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特開2022-154309情報処理プログラム、情報処理装置および情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154309
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】情報処理プログラム、情報処理装置および情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20180101AFI20221005BHJP
【FI】
G06Q50/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057268
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】韓 浩
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ケアスタッフ等の負担を軽減することが可能な情報処理プログラム、情報処理装置および情報処理方法を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、外部データベースから、当該看介護施設のケア対象者の対象者情報を取得するS101。対象者情報に基づき、ケア対象者の状態を表す複数の項目各々について、ケア対象者の状態を定量的に評価するS102。評価結果に基づいて、ケア対象者の状態を改善するための要改善項目を抽出しS103、ケア対象者のケア計画に組み込む優先度を決定するS104。所定の期間にわたって、ケア計画が実施されたと判断したときS106:YES、当該ケア対象者の状態を解析するS107。この解析結果を要改善項目と関連付けて記憶するS108。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケア対象者に関する対象者情報を取得するステップ(a)と、
前記ステップ(a)で取得された前記対象者情報に基づいて、前記ケア対象者の状態を表す複数の項目の中から、改善を要する要改善項目を抽出するステップ(b)と
を有する処理をコンピューターに実行させるための情報処理プログラム。
【請求項2】
前記ステップ(b)で抽出された前記要改善項目と、前記ケア対象者のケア計画とを関連付けて記憶部に記憶させるステップ(c)の処理をさらにコンピューターに実行させる請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項3】
前記ステップ(c)では、前記ケア計画に前記要改善項目が組み込まれているか否かに関する情報を記憶させる請求項2に記載の情報処理プログラム。
【請求項4】
前記ステップ(c)では、前記ケア計画に前記要改善項目が組み込まれていないとき、前記ケア計画に前記要改善項目が反映されていない理由を記憶させる請求項3に記載の情報処理プログラム。
【請求項5】
前記ステップ(b)で抽出された前記要改善項目のうち、前記ケア対象者のケア計画に組み込む優先度を決定するステップ(d)の処理をさらにコンピューターに実行させる請求項1~4のいずれかに記載の情報処理プログラム。
【請求項6】
前記ケア計画の実施後に、前記ケア対象者の状態を解析するステップ(e)の処理をさらにコンピューターに実行させる請求項2~5のいずれかに記載の情報処理プログラム。
【請求項7】
前記ステップ(e)で解析された結果を、前記要改善項目と関連付けて記憶するステップ(f)の処理をさらにコンピューターに実行させる請求項6に記載の情報処理プログラム。
【請求項8】
前記ステップ(b)は、
前記ステップ(a)で取得された前記対象者情報に基づいて、前記複数の項目各々における前記ケア対象者の状態を評価するステップ(b1)と、
前記ステップ(b1)で評価された結果に基づいて、前記要改善項目を抽出するステップ(b2)とを含む請求項1~7のいずれかに記載の情報処理プログラム。
【請求項9】
前記ステップ(b1)では、前記複数の項目各々における前記ケア対象者の状態を定量的に評価する請求項8に記載の情報処理プログラム。
【請求項10】
前記ステップ(a)では、データベースから前記対象者情報を取得する請求項1~9のいずれかに記載の情報処理プログラム。
【請求項11】
前記ステップ(b)で抽出された前記要改善項目に関する情報を出力するステップ(g)の処理をさらにコンピューターに実行させる請求項1~10のいずれかに記載の情報処理プログラム。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の情報処理プログラムを実行する情報処理装置。
