IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社富士通ゼネラルの特許一覧

特開2022-154367空気調和装置および空気調和装置の誤配線検知方法
<>
  • 特開-空気調和装置および空気調和装置の誤配線検知方法 図1
  • 特開-空気調和装置および空気調和装置の誤配線検知方法 図2
  • 特開-空気調和装置および空気調和装置の誤配線検知方法 図3
  • 特開-空気調和装置および空気調和装置の誤配線検知方法 図4
  • 特開-空気調和装置および空気調和装置の誤配線検知方法 図5
  • 特開-空気調和装置および空気調和装置の誤配線検知方法 図6
  • 特開-空気調和装置および空気調和装置の誤配線検知方法 図7
  • 特開-空気調和装置および空気調和装置の誤配線検知方法 図8
  • 特開-空気調和装置および空気調和装置の誤配線検知方法 図9
  • 特開-空気調和装置および空気調和装置の誤配線検知方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154367
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】空気調和装置および空気調和装置の誤配線検知方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/49 20180101AFI20221005BHJP
   F24F 11/54 20180101ALI20221005BHJP
   F24F 11/63 20180101ALI20221005BHJP
   F24F 11/89 20180101ALI20221005BHJP
【FI】
F24F11/49
F24F11/54
F24F11/63
F24F11/89
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057379
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(72)【発明者】
【氏名】大石 裕也
(72)【発明者】
【氏名】浅野 真也
(72)【発明者】
【氏名】喜多見 隆一
(72)【発明者】
【氏名】上野 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】足立 菜美
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB03
3L260BA56
3L260BA57
3L260BA65
3L260CA12
3L260CB06
3L260CB85
3L260FC33
3L260HA10
(57)【要約】
【課題】多数の室内機が接続されていても短時間かつ低コストで誤配線検知が行える空気調和装置および空気調和装置の誤配線検知方法を提供する。
【解決手段】空気調和装置は、複数の室内機の各々に異なる個体記号を付与する番号付与部と、個体記号が付与された複数の室内機に個体記号に基づいて冷房運転あるいは暖房運転を所定時間ずつ実行させる運転実行部と、各室内機で実行されている空調運転が冷房運転あるいは暖房運転のいずれであるかを判別し、判別した結果に基づいて結果記号を複数の室内機毎に生成する番号決定部と、番号付与部によって付与された個体記号と、番号決定部によって生成された結果記号とを複数の室内機毎に照合し、個体記号と結果記号とが異なる室内機があれば、当該室内機と切替ユニットとの通信線による接続が誤りであると判定する判定部とを有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外機と、複数の室内機と、同複数の室内機毎に設けられて前記各室内機における冷媒の流れ方向を切り替える切替ユニットを有し、前記室外機と前記複数の室内機と前記複数の切替ユニットが相互に冷媒管および通信線で接続された空気調和装置であって、
前記複数の室内機は、室内熱交換器と、同室内熱交換器の温度である熱交温度を検出する熱交温度センサと、前記複数の室内機の各々が取り込んだ室内空気の温度である室内温度を検出する室内温度センサを有し、
前記室外機および前記複数の室内機を制御する制御手段を有し、
前記制御手段は、前記複数の室内機の各々に付与した室内機の室内機毎に異なり各室内機の空調運転の種別を指定する個体記号と、同個体番号に基づいて行われた空調運転の結果に応じて生成された結果記号とを前記複数の室内機毎に照合して、前記室外機と前記複数の室内機との前記通信線の接続の正誤を判定する、
ことを特徴とする空気調和装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記複数の室内機の各々に異なる個体記号を付与する番号付与部と、
前記個体記号が付与された前記複数の室内機に、前記個体記号に基づいて冷房運転あるいは暖房運転を所定時間ずつ実行させる運転実行部と、
前記各室内機で実行されている空調運転が冷房運転あるいは暖房運転のいずれであるかを判別し、判別した結果に基づいて結果記号を前記複数の室内機毎に生成する番号決定部と、
前記番号付与部によって付与された前記個体記号と、前記番号決定部によって生成された前記結果記号とを前記複数の室内機毎に照合し、前記個体記号と前記結果記号とが異なる室内機があれば、当該室内機と切替ユニットとの前記通信線による接続が誤りであると判定する判定部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記番号付与部は、2つの異なる記号を用いて前記個体記号を生成して前記各室内機に付与する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記運転実行部は、前記個体記号の一方の記号に対しては前記個体記号が付与された室内機に冷房運転を実行させ、前記個体記号の他方の記号に対しては前記個体記号が付与された室内機に暖房運転を実行させる、
ことを特徴とする請求項1あるいは請求項3のいずれかに記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記運転実行部は、前記個体記号を形成する2つの異なる記号に基づいて前記各室内機に冷房運転あるいは暖房運転を実行させるとき、予め定められた順序で冷房運転と暖房運転を実行させる、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の空気調和装置。
【請求項6】
前記番号決定部は、
前記各室内機で実行されている空調運転が冷房運転であると判別した場合は、前記運転実行部において冷房運転を実行させる場合の記号と同じ記号を用い、
前記各室内機で実行されている空調運転が暖房運転であると判別した場合は、前記運転実行部において暖房運転を実行させる場合の記号と同じ記号を用い、
前記各室内機において、冷房運転あるいは暖房運転が実行された順に、冷房運転に対応する記号と暖房運転に対応する記号を並べて、前記結果記号を生成する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の空気調和装置。
【請求項7】
前記番号付与部は、前記複数の室内機の台数に応じて、前記個体記号を形成するために使用する2つの異なる記号の個数を増減する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の空気調和装置。
【請求項8】
前記空気調和装置が複数組存在する場合は、同各空気調和装置の前記複数の室内機に異なる前記個体記号を付与する、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の空気調和装置。
ことを特徴とする
【請求項9】
室外機と、複数の室内機と、同複数の室内機毎に設けられて前記各室内機における冷媒の流れ方向を切り替える切替ユニットを有し、前記室外機と前記複数の室内機と前記複数の切替ユニットが相互に冷媒管および通信線で接続された空気調和装置の誤配線検知方法であって、
前記複数の室内機は、室内熱交換器と、同室内熱交換器の温度である熱交温度を検出する熱交温度センサと、前記複数の室内機の各々が取り込んだ室内空気の温度である室内温度を検出する室内温度センサを有し、
前記複数の室内機の各々に異なる個体記号を付与する番号付与ステップと、
前記個体記号が付与された前記複数の室内機に、前記個体記号に基づいて冷房運転あるいは暖房運転を所定時間ずつ実行させる運転実行ステップと、
前記各室内機で実行されている空調運転が冷房運転あるいは暖房運転のいずれであるかを判別し、判別した結果に基づいて結果記号を前記複数の室内機毎に生成する番号決定ステップと、
前記番号付与部によって付与された前記個体記号と、前記番号決定部によって生成された前記結果記号とを前記複数の室内機毎に照合し、前記個体記号と前記結果記号とが異なる室内機があれば、当該室内機と切替ユニットとの前記通信線による接続が誤りであると判定する判定ステップと、
を有する空気調和装置の誤配線検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1台の室外機に複数の室内機が接続され、各室内機で冷房運転と暖房運転とを同時に行える空気調和装置および空気調和装置の誤配線検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、少なくとも1台の室外機に複数の室内機が冷媒管で並列に接続され、各室内機において冷房運転と暖房運転とを同時に行える、所謂冷暖房フリーの空気調和装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。このような空気調和装置では、室外機と各室内機との間に、各室内機において冷媒が流れる方向を切り替える切替ユニットが室内機毎に設けられており、この切替ユニットを室内機が制御することで、各室内機で冷房運転あるいは暖房運転を個別に行うことができる。
【0003】
