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特開2022-154317売上シミュレーション装置、売上シミュレーション方法および売上シミュレーションプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154317
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】売上シミュレーション装置、売上シミュレーション方法および売上シミュレーションプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16Z 99/00 20190101AFI20221005BHJP
【FI】
G16Z99/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057281
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平井 博之
(72)【発明者】
【氏名】中村 敏樹
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049DD02
(57)【要約】
【課題】進行基準売上を採用する場合であっても、先行きの売上予定の把握を容易とする。
【解決手段】実施形態の売上シミュレーション装置の記憶部は、受注別に、工事進行基準が適用される請負契約対象の受注金額を管理する受注データと、受注別かつ売上予定月別に、予定の進行率を管理する進行率データと、受注別に、請負契約対象に対する予算額を管理する予算データと、を格納し、制御部は、受注データおよび進行率データに基づいて、受注別かつ売上予定月別に、予定の進行率に応じた予定の進行売上高が格納された第一のデータを作成する第一作成手段と、予算データおよび第一のデータに基づいて、受注別かつ売上予定月別に、予定の進行率、予定の進行売上高、予定の進行率を加味した予算額、当該予定の進行売上高から当該予算額を引いた額、および当該額を当該予定の進行売上高で除した額が格納された第二のデータを作成する第二作成手段と、第二のデータを出力装置へ出力する出力制御手段と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部と記憶部を備える売上シミュレーション装置であって、
前記記憶部は、
受注別に、工事進行基準が適用される請負契約対象の受注金額を管理する受注データと、
受注別かつ売上予定月別に、予定の進行率を管理する進行率データと、
受注別に、前記請負契約対象に対する予算額を管理する予算データと、
を格納し、
前記制御部は、
前記受注データおよび前記進行率データに基づいて、受注別かつ売上予定月別に、予定の進行率に応じた予定の進行売上高が格納された第一のデータを作成する第一作成手段と、
前記予算データおよび前記第一のデータに基づいて、受注別かつ売上予定月別に、予定の進行率、予定の進行売上高、予定の進行率を加味した予算額、当該予定の進行売上高から当該予算額を引いた額、および当該額を当該予定の進行売上高で除した額が格納された第二のデータを作成する第二作成手段と、
前記第二のデータを出力装置へ出力する出力制御手段と、
を備えること、
を特徴とする売上シミュレーション装置。
【請求項2】
前記受注金額は第1の通貨建てであり、
受注別かつ売上予定月別に、引当レートを算出する引当レート算出手段を備え、
前記第一作成手段は、さらに前記引当レートを考慮して第2の通貨建ての前記第一のデータを作成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の売上シミュレーション装置。
【請求項3】
前記記憶部は、受注別に固定受注為替データを格納し、
前記引当レート算出手段は、前記固定受注為替データに基づいて、該当受注に対して引当済みの情報については該当の引当レートは固定扱いとし、
未引当の情報については、レートマスタよりシミュレーション為替データの取得を行い、前記売上予定月に対応する平均為替レートを算出して該当の引当レートとする、
ことを特徴とする請求項2に記載の売上シミュレーション装置。
【請求項4】
前記制御部は、最終の売上高については、受注額に対して、平均レートを使用して計算された前記進行売上高から、当該最終の売上予定月より前に計上された売上高を差引して計上する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の売上シミュレーション装置。
【請求項5】
売上シミュレーション装置において実行される売上シミュレーション方法であって、
受注別に工事進行基準が適用される請負契約対象の受注金額を管理する受注データおよび受注別かつ売上予定月別に予定の進行率を管理する進行率データに基づいて、受注別かつ売上予定月別に、予定の進行率に応じた予定の進行売上高が格納された第一のデータを作成するステップと、
受注別に前記請負契約対象に対する予算額を管理する予算データおよび前記第一のデータに基づいて、受注別かつ売上予定月別に、予定の進行率、予定の進行売上高、予定の進行率を加味した予算額、当該予定の進行売上高から当該予算額を引いた額、および当該額を当該予定の進行売上高で除した額が格納された第二のデータを作成するステップと、
