(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154275
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
A63F7/02 326Z
A63F7/02 334
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057211
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大秋 善幸
(72)【発明者】
【氏名】平 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】加藤 哲平
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088BC62
2C088EA10
(57)【要約】
【課題】ある目的のために記憶手段に書き込んだ情報が、その目的で使用される前に消されてしまう事態の発生を防止すること。
【解決手段】パチンコ遊技機1は、電源投入に基づいて、FeRAM98(バックアップ用記憶手段)に記憶されているメモリマップのバージョン情報(所定の事柄を示す特定情報)と、ROM93に記憶されているメモリマップのバージョン情報とが一致するかの情報判定を行い、情報判定において一致しないと判定した場合には、FeRAM98の記憶情報を消去する。この消去は、FeRAM98に検査用特定値(AAH)が記憶されていない場合に行われることがあり、検査用特定値(AAH)が記憶されている場合には行われない。
【選択図】
図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電断状態でも記憶情報を保持可能なバックアップ用記憶手段と、
電源投入に基づいて、前記バックアップ用記憶手段に記憶されている所定の事柄を示す特定情報と、前記バックアップ用記憶手段とは異なる記憶手段に記憶されている前記所定の事柄を示す情報とが一致するかの情報判定を行う情報判定手段と、
前記情報判定において一致しないと判定された場合に、前記バックアップ用記憶手段の記憶情報を消去する消去手段と、を備える遊技機であって、
前記消去手段による記憶情報の消去は、前記バックアップ用記憶手段の所定の記憶領域に特定値が記憶されていない場合に行われることがあり、前記バックアップ用記憶手段の所定の記憶領域に前記特定値が記憶されている場合には行われないことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機であって、
前記所定の記憶領域は、前記バックアップ用記憶手段に前記特定情報と共に書き込まれるチェックデータが記憶される領域であることを特徴とする遊技機。
【請求項3】
請求項1に記載の遊技機であって、
前記所定の記憶領域は、前記バックアップ用記憶手段の未使用領域であることを特徴とする遊技機。
【請求項4】
請求項1に記載の遊技機であって、
前記所定の記憶領域は、前記特定情報の記憶領域であることを特徴とする遊技機。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれかに記載の遊技機であって、
前記所定の事柄は、メモリマップのバージョンであることを特徴とする遊技機。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれかに記載の遊技機であって、
前記特定値は、前記バックアップ用記憶手段のバックアップ検査において書き込まれる値であることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、パチンコ遊技機等の遊技機として、電断時でも記憶内容を保持可能な記憶手段であるFeRAM(Ferroelectric RAM)を有し、このFeRAMにバックアップが必要なデータを保存しておく遊技機が知られている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電断時でも記憶内容を保持可能な記憶手段を搭載する場合には、その記憶手段が正常に機能するか、すなわち、その記憶手段に記憶した情報が電断後も保持されるかを検査しておくことが望ましい。そしてこの検査においては、検査用に記憶手段に書き込んだ情報が、その保持の確認の前に消されてしまうことがないようにする必要がある。つまり、電断時でも記憶内容を保持可能な記憶手段を搭載する場合、ある目的のために記憶手段に書き込んだ情報が、その目的で使用される前に消されてしまうことがないようにする必要がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものである。すなわち、その課題とするところは、ある目的のために記憶手段に書き込んだ情報が、その目的で使用される前に消されてしまう事態の発生を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る遊技機は、
電断状態でも記憶情報を保持可能なバックアップ用記憶手段と、
電源投入に基づいて、前記バックアップ用記憶手段に記憶されている所定の事柄を示す特定情報と、前記バックアップ用記憶手段とは異なる記憶手段に記憶されている前記所定の事柄を示す情報とが一致するかの情報判定を行う情報判定手段と、
前記情報判定において一致しないと判定された場合に、前記バックアップ用記憶手段の記憶情報を消去する消去手段と、を備える遊技機であって、
前記消去手段による記憶情報の消去は、前記バックアップ用記憶手段の所定の記憶領域に特定値が記憶されていない場合に行われることがあり、前記バックアップ用記憶手段の所定の記憶領域に前記特定値が記憶されている場合には行われないことを特徴とする遊技機である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ある目的のために記憶手段に書き込んだ情報が、その目的で使用される前に消されてしまう事態の発生を防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】同遊技機が備える遊技機枠の分解斜視図である。
【
図4】同遊技機が備える第2大入賞装置の周りの拡大図であり、(A)は振分部材が第1の状態であるときの図であり、(B)は振分部材が第2の状態であるときの図である。
【
図5】
図3に示すA部分の拡大図であり、同遊技機が備える表示器類を示す図である。
【
図6】同遊技機の主制御基板側の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図7】同遊技機のサブ制御基板側の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図8】FeRAMの検査を行う場合の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図9】同遊技機に係るFeRAMのメモリマップ(バージョン1のメモリマップ)を示す概念図である。
【
図10】別機種に係るFeRAMのメモリマップ(バージョン2のメモリマップ)を示す概念図である。
【
図11】大当たり種別と大入賞口の開放パターンとの対応等を示す表である。
【
図12】遊技制御用マイコンが取得する各種乱数を示す表である。
【
図13】(A)は大当たり判定テーブルであり、(B)は当たり種別判定テーブルであり、(C)はリーチ判定テーブルであり、(D)は普通図柄当たり判定テーブルであり、(E)は普通図柄変動パターン選択テーブルである。
【
図15】電チューの開放パターン決定テーブルである。
【
図16】主制御メイン処理のフローチャートである。
【
図18】メイン側タイマ割り込み処理のフローチャートである。
【
図20】サブ制御メイン処理のフローチャートである。
【
図21】メモリマップのバージョン確認処理のフローチャートである。
【
図22】1msタイマ割り込み処理のフローチャートである。
【
図23】10msタイマ割り込み処理のフローチャートである。
【
図24】受信コマンド解析処理のフローチャートである。
【
図26】(A)メモリマップのバージョン確認処理においてメモリマップのバージョンにエラーがあった場合の表示画面7aの図である。(B)メモリマップのバージョン確認処理においてチェックバイトにエラーがあった場合の表示画面7aの図である。(C)FeRAMのバックアップ検査においてバックアップが正常に行われている場合の表示画面7aの図である。(D)FeRAMのバックアップ検査においてバックアップが正常に行われなかった場合の表示画面7aの図である。
【
図27】第2実施形態に係るメモリマップのバージョン確認処理のフローチャートである。
【
図28】第3実施形態に係るメモリマップのバージョン確認処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.遊技機の構造
本発明の実施形態に係るパチンコ遊技機について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において遊技機の一例としてのパチンコ遊技機の各部の左右方向は、そのパチンコ遊技機に対面する遊技者にとっての左右方向に一致させて説明する。また、パチンコ遊技機の各部の前方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者に近づく方向とし、パチンコ遊技機の各部の後方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者から離れる方向として説明する。
【0010】
図1に示すように、第1形態のパチンコ遊技機1は、遊技機枠50と、遊技機枠50内に取り付けられた遊技盤2(
図3参照)とを備えている。遊技機枠50は、
図2に示すように、外枠51と内枠52と前枠(ガラス扉枠)53とを備えている。外枠(基枠部)51は、パチンコ遊技機1の外郭部を形成する縦長方形状の枠体である。内枠(保持枠部)52は、外枠51の内側に配置されていて、遊技盤2を取付ける縦長方形状の枠体である。前枠(前枠部)53は、外枠51及び内枠52の前面側に配置されていて、遊技盤2を保持する縦長方形状のものである。
【0011】
遊技機枠50は、左端側にヒンジ部54を備えて構成されている。このヒンジ部54により、前枠53は、外枠51及び内枠52に対してそれぞれ回動自在になっていて、内枠52は、外枠51及び前枠53に対してそれぞれ回動自在になっている。これにより、前枠53と内枠52とは、これらが合わさって閉じられた閉状態と、ヒンジ部54を中心とした回転移動によって閉状態よりも互いに離れた開状態とをとることができる。前枠53と内枠52との閉状態では、これらが合わさることで、前枠53の内枠52側の部分と、内枠52の前枠53側の部分とがともに、パチンコ遊技機1の外部の空間から隔てられた状態となる。一方、前枠53と内枠52との開状態では、前枠53が内枠52に対して閉状態よりも開いていることで、前枠53の内枠52側の部分と、内枠52の前枠53側の部分とがともに、パチンコ遊技機1の外部の空間に開放される。内枠52と外枠51とについても同様、開状態と閉状態とをとることができる。また、前枠53の中央部には開口部53aが形成されていて、遊技者が後述する遊技領域3を視認できるように透明のガラス板55が開口部53aに取付けられている。
【0012】
また、パチンコ遊技機1には、前枠開放検出センサ56と、内枠開放検出センサ57とが設けられている。本形態の前枠開放検出センサ56は、前枠53と内枠52とが閉状態のときには検出状態が「ON」となり、閉状態から前枠53が内枠52に対して回転移動された開状態において、検出状態が「OFF」となるセンサである。つまり、前枠開放検出センサ56が「ON」であるときには、前枠53と内枠52とが閉状態であると判断することができる。一方、前枠開放検出センサ56が「OFF」であるときには、前枠53と内枠52とが開状態であると判断することができる。また、本形態の内枠開放検出センサ57は、内枠52と外枠51とが閉状態のときには検出状態が「ON」となり、閉状態から内枠52が外枠51に対して回転移動された開状態において、検出状態が「OFF」となるセンサである。つまり、内枠開放検出センサ57が「ON」であるときには、内枠52と外枠51とが閉状態であると判断することができる。一方、内枠開放検出センサ57が「OFF」であるときには、内枠52と外枠51とが開状態であると判断することができる。なお、例えば、前枠開放検出センサ56および内枠開放検出センサ57は、閉状態のときに「OFF」となり、開状態のときに「ON」となるものであってもよい。
【0013】
前枠53は、
図1に示すように、上側に上側装飾ユニット200を備え、左側に左側装飾ユニット210を備え、右側に右側装飾ユニット220を備え、下側に操作機構ユニット230を備えて構成されている。左側装飾ユニット210及び右側装飾ユニット220の各上側には、音を出力するスピーカ67が設けられている。操作機構ユニット230には、回転角度に応じた発射強度で遊技球を発射させるためのハンドル(発射操作部)60、遊技球を貯留する打球供給皿(上皿)61、及び打球供給皿61に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿(下皿)62が設けられている。また操作機構ユニット230には、遊技の進行に伴って実行される演出時などに遊技者が操作し得る演出ボタン63やセレクトボタン(十字キー)68が設けられている。なおセレクトボタン68は、上方向ボタンと下方向ボタンと左方向ボタンと右方向ボタンとによって構成されている。
【0014】
また上側装飾ユニット200の前面側には、枠ランプ66が設けられている。具体的には、枠ランプ66は左側から右側に向かって順番に第1発光部66aと第2発光部66bと第3発光部66cと第4発光部66dとを備えている。第1発光部66aは正面視で「L」字形状であり、第2発光部66bは正面視で「O」字形状であり、第3発光部66cは正面視で「G」字形状であり、第4発光部66dは正面視で「O」字形状である。このようにアルファベット形状に形成された各発光部66a,66b,66c,66dによって、枠ランプ66は「LOGO」から成る一連の意味ある文字列を形成している。
【0015】
次に、
図3を参照して遊技盤2について説明する。
図3に示すように、遊技盤2には、ハンドル60の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材4で囲まれて形成されている。また遊技盤2には、装飾用の盤ランプ5(
図7参照)が設けられている。遊技領域3には、遊技球を誘導する複数の遊技釘(符号省略)が突設されている。
【0016】
また遊技領域3の中央付近には、液晶表示装置である画像表示装置7が設けられている。画像表示装置7の表示画面7aには、後述の第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示(可変表示)及び停止表示に同期した演出図柄(装飾図柄)8L,8C,8R等の変動表示及び停止表示を行う表示領域がある。表示領域は、例えば「左」「中」「右」の3つの図柄表示エリアからなる。左の図柄表示エリアには左演出図柄8Lが表示され、中の図柄表示エリアには中演出図柄8Cが表示され、右の図柄表示エリアには右演出図柄8Rが表示される。演出図柄はそれぞれ、例えば「1」~「8」までの数字をあらわした複数の図柄(数字図柄)からなる。画像表示装置7は、左、中、右の演出図柄の組み合わせによって、後述の第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41b(
