(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154444
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】めっき装置及び太陽電池パネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
C25D 17/08 20060101AFI20221005BHJP
H01L 31/0224 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
C25D17/08 R
C25D17/08 G
H01L31/04 262
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057485
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】藤原 雅宏
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151CB27
5F151FA02
5F151FA04
5F151FA06
5F151FA14
(57)【要約】
【課題】本発明は、従来に比べて被めっき体に加わる負荷を低減できるめっき装置及び従来に比べて歩留まりが向上する太陽電池パネルの製造方法を提供する。
【解決手段】導電部を有する被めっき面を備えた被めっき体をめっき液内に浸漬させ、導電部に電圧を印加することで導電部上にめっき層を積層させるものであり、少なくとも2つの線状給電部を有し、2つの線状給電部を被めっき面の形状に追従させて、線状給電部の少なくとも一部を導電部に線接触させ、導電部に給電可能である構成とする。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電部を有する被めっき面を備えた被めっき体をめっき液内に浸漬させ、前記導電部に電圧を印加することで前記導電部上にめっき層を積層させるめっき装置であって、
少なくとも2つの線状給電部を有し、
前記2つの線状給電部を前記被めっき面の形状に追従させて、前記線状給電部の少なくとも一部を前記導電部に線接触させ、前記導電部に給電可能である、めっき装置。
【請求項2】
前記2つの線状給電部の間隔は、0.01mm以上0.2mm以下である、請求項1に記載のめっき装置。
【請求項3】
前記線状給電部は、難めっき材料で構成されている、請求項1又は2に記載のめっき装置。
【請求項4】
前記線状給電部は、ニオブ、炭素、アルミニウム、チタンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の金属又は合金で構成されている、請求項3に記載のめっき装置。
【請求項5】
前記被めっき面は、絶縁部を有し、
前記2つの線状給電部のうち、一方の線状給電部は前記導電部と接触し、他方の線状給電部は前記絶縁部に接触する、請求項1~4のいずれか1項に記載のめっき装置。
【請求項6】
前記2つの線状給電部は、前記被めっき面の形状に合わせて弾性変形し、その復元力によって前記被めっき面を押圧する、請求項1~5のいずれか1項に記載のめっき装置。
【請求項7】
前記2つの線状給電部は、前記被めっき面への押圧方向とは反対側に空間があり、
前記2つの線状給電部は、前記被めっき体を取り付けたときに、前記被めっき面の形状に合わせて前記空間側に移動する、請求項6に記載のめっき装置。
【請求項8】
断面の外郭形状が円形の線状体を有し、
前記線状給電部は、前記線状体で構成されており、
前記導電部に給電する際には、前記線状体の側面を前記導電部に線接触させて給電する、請求項1~7のいずれか1項に記載のめっき装置。
【請求項9】
前記線状体が螺旋状に巻かれた導電体を有し、
前記2つの線状給電部は、前記導電体の側面の一部によって構成されている、請求項8に記載のめっき装置。
【請求項10】
複数の線状給電部を有し、
前記複数の線状給電部には、第1線状給電部と、第2線状給電部があり、
前記被めっき体は、板状であって、前記被めっき面を有する第1主面と、第2主面を有し、
第1ホルダーと、第2ホルダーを有しためっき用治具を有し、
前記第1ホルダーは、前記第1線状給電部を有した第1給電部材を有し、
前記第2ホルダーは、前記第2線状給電部を有した第2給電部材を有し、
前記めっき用治具は、前記第1給電部材の前記第1線状給電部を前記第1主面に接触させ、前記第2給電部材の前記第2線状給電部を前記第2主面に接触させることで、前記被めっき体を保持する、請求項1~9のいずれか1項に記載のめっき装置。
【請求項11】
前記第1線状給電部の前記第1主面との接触部分は、平面視したときに、前記第2線状給電部の前記第2主面との接触部分と重なっていない、請求項10に記載のめっき装置。
【請求項12】
前記第1線状給電部の前記第1主面との接触部分の延び方向と、前記第2線状給電部の前記第2主面との接触部分の延び方向は、前記第1主面を平面視したときに、互いに交差する、請求項10又は11に記載のめっき装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載のめっき装置を使用して太陽電池基板に集電極を形成する太陽電池パネルの製造方法であって、
