(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154507
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】水洗大便器
(51)【国際特許分類】
E03D 11/02 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
E03D11/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057578
(22)【出願日】2021-03-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩原 英司
(72)【発明者】
【氏名】刀根 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】桃枝 理彰
(72)【発明者】
【氏名】江崎 一也
(72)【発明者】
【氏名】森 真樹
【テーマコード(参考)】
2D039
【Fターム(参考)】
2D039AA02
2D039AD00
(57)【要約】
【課題】接着剤を用いず、容易に便器本体に板金を取り付けることを目的とする。
【解決手段】汚物を受けるボウル部を有する便器本体と、便器本体の後方に設けられた機能部と、機能部の側面を覆うパネル部材と、パネル部材に設けられる磁石と、便器本体の取付部に設けられる磁性体と、を備え、磁性体は、弾性変形可能であり、取付部を挟むように取付部に取り付けられる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚物を受けるボウル部を有する便器本体と、
前記便器本体の後方に設けられた機能部と、
前記機能部の側面を覆うパネル部材と、
前記パネル部材に設けられる磁石と、
前記便器本体の取付部に設けられる磁性体と、を備え、
前記磁性体は、弾性変形可能であり、前記取付部を挟むように前記取付部に取り付けられることを特徴とする水洗大便器。
【請求項2】
前記磁性体は、
前記磁石と吸着する吸着部と、
前記吸着部と前記取付部を隔てて対向する挟持部と、
前記吸着部と前記挟持部とを接続する連結部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の水洗大便器。
【請求項3】
前記挟持部は、前記磁性体が前記便器本体に取り付けられていない状態において、前記連結部側の端部から前記吸着部に向かって延びる傾斜部を備えることを特徴とする請求項2に記載の水洗大便器。
【請求項4】
前記挟持部は、前記傾斜部の先端に設けられ、前記取付部と接触する当接部を備え、
前記傾斜部は、前記磁性体が前記便器本体に取り付けられた状態において、前記連結部側の端部から前記吸着部に向かって延びることを特徴とする請求項3に記載の水洗大便器。
【請求項5】
前記磁性体は、前記連結部に接続する端部とは反対側の端部において、前記便器本体に取り付けられる固定部を備えることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1つに記載の水洗大便器。
【請求項6】
前記便器本体は、前記取付部から突出し、前記磁性体の後方への移動を規制するリブ部を備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の水洗大便器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、水洗大便器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パネル部材によって機能部を覆う水洗大便器において、パネル部材と便器本体を磁力によって保持する水洗大便器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように陶器製の便器本体に、磁石または磁性体を取り付けようとする際、接着剤を使用するのが一般的である。しかしながら、接着剤を使用する方法では、作業工程の多さや、やり直しを行い難いといった作業性の面で問題がある。
【0005】
本実施形態の一態様は、接着剤を用いず、容易に便器本体に板金を取り付けることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る水洗大便器は、汚物を受けるボウル部を有する便器本体と、便器本体の後方に設けられた機能部と、機能部の側面を覆うパネル部材と、パネル部材に設けられる磁石と、便器本体の取付部に設けられる磁性体と、を備え、磁性体は、弾性変形可能であり、取付部を挟むように取付部に取り付けられることを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、磁性体が便器本体の取付部に接着剤を用いずに嵌合されるため、作業工程が少なく、容易に磁性体を取り付けることができる。また、磁性体と便器本体の取り付け位置が悪い際にやり直しが可能であるため、作業性の良い水洗大便器を提供することができる。
【0008】
