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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154477
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】計測器取り付け構造
(51)【国際特許分類】
   G01D 11/30 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
G01D11/30 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057538
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000145806
【氏名又は名称】株式会社小野測器
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】足立 新
(72)【発明者】
【氏名】山田 計
(72)【発明者】
【氏名】長塩 拓馬
(57)【要約】
【課題】自動車のナンバープレートの装着場所に取り付けられた計測器の揺動を抑制できる計測器取り付け構造を提供する。
【解決手段】ナンバープレートの装着場所3には、ナンバープレートを固定するためのボルトを挿通可能な2つの第1挿通孔5が設けられている。計測器取り付け構造は、筐体10の支持部位Psを支持する1つ以上の支持部材20と、2つの第1挿通孔5にそれぞれ挿通され、1つ以上の支持部材20を装着場所3に固定する2つの固定器具30とを備える。装着場所3に接する筐体10の上端の部位P1は、装着場所3に接する筐体10の下端の部位P2に比べて第1挿通孔5の近くにある。上端の部位P1と下端の部位P2との間における中央の位置Mから支持部位Psまでの上下方向の距離が、この中央の位置Mから第1挿通孔5までの上下方向の距離に比べて小さい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のナンバープレートが装着される装着場所に計測器の筐体を取り付ける計測器取り付け構造であって、
前記装着場所には、前記ナンバープレートを固定するためのボルトを挿通可能な2つの第1挿通孔が設けられており、
前記筐体の支持部位を支持する1つ以上の支持部材と、
前記2つの第1挿通孔にそれぞれ挿通され、前記1つ以上の支持部材を前記装着場所に固定する2つの固定器具とを備え、
前記筐体は、前記装着場所に接する上端の接触部位が、前記装着場所に接する下端の接触部位に比べて前記第1挿通孔の近くにあり、
前記上端の接触部位と前記下端の接触部位との間における中央の位置から前記支持部位までの上下方向の距離が、前記中央の位置から前記第1挿通孔までの上下方向の距離に比べて小さい、
計測器取り付け構造。
【請求項2】
前記支持部材は、
前記固定器具によって前記装着場所に固定される第1固定部と、
前記筐体の前記支持部位に固定される第2固定部と、
前記第1固定部と前記第2固定部との間に介在する中間部とを有し、
前記中間部は、前記第1固定部が前記固定器具によって前記装着場所に固定された状態において弾性変形し、
前記第2固定部は、前記弾性変形に伴う弾性力に応じた荷重を前記支持部位に印加することにより、前記筐体を前記装着場所に向かって押し付ける、
請求項1に記載の計測器取り付け構造。
【請求項3】
前記筐体は、前記装着場所に接する外側底面を持った底板部を有し、
前記外側底面は、前記上端の接触部位と前記下端の接触部位とを含み、
前記第2固定部は、前記底板部の前記外側底面に対して反対側の内側底面に固定される、
請求項2に記載の計測器取り付け構造。
【請求項4】
前記第1固定部は、前記装着場所に接触する車体接触面を有し、
前記中間部は、前記第1固定部の前記車体接触面が前記固定器具によって前記装着場所に押し付けられた状態において、前記第2固定部を前記内側底面に向かって押し付ける弾性力を生じるように弾性変形する、
請求項3に記載の計測器取り付け構造。
【請求項5】
前記筐体は、
前記装着場所に対向する外側底面を持った底板部と、
前記底板部に設けられ、前記装着場所に接する1つ以上の脚部とを有し、
前記1つ以上の脚部の前記装着場所に接する部位は、前記上端の接触部位と前記下端の接触部位とを含み、
前記第2固定部は、前記底板部に固定される、
請求項2に記載の計測器取り付け構造。
【請求項6】
前記第1固定部は、
前記固定器具が挿通される第2挿通孔と、
前記装着場所に接触する車体接触面と、
前記固定器具の端部に接触する端部接触面とを有し、
前記第2挿通孔の一方の開口部が前記車体接触面に形成され、
前記第2挿通孔の他方の開口部が前記端部接触面に形成され、
前記固定器具は、前記端部を前記端部接触面へ押し付けることにより前記車体接触面を前記装着場所に押し付ける、
請求項2~5のいずれか一項に記載の計測器取り付け構造。
【請求項7】
自動車のナンバープレートが装着される装着場所に計測器の筐体を取り付ける計測器取り付け構造であって、
前記装着場所には、前記ナンバープレートを固定するためのボルトを挿通可能な2つの第1挿通孔が設けられており、
前記筐体を支持する1つ以上の支持部材と、
前記2つの第1挿通孔にそれぞれ挿通され、前記1つ以上の支持部材を前記装着場所に固定する2つの固定器具とを備え、
前記支持部材は、
前記固定器具によって前記筐体とともに前記装着場所に固定される固定部と、
前記装着場所における前記第1挿通孔よりも下側の場所に接触する接触部と、
前記固定部と前記接触部との間に介在する中間部とを有し、
