(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154452
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】スパンボンド不織布
(51)【国際特許分類】
D04H 3/16 20060101AFI20221005BHJP
D04H 3/007 20120101ALI20221005BHJP
D01F 8/06 20060101ALI20221005BHJP
D06M 13/256 20060101ALI20221005BHJP
D06M 13/262 20060101ALI20221005BHJP
A61F 13/51 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
D04H3/16
D04H3/007
D01F8/06
D06M13/256
D06M13/262
A61F13/51
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057502
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関岡 裕佑
(72)【発明者】
【氏名】國本 尚佑
(72)【発明者】
【氏名】飯濱 翔
(72)【発明者】
【氏名】本村 茂之
(72)【発明者】
【氏名】中澤 富美子
(72)【発明者】
【氏名】井上 文仁
【テーマコード(参考)】
3B200
4L033
4L041
4L047
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BA02
3B200BA08
3B200BB03
3B200BB13
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3B200CA11
3B200DA21
4L033AA05
4L033AB01
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4L041AA07
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4L047AA14
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4L047AB07
4L047BA09
4L047CA14
4L047CA19
4L047CB01
4L047CC03
4L047CC04
4L047CC05
(57)【要約】
【課題】強度及び柔軟性を両立し得るスパンボンド不織布の提供。
【解決手段】プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体を含む領域Aと、エチレン系重合体を含む領域Bとを含む複合繊維を含むスパンボンド不織布であり、前記複合繊維は、サイドバイサイド型または偏芯芯鞘型であり、前記領域Aと前記領域Bの比率が、質量基準で、70:30~10:90であり、前記領域Bは、密度が0.900kg/m
3~0.945kg/m
3である、スパンボンド不織布。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体を含む領域Aと、エチレン系重合体を含む領域Bとを含む複合繊維を含むスパンボンド不織布であり、
前記複合繊維は、サイドバイサイド型または偏芯芯鞘型であり、
前記領域Aと前記領域Bの比率が、質量基準で、70:30~10:90(領域A:領域B)であり、
前記領域Bは、密度が0.900kg/m3~0.945kg/m3である、スパンボンド不織布。
【請求項2】
前記複合繊維は、前記領域Aが露出している、請求項1に記載のスパンボンド不織布。
【請求項3】
前記プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体は、融点が155℃以下である、請求項1または請求項2に記載のスパンボンド不織布。
【請求項4】
前記領域Aは、さらにプロピレン単独重合体を含む、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のスパンボンド不織布。
【請求項5】
前記エチレン系重合体は、エチレン・α-オレフィン共重合体を含む、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のスパンボンド不織布。
【請求項6】
前記エチレン系重合体は、エチレン・1-ブテン共重合体およびエチレン・4-メチル-1-ペンテン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のスパンボンド不織布。
【請求項7】
前記エチレン系重合体は、MFR(ASTM D-1238、190℃・2.16kg荷重)が、10g/10分~100g/10分である、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のスパンボンド不織布。
【請求項8】
前記複合繊維は、平均繊維径が10μm~40μmである、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のスパンボンド不織布。
【請求項9】