【請求項13】
ケア対象者に関する対象者情報を取得するステップ(a)と、
前記ステップ(a)で取得された前記対象者情報に基づいて、前記ケア対象者の状態を表す複数の項目の中から、改善を要する要改善項目を抽出するステップ(b)と
を含む情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理プログラム、情報処理装置および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
我が国は、戦後の高度経済成長に伴う生活水準の向上、衛生環境の改善、および医療水準の向上等により、長寿命化が顕著となっている。このため、出生率の低下と相まって、高齢化率が高い高齢化社会になっている。このような高齢化社会では、病気、怪我、および加齢等により、介護や看護等を必要とする要介護者および要看護者等(以下、「ケア対象者」と称する)の増加が想定される。
【0003】
病院や老人福祉施設等の施設(以下、「看介護施設」と称する)では、介護士や看護師等(以下、「ケアスタッフ」と称する)によってケア対象者へのケア等の対応が行われている(たとえば、特許文献1等参照)。ケアスタッフは、ケア対象者各々のケア計画(ケアプランともいう)に沿って、ケアを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-192065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような看介護施設では、業務を効率化することにより、ケアスタッフ等の負担を軽減することが望まれている。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、ケアスタッフ等の負担を軽減することが可能な情報処理プログラム、情報処理装置および情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0008】
(1)ケア対象者に関する対象者情報を取得するステップ(a)と、前記ステップ(a)で取得された前記対象者情報に基づいて、前記ケア対象者の状態を表す複数の項目の中から、改善を要する要改善項目を抽出するステップ(b)とを有する処理をコンピューターに実行させるための情報処理プログラム。
【0009】
(2)前記ステップ(b)で抽出された前記要改善項目と、前記ケア対象者のケア計画とを関連付けて記憶部に記憶させるステップ(c)の処理をさらにコンピューターに実行させる上記(1)に記載の情報処理プログラム。
【0010】
(3)前記ステップ(c)では、前記ケア計画に前記要改善項目が組み込まれているか否かに関する情報を記憶させる上記(2)に記載の情報処理プログラム。
【0011】
(4)前記ステップ(c)では、前記ケア計画に前記要改善項目が組み込まれていないとき、前記ケア計画に前記要改善項目が反映されていない理由を記憶させる上記(3)に記載の情報処理プログラム。
【0012】
(5)前記ステップ(b)で抽出された前記要改善項目のうち、前記ケア対象者のケア計画に組み込む優先度を決定するステップ(d)の処理をさらにコンピューターに実行させる上記(1)~(4)のいずれかに記載の情報処理プログラム。
【0013】
(6)前記ケア計画の実施後に、前記ケア対象者の状態を解析するステップ(e)の処理をさらにコンピューターに実行させる上記(2)~(5)のいずれかに記載の情報処理プログラム。
【0014】
(7)前記ステップ(e)で解析された結果を、前記要改善項目と関連付けて記憶するステップ(f)の処理をさらにコンピューターに実行させる上記(6)に記載の情報処理プログラム。
【0015】
(8)前記ステップ(b)は、前記ステップ(a)で取得された前記対象者情報に基づいて、前記複数の項目各々における前記ケア対象者の状態を評価するステップ(b1)と、前記ステップ(b1)で評価された結果に基づいて、前記要改善項目を抽出するステップ(b2)とを含む上記(1)~(7)のいずれかに記載の情報処理プログラム。
【0016】
(9)前記ステップ(b1)では、前記複数の項目各々における前記ケア対象者の状態を定量的に評価する上記(8)に記載の情報処理プログラム。
【0017】
(10)前記ステップ(a)では、データベースから前記対象者情報を取得する上記(1)~(9)のいずれかに記載の情報処理プログラム。
【0018】
(11)前記ステップ(b)で抽出された前記要改善項目に関する情報を出力するステップ(g)の処理をさらにコンピューターに実行させる上記(1)~(10)のいずれかに記載の情報処理プログラム。