図5参照)にて表示される第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示の結果(つまりは大当たり抽選の結果)を、わかりやすく表示する。
【0017】
例えば大当たりに当選した場合には「777」などのゾロ目(大当たり停止態様)で演出図柄を停止表示する。また、はずれであった場合には「637」などのバラケ目(ハズレ停止態様)で演出図柄を停止表示する。これにより、遊技者にとっては遊技の進行状況の把握が容易となる。つまり遊技者は、一般的には大当たり抽選の結果を第1特別図柄表示器41aや第2特別図柄表示器41bにより把握するのではなく、画像表示装置7にて把握する。なお、図柄表示エリアの位置は固定的でなくてもよい。また、演出図柄の変動表示の態様としては、例えば上下方向にスクロールする態様がある。また、各抽選結果に応じてどのような演出図柄の組み合わせを停止表示するかは任意に変更可能である。
【0018】
画像表示装置7は、上記のような演出図柄を用いた演出図柄変動演出(「装飾図柄変動演出」や単に「変動演出」ともいう)のほか、大当たり遊技に並行して行われる大当たり遊技演出や、客待ち用の客待ち演出などを表示画面7aに表示する。
【0019】
また画像表示装置7の表示画面7aには、後述の第1特図保留の記憶数に応じて演出保留9Aを表示する第1演出保留表示エリアと、後述する第2特図保留の記憶数に応じて演出保留9Bを表示する第2演出保留表示エリアとがある。演出保留の表示により、後述の第1特図保留表示器43a(
図5参照)にて表示される第1特図保留の記憶数および第2特図保留表示器43bにて表示される第2特図保留の記憶数を、遊技者にわかりやすく示すことが可能となっている。
【0020】
遊技領域3の中央付近であって画像表示装置7の前方には、センター装飾体10が配されている。センター装飾体10の下部には、上面を転動する遊技球を、後述の第1始動口20へと誘導可能なステージ部11が形成されている。またセンター装飾体10の後方には、画像表示装置7の表示画面7aよりも前方で変位可能なキャラ可動体500およびボール可動体600が設けられている。キャラ可動体500(第1の可動体の一例)は、表示画面7aの右側を原点位置(初期位置)とし、ボール可動体600(第2の可動体の一例)は、表示画面の下側を原点位置(初期位置)としている。キャラ可動体500およびボール可動体600は、各原点位置にあるときから遊技者から視認可能に配置されている。
【0021】
図3に示すように、遊技領域3における画像表示装置7の下方には、遊技球の入球し易さが常に変わらない第1始動口(第1始動入賞口、入球口)20を備える固定入賞装置19が設けられている。第1始動口20への遊技球の入賞は、第1特別図柄の抽選(大当たり抽選、すなわち大当たり乱数等の取得と判定)の契機となっている。
【0022】
また遊技領域3における第1始動口20の下方には、第2始動口(第2始動入賞口、入球口)21を備える普通可変入賞装置(いわゆる電チュー、可変入球手段)22が設けられている。第2始動口21への遊技球の入賞は、第2特別図柄の抽選(大当たり抽選、すなわち大当たり乱数等の取得と判定)の契機となっている。
【0023】
電チュー22は、可動部材(入球口開閉部材)23を備え、可動部材23の作動によって第2始動口21を開閉するものである。可動部材23は、電チューソレノイド24(
図6参照)により駆動される。第2始動口21は、可動部材23が開状態であるときのみ遊技球が入球可能となる。つまり、第2始動口21は、遊技球の入球し易さが変化可能な始動口である。
【0024】
また遊技領域3における第1始動口20の右上方には、第1大入賞口(特別入賞口の一例)30を備えた第1大入賞装置(第1特別可変入賞装置、特別入賞手段)31が設けられている。第1大入賞装置31は、開閉部材(第1特別入賞口開閉部材)32を備え、開閉部材32の作動により第1大入賞口30を開閉するものである。開閉部材32は、第1大入賞口ソレノイド33(
図6参照)により駆動される。第1大入賞口30は、開閉部材32が開いているときだけ遊技球が入球可能となる。
【0025】
また遊技領域3における第1大入賞口30の上方には、遊技球が通過可能なゲート(通過領域)28が設けられている。ゲート28への遊技球の通過は、電チュー22を開放するか否かを決める普通図柄抽選(すなわち普通図柄乱数(当たり乱数)の取得と判定)の実行契機となっている。
【0026】
また遊技領域3における第1大入賞口30の右上方には、第2大入賞口(特別入賞口の一例)35を備えた第2大入賞装置(第2特別可変入賞装置、特別入賞手段)36が設けられている。第2大入賞装置36は、開閉部材(第2特別入賞口開閉部材)37を備え、開閉部材37の作動により第2大入賞口35を開閉するものである。開閉部材37は、第2大入賞口ソレノイド38(
図6参照)により駆動される。第2大入賞口35は、開閉部材37が開いているときだけ遊技球が入球可能となる。
【0027】
より詳細には、
図4(A)に示すように、第2大入賞装置36の内部には、第2大入賞口35を通過した遊技球が通過可能な特定領域(V領域)39及び非特定領域70が形成されている。なお、第2大入賞装置36において、特定領域39及び非特定領域70の上流には、第2大入賞口35への遊技球の入賞を検知する第2大入賞口センサ35aが配されている。また、特定領域39には、特定領域39への遊技球の通過を検知する特定領域センサ39aが配されている。また、非特定領域70には、非特定領域70への遊技球の通過を検知する非特定領域センサ70aが配されている。また、第2大入賞装置36は、第2大入賞口35を通過した遊技球を特定領域39または非特定領域70のいずれかに振り分ける振分部材71と、振分部材71を駆動する振分部材ソレノイド73(
図6参照)とを備えている。
【0028】
図4(A)は、振分部材ソレノイド73の通電時を示している。
図4(A)に示すように、振分部材ソレノイド73の通電時には、振分部材71は特定領域39への遊技球の通過を許容する第1の状態(通過許容状態)にある。振分部材71が第1の状態にあるときは、第2大入賞口35に入賞した遊技球は、第2大入賞口センサ35aを通過したあと特定領域39を通過する。この遊技球のルートを第1のルートという。
【0029】
図4(B)は、振分部材ソレノイド73の非通電時を示している。
図4(B)に示すように、振分部材ソレノイド73の非通電時には、振分部材71は特定領域39への遊技球の通過を妨げる第2の状態(通過阻止状態)にある。振分部材71が第2の状態にあるときは、第2大入賞口35に入賞した遊技球は、第2大入賞口センサ35aを通過したあと非特定領域70を通過する。この遊技球のルートを第2のルートという。
【0030】
なお本パチンコ遊技機1では、特定領域39への遊技球の通過が後述の高確率状態への移行の契機となっている。つまり特定領域39は、確変作動口となっている。これに対して非特定領域70は、確変作動口ではない。
【0031】
遊技領域3の下部には、普通入賞口27が設けられている。また遊技領域3の最下部には、遊技領域3へ打ち込まれたもののいずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域3外へ排出するアウト口16が設けられている。
【0032】
このように各種の入賞口等が配されている遊技領域3には、左右方向の中央より左側の左遊技領域(第1遊技領域)3Aと、右側の右遊技領域(第2遊技領域)3Bとがある。左遊技領域3Aを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、左打ちという。一方、右遊技領域3Bを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、右打ちという。
【0033】
また
図3に示すように、遊技盤2の右側中央には表示器類40が配置されている。
図5に示すように、表示器類40には、第1特別図柄(特
図1)を可変表示する第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄(特
図2)を可変表示する第2特別図柄表示器41b、及び、普通図柄を可変表示する普通図柄表示器42が含まれている。また表示器類40には、第1特別図柄表示器41aの作動保留(第1特図保留)の記憶数を表示する第1特図保留表示器43a、第2特別図柄表示器41bの作動保留(第2特図保留)の記憶数を表示する第2特図保留表示器43b、および普通図柄表示器42の作動保留(普図保留)の記憶数を表示する普図保留表示器44が含まれている。
【0034】
第1特別図柄の可変表示は、第1始動口20への遊技球の入賞を契機として行われる。第2特別図柄の可変表示は、第2始動口21への遊技球の入賞を契機として行われる。なお以下の説明では、第1特別図柄および第2特別図柄を総称して特別図柄ということがある。また、第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41bを総称して特別図柄表示器(識別図柄表示手段)41ということがある。また、第1特図保留表示器43aおよび第2特図保留表示器43bを総称して特図保留表示器43ということがある。
【0035】
特別図柄表示器41では、特別図柄(識別情報)を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づく抽選(特別図柄抽選、大当たり抽選)の結果を報知する。停止表示される特別図柄(停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される特別図柄)は、特別図柄抽選によって複数種類の特別図柄の中から選択された一つの特別図柄である。停止図柄が予め定めた大当たり停止態様の特別図柄(大当たり図柄)である場合には、停止表示された大当たり図柄の種類(つまり当選した大当たりの種類)に応じた開放パターンにて第1大入賞口30又は第2大入賞口35を開放させる大当たり遊技(特別遊技)が行われる。
【0036】
具体的には特別図柄表示器41は、例えば横並びに配された8個のLEDから構成されており、その点灯態様によって大当たり抽選の結果に応じた特別図柄を表示するものである。例えば大当たり(後述の複数種類の大当たりのうちの一つ)に当選した場合には、「○○●●○○●●」(○:点灯、●:消灯)というように左から1,2,5,6番目にあるLEDが点灯した大当たり図柄を表示する。また、ハズレである場合には、「●●●●●●●○」というように一番右にあるLEDのみが点灯したハズレ図柄を表示する。ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。また、特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示(可変表示)がなされるが、その変動表示の態様は、例えば左から右へ光が繰り返し流れるように各LEDが点灯するという態様である。
【0037】
本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞があると、その入賞に対して取得した大当たり乱数等の各種乱数の値(数値情報、判定情報)は、特図保留記憶部85(
図6参照)に一旦記憶される。詳細には、第1始動口20への入賞であれば第1特図保留として第1特図保留記憶部85aに記憶され、第2始動口21への入賞であれば第2特図保留として第2特図保留記憶部85bに記憶される。
【0038】
特図保留記憶部85に記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特別図柄の可変表示が可能となったときに消化される。特図保留の消化とは、その特図保留に対応する大当たり乱数等を判定して、その判定結果を示すための特別図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に基づく特別図柄の可変表示がその入賞後にすぐに行えない場合、すなわち特別図柄の可変表示の実行中や大当たり遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定個数を上限として、その入賞に対する大当たり抽選の権利を留保することができるようになっている。
【0039】
そしてこのような特図保留の数は、特図保留表示器43に表示される。具体的には特図保留表示器43は、例えば4個のLEDで構成されており、特図保留の数だけLEDを点灯させることにより特図保留の数を表示する。
【0040】
普通図柄の可変表示は、ゲート28への遊技球の通過を契機として行われる。普通図柄表示器42では、普通図柄を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄抽選の結果を報知する。停止表示される普通図柄(普図停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される普通図柄)は、普通図柄抽選によって複数種類の普通図柄の中から選択された一つの普通図柄である。停止表示された普通図柄が予め定めた特定普通図柄(所定の停止態様の普通図柄すなわち普通当たり図柄)である場合には、現在の遊技状態に応じた開放パターンにて第2始動口21を開放させる補助遊技が行われる。なお、第2始動口21の開放パターンについては後述する。
【0041】
具体的には普通図柄表示器42は、例えば2個のLEDから構成されており(
図5参照)、その点灯態様によって普通図柄抽選の結果に応じた普通図柄を表示するものである。例えば抽選結果が当たりである場合には、「○○」(○:点灯、●:消灯)というように両LEDが点灯した普通当たり図柄を表示する。また抽選結果がハズレである場合には、「●○」というように右のLEDのみが点灯した普通ハズレ図柄を表示する。普通ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。普通図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示(可変表示)がなされるが、その変動表示の態様は、例えば両LEDが交互に点灯するという態様である。
【0042】
本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過があると、その通過に対して取得した普通図柄乱数(当たり乱数)の値は、普図保留記憶部86(
図6参照)に普図保留として一旦記憶される。普図保留記憶部86に記憶可能な普図保留の数には上限があり、本形態における上限値は4個となっている。
【0043】
普図保留記憶部86に記憶された普図保留は、その普図保留に基づく普通図柄の可変表示が可能となったときに消化される。普図保留の消化とは、その普図保留に対応する普通図柄乱数(当たり乱数)を判定して、その判定結果を示すための普通図柄の可変表示を実行することをいう。
【0044】
