(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154426
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】ヘッドシステム、及び印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20221005BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20221005BHJP
B41J 2/18 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/175 503
B41J2/175 121
B41J2/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057460
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 正広
(74)【代理人】
【識別番号】100179280
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 育郎
(72)【発明者】
【氏名】鳥飼 孝介
(72)【発明者】
【氏名】石▲崎▼ 裕稔
(72)【発明者】
【氏名】坪井 基洋
(72)【発明者】
【氏名】森本 樹
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 佑希
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056FA13
2C056HA15
2C056HA51
2C056KB13
2C056KB15
2C056KB16
2C056KB19
2C056KB37
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コンパクトなヘッドシステム、及び該ヘッドシステムを備える印刷装置を提供する。
【解決手段】ヘッドシステムは、第1方向に沿って千鳥状に配置された複数のヘッド機構40と、前記複数のヘッド機構の各々に液体を分配するサブタンク30と、サブタンクと複数のヘッド機構の1つとを流体接続するインク管セットITSと、複数のヘッドを冷媒で冷却する冷却機構であって、複数のヘッドに前記冷媒を分配する冷媒供給マニホールド51および冷媒排出マニホールド53を有する冷却機構と、筐体とを備える。インク管セットのインク管の各々は、サブタンクと複数のヘッド機構の間の全域において、上下方向と平行に直線状に延び、インク管セットのインク管の各々と、冷媒供給マニホールドおよび冷媒排出マニホールドとが、第1方向および上下方向に直交する第2方向に並んで配置されている。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のヘッドであって、第1方向に沿って千鳥状に配置された複数のヘッドと、
前記複数のヘッドの上方に配置され、且つ前記複数のヘッドの各々に液体を分配するサブタンクと、
複数の液体流路であって、各々が前記サブタンクと前記複数のヘッドの1つとを流体接続する複数の液体流路と、
前記複数のヘッドを冷媒で冷却する冷却機構であって、上下方向において前記複数のヘッドと前記サブタンクとの間に配置され且つ前記第1方向に延びて前記複数のヘッドに前記冷媒を分配するマニホールドを有する冷却機構と、
前記第1方向及び前記上下方向に直交する第2方向に対向する一対の内面を有し、且つ前記サブタンク、前記冷却機構、及び前記複数の液体流路を収容する筐体とを備え、
前記複数の液体流路の各々は、前記サブタンクと前記複数のヘッドの1つとの間の全域において前記上下方向と平行に直線状に延び、
前記複数の液体流路の各々と前記マニホールドとが、前記筐体の前記一対の内面の間において前記第2方向に並んで配置されているヘッドシステム。
【請求項2】
前記複数の液体流路の各々と前記マニホールドとは、前記第2方向において、前記サブタンクの前記上下方向の投影面内に収まるように配置されている請求項1に記載のヘッドシステム。
【請求項3】
前記複数の液体流路の各々は、前記複数のヘッドの1つに接続される大径部、及び該大径部の上方に位置し且つ該大径部よりも外径が小さい小径部を有し、
前記マニホールドは、前記上下方向において、前記小径部の位置に配置されている請求項1又は2に記載のヘッドシステム。
【請求項4】
前記サブタンクは前記液体を貯留する貯留部と、該貯留部の液体を前記複数の液体流路の各々に分配する分配流路とを有し、
前記複数の液体流路は、前記複数のヘッドの各々に対して2つずつ設けられており、該2つの液体流路は、前記サブタンクから前記複数のヘッドの1つへ前記液体を送る供給管及び前記複数のヘッドの1つから前記サブタンクへ前記液体を送る排出管であり、
前記複数のヘッドの各々は、前記供給管の前記大径部が接続された供給管接続インターフェースと、前記排出管の前記大径部が接続された排出管接続インターフェースと、前記マニホールドから該ヘッドへと前記冷媒を送る冷媒供給管が接続された冷媒供給管接続インターフェースと、該ヘッドから前記マニホールドへと前記冷媒を送る冷媒排出管が接続された冷媒排出管接続インターフェースとを有し、
前記複数のヘッドの各々において、前記供給管接続インターフェースと前記排出管接続インターフェースとが第1方向に並んでおり、前記冷媒供給管接続インターフェースと前記冷媒排出管接続インターフェースとが第1方向に並んでおり、前記供給管接続インターフェース及び前記排出管接続インターフェースと前記冷媒供給管接続インターフェース及び前記冷媒排出管接続インターフェースとは第2方向において異なる位置にあり、
前記供給管接続インターフェース、前記排出管接続インターフェース、前記冷媒供給管接続インターフェース、前記冷媒排出管接続インターフェースが前記サブタンクの前記上下方向の投影面内に収まるように配置されている請求項3に記載のヘッドシステム。
【請求項5】
前記複数のヘッドの各々において、前記供給管接続インターフェース、前記排出管接続インターフェース、前記冷媒供給管接続インターフェース、及び前記冷媒排出管接続インターフェースが前記第1方向に沿って千鳥状に配置されている請求項4に記載のヘッドシステム。
【請求項6】
前記サブタンクは前記液体を貯留する貯留部と、該貯留部の液体を前記複数の液体流路の各々に分配する分配流路とを有し、
前記複数の液体流路は、前記複数のヘッドの各々に対して4つずつ設けられており、該4つの液体流路は、前記サブタンクから前記複数のヘッドの1つへ前記液体を送る第1供給管及び第2供給管、並びに前記複数のヘッドの1つから前記サブタンクへ前記液体を送る第1排出管及び第2排出管であり、
前記複数のヘッドの各々は、前記第1供給管の前記大径部が接続された第1供給管接続インターフェースと、前記第2供給管の前記大径部が接続された第2供給管接続インターフェースと、前記第1排出管の前記大径部が接続された第1排出管接続インターフェースと、前記第2排出管の前記大径部が接続された第2排出管接続インターフェースと、前記マニホールドから該ヘッドへと前記冷媒を送る冷媒供給管が接続された冷媒供給管接続インターフェースと、該ヘッドから前記マニホールドへと前記冷媒を送る冷媒排出管が接続された冷媒排出管接続インターフェースとを有し、
前記複数のヘッドの各々において、前記第1供給管接続インターフェースと前記第1排出管接続インターフェースとが第1方向に並んでおり、前記第2供給管接続インターフェースと前記第2排出管接続インターフェースとが第1方向に並んでおり、前記冷媒供給管接続インターフェースと前記冷媒排出管接続インターフェースとが第1方向に並んでおり、
前記第1供給管接続インターフェース、前記第1排出管接続インターフェース、前記冷媒供給管接続インターフェース、及び前記冷媒排出管接続インターフェースが前記第1方向に沿って千鳥状に配置されており、
前記第1供給管接続インターフェース、前記第1排出管接続インターフェース、前記第2供給管接続インターフェース、及び前記第2排出管接続インターフェースが前記第1方向に沿って千鳥状に配置されており、
前記第1供給管接続インターフェース、前記第1排出管接続インターフェース、前記第2供給管接続インターフェース、前記第2排出管接続インターフェース、前記冷媒供給管接続インターフェース、前記冷媒排出管接続インターフェースが前記サブタンクの前記上下方向の投影面内に収まるように配置されている請求項3に記載のヘッドシステム。
【請求項7】
前記第2供給管接続インターフェース、前記第2排出管接続インターフェース、前記冷媒供給管接続インターフェース、及び前記冷媒排出管接続インターフェースが第1方向に沿って千鳥状に配置されている請求項6に記載のヘッドシステム。
【請求項8】
前記複数のヘッドの各々の上面に、前記複数の液体流路の1つが接続される液体流路インターフェースと、前記マニホールドから該ヘッドへと前記冷媒を送る冷媒供給管が接続される冷媒供給管インターフェースと、該ヘッドから前記マニホールドへと前記冷媒を送る冷媒排出管が接続される冷媒排出管インターフェースが設けられており、
前記液体流路インターフェース、前記冷媒供給管インターフェース、及び前記冷媒排出管インターフェースはいずれも上下方向に延びる管状であり、
前記液体流路インターフェース、前記冷媒供給管インターフェース、及び前記冷媒排出管インターフェースの上端が互いに同じ高さに位置する請求項3~7のいずれか一項に記載のヘッドシステム。
【請求項9】
前記マニホールドは、前記冷媒供給管が接続された供給マニホールドと、前記冷媒排出管が接続された排出マニホールドとを含み、
前記供給マニホールドと前記排出マニホールドとが前記上下方向に並んで配置されており、
前記複数のヘッドの各々において、前記液体流路インターフェースの前記第2方向の一方側に前記冷媒供給管インターフェース及び前記冷媒排出管インターフェースが設けられており、前記液体流路インターフェースの前記第2方向の他方側に前記冷媒供給管インターフェース及び前記冷媒排出管インターフェースにそれぞれ流体接続された前記供給マニホールドと前記排出マニホールドとが設けられている請求項8に記載のヘッドシステム。
【請求項10】
前記冷媒供給管は、前記供給マニホールドから下方に延びる第1部分と、該第1部分の下端に取り付けられた角度可変の第1屈曲継手とを含み、
前記冷媒排出管は、前記排出マニホールドから下方に延びる第2部分と、該第1部分の下端に取り付けられた角度可変の第2屈曲継手とを含み、
第1部分の流路長と第2部分の流路長とは互いに異なり、
第1屈曲継手の流路長と第2屈曲継手の流路長とが互いに同一であり、
前記冷媒供給管及び前記冷媒排出管を前記冷媒供給管インターフェース及び前記冷媒排出管インターフェースに接続する際に、前記第1屈曲継ぎ手及び前記第2屈曲継手による位置調整が可能である請求項9に記載のヘッドシステム。
【請求項11】
前記第1方向に延び、且つ前記サブタンクに前記液体を供給する供給流路が内部に画定された長手部材と、
前記長手部材に熱的に接続されたヒータとを更に備え、
前記長手部材は前記上下方向において前記サブタンクと前記複数のヘッドとの間に配置されており、且つ前記第2方向において前記複数の液体流路の前記マニホールドとは反対側に配置されており、
前記長手部材は、前記第2方向において、前記サブタンクの前記上下方向の投影面内に収まるように配置されている請求項2に記載のヘッドシステム。
【請求項12】
前記複数の液体流路の各々は、前記複数のヘッドの1つに接続される大径部、及び該大径部の上方に位置し且つ該大径部よりも外径が小さい小径部を有し、
前記長手部材は、前記上下方向において、前記小径部の位置に配置されている請求項11に記載のヘッドシステム。
【請求項13】
回路基板であって、該回路基板の実装面が前記第1方向及び前記第2方向を含む面と平行に配置された回路基板と、
複数のフレキシブル配線基板であって、各々が前記回路基板と前記複数のヘッドの1つとを接続する複数のフレキシブル配線基板を更に備え、
前記回路基板は、前記第2方向において、前記サブタンクの前記上下方向の投影面内に収まるように配置されており、
前記複数のフレキシブル基板の各々の一部が、前記サブタンクと前記筐体の前記一対の内面のいずれか一方との間の隙間に配置されている請求項2に記載のヘッドシステム。
【請求項14】
