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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154373
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】振動装置
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/04 20060101AFI20221005BHJP
   A61H 23/02 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
B06B1/04 Z
A61H23/02 352
A61H23/02 330
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057388
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000112565
【氏名又は名称】フォスター電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 雅之
【テーマコード(参考)】
4C074
5D107
【Fターム(参考)】
4C074BB01
4C074CC01
4C074CC11
4C074DD04
5D107AA06
5D107AA07
5D107BB07
5D107BB08
5D107CC08
5D107CD03
5D107CD08
(57)【要約】
【課題】本発明は、刺激を継続させるように振動を人体に与えることを目的とする。
【解決手段】振動装置10は、人体へ振動を与えるためのボイスコイル型アクチュエータ24と、制御信号に応じて、ボイスコイル型アクチュエータ24を振動させるように、周波数帯域を有する波形を含む信号であって、周波数帯域のピーク周波数が時間的に変化する制御信号をボイスコイル型アクチュエータ24に出力する制御部22と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体へ振動を与えるための振動体と、
制御信号に応じて、前記振動体を振動させるように、周波数帯域を有する波形を含む信号であって、前記周波数帯域のピーク周波数が時間的に変化する前記制御信号を前記振動体に出力する制御部と、
を含む振動装置。
【請求項2】
前記制御信号は、前記ピーク周波数が、連続的に変化する請求項1記載の振動装置。
【請求項3】
前記制御信号は、前記ピーク周波数が、所定範囲内で繰り返し変化する請求項2記載の振動装置。
【請求項4】
前記振動体は、アクチュエータである請求項1~請求項3の何れか1項記載の振動装置。
【請求項5】
前記振動体は、ボイスコイル型アクチュエータ、ソレノイド、又はリニアアクチュエータである請求項4記載の振動装置。
【請求項6】
前記振動体は、人体をマッサージするための振動を与える請求項1~請求項5の何れか1項記載の振動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電磁ソレノイドのアクチュエータや圧電体を用いたマッサージ器が知られている(特許文献1、2)。
【0003】
例えば、特許文献1では、施療する部位をたたくたたき部材と、このたたき部材が連結されるプランジャ及びソレノイドからなる電磁ソレノイドと、前記ソレノイドへの通電を制御する駆動制御手段とを備えるマッサージ機において、前記たたき部材によるたたき力を検出するたたき力検出手段と、このたたき力検出手段の出力に応じて、前記ソレノイドへの通電を制御する。
【0004】
また、特許文献2では、分極処理した圧電体に低周波交流電圧を印加して前記圧電体を振動させて患部をマッサージする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-332938号公報
【特許文献2】特開2000-5257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、マッサージ用途の振動体として、安価な振動モータ(例えば、ERM(Eccentric Rotating Mass))を用いるのが一般的である。このERMには周波数の時間変化がない、あるいはほとんどない。
【0007】
よって、ERMにより人体に振動を与える場合には、触覚受容器順応性により感覚が麻痺し、刺激が維持できない。また、より強い刺激を求めて過大な振動力のモータが実装されることが多い。
【0008】