【0019】
(12)上記(1)~(11)のいずれかに記載の情報処理プログラムを実行する情報処理装置。
【0020】
(13)ケア対象者に関する対象者情報を取得するステップ(a)と、前記ステップ(a)で取得された前記対象者情報に基づいて、前記ケア対象者の状態を表す複数の項目の中から、改善を要する要改善項目を抽出するステップ(b)とを含む情報処理方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明の情報処理プログラム、情報処理装置および情報処理方法によれば、ケア対象者に関する対象者情報が取得され、この対象者情報に基づいて要改善項目が抽出される。これにより、ケアスタッフ等は、個々のケア対象者の要改善項目を容易に把握することができ、たとえば、ケア計画の作成等に要する負担が軽減される。よって、ケアスタッフの負担を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る情報処理装置が適用される情報処理システムの概略構成を示す図である。
図2図1に示した情報処理装置の概略構成を示すブロック図である。
図3図3に示した外部サーバーによって提供される対象者情報の一例を表す図である。
図4図1に示した外部サーバーの概略構成を示すブロック図である。
図5図2等に示した情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
図6図5に示した評価部による評価結果の一例を表す図である。
図7図5に示した抽出部による抽出結果の一例を表す図である。
図8図5に示した優先度決定部による優先度の一例を表す図である。
図9図5に示した解析部による解析結果の一例を表す図である。
図10図2等に示した情報処理装置において実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0024】
<情報処理システム1の全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置(後述の情報処理装置200)が適用される情報処理システム(情報処理システム1)の概略構成を示す図である。
【0025】
情報処理システム1は、たとえば、情報処理装置200および外部サーバー300によって構成される。情報処理装置200および外部サーバー300は、ネットワークを介して相互に接続可能に構成されている。
【0026】
<情報処理装置200の構成>
情報処理装置200は、たとえば、看介護施設の経営者、管理者およびケアスタッフ等のユーザーによって使用される端末であり、デスクトップPC(Personal Computer)、ノートPC、タブレットPC、またはスマートフォン等の情報処理端末である。情報処理装置200は、サーバーによって構成されていてもよい。情報処理装置200は、複数の装置から構成されてもよく、たとえば多数のサーバーによってクラウドサーバーとして仮想的に構成されてもよい。
【0027】
図2は、情報処理装置200の概略構成を示すブロック図である。
【0028】
図2に示すように、情報処理装置200は、CPU(Central Processing Unit)210、ROM(Read Only Memory)220、RAM(Random Access Memory)230、ストレージ240、通信インターフェース250および操作表示部260を有する。各構成は、バス270を介して相互に通信可能に接続されている。
【0029】
CPU210は、ROM220またはストレージ240に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御や各種の演算処理を行う。CPU210は、本実施形態においては、取得部、評価部、抽出部、優先度決定部、比較部、解析部および出力部として機能する。CPU210によって実現される情報処理装置200の各機能の詳細については、後述する。
【0030】
ROM220は、各種プログラムや各種データを格納する。
【0031】
RAM230は、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶する。
【0032】
ストレージ240は、オペレーティングシステムを含む各種プログラムや、各種データを格納する。ストレージ240には、CPU210が各処理を実行するためのプログラムがインストールされている。また、ストレージ240には、各看介護施設のケア対象者の状態を表す対象者情報が、内部データベースとして記憶されている。対象者情報の詳細は、後述する。ストレージ240には、さらに、ケア対象者各々のケア計画が記憶されていてもよい。たとえば、ストレージ240には、ユーザーからの入力を受け付けて外部サーバー300等の他の装置との間で各種情報を送受信したり、取得した情報を操作表示部260に出力したりするためのアプリケーションがインストールされている。