前記筐体は前記第1方向と直交する側壁を有し、
前記側壁に、前記回路基板に電気的に接続されるコネクタと、前記サブタンクに流体接続される液体供給口と、前記マニホールドに流体接続される冷媒供給口とが設けられており、
前記コネクタが、前記液体供給口及び前記冷媒供給口よりも上方に設けられている請求項13に記載のヘッドシステム。
【請求項15】
前記液体供給口が前記冷媒供給口の上方に設けられている請求項14に記載のヘッドシステム。
【請求項16】
媒体を搬送面に沿って搬送方向に搬送する搬送装置と、
複数のヘッドシステムと、
前記複数のヘッドシステムを支持するフレームとを備える印刷装置であって、
前記複数のヘッドシステムの各々は、請求項1~15のいずれか一項に記載のヘッドシステムであり、
前記フレームは、前記複数のヘッドシステムの各々の前記第2方向を前記搬送方向に一致させ、且つ前記複数のヘッドのノズル面を前記搬送面に対向させて支持する印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドシステム、及び印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出ヘッドを介してインク等の液体を用紙等の媒体に吐出する画像記録装置が存在する。このような画像記録装置において、複数の液体吐出ヘッドを媒体の幅方向(即ち、画像記録の際に媒体が搬送される方向に直交する方向)に沿って千鳥状に複数配置し、筐体により一体に保持した構造が用いられている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、コンパクトなヘッドシステム、及び該ヘッドシステムを備える印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様に従えば、
複数のヘッドであって、第1方向に沿って千鳥状に配置された複数のヘッドと、
前記複数のヘッドの上方に配置され、且つ前記複数のヘッドの各々に液体を分配するサブタンクと、
複数の液体流路であって、各々が前記サブタンクと前記複数のヘッドの1つとを流体接続する複数の液体流路と、
前記複数のヘッドを冷媒で冷却する冷却機構であって、上下方向において前記複数のヘッドと前記サブタンクとの間に配置され且つ前記第1方向に延びて前記複数のヘッドに前記冷媒を分配するマニホールドを有する冷却機構と、
前記第1方向及び前記上下方向に直交する第2方向に対向する一対の内面を有し、且つ前記サブタンク、前記冷却機構、及び前記複数の液体流路を収容する筐体とを備え、
前記複数の液体流路の各々は、前記サブタンクと前記複数のヘッドの1つとの間の全域において前記上下方向と平行に直線状に延び、
前記複数の液体流路の各々と前記マニホールドとが、前記筐体の前記一対の内面の間において前記第2方向に並んで配置されているヘッドシステムが提供される。
【0006】
本発明の第2の態様に従えば、
媒体を搬送面に沿って搬送方向に搬送する搬送装置と、
複数のヘッドシステムと、
前記複数のヘッドシステムを支持するフレームとを備える印刷装置であって、
前記複数のヘッドシステムの各々は、第1の態様のヘッドシステムであり、
前記フレームは、前記複数のヘッドシステムの各々の前記第2方向を前記搬送方向に一致させ、且つ前記複数のヘッドのノズル面を前記搬送面に対向させて支持する印刷装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、コンパクトなヘッドシステム、及び該ヘッドシステムを備える印刷装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態のプリンタの概略的な構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態のヘッドシステムの概略的な斜視図である。
【
図3】
図3は、筐体の第1部分の左壁を外側(左方)から見た平面図である。
【
図4】
図4(a)は、予熱流路の斜視図である。
図4(b)は、
図4(a)のB-B線に沿った断面図である。
図4(c)は、流路ブロック内のインク流路の配置を示す図である。
図4(d)は、流路ブロックを後方から見た側面図である。
【
図5】
図5は、サブタンクから天板を分離させた分解斜視図である。
【
図7】
図7は、サブタンクの各貯留部とインク流通口セットの各流通口との接続関係を示す説明図である。
【
図8】
図8は、サブタンクの本体部の部分底面斜視図であり、サブタンクの各貯留部とインク流通口セットの各流通口とを接続する分配流路の構造を示す。
【
図10】
図10は、ヘッド機構の流路ブロックの斜視図である。
【
図11】
図11は、ヘッド機構における、流路ブロックよりも下側の構成を示す分解斜視図である。囲み図は、伝熱部材を下側から見た斜視図である。
【
図12】
図12は、流路ユニットおよびアクチュエータの平面図である。
【
図14】
図14は、ヘッド機構の側面図である。
図14においては、配置の説明のため一部の構成を透視している。
【
図15】
図15は、筐体の底部における10個のヘッド機構の配置を示す平面図である。
【
図16】
図16は、インク管セットに含まれる各インク管の側面図である。
【
図18】
図18は、筐体内の構成の前後方向における配置を示す説明図である。
【
図19】
図19は、ヘッド機構の上方における、予熱流路、インク管セット、及び冷媒流通機構の配置を示す斜視図である。予熱流路20の流路ブロック21、冷媒流通機構の冷媒供給マニホールド51、冷媒排出マニホールド53は左右方向の一部分のみを示している。予熱流路20は、その奥に位置する構造の目視を妨げないように、点線により透明な構成として描いている。
【
図21】
図21は、ヘッドシステムにおける第1インクの流路の概略図である。
【
図22】
図22は、ヘッドシステムにおける第2インクの流路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態]
本発明の一実施形態であるヘッドシステム100及びプリンタ(印刷装置)1000について、
図1~
図22を参照して説明する。
【0010】
<プリンタ1000>
図1に示す通り、プリンタ1000は、4つのヘッドシステム100、プラテン200、搬送装置としての一対の搬送ローラ301、302、インクタンク400、リザーバ500、制御装置600、及びこれらを収容する筐体700を主に備える。
【0011】
プリンタ1000に関しては、一対の搬送ローラ301、302が並ぶ方向、即ち画像形成時に媒体PMが搬送される方向を「媒体送り方向」と呼ぶ。また、水平面内に延び且つ媒体送り方向と直交する方向を「媒体幅方向」と呼ぶ。
【0012】
4つのヘッドシステム100の各々は、いわゆるラインタイプのヘッド(ヘッドバー)であり、媒体幅方向の両端部においてフレーム100aに支持されている。フレーム100aは、4つのヘッドシステム100の各々の前後方向(後述)をプリンタ1000の媒体送り方向(搬送方向)に一致させ、且つ4つのヘッドシステム100のノズル面40n(後述)をプラテン200の上面に対向させて支持する。
図1ではフレーム100aはヘッドシステム100ごとに設けられているが、4つのヘッドシステム100を単一のフレーム100aでまとめて支持してもよい。
【0013】
本実施形態では、4つのヘッドシステム100の各々が、互いに異なる4種類のインクの内の2種類を吐出するように構成されている。この4種類のインクは、一例としてシアンインク、マゼンタインク、イエローインク及びブラックインクである。ヘッドシステム100の具体的な構造、機能は後述する。
【0014】
プラテン200は、ヘッドシステム100から媒体PMに向けてインクを吐出する際に、媒体PMをヘッドシステム100とは反対側(下方)から支持する板状部材である。したがって、プラテン200の上面は、媒体PMの搬送面に相当する。
【0015】
一対の搬送ローラ301、302は、プラテン200を媒体送り方向に挟んで配置されている。一対の搬送ローラ301、302は、ヘッドシステム100が媒体PMに画像を形成する際に、媒体PMを所定の態様で媒体送り方向に送る搬送装置として機能する。
【0016】
インクタンク400は、4色のインクを収容できるよう4つに区分されている。4色のインクは、管路410によりリザーバ500に送られる。リザーバ500も、4色のインクを収容できるよう4つに区分されている。リザーバ500に送られた各色のインクは、不図示の管路及びポンプを介して、リザーバ500とヘッドシステム100との間で循環される。
【0017】
制御装置600は、プリンタ1000の備える各部を全体的に制御することで、各部に媒体PMへの画像形成等を行わせる。制御装置600は、FPGA(Field Programmable Gate Array)、EEPROM(Electrically Eracable Programmable Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。なお、制御装置600はCPU(Central Processing Unit)、又はASIC(Application Specific Integrated Curcuit)等を備えてもよい。制御装置600は、PC等の外部装置(不図示)とデータ通信可能に接続されており、当該外部装置から送られた印刷データに基づいてプリンタ1000の各部を制御する。
【0018】
<ヘッドシステム100>
図2に示す通り、4つのヘッドシステム100の各々は、筐体10と、筐体10に収容された2つの予熱流路20、サブタンク30、10個のヘッド機構40、サブタンク30と10個のヘッド機構40とを繋ぐ10セットのインク管セットITS、冷媒流通機構50、中継基板70、及び制御基板部80を主に備える。4つのヘッドシステムは互いに同一の構成を有するため、以下では4つの内の1つに着目して説明する。
【0019】
以下の説明においては、10個のヘッド機構40が千鳥状(ジグザグ状)に並ぶ方向をヘッドシステム100の幅方向(第1方向)と呼び、10個のヘッド機構40とサブタンク30とが並ぶ方向を上下方向と呼ぶ。また、幅方向及び上下方向に直交する方向をヘッドシステム100の前後方向(第2方向)と呼ぶ。
【0020】
前後方向については、
図2の紙面手前側、奥側を前後方向の前側、後側とする。幅方向については前後方向の前側から見た際の左側、右側を、幅方向の左側、右側とする。上下方向については、10個のヘッド機構40に対してサブタンク30が位置する側を上側、その反対側を下側とする。
【0021】
なお、ヘッドシステム100がプリンタ1000に搭載された状態においては、ヘッドシステム100の幅方向がプリンタ1000の媒体幅方向に一致し、ヘッドシステム100の前後方向がプリンタ1000の媒体送り方向に一致する。
【0022】
<筐体10>
筐体10は、例えば金属により形成し得る。筐体10は、第1部分11と、第1部分11に対して着脱可能な第2部分12とを含む。
【0023】
第1部分11は、天板11a及び底部11b、前壁11c(
図18。
図2においては第1部分11の内部が見えるよう図示を省略している)、後壁11d、左壁(側壁)11e、及び右壁11fを有する。天板11a及び底部11bは、平面視において、幅方向に長い矩形である。天板11aは、段部ST
11を有しており、左端近傍がその他の領域(左端近傍よりも右方の領域)よりも上方に位置している。前壁11c及び後壁11dは幅方向及び上下方向を含む面に沿って延びる平板であり、左壁11e及び右壁11fは前後方向及び上下方向を含む面に沿って延びる平板である。左壁11e及び右壁11fは前壁11c(内壁11cの後面)及び後壁11d(後壁11dの前面)と直交している。
【0024】
図3に示すように、左壁11eの上部には電気コネクタCNが設けられており、電気コネクタCNの下方には、4つの空気流通口AP
10が設けられている。4つの空気流通口AP
10の下方には、2つのインク供給口ISP
10及び2つのインク排出口IDP
10が設けられており、その下方に冷媒供給口CSP
10及び冷媒排出口CDP
10が設けられている。なお、電気コネクタCN、空気流通口AP
10、各供給口及び各排出口は
図2では図示を省略している。
【0025】
