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  • 特開-空調機のカバー構造体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154304
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】空調機のカバー構造体
(51)【国際特許分類】
   F24F 5/00 20060101AFI20221005BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
F24F5/00 Z
F24F5/00 K
F24F1/0007 401Z
F24F1/0007 401A
F24F13/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057262
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(71)【出願人】
【識別番号】390002886
【氏名又は名称】株式会社長府製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】小野 幹治
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】藤吉 充
(72)【発明者】
【氏名】久保田 祥弘
【テーマコード(参考)】
3L051
3L054
【Fターム(参考)】
3L051BJ10
3L054BF20
(57)【要約】
【課題】放射空調機の室内機を覆うカバー構造体を提供することを目的とする。
【解決手段】カバー構造体は、壁面に取り付けられた空調機を覆う構造を有し、空調機の前面を覆う前面パネルと、空調機の底面を覆う底面パネルと、空調機の側面の前方部分及び下側部分を覆う側面パネルとを含む。カバー構造体は、前面パネルの下縁と底面パネルの前縁とが連接し、前面パネル及び底面パネルの側縁と側面パネルの前縁及び下縁が連接し、前面パネル、底面パネル、及び側面パネルは、空調機から離隔して設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に取り付けられた空調機を覆うカバー構造体であって、
前記カバー構造体は、
前記空調機の前面を覆う前面パネルと、
前記空調機の底面を覆う底面パネルと、
前記空調機の側面の前方部分及び下側部分を覆う側面パネルと、
を含み、
前記前面パネルの下縁と前記底面パネルの前縁とが連接し、前記前面パネル及び前記底面パネルの側縁と前記側面パネルの前縁及び下縁が連接し、
前記前面パネル、前記底面パネル、及び前記側面パネルは、前記空調機から離隔して設けられている、ことを特徴とするカバー構造体。
【請求項2】
前記空調機は前面に吸気口を有し、前記前面パネル、前記底面パネル、及び前記側面パネルで前記吸気口を覆う、請求項1に記載のカバー構造体。
【請求項3】
前記前面パネル、前記底面パネル、及び前記側面パネルが前記空調機から離隔する空間が前記吸気口に流れる空気の流路を形成する、請求項2に記載のカバー構造体。
【請求項4】
前記前面パネル又は前記側面パネルは、上端に前記空調機側に折り曲げられた折曲部を有し、前記折曲部が前記空調機から突出する取付け具と重なっている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のカバー構造体。
【請求項5】
前記側面パネルに前記空調機へ架橋する取付け板が設けられている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のカバー構造体。
【請求項6】
前記前面パネル、前記底面パネル、及び前記側面パネルは、前記空調機から40mm以上離隔して配置されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のカバー構造体。
【請求項7】
前記前面パネル、前記底面パネル、及び前記側面パネルは一体成形されている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のカバー構造体。
【請求項8】