上記の空気調和装置において、室外機と各室内機と各切替ユニットは、次のように冷媒管で接続される。室外機には高圧ガス管、低圧ガス管、液管の3本の冷媒管の一端が接続されている。各切替ユニットそれぞれの一端には、高圧ガス管と低圧ガス管のそれぞれの分岐された他端が接続されている。各室内機のそれぞれの一方の冷媒出入口には、液管の分岐された他端がそれぞれ接続されている。そして、各切替ユニットの他端と各室内機の他方の冷媒出入口とが、冷媒管で接続される。また、室外機と各室内機と各切替ユニットは、次のように通信線で接続される。室外機と各室内機は、通信線で並列に接続される。また、室内機とこれに冷媒管で接続されている切替ユニットとが通信線で接続される。
【0004】
このように、室外機と複数の室内機と複数の切替ユニットとが冷媒管および通信線で接続された空気調和装置では、各室内機が利用者のリモコン操作などにより冷房運転あるいは暖房運転の開始を指示する信号を受信すれば、各室内機が自機に通信線で接続されている切替ユニットを制御することで、各室内機における冷媒の流れる方向を切り替えて、冷房運転時は室内熱交換器が蒸発器として機能させ、また、暖房運転時は室内熱交換器が凝縮器として機能させる。このとき、室外機は、冷房運転を行っている室内機が要求する冷房能力と暖房運転を行っている室内機が要求する暖房能力とを比較し、要求された冷房能力が暖房能力より大きい場合は冷媒回路を冷房サイクルとして室外熱交換器が凝縮器として機能する状態とし、要求された冷房能力が暖房能力より小さい場合は冷媒回路を暖房サイクルとして室外熱交換器が蒸発器として機能する状態とする。
【0005】
ところで、上述した空気調和装置を設置する場合や、既に設置されている室内機を新しい室内機に置き換える場合には、設置後に行われる試運転において各室内機と各切替ユニットとの通信線が正しく接続されているか否かを確認する(以降、誤配線検知と記載する場合がある)必要がある。誤配線検知の手法としては、例えば、室内機全台で一定時間(例えば、1時間)冷房運転を行い、その後1台ずつ順番に切替ユニットを制御して暖房運転に切り替える方法がある。
【0006】
室内機とこの室内機に冷媒管で接続されている切替ユニットとが正しく通信線で接続されていれば、当該室内機において冷房運転から暖房運転に切り替えられると、切替ユニットが制御されて室内機における冷媒の流れる方向が切り替わって室内熱交換器の温度(以降、熱交温度と記載する場合がある)が上昇する。一方、室内機とこれに冷媒管で接続されている切替ユニットとが正しく通信線で接続されていなければ、当該切替ユニットが制御されず室内機における冷媒の流れる方向が切り替わらないため、現在行われている冷房運転が継続されて熱交温度が変化しない。
【0007】
このように、室内機を1台ずつ順次冷房運転から暖房運転に切り替えて熱交温度の変化を見ることで、誤配線検知を行なうことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008-39276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上述した誤配線検知の手法では、次のような問題がある。通常、室内機1台あたり冷房運転から暖房運転に切り替えて誤配線検知を行うために必要な時間としては、切替ユニット内での均圧(高圧と低圧との圧力差が所定値(例えば0.1MPa)以下となる状態)に必要な時間と、冷房運転から暖房運転に切り替えてから熱交温度が安定するまでの時間があり、例えば、均圧に必要な時間は6分間、熱交温度が安定するまでの時間は4分間である。
【0010】
つまり、上述した誤配線検知の手法では、室内機1台当たりに10分程度の時間が必要となり、かつ、冷房運転から暖房運転への切り替えを順次室内機1台ずつ行う必要があるため、誤配線検知には、室内機の台数×10分の時間が必要となる。一般的には、冷暖房フリーの空気調和装置には多数の室内機が存在するため、誤配線検知にかかる時間が長時間となって作業者に負担を強いるものとなり、また、試運転に要するコストがかかってしまうという問題があった。
【0011】
本発明は以上述べた問題点を解決するものであって、多数の室内機が接続されていても短時間かつ低コストで誤配線検知が行える空気調和装置および空気調和装置の誤配線検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した課題を解決するために、本発明の空気調和装置は、室外機と、複数の室内機と、複数の室内機毎に設けられて各室内機における冷媒の流れ方向を切り替える切替ユニットを有する。室外機と複数の室内機と複数の切替ユニットは、相互に冷媒管および通信線で接続されている。複数の室内機は、室内熱交換器と、室内熱交換器の温度である熱交温度を検出する熱交温度センサと、複数の室内機の各々が取り込んだ室内空気の温度である室内温度を検出する室内温度センサと、室外機および複数の室内機を制御する制御手段を有する。制御手段は、複数の室内機の各々に付与した室内機毎に異なる個体記号と、個体記号に基づいて行われた空調運転の判別結果を用いて生成された結果記号とを複数の室内機毎に照合して、室外機と複数の室内機との通信線の接続の正誤を判定する。
【発明の効果】
【0013】
上記のように構成した本発明の空気調和装置によれば、多数の室内機が接続されていても短時間かつ低コストで誤配線検知が行える空気調和装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例における、全ての室内機が冷房運転を行う場合の冷媒の流れを説明する冷媒回路図である。
図2】本発明の実施例における、全ての室内機が暖房運転を行う場合の冷媒の流れを説明する冷媒回路図である。
図3】本発明の実施例における、冷房主体運転を行う場合の冷媒の流れを説明する冷媒回路図である。
図4】本発明の実施例における、暖房主体運転を行う場合の冷媒の流れを説明する冷媒回路図である。
図5】本発明の実施例における、各制御手段の構成を示すブロック図である。
図6】室外機と各室内機と各切替ユニットの通信線の結線図であり、(A)は全てが誤りなく接続されている場合を示す図面であり、(B)は一部に誤配線がある場合を示す図面である。
図7】本発明の実施例における、判定テーブルである。
図8】誤配線判定を行う際の、室外機制御手段が行う処理を示すフローチャートである。
図9】誤配線判定を行う際の、各室内機制御手段が行う処理を示すフローチャートである。
図10】冷媒系統が異なる2台の空気調和装置において、誤配線がある場合を説明する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。実施例としては、1台の室外機に5台の室内機が並列に接続され冷暖房フリーの運転が行える空気調和装置を例に挙げて説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
【実施例0016】
図1乃至図4は、本実施例における空気調和装置1の各運転状態での冷媒の流れを説明する冷媒回路図であり、図1は全ての室内機が冷房運転を行っている場合、図2は全ての室内機が暖房運転を行っている場合、図3は冷房主体運転を行っている場合、図4は暖房主体運転を行っている場合、をそれぞれ示している。尚、以下の説明では、運転状態に関わらない、冷媒回路に共通の構成を説明する場合は、図1を代表図として説明することとする。
【0017】
図1に示すように、本実施例における空気調和装置1は、1台の室外機2と、5台の室内機8a~8eと、5台の切替ユニット6a~6eと、高圧ガス管71と、低圧ガス管72と、液管73と、制御部100とを備えている。室外機2と室内機8a~8eと切替ユニット6a~6eとが、高圧ガス管71と低圧ガス管72と液管73とで相互に接続されることによって、冷媒回路が構成される。
<室外機の構成>
室外機2は、圧縮機21と、四方弁22と、室外熱交換器23と、室外機膨張弁24と、閉鎖弁25~27と、アキュムレータ28と、室外機ファン29と、室外機制御手段100とを備えている。そして、室外機ファン29と室外機制御手段100を除く各装置が、後述する各冷媒管で接続されている。
【0018】
圧縮機21は、インバータにより回転数が制御される図示しないモータによって駆動されることで、運転容量を可変できる能力可変型圧縮機である。圧縮機21の冷媒吐出側は吐出配管31の一端に接続されており、吐出配管31の他端は後述する四方弁22のポートaに接続されている。また、圧縮機21の冷媒吸入側は吸入配管32の一端に接続されており、吸入配管32の他端は後述するアキュムレータ28の冷媒流出側に接続されている。なお、吐出配管31には室外機高圧ガス管33の一端が接続されており、室外機高圧ガス管33の他端は閉鎖弁25に接続されている。
【0019】
四方弁22は、冷媒回路における冷媒の流れる方向を切り替えるための弁であり、a~dの4つのポートを備えている。四方弁22のポートaは、上述したように圧縮機21の冷媒吐出側と吐出管31で接続されている。四方弁22のポートbは、後述する室外熱交換器23の一端と冷媒管36で接続されている。四方弁22のポートcは、後述するアキュムレータ28の冷媒流入側に一端が接続される室外機低圧ガス管34に冷媒管37で接続されている。四方弁22のポートdは封止されている。なお、室外機低圧ガス管34の他端は、閉鎖弁26に接続されている。
【0020】
空気調和装置1において、図1に示すように室内機8a~8eが全て冷房運転を行う場合や、図3に示すように冷房主体運転(冷房運転を行っている室内機で要求される負荷が、暖房運転を行っている室内機で要求される負荷よりも大きい状態での空気調和装置1の運転)を行う場合は、四方弁22のポートaとポートbとを連通すると同時にポートcとポートdとを連通するよう切り替えて、室外熱交換器23を凝縮器として機能させる。
【0021】
また、図2に示すように室内機8a~8eが全て暖房運転を行う場合や、図4に示すように暖房主体運転(暖房運転を行っている室内機で要求される負荷が、冷房運転を行っている室内機で要求される負荷よりも大きい状態での空気調和装置1の運転)を行う場合は、四方弁22のポートaとポートdとを連通すると同時にポートbとポートcとを連通するよう切り替えて、室外熱交換器23を蒸発器として機能させる。
【0022】
尚、図1図4では、四方弁22の連通しているポート間は実線で示し、連通していないポート間は破線で示している。
【0023】