このように、電気コネクタCNをインク供給口ISP10、インク排出口IDP10、冷媒供給口CSP10、及び冷媒排出口CDP10よりも上方に配置することで、各供給口や各排出口からインクや冷媒(一例として水)が漏れた場合にも、電気コネクタCNで電気ショートが生じることを防止できる。また、インクとして例えばUVインクのような絶縁性のインクを用いる場合は、漏れた場合の電気ショート発生のリスクは水漏れの場合よりも小さい。したがって、冷媒供給口CSP10及び冷媒排出口CDP10をインク供給口ISP10及びインク排出口IDP10よりも下方に配置することで、電気ショート発生のリスクをより低減できる。
【0026】
図2に示す通り、第2部分12は、天板12a、底板12b、前壁12c、後壁12d、左壁12e、及び右壁12fを有する。第2部分12が第1部分11に取り付けられた状態においては、第2部分12の底板12bが第1部分11の天板11aの右端近傍に当接する。
【0027】
<予熱流路20>
予熱流路20は、筐体10のインク供給口ISP10を介してヘッドシステム100に供給されたインクを、昇温させながらサブタンク30へと送る。
【0028】
図2に示す通り、予熱流路20は、筐体10の第1部分11の底部11bの近傍に、前後方向に並んで2つ配置されている。2つの予熱流路20の各々は長尺形状を有しており、長手方向がヘッドシステム100の幅方向に一致するように配置されている。また、予熱流路20は、インクの流れ方向においては、インク供給口ISP
10の下流側、且つサブタンク30の上流側に位置している。なお、
図2の予熱流路20は、その奥に位置する構造の目視を妨げないように、点線で描いている。
【0029】
図4(a)~
図4(d)に示す通り、2つの予熱流路20の各々は、流路ブロック21と、流路ブロック21に熱的に接続されたヒータモジュール22と、流路ブロック21に貼り付けられた輻射シート23とを有する。
【0030】
流路ブロック21は、内部に画定された流路に沿ってインクを流しながら、当該インクにヒータモジュール22からの熱を与える。流路ブロック21は、熱伝達率の高い材料で形成することが好ましく、一例としてアルミニウム等の金属により形成し得る。
【0031】
流路ブロック21は、本体部211と、本体部211と一体に形成されたヒータ支持片212、213とを有する。
【0032】
本体部211は角棒状であり、ヘッドシステム100の幅方向に沿って延びている。本体部211は、ヘッドシステム100の前後方向と直交する面に沿って広がる前面211c及び後面211dを有する。
【0033】
図4(b)、
図4(c)に示す通り、本体部211の内部には、インク流路IC
20が画定されている。インク流路IC
20は、本体部211の長手方向に延びる直線状の第1部分A1と、第1部分A1の上方に位置し且つ第1部分A1と平行に延びる直線状の第2部分A2と、第1部分A1の右端と第2部分A2の右端とを繋ぐU字状の折返し部分A3とを含む。第1部分A1の左端がインク流路IC
20の上流端ICa
20であり、第2部分A2の左端がインク流路IC
20の下流端ICb
20である。
【0034】
図4(b)に示す通り、インク流路IC
20の断面形状は長円形である。インク流路IC
20の断面形状を長円形とすれば、断面形状が真円である場合と比較して、インク流路IC
20を流れるインクと本体部211との接触面積を大きくしやすい。したがって、ヒータモジュール22からの熱を効率よくインクに与えることができる。
【0035】
ヒータ支持片212は、本体部211の前面211cの上縁から前方に突出し下方に屈曲するアングル状の部分であり、前面211cに対向する面212sを有する(
図4(b))。ヒータ支持片213は、本体部211の前面211cの下縁から前方に突出し上方に屈曲するアングル状の部分であり、前面211cに対向する面213sを有する。
【0036】
前面211cと、ヒータ支持片212、213とにより、ヒータモジュール22を収容するスリットSL21が画定される。
【0037】
ヒータモジュール22は、流路ブロック21に与えるための熱を発生させる。ヒータモジュール22は、ヒータ221と、放熱シート222と、金属板223とを有する。
【0038】
ヒータ221は、長尺の面状(帯状)ヒータである。ヒータ221は、長尺の発熱面221mと、発熱面221mとは反対側の反対面221nとを有する。
【0039】
放熱シート222は、ヒータ221で発生した余剰の熱を予熱流路20の外部に逃がす。放熱シート222は、高い熱伝導率を有する弾性材料、一例としてシリコーン等によって形成された長尺の面状(帯状)部材とし得る。
【0040】
放熱シート222は、その長手方向をヒータ221の長手方向に一致させて、ヒータ221に接合されている。具体的には、放熱シート222の一面がヒータ22の反対面221nに接合している。
【0041】
金属板223は、ヒータ221から放熱シート222に伝わった余剰の熱を予熱流路20の外部に逃がす。金属板223は高い熱伝導率を有する材料、一例としてアルミニウムにより形成された長尺の平板とし得る。
【0042】
金属板223は、その長手方向を放熱シート222の長手方向に一致させて、放熱シート222に接合されている。具体的には、金属板223の一面が放熱シート222のヒータ221に接合した面とは反対側の面の全域に接合している。
【0043】
ヒータモジュール22は、スリットSL21に挿入されて、スリットSL21内に配置されている。この状態において、放熱シート222は厚さ方向に圧縮されて、ヒータ221及び金属板223を後方及び前方にそれぞれ押圧する。これにより、ヒータ221の発熱面221mが本体部211の前面211cに密着し、金属板223がヒータ支持片212、213の面212s、213sに密着する。
【0044】
輻射シート23は、流路ブロック21の熱を効率よく外部に輻射するために設けられる。
図4(d)に示す通り、輻射シート23は、流路ブロック21の本体部211の後面211dの下縁近傍、及び長手方向の両端部近傍を除く領域において後面211dに貼り付けられている。輻射シート23は、流路ブロック21よりも輻射率の高い材料で形成されたシート、例えばカーボンシートとし得る。
【0045】
<サブタンク30>
サブタンク30は、予熱流路20で昇温されたインクを受け取って、貯留する。サブタンク30はまた、貯留するインクの昇温も行う。サブタンク30に貯留されたインクは、複数のヘッド機構40の各々に分配される。
【0046】
図2に示す通り、サブタンク30は、2つの予熱流路20の上方に配置されている。サブタンク30は長尺形状を有しており、長手方向がヘッドシステム100の幅方向に一致するように配置されている。また、サブタンク30は、インクの流れ方向においては、予熱流路20の下流側、且つ複数のヘッド機構40の上流側に位置している。
【0047】
図5、
図6に示す通り、サブタンク30は、本体部31と、天板32と、底板33とにより構成されている。底板33の下面にはヒータ34(
図6)が貼り付けられている。
【0048】
本体部31は、一例として樹脂により形成されている。
【0049】
本体部31は、ヘッドシステム100の前後方向と直交する面に沿って延びる前壁31c、後壁31dと、ヘッドシステム100の幅方向と直交する面に沿って延びる左壁31e、右壁31fを有する。
【0050】
左壁31e、右壁31fは、前後方向の中央部に段部ST31を有しており、段部ST31の前側に位置する前側部分31ec、31fcが段部ST31の後側に位置する後側部分31ed、31fdよりも左方に位置している。
【0051】
前側部分31ecには、下縁近傍の前方にインク供給口ISP30が設けられており、その後方にインク排出口IDP30が設けられている。また、上縁近傍に2つの空気流通口AP30が前後に並んで設けられている。後側部分31edには、下縁近傍の後方にインク供給口ISP30が設けられており、その前方にインク排出口IDP30が設けられている。また、上縁近傍に2つの空気流通口AP30が前後に並んで設けられている。
【0052】
本体部31は更に、前壁31c及び後壁31dと平行であり、且つ左壁31eと右壁31fとの間に渡って延びる第1分離壁31w1、第2分離壁31w2、第3分離壁31w3を有する。
【0053】
第1分離壁31w1は、前後方向において、左壁31e、右壁31fの段部ST31と同一の位置に設けられている。第2分離壁31w2は、前後方向において、左壁31eの前側部分31ecのインク供給口ISP30とインク排出口IDP30の間、且つ2つの空気流通口AP30の間に設けられている。第3分離壁31w3は、前後方向において、左壁31eの後側部分31edのインク供給口ISP30とインク排出口IDP30の間、且つ2つの空気流通口AP30の間に設けられている。
【0054】
天板32は、一例として金属により形成された平板である。天板32の平面視形状は、上方から見た本体部31の輪郭の形状と同一である。天板32は、不図示のシールゴムを挟んで本体部31の上端部に固定されている。
【0055】
底板33は、金属(一例としてアルミニウム)により形成された平板である。底板33の平面視形状は、上方から見た本体部31の輪郭の形状と同一である。
【0056】
図6に示す通り、底板33の下面には、10個のインク流通口セットSが設けられている。インク流通口セットSの各々は、第1インク供給口SP1、第2インク供給口SP2、第1インク排出口DP1、及び第2インク排出口DP2を含む。
【0057】
10個のインク流通口セットSはヘッドシステム100の幅方向に沿って千鳥状(ジグザグ状)に配置されている。また、各インク流通口セットSにおいては、第1インク供給口SP1、第2インク供給口SP2、第1インク排出口DP1、及び第2インク排出口DP2が幅方向に沿って千鳥状(ジグザグ状)に配置されている。
【0058】
底板33は、不図示のシールゴムを挟んで本体部31の下端部に固定されている。
【0059】
図5に示すように、サブタンク30の内部には、本体部31、天板32、及び底板33により、前側から順番に、第1貯留部R1、第2貯留部R2、第3貯留部R3、第4貯留部R4が画定されている。
【0060】
図7は、第1貯留部R1、第2貯留部R2、第3貯留部R3、第4貯留部R4がインク流通口セットSとどのように接続されるかを示す。
図7は上面図であり
図6は底面図であるため、両図における10個のインク流通口セットSの配置、及び各供給口、各排出口の配置は紙面の上下に反転している。
【0061】
図7に示すように第1貯留部R1が各インク流通口セットSの第1インク供給口SP1(各セット内の右前方に位置する供給口)と連通する。第2貯留部R2が各インク流通口セットSの第1インク排出口DP1(各セット内の左前方に位置する排出口)と連通する。第3貯留部R3が各インク流通口セットSの第2インク排出口DP2(各セット内の右後方に位置する排出口)と連通する。第4貯留部R4が各インク流通口セットSの第2インク供給口SP2(各セット内の左後方に位置する供給口)と連通する。
【0062】
この構成は、例えば本体部31の下端部の近傍に、
図8に示す分配流路DCを設けることにより実現される。分配流路DCは、本体部31の各壁と一体に形成された立体構造により画定されており、第1貯留部R1と第1インク供給口SP1とを繋ぐトンネル状の流路DC1、第2貯留部R2と第1インク排出口DP1とを繋ぐトンネル状の流路DC2、第3貯留部R3と第2インク排出口DP2とを繋ぐトンネル状の流路DC3、及び第4貯留部R4と第2インク供給口SP2とを繋ぐトンネル状の流路DC4を含む。なお
図8は、本体部31の左壁31eの近傍のみを示している。
【0063】
流路DC1~流路DC4の配置は
図8に示す配置に限られず、第1貯留部R1~第4貯留部R4の各々の底部から対応する供給口又は排出口に向かう流路が互いに干渉しないように設けられた任意の態様とし得る。また、分配流路DCを本体部31とは別体の流路部材の内部に形成してもよい。
【0064】
ヒータ34は、第1貯留部R1~第4貯留部R4に貯留されたインクに熱を与える。ヒータ34は、予熱流路20のヒータ221と同様の面状ヒータであり、底板33の下面に設けられている(
図6)。
【0065】
本実施形態では、ヒータ34は、ヘッドシステム100の前後方向及び幅方向においてインク流通口セットSの間に位置するように、底板33の下面に貼り付けられている。ヒータ34において発生した熱は、底板33を介して第1貯留部R1~第4貯留部R4内のインクに与えられる。