前記中間部は、前記固定部が前記固定器具によって前記筐体とともに前記装着場所に固定された状態において弾性変形し、
前記接触部は、前記弾性変形に伴う弾性力に応じて、前記装着場所の前記下側の場所に押圧荷重を印加し、
前記計測器に含まれるセンサが前記接触部に固定されている、
計測器取り付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車体に計測器の筐体を取り付ける計測器取り付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の開発においては様々な車両性能の測定が実施されており、特にテストコースで実際に車両を走行させながら行われる測定は、車両性能の評価に欠かせないものとなっている。この実路走行の測定では様々なセンサが車体に取り付けられるが、センサを取り付けるために車体が改造されると、厳密には重心位置の変化や強度等の面で車両の特性が変わってしまったり、外観を容易に復旧できなくなってしまったりする。他方、車体の改造を極力避けるためにセンサの取り付け方が簡易的になると、取り付け強度が不足してしまい、実路走行の測定の最中にセンサ等が落下してしまう可能性がある。センサ等がテストコース上で落下した場合、ビス等を含む全ての部品を回収して、路面へのダメージを確認する作業が必要になり、その後の試験に影響を及ぼす。
【0003】
下記の特許文献には、車体の改造を回避しつつ計測装置の取り付け強度を確保するため、ナンバープレートが装着される場所に測定用の装置を取り付ける技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-139796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般にナンバープレートは、車体のバンパー等に設けられた2つの固定器具(クリップナット等)にボルトで取り付けられている。上記の特許文献では、このナンバープレート用の固定器具を利用して、測定用装置の筐体が車体に取り付けられている。
【0006】
ところで、ナンバープレート用の2つの固定器具(ボルトとクリップナット等)は、互いに水平方向に並んでいる。そのため、この2つの固定器具を利用してナンバープレートと同じ場所に筐体を取り付ける場合、筐体は車体に対して水平に並んだ2か所の位置で固定されることになる。この場合、車体に取り付けられた筐体は、車体側の剛性不足により2か所の固定位置を通る軸の周りで回転振動するピッチ成分の揺動を生じ易くなる。
【0007】
他方、ナンバープレートに対する固定器具の上下方向の位置は、ナンバープレートの中央の位置よりも上側にずれている。そのため、ナンバープレートと同じ場所に筐体を取り付ける場合、筐体に対する固定器具の上下方向の位置も、筐体の中央の位置に対して上側にずれることになる。そのため、上述したピッチ成分の揺動が生じると、車体に対する固定位置が筐体の上側にずれている分、筐体の角振幅が大きくなってしまう。特に、筐体の下側にセンサ(撮像装置等)が設けられている場合、この大きな揺動が測定精度に影響を与える可能性がある。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、自動車のナンバープレートの装着場所に取り付けられた計測器の揺動を抑制できる計測器取り付け構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様に係る計測器取り付け構造は、自動車のナンバープレートが装着される装着場所に計測器の筐体を取り付ける計測器取り付け構造であって、前記装着場所には、前記ナンバープレートを固定するためのボルトを挿通可能な2つの第1挿通孔が設けられており、前記筐体の支持部位を支持する1つ以上の支持部材と、前記2つの第1挿通孔にそれぞれ挿通され、前記1つ以上の支持部材を前記装着場所に固定する2つの固定器具とを備え、前記筐体は、前記装着場所に接する上端の接触部位が、前記装着場所に接する下端の接触部位に比べて前記第1挿通孔の近くにあり、前記上端の接触部位と前記下端の接触部位との間における中央の位置から前記支持部位までの上下方向の距離が、前記中央の位置から前記第1挿通孔までの上下方向の距離に比べて小さい。
【0010】
この構成によれば、前記装着場所に接する前記筐体の前記上端の接触部位が、前記装着場所に接する前記筐体の前記下端の接触部位に比べて前記第1挿通孔の近くにある。仮に、2つの前記第1挿通孔で前記筐体が前記装着場所に固定された場合、前記筐体は、前記第1挿通孔に比較的近い位置を中心として揺動を生じ易くなり、前記筐体の角振幅が大きくなってしまう。他方、上記の構成では、前記上端の接触部位と前記下端の接触部位との間における前記中央の位置から前記支持部位までの上下方向の距離が、前記中央の位置から前記第1挿通孔までの上下方向の距離に比べて小さい。これにより、前記第1挿通孔よりも前記中央の位置に近い前記支持部位において、1つ以上の前記支持部材により前記筐体が支持されることになる。そのため、前記筐体は、ピッチ成分の揺動を生じるならば前記中央の位置に近い前記支持部位が中心となり易く、前記筐体の角振幅は抑制される。
【0011】
好ましくは、前記支持部材は、前記固定器具によって前記装着場所に固定される第1固定部と、前記筐体の前記支持部位に固定される第2固定部と、前記第1固定部と前記第2固定部との間に介在する中間部とを有し、前記中間部は、前記第1固定部が前記固定器具によって前記装着場所に固定された状態において弾性変形し、前記第2固定部は、前記弾性変形に伴う弾性力に応じた荷重を前記支持部位に印加することにより、前記筐体を前記装着場所に向かって押し付ける。