前記第二のデータを出力装置へ出力するステップと、
を備えたことを特徴とする売上シミュレーション方法。
【請求項6】
受注別に、工事進行基準が適用される請負契約対象の受注金額を管理する受注データと、受注別かつ売上予定月別に、予定の進行率を管理する進行率データと、受注別に、前記請負契約対象に対する予算額を管理する予算データと、を格納する記憶部を備えた売上シミュレーション装置をコンピュータにより制御するための売上シミュレーションプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記受注データおよび前記進行率データに基づいて、受注別かつ売上予定月別に、予定の進行率に応じた予定の進行売上高が格納された第一のデータを作成する第一作成手段と、
前記予算データおよび前記第一のデータに基づいて、受注別かつ売上予定月別に、予定の進行率、予定の進行売上高、予定の進行率を加味した予算額、当該予定の進行売上高から当該予算額を引いた額、および当該額を当該予定の進行売上高で除した額が格納された第二のデータを作成する第二作成手段と、
前記第二のデータを出力装置へ出力する出力制御手段と、
して機能させることを特徴とする売上シミュレーションプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、売上シミュレーション装置、売上シミュレーション方法および売上シミュレーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラント製造、工事業において、請負契約の場合に、進行基準売上を採用するケースが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-72547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、進行基準売上の場合、予算に対する発生原価割合(進行率)によって、売上高が決まるので、先行きの売上予定の把握が難しいという課題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、進行基準売上を採用するケースであっても、先行きの売上予定の把握を容易とすることが可能な売上シミュレーション装置、売上シミュレーション方法および売上シミュレーションプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態の売上シミュレーション装置は、制御部と記憶部を備える売上シミュレーション装置であって、前記記憶部は、受注別に、工事進行基準が適用される請負契約対象の受注金額を管理する受注データと、受注別かつ売上予定月別に、予定の進行率を管理する進行率データと、受注別に、前記請負契約対象に対する予算額を管理する予算データと、を格納し、前記制御部は、前記受注データおよび前記進行率データに基づいて、受注別かつ売上予定月別に、予定の進行率に応じた予定の進行売上高が格納された第一のデータを作成する第一作成手段と、前記予算データおよび前記第一のデータに基づいて、受注別かつ売上予定月別に、予定の進行率、予定の進行売上高、予定の進行率を加味した予算額、当該予定の進行売上高から当該予算額を引いた額、および当該額を当該予定の進行売上高で除した額が格納された第二のデータを作成する第二作成手段と、前記第二のデータを出力装置へ出力する出力制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また実施形態の売上シミュレーション装置において、前記受注金額は第1の通貨建てであり、受注別かつ売上予定月別に、引当レートを算出する引当レート算出手段を備え、前記第一作成手段は、さらに前記引当レートを考慮して第2の通貨建ての前記第1のデータを作成する、ことを特徴とする。
【0008】
また実施形態の売上シミュレーション装置において、前記記憶部は、受注別に固定受注為替データを格納し、前記引当レート算出手段は、前記受注為替データに基づいて、該当受注に対して引当済みの情報については該当の引当レートは固定扱いとし、未引当の情報については、レートマスタよりシミュレーション為替データの取得を行い、前記売上予定月に対応する平均為替レートを算出して該当の引当レートとする、ことを特徴とする。
【0009】
また、実施形態の売上シミュレーション装置において、前記制御部は、最終の売上高については、受注額に対して、平均レートを使用して計算された前記進行売上高から、当該最終の売上予定月より前に計上された売上高を差引して計上する、ことを特徴とする。
【0010】