目付が8g/m2~30g/m2である、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のスパンボンド不織布。
【請求項10】
前記複合繊維が親水剤を含む、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載のスパンボンド不織布。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパンボンド不織布に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、不織布はオムツやナプキンなどの衛生材料をはじめとする各種の使い捨て物品に用いられている。
【0003】
不織布としては、単一成分から形成された繊維からなる不織布の他に、1つの繊維の中に異なる樹脂から形成された複数の領域を有する繊維、いわゆる複合繊維からなる不織布が知られている。
【0004】
衛生材料に用いる不織布として、例えば特許文献1には、第1成分としての1のポリプロピレン系樹脂と、第2成分としての1のポリエチレン系樹脂又は2のポリエチレン系樹脂混合物とからなる嵩高性複合長繊維不織布が記載されている。この複合長繊維不織布は、衛生材料に好適に用いることができ、クッション性の柔らかさと曲げ柔らかさと、バリア性とを有するとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明者らが検討したところ、特許文献1に記載された複合長繊維不織布は、強度及び柔軟性の両立が十分ではない場合があることが分かった。
【0007】
本開示の目的は、強度及び柔軟性を両立し得るスパンボンド不織布を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、以下の態様に関係する。
<1> プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体を含む領域Aと、エチレン系重合体を含む領域Bとを含む複合繊維を含むスパンボンド不織布であり、
前記複合繊維は、サイドバイサイド型または偏芯芯鞘型であり、
前記領域Aと前記領域Bの比率が、質量基準で、70:30~10:90であり、
前記領域Bは、密度が0.900kg/m3~0.945kg/m3である、スパンボンド不織布。
<2> 前記複合繊維は、前記領域Aが露出している、<1>に記載のスパンボンド不織布。
<3> 前記プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体は、融点が155℃以下である、<1>または<2>に記載のスパンボンド不織布。
<4> 前記領域Aは、さらにプロピレン単独重合体を含む、<1>~<3>のいずれか1つに記載のスパンボンド不織布。
<5> 前記エチレン系重合体は、エチレン・α-オレフィン共重合体を含む、<1>~<4>のいずれか1つに記載のスパンボンド不織布。
<6> 前記エチレン系重合体は、エチレン・1-ブテン共重合体およびエチレン・4-メチル-1-ペンテン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種を含む、<1>~<5>のいずれか1つに記載のスパンボンド不織布。
<7> 前記エチレン系重合体は、MFR(ASTM D-1238、190℃・2.16kg荷重)が、10g/10分~100g/10分である、<1>~<6>のいずれか1つに記載のスパンボンド不織布。
<8> 前記複合繊維は、平均繊維径が10μm~40μmである、<1>~<7>のいずれか1つに記載のスパンボンド不織布。
<9> 目付が8g/m2~30g/m2である、<1>~<8>のいずれか1つに記載のスパンボンド不織布。
<10> 前記複合繊維が親水剤を含む、<1>~<9>のいずれか1つに記載のスパンボンド不織布。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、強度及び柔軟性を両立し得るスパンボンド不織布を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示のスパンボンド不織布が含むサイドバイサイド型複合繊維の断面の一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本開示のスパンボンド不織布が含む偏芯芯鞘型複合繊維の断面の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示の実施形態について説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、実施形態の範囲を制限するものではない。
【0012】
本開示において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本開示において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、1つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。本開示において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