この構成によれば、前記支持部材の前記中間部が弾性変形することに伴う弾性力に応じた荷重が前記支持部位に印加され、この荷重の印加により前記筐体が前記装着場所に向かって押し付けられる。これにより、前記筐体が前記装着場所から浮き上がり難くなるため、前記筐体の揺動が抑制され易くなる。
【0012】
好ましくは、前記筐体は、前記装着場所に接する外側底面を持った底板部を有し、前記外側底面は、前記上端の接触部位と前記下端の接触部位とを含み、前記第2固定部は、前記底板部の前記外側底面に対して反対側の内側底面に固定される。
この構成によれば、前記外側底面が前記装着場所に接した状態で前記底板部の前記内側底面に前記第2固定部からの前記荷重が印加されるため、前記外側底面と前記装着場所との間に無駄な空間が発生せず、また前記筐体の構造も簡素化することができる。
【0013】
好ましくは、前記第1固定部は、前記装着場所に接触する車体接触面を有し、前記中間部は、前記第1固定部の前記車体接触面が前記固定器具によって前記装着場所に押し付けられた状態において、前記第2固定部を前記内側底面に向かって押し付ける弾性力を生じるように弾性変形する。
この構成によれば、前記第1固定部の前記車体接触面が前記装着場所に押し付けられた状態で、前記第2固定部の弾性力に応じた前記荷重が前記底板部に印加されるため、前記第1固定部から前記装着場所に加わる力が前記車体接触面において分散され易くなり、前記装着場所の変形が抑制され易くなる。
【0014】
好ましくは、前記筐体は、前記装着場所に対向する外側底面を持った底板部と、前記底板部に設けられ、前記装着場所に接する1つ以上の脚部とを有し、前記1つ以上の脚部の前記装着場所に接する部位は、前記上端の接触部位と前記下端の接触部位とを含み、前記第2固定部は、前記底板部に固定される。
この構成によれば、前記1つ以上の脚部の前記装着場所に接する部位に前記上端の接触部位と前記下端の接触部位とが含まれるため、前記装着場所が平らな面でない場合であっても、前記筐体における前記上端の接触部位と前記下端の接触部位とを適切に確保することが可能となる。
【0015】
好ましくは、前記筐体は、前記装着場所に接する外側底面を持った底板部と、前記底板部に対向する上板部と、前記底板部と前記上板部との間に介在する側板部とを有し、前記外側底面は、前記上端の接触部位と前記下端の接触部位とを含み、前記第2固定部は、前記底板部に面した前記上板部の内側の面に固定される。
この構成によれば、前記外側底面が前記装着場所に接した状態で前記上板部の前記内側の面に前記第2固定部からの前記荷重が印加されるため、前記荷重による前記装着場所の変形が抑制され易くなる。
【0016】
好ましくは、前記第1固定部は、前記固定器具が挿通される第2挿通孔と、前記装着場所に接触する車体接触面と、前記固定器具の端部に接触する端部接触面とを有し、前記第2挿通孔の一方の開口部が前記車体接触面に形成され、前記第2挿通孔の他方の開口部が前記端部接触面に形成され、前記固定器具は、前記端部を前記端部接触面へ押し付けることにより前記車体接触面を前記装着場所に押し付ける。
この構成によれば、前記固定器具の前記端部と前記装着場所とに前記第1固定部が挟まれることにより、前記第1固定部が前記装着場所へより強固に固定される。
【0017】
本発明の第2の態様に係る計測器取り付け構造は、自動車のナンバープレートが装着される装着場所に計測器の筐体を取り付ける計測器取り付け構造であって、前記装着場所には、前記ナンバープレートを固定するためのボルトを挿通可能な2つの第1挿通孔が設けられており、前記筐体を支持する1つ以上の支持部材と、前記2つの第1挿通孔にそれぞれ挿通され、前記1つ以上の支持部材を前記装着場所に固定する2つの固定器具とを備え、前記支持部材は、前記固定器具によって前記筐体とともに前記装着場所に固定される固定部と、前記装着場所における前記第1挿通孔よりも下側の場所に接触する接触部と、前記固定部と前記接触部との間に介在する中間部とを有し、前記中間部は、前記固定部が前記固定器具によって前記筐体とともに前記装着場所に固定された状態において弾性変形し、前記接触部は、前記弾性変形に伴う弾性力に応じて、前記装着場所の前記下側の場所に押圧荷重を印加し、前記計測器に含まれるセンサが前記接触部に固定されている。
【0018】
この構成によれば、前記中間部の弾性力に応じた押圧荷重が前記接触部を介して前記装着場所に印加され、前記接触部が前記装着場所に対して押し付けられた状態になる。そのため、前記筐体が前記装着場所に対して揺動する場合でも、前記接触部に固定された比較的軽量な前記センサは前記装着場所に対して揺動しなくなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、自動車のナンバープレートの装着場所に取り付けられた計測器の揺動を抑制できる計測器取り付け構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1A及び図1Bは、自動車のナンバープレートの装着場所に計測器が取り付けられた状態の一例を示す図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る計測器取り付け構造の一例を示す図であり、図1BにおけるII-II線の断面を図解した図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る計測器取り付け構造の一例を示す図であり、図2におけるIII-III線の切断部端面を図解した図である。