本発明は上記事実を考慮して、刺激を継続させるように振動を人体に与えることができる振動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る振動装置は、人体へ振動を与えるための振動体と、制御信号に応じて、前記振動体を振動させるように、周波数帯域を有する波形を含む信号であって、前記周波数帯域のピーク周波数が時間的に変化する前記制御信号を前記振動体に出力する制御部と、を含んで構成されている。ここで、振動体の振動方向は、例えば、人体との接触面と略平行方向、人体の接触面と略垂直方向等がある。また、振動方向は、これらの方向に限定されるものではない。
【0010】
本発明によれば、制御部は、制御信号に応じて、前記振動体を振動させるように、周波数帯域を有する波形を含む信号であって、前記周波数帯域のピーク周波数が時間的に変化する前記制御信号を前記振動体に出力する。
【0011】
このように、周波数帯域のピーク周波数が時間的に変化する前記制御信号を前記振動体に出力することにより、刺激を継続させるように振動を人体に与えることができる。
【0012】
また、上記の発明に係る前記制御信号は、前記ピーク周波数が、連続的に変化する、とすることができる。
【0013】
また、上記の発明に係る前記制御信号は、前記ピーク周波数が、所定範囲内で繰り返し変化する、とすることができる。
【0014】
また、上記の発明に係る前記振動体は、アクチュエータである、とすることができる。また、前記振動体は、ボイスコイル型アクチュエータ、ソレノイド、又はリニアアクチュエータである、とすることができる。
【0015】
また、上記の発明に係る前記振動体は、人体をマッサージするための振動を与えることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明の振動装置によれば、周波数帯域のピーク周波数が時間的に変化する前記制御信号を前記振動体に出力することにより、刺激を継続させるように振動を人体に与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態に係る振動装置の全体構成を示す断面図である。
図2】本発明の実施の形態に係る振動装置の制御部の構成を示すブロック図である。
図3A】本発明の実施の形態に係る振動装置のボイスコイル型アクチュエータの構成を示す断面図である。
図3B】本発明の実施の形態に係る振動装置のボイスコイル型アクチュエータの構成を示す概略図である。
図4】正弦波である制御信号の例を示す図である。
図5】制御信号のピーク周波数を連続的に変化させる方法を説明するための図である。
図6】実験結果を示す図である。
図7】実験で用いた各制御信号における加速度測定結果を示す図である。
図8】偏心モータとボイスコイル型アクチュエータとにおける、振動周波数と振動加速度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0019】
<本発明の実施の形態の振動装置の構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る振動装置10の断面図を示している。図1に示すように、振動装置10は、筐体12内に、電源部20と、制御部22と、ボイスコイル型アクチュエータ24とを備えている。
【0020】
制御部22は、図2に示すように、マイクロコンピュータ30と、記憶素子32と、増幅回路34とを備えている。
【0021】
ボイスコイル型アクチュエータ24は、制御部22から出力される制御信号に応じて、人体との接触面と略平行な振動方向に振動することにより、人体表面へ振動を与え、人体をマッサージする。
【0022】
図3Aに示すように、ボイスコイル型アクチュエータ24は、主に、外殻をなすケース2と、当該ケース2内に設けられた電磁駆動部3と、当該電磁駆動部3により振動可能な可動子4と、当該可動子4の両端をそれぞれ弾性支持する第1支持ユニット5a及び第2支持ユニット5bと、当該第1支持ユニット5a及び第2支持ユニット5bの動きを規制する第1インナーガイド6a及び第2インナーガイド6bと、から構成されている。
【0023】
ケース2は、円筒状のケース本体の両開口端が第1カバーケース11a及び第2カバーケース11bにより閉じられている。
【0024】
電磁駆動部3は、ケース2の内部に配置された円筒状の軟磁性材料でなるヨーク40と、ヨーク40の内面にヨーク40と電気的に絶縁された状態で取り付けられた第1コイル21a及び第2コイル21bと、を有する。
【0025】
第1コイル21a及び第2コイル21bはヨーク40の内面に沿って巻回されている。当該第1コイル21a及び第2コイル21bはそれぞれターミナルからの通電により磁場を発生可能である。
【0026】