また、実施形態の売上シミュレーション方法は、売上シミュレーション装置において実行される売上シミュレーション方法であって、受注別に工事進行基準が適用される請負契約対象の受注金額を管理する受注データおよび受注別かつ売上予定月別に予定の進行率を管理する進行率データに基づいて、受注別かつ売上予定月別に、予定の進行率に応じた予定の進行売上高が格納された第一のデータを作成するステップと、受注別に前記請負契約対象に対する予算額を管理する予算データおよび前記第一のデータに基づいて、受注別かつ売上予定月別に、予定の進行率、予定の進行売上高、予定の進行率を加味した予算額、当該予定の進行売上高から当該予算額を引いた額、および当該額を当該予定の進行売上高で除した額が格納された第二のデータを作成するステップと、前記第二のデータを出力装置へ出力するステップと、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、実施形態の売上シミュレーションプログラムは、受注別に、工事進行基準が適用される請負契約対象の受注金額を管理する受注データと、受注別かつ売上予定月別に、予定の進行率を管理する進行率データと、受注別に、前記請負契約対象に対する予算額を管理する予算データと、を格納する記憶部を備えた売上シミュレーション装置をコンピュータにより制御するための売上シミュレーションプログラムであって、前記コンピュータを、前記受注データおよび前記進行率データに基づいて、受注別かつ売上予定月別に、予定の進行率に応じた予定の進行売上高が格納された第一のデータを作成する第一作成手段と、前記予算データおよび前記第一のデータに基づいて、受注別かつ売上予定月別に、予定の進行率、予定の進行売上高、予定の進行率を加味した予算額、当該予定の進行売上高から当該予算額を引いた額、および当該額を当該予定の進行売上高で除した額が格納された第二のデータを作成する第二作成手段と、前記第二のデータを出力装置へ出力する出力制御手段と、して機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、進行基準売上を採用するケースであっても、先行きの売上予定の把握を容易とすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、売上シミュレーション装置の概要構成ブロック図である。
図2図2は、受注データベースの構成例の説明図である。
図3図3は、予算データベースの構成例の説明図である。
図4図4は、進行率データベースの構成例の説明図である。
図5図5は、受注為替レートデータベースの構成例の説明図である。
図6図6は、為替レートマスタの構成例の説明図である。
図7図7は、第1実施形態の売上シミュレーション処理の処理フローチャートである。
図8図8は、外貨売上額算出処理の説明図である。
図9図9は、2020年6月の為替レート算出処理、邦貨売上額算出処理及び売上予定額算出処理の説明図である。
図10図10は、2020年9月の為替レート、邦貨売上額算出処理及び売上予定額算出処理の説明図である。
図11図11は、平均レートの算出説明図である。
図12図12は、2021年5月における最終売上(進捗率100%)の算出処理の説明図である。
図13図13は、第2実施形態の売上シミュレーション処理の処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0015】
[1]第1実施形態
図1は、売上シミュレーション装置の概要構成ブロック図である。
売上シミュレーション装置10は、売上シミュレーション処理(外貨売上額算出処理、為替レート算出処理、邦貨売上額算出処理、売上予定額算出処理、売上予定データ出力処理等)を支援するアプリケーション(例えばWebアプリケーションなど)がインストールされている据置型または携帯型の情報処理装置(例えば、デスクトップ型のパーソナルコンピュータ、ノート型のパーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型のパーソナルコンピュータ等)として構成される。
【0016】
売上シミュレーション装置10は、通信ネットワーク30(例えばインターネット、イントラネット、LAN(Local Area Network)等)を介して外部サーバ40(例えばWebサーバなど)と通信可能に接続されている。
【0017】
売上シミュレーション装置10は、制御部11、通信インターフェース部12、記憶部13および入出力インターフェース部14を備えている。これらの各部は、通信バス等の任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0018】
制御部11は、売上シミュレーション装置10を統括的に制御するMPU等として構成されている。制御部11は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0019】
この場合において、制御部11は、売上シミュレーション手段(第一作成手段)M1として機能し、後述する受注データおよび進行率データに基づいて、受注別かつ売上予定月別に、予定の進行率に応じた予定の進行売上高が格納された売上シミュレーションデータ(第一のデータ)を作成する。
【0020】
また、制御部11は、売上予定データ作成手段(第二作成手段)M2として機能し、後述の予算データおよび売上シミュレーションデータに基づいて、受注別かつ売上予定月別に、予定の進行率、予定の進行売上高、予定の進行率を加味した予算額(=予定原価)、当該予定の進行売上高から当該予算額を引いた額(=粗利)、および当該額を当該予定の進行売上高で除した額(=利益率)が格納された売上予定データ(第二のデータ)を作成する。
【0021】
また、制御部11は、出力制御手段M3として機能し、売上予定データを出力装置16へ出力する。
【0022】