磁性体は、磁石と吸着する吸着部と、吸着部と取付部を隔てて対向する挟持部と、吸着部と挟持部とを接続する連結部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、弾性変形可能な吸着部と、挟持部によって取付部が磁性体に挟み込むように固定されるため、磁性体と取付部の接触面積を大きくすることができる。接触面積が大きくなることで、磁性体と取付部との摩擦力が大きくなるため、取付部から磁性体が脱落することを抑制できる。
【0010】
挟持部は、磁性体が便器本体に取り付けられていない状態において、連結部側の端部から吸着部に向かって延びる傾斜部を備えることを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、磁性体を取付部に取り付けた後に、磁性体を取付部に取り付ける前に比べて連結部と傾斜部との角度が大きくなるため、傾斜部が元の形状に戻ろうとする復元力が生まれる。また、傾斜部によって生まれた復元力により、吸着部が取付部により密着する。これにより、取付部に対する磁性体の保持力を向上させることができる。
【0012】
挟持部は、傾斜部の先端に設けられ、取付部と接触する当接部を備え、傾斜部は、磁性体が便器本体に取り付けられた状態において、連結部側の端部から吸着部に向かって延びることを特徴とする。
【0013】
このような構成によれば、取付部から当接部に加わる力が、当接部を起点とし、傾斜部、連結部、吸着部にモーメント力を生み出すことにより、吸着部と取付部がより密着する。これにより、取付部に対する磁性体の保持力を向上させることができる。
【0014】
磁性体は、連結部に接続する端部とは反対側の端部において、便器本体に取り付けられる固定部を備えることを特徴とする。
【0015】
このような構成によれば、磁性体の端部が2つとも便器本体に固定された状態になるため、磁性体の内、連結部から離れた個所においても取付部と密着することができる。また、固定個所を2つとすることで、磁性体にかかる応力を分散することが可能である。
【0016】
便器本体は、取付部から突出し、磁性体の後方への移動を規制するリブ部を備えることを特徴とする。
【0017】
このような構成によれば、磁性体が内力又は外力によって後方移動する際、磁性体が便器本体から脱落することを防止できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の水洗大便器によれば、接着剤を用いず、容易に便器本体に板金を取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、実施形態に係る水洗大便器の側面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る水洗大便器のパネル部材の一部などを省略した側面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るパネル部材を内側から側面視した図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る水洗大便器のパネル部材などを省略した後方斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る水洗大便器のパネル部材などを省略した後面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る水洗大便器の板金の後面図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る水洗大便器の、板金と取付部の上方付近を表した後面図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る水洗大便器の、板金と取付部の下方付近を表した後面図である。
【
図9】
図9は、変形例に係る水洗大便器の取付部の上面付近を表した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して実施形態に係る水洗大便器1の概要について説明する。
【0021】
なお、
図1を含む各図には、説明の便宜上、鉛直上向き(上方)を正方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を示している場合がある。この場合、X軸の正方向を左方、X軸の負方向を右方、Y軸の正方向を前方、Y軸の負方向を後方、Z軸の正方向を上方、Z軸の負方向を下方と規定し、また、X軸方向を左右方向、Y軸方向を前後方向、Z軸方向を上下方向という。なお、左右方向は、水洗大便器1の幅方向である。
【0022】
図1、
図2に示すように、水洗大便器1は、便器本体3と、機能部5と、衛生洗浄装置7と、パネル部材9と、便座部10と、蓋部15とを備える。便器本体3は、陶器製である。なお、便器本体3は、陶器製に限定されず、たとえば、樹脂製のものや、陶器と樹脂とを組み合わせたものであってもよい。
図1は、実施形態に係る水洗大便器1の側面図である。
図2は、実施形態に係る水洗大便器1のパネル部材9の一部などを省略した側面図である。
【0023】
便器本体3は、ボウル部4(
図4参照)と、縁部11と、排水トラップ管路13と、を備えている。
【0024】