そしてこのような普図保留の数は、普図保留表示器44に表示される。具体的には普図保留表示器44は、例えば4個のLEDで構成されており、普図保留の数だけLEDを点灯させることにより普図保留の数を表示するものである。
【0045】
2.遊技機の電気的構成
次に
図6及び
図7に基づいて、本パチンコ遊技機1における電気的な構成を説明する。
図6及び
図7に示すようにパチンコ遊技機1は、大当たり抽選や遊技状態の移行などの遊技利益に関する制御を行う主制御基板(遊技制御基板)80、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行うサブ制御基板(演出制御基板)90、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板110等を備えている。主制御基板80は、メイン制御部を構成し、サブ制御基板90は、後述する画像制御基板100、サブドライブ基板107、および音声制御基板106とともにサブ制御部を構成する。なお、サブ制御部は、少なくともサブ制御基板90を備え、演出手段(画像表示装置7や盤ランプ5、枠ランプ66、スピーカ67、キャラ可動体500、ボール可動体600等)を用いた遊技演出を制御可能であればよい。
【0046】
またパチンコ遊技機1は、電源基板150を備えている。電源基板150は、主制御基板80、サブ制御基板90、及び払出制御基板110に対して電力を供給するとともに、これらの基板を介してその他の機器に対して必要な電力を供給する。電源基板150には、バックアップ電源回路151が設けられている。バックアップ電源回路151により、本パチンコ遊技機1に対して電力が供給されていない場合に、後述する主制御基板80のRAM84やサブ制御基板90のRAM94に記憶されている情報は、パチンコ遊技機1の電断時であっても保持される。また、電源基板150には、電源スイッチ(電源投入手段)155が接続されている。電源スイッチ155のON/OFF操作により、電源の投入/遮断が切換えられる。つまり、電源スイッチ155は、パチンコ遊技機1へ電力が供給される供給状態(電源投入状態)と、パチンコ遊技機1への電力の供給が遮断された遮断状態(電断状態)とで切り替えることのできるものである。なお、主制御基板80のRAM84に対するバックアップ電源回路を主制御基板80に設けたり、サブ制御基板90のRAM94に対するバックアップ電源回路をサブ制御基板90に設けたりしても良い。
【0047】
図6に示すように、主制御基板80には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(以下「遊技制御用マイコン」)81が実装されている。遊技制御用マイコン81には、遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶したROM83、ワークメモリとして使用されるRAM84、ROM83に記憶されたプログラムを実行するCPU82、データや信号の入出力を行うためのI/Oポート部(入出力回路)87が含まれている。RAM84には、上述した特図保留記憶部85と普図保留記憶部86とが設けられている。なお、ROM83は外付けであってもよい。
【0048】
また主制御基板80には、RAM84に記憶されている情報をCPU82にクリアさせるためのRAMクリアスイッチ89が実装されている。主制御基板80を含めて本パチンコ遊技機1が備えている各種の基板は、本パチンコ遊技機1の裏面側(後面側)に配されている。従って、遊技機枠50を開放することが可能な遊技場の従業員等でなければ、電源スイッチ155やRAMクリアスイッチ89を操作することはできない。すなわち、電源投入手段としての電源スイッチ155や、RAMクリアスイッチ89は、実質的に遊技者による操作が不可能な操作手段といえる。
【0049】
また主制御基板80には、中継基板88を介して各種センサやソレノイドが接続されている。そのため、主制御基板80には各センサから信号が入力され、各ソレノイドには主制御基板80から信号が出力される。具体的にはセンサ類としては、第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、ゲートセンサ28a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、特定領域センサ39a、非特定領域センサ70a、および普通入賞口センサ27aが接続されている。また、前枠開放検出センサ56、内枠開放検出センサ57についても、中継基板88を介して主制御基板80に接続されている。
【0050】
第1始動口センサ20aは、第1始動口20内に設けられて第1始動口20に入賞した遊技球を検出するものである。第2始動口センサ21aは、第2始動口21内に設けられて第2始動口21に入賞した遊技球を検出するものである。ゲートセンサ28aは、ゲート28内に設けられてゲート28を通過した遊技球を検出するものである。第1大入賞口センサ30aは、第1大入賞口30内に設けられて第1大入賞口30に入賞した遊技球を検出するものである。第2大入賞口センサ35aは、第2大入賞口35内に設けられて第2大入賞口35に入賞した遊技球を検出するものである。特定領域センサ39aは、第2大入賞口35内の特定領域39に設けられて特定領域39を通過した遊技球を検出するものである。非特定領域センサ70aは、第2大入賞口35内の非特定領域70に設けられて非特定領域70を通過した遊技球を検出するものである。普通入賞口センサ27aは、各普通入賞口27内にそれぞれ設けられて普通入賞口27に入賞した遊技球を検出するものである。前枠開放検出センサ56は、前述したように、前枠53と内枠52との開状態、閉状態を検出するものである。また、内枠開放検出センサ57は、前述したように、内枠52と外枠51との開状態、閉状態を検出するものである。
【0051】
またソレノイド類としては、電チューソレノイド24、第1大入賞口ソレノイド33、第2大入賞口ソレノイド38、および振分部材ソレノイド73が接続されている。電チューソレノイド24は、電チュー22の可動部材23を駆動するものである。第1大入賞口ソレノイド33は、第1大入賞装置31の開閉部材32を駆動するものである。第2大入賞口ソレノイド38は、第2大入賞装置36の開閉部材37を駆動するものである。振分部材ソレノイド73は、第2大入賞装置36の振分部材71を駆動するものである。
【0052】
さらに主制御基板80には、第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄表示器41b、普通図柄表示器42、第1特図保留表示器43a、第2特図保留表示器43b、および普図保留表示器44が接続されている。すなわち、これらの表示器類40の表示制御は、遊技制御用マイコン81によりなされる。
【0053】
また主制御基板80は、払出制御基板110に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板110から信号を受信する。払出制御基板110には、賞球払出装置120、およびカードユニット135(パチンコ遊技機1に隣接して設置され、挿入されたプリペイドカード等の情報に基づいて球貸しを可能にするもの)が接続されているとともに、発射制御回路111を介して発射装置112が接続されている。発射装置112には、ハンドル60(
図1参照)が含まれる。
【0054】
払出制御基板110は、遊技制御用マイコン81からの信号や、パチンコ遊技機1に接続されたカードユニット135からの信号に基づいて、賞球払出装置120の賞球モータ121を駆動して賞球の払い出しや貸球の払い出しを行ったりする。払い出される賞球や貸球は、その計数のため賞球センサ122により検知される。なお遊技者による発射装置112のハンドル60(
図1参照)への操作があった場合には、タッチスイッチ114がハンドル60への接触を検知し、発射ボリューム115がハンドル60の回転量を検知する。そして、発射ボリューム115の検知信号の大きさに応じた強さで遊技球が発射されるよう発射モータ113が駆動されることとなる。
【0055】
また主制御基板80は、サブ制御基板90に対し各種コマンドを送信する。主制御基板80とサブ制御基板90との接続は、主制御基板80からサブ制御基板90への信号の送信のみが可能な単方向通信接続となっている。すなわち、主制御基板80とサブ制御基板90との間には、通信方向規制手段としての図示しない単方向性回路(例えばダイオードを用いた回路)が介在している。
【0056】
図7に示すように、サブ制御基板90には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン(以下「演出制御用マイコン」)91が実装されている。演出制御用マイコン91には、遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶したROM93、ワークメモリとして使用されるRAM94、ROM93に記憶されたプログラムを実行するCPU92、データや信号の入出力を行うためのI/Oポート部(入出力回路)97が含まれている。なお、ROM93は外付けであってもよい。
【0057】
また、サブ制御基板90には、FeRAM98(バックアップ用記憶手段に相当)が実装されている。FeRAM98は、強誘電体メモリであり、電断時など、電力が供給されない期間であっても、記憶した情報を保持できるものである。FeRAM98については後述する。
【0058】
また、サブ制御基板90には、リアルタイムクロック(RTC)99が実装されている。RTC99は、現時点の日時(日付及び時刻)を計測するものである。RTC99は、図示しない外部電源供給装置(島電源供給装置)から電力が供給(投入)されているときには、その電力によって動作し、外部電源供給装置からから電力が供給されていないときには、電源基板150が備えるバックアップ電源回路151から供給される電力によって動作する。このため、RTC99は、パチンコ遊技機1に対して電源が投入されていないときにも現在の日時を計測することが可能である。なお、RTC99に対するバックアップ電源回路をサブ制御基板90に設けてもよい。バックアップ電源回路には、コンデンサや内臓電池(ボタン電池等)を含む回路を採用することができる。
【0059】
サブ制御基板90には、画像制御基板100、音声制御基板106、サブドライブ基板107が接続されている。サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板100のCPU102に画像表示装置7の表示制御を行わせる。画像制御基板100のRAM104は、画像データを展開するためのメモリである。画像制御基板100のROM103には、画像表示装置7に表示される静止画データや動画データ、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字および記号等(演出図柄を含む)や背景画像等の画像データが格納されている。画像制御基板100のCPU102は、演出制御用マイコン91からの指令に基づいてROM103から画像データを読み出す。そして、読み出した画像データに基づいて表示制御を実行する。
【0060】
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声、楽曲、効果音等を出力する。スピーカ67から出力する音声等の音声データは、サブ制御基板90のROM93に格納されている。なお、音声制御基板106にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、音声制御基板106にROMを実装してもよく、そのROMに音声データを格納してもよい。また、スピーカ67を画像制御基板100に接続し、画像制御基板100のCPU102に音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、画像制御基板100のROM103に音声データを格納してもよい。
【0061】
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、サブドライブ基板107を介して枠ランプ66、盤ランプ5等のランプの点灯制御を行う。詳細には演出制御用マイコン91は、各ランプの発光態様を決める発光パターンデータ(点灯/消灯や発光色等を決めるデータ、ランプデータともいう)を作成し、発光パターンデータに従って枠ランプ66、盤ランプ5等のランプの発光を制御する。なお、発光パターンデータの作成にはサブ制御基板90のROM93に格納されているデータを用いる。
【0062】
さらに演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、サブドライブ基板107に中継基板108を介して接続されたキャラ可動体500およびボール可動体600を動作させる。つまり、キャラ可動体500を動作させるために、その駆動源であるキャラ用駆動モータ510を駆動し、ボール可動体600を動作させるために、その駆動源であるボール用駆動モータ610を駆動する。詳細には演出制御用マイコン91は、キャラ可動体500やボール可動体600の動作パターンを決める駆動データに基づいて、キャラ用駆動モータ510やボール用駆動モータ610の駆動を制御する。
【0063】
なお変更例として、サブドライブ基板107にCPUを実装してもよく、そのCPUにランプの点灯制御や、可動体(キャラ可動体500、ボール可動体600)の動作制御を行わせてもよい。さらにこの場合、サブドライブ基板107にROMを実装してもよく、そのROMに発光パターンや動作パターンに関するデータを格納してもよい。
【0064】
またサブ制御基板90には、サブドライブ基板107および中継基板108を介して、キャラ原点位置センサ515、キャラ中間位置センサ516、キャラ動作位置センサ517、ボール原点位置センサ615、ボール中間位置センサ616、ボール動作位置センサ617が接続されている。キャラ原点位置センサ515は、キャラ可動体500が原点位置にあることを検知するものであり、キャラ中間位置センサ516は、キャラ可動体500が中間位置(原点位置と動作位置との間の位置)にあることを検知するものであり、キャラ動作位置センサ517は、キャラ可動体500が動作位置にあることを検知するものである。また、ボール原点位置センサ615は、ボール可動体600が原点位置にあることを検知するものであり、ボール中間位置センサ616は、ボール可動体600が中間位置(原点位置と動作位置との間の位置)にあることを検知するものであり、ボール動作位置センサ617は、ボール可動体600が動作位置にあることを検知するものである。
【0065】
またサブ制御基板90には、演出ボタン検出SW(スイッチ)63a、及びセレクトボタン検出スイッチ68aが接続されている。演出ボタン検出スイッチ63aは、演出ボタン63(
図1参照)が押下操作されたことを検出するものである。セレクトボタン検出スイッチ68aは、セレクトボタン68(
図1参照)が押下操作されたことを検出するものである。詳細には、セレクトボタン検出スイッチ68aは、上方向ボタンが押下操作されたことを検出する上方向検出スイッチと、下方向ボタンが押下操作されたことを検出する下方向検出スイッチと、左方向ボタンが押下操作されたことを検出する左方向検出スイッチと、右方向ボタンが押下操作されたことを検出する右方向検出スイッチとから構成されている。各ボタン(演出ボタン63、セレクトボタン68)が押下操作されると、各スイッチ(演出ボタン検出スイッチ63a、セレクトボタン検出スイッチ68a)からサブ制御基板90に対して信号が入力される。