図4図4は、支持部材の一例を図解した図である。
図5図5A及び図5Bは、筐体の角振幅を説明するための図である。
図6図6は、第2の実施形態に係る計測器取り付け構造の一例を示す図である。
図7図7は、第2の実施形態に係る計測器取り付け構造の一変形例を示す図である。
図8図8は、第3の実施形態に係る計測器取り付け構造の一例を示す図である。
図9図9は、第4の実施形態に係る計測器取り付け構造の一例を示す図である。
図10図10A及び図10Bは、第4の実施形態に係る計測器取り付け構造の一変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1の実施形態>
以下、本実施形態に係る計測器取り付け構造について図面を参照して説明する。
図1A及び図1Bは、自動車1のナンバープレートの装着場所3に計測器7が取り付けられた状態の一例を示す図である。図1Aは車体の上方から見た平面図であり、図1Bは車体の側方から見た側面図である。図1A及び図1Bの例において、装着場所3は車体の前部の概ね中央部に設けられており、この装着場所3に計測器7が取り付けられている。計測器7は、車両の性能を計測するための各種のセンサを備える。例えば計測器7は、路面を撮像してその画像から車速を計測するための撮像装置、撮像装置が撮像する姿勢計測用の像を路面に投影するためのレーザ発生装置、地理的な位置を検出するためのGPS装置、加速度センサ、角速度センサなどを備える。
【0022】
以下の説明では、鉛直方向をZ方向、車体に対して前後の方向をY方向、車体に対して左右の方向をX方向と呼ぶ場合がある。また、鉛直方向において下から上に向かう方向をZ1方向、鉛直方向において上から下に向かう方向をZ2方向と呼び、前後方向において後ろから前に向かう方向をY1方向、前後方向において前から後ろに向かう方句をY2方向と呼び、Y1方向に向かって右側の方向をX1方向、Y1方向に向かって左側の方向をX2方向と呼ぶ場合がある。
【0023】
図2及び図3は、それぞれ本実施形態に係る計測器取り付け構造の一例を示す図である。図2は、図1Bに示す計測器7におけるII-II線の断面を図解した図であり、図3は、図2に示す計測器7におけるIII-III線の切断部の端面を図解した図である。なお、図2図3では、計測器7が備えるセンサや電子機器などの部品の図示が省略されている。
【0024】
計測器7は、概ね直方体状の形状を持った筐体10を備える。図2の例において、筐体10は、Y方向から見た形状がナンバープレートに似た横長の長方形となっている。図2及び図3に示すように、筐体10のY方向の厚みは、X方向の幅及びZ方向の高さに比べて小さい。
【0025】
筐体10は、図2及び図3に示すように、装着場所3に接する外側底面111を持った底板部110と、底板部110に対向する上板部120と、底板部110と上板部120との間に介在する側板部130とを持つ。底板部110及び上板部120は、それぞれX-Z平面に対して平行な横長の長方形の板部材であり、互いにY方向に離間している。側板部130は、上板部120と底板部110との間に挟まれた空間の周囲を囲む角筒状の板部材であり、Y-Z平面に対して平行な2つの長方形の板部材と、X-Y平面に対して平行な2つの長方形の板部材とから構成される。
【0026】
図2及び図3に示す計測器取り付け構造は、筐体10の2つの支持部位Psを支持する2つの支持部材20と、支持部材20を装着場所3に固定するための2つの固定器具30とを備える。
【0027】
装着場所3には、ナンバープレートを固定するためのボルトを挿通可能な2つの第1挿通孔5が設けられており、2つの固定器具30は、この2つの第1挿通孔5にそれぞれ挿通される。図2及び図3の例において、固定器具30はボルトであり、ネジ部31と、ネジ部31の一方の端に設けられた端部32とを含む。第1挿通孔5を貫通したネジ部31の他方の端は、装着場所3となっている車体2(バンパー等)に設けられたナット4(クリップナット等)に挿入されて結合される。
【0028】
装着場所3に接触する筐体10の上端の接触部位P1と下端の接触部位P2のうち、上端の接触部位P1が下端の接触部位P2に比べて第1挿通孔5の近くにある。図3に示すように、Z方向における上端の接触部位P1と第1挿通孔5との距離が、Z方向における下端の接触部位P2と第1挿通孔5との距離に比べて小さい。言い換えると、上端の接触部位P1と下端の接触部位P2との間におけるZ方向の中央の位置Mに対して、第1挿通孔5が上側(Z1側)に位置している。
【0029】
図3の例において、上端の接触部位P1は底板部110の外側底面111における上側の端に位置し、下端の接触部位P2は外側底面111における下側の端に位置する。
【0030】
支持部材20が筐体10を支持する支持部位Psは、図3に示すように、第1挿通孔5に比べて中央の位置Mの位置に近い。すなわち、上端の接触部位P1と下端の接触部位P2との間における中央の位置Mから支持部位PsまでのZ方向の距離が、中央の位置Mから第1挿通孔5までのZ方向の距離に比べて小さい。図3の例において、支持部位Psは中央の位置Mとほぼ重なっている。
【0031】
支持部材20は、図3に示すように、固定器具30によって装着場所3に固定される第1固定部210と、筐体10の支持部位Psに固定される第2固定部220と、第1固定部210と第2固定部220との間に介在する中間部230とを有する。中間部230は、第1固定部210が固定器具30によって装着場所3に固定された状態において弾性変形する。第2固定部220は、中間部230の弾性変形に伴う弾性力に応じた荷重を支持部位Psに印加することにより、筐体10を装着場所3に向かって押し付ける。