【0066】
左壁31eの4つの空気流通口AP30は、筐体10の4つの空気流通口AP10とそれぞれ不図示の管路により接続される。第1貯留部R1~第4貯留部R4の各々の内部は、インクが貯留された液相と、その上方の、空気が存在する気相とに分かれている。空気流通口AP10、AP30を介して第1貯留部R1、第4貯留部R4の気相の圧力を第2貯留部R2、第3貯留部R3の気相の圧力よりも大きくすることにより、第1貯留部R1、第4貯留部R4からヘッド機構40を経て第2貯留部R2、第3貯留部R3へと至るインク流れを生じさせる。
【0067】
<ヘッド機構40>
ヘッド機構40は、サブタンク30から供給されたインクを媒体PMに向けて吐出する。ヘッド機構40はまた、内部を流れるインクの昇温も行う。
【0068】
図9に示す通り、10個のヘッド機構40の各々は、上から順番に、接続プレート41、一対の流路ブロック42、アライメントフレーム43、冷却フレーム44、フロントエンドフレーム45、ヘッド46を有する。
図11、
図14に示す通り、フロントエンドフレーム45の内部に、ヘッドヒータ機構47及び吐出制御部48が設けられている。ヘッド機構40は更に、
図14に示す通り、接続プレート41の上方とフロントエンドフレーム45との間に渡って上下方向に延びる配線接続部WCを有する。
【0069】
図9に示す通り、接続プレート41は、ヘッド機構40とヘッド機構40に接続される各管路とを接続するための板状部材である。接続プレート41には、接続プレート41を厚さ方向に貫通する6つの孔Hが設けられている。
【0070】
接続プレート41の6つの孔Hにはそれぞれ、第1インク供給管接続部ISC1、第2インク供給管接続部ISC2、第1インク排出管接続部IDC1、第2インク排出管接続部IDC2、冷媒供給管接続部CSC、及び冷媒排出管接続部CDCが挿入されている。
【0071】
各接続部ISC1、ISC2、IDC1、IDC2、CSC、CDCは、円筒状の部材である。各接続部の下端部には該下端部を囲むOリング(不図示)が設けられている。各接続部は、当該Oリングが孔H内に位置するように孔Hに挿入されて、接続プレート41の上面側に突出する。この状態において、各接続部は接続プレート41と直交して上下方向に延びる。
【0072】
各接続部の上端部はワンタッチ継手(管状部材を継手に挿入するだけで管状部材と継手との接続及び固定が完了するよう構成された継手)が接続されるように構成されている。即ち各接続部は、ワンタッチ継手が接続されるワンタッチ継手用の管状部材である。
【0073】
第1、第2インク供給管接続部ISC1、ISC2、第1、第2インク排出管接続部IDC1、IDC2、冷媒供給管接続部CSC、及び冷媒排出管接続部CDCの上端部は上下方向において同一の位置にある。即ち、第1、第2インク供給管接続部ISC1、ISC2、第1、第2インク排出管接続部IDC1、IDC2、冷媒供給管接続部CSC、及び冷媒排出管接続部CDCの上端面は面一である。このように、各接続部の上端部を同じ高さに位置させることで、各インク管を各接続部に接続する作業を容易とすることができる。
【0074】
一対の流路ブロック42は、接続プレート41の下側において、サブタンク30から供給されたインクをヘッド46に供給する流路、及びヘッド46において吐出されなかったインクをサブタンク30に排出する流路を画定する。
【0075】
一対の流路ブロック42の各々は、一例としてPOM等の樹脂で形成されており、
図10に示す通り、矩形板状の主部MPと、主部MPから突出する第1台部BP1、第2台部BP2とを有する。
【0076】
主部MPの上面MPuには、流通口P1、P2が、主部MPの長辺方向に並んで形成されている。台部BP1の下面には流通口P3、P4が、主部MPの厚さ方向に並んで形成されており、台部BP2の下面には流通口P5、P6が、主部MPの厚さ方向に並んで形成されている。
【0077】
主部MPの面MPiには、第1凹溝G1と、第2凹溝G2とが形成されている。第1凹溝G1は、頂部G1tpから第1台部BP1に向けて斜め下方へ延びて下端部G1bt1に至る第1部分G11と、頂部G1tpから第2台部BP2に向けて斜め下方へ延びて下端部G1bt2に至る第2部分G12とを含む。第2凹溝G2は、頂部G2tpから第1台部BP1に向けて斜め下方に延びて下端部G2bt1に至る第1部分G21と、頂部G2tpから第2台部BP2に向けて斜め下方に延びて下端部G2bt2に至る第2部分G22とを含む。
【0078】
主部MPの内部には、流通口P1と第1凹溝G1とを繋ぐ流路C1、流通口P2と第2凹溝G2とを繋ぐ流路C2、流通口P3と第1凹溝G1とを繋ぐ流路C3、流通口P4と第2凹溝G2とを繋ぐ流路C4、流通口P5と第1凹溝G1とを繋ぐ流路C5、流通口P6と第2凹溝G2とを繋ぐ流路C6が設けられている。
【0079】
一対の流路ブロック42は、面MPi同士が対向するように、弾性シート(不図示)を挟んで接合されている。一対の流路ブロック42の接合体は不図示のシールゴムを介して接続プレート41の下面に固定されている。この状態において、
図9の紙面奥側の流路ブロック42の流通口P1、P2が接続プレート41の孔Hを介して第2インク供給管接続部ISC2、第2インク排出管接続部IDC2にそれぞれ連通し、
図9の紙面手前側に位置する流路ブロック42の流通口P1、P2が接続プレート41の孔Hを介して第1インク供給管接続部ISC1、第1インク排出管接続部IDC1にそれぞれ連通する。
【0080】
アライメントフレーム43は、一例としてSUS製の平板部材である。アライメントフレーム43は、中央部を上下に貫通する平面視矩形の中央貫通孔TH43と、中央貫通孔TH43の周囲に設けられた平面視円形の8個のインク流路IC43とを有する。
【0081】
アライメントフレーム43は、一対の流路ブロック42の下面に固定されている。この状態において、一対の流路ブロック42の下面の流通口P3~流通口P6がアライメントフレーム43のインク流路IC43に連通する。
【0082】
冷却フレーム44は、
図11に示す通り、平面視矩形の、厚手の板状部材である 。冷却フレーム44は、一例として、アルミニウム等の熱伝導率の高い材質で形成されてもよい。
【0083】
冷却フレーム44の内部には、平面視略U字形の冷媒流路CCが形成されている。冷媒流路CCは、冷却フレーム44の上面の冷媒供給口CSP44と冷媒排出口CDP44との間で、平面視略U字状に延びている。冷媒流路CCの周囲には、平面視円形の8個のインク流路IC44と、中央貫通孔TH44とが設けられている。
【0084】
冷却フレーム44は、アライメントフレーム43の下面に固定されている。この状態において、アライメントフレーム43の8つのインク流路IC43の各々が冷却フレーム44の8つのインク流路IC44の各々に連通する。
【0085】
図9に示す通り、接続プレート41と冷却フレーム44との間に、冷媒供給管CST及び冷媒排出管CDTが設けられている。冷媒供給管CSTの上端にはOリング(不図示)が設けられている。冷媒供給管CSTは、その上端を、当該Oリングとともに、接続プレート41の冷媒供給管接続部CSCが接続された孔Hに下側から挿入することにより、接続プレート41に接続される。また、冷媒供給管CSTの下端部は、アライメントフレーム43の中央貫通孔TH
43を介して冷却フレーム44の冷媒供給口CSP
44に接続している。
【0086】
冷媒排出管CDTの上端にはOリング(不図示)が設けられている。冷媒排出管CDTは、その上端を、当該Oリングとともに、接続プレート41の冷媒排出管接続部CDCが接続された孔Hに下側から挿入することにより、接続プレート41に接続される。また、冷媒排出管CDTの下端部は、アライメントフレーム43の中央貫通孔TH43を介して冷却フレーム44の冷媒排出口CDP44に接続している。
【0087】
フロントエンドフレーム45は、一例としてSUS製の平板部材である。フロントエンドフレーム45は、中央部を上下に貫通する平面視矩形の中央貫通孔TH45と、中央貫通孔TH45の周囲に設けられた平面視略矩形の8個のインク流路IC45とを有する。
【0088】
フロントエンドフレーム45は、冷却フレーム44の下面に固定されている。この状態において、8個のインク流路IC45の各々が、冷却フレーム44の8個のインク流路IC44の各々と連通する。
【0089】
ヘッド46は、流路ユニット461と、圧電アクチュエータ462とを備える(
図11、
図12)。
【0090】
図13に示す通り、流路ユニット461は、インク封止膜461A、プレート461B~461E、及びノズルプレート461Fが、上からこの順に積層された積層構造体である。
図12に示す通り、流路ユニット461の内部には、流路CHが形成されている。
【0091】
流路CHは、8個のインク流通口IP46と、4本のマニホールド流路M1、M2、M3、M4と、48個の個別流路iCHとを含む。4本のマニホールド流路M1~M4の各々は、直線状の流路であり、両端部においてインク流通口IP46に連通している。4本のマニホールド流路M1~M4の各々には12個の個別流路iCHが接続している。
【0092】
個別流路iCHの各々は、
図13に示す通り、圧力室1、ディセンダ流路2、ノズル3を含む。圧力室1の上面はインク封止膜461Aにより形成されている。ディセンダ流路2は圧力室1からノズル3に向けて、上下方向に延びている。ノズル3は、インクを媒体PMに向けて吐出する微小開口であり、ノズルプレート461Fに形成されている。ノズルプレート461Fの下面がヘッド機構40の下面であり、ノズル面40nである。ノズル面40nには、マニホールド流路M1~M4が延びる方向に沿ってノズル列L
3(
図12)が形成される。
【0093】
圧電アクチュエータ462は、
図13に示す通り、流路ユニット461の上面に設けられた第1圧電層L1と、第1圧電層L1の上方の第2圧電層L2と、第1圧電層L1、第2圧電層L2に挟まれた共通電極cETと、第2圧電層L2の上面に設けられた複数の個別電極iETにより構成されている。複数の個別電極iETは、複数の個別流路iCHの圧力室1の上方にそれぞれが位置するように、第2圧電層L2の上面に設けられている。第2圧電層L2のうち、共通電極cETと複数の個別電極iETの各々とに挟まれた部分は、厚み方向に分極した活性部ACとなる。
【0094】
ヘッドヒータ機構47は、ヘッド46に熱を与えて、ヘッド46内を流れるインクを加熱する。
図11に示す通り、ヘッドヒータ機構47は、伝熱部材471と、フィルムヒータ472と、板ばね473とを有する。
【0095】
伝熱部材471は、熱伝導率の高い金属、一例としてアルミニウムにより形成されている。伝熱部材471は、
図11(
図11の囲み図は伝熱部材471の下面斜視図を示す)、
図14に示す通り、平面視略正方形の板部471Aと、板部471Aの上面の両端部から上方に突出する一対の壁部471Bと、板部471Aの下面の外縁から下方に突出する枠状の凸部471Cとを有する。
【0096】
伝熱部材471は、枠状の凸部471Cの下端部が圧電アクチュエータ462の周囲(外側)において流路ユニット461に当接するように、ヘッド46の上面に取り付けられている。なお、枠状の凸部471Cと流路ユニット461との間には、一部において吐出制御部48のフレキシブルプリント基板481が挟まれる(後述)。
【0097】
フィルムヒータ472は、平面視略正方形である。フィルムヒータ472は、その発熱面が伝熱部材471の板部471Aの上面に当接するように、伝熱部材471の上に配置されている。フィルムヒータ472で発生した熱は、伝熱部材471を介して流路ユニット461に与えられる。
【0098】
板ばね473は、フィルムヒータ472の上面に配置されている。
【0099】
吐出制御部48は、
図11、
図14に示す通り、FPC(Flexible Printed Circuits、フレキシブルプリント回路基板)481とドライバICが実装された制御基板482とを備える。FPC481は
図11では図示を省略している。
【0100】
FPC481は帯状であり、長手方向の中央部481Aに、複数の接点(不図示)が形成されている。
【0101】