【0066】
3.FeRAM98のバックアップ検査における電気的構成
次に
図8に基づいて、FeRAM98のバックアップ検査について説明する。FeRAM98のバックアップ検査とは、FeRAM98に記憶した情報が、電源断を経ても保持されているかを確認する検査である。FeRAM98のバックアップ検査は、パチンコ遊技機1の製造工程の中で行われる。
【0067】
このバックアップ検査においては、
図8に示すように、主制御基板80に替えて検査用基板700がサブ制御基板90に接続される。検査用基板700は、検査書込コマンドおよび検査確認コマンドを、サブ制御基板90に出力することが可能である。より詳細には、検査用基板700は、検査者が切替操作可能な切替スイッチ701(例えば3ポジションのトグルスイッチなど)を備え、切替スイッチ701が第1の状態(例えばON状態1)であるときには、パチンコ遊技機1の電源投入に応じて、サブ制御基板90に検査書込コマンドを出力し、切替スイッチ701が第2の状態(例えばON状態2)であるときには、パチンコ遊技機1の電源投入に応じて、サブ制御基板90に検査確認コマンドを出力する。
【0068】
サブ制御基板90は、検査用基板700から検査書込コマンドを受信した場合、FeRAM98の全記憶領域に検査用特定値AAH(特定値の一例)を書き込む。また、サブ制御基板90は、検査用基板700から検査確認コマンドを受信した場合、FeRAM98の全記憶領域に検査用特定値AAHが書き込まれているか否かを判定する。バックアップ検査では、まずサブ制御基板90に検査書込コマンドを受信させてFeRAM98の全記憶領域にAAHを書き込ませる。次に、電源スイッチ155をOFF操作して電源が供給されない遮断状態(電断状態)とする。その後、電源スイッチ155をON操作して電源が供給される供給状態として(すなわち電源を再投入して)、サブ制御基板90に確認コマンドを受信させ、FeRAM98の全記憶領域にAAHが書き込まれているか否かを判定する。
【0069】
4.FeRAM98のメモリマップ
次に、FeRAM98のメモリマップについて説明する。メモリマップは、データがメモリ内のどの位置に記憶されるのかを示すものである。FeRAM98のメモリマップは、機種に応じて異なることがある。本パチンコ遊技機1におけるFeRAM98のメモリマップは、
図9に示す通りである。
図9に示すメモリマップを、バージョン1のメモリマップとする。これに対して、
図10に示すメモリマップは、本パチンコ遊技機1とは異なる機種におけるメモリマップである。
図10に示すメモリマップを、バージョン2のメモリマップとする。
【0070】
FeRAM98には、バックアップをとる必要がある種々のデータが記憶される。FeRAM98に記憶されるデータとしては、例えば、ホール(遊技店)毎に割り当てられているホールコードの情報(「ホールコード情報」という)、FeRAM98のメモリマップのバージョンを示す情報(「バージョン情報」という)、演出制御用マイコン91による演出(変動演出など)における背景画像を示す情報(「背景情報」という)、同一背景における連続変動回数を示す情報(「同一背景連続変動回数情報」という)などがある。なお、FeRAM98のメモリマップのバージョンは、所定の事柄の一例であり、バージョン情報は、特定情報の一例である。
【0071】
図9(バージョン1のメモリマップ)に示すように、FeRAM98は、アドレス0000H~7EFFHまでの使用領域と、7F00H~7FFFHまでの未使用領域を含んでいる。未使用領域は、上述のバックアップ検査を除いてデータが書き込まれることのない領域である。バージョン1のメモリマップでは、使用領域のうちアドレス1000Hの記憶領域が、ホールコード情報の記憶領域であり、アドレス2000Hを先頭とする記憶領域が、メモリマップのバージョン情報に関する記憶領域であり、アドレス4000Hの記憶領域が、背景情報の記憶領域であり、アドレス4031Hの記憶領域が、同一背景連続変動回数情報の記憶領域である。
【0072】
FeRAM98に書き込まれるデータは、先頭チェックバイトおよび終了チェックバイトと共に書き込まれる。具体的には例えば、メモリマップのバージョン情報として、バージョン1であることを示すデータの値01Hを書き込む場合には、バージョン情報の記憶領域の前方(アドレスの小さい方)の記憶領域に、先頭チェックバイトとして固有値A5Hを書き込み、バージョン情報を書き込む記憶領域の後方(アドレスの大きい方)の記憶領域に、終了チェックバイトとして固有値5AHを書き込む。つまり本形態では、FeRAM98にバージョン情報が書き込まれる場合、先頭チェックバイト、バージョン情報、終了チェックバイトが、アドレス2000Hからの連続する記憶領域(バージョン情報に関する記憶領域)に書き込まれることとなる。
【0073】
なお、チェックバイト(先頭チェックバイト、終了チェックバイト)は、FeRAM98に書き込まれたデータ(バージョン情報など)の信頼性を確保するための情報であり、FeRAM98に書き込まれたデータを読み出す前に、そのチェックバイトが、書き込まれた固有値と一致するかを判定することで、データの破壊が起きていないことを確認するための情報である。
図9では、バージョン情報以外の情報についてのチェックバイトを図示していないが、バージョン情報以外の情報についてもチェックバイトが同様に書き込まれるものとする。先頭チェックバイトおよび終了チェックバイトは、チェックデータの一例である。
【0074】
パチンコ遊技機1がホール(遊技店)で稼働している場合、
図9に非検査時のデータ値として示すように、FeRAM98には例えば、ホールコード情報として、あるホールを示す値01Hが書き込まれ、メモリマップのバージョン情報として、バージョン1であること示す値01Hが書き込まれ、バージョン情報の先頭チェックバイトとして固有値A5Hが書き込まれ、バージョン情報の終了チェックバイトとして固有値5AHが書き込まれている。また、背景情報として、通常遊技状態に対応する背景画像の1つを示す値01Hが書き込まれ、同一背景連続変動回数情報として、ある変動回数を示す値05Hが書き込まれている。また、未使用領域の値は、00Hとなっている。つまり、未使用領域は、ゼロにクリアされたまま何も書き込まれていない状態となっている。
【0075】
一方、上述のFeRAM98のバックアップ検査では、
図9に検査時のデータ値として示すように、FeRAM98の全ての記憶領域に、検査用特定値AAHが書き込まれる。
【0076】
ここで、本形態のパチンコ遊技機1とは別の機種では、
図10(バージョン2のメモリマップ)に示すように、FeRAMのメモリマップが本形態のものとは異なる。具体的には、バージョン2のメモリマップでは、使用領域のうちアドレス0011Hの記憶領域が、ホールコード情報の記憶領域であり、アドレス2000Hを先頭とする記憶領域が、メモリマップのバージョン情報に関する記憶領域であり、アドレス6000Hの記憶領域が、背景情報の記憶領域であり、アドレス6071Hの記憶領域が、同一背景連続変動回数情報の記憶領域である。但し、未使用領域のアドレスは、バージョン1のメモリマップとバージョン2のメモリマップとで共通している。すなわち、バージョン2のメモリマップにおける未使用領域のアドレスは、バージョン1のメモリマップにおける未使用領域のアドレスと共通の7F00H~7FFFHである。
【0077】
バージョン2のメモリマップを有する別の機種がホール(遊技店)で稼働している場合、
図10に非検査時のデータ値として示すように、FeRAMには、メモリマップのバージョン情報として、バージョン2であること示す値02Hが書き込まれ、バージョン情報の先頭チェックバイトとして固有値A5Hが書き込まれ、バージョン情報の終了チェックバイトとして固有値5AHが書き込まれている。また例えば、ホールコード情報として01Hが書き込まれ、背景情報として01Hが書き込まれ、同一背景連続変動回数情報として05Hが書き込まれている。また、未使用領域の値は、00Hとなっている。
【0078】
なお後に詳述するが、本形態のパチンコ遊技機1では、FeRAM98に記憶されているバージョン情報と、ROM93に記憶されているバージョン情報(FeRAM98のメモリマップのバージョン情報、
図7参照)とが一致する否かを、電源投入時に判定することとしている。つまり本形態のパチンコ遊技機1は、電源投入時に、メモリマップのバージョン確認を行う。これは、FeRAM98にメモリマップのバージョン情報を書き込んだ後に、ROM93が変更されるなどして、FeRAM98に記憶されているメモリマップのバージョン情報と、ROMに格納されているメモリマップのバージョン情報とが一致していない状態で、遊技が進行するのを防止するためである。この電源投入時のメモリマップのバージョン確認において、バージョン情報の不一致が検出された場合には、そのことを知らせたり、FeRAM98の記憶情報をクリアして書き直したりする。
【0079】
ここで、電源投入時のメモリマップのバージョン確認が、上述したFeRAM98のバックアップ検査の正常な実行を妨げることが懸念される。すなわち、FeRAM98のバックアップ検査においてFeRAM98の全記憶領域に検査用特定値AAHを書き込んで電源スイッチ155をOFF操作し、その後、電源スイッチをON操作した場合には、メモリマップのバージョン確認で不一致の判定結果となって、FeRAM98の記憶情報がクリアされ、別の値に書き直されてしまう。そのため、バックアップ検査における一致/不一致の判定で検査用特定値AAHが記憶されていないと判定されて、バックアップのエラーと判定されてしまうのである。そこで本形態では、電源投入時のメモリマップのバージョン確認に際して、FeRAM98に検査用特定値AAHが書き込まれている場合には、FeRAM98の記憶情報をクリアしないこととしている。これにより、検査用特定値AAHが書き込まれたまま、バックアップ検査における一致/不一致の判定を迎えることができ、バックアップ検査を正しく行うことが可能となっている。
【0080】
5.大当たり等の説明
本形態のパチンコ遊技機1では、大当たり抽選(特別図柄抽選)の結果として、「大当たり」と「はずれ」がある。「大当たり」のときには、特別図柄表示器41に「大当たり図柄」が停止表示される。「はずれ」のときには、特別図柄表示器41に「ハズレ図柄」が停止表示される。大当たりに当選すると、停止表示された特別図柄の種類(大当たりの種類)に応じた開放パターンにて、大入賞口(第1大入賞口30および第2大入賞口35)を開放させる「大当たり遊技」が実行される。大当たり遊技は、特別遊技の一例である。
【0081】
大当たり遊技は、本形態では、複数回のラウンド遊技(単位開放遊技)と、初回のラウンド遊技が開始される前のオープニング(OPとも表記する)と、最終回のラウンド遊技が終了した後のエンディング(EDとも表記する)とを含んでいる。各ラウンド遊技は、OPの終了又は前のラウンド遊技の終了によって開始し、次のラウンド遊技の開始又はEDの開始によって終了する。ラウンド遊技間の大入賞口の閉鎖の時間(インターバル時間)は、その閉鎖前の開放のラウンド遊技に含まれる。
【0082】
大当たりには複数の種別がある。大当たりの種別は
図11に示す通りである。
図11に示すように、本形態では大きく分けて2つの種別がある。特定大当たりと通常大当たりである。特定大当たりを「Vロング大当たり」ともいい、通常大当たりを「Vショート大当たり」ともいう。「Vロング大当たり」は、その大当たり遊技中に特定領域39への遊技球の通過が容易に可能な第1開放パターン(Vロング開放パターン)で開閉部材32及び開閉部材37を作動させる大当たりである。「Vショート大当たり」は、その大当たり遊技中に特定領域39への遊技球の通過が不可能又は困難な第2開放パターン(Vショート開放パターン)で開閉部材32及び開閉部材37を作動させる大当たりである。
【0083】
より具体的には、「Vロング大当たり」は、総ラウンド数が16Rである。1Rから13Rまでと15Rでは、第1大入賞口30を1R当たり最大29.5秒にわたって開放する。14Rと16Rでは第2大入賞口35を1R当たり最大29.5秒にわたって開放する。
【0084】
これに対して、「Vショート大当たり」は、総ラウンド数は16Rであるものの、実質的な総ラウンド数は13Rである。つまり、1Rから13Rまでは第1大入賞口30を1R当たり最大29.5秒にわたって開放するが、15Rでは第1大入賞口30を1R当たり0.1秒しか開放せず、14Rと16Rでも第2大入賞口35を1R当たり0.1秒しか開放しない。なお、Vショート大当たりにおける14R及び16Rでは、第2大入賞口35の開放時間が短いことだけでなく、第2大入賞口35の開放タイミングと振分部材71の作動タイミング(第2の状態(
図4(B)参照)から第1の状態(
図4(A)参照)に制御されるタイミング)との関係からも、特定領域39に遊技球が通過することはほぼ不可能となっている。
【0085】
本形態のパチンコ遊技機1では、大当たり遊技中の特定領域39への遊技球の通過に基づいて、その大当たり遊技の終了後の遊技状態を、後述の高確率状態に移行させる。従って、上記のVロング大当たりに当選した場合には、大当たり遊技の実行中に特定領域39へ遊技球を通過させることで、大当たり遊技後の遊技状態を高確率状態に移行させ得る。これに対して、Vショート大当たりに当選した場合には、その大当たり遊技の実行中に特定領域39へ遊技球を通過させることができないため、その大当たり遊技後の遊技状態は、後述の通常確率状態(非高確率状態)となる。
【0086】
但し、通常確率状態に制御された場合であっても、後述する時短状態が付与される。この場合の時短回数は100回に設定される。時短回数とは、時短状態における特別図柄の変動表示の上限実行回数のことである。
【0087】
図11に示すように、第1特別図柄(特
図1)の抽選における大当たりの振分率は、Vロング大当たりが50%、Vショート大当たりが50%となっている。これに対して、第2特別図柄(特
図2)の抽選において当選した大当たりは、全てVロング大当たりとなっている。
【0088】
特
図1の抽選によって「Vロング大当たり」に当選した場合には、第1特別図柄表示器41aに「特
図1_特定図柄」が停止表示され、「Vショート大当たり」に当選した場合には、第1特別図柄表示器41aに「特
図1_通常図柄」が停止表示される。これに対して特
図2の抽選によって当選した場合には、必ずVロング大当たりであって、第2特別図柄表示器41bに「特
図2_特定図柄」が停止表示される。
【0089】
ここで本パチンコ遊技機1では、大当たりか否かの抽選は「大当たり乱数」に基づいて行われ、当選した大当たりの種別の抽選は「当たり種別乱数」に基づいて行われる。
図12(A)に示すように、大当たり乱数は0~65535までの範囲で値をとる。当たり種別乱数は、0~9までの範囲で値をとる。なお、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づいて取得される乱数には、大当たり乱数および当たり種別乱数の他に、「リーチ乱数」および「変動パターン乱数」がある。