前記前面パネル、前記底面パネル、及び前記側面パネルのうち少なくとも一部のパネルに照明器具、スピーカ、及びプロジェクタの少なくとも1つが付設されている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のカバー構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は放射空調機の室内機を覆うカバー構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭のリビング等に設置される空調機(一般にエアコンと呼ばれている)は、送風口から冷された(又は暖められた)空気を吹き出して室内の温度を調節している。これに対し水や空気によって冷やされた(又は暖められた)放射パネルにより室温調整を行う放射方式の空調装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示される放射空調装置は、天井面に空調機と扁平形状を有する中空のケースが取り付けられている。扁平形状を有する中空のケースは、間隙を有するように対面させた透湿性を有する放射パネルと断熱パネルとから構成され、この2つのパネルの間隙に風路が形成され空調機から冷やされた(又は暖められた)空気が送風される構造を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016?217630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される放射空調装置のように天井に空調機を設置する方式は新築の建物に適用することができるが、既存の建物に設置するには不向きである。そこで、空調機を一般的なエアコンのように壁に取り付ける方式が考えられる。その場合、放射空調システムの空調機は天井側に空気を送風する必要があるため、空気吸込口と送風口の配置が一般のエアコンと反転することが問題となる。
【0006】
家庭用のエアコンは室内機の上面に空気吸込口があり前面下方に送風口が設けられ、インテリア性を重視して機能美を兼ね備えたデザインがされている。一方、放射空調機の室内機は空気の吸込口が前面にあり、空気吸込口は比較的大きな面積を占めるため外観に大きく影響を与えるものとなる。空気吸込口は、空気を吸い込むという機能を確保するためだけでなく、風切り音を極力小さくするために本体の全体に占める面積を小さくすることは難しく、また空調機の機構上、配置を変更することもできないという問題がある。
【0007】
このような問題に鑑み本発明の一実施形態は、放射空調機の室内機を覆うカバー構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係るカバー構造体は、壁面に取り付けられた空調機を覆う構造を有し、空調機の前面を覆う前面パネルと、空調機の底面を覆う底面パネルと、空調機の側面の前方部分及び下側部分を覆う側面パネルとを含む。カバー構造体は、前面パネルの下縁と底面パネルの前縁とが連接し、前面パネル及び底面パネルの側縁と側面パネルの前縁及び下縁が連接し、前面パネル、底面パネル、及び側面パネルは、空調機から離隔して設けられている。
【0009】
空調機は前面に吸気口を有し、カバー構造体は、前面パネル、底面パネル、及び側面パネルが吸気口を覆うように設けられる。カバー構造体は、前面パネル、底面パネル、及び側面パネルが空調機から離隔して配置され、その離隔する空間が吸気口に流れる空気の流路を形成するように設置される。カバー構造体は前面パネル、底面パネル、及び側面パネルが空調機から40mm以上離隔して配置されていることが好ましい。
【0010】
前面パネル又は側面パネルは、上端に空調機側に折り曲げられた折曲部を有し、折曲部が空調機から突出する取付け具と重なる構造を有していてもよい。また、カバー構造体は、側面パネルに空調機へ架橋する取付け板が設けられていてもよい。カバー構造体は、前面パネル、底面パネル、及び側面パネルが一体成形されていてもよい。
【0011】
カバー構造体には照明器具、スピーカ、プロジェクタの少なくとも一つ又は複数が設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一実施形態によれば、放射空調装置の空調機を覆うようにカバー構造体が設置されることで、空気吸入口が外観に現れないようにすることができ、空調機から離隔して配置されることで、空気吸入口への空気の流路を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る放射空調装置の構成を説明する図であり、(A)は上方からみた斜視図を示し、(B)は下方からみた斜視図を示す。
図2】本発明の一実施形態に係るカバー構造体の構造を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係るカバー構造体の構造を示す図であり、(A)は正面図を示し、(B)は側面図を示す。
図4】本発明の一実施形態に係るカバー構造体の構造を示す図であり、(A)は平面図を示し、(B)は背面図を示す。
図5】本発明の一実施形態に係るカバー構造体の構成を示す図であり、(A)は照明器具が付加された構成を示し、(B)はさらに化粧板が設けられた構成を示す。