制御基板482は、ヘッドヒータ機構47の板ばね473の上方に、伝熱部材471の板部471Aと平行に配置されている。制御基板482は板ばね473によりフィルムヒータ472から離間されるとともに、冷却フレーム44に当接される。またフィルムヒータ472の輻射熱が板ばね473により遮られ、制御基板482の加熱が抑制される。
【0102】
図14に示すように、FPC481は、中央部481Aの複数の接点の各々が、圧電アクチュエータ462の複数の個別電極iETの各々と電気的に接続するように、圧電アクチュエータ462の上面に配置される。FPC481の中央部481Aの外側の部分は、ヘッドヒータ機構47の伝熱部材471とヘッド46との間を通り、伝熱部材471の側面に沿って上方に延びて、制御基板482に接続している。これにより、圧電アクチュエータ462の複数の個別電極iETの各々が、FPC481を介して制御基板482に接続される。
【0103】
ヘッド46は、フロントエンドフレーム45に固定されている。この状態において、8個のインク流通口IP46の各々が、フロントエンドフレーム45の8個のインク流路IC45の各々と連通する。圧電アクチュエータ462、ヘッドヒータ機構47、吐出制御部48は、フロントエンドフレーム45の中央貫通孔TH45の内部に配置される。
【0104】
配線接続部WCは基板状であり、
図14に示すように上下に延びる。配線接続部WCの上端部は、接続プレート41の上方且つ接続プレート41に隣接する位置に配置される。配線接続部WCの下端部は、フロントエンドフレーム45の中央貫通孔TH
45の内部に位置する。配線接続部WCは、アライメントフレーム43の中央貫通孔TH
43、冷却フレーム44の中央貫通孔TH
44を上下方向に貫通している。
【0105】
配線接続部WCの上端には中継基板70から延びるフレキシブル基板71が接続される(後述)。配線接続部WCの下端にはヘッドヒータ機構47のフィルムヒータ472と、吐出制御部48の制御基板482が接続される。
【0106】
ヘッド機構40の各々は、アライメントフレーム43を介して、筐体10の第1部分11の底部11bに固定されている。この状態において、各ヘッド機構40のノズル面40nが筐体10の下方に向けて露出する。また、ノズル面40nのノズル列L3はヘッドシステム100の幅方向に沿って延びる。
【0107】
図15に示す通り、筐体10の第1部分11の底部11bには、10個のヘッド機構40が幅方向に沿って千鳥状(ジグザグ状)に配置されている。10個のヘッド機構40の各々は、冷媒供給管接続部CSC及び冷媒排出管接続部CDCが前側に位置し、配線接続部WCが後側に位置するように設けられている。
【0108】
底部11bの前側に、5個のヘッド機構40が、ヘッドシステム100の幅方向に沿って等間隔で配置されている。底部11bの前側のヘッド機構40の列を、適宜前列FLと呼ぶ。前列FLの後ろ側に、残る5個のヘッド機構40が、ヘッドシステム100の幅方向に沿って等間隔で配置されている。前列FLの後ろ側のヘッド機構40の列を、適宜後列RLと呼ぶ。
【0109】
各ヘッド機構40における、第1、第2供給管接続部ISC1、ISC2、第1、第2排出管接続部IDC1、IDC2、冷媒供給管接続部CSC、及び冷媒排出管接続部CDC(適宜総称して「接続部セット」と呼ぶ)の配置は次の通りである。
【0110】
冷媒供給管接続部CSCと冷媒排出管接続部CDCとは、前後方向において同位置にあり、幅方向に並んでいる。冷媒供給管接続部CSCが冷媒排出管接続部CDCの左側に位置する。
【0111】
第1インク供給管接続部ISC1と第1インク排出管接続部IDC1は、冷媒供給管接続部CSCと冷媒排出管接続部CDCの後方に位置する。第1インク供給管接続部ISC1と第1インク排出管接続部IDC1とは、前後方向において同位置にあり、幅方向に並んでいる。第1インク供給管接続部ISC1が第1インク排出管接続部IDC1の右側に位置する。
【0112】
第2インク供給管接続部ISC2と第2インク排出管接続部IDC2は、第1インク供給管接続部ISC1と第1インク排出管接続部IDC1の後方に位置する。第2インク供給管接続部ISC2と第2インク排出管接続部IDC2とは、前後方向において同位置にあり、幅方向に並んでいる。第2インク供給管接続部ISC2が第2インク排出管接続部IDC2の左側に位置する。
【0113】
幅方向において、第1インク排出管接続部IDC1が冷媒供給管接続部CSCと冷媒排出管接続部CDCとの間に位置し、冷媒排出管接続部CDCが第1インク供給管接続部ISC1と第1インク排出管接続部IDC1との間に位置する。そのため、冷媒供給管接続部CSC、第1インク排出管接続部IDC1、冷媒排出管接続部CDC、及び第1インク供給管接続部ISC1は、ヘッドシステム100の幅方向に沿って、左から右にこの順番で、千鳥状(ジグザグ状)に並ぶ。
【0114】
幅方向において、第1インク排出管接続部IDC1が第2インク供給管接続部ISC2と第2インク排出管接続部IDC2との間に位置し、第2インク排出管接続部IDC2が第1インク供給管接続部ISC1と第1インク排出管接続部IDC1との間に位置する。そのため、第2インク供給管接続部ISC2、第1インク排出管接続部IDC1、第2インク排出管接続部IDC2、及び第1インク供給管接続部ISC1は、ヘッドシステム100の幅方向に沿って、左から右にこの順番で、千鳥状(ジグザグ状)に並ぶ。
【0115】
幅方向において、第2インク排出管接続部IDC2が冷媒供給管接続部CSCと冷媒排出管接続部CDCとの間に位置し、冷媒供給管接続部CSCが第2インク供給管接続部ISC2と第2インク排出管接続部IDC2との間に位置する。即ち、第2インク供給管接続部ISC2、冷媒供給管接続部CSC、第2インク排出管接続部IDC2、及び冷媒排出管接続部CDCは、ヘッドシステム100の幅方向に沿って、左から右にこの順番で、千鳥状(ジグザグ状)に並ぶ。
【0116】
幅方向において、第1、第2供給管接続部ISC1、ISC2、第1、第2排出管接続部IDC1、IDC2、冷媒供給管接続部CSC、及び冷媒排出管接続部CDCは互いに異なる位置にある。
【0117】
また、冷媒供給管接続部CSC、第1インク排出管接続部IDC1、第2インク供給管接続部ISC2は、前後方向に沿って、前から後ろにこの順番で千鳥状(ジグザグ状)に並ぶ。冷媒排出管接続部CDC、第1インク供給管接続部ISC1、第2インク排出管接続部IDC2は、前後方向に沿って、前から後ろにこの順番で千鳥状(ジグザグ状)に並ぶ。
【0118】
なお本実施形態において、「幅方向においてある接続部が他の接続部とは異なる位置にある」とは、幅方向において、ある接続部の少なくとも一部が他の接続部とは異なる位置にある態様、及び幅方向においてある接続部の全体が他の接続部とは異なる位置にある態様のいずれであってもよい。また、「幅方向においてある接続部が他の2つの接続部の間に位置する」とは、ある接続部の幅方向における中心部が、他の2つの接続部の各々の幅方向における中心部の間に位置する態様と、ある接続部の幅方向における全域が他の2つの接続部のいずれとも重複することなく他の2つの接続部の間に位置する態様のいずれであってもよい。
【0119】
ここで、底部11bにおける10個のヘッド機構40の配置(
図15)は、サブタンク30の底板33における10個のインク流通口セットSの配置(
図6、
図7)に対応している。即ち、即ち、10個のヘッド機構40はそれぞれ、10個のインク流通口セットSの真下に位置する。
【0120】
10個のインク流通口セットSの1つと、その真下に位置するヘッド機構40との間では、平面視において、第1インク供給口SP1と第1インク供給管接続部ISC1とが同位置にあり、第2インク供給口SP2と第2インク供給管接続部ISC2とが同位置にあり、第1インク排出口DP1と第1インク排出管接続部IDC1とが同位置にあり、第2インク排出口DP2と第2インク排出接続部IDC2とが同位置にある。即ち、平面視において、各供給口又は各排出口の中心と各接続部内に画定された流路の中心とが一致している。
【0121】
<サブタンク30とヘッド機構40との間のインク流路>
図2に示す通り、ヘッド機構40の各々は、インク管セットITSによってサブタンク30に接続されている。インク管セットITSは、
図2においては1本の線により図示されているが、4つの管路、即ち第1インク供給管IST1、第2インク供給管IST2、第1インク排出管IDT1、及び第2インク排出管IDT2を含む(
図19)。
【0122】
図16に示す通り、第1インク供給管IST1、第2インク供給管IST2、第1インク排出管IDT1、第2インク排出管IDT2は互いに同一の形状を有し、それぞれ上下方向に直線状に延びる主部MTと、主部MTの下端部に設けられた継手部JTとを有する。
【0123】
主部MTは、樹脂又は金属で形成された円管である。継手部JTは、本実施形態ではワンタッチ継手である。継手部JTの外径は、主部MTの外径よりも大きい。継手部JTが本発明の「大径部」の一例であり、主部MTが「小径部」の一例である。
【0124】
ヘッド機構40の各々と、その真上に位置するサブタンク30のインク流通口セットSとの間において、第1インク供給管IST1の上端が第1インク供給口SP1に接続されており、第1インク供給管IST1の継手JTが第1インク供給管接続部ISC1に接続されている。第2インク供給管IST2の上端が第1インク供給口SP2に接続されており、第2インク供給管IST2の継手JTが第2インク供給管接続部ISC2に接続されている。第1インク排出管IDT1の上端が第1インク排出口DP1に接続されており、第1インク排出管IDT1の継手JTが第1インク排出管接続部IDC1に接続されている。第2インク排出管IDT2の上端が第2インク排出口DP2に接続されており、第2インク排出管IDT2の継手JTが第2インク排出管接続部IDC2に接続されている。
【0125】
これにより、第1インク供給管IST1、第2インク供給管IST2、第1インク排出管IDT1、第2インク排出管IDT2は、サブタンク30の下方、且つ複数のヘッド機構40の上方において、サブタンク30とヘッド機構40との間の全域において上下方向に直線状に延びて、サブタンク30と複数のヘッド機構40の各々とを接続する。
【0126】
なお、
図18及び
図19に示す通り、インク管セットITSの近傍には、予熱流路20の流路ブロック21が、インク管セットITSの近傍に配置されている。したがって、流路ブロック21に貼り付けられた輻射シート23から輻射された熱によりインク管セットITSが温められ、インク管セットITSの内部を流れるインクの温度低下が抑制される。
【0127】
<冷媒流通機構50、冷却機構60>
冷媒流通機構50は、10個のヘッド機構40への冷媒(一例として水)の供給、及び10個のヘッド機構40からの冷媒の排出を行う。
【0128】
図2に示す通り、冷媒流通機構50は、筐体10の第1部分11の内部において、サブタンク30の下方、且つ複数のヘッド機構40の上方に配置されている。
【0129】
図17に示す通り、冷媒流通機構50は、2本の冷媒供給マニホールド51、及びこれに接続された10本の冷媒供給管52と、2本の冷媒排出マニホールド53、及びこれに接続された10本の冷媒排出管54を主に備える。
【0130】
2本の冷媒供給マニホールド51はそれぞれ、ヘッドシステム100の幅方向に延びる直線状の円管であり、内部に冷媒流路が画定されている。冷媒供給マニホールド51は、一例としてステンレスにより形成され得る。
【0131】
2本の冷媒供給マニホールド51の上流端51aはそれぞれ、不図示の管路により筐体10の第1部分11の冷媒供給口CSP10に接続されている。冷媒供給マニホールド51の下流端51bは閉塞されている。
【0132】
2本の冷媒供給マニホールド51の一方は、10個のヘッド機構40の内、前列FLに含まれる5個のヘッド機構40の上方に位置している。より具体的には、
図18に示す通り、前列FLに含まれるヘッド機構40に接続されたインク管セットITSの後方、且つ前列FLに含まれるヘッド機構40の配線接続部WCの真上に位置している。
【0133】
2本の冷媒供給マニホールド51の他方は、10個のヘッド機構40の内、後列RLに含まれるヘッド機構40の上方に位置している。より具体的には、