【0032】
第2固定部220は、図3に示すように、底板部110の外側底面111に対して反対側の内側底面112に固定される。第2固定部220と底板部110とは、例えば溶接やロウ付け、接着などの方法によって互いに固定してもよいし、係合部同士(凸部と凹部など)の係合や嵌め合いなどの方法によって互いに固定してもよい。あるいは、中間部230の弾性変形に伴う第2固定部220の一定の変位を許容するように、ヒンジなどの可動機構を介して第2固定部220と底板部110とを固定してもよい。
【0033】
第1固定部210は、図3に示すように、第2挿通孔211と、車体接触面212と、端部接触面213と、凹部214を含む。第2挿通孔211には、固定器具30のネジ部31が挿通される。車体接触面212は、固定器具30をナット4に締め付けた状態で装着場所3に接触する。端部接触面213は、ネジ部31の端部32に接触する。第2挿通孔211の一方の開口部が車体接触面212に形成され、第2挿通孔211の他方の開口部が端部接触面213に形成される。第1固定部210の凹部214には、ネジ部31の端部32が配置される。固定器具30は、図3に示すように、端部32を端部接触面213へ押し付けることにより車体接触面212を装着場所3に押し付ける。すなわち、ネジ部31をナット4に対して回転させて、端部32とナット4の間に車体2と第1固定部210を挟み込んで締め付けることにより、第1固定部210が装着場所3に固定される。
【0034】
図3に示す計測器取り付け構造では、第1固定部210が装着場所3に固定され、第2固定部220が底板部110の内側底面112に固定されるため、底板部110には、支持部材20を挿通させるための孔101が形成される。
【0035】
中間部230は、第1固定部210の車体接触面212が固定器具30によって装着場所3に押し付けられた状態において弾性変形し、この弾性変形によって、第2固定部220を内側底面112に向かって押し付ける弾性力を生じる。
【0036】
図4は、弾性変形していない状態の支持部材20の一例を図解した図である。
図4において方向を示す符号は、支持部材20を装着場所3に取り付けて固定する場合の方向を表している。中間部230が弾性変形していない状態で、支持部材20を図4に示すような姿勢にした場合、筐体10の支持部位Psに固定される第2固定部220の面221は、X方向から見て車体接触面212よりも長さδだけY2側(装着場所3に向かう側)に位置している。またこの場合、第2固定部220の面221は、X-Z平面に対して角度θだけ傾斜している。車体接触面212が装着場所3と密着するように固定器具30のネジ部31を締めた場合、第2固定部220の面221が装着場所3から離れる側(Y1側)に移動し、この面221の移動に伴って、中間部230がY1側へ向かうように弾性変形する。
「δ」及び「θ」を適切に設定することにより、ピッチ成分の揺動を生じさせる外力の影響で筐体10の底板部110が装着場所3から浮き上がる状態を生じ難くすることができる。
【0037】
図5A及び図5Bは、筐体の角振幅を説明するための図である。図5Aは、第1挿通孔5に挿通されたボルトにより第1挿通孔5の位置で装着場所3に固定される比較例の筐体11の角振幅W1を示し、図5Bは、上述した図2図4に示す支持部材20を用いて支持部位Psが支持された筐体10の角振幅W2を示す。図5Aの「D1」は、比較例の筐体11の下端における揺れ幅を示し、図5Bの「D2」は、本実施形態に係る計測器取付け構造の筐体10の下端における揺れ幅を示す。比較例の筐体11の場合、Y方向(前後方向)の揺動の中心となる軸U1の位置(第1挿通孔5の位置)が、Z方向(上下方向)における筐体11の中央の位置よりも上側に大きくずれている。一方、支持部材20を用いて支持された筐体10の場合、Y方向の揺動の中心となる軸U2の位置(支持部位Psの位置)が、Z方向における筐体10の中央の位置Mとほぼ重なっている。このような軸U1と軸U2の位置の違いにより、筐体10の上下端での沈み込み量を同じと仮定した場合、図5A図5Bを比較して分かるように、支持部材20を用いて支持された筐体10の角振幅W2は、第1挿通孔5の位置で固定された比較例の筐体11の角振幅W1に比べて大幅に小さくなっている。また、おおよそ重心位置が回転中心となるので、イナーシャも小さくできる。
【0038】
以上説明したように、装着場所3に接する筐体10の上端の接触部位P1が、装着場所3に接する筐体10の下端の接触部位P2に比べて第1挿通孔5の近くにある。2つの第1挿通孔5で装着場所3に固定される比較例の筐体11(図5A)の場合、その上端の接触部位に比較的近い位置を中心(軸U1)とした揺動は装着場所3の局所的に大きな沈み込みにつながるため、筐体11の下端における振れ幅D1が大きくなってしまう。これに対して、本実施形態に係る計測器取り付け構造では、上端の接触部位P1と下端の接触部位P2との間における中央の位置Mから支持部位PsまでのZ方向(上下方向)の距離が、中央の位置Mから第1挿通孔5までのZ方向の距離に比べて小さい。これにより、第1挿通孔5よりも中央の位置Mに近い2つの支持部位Psにおいて筐体10が支持されることになる。そのため、第1挿通孔5よりも中央の位置Mに近い支持部位Psを中心(軸U2)とした筐体10の揺動は装着場所3の適度な面による抗力により小さな沈み込みにしかならず、図5Aの上端における沈み込みと同等だったとしても中央の位置Mから筐体10の上下端まで距離があるために、筐体10の下端における振れ幅D2を効果的に抑制できる。従って、筐体10の下端の近くに撮像装置などのセンサを配置させる場合でも、揺動に起因するセンサの検出精度の低下を抑えることができる。