前記太陽電池基板は、第1電極層と、第2電極層と、前記第1電極層と前記第2電極層に挟まれた光電変換部を有し、前記光電変換部を基準として前記第1電極層の外側に絶縁層が積層されており、
前記絶縁層は、開口部を有し、前記開口部から前記第1電極層の一部又は前記第1電極層上に積層された下地層が露出しており、
前記めっき液に前記太陽電池基板を浸漬させ、前記線状給電部の少なくとも一部を前記第1電極層又は前記下地層に接触させて給電し、前記第1電極層上又は前記下地層上にめっき層を形成するめっき工程を含む、太陽電池パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、めっき装置及び太陽電池パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、結晶シリコンを光電変換基板に使用した結晶型の太陽電池パネルが知られている(例えば、特許文献1)。
特許文献1の太陽電池パネルは、光電変換基板の一方の主面にp側電極及び表面集電極がこの順に積層され、他方の主面にn側電極及び裏面集電極がこの順に積層された構造となっている。
【0003】
ところで、近年、材料コストを低減するべく、太陽電池パネルの集電極をめっき層で形成する方法が提案されている(例えば、特許文献2)。
例えば、特許文献2では、p側電極上及びn型電極上に集電極の形状に合わせて金属シード層を形成した太陽電池基板を使用し、電解めっき法で太陽電池基板の金属シード層上にめっき層を形成することでp側電極上及びn型電極上に集電極を形成することを提案している。
特許文献2では、めっき層の形成において、第1支持部材と、第2支持部材と、めっき浴を有しためっき装置を使用し、めっき浴のめっき液内で第1支持部材の給電ピンと第2支持部材の給電ピンで太陽電池基板を挟み、給電ピンを介して太陽電池基板の金属シード層に通電することで、シード層上にめっき層を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-145533号公報
【特許文献2】特開2018-93034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献2のめっき装置は、給電ピンと太陽電池基板との接触部分にめっき層が付着することを防止するべく、太陽電池基板への給電をピンで形成し、第1支持部材の給電ピンと第2支持部材の給電ピンがそれぞれ同じ位置で点接触している。
しかしながら、太陽電池基板は、厚みが極めて薄いため、特許文献2のめっき装置を使用すると、給電ピンから太陽電池基板に局所的な負荷が加わり、まれに太陽電池基板が割れてしまう事態が生じており、改良の余地があった。
【0006】
そこで、本発明は、従来に比べて、被めっき体に加わる負荷を低減できるめっき装置及び従来に比べて歩留まりが向上する太陽電池パネルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するための本発明の一つの様相は、導電部を有する被めっき面を備えた被めっき体をめっき液内に浸漬させ、前記導電部に電圧を印加することで前記導電部上にめっき層を積層させるめっき装置であって、少なくとも2つの線状給電部を有し、前記2つの線状給電部を前記被めっき面の形状に追従させて、前記線状給電部の少なくとも一部を前記導電部に線接触させ、前記導電部に給電可能である、めっき装置である。
【0008】
本様相によれば、線状給電部が線接触することで被めっき体の導電部に給電可能であるため、従来に比べて被めっき体に加わる負荷を緩和でき、被めっき体に加わる負荷を低減できる。
【0009】
好ましい様相は、前記2つの線状給電部の間隔は、0.01mm以上0.2mm以下である。
【0010】
本様相によれば、2つの線状給電部の間の部分にめっき液を行き渡らせつつ、被めっき体への局所的な負荷を緩和できる。
【0011】
好ましい様相は、前記線状給電部は、難めっき材料で構成されていることである。
【0012】
本様相によれば、めっき層を形成した後に、線状給電部の表面に形成されためっき層を線状給電部から剥がしやすい。
【0013】
より好ましい様相は、前記線状給電部は、ニオブ、炭素、アルミニウム、チタンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の金属又は合金で構成されていることである。
【0014】
好ましい様相は、前記被めっき面は、絶縁部を有し、前記2つの線状給電部のうち、一方の線状給電部は前記導電部と接触し、他方の線状給電部は前記絶縁部に接触することである。
【0015】
本様相によれば、2つの線状給電部が導電部と絶縁部に跨って設けられ、2つの線状給電部が絶縁部と導電部との間の段差に追随し、絶縁部の厚みを吸収するので、より確実に一方の線状給電部を導電部に接触させることができる。
【0016】
好ましい様相は、前記2つの線状給電部は、前記被めっき面の形状に合わせて弾性変形し、その復元力によって前記被めっき面を押圧することである。
【0017】
本様相によれば、より確実に導電部に線状給電部を接触させることができる。
【0018】
好ましい様相は、前記2つの線状給電部は、前記被めっき面への押圧方向とは反対側に空間があり、前記2つの線状給電部は、前記被めっき体を取り付けたときに、前記被めっき面の形状に合わせて前記空間側に移動することである。