図18に示す通り、後列RLに含まれるヘッド機構40に接続されたインク管セットITSの後方、且つ後列RLに含まれる5個のヘッド機構40の配線接続部WCの真上に位置している。
【0134】
冷媒供給管52は、冷媒供給マニホールド51とヘッド機構40の冷媒供給管接続部CSCとを接続する管路である。冷媒供給管52は、2本の冷媒供給マニホールド51の各々に対して5本ずつ、等間隔で接続されている。
【0135】
図19に示す通り、冷媒供給管52の各々は、冷媒供給マニホールド51から真下に延びる直線部52Aと、直線部52Aと冷媒供給管接続部CSCとを繋ぐ屈曲継手部52Bとを含む。屈曲継手部52Bは、直線部52Aの下端から、上下方向と直交する面内を右前方へと延びて冷媒供給管接続部CSCに至る。
【0136】
図20に示す通り、屈曲継手部52Bは、2つの角度可変継手JT1、JT2と、連結管JT3とを含む。
【0137】
角度可変継手JT1は第1部分JT11と第2部分JT12とを含み、各々の内部に流路が画定されている。第1部分JT11と第2部分JT12とは枢動軸AX1を介して連結されている。角度可変継手JT2は第1部分JT21と第2部分JT22とを含み、各々の内部に流路が画定されている。第1部分JT21と第2部分JT22とは枢動軸AX2を介して連結されている。第1部分JT21はワンタッチ継手である。連結管JT3は中心軸AX3を有する円管であり、一端が角度可変継手JT1の第2部分JT12に挿入されており、他端が角度可変継手JT2の第2部分JT22に挿入されている。
【0138】
角度可変継手JT1の第1部分JT11が直線部52Aの下端に取り付けられており、角度可変継手JT2の第1部分JT21がヘッド機構40の冷媒供給管接続部CSCに取り付けられている。
【0139】
屈曲継手部52Bは、枢動軸AX1を中心として角度可変継手JT1の第1部分JT11を第2部分JT12に対して枢動させることで第1部分JT11内の流路の延在方向と第2部分JT12内の流路の延在方向との間の角度を変更でき、且つ枢動軸AX2を中心として角度可変継手JT2の第1部分JT21を第2部分JT22に対して枢動させることで第1部分JT21内の流路の延在方向と第2部分JT22内の流路の延在方向との間の角度を変更できる。さらに、角度可変継手JT1、JT2を連結管JT3の中心軸AX3を中心として回転できる。そのため、直線部52Aと冷媒供給管接続部CSCとを接続する作業を、第1部分JT11と第1部分JT21との位置関係を柔軟に調整しながら、限られた空間内で容易に行うことができる。
【0140】
2本の冷媒排出マニホールド53はそれぞれ、ヘッドシステム100の幅方向に延びる直線状の円管であり、内部に冷媒流路が画定されている。冷媒排出マニホールド53の管径は冷媒供給マニホールド51の管径より大きくてもよく、冷媒排出マニホールド53内に画定される冷媒流路の径は冷媒供給マニホールド51内に画定される冷媒流路の径より大きくてもよい。冷媒排出マニホールド53は、一例としてステンレスにより形成され得る。
【0141】
2本の冷媒排出マニホールド53の上流端53aは閉塞されている。2本の冷媒排出マニホールド53の下流端53bそれぞれ、不図示の管路により筐体10の第1部分11の冷媒排出口CDP10に接続されている。
【0142】
図18に示す通り、2本の冷媒排出マニホールド53の一方は、前列FLに含まれるヘッド機構40に接続された冷媒供給マニホールド51の真上に位置して、当該冷媒供給マニホールド51と平行に延びている。2本の冷媒排出マニホールド53の他方は、後列RLに含まれるヘッド機構40に接続された冷媒供給マニホールド51の真上に位置して、当該冷媒供給マニホールド51と平行に延びている。
【0143】
冷媒排出管54は、冷媒排出マニホールド53とヘッド機構40の冷媒排出管接続部CDCとを接続する管路である。冷媒排出管54は、2本の冷媒排出マニホールド53の各々に対して5本ずつ、等間隔で接続されている。
【0144】
図19に示す通り、冷媒排出管54の各々は、冷媒排出マニホールド53から前方且つ下方に延びる直線部54Aと、直線部54Aと冷媒排出管接続部CDCとを繋ぐ屈曲継手部54Bとを含む。直線部54Aにより画定される冷媒流路の流路長は、冷媒供給管52の直線部52Aにより画定される冷媒流路の流路長よりも大きい。屈曲継手部54Bにより画定される冷媒流路の流路長は、冷媒供給管52の屈曲継手部52Bにより画定される冷媒流路の流路長と同一である。
【0145】
屈曲継手部54Bは、直線部54Aの下端から、上下方向と直交する面内を左方へと延びて冷媒排出管接続部CDCに至る。
【0146】
図20に示す通り、屈曲継手部54Bは屈曲継手部52Bと同一の構造を有する。角度可変継手JT1の第1部分JT11が直線部54Aの下端に取り付けられており、角度可変継手JT2の第1部分JT21がヘッド機構40の冷媒排出管接続部CDCに取り付けられている。
【0147】
冷媒流通機構50と、ヘッド機構40の冷却フレーム44、冷媒供給管CST、及び冷媒排出管CDTとにより、吐出制御部48の制御基板482を冷却する冷却機構60が構成される。冷却機構60は、制御基板482が当接する冷却フレーム44を冷媒により冷却することで、制御基板482の冷却を行う。
【0148】
冷却機構51における冷媒の流れは次の通りである。
【0149】
冷媒タンク(不図示)から筐体10の冷媒供給口CSP10に供給された冷媒は、冷媒供給マニホールド51、冷媒供給管52を通って各ヘッド機構40に供給され、冷媒供給管CSTを介して冷媒流路CCに至る。冷媒流路CCにおいて制御基板482との熱交換で温められた冷媒は、冷媒排出管CDT、冷媒排出管54を通って冷媒排出マニホールド53に至り、筐体10の冷媒排出口CDP10を通って冷媒タンク(不図示)に戻される。
【0150】
なお、本発明において「冷却機構」とは、ヘッドシステム100の外部に設けられた管路や冷媒タンク等は含まないものとする。
【0151】
<中継基板70>
中継基板70は、制御基板部80とヘッド機構40の吐出制御部48との中継を主に行う。中継基板70はまた、筐体10の電気コネクタCNから供給された電力を、制御基板部80、吐出制御部48、筐体10内の各ヒータに分配する。
【0152】
図2、
図18に示すように、中継基板70は、天板11aの右端側の下面に、天板11aと平行に取り付けられている。即ち、中継基板70の実装面は、天板11aの上下面と平行であり、幅方向及び前後方向を含む面と平行である。
【0153】
中継基板70は、サブタンク30の上方に、前後方向においてサブタンク30の上下方向の投影面内に収まるように配置されている。そのため、中継基板70の前端はサブタンク30の前端よりも後方に位置し、中継基板70の後端はサブタンク30の後端よりも前方に位置する。
【0154】
天板11aの中継基板70の上方に位置する領域には、ヘッドシステム100の幅方向に長い矩形の開口OPが設けられている。
【0155】
図18に示すように、中継基板70は、10個のヘッド機構40の各々と、フレキシブル基板71により接続されている。フレキシブル基板71には、制御基板部80と吐出制御部48とを繋ぐ配線、ヘッドヒータ機構47及び吐出制御部48に電力を供給する配線等が設けられている。
【0156】
フレキシブル基板71は、10個のヘッド機構40の各々について1つずつ設けられている。フレキシブル基板71の一端はヘッド機構40の配線接続部WCに接続されており、他端は中継基板70に接続されている。
【0157】
前列FLのヘッド機構40の配線接続部WCに接続されたフレキシブル基板71は、前列FLのヘッド機構40に接続された冷媒供給マニホールド51及び冷媒排出マニホールド52と後列RLのヘッド機構40の上方に位置する予熱流路20との間を通って上方に延びる。当該フレキシブル基板71はその後、当該フレキシブル基板71が接続されたヘッド機構40に接続されたインク管セットITSと、当該ヘッド機構40に幅方向に隣接するヘッド機構40に接続されたインク管セットITSとの間の隙間を通って前方に延び、更にサブタンク30の前壁31cと筐体10の第1部分11の前壁11cとの間の隙間を通って上方に延びて、中継基板70に至る。
【0158】
フレキシブル基板71は配線接続部WCと中継基板70との間に渡る延在方向に沿って2つ折りにされてもよい。これにより、フレキシブル基板71をよりコンパクトに配置でき、幅方向に隣接するインク管セットITSの間の隙間が小さくてもフレキシブル基板71を配置できる。
【0159】
後列RLのヘッド機構40の配線接続部WCに接続されたフレキシブル基板71は、後列RLのヘッド機構40に接続された冷媒供給マニホールド51及び冷媒排出マニホールド53と筐体10の第1部分11の後壁11dとの間の隙間、及びサブタンク30の後壁31dと後壁11dとの間の隙間を通って上方に延び、中継基板70に至る。
【0160】
このように、中継基板70をサブタンク30の上方に、前後方向においてサブタンク30の上下の投影面内に収まるように配置し、中継基板70とヘッド機構40とを、サブタンク30と第1部分11の前壁11c又は後壁11dとの間の隙間を通るフレキシブル基板71により接続することで、筐体10の前後方向の寸法増加を伴うことなく、基板70とフレキシブル基板71を配置することができる。
【0161】
中継基板70は、不図示の配線により、第1部分11の左壁11eの電気コネクタCN、予熱流路20のヒータモジュール22、サブタンク30のヒータ34に接続されている。
【0162】
<制御基板部80>
制御基板部80は、プリンタ1000の制御装置600から印刷データ信号を受け取り、中継基板70を介して各ヘッド機構40の吐出制御部48に送る。制御基板部80は、筐体10の第2部分12の内部に設けられている(
図2)。
【0163】
第2部分12の底板12bに設けられた開口(不図示)を介して、制御基板部80の端子(不図示)が下方に突出している。第1部分11の天板11aに設けられた開口OPを介して当該端子を中継基板70のコネクタ(不図示)に着脱することにより、第2部分12の第1部分11に対する着脱が行われる。
【0164】
<インクの流れ>
ここで、
図21、
図22を参照して、ヘッドシステム100におけるインクの流れを整理する。ヘッドシステム100には最大で2種類のインクを同時に流すことが出来る。
【0165】
図21に示す通り、リザーバ500より、筐体10の2つのインク供給口ISP
10のうち前側のインク供給口ISP
10に供給された第1インクは、管路を介して前側の予熱流路20のインク流路IC
20の上流端ICa
20に流入し、インク流路IC
20で昇温された後、インク流路IC
20の下流端ICb
20から流出する。
【0166】
インク流路IC20の下流端ICb20から流出した第1インクは、管路を介してサブタンク30のインク供給口ISP30から第1貯留部R1に流入する。第1インクは、第1貯留部R1の内部で、ヒータ34により昇温される。
【0167】
第1貯留部R1の内部の第1インクは、サブタンク30の下部の分配流路DCにより、底部33の10個のインク流通口セットSの各々の第1インク供給口SP1に供給され、第1インク供給管IST1を通って、10個のヘッド機構40の各々の第1インク供給管接続部ISC1からヘッド機構40に流入する。
【0168】
ヘッド機構40に流入した第1インクは、ヘッド機構40の内部で第1、第2マニホールドM1、M2を流れ、これらに接続された個別流路iCHのノズル3から媒体PMに吐出される。また、ノズル3から吐出されなかった第1インクは、ヘッド機構40の第1インク排出管接続部IDC1から、第1インク排出管IDT1を介して、インク流通口セットSの第1インク排出口DP1に流入し、分配流路DCを介して第2貯留部R2に至る。その後、第1インクは、サブタンク30の前側のインク排出口IDP30から流出し、管路を介して筐体10のインク排出口IDP10に至り、リザーバ500に戻される。
【0169】
図22に示す通り、リザーバ500から、筐体10の2つのインク供給口ISP
10のうち後ろ側のインク供給口ISP
10に供給された第2インク(第1インクと異なる種類であり得る)は、管路を介して後ろ側の予熱流路20のインク流路IC
20の上流端ICa
20に流入し、インク流路IC
20で昇温された後、インク流路IC
20の下流端ICb
20から流出する。
【0170】