また、制御部11は、引当レート算出手段M4として機能し、外貨建て(第1の通貨建て)の受注金額を邦貨建て(第2の通貨建て)に変換するための引当レートを受注別かつ売上予定月別に算出する。
そして、制御部11は、算出した売上予定データを記憶部13に格納する。
【0023】
通信インターフェース部12は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、売上シミュレーション装置10を通信ネットワーク30に通信可能に接続する。通信インターフェース部12は、外部サーバ40等の他の装置と通信ネットワーク30を介してデータを通信する機能を備えている。
【0024】
入出力インターフェース部14には、入力装置15および出力装置16が接続されている。
入力装置15としては、例えば、キーボード、マウスおよびマイクの他、ディスプレイと協働して入力を行うポインティングデバイス機能を実現するタッチパネル(いわゆるタッチパネルディスプレイ)等が挙げられる。
出力装置16としては、モニタディスプレイ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタ等が挙げられる。
【0025】
記憶部13には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部13には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部13として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)、SSD(Solid State Disk)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置および光ディスク等を用いることができる。
【0026】
記憶部13は、受注データベース(DB)13Aと、予算データベース(DB)13Bと、進行率データベース(DB)13Cと、受注為替レートデータベース(DB)13Dと、為替レートマスタ13Eと、を備えている。
【0027】
ここで、各データベース13A~13D及び為替レートマスタ13Eに格納される情報の具体例について説明する。
以下の説明においては、外貨建て(USドル建て)で請負契約を行った場合に、(工事)進行基準で邦貨売上を計上する場合を例として説明する。
【0028】
まず、受注データベース13Aに格納される情報について説明する。
図2は、受注データベースの構成例の説明図である。
受注データベース13Aに格納される情報としては、受注番号、受注行、受注日、得意先、品目、通貨、外貨受注金額、受注(為替)レート、邦貨受注金額等が挙げられる。
受注番号は、受注案件を特定するためのコードが格納される。
受注行は、受注データの格納場所を示すデータ管理用のインデックスデータが格納される。
受注日は、該当受注案件の受注日の日付が格納される。
得意先は、該当受注案件の発注者の顧客の名称が格納される。
品目は、該当受注案件の内容を担当者、顧客に容易に把握させるための案件情報が格納される。
通貨は、該当受注案件の受注金額に対応する通貨の名称が格納される。
外貨受注金額は、該当受注案件の受注金額の外貨建て(第1の通貨建て)の金額が格納される。
受注レートは、受注時における対応する外貨の為替レートが格納される。
邦貨受注金額は、外貨受注金額を受注時における為替レートで算出した受注金額の邦貨建て(第2の通貨建て)の金額が格納される。
【0029】
より具体的には、図2に示すように、受注番号=「J00001」、受注行=「1」、受注日=「2020/4/1」、得意先=「売上先A」、品目=「○○プラント製造・工事」、通貨=「USD」、外貨受注金額=「$1,000,000.00」、受注(為替)レート=「105.00」、邦貨受注金額=「105,000.00(円)」となっている。
【0030】
次に、予算データベース(DB)13Bに格納される情報について説明する。
図3は、予算データベースの構成例の説明図である。
予算データベース13Bに格納される情報としては、受注番号、受注行、材料費、外注費、労務費、経費、予算累計等が挙げられる。
受注番号は、受注案件を特定するためのコードが格納される。
受注行は、受注データの格納場所を示すデータ管理用のインデックスデータが格納される。
材料費は、当該受注案件を完了するために必要とされる材料費用の額が格納される。
外注費は、当該受注案件を完了するために必要とされる外注費用の額が格納される。
労務費は、当該受注案件を完了するために必要とされる労務管理の費用の額が格納される。
経費は、当該受注案件を完了するために必要とされる諸経費の額が格納される。
予算累計は、材料費、外注費、労務費及び経費の累計額が格納される。
【0031】
より具体的には、図3に示すように、受注番号=「J00001」、受注行=「1」、材料費=「30,000,000(円)」、外注費=「10,000,000(円)」、労務費=「5,000,000(円)」、経費「5,000,000(円)」、予算累計=「50,000,000(円)」となっている。
【0032】
次に、進行率データベース(DB)13Cに格納される情報について説明する。
図4は、進行率データベースの構成例の説明図である。
進行率データベース13Cに格納される情報としては、予定進行売上高の計上に使用する情報が挙げられ、受注番号、受注行、売上予定月、予定進捗率等が挙げられる。