本開示において、MD(Machine Direction)方向とは、不織布製造装置における不織ウェブの進行方向を指す。CD(Cross Direction)方向とは、MD方向に垂直で、主面(不織布の厚さ方向に直交する面)に平行な方向を指す。
【0013】
<<不織布>>
本開示の不織布の好ましい実施形態の一例について説明する。
本開示におけるスパンボンド不織布は、プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体を含む領域Aと、エチレン系重合体を含む領域Bとを含む複合繊維を含むスパンボンド不織布であり、複合繊維は、サイドバイサイド型または偏芯芯鞘型であり、領域Aと領域Bの比率が質量基準で70:30~10:90であり、領域Bは密度が0.900~0.945kg/m3である。
【0014】
本開示の不織布は、目付が8g/m2~30g/m2であることが好ましく、10g/m2~25g/m2であることがより好ましい。目付が上記範囲内であると、強度及び柔軟性のバランスに優れる傾向がある。また、本開示の不織布は、厚みが0.05mm~2.00mmであることが好ましく、0.10mm~1.00mmであることがより好ましい。
【0015】
本開示の不織布は、単層の不織布であってもよく、複数の層が積層された多層の不織布(不織布多層構造体)であってもよい。不織布多層構造体としては、本開示の不織布が多数積層された不織布多層構造体であってもよく、本開示の不織布と他の不織布が積層された不織布多層構造体であってもよい。他の不織布としては、例えば、他のスパンボンド不織布、メルトブローン不織布が挙げられる。
【0016】
<複合繊維>
本開示における複合繊維は、後述する領域Aと後述する領域Bとを含み、サイドバイサイド型または偏芯芯鞘型の複合繊維である。サイドバイサイド型の複合繊維の断面を
図1に示す。
図1において、領域Aと領域Bはそれぞれ左側方と右側方を形成しており、領域Aと領域Bの境界は略直線状である。サイドバイサイド型の複合繊維の断面は、これに限定されず、例えば領域Aと領域Bの境界が左方又は右方に形成されていてもよい。
【0017】
サイドバイサイド型の複合繊維の断面を
図1に示す。
図1において、領域Aと領域Bはそれぞれ左側方と右側方を形成しており、領域Aと領域Bの境界は略直線状である。サイドバイサイド型の複合繊維の断面は、これに限定されず、例えば領域Aと領域Bの境界が左方又は右方に形成されていてもよい。また、領域Aと領域Bは左右が逆転してもよい。
【0018】
偏芯芯鞘型の複合繊維の断面を
図2(a)及び
図2(b)に示す。
図2(a)の偏芯芯鞘型複合繊維は、より内側に形成された芯部3と、芯部3を取り囲むように形成された鞘部4を含む。
図2(b)の偏芯芯鞘型複合繊維は、
図2(a)の偏芯芯鞘型複合繊維に比べて、芯部3がより左方により、芯部3の一部が露出している態様である。芯部は後述する領域Aであってもよく後述する領域Bであってもよい。鞘部は、後述する領域Aであってもよく後述する領域Bであってもよい。偏芯芯鞘型複合繊維は、芯部が領域Aであり鞘部が領域Bであることが好ましく、芯部が領域Aであり露出しており鞘部が領域Bであることがより好ましい。
【0019】
複合繊維は、領域Aが露出していることが好ましい。より具体的には、複合繊維は、サイドバイサイド型であるか、領域Aが露出した偏芯芯鞘型複合繊維であることが好ましい。上述の態様により、エンボスが適切にかかりやすいために強度に優れる傾向がある。
【0020】
複合繊維における領域Aと領域Bの比率は、質量基準で70:30~10:90(領域A:領域B)である。この比率は、60:40~20:80であることがより好ましい。複合繊維における領域Aと領域Bの比率が上記範囲内であると、強度及び柔軟性のバランスに優れる傾向がある。
【0021】
複合繊維の平均繊維径は、10μm~40μmが好ましく、10μm~25μmがより好ましく、12μm~20μmがさらに好ましい。複合繊維の平均繊維径が上記範囲内であると、強度と柔軟性のバランスに優れる傾向がある。
【0022】
(領域A)
領域Aは、プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体を含む。
【0023】
プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体におけるプロピレンに由来する構成単位の含有率は50質量%以上100質量%未満であり、70質量%~99質量%が好ましく、80質量%~98質量%がより好ましい。プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体におけるα-オレフィンに由来する構成単位の含有率は0質量%を超えて50質量%以下であり、1質量%~30質量%以下が好ましく、2質量%~20質量%以下がより好ましい。プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体におけるプロピレンに由来する構成単位および/またはα-オレフィンに由来する構成単位の含有率が上記範囲内であると、強度及び柔軟性のバランスに優れる傾向がある。
【0024】
プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体におけるα-オレフィンは特に制限されず、プロピレン以外のα-オレフィンであればよい。α-オレフィンとしては、例えば、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン等が挙げられる。これらの中でも、α-オレフィンとしては、柔軟性をより向上させる観点から、エチレンが好ましい。
【0025】
プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体は、MFR(ASTM D-1238、230℃・2.16kg荷重)が、10g/10分~100g/10分であることが好ましく、15g/10分~80g/10分であることがより好ましい。プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体のMFRが上記範囲内であると強度及び柔軟性のバランスに優れる傾向がある。
【0026】
プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体は、融点が155℃以下であることが好ましい。領域Aが樹脂成分としてプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体のみを含む場合には、プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体の融点は、125℃~155℃であることが好ましい。融点が上記範囲内であると、強度及び柔軟性のバランスに優れる傾向がある。
【0027】
領域Aにおけるプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体の含有率は、10質量%~100質量%が好ましく、50質量%~100質量%がより好ましく、90質量%~100質量%がさらに好ましく、99質量%~100質量%が特に好ましい。領域Aにおけるプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体の含有率が上記範囲内であると、強度及び柔軟性のバランスに優れる傾向がある。
【0028】
領域Aは、強度をより向上させる観点からは、さらにプロピレン単独重合体や複数種類のプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体を含むことが好ましい。領域Aがプロピレン単独重合体を含むと、強度に優れる傾向がある。
【0029】
領域Aにおけるプロピレン単独重合体の含有率は、1質量%~90質量%が好ましく、50質量%~80質量%がより好ましい。領域Aにおけるプロピレン単独重合体の含有率が上記範囲内であると、強度に優れる傾向がある。なお、領域Aが上記範囲内のプロピレン単独重合体が含む場合におけるプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体の含有率は、プロピレン単独重合体の合計が100質量%となる量にすればよい。
【0030】
領域Aが含む全樹脂成分におけるプロピレンに由来する構成単位の含有率は、90質量%~99.5質量%が好ましく、93質量%~99質量%がより好ましく、95質量%~98質量%がさらに好ましい。プロピレンに由来する構成単位の含有率が上記範囲内であると、強度及び柔軟性のバランスに優れる傾向がある。
【0031】
(領域B)
領域Bは、エチレン系重合体を含む。領域Bは、密度が0.900kg/m3~0.945kg/m3である。領域Bの密度は、好ましくは910kg/m3~940kg/m3である。密度が上記範囲内であると、強度及び柔軟性のバランスに優れる傾向がある。
【0032】
エチレン系重合体におけるエチレンに由来する構成単位の含有率は50質量%以上であり、70質量%~99.8質量%が好ましく、90質量%~99質量%がより好ましい。エチレン系重合体におけるその他の構成単位の含有率は、0質量%~50質量%以下であり、0.2質量%~30質量%以下が好ましく、1質量%~10質量%以下がより好ましい。エチレン系重合体におけるエチレンに由来する構成単位および/またはその他の構成単位の含有率が上記範囲内であると、強度及び柔軟性のバランスに優れる傾向がある。
【0033】
その他の構成単位を構成する単量体としては、α-オレフィンが挙げられる。α-オレフィンは、エチレン以外であれば特に制限されず、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン等が挙げられる。これらの中でも、α-オレフィンとしては、強度及び柔軟性のバランスをより向上させる観点から、1-ブテン及び4-メチル-1-ペンテンが好ましい。
【0034】
エチレン系重合体は、エチレン・α-オレフィン共重合体を含むことが好ましい。また、エチレン・α-オレフィン共重合体は、エチレン・1-ブテン共重合体およびエチレン・4-メチル-1-ペンテン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。エチレン系重合体が上述の態様であると、強度及び柔軟性のバランスに優れる傾向がある。
【0035】
エチレン系重合体は、MFR(ASTM D-1238、190℃・2.16kg荷重)が、10g/10分~100g/10分であることが好ましく、15g/10分~60g/10分であることがより好ましい。エチレン系重合体のMFRが上記範囲内であると強度及び柔軟性のバランスに優れる傾向がある。