【0033】
通信インターフェース250は、他の装置と通信するためのインターフェースである。通信インターフェース250としては、有線または無線の各種規格による通信インターフェースが用いられる。
【0034】
操作表示部260は、たとえば、タッチパネル式のディスプレイであり、各種情報を表示すると共に、ユーザーからの各種入力を受け付ける。
【0035】
<外部サーバー300の構成>
外部サーバー300には、たとえば、ケア対象者に関する対象者情報がデータベースとして記憶されている。外部サーバー300は、この対象者情報を、たとえばウェブサイトによって、看介護施設の経営者、管理者およびケアスタッフ等に提供する。外部サーバー300は、政府および自治体等によって運営されていてもよい。
【0036】
図3は、外部サーバー300によって提供される所定のケア対象者(ケア対象者A)の対象者情報の一例を表している。対象者情報は、たとえば、総論、認知症、口腔および栄養等の複数の分野に分類されている。総論分野の対象者情報は、たとえば、性別、生年月日および同居人の有無等に関する情報を含んでいる。認知症分野の対象者情報は、たとえば、認知症の既往歴および意欲の高低等に関する情報を含んでいる。口腔分野の対象者情報は、食事の形態および誤嚥性肺炎の既往歴等に関する情報を含んでいる。栄養分野の対象者情報は、身長・体重および食事に対する意識等に関する情報を含んでいる。
【0037】
図4は、このような対象者情報が記憶された外部サーバー300の概略構成を示すブロック図である。
【0038】
外部サーバー300は、CPU310、ROM320、RAM330、ストレージ340、通信インターフェース350、および操作表示部360を有する。各構成は、バス370を介して相互に通信可能に接続されている。
【0039】
CPU310、ROM320、RAM330、ストレージ340、通信インターフェース350、および操作表示部360の各構成は、情報処理装置200の対応する各構成と同様の機能を有するため、重複する説明は省略する。
【0040】
ストレージ340には、上記のような対象者情報を、ウェブサイトを介して提供するためのプログラムがインストールされている。また、ストレージ340には、対象者情報がデータベースとして記憶されている。ストレージ340に記憶されている情報は、たとえば所定のタイミングで更新される。
【0041】
なお、情報処理システム1は上記の構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、あるいは、上記の構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。また、各構成要素の個数も一つに限定されず、各構成要素は複数設けられてもよい。
【0042】
<情報処理装置200の機能>
図5は、情報処理装置200の機能構成を示すブロック図である。
【0043】
情報処理装置200は、CPU210がストレージ240に記憶されたプログラムを読み込んで処理を実行することによって、取得部211、評価部212、抽出部213、優先度決定部214、比較部215、解析部216および出力部217として機能する。
【0044】
取得部211は、ケア対象者に関する対象者情報を取得する(図3参照)。取得部211は、外部サーバー300の外部データベースから対象者情報を取得してもよく、あるいは、内部データベースとして情報処理装置200に格納されたデータベースから対象者情報を取得してもよい。取得部211は、さらに、ケア対象者各々のケア計画に関する情報を取得する。ケア計画は、たとえば、看介護施設のケアスタッフ等によって作成される。
【0045】