【0019】
本様相によれば、被めっき体からの抗力の一部が空間側に逃げるため、過剰な負荷が被めっき体に加わりにくい。
【0020】
好ましい様相は、断面の外郭形状が円形の線状体を有し、前記線状給電部は、前記線状体で構成されており、前記導電部に給電する際には、前記線状体の側面を前記導電部に線接触させて給電することである。
【0021】
本様相によれば、導電部に対して線接触させやすい。
【0022】
より好ましい様相は、前記線状体が螺旋状に巻かれた導電体を有し、前記2つの線状給電部は、前記導電体の側面の一部によって構成されていることである。
【0023】
本様相によれば、より簡単に被めっき面の形状に2つの線状給電部を追従させることができる。
【0024】
好ましい様相は、複数の線状給電部を有し、前記複数の線状給電部には、第1線状給電部と、第2線状給電部があり、前記被めっき体は、板状であって、前記被めっき面を有する第1主面と、第2主面を有し、第1ホルダーと、第2ホルダーを有しためっき用治具を有し、前記第1ホルダーは、前記第1線状給電部を有した第1給電部材を有し、前記第2ホルダーは、前記第2線状給電部を有した第2給電部材を有し、前記めっき用治具は、前記第1給電部材の前記第1線状給電部を前記第1主面に接触させ、前記第2給電部材の前記第2線状給電部を前記第2主面に接触させることで、前記被めっき体を保持することである。
【0025】
本様相によれば、線状給電部を被めっき体の保持に使用しているため、別途被めっき体を支持する部材が必要なく、被めっき体のより広範囲をめっき液に漬けることができる。
【0026】
好ましい様相は、前記第1線状給電部の前記第1主面との接触部分は、平面視したときに、前記第2線状給電部の前記第2主面との接触部分と重なっていないことである。
【0027】
本様相によれば、被めっき体に第1線状給電部と第2線状給電部による局所的な集中荷重が加わりにくい。
【0028】
好ましい様相は、前記第1線状給電部の前記第1主面との接触部分の延び方向と、前記第2線状給電部の前記第2主面との接触部分の延び方向は、前記第1主面を平面視したときに、互いに交差することである。
【0029】
本様相によれば、より安定して被めっき体を保持することができる。
【0030】
本発明の一つの様相は、上記のめっき装置を使用して太陽電池基板に集電極を形成する太陽電池パネルの製造方法であって、前記太陽電池基板は、第1電極層と、第2電極層と、前記第1電極層と前記第2電極層に挟まれた光電変換部を有し、前記光電変換部を基準として前記第1電極層の外側に絶縁層が積層されており、前記絶縁層は、開口部を有し、前記開口部から前記第1電極層の一部又は前記第1電極層上に積層された下地層が露出しており、前記めっき液に前記太陽電池基板を浸漬させ、前記線状給電部の少なくとも一部を前記第1電極層又は前記下地層に接触させて給電し、前記第1電極層上又は前記下地層上にめっき層を形成するめっき工程を含む、太陽電池パネルの製造方法である。
【0031】
本様相によれば、従来に比べて太陽電池基板に加わる負荷を低減できるので、太陽電池基板が破損しにくく、歩留まりを向上できる。
【発明の効果】
【0032】
本発明のめっき装置によれば、従来に比べて被めっき体に加わる負荷を低減できる。
本発明の太陽電池モジュールの製造方法によれば、従来に比べて歩留まりを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の第1実施形態のめっき装置の概念図である。
【
図3】
図2の第1給電部材及び第2給電部材の説明図であり、(a)は第1給電部材の分解斜視図であり、(b)は第2給電部材の分解斜視図である。
【
図4】
図2の第1給電部材の説明図であり、(a)は第1給電部材の断面図であり、(b)は(a)の第1給電部材の要部の拡大図である。
【
図5】
図1の被めっき基板の説明図であり、(a)は被めっき基板の正面図であり、(b)は被めっき基板の背面図であり、(c)は(a)のA-A断面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態の太陽電池パネルの説明図であり、(a)は太陽電池パネルの正面図であり、(b)は太陽電池パネルの背面図であり、(c)は(a)のB-B断面図である。
【
図7】
図2のめっき用治具で被めっき基板を保持した状態の説明図であり、(a)は断面図であり、(b)は(a)とは直交する断面図である。
【
図8】
図2のめっき用治具の第1弾性給電部と第2弾性給電部の位置関係を表す説明図であり、(a)は第1弾性給電部と被めっき基板、第2弾性給電部と被めっき基板のそれぞれの接触位置を表す正面図であり、(b)は第1弾性給電部と被めっき基板、第2弾性給電部と被めっき基板のそれぞれの接触位置を表す断面図である。
【
図9】本発明の他の実施形態の被めっき基板及び太陽電池パネルの説明図であり、(a)は被めっき基板の断面図であり、(b)は太陽電池パネルの断面図である。
【
図10】本発明の他の実施形態の第1給電部材の説明図であり、(a)は被めっき基板に接触していない無負荷状態の斜視図であり、(b)は被めっき基板に接触した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0035】