室外熱交換器23は、冷媒と、後述する室外機ファン29の回転により室外機2の内部に取り込まれた外気を熱交換させるものである。上述したように、室外熱交換器23の一方の冷媒出入口と四方弁22のポートbが冷媒管36で接続されている。また、室外熱交換器23の他方の冷媒出入口と閉鎖弁25が室外機液管35で接続されている。室外熱交換器23は、空気調和装置1が冷房運転あるいは冷房主体運転を行う場合は凝縮器として機能し、空気調和装置1が暖房運転あるいは暖房主体運転を行う場合は蒸発器として機能する。
【0024】
室外機膨張弁24は、室外機液管35に設けられている。室外機膨張弁24は、室外熱交換器23が凝縮器として機能する場合は、その開度が全開状態とされるか、後述する吐出圧力センサ51で検出した圧縮機21の吐出圧力に応じて調整される。また、室外熱交換器23が蒸発器として機能する場合は、その開度が室外熱交換器23における冷媒の過熱度(後述する吸入圧力センサ52で検出した吸入圧力から算出した低圧飽和温度と、後述する吸入温度センサ54で検出した吸入温度との差)に応じて調整される。
【0025】
アキュムレータ28は、前述したように、冷媒流入側と四方弁22のポートcとが冷媒管37で接続されており、冷媒流出側と圧縮機21の冷媒吸入側とが吸入配管32で接続されている。アキュムレータ28は、流入した冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離し、ガス冷媒のみを圧縮機21に吸入させる。
【0026】
室外機ファン29は樹脂材で形成されており、室外熱交換器23の近傍に配置されている。室外機ファン29は、図示しないファンモータによって回転することで、室外機2の図示しない筐体に設けられた吸込口から室外機2の筐体内部へ外気を取り込み、室外熱交換器23において冷媒と熱交換した外気を室外機2の図示しない筐体に設けられた吹出口から室外機2の外部へ放出する。
【0027】
以上説明した構成の他に、室外機2には各種のセンサが設けられている。図1に示すように、吐出管31には、圧縮機21から吐出される冷媒の圧力である吐出圧力を検出する吐出圧力センサ51と、圧縮機21から吐出される冷媒の温度を検出する吐出温度センサ53が設けられている。冷媒管37におけるアキュムレータ28の冷媒流入口近傍には、圧縮機21に吸入される冷媒の圧力である吸入圧力を検出する吸入圧力センサ52と、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を検出する吸込温度センサ54とが設けられている。
【0028】
室外機液管35における室外熱交換器23と室外機膨張弁24との間には、室外熱交換器23に流入する冷媒の温度、あるいは、室外熱交換器23から流出する冷媒の温度を検出するための冷媒温度センサ55が設けられている。室外熱交換器23の図示しない冷媒流路のほぼ中央部には、室外熱交換器23の温度を検出する室外熱交温度センサ56が設けられている。そして、室外機2の図示しない筐体の吸込口付近には、室外機2の内部に流入する外気の温度、すなわち外気温度を検出する外気温度センサ57が設けられている。
<各室内機の構成>
5台の室内機8a~8eは、室内熱交換器81a~81eと、室内機膨張弁82a~82eと、室内機ファン83a~83eとを備えている。尚、室内機8a~8eの構成は全て同じであるため、以下の説明では、室内機8aの構成についてのみ説明を行い、その他の室内機8b~8eについては説明を省略する。なお、図1では、室内機8aの各構成に付与した番号の末尾をaからb~eにそれぞれ変更したものが、室内機8aの各構成と対応する室内機8b~8eの各構成となる。
【0029】
室内熱交換器81aは、一方の冷媒出入口が液管73に、他方の冷媒雄出入口が後述する切替ユニット6aに、それぞれ冷媒管で接続されている。室内熱交換器81aは、室内機8aが冷房運転を行う場合は蒸発器として機能し、室内機8aが暖房運転を行う場合は凝縮器として機能する。
【0030】
室内機膨張弁82aは、室内熱交換器81aと液管73側とを接続する冷媒管に設けられている。室内機膨張弁82aは、室内熱交換器81aが蒸発器として機能する場合は、その開度が要求される冷房能力に応じて調整され、室内熱交換器81aが凝縮器として機能する場合は、その開度が要求される暖房能力に応じて調整される。
【0031】
室内機ファン83aは樹脂材で形成されており、室内熱交換器81aの近傍に配置されている。室内機ファン83aは、図示しないファンモータによって回転することで、室内機8aの図示しない筐体に設けられた吸込口から筐体内部に室内空気を取り込み、室内熱交換器81aにおいて冷媒と室内空気とを熱交換させた後、室内機8aの図示しない筐体に設けられた吹出口から室内へ供給する。
【0032】
以上説明した構成の他に、室内機8aには各種のセンサが設けられている。図1に示すように、室内熱交換器81aと室内機膨張弁82aの間の冷媒管には、室内熱交換器81aに流入する冷媒の温度あるいは室内熱交換器81aから流出する冷媒の温度を検出する冷媒温度センサ84aが設けられている。室内熱交換器81aの図示しない冷媒流路のほぼ中央部には、室内熱交換器81aの温度を検出する室内熱交温度センサ85aが設けられている。そして、室内機8aの図示しない室内空気の吸込口付近には、室内機8aの筐体内部に流入する室内空気の温度、すなわち室内温度を検出する室温センサ86aが設けられている。
<切替ユニットの構成>
切替ユニット6a~6eは、第1電磁弁61a~61eと、第2電磁弁62a~62eと、第1分流管63a~63eと、第2分流管64a~64eとを備えている。尚、切替ユニット6a~6eの構成は全て同じであるため、以下の説明では、切替ユニット6aの構成についてのみ説明を行い、その他の切替ユニット6b~6eについては説明を省略する。なお、図1では、切替ユニット6aの各構成に付与した番号の末尾をaからb~eにそれぞれ変更したものが、切替ユニット6aの各構成と対応する切替ユニット6b~6eの各構成となる。
【0033】
図1に示すように、第1分流管63aの一端は高圧ガス管71に接続されており、第2分流管64aの一端は低圧ガス管72に接続されている。また、第1分流管63aの他端および第2分流管64aの他端と液管73とが相互に室内熱交換器81aに接続されている。第1分流管63aには第1電磁弁61aが、また、第2分流管64aには第2電磁弁62aが、それぞれ設けられており、第1電磁弁61aおよび第2電磁弁62aをそれぞれ開閉することによって、切替ユニット6aに対応する室内機8aの室内熱交換器81aが圧縮機21の吐出側(高圧ガス管71側)または吸入側(低圧ガス管72側)に接続されるよう、冷媒回路における冷媒の流路を切り替えることができる。
【0034】
以上説明した室外機2、室内機8a~8eおよび切替ユニット6a~6eと、高圧ガス管71、低圧ガス管72および液管73との接続状態は以下の通りである。室外機2の閉鎖弁25には高圧ガス管71の一端が接続され、高圧ガス管71の他端は分岐して切替ユニット6a~6eの第1分流管63a~63eに接続される。室外機2の閉鎖弁26には低圧ガス管72の一端が接続され、低圧ガス管72の他端は分岐して切替ユニット6a~6eの第2分流管64a~64eに接続される。
【0035】
室外機2の閉鎖弁27には液管73の一端が接続され、液管73の他端は分岐して室内機8a~8eの室内機膨張弁82a~82e側に接続される。また、対応する室内機8a~8eの室内熱交換器81a~81e側と切替ユニット6a~6eとが冷媒管で各々接続される。
【0036】
以上に説明したように、室外機2と室内機8a~8eと切替ユニット6a~6eが各冷媒管で相互に接続されることによって、空気調和装置1の冷媒回路が構成され、冷媒回路に冷媒を流すことによって冷凍サイクルが成立する。
【0037】
また、空気調和装置1の室外機2には室外機制御手段100が設けられており、各室内機8a~8eのそれぞれには室内機制御手段200a~200eが設けられている。空気調和装置1では、これら室外機制御手段100および室内機制御手段200a~200eが協働することで、空気調和装置1による空調運転に関わる様々な制御が実行される。なお、室外機制御手段100および室内機制御手段200a~200eの構成や相互の通信線による接続については、後ほど詳細に説明する。
【0038】
次に、本実施例における空気調和装置1の運転動作について説明する。空気調和装置1では、室外機2に備えられた四方弁22の設定(ポートa~dの接続状態の変更)や切替ユニット6a~6eに備えられた第1電磁弁61a~61eおよび第2電磁弁62a~62eの開閉状態に応じて、様々な運転動作が可能である。以下の説明では、これら運転動作の中から代表的な運転動作を例に挙げて説明する。
【0039】
尚、以下の説明では図1図4を用いるが、各図において室外熱交換器23や室内熱交換器81a~81eが凝縮器となる場合はハッチングを付し、蒸発器となる場合は白抜きで図示する。また、各図において切替ユニット6a~6eにおける第1電磁弁61a~61eおよび第2電磁弁62a~62eの開閉状態については、閉じている場合を黒塗りで、開いている場合を白抜きで図示する。さらには、各図における矢印は冷媒の流れる方向を示している。
<全台冷房運転>
まずは、室内機8a~8eが全て冷房運転を行う場合について、図1を用いて説明する。図1に示すように、全台冷房運転においては室外機2の室外機制御手段100は、四方弁22のポートaとポートbとを連通させるとともにポートcとポートdとを連通させる状態とする。また、各室内機8a~8eの室内機制御手段200a~200eは、対応する切替ユニット6a~6eの第1電磁弁61a~61eを閉じるとともに第2電磁弁62a~62eを開く。これにより、室外熱交換器23が凝縮器となり、各室内機8a~8eの室内熱交換器81a~81eは全て蒸発器となる。
【0040】
圧縮機21から吐出された冷媒は、四方弁22を通過した後室外熱交換器23に流入する。室外熱交換器23に流入した冷媒は、外気と熱交換を行って凝縮する。室外熱交換器23で凝縮した冷媒は、室外機制御手段100により開度が全開とされた室外機膨張弁24を通過し、液管73を流れて各室内機8a~8eへ分かれて流入する。