評価部212は、取得部211により取得された対象者情報に基づき、ケア対象者の状態を表す複数の項目各々においてケア対象者の状態を評価する。ケア対象者の状態を表す複数の項目は、たとえば、ケア対象者の生活の自立状態、健康状態、食事の状態、排泄の状態および精神の状態等を表している。評価部212は、たとえば、所定のアルゴリズムを用いることにより、これら複数の項目各々における各ケア対象者の状態を評価する。たとえば、評価部212は、予め用意された計算式を用いて所定の評価指標を算出することによって、各ケア対象者の状態を評価してもよい。あるいは、評価部212は、多数の教師データを用いて予め機械学習された評価モデルに対象者情報を入力して各ケア対象者の状態に関する情報を出力させることによって、各ケア対象者の状態を評価してもよい。評価部212は、ケア対象者の状態を定量的に評価することが好ましい。評価部212は、複数のケア対象者の対象者情報から算出された平均値または偏差等を基準にして定量的な評価を行ってもよく、あるいは、ケア対象者各々の経時的な変化に対する定量的な評価を行ってもよい。評価部212によりこのような定量的な評価がなされることにより、ケアスタッフ等は項目毎のケア対象者の状態を容易に把握することができる。評価部212は、取得部211により異なるタイミングで取得された複数の対象者情報の各々について、ケア対象者の状態を評価してもよい。
【0046】
図6は、ケア対象者Aについての、評価部212による評価結果の一例を表している。ケア対象者の状態を表す複数の項目は、たとえば、ADL(Activity of Daily Living)、認知機能、意欲、口腔、摂食障害、身長体重変化および食事栄養等に関する項目を含んでいる。評価部212は、たとえば、これらの項目における各ケア対象者の状態を0~100までの間で定量的に評価する。図7に示した例では、ADL80、意欲85、身長体重変化90であり、これら3つの項目について、ケア対象者Aの状態は比較的良好である。一方、口腔55、摂食障害50であり、これら2つの項目について、ケア対象者Aの状態は比較的悪い。評価部212は、複数の項目各々におけるケア対象者の状態を段階的に評価してもよく(たとえば、良および不良の2段階等)、あるいは、評価部212による評価は、コメント等によってなされていてもよい。
【0047】
抽出部213は、評価部212による評価結果に基づいて、複数の項目の中から改善を要する要改善項目を抽出する。抽出部213は、たとえば、各項目について状態の改善の必要度、即ち、要改善度を決定することにより、要改善項目を抽出する。
【0048】
図7は、ケア対象者Aについての各項目の要改善度の一例を表している。抽出部213は、たとえば、各項目の要改善度をA、BおよびCの3段階を用いて決定する。要改善度Aは、たとえば、改善の必要性が最も高く、改善を要する項目であることを表す。要改善度Bは、たとえば、要改善度Aよりは改善の必要性が低いものの、改善を勧める項目であることを表す。要改善度Cは、たとえば、改善の必要性は低く、現状を維持できればよい項目であることを表す。図7に示した例では、口腔および摂食障害の2つの項目が、要改善度Aであり、認知機能および食事栄養の2つの項目が、要改善度Bである。抽出部213は、たとえば、要改善度Aおよび要改善度Bの項目を要改善項目として抽出する。抽出部213は、要改善度Aの項目を要改善項目として抽出してもよい。あるいは、抽出部213は、各項目の要改善度を決定せずに、要改善項目を抽出してもよい。
【0049】
優先度決定部214は、抽出部213により抽出された要改善項目のうち、ケア対象者のケア計画に組み込む優先度を決定する。優先度決定部214は、たとえば、抽出部213により決定された各項目の要改善度および評価部212の評価結果に基づいて、優先度を決定する。
【0050】
図8は、ケア対象者Aの要改善項目の優先度の一例を表している。優先度決定部214は、たとえば、要改善項目に順位付けを行うことにより、優先度を決定する。図8に示した例では、ケア対象者Aのケア計画において、摂食障害改善の優先度が最も高く、これに次いで、口腔状態改善の優先度が高くなっている。認知機能改善および食事栄養状態改善の優先度は、口腔状態改善の優先度よりも低く、同程度である。
【0051】
比較部215は、抽出部213により抽出された要改善項目と、ケア対象者について作成されたケア計画とを比較し、これらを関連付けて、ストレージ240等に記憶させる。具体的には、ケア計画に要改善項目が組み込まれているか否かをストレージ240等に記憶させる。ケア計画に要改善項目が組み込まれていないときには、たとえば、要改善項目がケア計画に組み込まれていない旨の情報とともに、その理由が記憶される。
【0052】
解析部216は、ケア計画が実施された後のケア対象者の状態を解析し、この解析結果を、抽出部213により抽出された要改善項目と関連付けて、ストレージ240等に記憶させる。たとえば、要改善項目におけるケア対象者の状態が改善されているか否かをストレージ240等に記憶させる。
【0053】
図9は、ケア計画が実施された後のケア対象者Aの状態の一例を表している。これは、ケア計画が実施された後に取得された対象者情報を、評価部212によって評価した結果である。図9に示した例では、抽出部213で抽出された認知機能、口腔、摂食障害および食事栄養の4つの要改善項目において、ケア対象者Aの状態が改善されている。