可動子4は、第1コイル21a及び第2コイル21bに包囲され、振動軸Oに沿って振動するよう配置されている。可動子4は、円板状のマグネット50と、マグネット50を挟むように配置された円板状の第1ポールピース51a、第2ポールピース51bと、マグネット50、第1ポールピース51a、第2ポールピース51bを挟むように配置される第1マス(ウエイト、錘)52a、第2マス(ウエイト、錘)52bと、から構成されている。
【0027】
マグネット50は着磁方向が振動軸O方向である。第1ポールピース51a、第2ポールピース51bは、軟磁性材料でなり、マグネット50の磁気吸着力及び接着剤等により、マグネット50に取り付けられている。第1マス52aと第2マス72bは非磁性体からなり、それぞれ接着剤等により、第1ポールピース51a、第2ポールピース51bに取り付けられている。このため、可動子4を構成するマグネット50、第1ポールピース51a、第2ポールピース51b、第1マス72a、第2マス52bは一体化されている。第1マス52a、第2マス52bは、第1ポールピース51a、第2ポールピース51bとの当接面が平坦に形成されているが、この当接面と逆側の面は、振動軸Oを中心軸とし、その中心軸上の先端部53a、53bが最も外方に突出した螺旋形状に形成されている。
【0028】
このように構成された可動子4は、振動軸O方向における両端部、即ち第1マス52a及び第2マス52bのそれぞれの先端部53a、53bが第1支持ユニット5a及び第2支持ユニット5bにより支持されている。
【0029】
第1支持ユニット5aは、第1ダンパ60a(第1板バネ)と、当該第1ダンパ60aの一面に設けられた第1弾性部材61aと、から構成されている。
【0030】
第1ダンパ60aは、孔70aを有する支持部71aが中央部に形成されている。第1ダンパ60aは孔70aを通して可動子4と連結されている。詳しくは、孔70aに第1マス52aの先端部53aを挿通し、当該先端部53aが押し潰されることでかしめられている。
【0031】
また第1ダンパ60aは、支持部71aから外周へ渦巻き状に延びる3つの腕部72aを有している。各腕部72aは振動軸Oの回りに120°ピッチで等間隔に形成されている。そして、各腕部72aの外周端はケース本体の内面に沿った環状の枠部73aに連結されている。当該枠部73aは、振動軸Oの回りに120°ピッチの位置にて、ケース本体の内面の3か所にて径方向内側に突出しているフランジ部13aにて連結されている。
【0032】
第1ダンパ60aは、金属の一枚ないし複数枚の板バネで構成されており、例えば本実施形態ではステンレス(バネ材)の薄板を加工したものを使用している。第1ダンパ60aの材料は、金属に限らず樹脂や繊維を含む複合素材であってもよい。疲労に強く、可撓性に優れた材料が望ましい。
【0033】
このように構成された第1ダンパ60aは、振動軸O方向及び当該振動軸Oに垂直な径方向を含む交差方向において所定の範囲で弾性変形可能である。なお、この所定の範囲は、ボイスコイル型アクチュエータ24として通常に使用した場合の可動子4の振幅範囲に相当する。従って、当該所定の範囲は、少なくとも第1ダンパ60aがケース2に接触しない範囲であり、第1ダンパ60aの弾性変形の限界を超えない範囲である。
【0034】
第1弾性部材61aは、第1ダンパ60aの支持部71aから各腕部72aの一定の範囲までの形状に沿った外形の板状をなし、第1ダンパ60aの一面に固定されている。第1弾性部材61aの弾性変形により、第1ダンパ60aの制振を行う。
【0035】
第2支持ユニット5bも、第1支持ユニット5aと同様の構成をなしており、第2ダンパ60b(第2板バネ)及び第2弾性部材61bを有している。なお、本実施形態において第2ダンパ60bと第1ダンパ60aとが同一形状、同材料からなり、第2弾性部材61bと第1弾性部材61aとが同一形状、同材料である。第2ダンパ60bの3つの腕部72bは孔70bが形成された支持部71bから環状の枠部73bまで延びている。そして、第2ダンパ60bは、孔70bに第2マス52bの先端部53bが挿入され押し潰してかしめられることで可動子4と連結されている。また、第2ダンパ60bは、環状の枠部73bがケース本体内面から突出している3つのフランジ部13bと、枠部73bに形成された貫通孔をフランジ部13bのボス部14bが挿通し押し潰されてかしめられることで連結されている。なお、第2ダンパ60bの各腕部72bの渦巻き方向は、第1ダンパ60aの各腕部72aの渦巻き方向と逆をなしている。これにより、振動時に可動子4は第1ダンパ60a及び第2ダンパ60bから各々逆方向のトルクを受けるため、振動軸O方向に変位しても振動軸O回りに回転しない。
【0036】