【0041】
室内機8a~8eへ流入した冷媒は、室内機膨張弁82a~82eで減圧されて室内熱交換器81a~81eに流入する。室内熱交換器81a~81eに流入した冷媒は、室内空気と熱交換を行って蒸発し、これにより室内機8a~8eが設置された室内の冷房が行われる。なお、室内機膨張弁82a~82eの開度は、室内熱交換器81a~81eの冷媒出口側における冷媒過熱度に応じて調整される。
【0042】
室内熱交換器81a~81eから流出した冷媒は切替ユニット6a~6eに流入し、開となっている第2電磁弁62a~62eが備えられた第2分流管64a~64eを流れて低圧ガス管72に流入する。そして、各切替ユニット6a~6eから低圧ガス管72に流入した冷媒は、低圧ガス管72を流れて室外機2に流入し、アキュムレータ28を介して圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
<全台暖房運転>
次に、室内機8a~8eが全て暖房運転を行う場合について、図2を用いて説明する。図2に示すように、全台暖房運転においては室外機2の室外機制御手段100は、四方弁22のポートaとポートdとを連通させるとともにポートbとポートcとを連通させる状態とする。また、各室内機8a~8eの室内機制御手段200a~200eは、対応する切替ユニット6a~6eの第1電磁弁61a~61eを開くとともに第2電磁弁62a~62eを閉じる。これにより、室外熱交換器23が蒸発器となり、各室内機8a~8eの室内熱交換器81a~81eは全て凝縮器となる。
【0043】
圧縮機21から吐出された冷媒は、室外機高圧ガス管33および高圧ガス管71を流れて切替ユニット6a~6eに分かれて流入する。切替ユニット6a~6eに流入した冷媒は、開となっている第1電磁弁61a~61eが備えられた第1分流管63a~63eを流れて切替ユニット6a~6eから流出し、対応する室内機8a~8eに流入する。
【0044】
室内機8a~8eに流入した冷媒は、室内熱交換器81a~81eに流入して室内空気と熱交換を行って凝縮し、これにより室内機8a~8eが設置された室内の暖房が行われる。室内熱交換器81a~81eから流出した冷媒は、室内機膨張弁82a~82eを通過して減圧される。なお、室内機膨張弁82a~82eの開度は、室内熱交換器81a~81e出口での冷媒過冷却度に応じて調整される。
【0045】
室内機8a~8eから流出した冷媒は液管73に流入する。液管73を流れて閉鎖弁27を介して室外機2に流入した冷媒は、室外熱交換器23の冷媒出口側における冷媒過熱度に応じた開度とされた室外機膨張弁24を通過する際に減圧されて、室外熱交換器23に流入する。室外熱交換器23に流入した冷媒は、外気と熱交換を行って蒸発する。そして、室外熱交換器23から流出した冷媒は、四方弁22およびアキュムレータ28を介して圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
【0046】
次に、冷暖房フリーの運転を行う場合について説明する。以下、冷暖房フリーの運転の説明において、冷房主体運転を行う場合としては、図3に示すように冷房運転を行っている3台の室内機8a~8cで要求される冷房負荷が、暖房運転を行っている2台の室内機8d,8eで要求される暖房負荷よりも大きい場合を例に挙げて説明する。また、暖房主体運転を行う場合としては、図4に示すように暖房運転を行っている3台の室内機8a~8cで要求される暖房負荷が、冷房運転を行っている2台の室内機8d,8eで要求される冷房負荷よりも大きい場合を例に挙げて説明する。
<冷房主体運転>
まずは、冷房主体運転を行う場合について、図3を用いて説明する。図3に示すように、冷房主体運転においては室外機2の室外機制御手段100は、四方弁22のポートaとポートbとを連通させるとともにポートcとポートdとを連通させる状態に設定する。これにより、室外熱交換器23は凝縮器となる。
【0047】
また、冷房運転を行う3台の室内機8a~8cの室内機制御手段200a~200cは、対応する3台の切替ユニット6a~6cの第1電磁弁61a~61cを閉じて第1分流管63a~63cを遮断するとともに、第2電磁弁62a~62cを開いて第2分流管64a~64cを連通する。これにより、3台の室内機8a~8cの室内熱交換器81a~81cは蒸発器となる。
【0048】
一方、暖房運転を行う2台の室内機8d,8eの室内機制御手段200d、200eは、対応する2台の切替ユニット6d、6eの第1電磁弁61d、61eを開いて第1分流管63d,63eを連通するとともに、第2電磁弁62d、62eを閉じて第2分流管64d,64eを遮断する。これにより、2台の室内機8d、8eの室内熱交換器81d、81eは凝縮器となる。
【0049】
圧縮機21から吐出された冷媒は、四方弁22側と高圧ガス管71側へ分流する。四方弁22を通過した冷媒は、室外熱交換器23に流入して外気と熱交換を行って凝縮する。室外熱交換器23で凝縮した冷媒は、室外熱交換器23の冷媒出口側における冷媒過冷却度に応じた開度とされた室外機膨張弁24を通過して減圧され、液管73を流れて室内機8a~8cへ分かれて流入する。
【0050】
室内機8a~8cへ流入した冷媒は、室内機膨張弁82a~82cで減圧されて室内熱交換器81a~81cに流入する。室内熱交換器81a~81cに流入した冷媒は、室内空気と熱交換を行って蒸発し、これにより室内機8a~8cが設置された室内の冷房が行われる。なお、室内機膨張弁82a~82cの開度は、室内熱交換器81a~81cの冷媒出口側における冷媒過熱度に応じて調整される。
【0051】
室内熱交換器81a~81cから流出した冷媒は切替ユニット6a~6cに流入し、開となっている第2電磁弁62a~62cが備えられた第2分流管64a~64cを流れて低圧ガス管72に流入する。そして、低圧ガス管72に流入した冷媒は、低圧ガス管72を流れて室外機2に流入し、アキュムレータ28を通過して圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
【0052】
一方、圧縮機21から吐出され室外機高圧ガス33を流れて高圧ガス管71に流入した冷媒は、切替ユニット6d,6eに流入して開となっている第1電磁弁61d,61eが備えられた第1分流管63d,63eを流れて室内機8d、8eに流入する。室内機8d、8eに流入した冷媒は、室内熱交換器81d、81eに流入して室内空気と熱交換を行って凝縮し、これにより室内機8d、8eが設置された室内の暖房が行われる。
【0053】
室内熱交換器81d、81eから流出した冷媒は、室内機膨張弁82d、82eを通過して減圧される。なお、室内機膨張弁82a~82eの開度は、室内熱交換器81a~81eの冷媒出口側における冷媒過冷却度に応じて調整される。そして、室内機膨張弁82d、82eで減圧された冷媒は、室内機8d、8eから液管73に流出する。
<暖房主体運転>
次に、暖房主体運転を行う場合について、図4を用いて説明する。図4に示すように、暖房主体運転においては室外機2の室外機制御手段100は、四方弁22のポートaとポートdとを連通させるとともにポートbとポートcとを連通させる状態に設定する。これにより、室外熱交換器23は蒸発器となる。
【0054】
また、暖房運転を行う3台の室内機8a~8cの室内機制御手段200a~200cは、対応する3台の切替ユニット6a~6cの第1電磁弁61a~61cを開いて第1分流管63a~63cを連通するとともに、第2電磁弁62a~62cを閉じて第2分流管64a~64cを遮断する。これにより、3台の室内機8a~8cの室内熱交換器81a~81cは凝縮器となる。
【0055】
一方、冷房運転を行う2台の室内機8d,8eの室内機制御手段200d、200eは、対応する2台の切替ユニット6d、6eの第1電磁弁61d、61eを閉じて第1分流管63d,63eを遮断するとともに、第2電磁弁62d、62eを開いて第2分流管64d,64eを連通する。これにより、2台の室内機8d、8eの室内熱交換器81d、81eは蒸発器となる。
【0056】
圧縮機21から吐出された冷媒は、室外機高圧ガス管33および高圧ガス管71を流れて切替ユニット6a~6cに分かれて流入する。切替ユニット6a~6cに流入した冷媒は、開となっている第1電磁弁61a~61cが備えられた第1分流管63a~63cを流れて切替ユニット6a~6cから流出し、対応する室内機8a~8cに流入する。
【0057】
室内機8a~8cに流入した冷媒は、室内熱交換器81a~81cに流入して室内空気と熱交換を行って凝縮し、これにより室内機8a~8cが設置された室内の暖房が行われる。室内熱交換器81a~81cで凝縮した冷媒は、室内機膨張弁82a~82cを通過して減圧される。なお、室内機膨張弁82a~82cの開度は、室内熱交換器81a~81cの冷媒出口側における冷媒過冷却度に応じて調整される。
【0058】
室内機8a~8cから流出した冷媒は、液管73に流入する。液管73を流れる冷媒は、一部が室外機2に流入し、残りは液管73を流れて室内機8d,8eに流入する。室外機2に流入した冷媒は、室外熱交換器23の冷媒出口側における冷媒過熱度に応じた開度とされた室外機膨張弁24を通過する際に減圧して室外熱交換器23に流入する。室外熱交換器23に流入した冷媒は、外気と熱交換を行って蒸発する。そして、室外熱交換器23から流出した冷媒は、四方弁22およびアキュムレータ28を介して圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
【0059】
一方、液管73から室内機8d,8eに流入した冷媒は、室内機膨張弁82d、82eで減圧されて室内熱交換器81d、81eに流入する。室内熱交換器81d、81eに流入した冷媒は、室内空気と熱交換を行って蒸発し、これにより室内機8d、8eが設置された室内の冷房が行われる。なお、室内機膨張弁82d、82eの開度は、室内熱交換器81d、81eの冷媒出口側における冷媒過熱度に応じて調整される。
【0060】
室内熱交換器81d、81eから流出した冷媒は切替ユニット6d、6eに流入し、開となっている第2電磁弁62d、62eが備えられた第2分流管64d、64eを流れて低圧ガス管72に流入する。そして、低圧ガス管72を流れる冷媒は室外機2に流入し、アキュムレータ28を介して圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