【0036】
領域Bの密度は、0.900kg/m3~0.945kg/m3であり、910kg/m3~940kg/m3が好ましく、915kg/m3~940kg/m3がより好ましい。領域Bの密度が上述の範囲であると、強度及び柔軟性のバランスに優れる傾向がある。領域Bの密度は、領域Bを構成する樹脂の密度を変更することにより調整することができる。
【0037】
領域Bにおけるエチレン系重合体の含有率は、10質量%~100質量%が好ましく、50質量%~100質量%がより好ましく、90質量%~100質量%がさらに好ましく、99質量%~100質量%が特に好ましい。領域Bにおけるエチレン系重合体の含有率が上記範囲内であると、強度及び柔軟性のバランスに優れる傾向がある。
【0038】
(親水剤)
本開示における複合繊維は、親水剤を含むことが好ましい。本開示における複合繊維が親水剤を含むと、親水性が向上する傾向がある。親水剤は、複合繊維の内部に含まれていてもよく、複合繊維の表面に付着していてもよい。親水剤は、さらに分類すると浸透剤と湿潤剤とに分類できる。本開示の不織布は浸透剤及び湿潤剤の両方を含んでいてもよく、浸透剤は含まず、湿潤剤を含んでいてもよい。親水性に優れる観点から、親水剤は、浸透剤及び湿潤剤の両方を含むことが好ましい。
【0039】
親水剤は、浸透剤として、スルホン酸塩及び硫酸エステル塩の少なくとも一方を含むことが好ましい。スルホン酸塩としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩などが挙げられる。これらスルホン酸塩は、アルカリ金属塩が好ましい。硫酸エステル塩としては、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩などが挙げられる。これら硫酸エステル塩は、アルカリ金属塩が好ましい。これらの中でも、親水剤は、浸透剤として、スルホン酸塩を含むことが好ましく、スルホン酸のアルカリ金属塩を含むことがより好ましい。
【0040】
浸透剤としてのスルホン酸塩は、親水剤を塗布する工程での安定性及び製品の親水性の観点から、アルキルスルホコハク酸塩であることが好ましい。アルキルスルホコハク酸塩は、ジアルキルスルホコハク酸のアルカリ金属塩であることが好ましく、炭素数が8~16であるアルキル基を2つ持つジアルキルスルホコハク酸のアルカリ金属塩がより好ましい。ジアルキルスルホコハク酸のアルカリ金属塩としては、そのリチウム塩、そのナトリウム塩、そのカリウム塩等が挙げられ、そのナトリウム塩が好ましい。炭素数が8~16であるアルキル基を2つ持つジアルキルスルホコハク酸のアルカリ金属塩としては、具体的には、例えば、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩、ジ(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム塩、ジデシルスルホコハク酸ナトリウム塩、ジドデシルスルホコハク酸ナトリウム塩、ジテトラデシルスルホコハク酸リチウム(Li)塩、ジヘキサデシルスルホコハク酸カリウム(K)塩等が挙げられる。これらの中でも、他の部材に接触したときの親水剤の移行が抑制される観点から、ジ(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム塩が好ましい。
【0041】
親水剤が湿潤剤を含む場合、湿潤剤は特に限定されない。例えば、親水剤は湿潤剤として、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、及び非イオン界面活性剤のいずれを含んでいてもよい。
【0042】
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキル(又はアルケニル)トリメチルアンモニウムハライド、ジアルキル(又はアルケニル)ジメチルアンモニウムハライドに代表される4級アンモニウム塩、及びアルキルアミン塩、並びにこれらのアルキレンオキシド付加物が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、例えば、ラウリルリン酸ナトリウムに代表されるリン酸エステル塩や、ラウリン酸ナトリウムに代表される脂肪酸塩が挙げられる。両性界面活性剤としては、例えば、これらカチオン界面活性剤とアニオン界面活性剤との塩が挙げられる。
【0043】
湿潤剤は、優れた親水性を不織布に付与する観点から、非イオン界面活性剤が好ましい。湿潤剤である非イオン界面活性剤としては、例えば、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、アルキルポリオキシエチレンアルコール、多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物、アルコキシ化アルキルフェノール、脂肪酸アミド、アルキルジエタノールアミド、ポリオキシアルキレン等の非イオン界面活性剤が挙げられる。これらの中でも、優れた親水性を付与する観点から、親水剤は、湿潤剤として、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、及び多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、及び多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物は、それぞれ、モノエステル、ジエステル、及びトリエステルのいずれでもよい。多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、及び多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物は、それぞれ、モノエステル、ジエステル、及びトリエステルのうち、1種を単独で含んでもいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
