた第4導体パターン64と、基板本体12の内部に配置されており、第4導体パターン64と熱的に接続された少なくとも一つの吸熱部材90とを備える。このような構成によると、半導体素子21、22で生じた熱が、基板本体12内の第4導体パターン64を通じて、同じく基板本体12内の吸熱部材90へ伝達される。これにより、半導体素子21、22で生じた熱の多くを、基板本体12内で拡散させることができ、半導体素子21、22の温度上昇を抑制することができる。また、第4導体パターン64及び吸熱部材90が、基板本体12内に設けられていることで、基板本体12の上面12aや下面12bには、制御回路50といった他の必要とされる構成を、自由に設けることができる。これにより、半導体装置10の大型化を回避することもできる。
【0045】
実施例1に係る半導体装置10は、本明細書が開示する技術の一実施例であって、本技術の内容を特に限定するものではない。本実施例における基板本体12は、本技術における基板本体の一例である。本実施例における基板本体12の上面12a及び下面12bは、それぞれ本技術における基板本体の第1面及び第2面の一例である。本実施例における第1半導体素子21と第1ヒートシンクプレート31との組み合わせ、及び、第2半導体素子22と第2ヒートシンクプレート32との組み合わせは、本技術における電気部品の一例である。本実施例における第4導体パターン64は、本技術における第1内部導体パターンの一例である。本実施例における吸熱部材90は、本技術における吸熱部材の一例である。本実施例における第9ビアは、本技術における伝熱ビアの一例である。本実施例における第2導体パターン62は、本技術における第1表面導体パターンの一例である。本実施例における第9ビアは、本技術における伝熱ビアの一例である。そして、本実施例における第3導体パターン63は、本技術におけるグラウンド配線の一例である。
【0046】
(実施例2)
図5を参照して、実施例2の半導体装置110について説明する。本実施例の半導体装置110は、複数の吸熱部材90を備えており、この点において実施例1の半導体装置10と相違する。以下では、実施例1との相違点を主に説明し、実施例1と共通する構成については、同一の符号を付すことよって説明を省略する。
【0047】
本実施例の半導体装置110は、基板本体12の内部に、複数の吸熱部材90、92、94を備える。各々の吸熱部材90、92、94は、熱伝導性に優れた材料で構成されるとよく、例えば、銅又はその他の金属や、グラファイトで構成されるとよい。複数の吸熱部材90、92、94は、基板本体12の中間層16に位置している。各々の吸熱部材90、92、94は、一又は複数の第9ビア79を介して、第4導体パターン64に接続されている。
【0048】
複数の吸熱部材90、92、94には、第1吸熱部材90、第2吸熱部材92及び第3吸熱部材94が含まれる。第1吸熱部材90は、第1半導体素子21と第2半導体素子22との間に位置している。第2吸熱部材92は、第1半導体素子21を挟んで第1吸熱部材90とは反対側に位置している。第3吸熱部材94は、第2半導体素子22を挟んで第1吸熱部材90とは反対側に位置している。
【0049】
以上のように、本実施例の半導体装置110は、複数の吸熱部材90、92、94を備える。このような構成によると、複数の吸熱部材90、92、94によって、より多くの熱を吸収及び拡散することができ、半導体素子21、22の温度上昇をさらに抑制することができる。
【0050】
(実施例3)
図6を参照して、実施例3の半導体装置210について説明する。本実施例の半導体装置210は、吸熱部材90が、一又は複数の第10ビア80を介して、第5回路層L5の第7導体パターン67と接続されており、この点において実施例1の半導体装置10と相違する。以下では、実施例1との相違点を主に説明し、実施例1と共通する構成については、同一の符号を付すことよって説明を省略する。
【0051】
一又は複数の第10ビア80は、銅又はその他の金属といった導体で構成されている。これにより、吸熱部材90は、一又は複数の第10ビア80を介して、第7導体パターン67と電気的に、かつ熱的に接続されている。第10ビア80を構成する材料は、特に限定されず、基板本体12を構成する材料よりも、高い熱伝導性を有するとよい。一例ではあるが、第10ビア80を構成する材料は、第7導体パターン67を構成する材料と等しくてもよい。
【0052】