<誤配線検知について>
次に、図5図9を用いて、本実施例の空気調和装置1における誤配線検知の方法について説明する。ここで誤配線検知とは、室内機8a~8eと、これら室内機8a~8eのそれぞれに冷媒管で接続されている切替ユニット6a~6eとの通信線の接続が正しいか否かを判定するものである。具体的には、まず各室内機8a~8eに後述する個体記号を個別に付与する。個体記号は空調運転の種別を示す記号、具体的には、冷房運転を実行することを示す記号と、暖房運転を実行することを示す記号とを用いて生成される。次に、この個体番号に基づいて各室内機8a~8eで空調運転を行う。次に、各室内機8a~8eで実行された空調運転の結果を用いて結果記号を生成する。そして、生成した結果番号と個体番号とを室内機8a~8e毎に照合することで、室内機8a~8eと切替ユニット6a~6eとの通信線の接続が正しいか否かを判定する。
【0061】
以下の説明ではまずは、図5を用いて誤配線検知を実行する室外機制御手段100および室内機制御手段200a~200eの構成について説明し、次に、図6を用いて室外機2と室内機8a~8eと切替ユニット6a~6eの通信線の接続について説明する。次に、図7を用いて誤配線検知の際に使用する後述する個体記号や結果記号、誤配線検知の判定結果などを含む判定テーブル300について説明し、最後に、図8および図9を用いて誤配線検知を実行する際に室外機制御手段100および室内機制御手段200a~200eのそれぞれが実行する処理について説明する。なお、室外機制御手段100および室内機制御手段200a~200eが、本発明の制御手段に相当する。
<室外機制御手段の構成>
図5に示すように、室外機制御手段100は、番号付与部102と、運転実行部103と、判定部104と、報知部105と、通信部110と、記憶部120と、制御部101を備えている。
【0062】
番号付与部102は、室内機8a~8e毎に予め与えられて記憶されている識別番号を室内機8a~8eから取得し、各室内機8a~8eに2進数(本発明の2つの異なる記号に相当)で表される個体記号を付与する。ここで、識別番号は室内機8a~8eに固有の番号であり、本実施形態では図7に示すように室内機8aから室内機8eの順に「In001」~「In005」としている。
【0063】
また、個体記号は上述した識別番号に対応して室内機毎に異なるものが付与される。本実施形態では、個体記号は2進数を用いてで表され、図7に示すように、室内機8aに個体記号「001」が、室内機8bに個体記号「010」が、室内機8cに個体記号「011」が、室内機8dに個体記号「101」が、室内機8eに個体記号「110」がそれぞれ付与されている。なお、個体記号をこのような2進数で表す場合、各室内機での個体記号の重複を避けるために、室外機2に接続される室内機の台数で個体記号の桁数(本発明の個体番号の個数に相当)を変化させる。例えば、室内機2に接続される室内機の台数が3台未満である場合は2桁の個体記号とし、室内機の台数が4台以上7台以下であれば3桁、室内機の台数が8台以上15台以下であれば4桁、というように、室内機の台数に応じて個体記号の重複が発生しない桁数とする。本実施形態では、室外機2に接続される室内機の台数が5台(室内機8a~8e)であるため、上述したように各室内機8a~8eの個体記号が3桁の2進数とされている。
【0064】
運転実行部103は、誤配線検知のための空気調和装置1の空調運転を実行する。具体的には、運転実行部103は、室内機8a~8eのそれぞれに対し後述する通信部110を介して個体記号を送信し、送信した個体記号の各桁における数値に応じた運転モード(冷房運転あるいは暖房運転)を所定時間ずつ行うように室内機8a~8eに指示する。本実施形態では、個体記号のある桁における数値が「0」(本発明の個体記号の一方の記号に相当)であれば冷房運転を所定時間行い、「1」(本発明の個体記号の他方の記号に相当)であれば暖房運転を所定時間行うとしている。運転実行部103は、個体番号の各数値に対応する空調運転を予め定められた順序で行う旨の信号を各室内機8a~8eに送信する。本実施形態では、予め定められた順序として個体番号の桁の大きい方から小さい方へと順に数値に対応する空調運転を室内機8a~8eに実行させる。例えば、室内機8aの個体記号が「001」であり桁数の大きい方から順に「0」、「0」、「1」の順で数値が並んでいる。この室内機8aが運転実行部103から誤配線検知のための運転指示を受けると、室内機8aは例えば個体番号の桁の大きい数値から小さい数値の順に各数値に対応する空調運転を行う、つまり、冷房運転→冷房運転→暖房運転の順で各空調運転を所定時間行う。同様に他の室内機8b~8eについても、室内機8aと同時にそれぞれの個体番号に従って空調運転が所定時間行われる。
【0065】
なお、各空調運転を行う所定時間は、切替ユニット6a~6e内での均圧に必要な時間(例えば6分間)と、空調運転を切り替えた後に熱交温度が上昇し始めてから安定するまでに必要な時間(例えば4分間)を加味した時間であり、例えば10分間である。本実施形態では、個体記号が3桁の2進数であり誤配線検知のための空調運転が3回実行されるので、誤配線検知に10分×3回=30分を要することになる。
【0066】
判定部104は、誤配線検知の際に各室内機8a~8eで実行される空調運転の結果に基づいて生成される後述する結果記号を室内機8a~8eから取得し、取得した結果記号と個体記号とを室内機8a~8e毎に比較する。そして、判定部104は、取得した結果記号と個体記号とが合致する室内機は当該室内機とこれに対応する切替ユニットとの通信線の接続は正しいと判断し、取得した結果記号と個体記号とが異なる室内機は当該室内機とこれに対応する切替ユニットとの通信線の接続は誤っていると判断する。
【0067】
報知部105は、判定部104の判定結果を空気調和装置1の設置作業者などに報知する。具体的には、報知部105は、誤配線検知を行った結果、室内機8a~8eとこれら各室内機の各々に対応する切替ユニット6a~6eとの通信線の接続が全て正しい場合はその旨を報知し、室内機8a~8eとこれら各室内機の各々に対応する切替ユニット6a~6eとの通信線の接続のいずれかが誤っている場合は、通信線の接続に誤りがある旨と通信線の接続が誤っている室内機の識別番号を報知する。なお、通信線の接続が誤っている室内機を判別して報知する具体的な方法については、後ほど詳しく説明する。また、報知部105による報知の方法は、室外機2に備えられた表示部への表示や、設置作業者が携帯する端末へ通信して報知するなど、設置作業者が確認できる手段であればよい。
【0068】
通信部110は、室内機8a~8eの室内機制御手段200a~200eとの通信を行う。記憶部120は例えばフラッシュメモリで形成され、室外機2の各装置の制御に関わるプログラムや各種センサで検出した検出値、後述する判定テーブル300などを記憶している。制御部101は、室内機8a~8eの室内機制御手段200a~200eと通信部110を介して通信を行うとともに室外機2の各装置を制御し、また、ここまでに説明した室外機制御手段100の各構成を制御する。
<各室内機制御手段の構成>
図5に示すように、室内機制御手段200a~200eは、操作部202a~202eと、検出部202a~202eと、番号決定部203a~203eと、通信部210a~210eと、制御部201a~201eを備えている。
【0069】
操作部202a~202eは、室外機2より受信した個体記号に応じて室内機8a~8eで冷房運転あるいは暖房運転を行う際に、通信部210a~210eを介して切替ユニット6a~6eを制御する。具体的には、室内機8a~8eが冷房運転を行うときは、操作部202a~202eは切替ユニット6a~6eの第1電磁弁61a~61eを閉じるとともに、第2電磁弁2a~62eを開く。また、室内機8a~8eが暖房運転を行うときは、操作部202a~202eは切替ユニット6a~6eの第1電磁弁61a~61eを開くとともに、第2電磁弁2a~62eを閉じる。
【0070】
検出部203a~203eは、室内機8a~8eの各々の室内熱交温度センサ85a~85eで検出した室内熱交温度(以降、単に「熱交温度」と記載する場合は室内熱交温度を指す)と、室内機8a~8eの各々の室内温度センサ86a~86eで検出した室内温度とを取り込む。
【0071】
番号決定部204a~204eは、誤配線検知のために行われる空調運転の結果を用いて結果記号を生成する。具体的には、番号決定部204a~204eは、誤配線検知時に個体記号に応じた空調運転が所定時間行われた後に、検出部203a~203eで取り込んだ熱交温度が同じく検出部203a~203eで取り込んだ室内温度よりも低い温度である場合は、室内機8a~8eで冷房運転が行われていたと判別する。また、検出部203a~203eで取り込んだ熱交温度が室内温度よりも高い温度である場合は、室内機8a~8eで暖房運転が行われていると判別する。本実施形態では、前述したように個体記号を構成する各桁の数値が「0」であれば冷房運転を行い、各桁の数値が「1」であれば暖房運転を行う、と定めている。番号決定部204a~204eは、冷房運転が行われていると判断した場合は、個体記号の各桁の数値で冷房運転を行うと定めたのと同じ数値である「0」を用い、暖房運転が行われていると判断した場合は、個体記号の各桁の数値で暖房運転を行うと定めたのと同じ数値である「1」を用い、これら各数値を以下に説明するように、行った空調運転の順に並べて結果記号を生成する。
【0072】
前述したように、運転実行部103は、室内機8a~8eに個体番号の各数値に対応する空調運転を予め定められた順序で行うが、番号決定部204a~204eは、室内機8a~8eで冷房運転あるいは暖房運転を行った順に対応する数値を、上記の予め定められた順序と同じ順序で並べて、結果記号を生成する。本実施形態では、各室内機8a~8eで個体番号における大きいほうから小さい方への順に各桁の数値に対応する空調運転を実行させたので、結果番号も行われた空調運転に対応する数値を桁の大きいほうから小さい方へと順に並べて生成される。例えば、番号決定部204a~204eは、ある室内機でこれに付与された3桁の個体記号に応じて誤配線検知のための空調運転を3回行った場合、検出した熱交温度と室内温度の関係が、1)熱交温度<室内温度、2)熱交温度<室内温度、3)熱交温度>室内温度、となれば、冷房運転→冷房運転→暖房運転、の順で空調運転が行われたと判断し、これら各空調運転に対応した数値を桁の大きい方から順に並べて「001」の結果記号を生成して室外機2に送信する。