【0090】
リーチ乱数は、大当たり判定の結果がはずれである場合に、その結果を示す演出図柄変動演出においてリーチを発生させるか否かを決める乱数である。リーチとは、複数の演出図柄のうち変動表示されている演出図柄が残り一つとなっている状態であって、変動表示されている演出図柄がどの図柄で停止表示されるか次第で大当たり当選を示す演出図柄の組み合わせとなる状態(例えば「7↓7」の状態)のことである。なお、リーチ状態において停止表示されている演出図柄は、表示画面7a内で多少揺れているように表示されていたり、拡大と縮小を繰り返すように表示されていたりしてもよい。このリーチ乱数は、0~255までの範囲で値をとる。
【0091】
また、変動パターン乱数は、変動時間を含む変動パターンを決めるための乱数である。変動パターン乱数は、0~99までの範囲で値をとる。また、ゲート28への通過に基づいて取得される乱数には、
図12(B)に示す普通図柄乱数(当たり乱数)がある。普通図柄乱数は、電チュー22を開放させる補助遊技を行うか否かの抽選(普通図柄抽選)のための乱数である。普通図柄乱数は、0~65535までの範囲で値をとる。
【0092】
6.遊技状態の説明
次に、本形態のパチンコ遊技機1の遊技状態に関して説明する。パチンコ遊技機1の特別図柄表示器41および普通図柄表示器42には、それぞれ、確率変動機能と変動時間短縮機能がある。特別図柄表示器41の確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい、作動していない状態を「通常確率状態(非高確率状態)」という。高確率状態では、大当たり確率が通常確率状態よりも高くなっている。つまり、特別図柄表示器41の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄表示器41による特別図柄の可変表示の表示結果(すなわち停止図柄)が大当たり図柄となる確率が高くなる。
【0093】
また、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい、作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示開始時から表示結果の導出表示時までの時間)が、非時短状態よりも短くなっている。つまり、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄の可変表示の変動時間として短い変動時間が選択されやすくなる。
【0094】
特別図柄表示器41の確率変動機能と変動時間短縮機能とは同時に作動することもあるし、片方のみが作動することもある。そして、普通図柄表示器42の確率変動機能および変動時間短縮機能は、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。すなわち、普通図柄表示器42の確率変動機能および変動時間短縮機能は、時短状態において作動し、非時短状態において作動しない。よって、時短状態では、普通図柄抽選における当選確率が非時短状態よりも高くなっている。つまり、普通図柄表示器42の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、普通図柄表示器42による普通図柄の可変表示の表示結果が、普通当たり図柄となる確率が高くなる。
【0095】
また時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなっている。本形態では、普通図柄の変動時間は非時短状態では10秒であるが、時短状態では1秒である(
図13(E)参照)。さらに時短状態では、補助遊技における電チュー22の開放時間が、非時短状態よりも長くなっている(
図15参照)。すなわち、電チュー22の開放時間延長機能が作動している。加えて時短状態では、補助遊技における電チュー22の開放回数が非時短状態よりも多くなっている(
図15参照)。すなわち、電チュー22の開放回数増加機能が作動している。
【0096】
普通図柄表示器42の確率変動機能と変動時間短縮機能、および電チュー22の開放時間延長機能と開放回数増加機能が作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、電チュー22が頻繁に開放され、第2始動口21へ遊技球が頻繁に入賞することとなる。その結果、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って、これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」といい、作動していない状態を「低ベース状態」という。高ベース状態では、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たりを狙うことができる。なお、高ベース状態とは、いわゆる電サポ制御(電チュー22により第2始動口21への入賞をサポートする制御)が実行されている状態である。よって、高ベース状態を電サポ制御状態や入球容易状態ともいう。これに対して、低ベース状態を非電サポ制御状態や非入球容易状態ともいう。
【0097】
高ベース状態は、上記の全ての機能が作動するものでなくてもよい。すなわち、普通図柄表示器42の確率変動機能、普通図柄表示器42の変動時間短縮機能、電チュー22の開放時間延長機能、および電チュー22の開放回数増加機能のうち一つ以上の機能の作動によって、その機能が作動していないときよりも電チュー22が開放され易くなっていればよい。また、高ベース状態は、時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。
【0098】
本形態のパチンコ遊技機1では、Vロング大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は、その大当たり遊技中に特定領域39への通過がなされていれば、高確率状態かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「高確高ベース状態」という。高確高ベース状態は、所定回数(本形態では160回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
【0099】
また、Vショート大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は、その大当たり遊技中に特定領域39の通過がなされていなければ(なされることは略ない)、通常確率状態(非高確率状態すなわち低確率状態)かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「低確高ベース状態」という。低確高ベース状態は、所定回数(本形態では100回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
【0100】
なお、パチンコ遊技機1を初めて遊技する場合において電源投入後の遊技状態は、通常確率状態かつ非時短状態かつ低ベース状態である。この遊技状態を特に、「低確低ベース状態」という。低確低ベース状態を「通常遊技状態」と称することもある。また、大当たり遊技の実行中の状態を「特別遊技状態(大当たり遊技状態)」と称することとする。
【0101】
高確高ベース状態や低確高ベース状態といった高ベース状態では、右打ちにより右遊技領域3B(
図3参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御により低ベース状態と比べて電チュー22が開放されやすくなっており、第1始動口20への入賞よりも第2始動口21への入賞の方が容易となっているからである。そのため、普通図柄抽選の契機となるゲート28へ遊技球を通過させつつ、第2始動口21へ遊技球を入賞させるべく右打ちを行う。これにより左打ちをするよりも、多数の始動入賞(始動口への入賞)を得ることができる。なお本パチンコ遊技機1では、大当たり遊技中も右打ちにて遊技を行う。
【0102】
これに対して、低ベース状態では、左打ちにより左遊技領域3A(
図3参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御が実行されていないため、高ベース状態と比べて電チュー22が開放されにくくなっており、第2始動口21への入賞よりも第1始動口20への入賞の方が容易となっているからである。そのため、第1始動口20へ遊技球を入賞させるべく左打ちを行う。これにより右打ちするよりも、多数の始動入賞を得ることができる。
【0103】
7.遊技制御用マイコン81の動作
[主制御メイン処理]次に
図16~
図19に基づいて遊技制御用マイコン81の動作について説明する。なお、遊技制御用マイコン81の動作説明にて登場するカウンタ、タイマ、フラグ、ステータス、バッファ等は、RAM84に設けられている。カウンタの初期値は「0」であり、フラグの初期値は「0」つまり「OFF」であり、ステータスの初期値は「1」である。主制御基板80に備えられた遊技制御用マイコン81は、パチンコ遊技機1の電源が投入されると、ROM83から
図16に示した主制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。同図に示すように、主制御メイン処理では、まず後述する電源投入時処理(S001)を行う。
【0104】
そして、電源投入時処理(S001)に次いで、割り込みを禁止し(S002)、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)を実行する。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)では、
図12に示した種々の乱数カウンタ値を1加算して更新する。各乱数カウンタ値は上限値に至ると「0」に戻って再び加算される。なお各乱数カウンタの初期値は「0」以外の値であってもよく、ランダムに変更されるものであってもよい。また各乱数は、カウンタIC等からなる公知の乱数生成回路を利用して生成される所謂ハードウェア乱数であってもよい。
【0105】
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)が終了すると、割り込みを許可する(S004)。割り込み許可中は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)の実行が可能となる。メイン側タイマ割り込み処理(S005)は、例えば4msec周期でCPU82に繰り返し入力される割り込みパルスに基づいて実行される。すなわち、例えば4msec周期で実行される。そして、メイン側タイマ割り込み処理(S005)が終了してから、次にメイン側タイマ割り込み処理(S005)が開始されるまでの間に、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)による各種カウンタ値の更新処理が繰り返し実行される。なお、割り込み禁止状態のときにCPU82に割り込みパルスが入力された場合は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)はすぐには開始されず、割り込み許可(S004)がされてから開始される。
【0106】
[電源投入時処理]
図17に示すように、電源投入時処理(S001)では、まずRAM84へのアクセスの許可設定を行う(S011)。これにより、RAM84に対する情報の書き込みや読み出しが可能になる。続いて、遊技制御用マイコン81は、RAMクリアスイッチ89が操作されたか否か(ONか否か)を判定する(S012)。RAMクリアスイッチ89がONであれば(S012でYES)、ステップS018に進む。これに対して、ONでなければ(S012でNO)、続いて電源断フラグがONであるか否かを判定する(S013)。電源断フラグは、電断の発生を示すフラグであり、後述する電源断監視処理(
図19参照)でONにされるフラグである。
【0107】
電源断フラグがONでなければ(S013でNO)、正常に電源が遮断されていない可能性があるため、ステップS018に進む。一方、電源断フラグがONであれば(S013でYES)、チェックサムを算出して(S014)、これを電断時に算出しておいたチェックサム(
図19のステップS2902参照)と比較する(S015)。チェックサムは、RAM84に記憶されている遊技情報を数値とみなしてその合計が算出されたものである。チェックサムの値が一致しなければ(S015でNO)、RAM84の記憶内容が正常でないため、ステップS018に進む。これに対して、チェックサムの値が一致すれば(S015でYES)、RAM84の記憶内容が正常であると判断し、ステップS016に進む。
【0108】
ステップS016では、復電時におけるRAM84の作業領域の設定管理を行う。この設定処理では、ROM83から復電時情報を読み出し、この復電時情報をRAM84の作業領域にセットする。その後、遊技制御用マイコン81は、電源断フラグをOFFして(S017)、ステップS021に進む。
【0109】
一方、ステップS018では、RAM84に記憶されている全ての遊技情報をクリアする(S018)。その後、遊技制御用マイコン81は、RAM84の作業領域の初期設定を行う(S019)。この初期設定の処理では、ROM83から読み出された初期設定情報がRAM84の作業領域にセットされる。続いて遊技制御用マイコン81は、RAMクリアを行ったことを通知するためのRAMクリア通知コマンドをサブ制御基板90に対して出力して(S020)、ステップS021に進む。
【0110】
ステップS021では、遊技制御用マイコン81は、電源投入コマンド設定処理を行う。電源投入コマンド設定処理(S021)では、電源投入コマンドをRAM84の所定の出力バッファにセットする。セットされた電源投入コマンドは、後述する出力処理(S101)にてサブ制御基板90に出力されるようになっている。電源投入コマンド設定処理(S021)の後、ステップS022ではその他の初期設定として、例えばCPU82の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)の設定等を行う。そして、本処理を終える。
【0111】
[メイン側タイマ割り込み処理]次に、メイン側タイマ割り込み処理(S005)について説明する。
図18に示すように、メイン側タイマ割り込み処理(S005)では、まず出力処理(S101)を実行する。出力処理(S101)では、以下に説明する各処理において主制御基板80のRAM84に設けられた出力バッファにセットされたコマンド等を、サブ制御基板90や払出制御基板110等に出力する。
【0112】
出力処理(S101)に次いで行われる入力処理(S102)では、主にパチンコ遊技機1に取り付けられている各種センサ(第1始動口センサ20a,第2始動口センサ21a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、普通入賞口センサ27a等(
図6参照))が検知した検出信号を読み込み、入賞口の種類に応じた賞球を払い出すための払い出しデータをRAM84の出力バッファにセットする。また、入力処理(S102)では、下皿62の満杯を検出する下皿満杯スイッチからの検出信号も取り込み、下皿満杯データとしてRAM84の出力バッファに記憶する。