図6】本発明の一実施形態に係るカバー構造体の構成を示す図であり、(A)は照明器具が付加された構成を示し、(B)はプロジェクタが付加された構成を示す。
図7】本発明の一実施形態に係るカバー構造体の構成を示す図であり、(A)は平面スピーカが付加された構成を示し、(B)はカバー構造体が平面スピーカで構成された例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。さらに各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有しない。
【0015】
1.放射冷却装置の全体的な構成
図1(A)及び(B)は、放射空調装置100の構成を示す斜視図である。図1(A)は、放射空調装置100を上方からみたときの斜視図を示し、図1(B)は、放射空調装置100を下方からみたときの斜視図を示す。なお、放射空調装置100は壁面及び天井面に設置されるため、図1(A)に示す構造は直接視認されるものではない。
【0016】
放射空調装置100は、空調機102、カバー構造体104、断熱パネル106、放射パネル108を含む。空調機102は室内の壁面に取り付けられる。空調機102は、空気吸入口(図示されず)が前面に設けられており、上面(天井側)に送風口114が設けられている。空調機102の大部分はカバー構造体104で覆われており、空気吸入口112は直接外観に現れないようにされている。
【0017】
断熱パネル106は、空調機102と重なる部分から前方にかけて設けられている。断熱パネル106は、例えば、樹脂、石膏、ウレタン、グラスウール、ロックウール等で形成される。断熱パネル106は天井面に取付けられた固定具110によって天井面に取付けられる。
【0018】
断熱パネル106は、天井に取り付ける前は複数に分割されていてもよい。例えば、図1(A)に示すように、空調機102の上側の第1断熱パネル106a、その前方の第2断熱パネル106b、さらにその前方の第3断熱パネル106cの3つの部分に分けられていてもよい。第1断熱パネル106aは空調機102と天井面との間に挿入されるように設けられる。この第1断熱パネル106aの位置を基準として第2断熱パネル106bが設けられ、さらに第3断熱パネル106cが設けられる。
【0019】
第1断熱パネル106aには空調機102の送風口114を塞がないように全面に広がる凹溝が形成されており、第2断熱パネル106b及び第3断熱パネル106cにも凹溝が形成されている。放射パネル108は第2断熱パネル106b及び第3断熱パネル106cの全体を覆うように設けられる。放射パネル108は、例えば、布製であり、平板状に広がるようにフレームに張られた構造を有する。このような放射パネル108は、天井面に着脱可能に取り付けられる。
【0020】
第2断熱パネル106b及び第3断熱パネル106cに設けられた凹溝と放射パネル108との間に送風口114から送風される空気の流路が形成される。凹溝は第3断熱パネル106cの先端で開放されており、この流路を流れた空気はそのまま室内に流れ出される。放射空調装置100は、空調機102から送風される冷やされた空気又は暖められた空気をこの流路に流すことで、放射冷却又は熱放射によって室内の空調を行う。放射空調装置100は、冷やされた空気又は暖められた空気で直接室温を調整するだけでなく、放射パネル108よって空調を行うので、空調機102から送風される空気の風量は小さくても十分な空調効果を発揮することができる。すなわち、空調機102の前面にカバー構造体104を設けても、動作に影響を及ぼさないようにすることができる。
【0021】
2.カバー構造体の構成
図2は、本発明の一実施形態に係る放射空調装置100の空調機102に取り付けられるカバー構造体104の斜視図を示す。また、図3(A)は、カバー構造体104の正面図、図3(B)は、カバー構造体104の側面図、図4(A)は、カバー構造体104の平面図、図4(B)は、カバー構造体104の背面図を示す。以下の説明はこれらの図面を参照するものとする。
【0022】
空調機102は前面に空気吸入口112が設けられ、上面(天井側)に送風口114が設けられている。カバー構造体104は空調機102の前面、底面、及び側面の少なくとも一部を覆う構造を有する。具体的にカバー構造体104は、空調機102の前面を覆う前面パネル104aと、底面を覆う底面パネル104bと側面を覆う側面パネル104cを含んで構成される。側面パネル104cは空調機102の左右両側に設けられていることが好ましい。
【0023】
空調機102は室内で比較的高い位置に設置される。別言すれば、空調機102は室内の天井に近い位置に設置される。前面パネル104aは、空調機102を正面及び斜め下から見たときに空気吸入口が視認されない大きさ及び形状を有する。また、底面パネル104bは空調機102の下側からみたときに、空気吸入口が視認されない大きさ及び形状を有する。また、側面パネル104cは空調機102を横側からみたときに空気吸入口が視認されないように設けられる。