【0039】
また、本実施形態に係る計測器取り付け構造によれば、支持部材20の中間部230が弾性変形することに伴う弾性力に応じた荷重が筐体10の支持部位Psに印加され、この荷重の印加により筐体10が装着場所3に向かって押し付けられる。これにより、筐体10を装着場所3から浮き上がり難くすることができるため、筐体10の揺動をより効果的に抑制できる。
【0040】
更に、本実施形態に係る計測器取り付け構造によれば、外側底面111が装着場所3に接した状態で底板部110の内側底面112に第2固定部220からの荷重が印加されるため、第2固定部220から印加される荷重による装着場所3の変形を抑制できる。
【0041】
また、本実施形態に係る計測器取り付け構造によれば、固定器具30により第1固定部210の車体接触面212が装着場所3に押し付けられた状態で、中間部230の弾性力に応じた荷重が底板部110に印加されるため、第1固定部210から装着場所3に加わる力が車体接触面212において分散され易くなり、車体接触面212付近での装着場所3の変形を抑制できる。
【0042】
また、上板部120の外側にナンバープレートを装着できるようにしてもよい。
【0043】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態に係る計測器取り付け構造について説明する。
図6は、第2の実施形態に係る計測器取り付け構造の一例を示す図であり、図3と同様に、X方向に対して垂直な平面で切断した切断部の端面を図解した図である。本実施形態に係る計測器取り付け構造は、計測器7Aの筐体10Aの支持部位Psを支持する2つの支持部材20Aと、2つの支持部材20Aをそれぞれ装着場所3に固定する2つの固定器具30とを備える。固定器具30は、図2図3において説明したものと同じである。
【0044】
筐体10Aは、図2図3において説明した筐体10と同様に、底板部110Aと、底板部110Aに対向する上板部120Aと、底板部110Aと上板部120Aとの間に介在する側板部130Aとを持つ。ここで、上板部120Aと側板部130Aは、図2図3において説明した筐体10における上板部120及び側板部130と概ね同様な形状を持つ。他方、筐体10の底板部110Aは、筐体10(図2図3)における底板部110と異なり、装着場所3とは接触しておらず、装着場所3に対してY1方向に離れている。底板部110Aは、装着場所3に対向する外側底面111Aと、外側底面111Aに対して反対側の内側底面112Aとを有する。
【0045】
また、筐体10Aは、底板部110Aに設けられた1つ以上の脚部140Aを更に有する。この1つ以上の脚部140Aは、装着場所3に接する部位を持つ。脚部140Aにおける装着場所3との接触部位は、図6に示すように、筐体10Aにおける上端の接触部位P1と下端の接触部位P2をそれぞれ含んでいる。図6の例において、脚部140Aは、底板部110Aにおける外側底面111Aの外縁からY2方向に延びている。脚部140Aは、例えば外側底面111Aの外縁の全周に渡って設けられていてもよいし、外側底面111Aの外縁の一部(例えば矩形形状を持った外側底面111Aの外縁の四隅)に複数設けられていてもよい。脚部140Aは、装着場所3と確実に接触するように、可変長機構を有していてもよい。
【0046】
支持部材20Aは、図3図4において説明した支持部材20と同様に、固定器具30によって装着場所3に固定される第1固定部210Aと、筐体10Aの支持部位Psに固定される第2固定部220Aと、第1固定部210Aと第2固定部220Aとの間に介在する中間部230Aとを有する。第1固定部210Aは、図3図4において説明した第1固定部210における第2挿通孔211、車体接触面212、端部接触面213、凹部214と同様な第2挿通孔211A、車体接触面212A、端部接触面213A、凹部214Aを有する。中間部230Aは、図3図4において説明した中間部230と同様に、第1固定部210Aが装着場所3に固定された状態で弾性変形する。これにより、第2固定部220Aは、中間部230Aの弾性力に応じた荷重を支持部位Psに印加し、筐体10Aを装着場所3に押し付ける。第2固定部220Aは、底板部110Aにおける内側底面112Aに固定されているため、中間部230Aの弾性力に応じたY2方向(装着場所3の方向)の荷重を内側底面112Aの支持部位Psに印加する。
【0047】
上述した第2の実施形態に係る計測器取り付け構造においても、第1の実施形態と同様に、中央の位置Mから支持部位PsまでのZ方向(上下方向)の距離が、中央の位置Mから第1挿通孔5までのZ方向の距離に比べて小さい。そのため、第1挿通孔5よりも中央の位置Mに近い支持部位Psを中心とした揺動は、装着場所3の面による適度な抗力によって小さな沈み込みにしかならない。従って、筐体10Aの揺動を生じ易くなり、筐体10Aの下端における揺れ幅を効果的に抑制できる。
【0048】
また、第2の実施形態に係る計測器取り付け構造によれば、1つ以上の脚部140Aの装着場所3に接する部位に上端の接触部位P1と下端の接触部位P2とが含まれる。そのため、装着場所3が平らな面でない場合であっても、筐体10Aにおける上端の接触部位P1と下端の接触部位P2とを適切に確保することが可能となり、筐体10AのY方向(前後方向)の揺動を適切に抑制することが可能となる。
更に、底板部110Aの外側底面111Aが車体2と直接接触しないことから、底板部110Aの内側底面112Aに面した筐体10Aの内部空間に対する防水や防塵の機能を容易に実現できる。