受注番号は、受注案件を特定するためのコードが格納される。
受注行は、受注データの格納場所を示すデータ管理用のインデックスデータが格納される。
売上予定月は、(工事)進行基準で売上を計上する予定の年月についての情報が格納される。
予定進捗率は、売上予定月における予定進捗率の情報が格納される。
【0033】
より具体的には、図4の2行目(行番号=2)に示すように、受注番号=「J00001」、受注行=「2」、売上予定月=「2020/09(2020年9月)」、予定進捗率=「40%」、となっている。
【0034】
次に、受注為替レートデータベース(DB)13Dに格納される情報について説明する。
この受注為替レートデータベース13Dには、ヘッジ済レートのデータが格納されており、このデータを用いて売上時の算出を行っている。なお、未引当分については、後述の為替レートマスタ13Eに格納されているデータに基づいて算出する。
【0035】
図5は、受注為替レートデータベースの構成例の説明図である。
受注為替レートデータベース13Dに格納される情報としては、受注番号、受注行、引当区分、引当日、外貨引当額、引当(為替)レート、邦貨受注金額等が挙げられる。
受注番号は、受注案件を特定するためのコードが格納される。
受注行は、受注データの格納場所を示すデータ管理用のインデックスデータが格納される。
引当区分は、引当の区分に関する情報(引当済みか否かの情報を含む)が格納されており、例えば、前受、為替予約等の引当状況が格納される。
引当日は、引当日の日付の情報が格納されている。
外貨引当額は、引当日における外貨引当予定額が格納されている。
引当レートは、引当日における為替レートが格納されている。
邦貨受注金額は、引当日における外貨引当額を当該引当日における引当レート及び外貨受注額で換算した邦貨受注金額が格納される。
【0036】
より具体的には、図4の2行目(行番号=2)に示すように、受注番号=「J00001」、受注行=「2」、引当区分=「為替予約」、引当日=「2020/5/1」、外貨引当額=「$200,000.00」、引当(為替)レート=「106.00」、邦貨受注金額=「21,200,000(円)」となっている。
【0037】
次に為替レートマスタ13Eに格納される情報について説明する。
図6は、為替レートマスタの構成例の説明図である。
為替レートマスタ13Eに格納される情報としては、通貨、(為替)レート区分、適用日、(為替)レート等が挙げられる。
通貨は、日本円、USドル(USD)等の通貨の種類が格納される。
【0038】
レート区分は、通常の為替レートであるか、あるいは、為替変動予想に基づくシミュレーションの為替レートであるかを表す情報が格納されている。
適用日は、対応する為替レートを適用する日付(年月)が格納されている。
レートは、通常あるいはシミュレーションの為替レートが格納されている。
【0039】
より具体的には、図6の第2行目に示すように、通貨=「USD」、レート区分=「0:通常」、適用日=「2020/04」、レート=「105.00(円)」となっている。
【0040】
また図6の第5行目に示すように、通貨=「USD」、レート区分=「1:シミュレーション」、適用日=「2020/05」、レート=「105.00(円)」となっている。
【0041】
次に第1実施形態の売上シミュレーション処理について説明する。
図7は、第1実施形態の売上シミュレーション処理の処理フローチャートである。
まず、制御部11は、外貨売上額算出処理を行う(ステップS11)。
【0042】
図8は、外貨売上額算出処理の説明図である。
この場合において、制御部11は、外貨売上額を次式により算出する。
外貨売上額=外貨受注金額×(予定)進捗率-該当月以前の外貨売上額累計
【0043】
例えば、売上予定月=「2020/06」の場合には、売上シミュレーション手段M2として機能する制御部11は、受注データベース13Aを参照して受注番号=「J0001」に対応する外貨受注金額=「$1,000,000.00」を読み出すとともに、進行率データベース13Cを参照し、売上予定月=「2020/06」に対応する予定進捗率=「20%」を読み出す。
【0044】
これらの結果、
外貨売上額=$1,000,000.00×20%-$0.00
=$200,000.00
となる。
【0045】
同様に売上予定月=「2020/09」に対応する外貨売上額は、図8に示すように、以下の通りとなる。
外貨売上額=$1,000,000.00×40%-$200,000.00
=$200,000.00
となる。
【0046】
また、売上予定月=「2020/12」に対応する外貨売上額は、図8に示すように、以下の通りとなる。
外貨売上額=$1,000,000.00×70%-$400,000.00
=$300,000.00
となる。
【0047】
また、売上予定月=「2021/03」に対応する外貨売上額は、図8に示すように、以下の通りとなる。
外貨売上額=$1,000,000.00×95%-$700,000.00
=$250,000.00
となる。
【0048】
さらに売上予定月=「2021/05」に対応する外貨売上額は、図8に示すように、以下の通りとなる。
外貨売上額=$1,000,000.00×100%-$950,000.00