【0113】
次に行われる普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)は、
図16の主制御メイン処理で行う普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)と同じである。即ち、
図12に示した各種乱数カウンタ値(普通図柄乱数カウンタ値も含む)の更新処理は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)の実行期間と、それ以外の期間(メイン側タイマ割り込み処理(S005)の終了後、次のメイン側タイマ割り込み処理(S005)が開始されるまでの期間)との両方で行われている。
【0114】
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)に次いで、始動口センサ検出処理(S104)、普通動作処理(S105)を行う。始動口センサ検出処理(S104)では、第1始動口センサ20a又は第2始動口センサ21aによる入賞検知があれば、入賞検知のあった始動口に対応する保留記憶が4個未満であることを条件に大当たり乱数等の乱数(大当たり乱数、当たり種別乱数、リーチ乱数、及び変動パターン乱数(
図12(A)参照))を取得する。また、ゲートセンサ28aによる通過検知があれば、すでに記憶されている当たり乱数が4個未満であることを条件に普通図柄乱数(
図12(B)参照)を取得する。
【0115】
普通動作処理(S105)では、始動口センサ検出処理にて取得した普通図柄乱数を所定の判定テーブル(
図13(D)参照)を用いて判定する。そして、その判定結果を報知するための普通図柄の表示(変動表示と停止表示)を行う。普通図柄乱数の判定の結果、普通当たり図柄に当選していた場合には、遊技状態に応じた所定の開放パターン(開放時間や開放回数、
図15参照)に従って電チュー22を開放させる補助遊技を行う。
【0116】
次に遊技制御用マイコン81は、特別動作処理(S106)、特定領域センサ検出処理(S107)を行う。特別動作処理(S106)では、始動口センサ検出処理にて取得した大当たり乱数等の乱数を所定の判定テーブル(
図11,
図13(A)(B)(C),
図14参照)を用いて判定する。そして、大当たり抽選の結果を示すための特別図柄の表示(変動表示と停止表示)を行う。また、当たり種別に応じた特図停止図柄データ(
図11)や、特別図柄の変動表示の変動パターンの情報を含む変動開始コマンドをRAM84の所定の記憶領域にセットする。そして、大当たり乱数の判定の結果、大当たりに当選していた場合には、大当たりの種別に応じた所定の開放パターン(開放時間や開放回数、
図11参照)に従って大入賞口を開放させる大当たり遊技(特別遊技)を行う。この大当たり遊技の実行に際しては、当選した大当たり図柄の種別の情報を含むオープニングコマンドをRAM84の所定の記憶領域にセットする。なお特別動作処理(S106)において、大当たり乱数等の乱数の記憶がない場合には、演出制御用マイコン91に客待ち演出を実行させるための客待ち待機コマンドをセットする。
【0117】
特定領域センサ検出処理(S107)では、特定領域センサ39aによる遊技球の検知があったか否かを判定し、それが所定のV有効期間におけるものであれば、VフラグをONにする。また、VフラグがONであれば、次に実行される特別動作処理(S106)において、確変フラグがONにされる。これにより、大当たり遊技後の遊技状態が高確率状態に制御される。
【0118】
特定領域センサ検出処理(S107)に次いで、後述する電源断監視処理(S108)を実行する。さらに、電源断監視処理(S108)の後、その他の処理(S111)を実行する。そして、メイン側タイマ割り込み処理(S005)を終了する。その他の処理(S111)としては、後述の特
図2保留球数に基づいて第2特図保留表示器43bをその数を示す表示態様に制御したり、後述の特
図1保留球数に基づいて第1特図保留表示器43aをその数を示す表示態様に制御したりする。そして、次にCPU82に割り込みパルスが入力されるまでは主制御メイン処理のステップS002~S004の処理が繰り返し実行され(
図16参照)、割り込みパルスが入力されると(約4msec後)、再びメイン側タイマ割り込み処理(S005)が実行される。再び実行されたメイン側タイマ割り込み処理(S005)の出力処理(S101)においては、前回のメイン側タイマ割り込み処理(S005)にてRAM84の出力バッファにセットされたコマンド等が出力される。
【0119】
[電源断監視処理]電源断監視処理(S108)では、
図19に示すように、まず電源断信号の入力の有無を判定し(S2901)、入力がなければ(S2901でNO)処理を終了する。電源断信号は、電断により電源電圧が低下し始めたときに遊技制御用マイコン81に入力される信号である。ステップS2901において電源断信号の入力があれば(S2901でYES)、チェックサムを算出してRAM84の所定の記憶領域に格納するとともに(S2902)、電源断フラグをONする(S2903)。そして、RAM84へのアクセスの禁止設定を行う(S2904)。これにより、RAM84に対する情報の書き込みや読み出しが不可能になる。その後はメイン側タイマ割り込み処理(
図18参照)に戻ることなくループ処理を行う。
【0120】
8.演出制御用マイコン91の動作
[サブ制御メイン処理]次に
図20~
図25に基づいて演出制御用マイコン91の動作について説明する。なお、演出制御用マイコン91の動作説明にて登場するカウンタ、タイマ、フラグ、ステータス、バッファ等は、RAM94に設けられている。サブ制御基板90に備えられた演出制御用マイコン91は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、ROM93から
図20に示したサブ制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。
【0121】
同図に示すように、サブ制御メイン処理では、サブ側電源断フラグ(電断時にONされるフラグ)がONで且つRAM94の内容が正常であるか否かを判定する(S4001)。そしてこの判定結果がNOであれば、つまり、サブ側電源断フラグがONでない場合、又はサブ側電源断フラグがONであってもRAM94の内容が正常でない場合には、RAM94およびFeRAM98の初期化(クリア)をし(S4002-1)、ROM93から読み出したメモリマップのバージョン情報をFeRAM98に書き込んで(S4002-2)、ステップS4003に進む。
【0122】
一方、判定結果がYESであれば(S4001でYES)、つまり、電断によりサブ側電源断フラグがONとなったがRAM94の内容が正常に保たれている場合には、続いて、RAMクリア通知コマンドを受信しているか否かを判定する(S4011)。RAMクリア通知コマンドを受信していれば(S4011でYES)、主制御基板80のRAM84はクリアされている。そのため、サブ制御基板90のRAM94およびFeRAM98をクリアし(S4002-1)、ROM93から読み出したメモリマップのバージョン情報をFeRAM98に書き込んで(S4002-2)、ステップS4003に進む。
【0123】
これに対して、RAMクリア通知コマンドを受信していなければ(S4011でNO)、後述するメモリマップのバージョン確認処理(S4012)を行って、ステップS4003に進む。
【0124】
ステップS4003では、その他の初期設定を行う。その他の初期設定では例えば、CPU92の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)等の設定等を行う。また、サブ側電源断フラグがONであればOFFにする。
【0125】
ステップS4004では、割り込みを禁止する。次いで、乱数シード更新処理を実行する(S4005)。乱数シード更新処理(S4005)では、種々の演出決定用乱数カウンタの値を更新する。なお演出決定用乱数には、演出図柄を決定するための演出図柄決定用乱数、変動演出パターンを決定するための変動演出パターン決定用乱数、種々の予告演出を決定するための予告演出決定用乱数等がある。乱数の更新方法は、前述の主制御基板80が行う乱数更新処理と同様の方法をとることができる。更新に際して乱数値を1ずつ加算するのではなく、2ずつ加算するなどしてもよい。これは、前述の主制御基板80が行う乱数更新処理においても同様である。
【0126】
乱数シード更新処理(S4005)が終了すると、コマンド送信処理を実行する(S4006)。コマンド送信処理(S4006)では、サブ制御基板90のRAM94内の出力バッファに格納されている各種のコマンドを、画像制御基板100に送信する。コマンドを受信した画像制御基板100は、コマンドに従い画像表示装置7を用いて各種の演出(変動演出や、オープニング演出、ラウンド演出およびエンディング演出からなる大当たり演出等)を実行する。なお、画像制御基板100による各種の演出の実行に伴ってサブ制御基板90は、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声を出力したり、サブドライブ基板107を介して盤ランプ5や枠ランプ66を発光させたり、キャラ可動体500やボール可動体600を駆動させたりする。演出制御用マイコン91は続いて、割り込みを許可する(S4007)。以降、ステップS4004~S4007をループさせる。割り込み許可中においては、受信割り込み処理(S4008)、1msタイマ割り込み処理(S4009)および10msタイマ割り込み処理(S4010)の実行が可能となる。
【0127】
受信割り込み処理(S4008)は、ストローブ信号(STB信号)がON、すなわち主制御基板80から送られたストローブ信号が演出制御用マイコン91の外部INT入力部に入力されると実行される。そして、受信割り込み処理(S4008)では、主制御基板80の出力処理(S101)により送信されてきた各種のコマンドをRAM94に格納する。この受信割り込み処理は、他の割り込み処理(S4009、S4010)に優先して実行される処理である。1msタイマ割り込み処理(S4009)および10msタイマ割り込み処理(S4010)については後述する。
【0128】
[メモリマップのバージョン確認処理]
図21に示すように、メモリマップのバージョン確認処理(S4012)ではまず、演出制御用マイコン91は、FeRAM98からメモリマップのバージョン情報に係る先頭チェックバイト(
図9参照)を読み出して(S4101)、先頭チェックバイトの値が、検査用特定値AAHであるか否かを判定する(S4102)。この判定結果がYESであれば(S4102でYES)、FeRAM98のバックアップ検査の実行中であるため、本処理を終える。一方、ステップS4102の判定結果がNOであれば、FeRAM98のバックアップ検査の実行中ではないため、続いて、ステップS4101で読み出した先頭チェックバイトの値が正常値(すなわちA5H)であるか否かを判定する(S4103)。
【0129】
ステップS4103で正常値であると判定した場合、FeRAM98に記憶されているメモリマップのバージョン情報は書き込まれた値のまま破壊されていないと推定されるため、演出制御用マイコン91は、FeRAM98からメモリマップのバージョン情報を読み出す(S4104)。そして、FeRAM98から読み出したメモリマップのバージョン情報の値と、ROM93に記憶されているメモリマップのバージョン情報の値とが一致するか否かを判定する(S4105)。この判定(バージョン情報の一致/不一致の判定)の結果がYESであれば、FeRAM98に記憶されているバージョン情報を書き換える必要はないため、本処理を終える。
【0130】
これに対して、ステップS4105の判定結果がNOであれば、FeRAM98に記憶されているメモリマップのバージョン情報と、ROM93に記憶されているメモリマップのバージョン情報とが一致していないという不具合が生じているため、バージョン異常表示コマンドを所定の出力バッファにセットして(S4106)、ステップS4107に進む。ステップS4107では、FeRAM98の全記憶領域の記憶情報をクリアする。そして、ROM93に記憶されているメモリマップのバージョン情報をFeRAM98に書き込んで(S4108)、本処理を終える。
【0131】
またステップS4103でNOと判定した場合、すなわち、先頭チェックバイトの値が書き込んだ値A5Hと異なっており、FeRAM98に記憶されているメモリマップのバージョン情報が信頼できない場合には、データ異常表示コマンドを所定の出力バッファにセットして(S4109)、ステップS4107に進む。この場合も、ステップS4107でFeRAM98の全記憶領域の記憶情報をクリアして、続くステップS4108で、ROM93に記憶されているメモリマップのバージョン情報をFeRAM98に書き込んで、本処理を終える。
【0132】
ステップS4106でセットされたバージョン異常表示コマンドが、画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100は、
図26(A)に示すバージョン異常画像を表示画面7aに表示する。バージョン異常画像には、「メモリマップのバージョン異常」の文字画像と、そのエラーナンバー(「エラー1」)の画像とが含まれる。これにより、パチンコ遊技機1の周囲にいる者に、FeRAM98に記憶されているメモリマップのバージョン情報と、ROM93に記憶されているメモリマップのバージョン情報とが異なっていたことを知らせることが可能である。つまりこれにより、前回の電源断から今回の電源投入までの間にROMの変更が行われた可能性があることを知らせることが可能である。ROMの変更としては例えば、テスト用のROMと正規のROMとの変更や、ある機種のROMとそれとは別の機種のROMとの変更などが挙げられる。なお、メモリマップのバージョン異常があってもその旨を報知しない構成としてもよい。すなわち、ステップS4106の処理を行わない構成としてもよい。
【0133】
またS4109でセットされたデータ異常表示コマンドが、画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100は、
図26(B)に示すデータ異常画像を表示画面7aに表示する。データ異常画像には、「FeRAMのデータ異常」の文字画像と、そのエラーナンバー(「エラー2」)の画像とが含まれる。これにより、パチンコ遊技機1の周囲にいる者に、FeRAM98の記憶情報(具体的にはバージョン情報)が壊れている可能性があることを知らせることが可能である。なお、ReRAMのデータ異常があってもその旨を報知しない構成としてもよい。すなわち、ステップS4109の処理を行わない構成としてもよい。
【0134】
なお本形態では、バージョン情報の信頼性の確認として、先頭チェックバイトだけを確認しているが、終了チェックバイトを確認したり、先頭チェックバイトおよび終了チェックバイトを確認したりしてもよい。この場合も、本形態と同様、確認対象のチェックバイトの値を用いてバックアップ検査中であるか否かを判定すればよい。