【0044】
多価アルコール脂肪酸エステルとしては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。グリセリン脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルのいずれも、グリセリン又はソルビタンと、炭素数10~20の脂肪酸とのエステルが好ましい。具体的には、グリセリンラウリン酸モノエステル、グリセリンオレイン酸ジエステル、グリセリンオレイン酸トリエステル、ソルビタンラウリン酸モノエステル、ソルビタンラウリン酸ジエステル、ソルビタンラウリン酸トリエステルなどが挙げられる。
【0045】
ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルとしては、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらの中でも、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルが好ましい。ポリオキシエチレン脂肪酸エステルは、脂肪酸の炭素数が10~20であり、エチレンオキシド鎖(EO鎖ともいう)の付加モル数が5~20であることが好ましい。具体的には、ポリオキシエチレンステアリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンラウリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンラウリン酸ジエステル、ポリオキシエチレンオレイン酸モノエステル、ポリオキシエチレンオレイン酸ジエステル等が挙げられる。
【0046】
多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物としては、多価アルコール脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルのプロピレンオキシド付加物等が挙げられる。これらの中でも、多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物は、グリセリンと、炭素数10~20の脂肪酸とのエステルであって、エチレンオキシドの付加モル数が5~20であることが好ましい。具体的には、ポリオキシエチレングリセリンラウリン酸モノエステル、ポリオキシエチレングリセリンラウリン酸ジエステル、ポリオキシエチレングリセリンラウリン酸トリエステル等が挙げられる。
【0047】
湿潤剤は、優れた親水性を不織布に付与する観点から、多価アルコール脂肪酸エステルと、多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物と、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルとの組み合わせで含むことが好ましい。また、湿潤剤は、多価アルコール脂肪酸エステルと、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルとの組み合わせで含むことも好ましい。
【0048】
多価アルコール脂肪酸エステルと、多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物と、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルとの組み合わせとしては、グリセリン脂肪酸エステルと、多価アルコール脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物と、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルとの組み合わせであることがより好ましい。グリセリンオレイン酸ジエステルと、ポリオキシエチレングリセリンラウリン酸ジエステル及びトリエステルと、ポリオキシエチレンラウリン酸ジエステルとの組み合わせであることがさらに好ましい。
【0049】
多価アルコール脂肪酸エステルと、多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物との組み合わせとしては、グリセリン脂肪酸エステルと、多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物との組み合わせであることが好ましく、グリセリンオレイン酸ジエステル及びグリセリンオレイン酸トリエステルと、ポリオキシエチレンオレイン酸モノエステル及びポリオキシエチレンオレイン酸ジエステルとの組み合わせであることがより好ましい。