【0054】
出力部217は、たとえば、抽出部213で抽出された要改善項目に関する情報を出力する。出力部217は、評価部212で評価された評価結果に関する情報を出力してもよい。さらに、出力部217は、優先度決定部214で決定された各項目の優先度に関する情報および解析部216で解析された解析結果に関する情報等を出力する。出力部217は、たとえば、このような情報を操作表示部260に表示することによって、出力する。
【0055】
<情報処理装置200において実行される処理の概要>
図10を用いて、本実施形態にかかる情報処理装置200において実行される処理の手順について説明する。
【0056】
まず、情報処理装置200は、外部サーバー300の外部データベースから、当該看介護施設のケア対象者の対象者情報を取得する(ステップS101)。情報処理装置200は、たとえば、複数のケア対象者各々の対象者情報を取得する。取得された対象者情報は、たとえば、情報処理装置200の内部データベースに格納される。
【0057】
次に、情報処理装置200は、ステップS101で取得された対象者情報に基づき、ケア対象者の状態を表す複数の項目各々について、ケア対象者の状態を定量的に評価する(ステップS102)。このとき、情報処理装置200では、所定のアルゴリズムが用いられる。
【0058】
続いて、情報処理装置200は、ステップS102での評価結果に基づいて、ケア対象者の状態を改善するための要改善項目を抽出し(ステップS103)、この要改善項目において、ケア対象者のケア計画に組み込む優先度を決定する(ステップS104)。看介護施設のケアスタッフ等は、たとえば、この情報処理装置200によって決定された優先度に基づいて、各ケア対象者のケア計画を作成する。
【0059】
ケア計画が作成され、このケア計画に関する情報が情報処理装置200に入力されると、情報処理装置200は、入力されたケア計画に関する情報と、ステップS103で抽出した要改善項目とを比較し、これらを対応付けて記憶する(ステップS105)。具体的には、要改善項目がケア計画に組み込まれているか否かが記憶される。
【0060】
この後、情報処理装置200は、所定の期間にわたって、ケア計画が実施されたかどうかを判断する(ステップS106)。所定の期間にわたって、ケア計画が実施されていないと判断するとき(ステップS106:NO)、情報処理装置200はステップS106の処理を繰り返す。
【0061】
所定の期間にわたって、ケア計画が実施されたと判断したとき(ステップS106:YES)、情報処理装置200は当該ケア対象者の状態を解析する(ステップS107)。解析は、たとえば、所定の期間にわたってケアが実施された後の対象者情報を取得し、この対象者情報に基づく要改善項目の評価結果を、ケアの実施前の評価結果と比較することにより行われる。
【0062】
ケア対象者の状態を解析した後、情報処理装置200は、この解析結果をステップ103で抽出した要改善項目と関連付けて記憶する(ステップS108)。たとえば、要改善項目において、ケア対象者の状態が改善されているか否かが記憶される。
【0063】
この後、情報処理装置200は処理を終了するかどうかを判断する(ステップS109)。処理を終了すると判断したとき、情報処理装置200は、処理を終了する(ステップS109:YES)。処理を終了しないと判断したとき、情報処理装置200は、ステップS101の処理に戻る。
【0064】
<情報処理装置200および情報処理システム1の作用効果>
本実施形態に係る情報処理装置200および情報処理システム1では、ケア対象者に関する対象者情報が取得され、この対象者情報に基づいて、ケア対象者の状態を改善するための要改善項目が抽出される。これにより、ケアスタッフは、個々のケア対象者の要改善項目を容易に把握することができ、たとえば、ケア計画の作成等に要する負担が軽減される。以下、この作用効果について詳細に説明する。
【0065】
仮に、外部サーバーの外部データベースから、ケア対象者の有用な対象者情報が取得できたとしても、ケア計画作成等のためには、対象者情報をADL、認知機能および意欲等の項目毎に整理する必要があり、ケアスタッフ等に大きな負担がかかるおそれがある。また、ケアスタッフ等が、これらの項目の中から効率的に各ケア対象者の要改善項目を特定することは困難である。
【0066】
これに対し、情報処理装置200では、ケア対象者に関する対象者情報が取得され、この対象者情報に基づいて、項目毎にケア対象者の状態が定量的に評価される。したがって、ケアスタッフ等は、対象者情報を項目毎に整理する必要がなく、項目毎の各ケア対象者の状態を容易に把握することができる。