本発明の第1実施形態のめっき装置1は、電解めっきによって、被めっき基板100(被めっき体)にめっき層105,106を形成する電解めっき装置である。
本実施形態のめっき装置1は、太陽電池パネル150の製造に使用されるものであり、被めっき基板100として太陽電池基板を使用し、被めっき基板100の被めっき面たる両主面101,102にめっき層105,106を形成する際に使用されるものである。
【0036】
めっき装置1は、
図1のように、主に、めっき用治具2と、めっき浴3と、めっき電極5,6と、電源装置7を備えている。
【0037】
めっき用治具2は、
図1,
図2のように、一対の基板ホルダー10,11を備えており、基板ホルダー10,11で被めっき基板100を挟んで被めっき基板100を保持するものである。
【0038】
第1基板ホルダー10(第1ホルダー)は、
図2のように、本体フレーム15と、桟フレーム16~18と、複数の第1給電部材20と、第1嵌合部21を備えている。
本体フレーム15は、被めっき基板100と相似形状の開口部22を有する額縁状のフレームである。本体フレーム15は、四角形状の開口部22を有しており、開口部22の周囲に、縦方向に延びる縦フレーム25,26と、横方向に延びる横フレーム27,28を有している。
【0039】
桟フレーム16~18は、開口部22を縦断し、上側の横フレーム27(上フレーム)と下側の横フレーム28(下フレーム)を接続するフレームである。
桟フレーム16~18は、被めっき基板100を基準として、横フレーム27,28の外側で横フレーム27,28に対して立体交差しており、桟フレーム16~18の内側には空間が形成されている。
【0040】
第1給電部材20は、電源装置7と電気的に接続され、被めっき基板100に対して電圧を印加する部材である。
第1給電部材20は、
図3(a)のように、第1ケース部30と、第1弾性給電部31を有しており、第1弾性給電部31が第1ケース部30の内外に亘って設けられている。
第1ケース部30は、保持孔33a,33bを介して内外が連通した箱状ケースであり、内部に第1弾性給電部31を固定する固定部32を有している。
【0041】
第1弾性給電部31は、被めっき基板100の第1主面101に接触し、被めっき基板100に給電する部位である。
第1弾性給電部31は、
図4のように、断面の外郭形状が円形状の線状体が螺旋状に巻かれた導電体であり、自然状態において
図3のように螺旋軸C1が円環状に連続している。すなわち、第1弾性給電部31は、
図4のように、平面視したときに第1ケース部30から円弧状に延びて露出した第1給電領域35を有している。
第1給電領域35は、被めっき基板100と接触し、被めっき基板100に給電する領域である。第1給電領域35は、
図4のように螺旋軸C1の内側(第1ケース部30側)に空間が形成されており、螺旋軸C1に対して交差する方向への移動が許容されている。
【0042】
第1給電領域35は、
図4のように、複数の第1線状給電部36が形成されている。
第1線状給電部36は、被めっき基板100を取り付けたときに、側面が被めっき基板100の第1主面101に線接触する部位である。
【0043】
第1弾性給電部31は、具体的にはコイルばねであり、螺旋軸C1方向において、弾性変形可能となっており、各第1線状給電部36が螺旋軸C1に対する直交方向に移動可能となっている。
第1弾性給電部31は、線状体の外径が5.0mm以上20.0mm以下であることが好ましい。
第1弾性給電部31は、ピッチ(隣接する第1線状給電部36,36間の間隔)が0.01mm以上0.2mm以下であることが好ましい。
【0044】
第1弾性給電部31は、導電性を有した難めっき材料で構成されており、ニオブ、炭素、アルミニウム、チタンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の金属又は合金で構成されていることが好ましい。
【0045】
第1嵌合部21は、
図2のように、第2基板ホルダー11の第2嵌合部61と嵌合可能な部位であり、本実施形態では本体フレーム15から窪んだ凹部である。
【0046】
第2基板ホルダー11(第2ホルダー)は、
図2のように、第1基板ホルダー10と対をなす部材であり、本体フレーム55と、桟フレーム56~58と、複数の第2給電部材60と、第2嵌合部61を備えている。
本体フレーム55は、被めっき基板100と相似形状の開口部62を有する額縁状のフレームである。本体フレーム55は、四角形状の開口部62を有しており、開口部62の周囲に、縦方向に延びる縦フレーム65,66と、横方向に延びる横フレーム67,68を有している。
【0047】
桟フレーム56~58は、開口部62を縦断し、上側の横フレーム67(上フレーム)と下側の横フレーム68(下フレーム)を接続するフレームである。
桟フレーム56~58は、被めっき基板100を基準として、横フレーム67,68に対して立体交差しており、桟フレーム56~58の内側には空間が形成されている。
【0048】
第2給電部材60は、電源装置7と電気的に接続され、被めっき基板100に対して電圧を印加する部材である。
第2給電部材60は、第1給電部材20とともに被めっき基板100を挟んで保持する保持部材でもある。