インク流路IC20の下流端ICb20から流出した第2インクは、管路を介してサブタンク30のインク供給口ISP30から第4貯留部R4に流入する。第2インクは、第4貯留部R4の内部で、ヒータ34により昇温される。
【0171】
第4貯留部R4の内部の第2インクは、サブタンク30の下部の分配流路DCにより、底部33の10個のインク流通口セットSの各々の第2インク供給口SP2に供給され、第2インク供給管IST2を通って、10個のヘッド機構40の各々の第2インク供給管接続部ISC2からヘッド機構40に流入する。
【0172】
ヘッド機構40に流入した第2インクは、ヘッド機構40の内部で第3、第4マニホールドM3、M4を流れ、これらに接続された個別流路iCHのノズル3から媒体PMに吐出される。また、ノズル3から吐出されなかった第2インクは、ヘッド機構40の第2インク排出管接続部IDC2から、第2インク排出管IDT2を介して、インク流通口セットSの第2インク排出口DP2に流入し、分配流路DCを介して第3貯留部R3に至る。その後、第2インクは、サブタンク30のインク排出口IDP30から流出し、管路を介して筐体10のインク排出口IDP10に至り、リザーバ500に戻される。
【0173】
<サブタンク30とヘッド機構40の間の各構造の配置>
ここで、
図2、
図18、
図19を主に参照して、サブタンク30とヘッド機構40との間の空間に設けられた各構造の配置について説明する。なお、下記の各構造の配置や位置関係は本実施形態のものであり、本発明は下記の態様には限定されない。
【0174】
筐体10の第1部分11の前後方向における中心位置、即ち、前壁11cと後壁11dとの間の空間の前後方向における中心位置を中心部11C(
図18に一点鎖線で示す)とする。前壁11cの内面(後面)と後壁11dの内面(前面)との間の距離をDとすると、前壁11cの内面と中心部11Cとの間の前後方向に沿った距離、及び後壁11dの内面と中心部11Cとの間の前後方向に沿った距離は、いずれもD/2である。Dは一例として80mm~100mm程度とし得る。
【0175】
サブタンク30は、筐体10の前後方向の中心が中心部11Cに位置するように配置されている。サブタンク30の前後方向の寸法は一例として75mm~95mm(なお、Dよりは小さい)とし得る。サブタンク30の前壁31cと第1部分11の前壁11cの内面とにより画定される隙間の寸法と、サブタンク30の後壁31dと第1部分11の後壁11dの内面とにより画定される隙間の寸法とは互いに等しく、一例として1mm~5mm程度とし得る。
【0176】
幅方向に沿って延びる長尺のサブタンク30の下方、且つ幅方向に沿って千鳥状に並ぶ10個のヘッド機構40の上方に、幅方向に延びる2つの予熱流路20と、上下方向に延び且つ10個のヘッド機構40の各々について1つずつ設けられた10セットのインク管セットITS(即ち、10セットのインク供給管IST1、IST2及びインク排出管IDT1、IDT2)と、幅方向に延びる各2本の冷媒供給マニホールド51及び冷媒排出マニホールド53と、10本の冷媒供給管52(
図18では図示省略)と、10本の冷媒排出管54(
図18では図示省略)とが配置されている。
【0177】
本実施形態では、2つの予熱流路20と、10セットのインク管セットITSと、各2本の冷媒供給マニホールド51及び冷媒排出マニホールド53と、各10本の冷媒供給管52及び冷媒排出管54とが、前後方向において、サブタンク30の上下方向の投影面内に収まるように配置されている。また、各ヘッド機構40の第1、第2インク供給管接続部ISC1、ISC2、第1、第2インク排出管接続部IDC1、IDC2、冷媒供給管接続部CSC、冷媒排出管接続部CDCも、前後方向において、サブタンク30の上下方向の投影面内に収まるように配置されている。
【0178】
ここで、各構造がサブタンク30の上下方向の投影面内に収まるように配置されているとは、幅方向に沿った各位置において、各構造の当該位置における前端部が、サブタンク30の当該位置における前端部よりも後方に位置し、且つ各構造の当該位置における後端部がサブタンク30の当該位置における後端部よりも前方に位置することを意味する。
図18において、点線L
30fはサブタンク30の前壁31cの前面(本実施形態のサブタンク30の前端)の位置を示し、点線L
30rはサブタンク30の後壁31dの後面(本実施形態のサブタンク30の後端)の位置を示す。
【0179】
本実施形態においては、前列FLに含まれるヘッド機構40の真上に配置された予熱流路20、前列FLに含まれるヘッド機構40に接続されたインク管セットITS、並びに前列FLに含まれるヘッド機構40に接続された冷媒供給マニホールド51及び冷媒排出マニホールド53は、前後方向において、前壁11cの内面(後面)と中心部11Cとの間に収まっている。換言すれば、前壁11cの内面から後方にD/2の範囲内に収まっている。更に、前列FLに含まれるヘッド機構40の真上に配置された予熱流路20、前列FLに含まれるヘッド機構40に接続されたインク管セットITS、並びに前列FLに含まれるヘッド機構40に接続された冷媒供給マニホールド51及び冷媒排出マニホールド53は、前後方向において、サブタンク30の前端と第1部分11の中心部11Cとの間に収まっている。換言すれば、前後方向においてサブタンク30の上下方向の投影面内に収まるように配置されており、且つ第1部分11の中心部11Cよりも前方の領域に収まるように配置されている。
【0180】
同様に、後列RLに含まれるヘッド機構40の真上に配置された予熱流路20、後列RLに含まれるヘッド機構40に接続されたインク管セットITS、並びに後列RLに含まれるヘッド機構40に接続された冷媒供給マニホールド51及び冷媒排出マニホールド53は、前後方向において、後壁11dの内面(前面)と中心部11Cとの間に収まっている。換言すれば、後壁11dの内面から前方にD/2の範囲内に収まっている。更に、後列RLに含まれるヘッド機構40の真上に配置された予熱流路20、後列RLに含まれるヘッド機構40に接続されたインク管セットITS、並びに後列RLに含まれるヘッド機構40に接続された冷媒供給マニホールド51及び冷媒排出マニホールド53は、前後方向において、サブタンク30の後端と第1部分11の中心部11Cとの間に収まっている。換言すれば、前後方向においてサブタンク30の上下方向の投影面内に収まるように配置されており、且つ第1部分11の中心部11Cよりも後方の領域に収まるように配置されている。
【0181】
予熱流路20は、当該予熱流路20(流路ブロック21)の長手方向が各ヘッド機構40のノズル列L3が延びる方向と平行となるように配置されている。
【0182】
予熱流路20は、各ヘッド機構40の冷媒供給管接続部CSC、冷媒排出管接続部CDCの真上に位置している。即ち、予熱流路20は、予熱流路20(より具体的には流路ブロック21)の少なくとも一部と冷媒供給管接続部CSC及び冷媒排出管接続部CDCの少なくとも一部とが前後方向において重複するように、冷媒供給管接続部CSC及び冷媒排出管接続部CDCの上方に位置している。
【0183】
インク供給管IST1、IST2、インク排出管IDT1、IDT2は、各ヘッド機構40の前後方向の略中央部で、サブタンク30とヘッド機構40との間の全域において、上下方向、即ち各ヘッド機構40の上面(接続プレート41の上面)及びノズル面40nに直交する方向に延びている。インク供給管IST1、IST2、インク排出管IDT1、IDT2の各々について、その上流端と下流端とは、平面視において同一位置にある。
【0184】
冷媒供給マニホールド51及び冷媒排出マニホールド53は、各ヘッド機構40のノズル列L3が延びる方向と平行となるように延びている。
【0185】
冷媒供給マニホールド51及び冷媒排出マニホールド53は、当該マニホールドが接続されたヘッド機構40の配線接続部WCの真上に位置している。即ち、冷媒供給マニホールド51及び冷媒排出マニホールド53は、冷媒供給マニホールド51の少なくとも一部及び冷媒排出マニホールド53の少なくとも一部と配線接続部WCの少なくとも一部とが前後方向において重複するように配線接続部WCの上方に位置している。
【0186】
冷媒排出マニホールド53は、当該冷媒排出マニホールド53が接続されたヘッド機構40に接続される冷媒供給マニホールド51の真上に位置している。即ち、冷媒排出マニホールド53は、幅方向において冷媒排出マニホールド53の少なくとも一部が冷媒供給マニホールド51の少なくとも一部と重複するように冷媒供給マニホールド51の上方に位置している。なお、これとは反対に、冷媒供給マニホールド51が冷媒排出マニホールド53の真上に位置してもよい。
【0187】
冷媒供給マニホールド51及び冷媒排出マニホールド53は、前後方向において、当該マニホールドが接続されたヘッド機構40の冷媒供給管接続部CSC及び冷媒排出管接続部CDCとは異なる位置に配置されている。より具体的には、冷媒供給マニホールド51及び冷媒排出マニホールド53は、当該ヘッド機構40に接続されたインク管セットITSを基準として、冷媒供給管接続部CSC及び冷媒排出管接続部CDCとは反対側に配置されている。即ち、冷媒供給マニホールド51及び冷媒排出マニホールド53と冷媒供給管接続部CSC及び冷媒排出管接続部CDCとは、インク管セットITSを前後方向に挟んで配置されている。
【0188】
このように、あるヘッド機構40に接続された冷媒供給マニホールド51及び冷媒排出マニホールド53を、当該ヘッド機構40に接続されたインク管セットITSを基準として当該ヘッド機構40の冷媒供給管接続部CSC及び冷媒排出管接続部CDCとは反対側に配置することで、冷媒供給管53、冷媒排出管54の経路を複雑とすることなく、冷媒供給マニホールド51と冷媒排出マニホールド53を上下方向に並べて配置することができる。したがって、冷媒供給マニホールド51と冷媒排出マニホールド53を前後方向においてコンパクトに配置することができる。
【0189】
冷媒供給管52は、各ヘッド機構40の上方で、前後方向及び幅方向を含む面内を前後方向及び幅方向に対して傾斜した方向に延びて、冷媒供給マニホールド51と冷媒供給管接続部CSCとを接続している。冷媒排出管54は、各ヘッド機構40の上方で、前後方向及び幅方向を含む面内を前後方向及び幅方向に対して傾斜した方向に延びて、冷媒排出マニホールド53と冷媒排出管接続部CDCとを接続している。
【0190】
あるヘッド機構40の真上の予熱流路20は、流路ブロック21の本体部211の後面211dが当該ヘッド機構40に接続された第1インク供給管IST1及び第1インク排出管IDT1の外周面に対向するように、第1インク供給管IST1及び第1インク排出管IDT1の前方に配置されている。具体的には、予熱流路20は、流路ブロック21の下端部が第1インク供給管IST1及び第1インク排出管IDT1の継手部JTの上端よりも上方に位置するように、即ち、上下方向における後面211dの全域が第1インク供給管IST1及び第1インク排出管IDT1の主部MTと対向するように配置されている。主部MTよりも外径が大きい継手部JTの位置と流路ブロック21の位置とを上下方向において異ならせることで、流路ブロック21の後面211dと第1インク供給管IST1及び第1インク排出管IDT1の主部MTとの間の隙間を小さくすることができる。したがって、予熱流路20とインク管セットITSとを前後方向においてコンパクトに配置することができ、且つ予熱流路20の輻射シート23から輻射される熱をインク管セットITSを流れるインクに効率よく与えることができる。
【0191】
あるヘッド機構40に接続された冷媒供給マニホールド51及び冷媒排出マニホールド53の各々は、その外周面が当該ヘッド機構40に接続された第2インク供給管IST2及び第2インク排出管IDT2の外周面に対向するように、第2インク供給管IST2及び第2インク排出管IDT2の後方に配置されている。具体的には、冷媒供給マニホールド51及び冷媒排出マニホールド53の各々は、その下端部が第2インク供給管IST2及び第2インク排出管IDT2の継手部JTの上端よりも上方に位置するように、即ち、上下方向における冷媒供給マニホールド51の全域及び上下方向における冷媒排出マニホールド53の全域が、第2インク供給管IST2及び第2インク排出管IDT2の主部MTと対向するように配置されている。主部MTよりも外径が大きい継手部JTの位置と、冷媒供給マニホールド51及び冷媒排出マニホールド53の位置とを上下方向において異ならせることで、冷媒供給マニホールド51及び冷媒排出マニホールド53の外周面と第2インク供給管IST2及び第2インク排出管IDT2の主部MTの外周面との間の隙間を小さくすることができる。したがって、冷媒供給マニホールド51及び冷媒排出マニホールド53とインク管セットITSとを前後方向においてコンパクトに配置することができる。