以上のように、本実施例の半導体装置110では、吸熱部材90が、第7導体パターン67にも熱的に接続されている。このような構成によると、半導体素子21、22で生じた熱が、第7導体パターン67を通じて拡散し、かつ、吸熱部材90へ伝達される。第4導体パターン64と第7導体パターン67との間に半導体素子21、22が配置されていることで、半導体素子21、22で生じた熱は、半導体素子21、22の両側から効果的に拡散される。ここで、本実施例における第7導体パターン67は、本技術における第2内部導体パターンの一例である。
【0053】
(実施例4)
図7を参照して、実施例4の半導体装置310について説明する。本実施例の半導体装置310は、実施例2の半導体装置110と同様に、複数の吸熱部材90、92、94を備える。各々の吸熱部材90、92、94は、実施例3の半導体装置210と同様に、一又は複数の第10ビア80を介して、第5回路層L5の第7導体パターン67とも熱的に接続されている。即ち、本実施例4の半導体装置310は、実施例2の半導体装置110の特徴と、実施例3の半導体装置210の特徴とを併せ持つ。本実施例については、上述した実施例1-3の説明を参照することとし、重複して説明することを省略する。
【0054】
(実施例5)
図8を参照して、実施例5の半導体装置410について説明する。本実施例の半導体装置410は、第5回路層L5の第7導体パターン67が、一又は複数の第11ビア81を介して、第6回路層L6の第9導体パターン69と接続されており、この点において実施例3の半導体装置10と相違する。以下では、実施例3との相違点を主に説明し、実施例3と共通する構成については、同一の符号を付すことよって説明を省略する。
【0055】
一又は複数の第11ビア81は、銅又はその他の金属といった導体で構成されている。これにより、第5回路層L5の第7導体パターン67が、一又は複数の第11ビア81を介して、第6回路層L6の第9導体パターン69と電気的に、かつ熱的に接続されている。第11ビア81を構成する材料は、特に限定されず、基板本体12を構成する材料よりも、高い熱伝導性を有するとよい。一例ではあるが、第11ビア81を構成する材料は、第9導体パターン69を構成する材料と等しくてもよい。特に限定されないが、一又は複数の第11ビア81は、一又は複数の第10ビア80と共に、吸熱部材90から基板本体12の下面12bに至る最短経路に沿って設けられている。
【0056】
以上のように、本実施例の半導体装置110は、基板本体12の下面12b上に位置する第9導体パターン69が、第11ビア81を介して第7導体パターン67と熱的に接続されている。このような構成によると、半導体素子21、22で生じた熱が、基板本体12の内部に位置する第7導体パターンを通じて、基板本体12の下面12bに位置する第9導体パターン69へ伝達され、第9導体パターン69から外部へ放散させることができる。ここで、本実施例における第9導体パターン69は、本技術における第2表面導体パターンの一例である。
【0057】
(実施例6)
図9を参照して、実施例6の半導体装置510について説明する。本実施例の半導体装置510は、実施例4の半導体装置310と比較して、複数の第11ビア81が付加されている。各々の第11ビア81は、銅又はその他の金属といった導体で構成されている。これにより、第5回路層L5の第7導体パターン67が、複数の第11ビア81を介して、第6回路層L6の第9導体パターン69と電気的に、かつ熱的に接続されている。これにより、本実施例の半導体装置510は、例えば実施例4の半導体装置310よりも、半導体素子21、22の温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0058】
加えて、吸熱部材90は、例えばヒートパイプやヒートスプレッダのように、その内部に流体91が封入されていてもよい。このような構成によると、吸熱部材90における熱の移動効率が高まることで、吸熱部材90による吸熱性を効果的に高めることができる。なお、その内部に流体91が封入された吸熱部材90は、本明細書で開示されるいずれの実施例においても採用することができる。
【0059】
以上、本明細書が開示する技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書、又は、図面に説明した技術要素は、単独で、あるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。本明細書又は図面に例示した技術は、複数の目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。