第2給電部材60は、第2ケース部70と、第2弾性給電部71を有しており、第2弾性給電部71が第2ケース部70の内外に亘って設けられている。
第2ケース部70は、
図3(b)のように、保持孔73a,73bを介して内外が連通した箱状ケースであり、内部に第2弾性給電部71を固定する固定部72を有している。
【0049】
第2弾性給電部71は、被めっき基板100に接触し、被めっき基板100に給電する部位である。
第2弾性給電部71は、断面の外郭形状が円形状の線状体が螺旋状に巻かれた導電体であり、螺旋軸C2が円環状に連続している。すなわち、第2弾性給電部71は、平面視したときに第2ケース部70から円弧状に延びて露出した第2給電領域75を有している。
第2給電領域75は、螺旋軸C2の内側に空間が形成されており、螺旋軸C2に対して交差する方向への移動が許容されている。
第2給電領域75は、複数の第2線状給電部76が形成されている。
第2線状給電部76は、被めっき基板100を取り付けたときに、側面が被めっき基板100の第2主面102に線接触する部位である。
【0050】
第2弾性給電部71は、具体的にはコイルばねであり、螺旋軸C2方向において、弾性変形可能となっており、各第2線状給電部76が螺旋軸C2に対する直交方向に移動可能となっている。
第2弾性給電部71は、線状体の外径が5.0mm以上20.0mm以下であることが好ましい。
第2弾性給電部71は、ピッチ(隣接する第2線状給電部76,76間の間隔)が0.01mm以上0.2mm以下であることが好ましい。
【0051】
第2弾性給電部71は、導電性を有した難めっき材料で構成されており、ニオブ、炭素、アルミニウム、チタンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の金属又は合金で構成されていることが好ましい。
【0052】
第2嵌合部61は、
図2のように、第1基板ホルダー10の第1嵌合部21と嵌合可能な部位であり、本実施形態は本体フレーム55から突出した凸部である。
【0053】
被めっき基板100は、めっき装置1によってめっき層105,106が形成される基板である。本実施形態の被めっき基板100は、
図5のように、光電変換部110を有した太陽電池基板であり、第1主面101と、第2主面102を有する板状基板である。
被めっき基板100は、
図5(c)のように、第1主面101側において光電変換部110上に第1電極層111と、第1下地層112(導電部)と、第1絶縁層113(絶縁部)を有しており、第2主面102側において光電変換部110上に第2電極層115と、第2下地層116(導電部)と、第2絶縁層117(絶縁部)を有している。
【0054】
光電変換部110は、PN接合を有し、光エネルギーを電気エネルギーに変換する部位であり、半導体基板上に半導体層が形成されたものである。
【0055】
第1電極層111は、第2電極層115と対をなし、第2電極層115とともに光電変換部110で光電変換された電気エネルギーを取り出す電極である。
第1電極層111は、透明性と導電性を有する透明導電層であり、具体的には、酸化インジウム錫(ITO)やタングステンドープ酸化インジウム(IWO)などの透明導電性酸化物で構成された透明導電性酸化物層である。
第1電極層111は、第1主面101を平面視したときに光電変換部110の80%以上の範囲に形成されていることが好ましく、95%以上の範囲に形成されていることがより好ましく、全面に形成されていることがさらに好ましい。
【0056】
第1下地層112は、第1電極層111よりも高い導電率を有し、第1めっき層105の下地となる層である。
第1下地層112は、導電性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、銅、銀、ニッケル、スズ、アルミニウムなどの金属又はこれらの金属合金を使用できる。
【0057】
第1下地層112は、
図5(a)のように、所定の形状(櫛歯状)にパターニングされ、第1電極層111上に部分的に形成されている。すなわち、被めっき基板100は、第1下地層112が形成された第1下地層形成領域122と、第1下地層112が形成されていない第1下地層非形成領域123を有している。
【0058】
第1絶縁層113は、絶縁性とめっき液に対する化学的安定性を有する層であり、電解めっきによって第1めっき層105を製膜する際に光電変換部110や第1電極層111をめっき液から保護する保護層である。
第1絶縁層113は、絶縁性とめっき液に対する化学的安定性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、ノボラック樹脂やフェノール樹脂などのポジ型のフォトレジスト材料や、アクリル樹脂などのネガ型のフォトレジスト材料、酸化シリコン、酸化マグネシウムや酸化銅、酸化ニオブなどの無機材料が使用できる。
【0059】
第1絶縁層113は、
図5(c)のように、第1電極層111上に積層されており、第1下地層形成領域122の形状に沿って開口部118が形成され、開口部118から第1下地層112が露出している。すなわち、被めっき基板100の第1主面101は、第1露出領域120と、第1被覆領域121がある。
【0060】