【0049】
なお、図6に示す計測器取り付け構造では、底板部110Aの内側底面112Aに第2固定部220Aが固定されているが、この固定位置は図7に示すように変更してもよい。
【0050】
図7は、第2の実施形態に係る計測器取り付け構造の一変形例を示す図であり、X方向に対して垂直な平面で切断した切断部の端面を図解した図である。本実施形態に係る計測器取り付け構造は、計測器7Bの筐体10Bの支持部位Psを支持する2つの支持部材20Bと、2つの支持部材20Bをそれぞれ装着場所3に固定する2つの固定器具30とを備える。固定器具30は、図2図3において説明したものと同じである。
【0051】
図7に示す変形例において、符号の末尾に「B」が付された構成要素は、図6に示す計測器取り付け構造において符号の末尾に「A」が付された構成要素と概ね同じである。ただし、図6に示す計測器取り付け構造では、底板部110Aの内側底面112Aに支持部材20Aの第2固定部220Aが固定されているのに対して、図7に示す変形例では、底板部110Bの外側底面111B(装着場所3側の面)に支持部材20Bの第2固定部220Bが固定されている。従って、図7に示す変形例では、弾性変形した中間部230Bにより、底板部110Bの外側底面111Bの支持部位Psに対してY2側へ引っ張る方向の荷重が印加され、これによって筐体10Bの脚部140Bが装着場所3に向かって押し付けられる。
【0052】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態に係る計測器取り付け構造について説明する。
図8は、第3の実施形態に係る計測器取り付け構造の一例で、X方向に対して垂直な平面で切断した切断部の端面を図解した図である。本実施形態に係る計測器取り付け構造は、計測器7Cの筐体10Cの支持部位Psを支持する2つの支持部材20Cと、2つの支持部材20Cをそれぞれ装着場所3に固定する2つの固定器具30とを備える。固定器具30は、図2図3において説明したものと同じである。
【0053】
図8に示す計測器取り付け構造における筐体10Cは、図2図3において説明した筐体10と概ね同じである。すなわち、筐体10Cは、筐体10(図2図3)における底板部110、上板部120、側板部130と同様な底板部110C、上板部120C、側板部130Cを有する。
【0054】
図8に示す計測器取り付け構造における支持部材20Cは、図2図3において説明した支持部材20と同様に、固定器具30によって装着場所3に固定される第1固定部210Cと、筐体10Cの支持部位Psに固定される第2固定部220Cと、第1固定部210Cと第2固定部220Cとの間に介在する中間部230Cとを有する。第1固定部210Cは、図3図4において説明した第1固定部210における第2挿通孔211、車体接触面212、端部接触面213、凹部214と同様な第2挿通孔211C、車体接触面212C、端部接触面213C、凹部214Cを有する。中間部230Cは、図3図4において説明した中間部230と同様に、第1固定部210Cが装着場所3に固定された状態で弾性変形する。これにより、第2固定部220Cは、中間部230Cの弾性力に応じた荷重を支持部位Psに印加し、筐体10Cを装着場所3に押し付ける。
【0055】
支持部材20Cの第2固定部220Cは、図2図3において説明した第2固定部220や、図6図7において説明した第2固定部220A、第2固定部220Bと異なり、底板部110Cに面した上板部120Cの内側の面121Cに固定されている。第2固定部220Cが固定された内側の面121Cの支持部位Psには、中間部230Cの弾性力に応じたY2方向(装着場所3の方向)への荷重が印加される。上板部120Cの支持部位PsがY2方向へ引っ張られることにより、筐体10C(底板部110C)が装着場所3に押し付けられる。
【0056】
上述した第3の実施形態に係る計測器取り付け構造においても、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様に、中央の位置Mから支持部位PsまでのZ方向(上下方向)の距離が、中央の位置Mから第1挿通孔5までのZ方向の距離に比べて小さい。そのため、第1挿通孔5よりも中央の位置Mに近い支持部位Psを中心とした揺動は、装着場所3の面による適度な抗力によって小さな沈み込みにしかならない。従って、筐体10Cの揺動を生じ易くなり、筐体10Cの下端における揺れ幅を効果的に抑制できる。
【0057】
また、第3の実施形態に係る計測器取り付け構造によれば、中間部230Cの弾性力に応じた荷重が筐体10Cの上板部120Cの支持部位Psに印加され、筐体10Cが装着場所3に向かって押し付けられることにより、筐体10Cの揺動を効果的に抑制できる。
【0058】
更に、第3の実施形態に係る計測器取り付け構造によれば、外側底面111Cが装着場所3に接した状態で筐体10Cが装着場所3に向かって引っ張られるため、第2固定部220Cから印加される荷重による装着場所3の変形を抑制できる。
【0059】
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態に係る計測器取り付け構造について説明する。
図9は、第4の実施形態に係る計測器取り付け構造の一例で、X方向に対して垂直な平面で切断した切断部の端面を図解した図である。本実施形態に係る計測器取り付け構造は、計測器7Dの筐体10Dを支持する2つの支持部材20Dと、2つの支持部材20Dをそれぞれ装着場所3に固定する2つの固定器具30とを備える。固定器具30は、図2図3において説明したものと同じである。
【0060】