第1インナーガイド6aはボイスコイル型アクチュエータ24の振動軸O方向の一側であり、第1支持ユニット5aよりも振動軸O方向の他側(ケース2中央側)に設けられている。第2インナーガイド6bはボイスコイル型アクチュエータ24の振動軸O方向の他側であり、第2支持ユニット5bよりも振動軸O方向の一側(ケース2中央側)に設けられている。つまり、第1インナーガイド6a及び第2インナーガイド6bは、ケース2内において第1支持ユニット5a及び第2支持ユニット5bよりも振動軸O方向中央側に設けられている。
【0037】
図3Bに示すように、ボイスコイル型アクチュエータ24は、第1コイル21a及び第2コイル21bに通電していない状態では、第1ダンパ60a及び第2ダンパ60bで支持される可動子4は、第1コイル21a及び第2コイル21bの中央に位置している。
【0038】
可動子4を振動させる際には、第1コイル21a及び第2コイル21bに、交互に逆極性の磁界を発生する向きに交流を通電させる。即ち、第1コイル21a及び第2コイル21bの隣り合う部分に同極が発生するようになっている。
【0039】
例えば図3Bに示す極性の場合、可動子4には実線矢印Aで示す振動軸O方向の他側(図3Bにおける右方)への推力が発生し、第1コイル21a及び第2コイル21bへ流す電流を反転させれば、可動子4には点線矢印Bで示す振動軸O方向の一側(図3Bにおける左方)への推力が発生する。
【0040】
このように、第1コイル21a及び第2コイル21bに交流を通電させれば、可動子4は第1ダンパ60a及び第2ダンパ60bによる付勢力を両側から受けながら、振動軸Oに沿って振動する。
【0041】
記憶素子32は、複数の周波数について、正弦波である1周期の基準波形のデータを記憶している。
【0042】
マイクロコンピュータ30は、記憶素子32に記憶された複数の周波数の基準波形のデータを用いて、ボイスコイル型アクチュエータ24を、人体との接触面と略平行な振動方向に振動させるように、周波数帯域を有する波形を含む信号であって、周波数帯域のピーク周波数が、時間的に変化する制御信号をボイスコイル型アクチュエータ24に出力する。
【0043】
具体的には、マイクロコンピュータ30は、複数の周波数の各々について、基準波形である正弦波を制御信号として生成する(図4)。
【0044】
そして、マイクロコンピュータ30は、制御信号のピーク周波数を、下限と上限の範囲内で連続的に繰り返し変化させる(図5)。図5では、制御信号のピーク周波数を、下限と上限の範囲内で連続的に繰り返し変化させて、ピーク周波数が低い制御信号と、ピーク周波数が高い制御信号と、を交互に繰り返す例を示している。
【0045】
また、ピーク周波数の下限は、例えば、15Hzであり、ピーク周波数の上限は、例えば、800Hzである。これにより、触覚受容器のマイスナー小体が刺激を受けやすい15~100Hzと、パチニ小体が刺激を受けやすい100~800Hzとを含む周波数範囲を交互に連続的に刺激することにより、刺激を継続させるように振動を人体に与えることができる。
【0046】
<本発明の実施の形態の振動装置の動作>
マッサージ器(図示省略)の空洞部分に振動装置10を内蔵し、ユーザが、当該マッサージ器を、拘束部材(図示省略)を用いて、マッサージする部位の人体表面に装着し、リモコン等の遠隔操作で、振動装置10のスイッチをオンにすると、制御部22は、ボイスコイル型アクチュエータ24を、人体との接触面と略平行な振動方向に振動させるように、周波数帯域を有する波形を含む信号であって、周波数帯域のピーク周波数が、時間的に変化する制御信号をボイスコイル型アクチュエータ24に出力する。
【0047】
このとき、ボイスコイル型アクチュエータ24は、ピーク周波数を連続的に変化させた振動を人体に与えることができる。
【0048】
このように、ピーク周波数を変化させて振動を人体に与えることで、振動位置を同じ場所に維持しても人体が振動刺激を感じ続けることができる。
【0049】
<実験結果>
上記の実施の形態で説明した振動装置で被験者に振動を与えた際の効果を評価するために実験を行った結果を説明する。
【0050】
偏心モータを搭載した既存のマッサージ器で被験者に振動を与えた後、上記の実施の形態で説明した振動装置を用いて、以下の表に示す13種類の制御信号で被験者に振動を与え、被験者の主観により、振動刺激の強さを評価してもらった。
【0051】
【表1】
【0052】