第1露出領域120は、めっき時において、第1絶縁層113から第1下地層112が露出して第1下地層112上に第1めっき層105が形成されるめっき領域である。
第1被覆領域121は、めっき時において、第1絶縁層113に第1電極層111が覆われて第1電極層111上に第1めっき層105が形成されない非めっき領域である。
【0061】
第2電極層115は、透明性と導電性を有する透明導電層であり、具体的には、酸化インジウム錫(ITO)やタングステンドープ酸化インジウム(IWO)などの透明導電性酸化物で構成された透明導電性酸化物層である。
第2電極層115は、第1主面101(第2主面102)を平面視したときに光電変換部110の80%以上の範囲に形成されていることが好ましく、95%以上の範囲に形成されていることがより好ましく、全面に形成されていることがさらに好ましい。
【0062】
第2下地層116は、第2電極層115よりも高い導電率を有し、第2めっき層106の下地となる層である。
第2下地層116は、導電性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、銅、銀、ニッケル、スズ、アルミニウムなどの金属又はこれらの金属合金を使用できる。
【0063】
第2下地層116は、
図5(b)のように、所定の形状(櫛歯状)にパターニングされ、第2電極層115上に部分的に形成されている。すなわち、被めっき基板100は、第2下地層116が形成された第2下地層形成領域132と、第2下地層116が形成されていない第2下地層非形成領域133を有している。
【0064】
第2絶縁層117は、絶縁性とめっき液に対する化学的安定性を有する層であり、電解めっきによって第2めっき層106を製膜する際に光電変換部110や第2電極層115をめっき液から保護する保護層である。
第2絶縁層117は、絶縁性とめっき液に対する化学的安定性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、ノボラック樹脂やフェノール樹脂などのポジ型のフォトレジスト材料や、アクリル樹脂などのネガ型のフォトレジスト材料、酸化シリコン、酸化マグネシウムや酸化銅、酸化ニオブなどの無機材料が使用できる。
【0065】
第2絶縁層117は、第2電極層115上に積層されており、第2下地層形成領域132の形状に沿って開口部128が形成され、開口部128から第2下地層116が露出している。すなわち、被めっき基板100の第2主面102は、第2露出領域130と、第2被覆領域131がある。
第2露出領域130は、めっき時において、第2絶縁層117から第2下地層116が露出して第2下地層116上に第2めっき層106が形成されるめっき領域である。
第2被覆領域131は、めっき時において、第2絶縁層117に第2電極層115が覆われて第2電極層115上に第2めっき層106が形成されない非めっき領域である。
【0066】
続いて、本実施形態のめっき装置1を使用して好適に製造される太陽電池パネル150について説明する。
【0067】
太陽電池パネル150は、
図6のように、第1主面151と、第2主面152を有する板状パネルである。
太陽電池パネル150は、
図6(c)のように、第1主面151側において光電変換部110上に第1電極層111と、第1下地層112と、第1めっき層105を有しており、第2主面152側において光電変換部110上に第2電極層115と、第2下地層116と、第2めっき層106を有している。
【0068】
太陽電池パネル150は、
図6(a)のように第1主面151に第1集電極160が形成されており、
図6(b)のように第2主面152に第2集電極161が形成されている。
【0069】
第1集電極160は、櫛歯状であり、
図6(a)のように第1バスバー電極部155と第1フィンガー電極部156で構成されている。
【0070】
第1バスバー電極部155は、タブ線等の外部配線を接続する部位である。
第1バスバー電極部155は、
図6(a)のように所定の方向に延びており、
図6(c)のように第1下地層112と第1めっき層105によって構成されている。
第1フィンガー電極部156は、
図6(a)のように第1バスバー電極部155の延び方向に対する交差方向(本実施形態では直交方向)に延びており、第1下地層112と第1めっき層105によって構成されている。
第1フィンガー電極部156の幅は、
図6(a)のように第1バスバー電極部155の幅よりも小さい。
【0071】
第2集電極161は、櫛歯状であり、
図6(b)のように第2バスバー電極部157と第2フィンガー電極部158で構成されている。
第2バスバー電極部157は、タブ線等の外部配線を接続する部位である。
第2バスバー電極部157は、
図6(b)のように所定の方向に延びており、第2下地層116と第2めっき層106によって構成されている。
第2フィンガー電極部158は、第2バスバー電極部157の延び方向に対する交差方向(本実施形態では直交方向)に延びており、第2下地層116と第2めっき層106によって構成されている。
第2フィンガー電極部158の幅は、第2バスバー電極部157の幅よりも小さい。
【0072】
続いて、被めっき基板100を取り付けたときの本実施形態のめっき用治具2の各部位の位置関係について説明する。