筐体10Dは、図2図3において説明した筐体10と同様に、底板部110Dと、底板部110Dに対向する上板部120Dと、底板部110Dと上板部120Dとの間に介在する側板部130Dとを持つ。ここで、底板部110D、上板部120D、側板部130Dは、図2図3において説明した筐体10における底板部110、上板部120、側板部130と概ね同様な形状を持つ。底板部110Dは、筐体10(図2図3)における底板部110と同様に、装着場所3に接触する外側底面111Dと、外側底面111Dに対して反対側の内側底面112Dを持つ。
【0061】
支持部材20Dは、固定器具30によって筐体10Dとともに装着場所3に固定される固定部250と、装着場所3における第1挿通孔5よりも下側の場所Sに接触する接触部260と、固定部250と接触部260との間に介在する中間部270とを有する。中間部270は、固定部250が固定器具30によって筐体10Dとともに装着場所3に固定された状態において弾性変形する。接触部260は、中間部270の弾性変形に伴う弾性力に応じて、装着場所3の下側の場所Sに押圧荷重を印加する。
【0062】
固定部250は、図9に示すように、挿通孔251と、筐体接触面252と、端部接触面253と、凹部254を含む。挿通孔251には、固定器具30のネジ部31が挿通される。筐体接触面252は、固定器具30のネジ部31をナット4に締め付けた状態で、筐体10Dの底板部110Dの内側底面112Dに接触する。端部接触面253は、ネジ部31の端部32に接触する。挿通孔251の一方の開口部が筐体接触面252に形成され、挿通孔251の他方の開口部が端部接触面253に形成される。固定部250の凹部254には、ネジ部31の端部32が配置される。固定器具30は、図9に示すように、端部32を端部接触面253へ押し付けることによって筐体接触面252を底板部110Dに押し付け、それにより底板部110Dを装着場所3に押し付ける。すなわち、ネジ部31をナット4に対して回転させて、端部32とナット4の間に車体2、筐体10D(底板部110D)及び固定部250を挟み込んで締め付けることにより、固定部250と筐体10Dの両方が装着場所3に固定される。
【0063】
図9に示す計測器取り付け構造では、固定部250が底板部110Dの内側底面112Dに固定されるとともに、接触部260が装着場所3の場所Sに接触するため、底板部110Dには、支持部材20Dを挿通させるための孔102Dが形成される。図9の例では、接触部260を挿通させるように孔102Dが形成されている。
【0064】
図9に示す計測器取り付け構造において、装着場所3に接触する接触部260にはセンサ40が固定されている。センサ40は、車体2の動きに対して忠実に追従することが要求されるセンサであり、例えば車速測定用の撮像装置(撮像素子、光学系など)を含む。
【0065】
本実施形態に係る計測器取り付け構造によれば、中間部270の弾性力に応じた押圧荷重が接触部260を介して装着場所3に印加され、接触部260が装着場所3に対して押し付けられた状態になる。そのため、筐体10Dが装着場所3に対して揺動する場合でも、接触部260に固定されたセンサ40は装着場所3に対して揺動しなくなり、車体2の動きに対して忠実に追従し易くなる。従って、筐体10Dの揺動に起因するセンサ40を用いた計測誤差を効果的に低減できる。
【0066】
なお、本実施形態に係る計測器取り付け構造では、センサ40が固定された接触部260が中間部270の弾性力に応じた押圧荷重によって装着場所3に押し付けられた状態になればよい。そのため、この押圧荷重を生じさせる十分な弾性力が得られるのであれば、図10Aの変形例において示すように、接触部260が装着場所3に接触する場所Sを筐体10Dの下端付近に移動させてもよい。また、図10Bの変形例において示すように、固定部250の筐体接触面252を大きくしても同様の効果を得ることが可能である。
【0067】
なお、本発明の実施形態は上記の例に限定されるものではなく、更に種々のバリエーションを含んでいる。
【0068】
例えば、上述した各実施形態では、ナンバープレートの装着場所3における2つの第1挿通孔5に2つの支持部材(20、20A~20D)を固定する例を説明したが、本発明の実施形態はこの例に限定されない。本発明の他の実施形態では、2つの第1挿通孔に1つの支持部材を固定してもよいし、3以上の支持部材を固定してもよい。
【符号の説明】
【0069】
1…自動車
2…車体
3…装着場所
4…ナット
5…第1挿通孔
7…計測器
10,10A~10D…筐体
101…孔
102D…孔
110,110A~110D…底板部
111,111A~111D…外側底面
112,112A~112D…内側底面
120,120A~120D…上板部
121C…内側の面
130,130A~130D…側板部
140A,140B…脚部
20,20A~20D…支持部材
210,210A~210C…第1固定部
211,211A~211C…第2挿通孔
212,212A~212C…車体接触面
213,213A~213C…端部接触面
214,214A~214C…凹部
220,220A~220C…第2固定部
230,230A~230C…中間部
250…固定部
251…挿通孔
252…筐体接触面
253…端部接触面
254…凹部
260…接触部
270…中間部
30…固定器具
31…ネジ部
32…端部
40…センサ
P1…上端の接触部位
P2…下端の接触部位
Ps…支持部位
M…中央の位置
S…下側の場所
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10