=$50,000.00
となる。
【0049】
次に制御部11は、外貨売上額算出処理が完了すると、為替レートマスタ13Eを参照して為替レート算出処理及び邦貨売上額算出処理を行う(ステップS12)。
さらに制御部11は、為替レート算出処理及び邦貨売上額算出処理が完了すると、売上予定データ作成手段M3として機能し、売上予定額算出処理を行う(ステップS13)。
【0050】
次に為替レート算出処理、邦貨売上額算出処理及び売上予定額算出処理について説明する。
図9は、2020年6月の為替レート算出処理、邦貨売上額算出処理及び売上予定額算出処理の説明図である。
【0051】
この場合において、制御部11は、引当レート算出手段として機能し、受注為替データに基づいて、該当受注に対して引当済みの情報については該当の引当レートは固定扱いとし、未引当の情報については、為替レートマスタ13Eよりシミュレーション為替データの取得を行い、前記売上予定月に対応する平均(為替)レートを算出して該当の引当レートとする。
【0052】
例えば、2020年6月の情報は、未引当であるので、図9に示すように、為替レートマスタ13Eよりシミュレーション為替データ(=「105.00」の取得を行い、売上予定月に対応する平均(為替)レートを算出して該当の引当レートとする。
【0053】
より具体的には、図9の売上予定データ13X1に示すように、2020年6月の邦貨引当額の累計=「105,400,000(円)」であり、外貨引当額の累計=「$1,000,000.00」である。
ここで、平均レートは、次式により表される。
平均レート=邦貨引当額/外貨引当額
【0054】
従って、2020年6月の平均レートは、以下の通りとなる。
平均レート=105,400,000/1,000,000.00
=105.40
【0055】
図10は、2020年9月の為替レート、邦貨売上額算出処理及び売上予定額算出処理の説明図である。
例えば、2020年9月の情報は、未引当であるので、図10に示すように、為替レートマスタ13Eよりシミュレーション為替データ(=「108.00」)の取得を行い、売上予定月に対応する平均(為替)レートを算出して該当の引当レートとする。
【0056】
より具体的には、図10の売上予定データ13X2に示すように、2020年9月の邦貨引当額の累計=「106,600,000(円)」であり、外貨引当額の累計=「$1,000,000.00」であるので、2020年6月の平均レートは、以下の通りとなる。
平均レート=106,600,000/1,000,000.00
=106.6
【0057】
同様にして、2020年12月及び2021年3月の平均レートを算出する。
図11は、平均レートの算出説明図である。
図11に示すように2020年12月の平均レート=「103.40」、2020年12月及び2021年3月の平均レート=「102.60」となる。
【0058】
図12は、2021年5月における最終売上(進捗率100%)の算出処理の説明図である。
最終売上(進捗率100%)については、外貨受注額に対して、平均レートを使用して計算された邦貨受注額(総額)から、今まで計上(最終の売上月より前に計上)された邦貨売上金額(2020年6月から2021年3月分)を差引して計上することとなる。
【0059】
具体的には、制御部11は、図12の売上予定データ12X3に示すように、2021年5月の邦貨引当額の累計=「106,600,000(円)」であり、外貨引当額の累計=「$1,000,000.00」であるので、2021年5月の平均レートは、以下の通りとなる。
平均レート=104,600,000/1,000,000.00
=104.6
【0060】
また、当初受注額=「$1,000,000.00」であり、平均(為替)レート=104.60であるので、最終計上累計は、次式の通りとなる。
最終計上累計=$1,000,000.00×104.60
=104,600,000(円)
【0061】
従って、2021年5月における最終売上の計上額は、最終計上累計=「$1,000,000.00」及び今までに計上(最終の売上月より前に計上)された邦貨額=「99,070,000(円)」により次式により表される。
最終売上の計上額=104,600,000(円)-99,070,000(円)
=5,530,000(円)
【0062】
これらの結果、制御部11は、出力制御手段M3として機能し、出力装置16から図12の上部に示した様なデータを売上予定データ12X3として出力する(ステップS14)。
【0063】
以上の説明のように、本第1実施形態によれば、外貨建てで受注した案件について進行基準売上を採用する場合であっても、シミュレーションによる為替レートを用いて、先行きの売上予定の把握を容易とすることができる。
【0064】
[2]第2実施形態
上記第1実施形態においては、外貨建ての受注に対して、邦貨建て売上シミュレーションデータを作成する実施形態であったが、本第2実施形態は、邦貨建ての受注の売上シミュレーションデータを作成するための実施形態である。
【0065】
図13は、第2実施形態の売上シミュレーション処理の処理フローチャートである。
第2実施形態の処理は、第1実施形態の処理を簡略化したようなものであるので、概要のみを説明する。
【0066】