【0135】
[1msタイマ割り込み処理]1msタイマ割り込み処理(S4009)は、サブ制御基板90に1msec周期の割り込みパルスが入力される度に実行される。
図22に示すように、1msタイマ割り込み処理(S4009)ではまず、入力処理(S4201)を行う。入力処理(S4201)では、演出ボタン検出スイッチ63a(
図7参照)、セレクトボタン検出スイッチ68aからの検知信号に基づいてスイッチデータ(エッジデータおよびレベルデータ)を作成する。
【0136】
続いて、ランプデータ出力処理(S4202)を行う。ランプデータ出力処理(S4202)では、画像演出等の演出に合うタイミングで枠ランプ66、盤ランプ5等を発光させるべく、後述の10msタイマ割り込み処理におけるその他の処理(S4904)で作成したランプデータをサブドライブ基板107に出力する。つまり、ランプデータに従って各ランプを所定の発光態様で発光させる。
【0137】
次いで、後述する駆動制御処理(S4203)、ウォッチドッグタイマ処理(S4204)を行って、本処理を終える。ウォッチドッグタイマ処理(S4204)では、ウォッチドッグタイマのリセット設定を行う。
【0138】
[10msタイマ割り込み処理]10msタイマ割り込み処理(S4010)は、サブ制御基板90に10msec周期の割り込みパルスが入力される度に実行される。
図23に示すように、10msタイマ割り込み処理(S4010)ではまず、後述する受信コマンド解析処理(S4901)を行う。次いで、1msタイマ割り込み処理で作成したスイッチデータを10msタイマ割り込み処理用のスイッチデータとしてRAM94に格納するスイッチ状態取得処理を行う(S4902)。続いて、スイッチ状態取得処理にて格納したスイッチデータに基づいて表示画面7aの表示内容等を設定するスイッチ処理(S4903)を行う。
【0139】
その後、演出制御用マイコン91は、その他の処理(S4904)として、後述の受信コマンド解析処理(S4901)での演出選択結果に応じて、ランプデータ(各ランプの点灯を制御するデータ)を作成したり、音声データ(スピーカ67からの音声の出力を制御するデータ)の作成及び音声制御基板106への出力をしたりする。また、各種の演出決定用乱数を更新したり、各種の演出に係るタイマの値を更新したりする。
【0140】
[受信コマンド解析処理]
図24に示すように、受信コマンド解析処理(S4901)ではまず、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から変動開始コマンドを受信したか否か判定し(S5001)、受信していれば変動演出開始処理(S5002)を行う。変動演出開始処理(S5002)では、変動開始コマンドを解析し、その解析結果に基づいて、変動演出の内容(変動演出パターン)や予告演出の種類を決定し、この決定に係る演出を実行するための変動演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。
【0141】
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から変動停止コマンドを受信したか否か判定し(S5003)、受信していれば変動演出終了処理(S5004)を行う。変動演出終了処理(S5004)では、変動停止コマンドを解析し、その解析結果に基づいて、変動演出を終了させるための変動演出終了コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。
【0142】
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からオープニングコマンドを受信したか否か判定し(S5005)、受信していればオープニング演出選択処理(S5006)を行う。オープニング演出選択処理(S5006)では、オープニングコマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のオープニング中に実行するオープニング演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したオープニング演出パターンにてオープニング演出を開始するためのオープニング演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。
【0143】
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からラウンド指定コマンドを受信したか否か判定し(S5007)、受信していればラウンド演出選択処理(S5008)を行う。ラウンド演出選択処理(S5008)では、ラウンド指定コマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のラウンド遊技中に実行するラウンド演出(開放遊技演出)のパターン(内容)を選択する。そして、選択したラウンド演出パターンにてラウンド演出を開始するためのラウンド演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。
【0144】
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からエンディングコマンドを受信したか否か判定し(S5009)、受信していればエンディング演出選択処理(S5010)を行う。エンディング演出選択処理(S5010)では、エンディングコマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のエンディング中に実行するエンディング演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したエンディング演出パターンにてエンディング演出を開始するためのエンディング演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。
【0145】
続いて、演出制御用マイコン91は、検査書込コマンドを受信したか否かを判定する(S5011)。検査書込コマンドは、サブ制御基板90に検査用基板700が接続されていて、切替スイッチ701が第1の状態(ON状態1)である場合に、電源投入に応じて検査用基板700から送信されるコマンドである(
図8参照)。検査書込コマンドを受信していれば(S5011でYES)、演出制御用マイコン91は、FeRAM98の全記憶領域に検査用特定値AAHを書き込んで(S5012)、ステップS5013に進む。これに対して、検査書込コマンドを受信していなければ(S5011でNO)、ステップS5012を実行することなく、ステップS5013に進む。
【0146】
続くステップS5013では、演出制御用マイコン91は、検査確認コマンドを受信したか否かを判定する(S5013)。検査確認コマンドは、サブ制御基板90に検査用基板700が接続されていて、切替スイッチ701が第2の状態(ON状態2)である場合に、電源投入に応じて検査用基板700から送信されるコマンドである(
図8参照)。検査確認コマンドを受信していれば(S5011でYES)、演出制御用マイコン91は、後述する検査確認処理(S5014)を行って、ステップS5015に進む。これに対して、検査確認コマンドを受信していなければ(S5013でNO)、ステップS5014を実行することなく、ステップS5015に進む。
【0147】
なお、FeRAM98のバックアップ検査では、まず検査用基板700からの検査書込コマンドを演出制御用マイコン91に受信させてFeRAM98の全記憶領域に検査用特定値AAHを書き込ませ、一旦電源スイッチ155をOFFする。その後、切替スイッチ701を切り替えてから電源スイッチ155を再びONにすることで(電源再投入)、検査用基板700からの検査確認コマンドを演出制御用マイコン91に受信させて、検査確認処理(S5014)を実行させる。
【0148】
検査確認処理(S5014)に続いて、演出制御用マイコン91は、その他の処理(S5015)として、上記のコマンド以外の受信コマンドに基づく処理(例えば、V通過を示すV通過コマンドに基づいてV通過報知を行う処理等)を行う。そして、受信コマンド解析処理を終える。
【0149】
[検査確認処理]
図25に示すように、検査確認処理(S5014)ではまず、演出制御用マイコン91は、FeRAM98の全記憶領域にAAHが書き込まれているか否かを判定する(S5101)。この判定結果がYESであれば、FeRAM98のバックアップ機能は正常であるため、FeRAM正常表示コマンドを所定の出力バッファにセットして(S5102)、ステップS5104に進む。一方、ステップS5101の判定結果がNOであれば、FeRAM98のバックアップ機能に異常が認められるため、FeRAM異常表示コマンドを所定の出力バッファにセットして(S5103)、ステップS5104に進む。
【0150】
ステップS5102でセットされたFeRAM正常表示コマンドが、画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100は、
図26(C)に示すFeRAM正常画像を表示画面7aに表示する。FeRAM正常画像には、「FeRAM正常」の文字画像が含まれる。これにより、FeRAM98のバックアップ検査を行っている者に、FeRAM98が正常に機能していること(つまりバックアップ機能が正常であること)を知らせることが可能である。
【0151】
またステップS5103でセットされたFeRAM異常表示コマンドが、画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100は、
図26(D)に示すFeRAM異常画像を表示画面7aに表示する。FeRAM異常画像には、「FeRAM異常」の文字画像と、そのエラーナンバー(「エラー10」)の画像とが含まれる。これにより、FeRAM98のバックアップ検査を行っている者に、FeRAM98が正常に機能していないこと(つまりバックアップ機能に異常があること)を知らせることが可能である。
【0152】
ステップS5104では、演出制御用マイコン91は、FeRAM98の全記憶領域をクリアする。そして本処理を終える。なお、FeRAM98のバックアップ検査の終了後、サブ制御基板90に主制御基板80を接続して電源スイッチ155をONにした際には、ROM93に記憶されているメモリマップのバージョン情報がFeRAM98に書き込まれることとなる。
【0153】
9.本形態の効果
以上詳細に説明したように、本形態のパチンコ遊技機1によれば、FeRAM98におけるバージョン情報の先頭チェックバイトの記憶領域(
図9参照)に検査用特定値AAHが記憶されている場合には、FeRAM98のバックアップ検査中であるとみて、FeRAM98の記憶情報の消去を行わない(
図21参照)。そのため、電源投入時に、FeRAM98に記憶されているメモリマップのバージョン情報についての一致/不一致の判定を行って、不一致の場合にFeRAM98の記憶情報を消去する構成であっても、FeRAM98のバックアップ検査中に検査用特定値AAHが消去されてしまって検査判定が正確に実行できないことを防止することが可能である。
【0154】
また本形態では、メモリマップのバージョン確認処理の中で、FeRAM98のバージョン情報についての先頭チェックバイトの値が検査用特定値AAHであるか否かを判定することで、FeRAM98のバックアップ検査中であるかを判断しているため、バージョン情報の確認に関係しない別の情報を読み出してバックアップ検査中かを判断する構成に比べて無駄が無く、円滑に処理進めることが可能である。
【0155】
10.変更例
以下、変更例について説明する。なお、変更例の説明において、上記形態のパチンコ遊技機1と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。勿論、変更例に係る構成同士を適宜組み合わせて構成してもよい。また、上記形態および下記変更例中の技術的特徴は、本明細書において必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0156】
上記形態(第1実施形態)では、FeRAM98のバックアップ検査中であるか否かを、バージョン情報に係る先頭チェックバイトの値を読み出して判定した(
図21のステップS4101及びS4102)。これに対して、
図27に示すように、FeRAM98の未使用領域の値を読み出して判定してもよい。具体的には、
図27に示す変更例(第2実施形態とする)に係るメモリマップのバージョン確認処理では、演出制御用マイコン91はまず、FeRAM98の未使用領域(
図9参照)の値を読み出して(S4111)、この値が検査用特定値AAHと一致するか否かを判定する(S4112)。なお、ステップS4111で読み出す値は、未使用領域に記憶されている値であれば、アドレス7F00H~7FFFHの何れに記憶されている値でもよい。
【0157】
そして、ステップS4112の判定結果がYESであれば、FeRAM98のバックアップ検査中であるため、メモリマップのバージョン確認処理を終える。これに対して、ステップS4112の判定結果がNOであれば、FeRAM98のバックアップ検査中ではないため、FeRAM98からバージョン情報の先頭チェックバイトを読み出して(S4113)、ステップS4103に進む。以降の処理(ステップS4103~S4109)は、上記形態と同様である(
図21に示すステップS4103~S4109参照)。
【0158】
図27に示す構成(第2実施形態)の遊技機によれば、FeRAM98のバックアップ検査時しか書き込まれることのない未使用領域の値を判定することで、FeRAM98のバックアップ検査中か否かを判断しているため、未使用領域を効果的に活用しつつ、バックアップ検査中に検査用特定値AAHを消去してしまうのを防止することが可能である。
【0159】
また上記形態では、FeRAM98に記憶するデータにはチェックデータ(先頭チェックバイト、終了チェックバイト)を付ける構成としたが、チェックデータを付けない構成としてもよい。この場合、
図28に示すように、FeRAM98からバージョン情報の値を読み出して、バックアップ検査の実行中であるか否かを判定してもよい。具体的には、
図28に示す変更例(第3実施形態とする)に係るメモリマップのバージョン確認処理では、演出制御用マイコン91はまず、FeRAM98からバージョン情報を読み出して(S4121)、この値が検査用特定値AAHと一致するか否かを判定する(S4122)。
【0160】
そして、ステップS4122の判定結果がYESであれば、FeRAM98のバックアップ検査中であるため、メモリマップのバージョン確認処理を終える。これに対して、ステップS4122の判定結果がNOであれば、FeRAM98のバックアップ検査中ではないため、ステップS4105に進む。以降の処理(ステップS4105~S4108)は、上記形態と同様である(
図21に示すステップS4105~S4108参照)。なお、FeRAM98に記憶するデータにはチェックデータ(先頭チェックバイト、終了チェックバイト)を付ける構成の遊技機において、
図28に示した構成を採用してもよい。
【0161】