【0067】
また、情報処理装置200では、この評価された項目の中から、各ケア対象者の要改善項目が抽出される。したがって、ケアスタッフ等は、各ケア対象者の状態に加えて、要改善項目を容易に把握することができ、ケア計画の作成に役立てることができる。
【0068】
さらに、情報処理装置200では、要改善項目において、ケア対象者のケア計画に組み込む優先度が決定される。これにより、ケアスタッフ等は、この優先度にしたがって、各ケア対象者の効果的なケア計画を効率的に作成することができる。
【0069】
また、情報処理装置200では、各ケア対象者の要改善項目が、ケア計画に組み込まれているか否かに関する情報が記憶される。これにより、ケアスタッフ等は、要改善項目を組み込んだケア計画を作成できているかどうかを容易に確認することができる。また、この記憶された情報は、ケア計画に要改善項目が組み込まれていることの証拠となり得る。ケア計画に要改善項目が組みこまれていないときには、その理由を記憶することができる。
【0070】
加えて、情報処理装置200では、ケア実施後のケア対象者の状態が解析され、たとえば、要改善項目におけるケア対象者の状態が改善されているか否かに関する情報が記憶される。したがって、ケアスタッフ等は、ケア計画に組み込んだ要改善項目が、計画通りに改善されているか否かを容易に確認することができ、ケア計画の見直し等に役立てることができる。
【0071】
以上のように、本実施形態の情報処理装置200によれば、ケア対象者に関する対象者情報が取得され、この対象者情報に基づいて、ケア対象者の状態を改善するための要改善項目が抽出される。したがって、ケアスタッフ等は、個々のケア対象者の状態および要改善項目を容易に把握することができ、たとえば、ケア計画の作成等に要する負担を軽減することができる。よって、ケアスタッフの負担を軽減することが可能となる。
【0072】
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0073】
たとえば、情報処理装置200および外部サーバー300は、それぞれ上記の構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、あるいは、上記の構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。
【0074】
また、情報処理装置200および外部サーバー300は、それぞれ複数の装置によって構成されてもよく、あるいは単一の装置によって構成されてもよい。
【0075】
また、各構成が有する機能は、他の構成によって実現されてもよい。たとえば、情報処理装置200において実行されるものとして説明した処理の少なくとも一部は、各ケアスタッフが所有するユーザー端末のアプリケーションや外部サーバー300等の他の装置によって実行されてもよい。
【0076】
また、上記の実施形態におけるフローチャートの処理単位は、各処理の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理ステップの分類の仕方によって、本願発明が制限されることはない。各処理は、さらに多くの処理ステップに分割することもできる。また、1つの処理ステップが、さらに多くの処理を実行してもよい。
【0077】
上述した実施形態に係る情報処理システムにおける各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、たとえば、フレキシブルディスクおよびCD-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、システムの一機能としてその装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 情報処理システム、
200 情報処理装置、
210 CPU、
211 取得部、
212 評価部、
213 抽出部、
214 優先度決定部、
215 比較部、
216 解析部、
217 出力部、
220 ROM、
230 RAM、
240 ストレージ、
250 通信インターフェース、
260 操作表示部、
270 バス、
300 外部サーバー、
310 CPU、
320 ROM、
330 RAM、
340 ストレージ、
350 通信インターフェース、
360 操作表示部、
370 バス。
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