【0024】
後述されるようにカバー構造体104は、空調機102を覆うために設けられ、さらに他の機能として吸気経路を形成するために設けられる。吸気経路を形成するという機能を実現するためには、壁面に設置される空調機102の側面全体を覆うのではなく、側面の一部を覆う形状を有することが好ましい。例えば、図2に示すようにL字形の形状を有し、前方部分から下側部分を覆う形状を有することが好ましい。また、図示されないが、側面パネル104cは、上端から下端にかけて幅が広がる三角形状を有していてもよい。
【0025】
本実施形態では、カバー構造体104を前面パネル104a、底面パネル104b、側面パネル104cに分けて説明するが、空調機102の外観を隠すために各パネルは連続していることが好ましい。別言すれば、前面パネル104a、底面パネル104b、及び側面パネル104cは一体化されていることが好ましい。例えば、カバー構造体104は一体成形されていてもよい。
【0026】
カバー構造体104は、前面パネル104a、底面パネル104b、及び側面パネル104cが連接されていることで外観上の美感を与える意匠を施すことができる。例えば、図2に示すように、前面パネル104aの下方から底面パネル104bの前方にかけてなだらかな曲面形状に成形することができる。また、図示されないが、前面パネル104aから側面パネル104cにかけて、底面パネル104bから側面パネル104cにかけても同様に曲面形状とすることができる。
【0027】
また、カバー構造体104は、色彩が施されていてもよいし、模様、図形、抽象画が描かれていてもよい。すなわち、カバー構造体104はインテリアの一部として用いられてもよく、設置される室内に調和を与える意匠が施されていてもよい。
【0028】
カバー構造体104は、形状の安定性を有し(形状を保持することができ)、軽量な素材で形成されることが好ましい。カバー構造体104は、例えば、プラスチック、金属、不織布等で形成されることが好ましい。また、カバー構造体104は、網目の細かいメッシュ状の部材で形成されていてもよい。さらに、カバー構造体104は、細い木枠に和紙を張った構造で形成されてもよい。
【0029】
カバー構造体104は、空調機102に密接するのではなく、空調機102の前面、底面、及び側面から離隔して設置される。カバー構造体104と空調機102との間には空間が形成され空気吸入口112に流れる空気の流路が形成される。流路が狭いと空調機102に負荷がかかり所定量の空気を放射パネル108に吹き出すために回転数を上げなければならなくなる。一方、必要以上に空間を広げすぎてもカバー構造体104が大型化するだけで好ましくない。
【0030】
一般の空調機(エアコン)のように冷気又は暖気のある空気を吹き出して室温を調節している。放射空調装置100は放射パネル108の温度を制御できればよいので、一般の空調機(エアコン)のような風量を必要としない。したがって、カバー構造体104と空調機102との間の空間は比較的狭くすることができる。たとえば、カバー構造体104と空調機102との距離は、10mm以上300mm以下、例えば30mm以上300mm以下、好ましくは40mm以上300mm以下にすることができる。例えば、カバー構造体104は空調機102から40mm程度の間隔を空けて配置されていることが好ましい。カバー構造体104がこのような間隔を有して空調機102を覆うことで、空気吸入口112に流れる空気の流路を形成すると共に空気吸入口112を外観から隠し、見る人に違和感を与えない大きさとすることができる。
【0031】
カバー構造体104は複数箇所で空調機102に取り付けられる。例えば、取付け部材は空調機102の左右上側及び下側の4箇所に設けられることが好ましい。このようにカバー構造体104が複数箇所で空調機102に取付けられることで、安定した状態で設置することができる。
【0032】
カバー構造体104は取付け部材により空調機102に取り付けられる。取付け部材の構造、形状は適宜選択される。カバー構造体104は空調機102から離隔して配置されるので、側面パネル104cと空調機102とを架橋する取付け板116が用いられてもよい。取付け板116は両端に平板面を有し、この部分が側面パネル104c及び空調機102と接してビス等の締結具で留められる構造を有していてもよい。
【0033】
また、前面パネル104a又は側面パネル104cは、上端が空調機102の側に折り曲げられた折曲部105が設けられていてもよい。折曲部105が空調機102から突出する取付け具115と重なるように配置され、この部分でビス等の締結具により留められていてもよい。なお、ここで例示するカバー構造体104の取付け構造は一例であり、他の構造を有していてもよい。