【0073】
通信部210a~210eは、室外機2の室外機制御手段100、および、切替ユニット6a~6eとの通信を行う。制御部201a~201eは、室外機2の室外機制御手段100と通信部210a~210eを介して通信を行うとともに室内機8a~8eの各装置を制御し、また、ここまでに説明した室内機制御手段200a~200eの各構成を制御する。
【0074】
以上に説明した室外機制御手段100と室内機制御手段200a~200eとが、図5に示すように通信線74a~74eで接続されており、また、室内機制御手段200a~200eと切替ユニット6a~6eとが通信線75a~75eで接続されている。これら通信線74a~74eおよび通信線75a~75eの接続状態について、図6を用いて詳細に説明する。
<通信線による接続状態>
図6(A)に示すように、室外機2の室外機制御手段100と各室内機8a~8eそれぞれの室内機制御手段200a~200eとが、通信線74a~74eで接続されている。より詳細には、室外機制御手段100と室内機制御手段200aとが通信線74aで接続され、室外機制御手段100と室内機制御手段200bとが通信線74bで接続され、室外機制御手段100と室内機制御手段200cとが通信線74cで接続され、室外機制御手段100と室内機制御手段200dとが通信線74dで接続され、室外機制御手段100と室内機制御手段200eとが通信線74eで接続されている。
【0075】
また、各室内機8a~8eの室内機制御手段200a~200eと各室内機8a~8eと冷媒管で接続されている切替ユニット6a~6eとが、通信線75a~75eで接続されている。より詳細には、室内機制御手段200aと切替ユニット6aとが通信線75aで接続され、室内機制御手段200bと切替ユニット6bとが通信線75bで接続され、室内機制御手段200cと切替ユニット6cとが通信線75cで接続され、室内機制御手段200dと切替ユニット6dとが通信線75dで接続され、室内機制御手段200eと切替ユニット6eとが通信線75eで接続されている。
【0076】
図6(A)に示すように、室内機8a~8eの室内機制御手段200a~200eと切替ユニット6a~6eとが、通信線75a~75eで正しく接続されていれば、室内機8a~8eの各々で冷房運転あるいは暖房運転を行うときに、室内機制御手段200a~200eが各室内機に冷媒配で接続されている切替ユニット6a~6eを制御することで所望の空調運転を行うことができる。
【0077】
しかし、空気調和装置1を設置する場合や、既に設置されている室内機8a~8eを新しい室内機に置き換える場合に、室内機8a~8eの室内機制御手段200a~200eに対して誤った切替ユニット6a~6eを通信線75a~75eで接続する誤配線が起こる場合がある。例えば、図6(B)に示すように、室内機8bの室内機制御手段200bには、正しくは切替ユニット6bが接続されるところが誤って切替ユニット6cと通信線75bで接続され、室内機8cの室内機制御手段200cには、正しくは切替ユニット6cが接続されるところが誤って切替ユニット6bと通信線75cで接続されている場合である。このような誤配線は、例えば切替ユニット同士が近い場所に配置されている場合に起こりうる。
【0078】
上記のように、室内機8b、8cと切替ユニット6b、6cとの通信線75b、75cによる接続が誤っている場合、室内機8bの室内機制御手段200bは切替ユニット6cを制御し、室内機8cの室内機制御手段200cは切替ユニット6bを制御することとなる。この場合、室内機8bや室内機8cで冷房運転あるいは暖房運転を行う際に、室内機8bや室内機8cの室内機制御手段200bや室内機制御手段200cが各室内機に冷媒管で接続されていない切替ユニットを制御することになるため、室内機8bや室内機8cで意図した空調運転ができないという問題が発生する。
【0079】
そこで、本実施形態の空気調和装置1では、空気調和装置1の設置時あるいは既に設置されている室内機8a~8eを新しい室内機に置き換えたときに、3桁の2進数で生成されたそれぞれに異なる個体記号を室内機8a~8eに固有の識別番号に対応させて付与する。次に、各室内機8a~8eのすべてで個体記号の各桁の数値に応じた空調運転を予め定めた順序、例えば桁の大きい方から小さい方の順番で各桁の数値に応じた空調運転を行う。そして、行われた空調運転の結果に基づいて生成された結果記号と個体記号とを室内機8a~8e毎に比較して、通信線75a~75eの誤配線検知を行う。
【0080】
図7に示すのは、図6(B)のように室内機8bおよび室内機8cと切替ユニット6bおよび切替ユニット6cとの間に誤配線が生じている場合に空気調和装置1で誤配線検知を行った際の、識別番号、個体記号、結果記号、および、判定結果を記憶した判定テーブル300である。この判定テーブル300は、室外機制御手段100の記憶部120に記憶されている。
【0081】
判定テーブル300では、識別番号は室内機8a~8eの順にIn001~In005となっている。これら識別番号は、前述したように室内機8a~8e毎に定められて各室内機8a~8eの室内機制御手段200a~200eの図示しない記憶部に予め記憶されているものであり、番号付与部102が各室内機8a~8eから取得する。また、個体記号は室内機8a~8eの順に「001」、「010」、「011」、「101」、「110」となっている。これら個体記号は、前述したように番号付与部102が各室内機8a~8eの台数に応じた桁数で識別番号毎にそれぞれ固有に定められて付与されるものであり、識別番号毎に異なるものとされる。
【0082】
誤配線検知を行うとき、まずは各室内機8a~8eで個体記号に応じた所定の順番で冷房運転と暖房運転とが実行される。その後に、各室内機8a~8eで検出される熱交温度と室内温度との比較結果を用いて冷房運転あるいは暖房運転のいずれが実行されたかを判別し、判別された空調運転に応じた数値を予め定められた順で並べて結果記号が生成される。本実施形態では、図6(B)に示すように、室内機8b、8cと切替ユニット6b、6cとの通信線75b、75cによる接続が誤っているため、これら以外の誤配線が起こっていない室内機8aと室内機8dと室内機8eでは、個体記号に応じた順番で冷房運転と暖房運転とが実行されて個体記号と結果記号とが一致する。従って、室内機8aと室内機8dと室内機8eについては、図7に示すように判定結果が「OK」となる。
【0083】
一方、誤配線となっている室内機8bと室内機8cでは、通信線75bと通信線75cとの接続先である切替ユニット6bと切替ユニット6cとが入れ替わっている。この場合、室内機8bが自己の個体記号である「010」に従って冷房運転→暖房運転→冷房運転の順で空調運転するために制御する切替ユニットが切替ユニット6cとなり、この切替ユニット6cに冷媒管で接続されている室内機8cで冷房運転→暖房運転→冷房運転の順で運転が行われる。このため、室外機8cの結果記号は「010」となる。また、室内機8cが自己の個体記号である「011」に従って冷房運転→暖房運転→暖房運転の順で運転するために制御する切替ユニットが切替ユニット6bとなり、この切替ユニット6bに冷媒管で接続されている室内機8bで冷房運転→暖房運転→暖房運転の順で運転が行われる。このため、室外機8bの結果記号が「011」となる。従って、室内機8bと室内機8cについては、それぞれ個体記号と結果記号とが異なるため、図7に示すように判定結果が「NG」となる。
【0084】
なお、図7に示す判定結果は、前述したように室外機制御手段100の判定部104が判定した結果である。
【0085】
以上に説明したように、本実施形態の空気調和装置1で誤配線検知を行うとき、室内機8a~8eのそれぞれに2進数の3桁の異なる個体記号を付与し、この個体記号の各桁の数値に応じた空調運転を室内機8a~8eで同時に行う。そして、室内機8a~8eで実際に行われた空調運転を判別してこの判別結果に応じた数値で結果記号を生成して個体記号と比較することで、室内機8a~8eと切替ユニット6a~6eとの通信線75a~75eによる接続の正誤を判定する。
【0086】
このような本実施形態の誤配線検知の方法では、誤配線検知に要する時間が個体記号の桁数×1回の空調運転に要する時間で済む。これに対し、従来の1台ずつ室内機の運転モードを切り替えて誤配線検知を行う場合では、各室内機では1回の空調運転で済む(例えば、全台冷房運転から1台ずつ暖房運転に切り替える場合)反面、室内機の台数×1回の空調運転に要する時間がかかる。このため、本実施形態の誤配線検知の方法を用いると従来の誤配線検知の方法を用いるのと比べて、誤配線検知に要する時間を短縮できる。例えば、本実施形態の空気調和装置1では、5台の室内機8a~8eが室外機2に接続されているため、1台ずつ室内機の運転モードを切り替えて誤配線検知を行う場合は、10分(室内機1台当たり判定に要する時間。運転モード切替→判定に要する時間は本実施形態の方法と同じ)×5台=50分の時間を要する。これに対し、本実施形態のように個体記号に応じた空調運転を行って誤配線検知を行う場合は、10分(1つの運転モードで判定に要する時間)×3(個体記号の桁数=行われる空調運転の回数)=30分の時間で済むため、1台ずつ室内機の運転モードを切り替えて誤配線検知を行う場合と比べて、誤配線検知に要する時間が20分短縮できる。
【0087】