【0192】
あるヘッド機構40の上方に位置する予熱流路20と、当該ヘッド機構に接続されたインク管セットITSと、当該ヘッド機構に接続された冷媒供給マニホールド51及び冷媒排出マニホールド53とは、前後方向に並んでいる。即ち、あるヘッド機構40の上方に位置する予熱流路20と、当該ヘッド機構40に接続された冷媒供給マニホールド51及び冷媒排出マニホールド53とは、当該ヘッド機構40に接続されたインク管セットITSを挟んで前後方向に対向している。換言すれば、あるヘッド機構40に接続されたインク管セットITSは、前後方向において、当該ヘッド機構40の上方に位置する予熱流路20と当該ヘッド機構に接続された冷媒供給マニホールド51及び冷媒排出マニホールド53との間に位置する。
【0193】
あるヘッド機構40の上方に位置する予熱流路20と、当該ヘッド機構に接続された冷媒供給マニホールド51及び冷媒排出マニホールド53とは、上下方向において同位置にある。即ち、幅方向に見ると、冷媒供給マニホールド51の下端部及び冷媒排出マニホールド53の下端部が予熱流路20の流路ブロック21の下端部よりも上方に位置し、冷媒供給マニホールド51の上端部及び冷媒排出マニホールド53の上端部が流路ブロック21の上端部よりも下方に位置する。
【0194】
本実施形態のヘッドシステム100の効果を以下にまとめる。
【0195】
本実施形態のヘッドシステム100においては、インク管セットITSに含まれるインク供給管IST1、IST2、インク排出管IDT1、IDT2を、サブタンク30とヘッド機構40との間の全域において上下方向に直線状に配置し、且つインク管セットITSと、冷媒供給マニホールド51及び冷媒排出マニホールド53とを前後方向に並べ、筐体10の第1部分11の前壁11cと後壁11dとの間に収めている。したがって、ヘッドシステム100の前後方向の寸法を小さくすることができ、ヘッドシステム100をコンパクトにすることが出来る。
【0196】
本実施形態のヘッドシステム100においては、前後方向において、予熱流路20と、インク管セットITSと、冷媒供給マニホールド51及び冷媒排出マニホールド53とをサブタンク30の上下方向の投影面内に収まるように配置している。したがって、ヘッドシステム100の前後方向の寸法をより小さくすることができ、ヘッドシステム100をよりコンパクトにすることが出来る。
【0197】
本実施形態のヘッドシステム100においては、10個のヘッド機構40の各々において、冷媒供給管接続部CSC、冷媒排出管接続部CDC、第1インク供給管接続部ISC1、第1インク排出管接続部IDC1が幅方向に沿って千鳥状に配置されている。また、第1インク供給管接続部ISC1、第1インク排出管接続部IDC1、第2インク供給管接続部ISC2、第2インク排出管接続部IDC2が幅方向に沿って千鳥状に配置されている。また、冷媒供給管接続部CSC、冷媒排出管接続部CDC、第2インク供給管接続部ISC2、第2インク排出管接続部IDC2が幅方向に沿って千鳥状に配置されている。
【0198】
各接続部には、インク管セットITSの各インク管の継手部JTが接続されるため、各接続部を幅方向において同位置に配置する場合には、継手部JT同士の干渉を避けるため、前後方向にある程度の距離だけ離間させる必要がある。これに対し、千鳥状の配置を用いれば、継手部JT同士の干渉を避けつつ、前後方向において接続管同士の離間距離を小さくすることができ且つ幅方向における接続管同士の過度の近接を避けることができる。したがって、各接続部に接続されるインク管セットITSを前後方向においてより小さい領域に配置することができ、且つヘッド機構40の前後方向の寸法も小さくすることができる。したがって、ヘッドシステム100の前後方向の寸法をより小さくすることができ、ヘッドシステム100をよりコンパクトにすることが出来る。
【0199】
ヘッドシステム100をコンパクトにすることは、例えばプリンタ1000の小型化を図る上で望ましいが、ヘッドシステム100の前後方向の寸法を小さくすることには、更に次の意義がある。
【0200】
図1に示すように、媒体PMを媒体送り方向に沿って搬送しながら画像形成を行う際、媒体PMが媒体送り方向に対してずれた方向に搬送されてしまうことがある。この場合、媒体PMの中心位置が搬送中心(搬送路の媒体幅方向における中心位置)からずれてしまい、媒体PM上における画像形成位置も、本来予定された位置からずれてしまう。
【0201】
ここで、媒体PMの搬送中心からのずれ量は媒体送り方向の下流側(排送側)に進むに従って大きくなり、これに伴い画像形成位置の予定位置からのずれも大きくなる。したがって、複数のヘッドシステム100を、媒体送り方向においてより小さい領域内に配置することで、即ち、媒体送り方向の最も上流側(給送側)に位置するノズルから媒体送り方向の最も下流側に位置するノズルまでの距離を小さくすることで、媒体PMが媒体送り方向に対してずれた方向に搬送された場合に生じ得る画像品質の劣化(即ち、画像形成位置の予定位置に対するずれ)を抑制することができる。
【0202】
即ち、ヘッドシステム100の前後方向の寸法を小さくすることにより、複数のヘッドシステム100を、媒体送り方向においてより小さい領域内に配置することが可能となり、媒体PMが媒体送り方向に対してずれた方向に搬送された場合に生じ得る画像品質の劣化を抑制することができる。
【0203】
なお、媒体PMの媒体送り方向に対するずれは、媒体PMとしてロール紙を用いる場合により生じやすい傾向にある。したがって、本実施形態のヘッドシステム100は、ロール紙に対する画像形成を行う印刷装置における使用にも適している。
【0204】
[変形例]
上記実施形態のヘッドシステム100において、次の変形態様を用いることもできる。
【0205】
上記実施形態のヘッドシステム100においては、筐体10は第1部分11と、第1部分11に対して着脱可能な第2部分とを含むがこれには限られない。筐体10は任意の構成であってよく、第1部分11と第2部分12とが分離不可能に一体に形成されていてもよい。
【0206】
上記実施形態のヘッドシステム100において、予熱流路20の構成は任意である。例えば、金属製の円管路に直接面状ヒータを貼り付けた構成であってもよい。また、予熱流路20を省略してもよい。
【0207】
上記実施形態のヘッドシステム100において、サブタンク30はヒータ34を備えなくてもよく、ヘッド機構40はヘッドヒータ機構47を備えなくてもよい。
【0208】
上記実施形態のヘッドシステム100は、幅方向に沿って千鳥状に配置された10個のヘッド機構40を備えるが、これには限られない。ヘッドシステム100が備えるヘッド機構40の数は任意である。ヘッドシステム100を少なくとも3つ有する態様において、ヘッドシステム100を千鳥状に配置し得る。
【0209】
上記実施形態のヘッドシステム100では、第1、第2インク供給管IST1、IST2、及び第1、第2インク排出管IDT1、IDT2の各々は、主部MTと、主部MTよりも外径が大きい継手部JTとを有しているがこれには限られない。
【0210】
具体的には例えば、第1、第2インク供給管IST1、IST2、及び第1、第2インク排出管IDT1、IDT2の各々は主部MTのみを有してもよい。この場合は、主部MTの下端部に第1インク供給管接続部ISC1等の接続部を挿入することで、各インク管とヘッド機構40との接続をなし得る。この場合は、インク管に接続部(接続管)を挿入することでインク管の外径が大きくなった部分や、インク管に接続部(接続管)を挿入した部分を締め付け部材等で囲むことにより外径が大きくなった部分が本発明の大径部に対応する。
【0211】
また、上記した各インク管とヘッド機構40との接続態様を、各インク管とサブタンク30との接続に適用してもよい。この場合は、各インク管は、サブタンク30に接続される上端部にも大径部を有する。
【0212】
本発明において、管路とヘッド機構(ヘッド)の接続に関して用いられる「インターフェース」という文言は、ヘッド機構に管路を接続するための構造体(例えば、第1、第2インク供給管接続部ISC1、ISC2等)、及びヘッド機構の表面の管路が接続のために接触した(又は接触する)領域(接点、接面)の両方を意味する。
【0213】
上記実施形態のヘッドシステム100では、上下方向における冷媒供給マニホールド51の全域及び上下方向における冷媒排出マニホールド53の全域が、第2インク供給管IST2及び第2インク排出管IDT2の主部MTと対向するように配置されているがこれには限られない。冷媒供給マニホールド51又は冷媒排出マニホールド53の上下方向の中央部が第2インク供給管IST2及び第2インク排出管IDT2の主部MTと対向するように配置されていてもよい。前後方向の幅が最も大きくなる円管状の各マニホールドの中央部をこのように配置することで、冷媒供給マニホールド51及び冷媒排出マニホールド53とインク管セットITSとを前後方向においてコンパクトに配置することができる。本発明において「マニホールドが上下方向において小径部(主部)の位置に配置されている」とは、上下方向において小径部(主部)が位置する領域にマニホールドの上下方向の全域が配置された態様、及び上下方向において小径部(主部)が位置する領域に少なくともマニホールドの上下方向の中央部が配置された態様の両方を含む。
【0214】
上記実施形態のヘッドシステム100は2種類のインクを同時に流通できるように構成されているが、これには限られない。ヘッドシステム100は、1種類のインクのみを流通するように構成されていてもよい。
【0215】
具体的には例えば、サブタンク30を2つの貯留部のみを有する構成として、インク流通口セットSから第2インク供給口SP2、第2インク排出口DP2を省略し、分配流路DCは、2つの貯留部の一方と第1インク供給口SP1が連通し、2つの貯留部の他方と第1インク排出口DP1が連通する構成とする。更に、インク管セットITSから第2インク供給管IST2、第2インク排出管IDT2を省略し、ヘッド機構40から第2インク供給管接続部ISC2、第2インク排出管接続部IDC2と、これらに関連する流路構造を省略する。
【0216】
上記実施形態のヘッドシステム100は、ヘッド機構40において吐出されなかったインクをヘッドシステム100の外部に排出するための構造を備える循環型のヘッドシステムであるが、これには限られない。上記実施形態のヘッドシステム100から、インクの排出に関する各構成を省略してもよい。
【0217】
以上、ヘッドシステム100からインクを吐出して媒体PMに画像形成する場合を例として実施形態及び変形例を説明した。ヘッドシステム100は、画像成形のために任意の液体を吐出する液体吐出システムであってよく、画像を形成される媒体PMは、例えば用紙、布、樹脂等であってもよい。また、ヘッドシステム100を、シリアルヘッド型のプリンタのヘッドシステムとして用いても良い。
【0218】
本明細書に記載の実施形態は、全ての点で例示であって、限定的なものではないと考えられるべきである。例えば、プリンタ1000におけるヘッドシステム100の数、構成等は変更し得る。印刷装置1000が同時に印刷可能な色の数も限定はされず、単色印刷のみが可能な構成であってもよい。また、個別流路iCHの数、配置等も適宜変更し得る。また、各実施形態及び変形例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができる。
【0219】
本発明の特徴を維持する限り、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0220】
10 筐体
20 予熱流路
30 サブタンク
40 ヘッド機構
50 冷媒流通機構
51 冷媒供給マニホールド
53 冷媒排出マニホールド
60 冷却機構
70 中継基板
80 制御基板部
1000 プリンタ
ITS インク管セット