【0034】
このように、本発明の一実施形態に係るカバー構造体104は、放射空調装置100を構成する空調機102の外面を覆い、また空調機102と所定の間隔を有するように離隔して設置されることで、空気吸入口112を視認されないようにすることができ、また空気吸入口112へ流れる空気の流路を形成することができる。これにより、放射空調装置100の空調機102を室内の壁面に設置する場合でも、空調機としての機能を維持しつつ美感を損なわないようにすることができる。
【0035】
3.機能が付加されたカバー構造体
カバー構造体104は、空気吸入口112を覆い美感を向上させ、及び空気の流路を形成するという2つの機能に加え、別部材を取り付ける新たな機能を付加することができる。以下にその一例を示す。
【0036】
図5(A)は、カバー構造体104に照明器具が設置された一例を示す。照明器具118は、例えば、前面パネル104aに設置することができる。照明器具118は、放射パネル108の方向に光が当てられるようにして、間接照明として用いることができる。照明器具118の光源としてLEDを用いることで小型軽量化を図ることができる。また、光源の色調を変えられるようにして、照明器具118に演色性を持たせてもよい。
【0037】
放射空調装置100が寝室に設置される場合、放射パネル108はベッドの上方に設置される。放射パネル108は前述のように布製であるので、照明器具118の光によって寝室内を演色することができる。図5(B)に示すように、カバー構造体104に化粧板120を設け、下側から照明器具118が直接視認できないようにされていてもよい。図5(A)及び(B)に示すように、照明器具118の形状、光源の数は適宜選択することができる。
【0038】
図6(A)は、底面パネル104bに照明器具118を設置した一例を示す。この例では、指向性の高い照明器具118を用いることで、狭いエリアを直接照明することができ、例えば、読書灯として利用することができる。図5(A)及び(B)、並びに図6(A)に示すように、カバー構造体104に照明器具118を設置することで、空調機102の機能を損ねずに照明の用途に使用することができる。
【0039】
図6(B)は、カバー構造体104にプロジェクタ122を取り付けた一例を示す。カバー構造体104の斜め上方には放射パネル108が設けられる。放射パネル108は平板状であるので映像を映すスクリーンとして用いることができる。薄型のプロジェクタ122であれば、カバー構造体104の内側に設置して前面パネル104aの投影孔から映像を投影することもできる。
【0040】
図7(A)は、カバー構造体104にスピーカ124を設置した一例を示す。スピーカ124は、コーン型のスピーカでもよいが、平面スピーカであればカバー構造体104の表面にそのまま設置することができる。図7(A)は、スピーカ124が前面パネル104aに設置される例を示すが、左右の側面パネル104cにスピーカ124が設けられていてもよい。また、図7(B)に示すように、カバー構造体104の全体を平面スピーカで構成してもよい。放射空調装置100が寝室に設置される場合、カバー構造体104に設けたスピーカ124から環境音楽を流すことでより良い睡眠環境を提供することができる。
【0041】
カバー構造体104に複数の機能を付加することもできる。例えば、照明器具118とスピーカ124を組み合わせて、照明による演色と音響効果を組み合わせて目的に応じた(睡眠、起床、休息等)室内環境を演出することができる。また、プロジェクタ122とスピーカ124を組み合わせてオーディオ・ビジュアルシステムを構成することもできる。
【0042】
このように、本発明の一実施形態に係るカバー構造体104によれば、空調機102を覆い、空気の流入経路を形成するのみでなく、別部材を取り付けることで異なる機能を付加することができる。空調機102は壁の比較的高い位置に設置されるので、カバー構造体104に新たな機能を付加する場合でも、居住空間に影響を与えないで済むという利点を有する。
【符号の説明】
【0043】
100:放射空調装置、102:空調機、104:カバー構造体、104a:前面パネル、104b:底面パネル、104c:側面パネル、105:折曲部、106:断熱パネル、106a:第1断熱パネル、106b:第2断熱パネル、106c:第3断熱パネル、108:放射パネル、110:固定具、112:空気吸入口、114:送風口、115:取付け具、116:取付け板、118:照明器具、120:化粧板、122:プロジェクタ、124:スピーカ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7