上述した、本実施形態の誤配線検知による所要時間の短縮効果は、設置される室内機の台数が多いほど顕著となる。これは、1台ずつ室内機の運転モードを切り替えて誤配線検知を行う場合では、室内機の台数が増加する分誤配線検知に要する時間が増加するのに対し、本実施形態では個体記号の桁数で誤配線検知に要する時間が決まるためである。例えば、室内機が50台設置される場合は、1台ずつ室内機の運転モードを切り替えて誤配線検知を行う場合は、10分×50台=500分の時間を要するのに対し、本実施形態の誤配線検知では室内機が50台である場合は個体記号の桁数は6桁でよいため、10分×6桁=60分の時間で済む。従って、1台ずつ室内機の運転モードを切り替えて誤配線検知を行う場合と比べて、誤配線検知に要する時間が440分短縮できる。
【0088】
また、実際に室内機8a~8eで実行された空調運転に応じて結果記号が決定されるため、通信線75a~75eが誤って接続されている場合に、誤配線がなされている室内機と切替ユニットとを判別することができる。例えば、本実施形態では、図7の判定テーブル300に示すように、室内機8bと切替ユニット6cとが通信線75bで接続され、室内機8cと切替ユニット6bとが通信線75cで接続されているため、室内機8bの結果記号である「011」が室内機8cの個体記号である「011」と同じとなっており、また、室内機8cの結果記号である「010」が室内機8bの個体記号である「010」と同じとなっている。このため、誤配線検知の結果NGと判定された室内機8bと室内機8cについて、結果記号に合致する個体記号を持つ室内機と通信線の接続が入れ替わっていることがわかる。
<誤配線検知を行う際の処理の流れ>
次に、図8および図9を用いて、本実施形態の空気調和装置1が設置された後や、既に設置されている室内機8a~8eを新しい室内機に置き換えた後に、設置作業者によって誤配線検知の開始が指示された際の、室外機制御手段100および室内機制御手段200a~200eにおける処理の流れについて説明する。図8および図9に示す各フローチャートにおいて、STはステップを表しこれに続く数字はステップの番号を表している。なお、図8および図9では、本発明に関わる処理を中心に説明しており、各室内機8a~8eから要求される空調能力に対応した圧縮機21や室外機ファン29の回転数制御などといった、冷媒回路に関するその他の処理の説明は省略している。
<誤配線検知を行う際に室外機制御手段が行う処理>
図8に示すのは、誤配線検知の開始が指示されたときに、室外機制御手段100が行う処理を示すフローチャートである。誤配線検知の開始が指示されると、室外機制御手段100の制御部101は、通信部110を介して各室内機8a~8eから識別番号を受信したか否かを判断する(ST1)。各室内機8a~8eから識別番号を受信していなければ(ST1-No)、制御部101は、ST1に処理を戻して各室内機8a~8eからの識別番号の受信を待つ。なお、識別番号は、例えば空気調和装置1が設置された後に初めて電力が供給されたタイミングや、設置作業者により誤配線検知の開始が指示されたタイミングで、各室内機8a~8eから室外機2に送信されるようにすればよい。あるいは、識別番号は、予め室外機制御手段100の記憶部120に記憶されていてもよいが、この場合はST1の処理は不要となる(ST2から処理を開始する)。
【0089】
各室内機8a~8eから識別番号を受信していれば(ST1-Yes)、制御部101は番号付与部102を制御して室内機8a~8e毎に異なる個体記号を生成させ、番号付与部102により生成された各個体記号を対応する室内機8a~8eに送信する(ST2)。なお、制御部101は、受信した各室内機8a~8eの識別番号と対応する室内機8a~8eに送信した各個体記号とを、記憶部120に記憶している判定テーブル300に室内機8a~8eに対応させて記憶する。
【0090】
次に、制御部101は、運転実行部103を制御して誤配線検知のための空調運転の実行を室内機8a~8eに指示させるとともに、室外機2で誤配線検知のための空調運転を開始する(ST3)。このとき、室外機2では、運転実行部102が冷房運転を行う室内機が要求する冷房能力と暖房運転を行う室内機が要求する暖房能力とを室内機8a~8eから取り込み、取り込んだ冷房能力の合計値と取り込んだ暖房運転の合計値とを比較し、比較結果に基づいて四方弁22を切り替えて室外熱交換器23を凝縮器として機能させるか蒸発器として機能させるかを決定する。なお、冷房能力の合計値と暖房能力の合計値に比較結果に応じた四方弁22の切り替えは、個体番号の各桁の数値に応じて空調運転を切り替える度に行われる。
【0091】
次に、制御部101は、各室内機8a~8eのそれぞれから結果記号を受信しているか否かを判断する(ST4)。各室内機8a~8eのそれぞれから結果記号を受信していなければ(ST4-No)、制御部101は、ST4に処理を戻して室内機8a~8eからの結果記号の受信を待つ。各室内機8a~8eの全てから結果記号を受信していれば(ST4-Yes)、制御部101は、判定部105を制御して室内機8a~8e毎に個体記号と結果記号とを照合する(ST5)。なお、制御部101は、受信した各室内機8a~8eの結果記号を、記憶部120に記憶している判定テーブル300に室内機8a~8eに対応させて記憶し、判定部105は判定テーブル300を参照して室内機8a~8e毎に個体記号と結果記号とを照合する。
【0092】
判定部104は、室内機8a~8eのうち個体記号と結果記号とが異なる室内機があるか否かを判断する(ST6)。個体記号と結果記号とが異なる室内機がある場合は(ST6-Yes)、判定部104は、当該室内機の切替ユニットとの通信線の接続をNGと判定し、誤配線されている室内機の識別番号とともに判定結果を制御部101に通知し、この通知を受けた制御部101は、報知部105を介してこの判定結果を報知する(ST7)。一方、ST6の処理において、個体記号と結果記号とが異なる室内機がない場合は(ST6-No)、判定部104は、各室内機8a~8eと各切替ユニット6a~6eとの通信線75a~75eの接続を全てOKと判定して判定結果を制御部101に通知し、この通知を受けた制御部101は、報知部105を介してこの判定結果を報知する(ST8)、ST7あるいはST8の処理を終えた制御部101は、誤配線検知に関わる室外機制御手段100の処理を終了する。なお、制御部101は、ST7あるいはST8の判定結果を、記憶部120に記憶している判定テーブル300に室内機8a~8eに対応させて記憶する。
<誤配線検知を行う際に各室内機制御手段が行う処理>
図9に示すのは、誤配線検知の開始が指示されたときに、室内機制御手段200a~200eのそれぞれが行う処理を示すフローチャートである。誤配線検知の開始が指示されると、室内機制御手段200a~200eの制御部201a~201eは、通信部210a~210eを介して予め記憶されている自己の識別番号を室外機2に送信する(ST21)。前述したように、識別番号は、設置作業者により誤配線検知の開始が指示されたタイミングで、各室内機8a~8eから室外機2に送信される。なお、識別番号が空気調和装置1が設置された後に初めて電力が供給されたタイミングで室外機2に送信される場合や、予め室外機2に識別番号が記憶されている場合は、ST21の処理は不要となる(ST22から処理を開始する)。次に、制御部201a~201eは、通信部210a~210eを介して室外機2から個体記号を受信したか否かを判断する(ST22)。室外機2から個体記号を受信していなければ(ST22-No)、制御部201a~201eは、ST22に処理を戻して室外機2からの個体記号の受信を待つ。
【0093】
室外機2から個体記号を受信していれば(ST22-Yes)、制御部201a~201eは、通信部210a~210eを介して室外機2から誤配線検知のための運転実行の指示を受信したか否かを判断する(ST23)。室外機2から誤配線検知のための運転実行の指示を受信していなければ(ST23-No)、制御部201a~201eは、ST23に処理を戻して室外機2からの誤配線検知のための運転実行の指示の受信を待つ。
【0094】
室外機2から誤配線検知のための運転実行の指示を受信していれば(ST23-Yes)、制御部201a~201eは、操作部202a~202eをそれぞれ制御して受信した個体記号の各桁の数値に応じた運転モードとなるように、対応する切替ユニット6a~6eを制御する(ST24)。具体的には、制御部202a~202eは、前述したような3桁の個体記号であれば、各桁に割り当てられている値に対応する運転モードで室内機8a~8eの空調運転がなされるように、切替ユニット6a~6eを制御する。
【0095】
次に、制御部201a~201eは、誤配線検知のための空調運転を開始するとともに、タイマー計測を開始する(ST25)。なお、図示は省略するが、制御部201a~201eにはそれぞれタイマー計測機能が設けられている。
【0096】
次に、制御部201a~201eは、ST25でタイマー計測を開始してから所定時間が経過したか否かを判断する(ST26)。前述したように、この所定時間は各切替ユニット6a~6eでの均圧に要する時間と、運転モードを切り替えた後に熱交温度が安定するまでに要する時間とを合わせた時間であり、例えば10分間である。
【0097】
所定時間が経過していなければ(ST26-No)、制御部201a~201eは、ST26に処理を戻して所定時間が経過するのを待つ。所定時間が経過すれば(ST26-No)、制御部201a~201eは、タイマーをリセットするとともに、検出部203a~203eを制御して室内熱交温度センサ85a~85eのそれぞれで検出した熱交温度と、室内温度センサ86a~86eのそれぞれで検出した室内温度とを取り込む(ST27)。
【0098】
次に、制御部201a~201eは、番号決定部204a~204eをそれぞれ制御して、ST27で取り込んだ熱交温度と室内温度とを比較して現在の運転モードを判別し(ST28)、判別した運転モードに応じた値を決定する。ここで、運転モードに応じた数値とは、前述したように冷房運転なら「0」、暖房運転なら「1」と決められた数値である。なお、制御部201a~201eは、決定した値を図示しない記憶部に記憶する。
【0099】
次に、制御部201a~201eは、個体記号の各桁の数値に応じた空調運転を実行したか否かを判断する(ST30)。個体記号の全ての数値に応じた空調運転を実行していなければ(ST30-No)、制御部201a~201eは、処理をST24に戻して次の桁の数値に対応する運転モードで運転を行う。
【0100】