【0073】
めっき用治具2は、
図1のように、第1基板ホルダー10と第2基板ホルダー11が被めっき基板100を厚み方向に挟んで対向しており、第1給電部材20と第2給電部材60によって被めっき基板を保持している。
第1基板ホルダー10の第1弾性給電部31は、
図7(a)のように、側面が第1主面101と接触しており、被めっき基板100の第1絶縁層113と第1下地層112に跨って接触している。
第1弾性給電部31の第1線状給電部36には、第1下地層112と線接触する部分と第1下地側線状給電部36aと、第1絶縁層113と線接触する第1絶縁側線状給電部36bがある。
各第1線状給電部36は、
図7(a)のように、それぞれ被めっき基板100の第1主面101の形状に追従しており、被めっき基板100の第1絶縁層113の厚みによる段差が吸収されている。すなわち、被めっき基板100の第1主面101と接触する各第1線状給電部36は、第1主面101の形状に合わせて第1主面101への押圧方向とは反対側に空間があって当該空間に向かって弾性変形しており、その復元力によって被めっき基板100の第1主面101を押圧している。
第1下地側線状給電部36aの第1下地層112との接触部分は、光電変換部110を基準として、第1絶縁側線状給電部36bの第1絶縁層113との接触部分よりも内側に位置している。
【0074】
第2基板ホルダー11の第2弾性給電部71は、側面が第2主面102と接触しており、被めっき基板100の第2絶縁層117と第2下地層116に跨って接触している。
第2下地層116と第2絶縁層117の境界部分に跨る第2弾性給電部71の第2線状給電部76には、第2下地層116と線接触する部分と、第2絶縁層117と線接触する部分がある。
各第2線状給電部76は、それぞれ被めっき基板100の第2主面102の形状に追従しており、被めっき基板100の第2絶縁層117の厚みによる段差が吸収されている。
すなわち、被めっき基板100の第2主面102と接触し第2下地層116と第2絶縁層117の境界部分に跨る第2線状給電部76は、第2主面102の形状に合わせて弾性変形しており、その復元力によって被めっき基板100の第2主面102を押圧している。
第2線状給電部76の第2下地層116との接触部分は、
図7(b)のように、光電変換部110を基準として、第2線状給電部76の第2絶縁層117との接触部分よりも内側に位置している。
【0075】
第1弾性給電部31の第1線状給電部36と第2弾性給電部71の第2線状給電部76は、
図8(a)のように、平面視したときに、重ならない位置に配されている。
すなわち、第1基板ホルダー10の第1線状給電部36の被めっき基板100との接触部分と第2基板ホルダー11の第2線状給電部76の被めっき基板100との接触部分(接点)は、縦方向及び横方向においてオフセットして、ずれた位置にある。
【0076】
また、第1基板ホルダー10の第1線状給電部36の延び方向は、第1主面101を平面視したとき、第2基板ホルダー11の第2線状給電部76の延び方向と直交している。
【0077】
めっき浴3は、
図1のように、めっき槽内にめっき液が導入されたものである。
めっき液は、めっき層105,106を構成する金属のイオンを含む金属塩を溶解した電解液である。
【0078】
めっき電極5,6は、電解めっきに用いられる金属単体又は金属合金で形成される陽極である。
【0079】
電源装置7は、めっき用治具2に固定された被めっき基板100とめっき電極5との間及び被めっき基板100とめっき電極6との間のそれぞれに電圧を選択的に印加する装置である。
【0080】
続いて、本実施形態のめっき装置1を使用した太陽電池パネル150の製造方法の一例について説明する。
【0081】
本実施形態の太陽電池パネル150の製造方法は、主要な工程として、電極層形成工程と、下地層形成工程と、絶縁層形成工程と、めっき工程と、必要に応じて絶縁層除去工程をこの順に含むものである。
【0082】
具体的には、まず、スパッタ装置等によって光電変換部110の一方の主面上に第1電極層111を形成し、他方の主面上に第2電極層115を形成する(電極層形成工程)。
【0083】
続いて、被めっき基板100の電極層111,115上に所定の形状にパターニングされた下地層112,116を積層させ、下地層形成領域122,132を形成する(下地層形成工程)。
【0084】
このとき、下地層112,116は、スクリーン印刷やフォトレジスト等によってパターニングすることができる。
【0085】
続いて、下地層形成領域122,132が形成された基板に対して、平面視したときに下地層形成領域122,132と重なる部分に開口部118,128を有する絶縁層113,117を積層させ、被めっき基板100を形成する(絶縁層形成工程)。
【0086】
このとき、絶縁層113,117は、
図5(c)のように、下地層形成領域122,132に対応するようにマスクを用いて形成しても良いし、下地層112,116を覆うように形成した後に絶縁層113,117を部分的に除去して開口部118,128を形成してもよい。
【0087】
続いて、被めっき基板100をめっき用治具2に取り付け、めっき電極5,6とともにめっき浴3のめっき液に浸漬して、下地層形成領域122,132をめっき液に晒し、電源装置7から給電して、下地層形成領域122,132の下地層112,116上にめっき層105,106を形成する(めっき工程)。