上記の表に示すように、13種類の制御信号は、60Hzの正弦波である制御信号(No.1)、100Hzの正弦波である制御信号(No.2)、160Hzの正弦波である制御信号(No.3)、60Hzの正弦波を断続的に繰り返す制御信号(No.4)、100Hzの正弦波を断続的に繰り返す制御信号(No.5)、正弦波の周波数を60Hzから100Hzへ連続的に変化させることを繰り返す制御信号(No.6)、正弦波の周波数を100Hzから60Hzへ連続的に変化させることを繰り返す制御信号(No.7)、60Hzと100Hzとの間の範囲で往復するように正弦波の周波数を連続的に変化させることを繰り返す制御信号(No.8)、60Hzと64Hzの正弦波を合成した複合波である制御信号(No.9)、60Hzと85Hzの正弦波を合成した複合波である制御信号(No.10)、115Hzと140Hzの正弦波を合成した複合波である制御信号(No.11)、60Hzと60.5Hzの正弦波を合成した複合波である制御信号、Blowinノイズである制御信号、及び40Hzの正弦波を断続的に繰り返す制御信号を交互に繰り返す制御信号(No.12)、60Hzから100Hzまでの範囲で正弦波の周波数をランダムに変化させることを繰り返す制御信号(No.13)である。No.1~No.3の制御信号が、一定の振動である単純振動を与える制御信号である。No.4~No.13の制御信号が、振動が変化するパターン振動を与える制御信号である。
【0053】
被験者は26歳~58歳の15名の男性とした。また、騒音情報を遮断するため、イヤーマフを装着状態にて体感と評価を行った。また、被験者は、既存のマッサージ器及び振動装置の各々を握った状態で、人差し指のみ先端部を触っている状態で、体感と評価を行った。
【0054】
結果として、図6に示すように、周波数を連続的に変化させる制御信号(No.6~No.8)で、刺激が強い傾向が観察された。このように、ボイスコイル型アクチュエータがパターン振動を与えるときの低域再生能力と応答性の速さが、マッサージの刺激向上に寄与することが確認できた。また、周波数をランダムに変化させる制御信号(No.13)と比較して、周波数を連続的に変化させる制御信号(No.6~No.8)の方が、振動刺激を感じ続けることができるが分かる。
【0055】
また、図7に、No.1~No.13の各制御信号における加速度測定結果を示す。また、図8に、偏心モータとボイスコイル型アクチュエータとにおける、振動周波数と振動加速度との関係を示す。このように、ボイスコイル型アクチュエータでは、低域再生能力が高いことが分かる。
【0056】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る振動装置によれば、周波数帯域のピーク周波数が時間的に変化する制御信号をボイスコイル型アクチュエータに出力することにより、刺激を継続させるように振動を人体に与えることができる。また、制御信号の周波数帯域のピーク周波数を連続的に変化させることにより、より強い刺激を継続させるように振動を人体に与えることができる。
【0057】
また、本発明の実施の形態では、ボイスコイル型アクチュエータを用いるため、広い周波数帯域での制御が可能である。パチニ小体は100Hz以上、マイスナー小体は100Hz以下の周波数で刺激を受けやすいため、これらの周波数帯域を含む周波数範囲で、制御信号のピーク周波数を繰り返し変化させて振動を与えることにより、人体の異なる小体に刺激を与え、刺激を継続させることができる。
【0058】
また、ボイスコイル型アクチュエータにおいて、ダンパ(板バネ)が対に設けられている。これにより、低周波の振動を生みやすい、つまり低周波の振動の制御がしやすい。
【0059】
また、ボイスコイル型アクチュエータがシリンダ型(柱型)で構成されている。これにより、ボイスコイル型アクチュエータが低周波の振動において好適な形状となる。
【0060】
また、ボイスコイル型アクチュエータの可動子には、マグネット、ヨーク、錘が設けられている。これにより、好適な磁束、重さが得られて、最適な振動が得られる。
【0061】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0062】
例えば、上記の実施の形態では、振動体として、ボイスコイル型アクチュエータを用いた場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、ボイスコイル型アクチュエータ以外のアクチュエータを用いてもよい。例えば、ソレノイドや、リニアアクチュエータ等が含まれる。
【0063】
本発明は、振動を利用する電動理美容器具にも用いることもできる。例えば、洗顔ブラシ、美顔マッサージ器等が含まれる。
【符号の説明】
【0064】
10 振動装置
12 筐体
20 電源部
22 制御部
24 ボイスコイル型アクチュエータ
30 マイクロコンピュータ
32 記憶素子
34 増幅回路
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8