個体記号の全ての数値に応じた空調運転を実行していれば(ST30-Yes)、制御部201a~201eは、番号決定部204a~204を制御して結果記号を生成し、生成した結果記号を通信部210a~210eを介して室外機2に送信して(ST31)、誤配線検知に関わる室内機制御手段200a~200eの処理を終了する。番号決定部204a~204は、前述したようにST25で誤配線検知のための冷房運転もしくは暖房運転を行った順に桁の大きい方から対応する数値を当てはめて結果記号を生成する。なお、制御部201a~201eは、生成した結果記号を図示しない記憶部に記憶する
以上に説明した実施形態では、1台の室外機2に5台の室内機8a~8eおよび切替ユニット6a~6eが冷媒管および通信線で接続された空気調和装置1において、室内機8a~8eと切替ユニット6a~6eとの通信線75a~75eの誤配線検知を行う場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明は上記の空気調和装置1の構成に限られるものではなく、室外機に接続される室内機の台数に応じて各室内機に付与する個体記号の桁数を増減させれば、実施形態で説明した方法と同様の方法で室内機と切替ユニットとの通信線の誤配線検知が行える。
【0101】
また、異常に説明した実施形態では、誤配線検知において各室内機8a~8eのすべてで個体記号の各桁の数値に応じた空調運転を行う際、予め定めた順序として桁の大きい方から小さい方の順番で各桁の数値に応じた空調運転を行う場合を説明した。しかし、本発明はこれに限られるものではなく、予め定められた順序として例えば、個体記号の桁の小さい方から大きい方の順番で各桁の数値に応じた空調運転を行う、というように個体記号の度の桁の数値から空調運転を行ってもよい。ただし、前述したように、結果番号を生成する際には、実行された空調運転に対応する数値を上記の予め定められた順序と同じ順序で並べるようにする。
【0102】
また、以上に説明した実施形態では、個体記号を2進数の数値を用い生成する場合を挙げて説明したが、これに代えて文字や図形などを用いてもよく、例えばアルファベットの「A」と「B」を用いて個体記号を「AAB」や「BAB」のようにしてもよい。この場合は、例えば記号「A」の場合は冷房運転を行う、記号「B」の場合は暖房運転を行うとすればよく、誤配線検知の運転で冷房運転あるいは暖房運転が行われたことを判別した後の結果記号の生成においても同様に記号「A」、記号「B」を当てはめればよい。要するに、個体番号は冷房運転/暖房運転を区別できる2つの異なる記号で生成されていればよい。なお、個体記号に上記のアルファベットのような記号を用いる場合は、室内機の台数に応じて使用する記号の個数を増減すればよい。例えば、室外機に接続される室内機が50台ある場合は、「ABABAB」というように記号を6個並べて個体記号を生成すればよい。
【0103】
さらには、以上に説明した実施形態では、1台の室外機2に5台の室内機8a~8eおよび切替ユニット6a~6eが冷媒管および通信線で接続された空気調和装置1を例に挙げて説明したが、このような空気調和装置1が複数組存在する場合に、各組の室内機と切替ユニットにおいて通信線の接続が誤っている場合にも、本発明の誤配線検知の方法を適用できる。
【0104】
以下、複数組の空気調和装置が設置されている場合の誤配線検知について、図10を用いて説明する。
【0105】
<変形例:複数組の空気調和装置が設置されている場合>
図10は、2組の空気調和装置1aと1bについて、図6と同様に各空気調和装置の室外機制御手段と各室内機制御手段と各切替ユニットとの通信線の接続状態を示す図面である。空気調和装置1aは、前述した空気調和装置1と同様の構成を備えており、次に説明する空気調和装置1bと区別するために室外機1を室外機2aとしてこれに設けられている室外機制御手段を室外機制御手段100aとしている。また、空気調和装置1bは、図示しない室外機2bに設けられる室外機制御手段100bと、図示しない室内機8f~8jのそれぞれに設けられる室内機制御手段200f~200jと、切替ユニット8f~8jとを備える。
【0106】
図10に示すように、空気調和装置1aについては、図6(B)で説明した空気調和機1の場合と同様に、室内機8bの室内機制御手段200bと切替ユニット8cとが誤って通信線75bで接続されており、また、室内機8cの室内機制御手段200cと切替ユニット8bとが誤って通信線75bで接続されている。そして、室内機8eの室内機制御手段200eと空気調和装置1bの切替ユニット8fとが誤って通信線75eで接続されている。その他の室内機8a、8dの室内機制御手段200a、200dと切替ユニット8a、8dは、通信線75a、75dで正しく接続されている。
【0107】
一方、空気調和装置1bについては、室内機8fの室内機制御手段200fと空気調和装置1aの切替ユニット8eとが誤って通信線75fで接続されている。その他の室内機と切替ユニットについては、全て正しく接続がなされており、室内機8gの室内機制御手段200gと切替ユニット8gとが通信線75gで接続され、室内機8hの室内機制御手段200hと切替ユニット8hとが通信線75hで接続され、室内機8iの室内機制御手段200iと切替ユニット8iとが通信線75iで接続され、室内機8jの室内機制御手段200jと切替ユニット8jとが通信線75jで接続されている。
【0108】
なお、図10において図示は省略しているが、室外機2aの室外機制御手段100aと室外機2bの室外機制御手段100bとは、通信線で通信可能に接続されている。
【0109】
以上に説明した空気調和装置1aおよび空気調和装置1bにおいて誤配線検知を行うとき、各室内機に付与する個体記号を前述した実施形態と同様に2進数の数値で生成する場合は、室外機2aと室外機2bとが通信を行って室内機の台数が全部で10台であることがわかるため、室外機制御手段100aあるいは室外機制御手段100bのいずれかで個体記号が4桁の2進数で生成される。そして、これら個体記号は、空気調和装置1a、1bに関わらず各室内機を通して付与される。具体的には、図10に示すように、室内機8aに個体何号「0001」が、室内機8bに個体何号「0010」が、室内機8cに個体何号「0011」が、室内機8dに個体何号「0100」が、室内機8eに個体何号「0101」が、室内機8fに個体何号「0110」が、室内機8gに個体何号「0111」が、室内機8hに個体何号「1000」が、室内機8iに個体何号「1001」が、室内機8jに個体何号「1010」が、それぞれ付与される。
【0110】
上記のように各室内機8a~8jに個体記号を付与した後、各空気調和装置1a、1bで誤配線検知のための空調運転を行って図10に示す結果記号を室内機毎に生成し、生成した結果記号と個体記号とを室内機毎に照合する。ここでは、室内機8b、8cとこれらに対応する切替ユニット6b、6cとの通信線75b、75cの接続が誤っており、図10に示すように、室内機8bと室内機8cにおいて個体記号と結果記号が異なっているため判定結果は「NG」となっている。また、室内機8e、8fとこれらに対応する切替ユニット6e、6fとの通信線75e、75fの接続が誤っており、図10に示すように、室内機8eと室内機8fにおいて個体記号と結果記号が異なっているため判定結果は「NG」となっている。
【0111】
なお、室内機8e、8fとこれらに対応する切替ユニット6e、6fとの誤配線を検知するためには、前述したように空気調和装置1aと空気調和装置1bとが相互に通信可能とされており、かつ、いずれかの室外機制御手段の判定部で室内機毎の個体記号と結果記号との比較を行って誤配線の判定が行えればよい。あるいは、これら空気調和装置1aや空気調和装置1bと相互に通信可能に接続されて空気調和装置1aと空気調和装置1bを管理する管理装置が設けられる場合は、この管理装置に番号付与部や運転実行部や判定部を設ければよい。具体的には、管理装置の番号付与部が各室内機に個別記号を付与し、管理装置の運転実行部が各室内機に対して個別記号に応じた空調運転を行うように指示し、管理装置の判別部が各室内機から取得した結果記号と個体番号とを室内機毎に比較して誤配線の判定を行ってもよい。
【0112】
このように、異なる室外機に冷媒管で接続されている2台の室内機において切替ユニットとの通信線の接続が誤っている場合であっても、冷媒管で接続されている室外機に関係なく各室内機を通して個体番号を付与すれば、個体記号に基づく空調運転と実際に行われる空調運転が異なることによって結果記号と個体記号とが異なるため、室内機と切替ユニットとの通信線の接続が誤っていることを検知できる。また、判定結果が「NG」となった室内機において、個体記号と結果記号とを照合することで、通信線の接続が誤っている室内機と切替ユニットを特定することができる。
【0113】
以上説明した通り、本発明による空気調和装置では、複数の室内機に2つの異なる記号で構成される個体記号を付与し、付与した個体暗号に基づいて運転モードを切り替えて空調運転を実行し、実際に実行された空調運転に基づいて生成された結果記号と個体記号とを照合して、室内機とこれに冷媒管で接続される切替ユニットとの通信回線の接続の正誤を判定する。これにより、複数の室内機を1台ずつ運転モードを異ならせて誤配線検知を行う場合と比べて誤配線検知に要する時間を短縮でき、試運転時の誤配線検知にかかるコストを抑制できる。また、判定結果が「NG」となった室内機において、個体記号と結果記号とを照合することで、通信線の接続が誤っている室内機と切替ユニットを特定することができる。
【符号の説明】
【0114】
1 空気調和装置
2、2a、2b 室外機
6a~6j 切替ユニット
8a~8j 室内機
85a~85e 熱交温度センサ
86a~86e 室内温度センサ
100、100a、100b 室外機制御手段
101 制御部
102 番号付与部
103 運転実行部
104 判定部
105 報知部
200a~200e 室内機制御手段
201a~201e 制御部
202a~202e 制御部
203a~203e 検出部
204a~204e 番号決定部
300 判定テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10