図28に示す構成(第3実施形態)の遊技機によれば、FeRAM98に記憶されているメモリマップのバージョン情報の値を判定することで、FeRAM98のバックアップ検査中か否かを判断しているため、バックアップ検査中に検査用特定値AAHを消去してしまうのを防止しつつ、チェックバイトの確認がない分、バージョン情報の確認を素早く済ませることが可能である。
【0162】
なお、FeRAM98のバックアップ検査中であるか否かの判定に用いる情報は、FeRAM98に記憶されているバージョン情報のチェックデータ(先頭チェックバイト、終了チェックバイト)、バージョン情報自体、及び、未使用領域の値のいずれとも異なる情報でもよい。すなわち、バックアップ検査中はFeRAM98の全記憶領域に検査用特定値AAHが書き込まれるため、検査用特定値AAHと同じ値が書き込まれることがない記憶領域の値であれば、上記の3つの情報以外の情報の値を用いて、バックアップ検査の実行中であるか否かを判定することが可能である。なお、検査用特定値はAAHに限られるものではなく、適宜の値を採用することが可能である。検査用特定値として、通常稼働中にはFeRAM98の何れの記憶領域にも書き込まれることのない値を採用すれば、バックアップ検査において読み出す情報は、FeRAM98に記憶される何れの情報でもよいこととなる。
【0163】
また上記形態では、電源投入に応じて、FeRAM98から読み出した値がAAHであれば(
図21に示すステップS4102でYES)、メモリマップのバージョン情報の一致/不一致の判定(
図21に示すステップS4105)を行わない構成とした。これに対して、メモリマップのバージョン情報の確認(一致/不一致の判定、ステップS4105)を行って、この判定結果が不一致である場合に、バックアップ検査の実行中であるか否か(すなわち、FeRAM98から読み出した値がAAHであるか否か)を判定して、AAHであれば、バックアップ検査中であるため、FeRAM98のクリアを行わない構成としてもよい。
【0164】
また上記形態では、FeRAM98を、バックアップ用記憶手段、つまり、電断時でも記憶内容を保持可能な記憶手段として有する構成とした。これに対して、バックアップ用記憶手段は、バックアップ電源回路151から電力を供給されることで電断時でも記憶内容を保持可能なRAMであってもよい。
【0165】
また上記形態では、FeRAM98(バックアップ用記憶手段)はサブ制御基板90に実装されていたが、バックアップ用記憶手段が主制御基板80や払出制御基板110などの他の基板に実装されている構成としてもよい。
【0166】
また上記形態では、メモリマップのバージョン(所定の事柄の一例)を示す情報を、所定の事柄を示す特定情報として構成したが、所定の事柄を示す特定情報は、機種(所定の事柄の別例)を示す情報など、適宜変更可能である。
【0167】
また上記形態では、FeRAM98に記憶されているメモリマップのバージョン情報と、ROM93に記憶されているメモリマップのバージョン情報とが一致しない場合や、バージョン情報に係るチェックデータ(先頭チェックバイト)が書き込んだ値(AAH)と異なっている場合には、FeRAM98の全記憶領域をクリアすることとした(
図21に示すステップS4107参照)。これに対して、FeRAM98における一部の記憶領域をクリアする構成としてもよい。このような構成とする場合、メモリマップのバージョン情報に関する情報だけをクリアする構成としてもよいし、メモリマップのバージョン情報に関する情報と、これ以外の一部の情報とをクリアする構成としてもよい。
【0168】
また上記形態では、バージョン情報に係るチェックデータ(先頭チェックバイト)が書き込んだ値(AAH)と異なっている場合には、FeRAM98の全記憶領域をクリアすることとしたが、FeRAM98の記憶情報を何ら書き換えることなく、メモリマップのバージョン確認処理を終える構成としてもよい。このような構成とする場合、メモリマップのバージョン情報が必要な状況では、ROM93に記憶されているメモリマップのバージョン情報の値を用いるものとする。
【0169】
また上記形態では、ROM93の所定の記憶領域に格納されているメモリマップのバージョン情報を読み出して、FeRAM98に記憶されているメモリマップのバージョン情報と比較する構成としたが(
図7、
図21参照)、ROM93に記憶されているプログラムに、メモリマップのバージョンを示す固定値と、FeRAM98に記憶されているメモリマップのバージョン情報とを比較する処理が入っている構成であってもよい。このような構成であっても、「バックアップ用記憶手段(FeRAM98)とは異なる記憶手段にメモリマップのバージョン情報が記憶されている」と言える。
【0170】
また上記形態では、FeRAM98に記憶されているメモリマップのバージョン情報は、FeRAM98についてのメモリマップのバージョン情報としたが、RAM94についてのメモリマップのバージョン情報や、ROM93についてのメモリマップのバージョン情報であってもよい。
【0171】
また上記形態では、バックアップ用記憶手段(FeRAM98)に書き込まれる特定値をバックアップ検査に用いられる検査用特定値としたが、バックアップ用記憶手段に書き込まれる特定値は、バックアップ検査以外の目的でFeRAM98に書き込まれる値であって、電源断を経て電源再投入がなされた場合に用いられる値であれば、バックアップ検査に用いられる値でなくてもよい。
【0172】
また上記形態では、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づいて取得する乱数(判定情報)として、大当たり乱数等の4つの乱数を取得することとしたが、一つの乱数を取得してその乱数に基づいて、大当たりか否か、当たりの種別、リーチの有無、及び変動パターンの種類を決めるようにしてもよい。すなわち、始動入賞に基づいて取得する乱数の個数および各乱数において何を決定するようにするかは任意に設定可能である。
【0173】
また上記形態では、いわゆるV確機(特定領域39の通過に基づいて高確率状態に制御する遊技機)として構成したが、当選した大当たり図柄の種類に基づいて高確率状態への移行が決定される遊技機として構成してもよい。また上記形態では、いわゆるST機(確変の回数切りの遊技機)として構成したが、一旦高確率状態に制御されると次の大当たり遊技の開始まで高確率状態への制御が続く遊技機(いわゆる確変ループタイプの遊技機)として構成してもよい。また上記形態では、特
図2の変動を特
図1の変動に優先して実行するように構成した。これに対して、特
図2の変動と特
図1の変動を始動口への入賞順序に従って実行するように構成してもよい。この場合、第1特図保留と第2特図保留とを合算して記憶可能な記憶領域をRAM84に設け、その記憶領域に入賞順序に従って判定情報を記憶し、記憶順の古いものから消化するように構成すればよい。また、特
図2の変動中であっても特
図1の変動を実行でき、且つ、特
図1の変動中であっても特
図2の変動を実行できるように構成してもよい。つまり、所謂同時変動を行う遊技機として構成してもよい。また、いわゆる1種2種混合機や、ハネモノタイプの遊技機として構成してもよい。すなわち、本発明は、遊技機のゲーム性を問わず、種々のゲーム性の遊技機に対して好適に採用することが可能である。
【0174】
また上記形態では、大当たりに当選してそのことを示す特別図柄が停止表示されたことを制御条件として、大当たり遊技状態(特別遊技状態)に制御されるパチンコ遊技機として構成した。これに対して、スロットマシン(回胴式遊技機、パチスロ遊技機)として構成してもよい。この場合、ビッグボーナスやレギュラーボーナスへの入賞によって獲得メダルを増やす所謂ノーマル機であれば、ビッグボーナスやレギュラーボーナス等のボーナスを実行している状態が特別遊技状態に相当する。また、小役に頻繁に入賞可能なART(アシストリプレイタイム)やAT(アシストタイム)等の特別な遊技期間にて獲得メダルを増やす所謂ART機やAT機であれば、ARTやAT中の状態が特別遊技状態に相当する。また、ノーマル機では特別遊技状態への制御条件は、ビッグボーナスやレギュラーボーナスに当選した上で、有効化された入賞ライン上に、ビッグボーナスやレギュラーボーナスへの移行契機となる図柄の組み合せが各リールの表示結果として導出表示されることである。また、ART機やAT機では特別遊技状態への制御条件は、例えば、ARTやATの実行抽選に当選した上で、規定ゲーム数を消化するなどしてARTやATの発動タイミングを迎えることである。
【0175】
11.本明細書に開示されている発明
この[発明を実施するための形態]における前段落までには、以下の発明が開示されている。以下の説明では、実施形態における対応する構成の名称や表現、図面に使用した符号を参考のためにかっこ書きで付記している。但し、各発明の構成要素はこの付記に限定されるものではない。なお、発明Aは、以下の発明A1~A6の総称である。
【0176】
発明A1:
電断状態でも記憶情報を保持可能なバックアップ用記憶手段(FeRAM98)と、
電源投入に基づいて、前記バックアップ用記憶手段に記憶されている所定の事柄(メモリマップのバージョン)を示す特定情報(バージョン情報)と、前記バックアップ用記憶手段とは異なる記憶手段(ROM93)に記憶されている前記所定の事柄を示す情報(メモリマップのバージョン情報)とが一致するかの情報判定を行う情報判定手段(演出制御用マイコン91によるS4105の処理)と、
前記情報判定において一致しないと判定された場合に、前記バックアップ用記憶手段の記憶情報を消去する消去手段(演出制御用マイコン91によるステップS4107の処理)と、を備える遊技機(パチンコ遊技機1)であって、
前記消去手段による記憶情報の消去は、前記バックアップ用記憶手段の所定の記憶領域に特定値(検査用特定値「AAH」)が記憶されていない場合(ステップS4102でNOの場合)に行われることがあり、前記バックアップ用記憶手段の所定の記憶領域に前記特定値が記憶されている場合(ステップS4102でYESの場合)には行われないことを特徴とする遊技機。
【0177】
バックアップ用記憶手段に特定値が書き込まれた後の電源再投入時に、バックアップ用記憶手段の特定情報についての一致/不一致の判定が行われると、特定情報ではなく特定値が書き込まれていることで不一致の判定結果となって、バックアップ用記憶手段に書き込まれていた特定値が消去されてしまい、特定値を書き込んだ目的を達成できないおそれがある。
【0178】
この構成の遊技機によれば、バックアップ用記憶手段の所定の記憶領域に特定値が記憶されている場合にはバックアップ用記憶手段の記憶情報の消去を行わないため、特定値が消去されてしまってその書込目的を果たせないことを防止することが可能である。
【0179】
発明A2:
発明A1に記載の遊技機であって、
前記所定の記憶領域は、前記バックアップ用記憶手段に前記特定情報(メモリマップのバージョン情報)と共に書き込まれるチェックデータ(先頭チェックバイト)が記憶される領域である(
図9、
図21参照)ことを特徴とする遊技機。
【0180】
この構成の遊技機によれば、特定情報の信頼性を確認するためのチェックデータの値を判定することで、バックアップ用記憶手段にて特定値を活用中か否かを判断して、不用意に特定値を消去してしまうのを防止することが可能である。
【0181】
発明A3:
発明A1に記載の遊技機であって、
前記所定の記憶領域は、前記バックアップ用記憶手段の未使用領域である(
図9、
図27参照)ことを特徴とする遊技機。
【0182】
この構成の遊技機によれば、バックアップ用記憶手段の検査時しか書き込まれることのない未使用領域の値を判定することで、バックアップ用記憶手段にて特定値を活用中か否かを判断して、不用意に特定値を消去してしまうのを防止することが可能である。
【0183】
発明A4:
発明A1に記載の遊技機であって、
前記所定の記憶領域は、前記特定情報(メモリマップのバージョン情報)の記憶領域である(
図9、
図28参照)ことを特徴とする遊技機。
【0184】
この構成の遊技機によれば、バックアップ用記憶手段の特定情報の値を判定することで、バックアップ用記憶手段にて特定値を活用中か否かを判断して、不用意に特定値を消去してしまうのを防止することが可能である。
【0185】
発明A5:
発明A1から発明A4までのいずれかに記載の遊技機であって、
前記所定の事柄は、メモリマップのバージョンであることを特徴とする遊技機。
【0186】
この構成の遊技機によれば、電源投入時に、バックアップ用記憶手段に記憶されているメモリマップのバージョン情報についての一致/不一致の判定を行って、不一致の場合にバックアップ用記憶手段の記憶情報を消去する構成であっても、特定値が消去されてしまってその書込目的を果たせないことを防止することが可能である。
【0187】
発明A6:
発明A1から発明A5までのいずれかに記載の遊技機であって、
前記特定値(AAH)は、前記バックアップ用記憶手段(FeRAM98)のバックアップ検査において書き込まれる値であることを特徴とする遊技機。
なお発明A6の遊技機は、電源再投入前に前記バックアップ用記憶手段に書き込まれた前記特定値(検査用特定値「AAH」)が、電源再投入後も記憶されているかの検査判定を行う検査判定手段(演出制御用マイコン91によるステップS5101の処理)を備えていると言える。
【0188】
この構成の遊技機によれば、バックアップ用記憶手段の所定の記憶領域に特定値が記憶されている場合には、バックアップ検査中であるとみてバックアップ用記憶手段の記憶情報の消去を行わないため、特定値が消去されてしまってバックアップ用記憶手段のバックアップ検査を正確に行うことができない事態の発生を防止可能である。
【0189】
ところで従来より、例えば特許第6804772号公報に示されているように、パチンコ遊技機等の遊技機として、電断時でも記憶内容を保持可能な記憶手段であるFeRAM(Ferroelectric RAM)を有し、このFeRAMにバックアップが必要なデータを保存しておく遊技機が知られている。ところで、電断時でも記憶内容を保持可能な記憶手段を搭載する場合には、その記憶手段が正常に機能するか、すなわち、その記憶手段に記憶した情報が電断後も保持されるかを検査しておくことが望ましい。そしてこの検査においては、検査用に記憶手段に書き込んだ情報が、その保持の確認の前に消されてしまうことがないようにする必要がある。つまり、電断時でも記憶内容を保持可能な記憶手段を搭載する場合、ある目的のために記憶手段に書き込んだ情報が、その目的で使用される前に消されてしまうことがないようにする必要がある。
【0190】
上記した発明Aは、特許第6804772号公報に記載の遊技機に対して、「消去手段によるバックアップ用記憶手段の記憶情報の消去は、バックアップ用記憶手段の所定の記憶領域に特定値が記憶されていない場合に行われることがあり、バックアップ用記憶手段の所定の記憶領域に特定値が記憶されている場合には行われない」という点で相違している。これにより、発明Aは、「ある目的のために記憶手段に書き込んだ情報が、その目的で使用される前に消されてしまう事態の発生を防止する」という課題を解決する(作用効果を奏する)ことが可能である。
【符号の説明】
【0191】
1…パチンコ遊技機
91…演出制御用マイコン
93…ROM(バックアップ用記憶手段とは異なる記憶手段)
98…FeRAM(バックアップ用記憶手段)