また、多価アルコール脂肪酸エステルと、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルとの組み合わせとしては、ソルビタンラウリン酸モノエステル、ジエステル及びトリエステルと、ポリオキシエチレンラウリン酸モノエステル及びジエステルとの組み合わせであることが好ましく、これらのソルビタンラウリン酸エステル、及びポリオキシエチレンラウリン酸エステルに加えて、ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸モノエステル、ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸ジエステル及びポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸トリエステルを組み合わせることも好ましい。
【0050】
湿潤剤に対する浸透剤の質量比(浸透剤/湿潤剤)は、0/100~60/40であることが好ましく、5/95~50/50であることがより好ましく、10/90~40/60であることがさらに好ましい。湿潤剤/浸透剤の質量比がこの範囲であると、親水性に優れる。
【0051】
親水剤の含有量は、0.01質量%~2.0質量%であることが好ましく、0.05質量%~1.0質量%であることがより好ましく、0.1質量%~0.5質量%であることがさらに好ましい。
親水剤を付与する方法は、特に制限されない。親水剤を付与する方法としては、例えば、複合繊維の原料の樹脂に練り込む方法、繊維形状に加工した後に表面に付与する方法が挙げられる。
親水剤を繊維の表面に付与する方法としては、特に制限はなく、親水剤を含む溶液に繊維を浸漬する方法、親水剤を含む溶液を繊維に塗布する方法等の公知公用の方法により繊維の表面に付与させることができる。
原料の樹脂に練り込む方法としては、例えば、上述の領域Aおよび上述の領域Bの少なくとも一方の原料の樹脂に、上述の親水剤を添加して、その後に紡糸して繊維を形成する方法が挙げられる。
【0052】
(その他の成分)
本開示における複合繊維は、本開示の目的を損なわない範囲で、任意成分として、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス等の種々公知の添加剤を含んでもよい。
【0053】
なお、本開示の不織布には、必要に応じて、他の成分が含まれていてもよい。他の成分としては、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、耐光安定剤、ブロッキング防止剤、分散剤、核剤、柔軟剤、撥水剤、充填剤、天然油、合成油、ワックス、抗菌剤、防腐剤、艶消し剤、防錆剤、芳香剤、消泡剤、防黴剤、防虫剤等の種々公知の添加剤が挙げられる。これら他の成分は、不織布を構成する繊維の内部に含まれていてもよく、繊維の表面に付着していてもよい。
【0054】
<不織布の製造方法>
本開示の不織布の製造方法は、スパンボンド法であれば特に制限されない。スパンボンド法は、例えば、プロピレン系重合体を溶融紡糸して連続繊維を形成する工程(紡糸工程)と、移動捕集部材上に、前記連続繊維を堆積させて不織ウェブを形成する工程(不織ウェブ形成工程)と、前記不織ウェブを部分的に圧着する工程(圧着工程)と、を含む。
【0055】
紡糸工程では、移動捕集部材上に第1の連続繊維を堆積させる不織ウェブ形成工程までの間に、冷却して延伸する公知の過程が含まれる。圧着工程は、スパンボンド不織布の柔軟性と強度の両立の観点から、エンボスロールによる熱圧着により行われることが好ましい。熱圧着では、凸部の面積率が7%~20%であるエンボスロールを適用することが好ましい。エンボスロールの表面温度は、例えば、90℃~160℃の範囲で行うことができる。
【0056】
<用途>
本開示の不織布は、強度及び柔軟性が両立されているため、従来から公知の不織布の用途に好適に用いることができる。本開示の不織布は、例えば、吸収性物品(使い捨ておむつ、使い捨てパンツ、生理用品、尿取りパッド、ペット用シート等)、化粧用材料(フェイスマスク等);衛生材料(湿布材、シーツ、タオル、産業用マスク、衛生用マスク、ヘアキャップ等);包装用材料(脱酸素剤、カイロ、温シップ、食品包装材)などに好適に用いることができる。
【実施例0057】
以下、実施例により、本開示の不織布について説明するが、本開示の不織布は、以下の実施例により何ら限定されない。なお、以下の実施例において、「%」は質量%を表す。
【0058】
実施例及び比較例における物性値等は、以下の方法により測定した。
【0059】
(1)目付〔g/m2〕
得られた不織布から、100mm(流れ方向:MD)×100mm(流れ方向と直交する方向:CD)の試験片を10点採取した。試験片の採取場所は、CD方向にわたって10箇所とした。次いで、23℃、相対湿度50%RH環境下で、採取した各試験片に対して上皿電子天秤(研精工業社製)を用いて、それぞれ質量〔g〕を測定した。各試験片の質量の平均値を求めた。求めた平均値から1m2当たりの質量〔g〕に換算し、小数点第2位を四捨五入して各不織布サンプルの目付〔g/m2〕とした。
【0060】