【0088】
このとき、下地層112はめっき電極5と対向しており、下地層116はめっき電極6と対向している。
このとき、めっき層105,106を別々に製膜してもよいし、同時に製膜してもよい。
【0089】
そして、必要に応じて、絶縁層113,117を下地層112,116から剥がし(絶縁層除去工程)、基板をレーザーや折割等によって分割して、太陽電池パネル150が完成する。
【0090】
本実施形態のめっき装置1によれば、線状給電部36,76が被めっき基板100の下地層112,116に線接触することでめっき電極5,6と下地層112,116との間に電圧を印加してめっき層105,106を形成できる。そのため、点接触で給電する場合に比べて、被めっき基板100に集中的に荷重が加わることを防止でき、被めっき基板100が薄い場合であっても、被めっき基板100が割れることを防止できる。
【0091】
本実施形態のめっき装置1によれば、線状給電部36,76がクッション性があって被めっき基板100の両主面101,102の形状に追従するため、弾性給電部31,71が被めっき基板100の下地層112,116と絶縁層113,117との間に跨っていても、下地層112,116への給電が可能である。そのため、接点位置の位置決めが容易である。
【0092】
本実施形態のめっき装置1によれば、弾性給電部31,71が導電性を有する難めっき材料で形成されているため、線状給電部36,76の表面にめっき層105,106が形成されても容易に線状給電部36,76の表面からめっき層105,106を剥がすことができる。
【0093】
本実施形態のめっき装置1によれば、被めっき基板100を固定したときに、線状給電部36,76の被めっき基板100との接触位置がずれているため、被めっき基板100に対して集中荷重がかかりにくい。
【0094】
本実施形態の太陽電池パネル150の製造方法によれば、めっき装置1を使用するので、被めっき基板100が破損しにくく、従来に比べて歩留まりを向上できる。
【0095】
上記した実施形態では、電極層111,115上にめっき層105,106の下地となる下地層112,116を形成していたが、本発明はこれに限定されるものではない。
図9(b)のように、電極層111,115上に下地層112,116を形成せずに、電極層111,115上に直接めっき層105,106を形成してもよい。
この場合、めっき工程において、
図9(a)のように、開口部118,128から電極層111,115が露出してめっき液に晒されることとなる。
【0096】
上記した実施形態では、各線状給電部36,76は、それぞれ弾性給電部31,71の一部であったが、本発明はこれに限定されるものではない。各線状給電部36(線状給電部76)は
図10のように、それぞれ個別に独立した部材によって構成されていてもよい。この場合、各線状給電部36(線状給電部76)は付勢部材によって付勢されているか、各線状給電部36(線状給電部76)が個別に弾性変形可能であって、被めっき面への押圧方向の基端側に空間が形成されて移動可能となっていることが好ましい。
【0097】
上記した実施形態では、線状体の断面の外郭形状は、円形であったが、本発明はこれに限定されるものではない。線状体の断面の外郭形状は、線接触できるものであればよい。例えば、楕円形であってもよいし、オーバル状であってもよい。線状体の断面の外郭形状は、部分的に円弧面を有していることが好ましい。
【0098】
上記した実施形態では、第1線状給電部36の延び方向と第2線状給電部76の延び方向は異なる方向を向いていたが、本発明はこれに限定されるものではない。第1線状給電部36の延び方向と第2線状給電部76の延び方向は同一方向を向いていてもよい。
【0099】
上記した実施形態では、被めっき体たる被めっき基板100が太陽電池基板である場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。めっき装置1は他の被めっき体に対してもめっき層105,106を形成できる。例えば、プリント基板や電子部品などに対してめっき層105,106を形成してもよい。
【0100】
上記した実施形態は、本発明の技術的範囲に含まれる限り、各実施形態間で各構成部材を自由に置換や付加できる。
【符号の説明】
【0101】
1 めっき装置
2 めっき用治具
10 第1基板ホルダー(第1ホルダー)
11 第2基板ホルダー(第2ホルダー)
20 第1給電部材
31 第1弾性給電部
36 第1線状給電部(線状給電部)
36a 第1下地側線状給電部
36b 第1絶縁側線状給電部
60 第2給電部材
71 第2弾性給電部
76 第2線状給電部(線状給電部)
76a 第2下地側線状給電部
76b 第2絶縁側線状給電部
100 被めっき基板(被めっき体)
101 第1主面(被めっき面)
102 第2主面(被めっき面)
105 第1めっき層
106 第2めっき層
110 光電変換部
111 第1電極層
112 第1下地層(導電部)
113 第1絶縁層(絶縁部)
115 第2電極層
116 第2下地層(導電部)
117 第2絶縁層(絶縁部)
118 開口部
128 開口部
150 太陽電池パネル