まず、制御部11は、ステップS11で示した外貨売上額算出処理と同様に邦貨売上額算出処理を行う(ステップS21)。
次に制御部11は、邦貨売上額算出処理が完了すると、制御部11は、売上予定データ作成手段M3として機能し、ステップS13で示した手順と同様に売上予定額算出処理を行う(ステップS22)。
【0067】
これらの結果、制御部11は、出力制御手段M3として機能し、出力装置16から売上予定データ図12の上部に示した様なデータを売上予定データ12X3として出力する(ステップS23)。
以上の説明のように、本第2実施形態によれば、邦貨で受注した進行基準売上を採用する案件であっても、先行きの売上予定の把握を容易とすることができる。
【0068】
[3.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
上述した実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0069】
また、上述した実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0070】
また、上述した実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0071】
また、以上実施形態について説明したが、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0072】
例えば、上記第1実施形態においては、第1の通貨である外貨で受注した案件について、第2の通貨である邦貨で売上予測を行っていたが、第1の通貨及び第2の通貨の双方とも外貨である場合についても同様に適用が可能である。
【0073】
また、上述した実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0074】
このほか、上記文献中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0075】
また、売上シミュレーション装置10に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0076】
例えば、売上シミュレーション装置10が備える処理機能、特に制御部11において行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、MPUおよび当該MPにおいて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、いわゆる情報処理装置に本発明にかかる収益認識方法実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて売上シミュレーション装置10に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部13等には、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、MPUと協働して制御部を構成する。
【0077】
また、このコンピュータプログラムは、売上シミュレーション装置10に対して通信ネットワーク30を介して接続された外部サーバ40に記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0078】
また、本発明にかかる売上シミュレーションを行うプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0079】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0080】
記憶部13に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。同様に記憶部13の機能を外部サーバ40に持たせるように構成することも可能である。
【0081】
また、売上シミュレーション装置10は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、売上シミュレーション装置10は、当該情報処理装置に本発明の商品情報管理方法を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0082】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、売上計上方法として、進行基準売上方式を採っている業種・業界において有用である。
【符号の説明】
【0084】
10 売上シミュレーション装置
11 制御部
12 通信インターフェース部
13 記憶部
13A 受注データベース
13B 予算データベース
13C 進行率データベース
13D 受注為替レートデータベース
13E 為替レートマスタ
13X1~13X3 売上予定データ
14 入出力インターフェース部
15 入力装置
16 出力装置
30 通信ネットワーク
40 外部サーバ
M1 売上シミュレーション手段(第一作成手段)
M2 売上予定データ作成手段(第二作成手段)
M3 出力制御手段
M4 引当レート算出手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13