(2)平均繊維径〔μm〕
得られた不織布から試験片を採取し、Nikon社製ECLIPSE E400顕微鏡を用い、倍率20倍で、撮像した。得られた画像に写る繊維のうち、繊維の直径(幅)を測定可能な全ての繊維の直径を測定した。測定個数が100箇所を超えるまで繰り返し撮像および測定を行った。繊維の直径はμm単位で小数点第1位まで読み取った。得られた直径の平均値求め、これを平均繊維径(μm)とした。
【0061】
[柔軟性の評価]
(3)B値(曲げ剛性)〔gf・cm2/cm〕
得られた不織布から、200mm(MD)×200mm(CD)の試験片を無作為に2点採取した。次いで、試験片をカトーテック社製KES-FB2曲げ特性試験機を用いて、1cm間隔のチャックに試料を把持して、曲率-2.5~+2.5cm-1の範囲で、0.50cm-1sec-1の変形速度で純曲げ試験を行った。測定した値をMD方向、CD方向ごとに平均し、小数点以下第5位を四捨五入してKES-曲げ剛性B値(KES-B値)を求めた。
【0062】
[強度の評価]
(4)引張強度、及び5%延伸時の強度〔N/25mm〕
得られた不織布について、JIS L 1906に準拠して測定した。不織布から、幅25mm×長さ200mmの試験片を採取し、引張試験機を用いてチャック間距離100mm、ヘッドスピード100mm/minでMD:5点、CD:5点を測定し、それぞれの平均値を算出し、MD方向の引張強度(N/25mm)とCD方向の引張強度(N/25mm)を求めた。また、下記式より強度INDEXを算出した。
〔式〕 強度INDEX=(((MD方向の引張強度)2+(CD方向の引張強度)2))/2)0.5
【0063】
[厚みの評価]
得られた不織布から、100mm(MD)×100mm(CD)の試験片を10点採取した。試験片の採取場所は、目付け測定用の試験片と同様の場所とした。次いで、採取した各試験片に対して荷重型厚み計(尾崎製作所社製)を用いて、JIS L 1096:2010に記載の方法に準拠して、0.3kPaの荷重で厚み〔mm〕を測定した。各試験片の厚みの平均値を求めた。小数点第3位を四捨五入して各不織布サンプルの厚み〔mm〕とした。
【0064】
実施例および比較例に用いる原料として、以下を準備した。
【0065】
-rPP1-
MFR60g/10分(ASTM D-1238、230℃・2.16kg荷重)、融点142℃、エチレン含量4質量%のプロピレン・エチレンランダム共重合体
-rPP2-
MFR24g/10分(ASTM D-1238、230℃・2.16kg荷重)、融点105℃、エチレン含量15質量%のプロピレン・エチレンランダム共重合体
-hPP1-
MFR60g/10分(230℃・2.16kg荷重)、融点162℃、プロピレン単独重合体
-PE1-
MFR25g/10分(ASTM D-1238、190℃・2.16kg荷重)、密度915kg/m3のエチレン・1-ブテンランダム共重合体
-PE2-
MFR50g/10分(190℃・2.16kg荷重)、密度928kg/m3のエチレン・4-メチル-1-ペンテンランダム共重合体
-PE3-
MFR50g/10分(190℃・2.16kg荷重)、密度948kg/m3のエチレン・1-ヘキセンランダム共重合体
-PE4-
MFR18g/10分(190℃・2.16kg荷重)、密度955kg/m3のエチレン・プロピレンランダム共重合体(PE1)
【0066】
<実施例1>
図2(b)に示す芯部が露出した偏芯芯鞘型複合繊維を形成するためのノズルを用いて、スパンボンド法により複合溶融紡糸を行い、スパンボンド不織布を得た。具体的には、rPP1を芯部として、芯部のノズルに導いた。また、PE1を鞘部として、鞘部のノズルに導いた。溶融温度及び押出温度は芯部、鞘部ともに210℃であった。芯部と鞘部の質量比は、40:60とした。ノズルから紡出された複合繊維を移動するコンベアネット上に堆積させて不織布ウェブを得た。
次いで、不織布ウェブをエンボスロールと鏡面ロールにて125℃で熱圧着(エンボス加工)し、スパンボンド不織布を得た。スパンボンド不織布の目付は20g/m
2であり、厚みは0.15mmであり、圧着部の面積率は、18%であり、平均繊維径は17.6μmであった。得られた不織布の強度、曲げ剛性B値を表1に示す。
【0067】
<実施例2~実施例6、比較例1~比較例9>
実施例1において、芯部と鞘部の原料および芯部と鞘部の比率を表1に記載のとおりに変更した以外は実施例1と同様にして、不織布ウェブを得た。
次いで、熱圧着の温度を表1に記載のとおりに変更した以外は実施例1と同様にしてスパンボンド不織布を得た。
得られたスパンボンド不織布の平均繊維径、目付、強度、曲げ剛性B値を表1に示す。なお、実施例2~実施例6、比較例1~比較例6、比較例8および比較例9のスパンボンド不織布の厚みは0.15mmであった。また、比較例7のスパンボンド不織布の厚みは、0.18mmであった。
【0068】
なお実施例5の芯部は、hPP1を75質量%、rPP2を25質量%の比率で混合した樹脂組成物を用いた。また、実施例6の鞘部は、PE1を50質量%、PE3を50質量%の比率で混合した樹脂組成物を用いた。
【0069】
【0070】
実施例1~実施例6にて得られたスパンボンド不織布は、強度及び柔軟性のバランスに優れていることが分かる。なお、比較例7の繊維は捲縮が発現していた。