便器本体3の後方には、機能部5が設けられる。機能部5は、便器本体3のボウル部4や衛生洗浄装置7に給水を行う。機能部5は、貯水タンク(不図示)、および加圧ポンプ(不図示)などを含む。機能部5は、給水に関し、貯水タンクに貯水された洗浄水を加圧ポンプによって加圧して、大流量でジェット吐水口(不図示)からボウル部4へ吐出させる。
【0025】
衛生洗浄装置7には、ボウル部4の上方の使用者の局部に向けて洗浄水を噴射するノズル装置(不図示)を含む局部洗浄装置(不図示)が設けられる。また、衛生洗浄装置7には、局部洗浄装置に供給される洗浄水を貯水する貯水部(不図示)、貯水部内の洗浄水を適温に温めて温水にする加熱器(不図示)、換気ファン(不図示)、脱臭ファン(不図示)、温風ファン(不図示)、およびこれら各部を制御する制御部(不図示)などが設けられる。
【0026】
ボウル部4は、汚物を受ける部位であり、凹状に形成される。ボウル部4の上縁部にはリム部6(
図4参照)が形成される。リム部6は、洗浄水を吐水するリム吐水口8(
図4参照)を有する。リム部6は、リム吐水口8から吐水された洗浄水がボウル部4の上縁部に沿って流れ、ボウル部4内に旋回流を形成する。なお、リム吐水口8には、上流側に形成された導水路(不図示)が接続されており、洗浄水供給管(不図示)からの洗浄水が導水路を介して供給される。
【0027】
便器本体3の後方、および機能部5の側面には、機能部5への外的障害や汚水侵入を防ぐためのパネル部材9が設けられている。パネル部材9は、樹脂製である。
【0028】
便座部10は、便器本体3の上部に配置され、使用者が水洗大便器1を使用する場合に着座するものである。便座部10は、後方側を支点として回動することで、開閉可能である。
【0029】
蓋部15は、便座部10と同様、便器本体3の上部に配置され、便器本体3のボウル部4を含む上面を上方から覆うものである。蓋部15は、便座部10と同様、後方側を支点として回動することで、開閉可能である。なお、蓋部15は、閉じた状態では、便器本体3の上面を上方から覆うとともに、便座部10を上方から覆う。
【0030】
また、水洗大便器1は第一保持部21と、第二保持部23とを備える。第一保持部21はパネル部材9の側面と便器本体3とを磁力によって吸着保持しており、第二保持部23は機能部5とパネル部材9の側面とを磁力によって吸着保持している。第二保持部23は、パネル部材9の側面に設けられた磁石33と、機能部5に設けられ、磁力によって吸着される磁性体である板金31とで構成されている。
【0031】
第一保持部21について詳細に説明する。第一保持部21は磁石25と、磁力によって吸着される磁性体である板金27とで構成されている。第一保持部21は、便器本体3とパネル部材9との境界部Aに設けられる。境界部Aとは、便器本体3にパネル部材9を適正に設置した際、便器本体3とパネル部材9が重なり合う個所のことを指す。境界部Aは、便器本体3を側面視したとき、便器本体3の前方から緩やかな曲率で変化している側面が、便器本体3の後方側で大きな曲率変化をする個所、詳しくは便器本体3内側に凹む段差を有している個所を指している。
【0032】
次に、
図3~
図8を参照して板金27と取付部12の取付と、パネル部材9と便器本体3との取付について説明する。
図3は、実施形態に係るパネル部材9を内側から側面視した図である。
図4は、実施形態に係る水洗大便器1のパネル部材9などを省略した後方斜視図である。
図5は、実施形態に係る水洗大便器1のパネル部材9などを省略した後面図である。
図6は、実施形態に係る水洗大便器1の板金27の後面図である。
図7は、実施形態に係る水洗大便器1の、板金27と取付部12の上方付近を表した後面図である。
図8は、実施形態に係る水洗大便器1の、板金27と取付部12の下方付近を表した後面図である。
【0033】
磁石25は、パネル部材9に取り付けられる。磁石25はパネル部材9の内側面の前方端側、つまり便器本体3とパネル部材9の境目付近に二か所設けられる。磁石25の二か所の配置は、パネル部材9の上端と中央との区間に一か所、パネル部材9の下端と中央との区間に一か所である。
なお、磁石25は二か所に設けられる必要はなく、境界部Aの上下方向に亘って全体を覆うように設けられても良いし、境界部Aの上下方向の中心に一つ設けられても良い。
【0034】
つづいて、板金27について説明する。板金27は、便器本体3に取り付けられる。板金27は、境界部Aにおける、便器本体3の取付部12に取り付けられる。取付部12は、縁部11の後方端面から後方に向かって延出している。取付部12は上下に延びる外側面12aと、外側面12aの上端から内側に延びる上面12bと、上面12bの内側の端から下方に延びる内側面12cと、を有する。取付部12には、上端側において外側面12aと内側面12cとの間に所定の厚みを有する突出部12jが形成される。それぞれの面の接続箇所(角部)は曲率を有している。
【0035】
板金27は、弾性変形可能な薄板の金属によって形成されている。板金27は取付部12の外側面12aを側面視で覆うよう配置される上下に延びる吸着部27aと、吸着部27aの上端から内側に延び取付部12の上面12bの上側に位置する連結部27bと、連結部27bの内側の端から下方に延び取付部12の内側面12cの内側に位置する挟持部27cと、を備える。挟持部27cは、連結部27bとつながり、吸着部27a及び内側面12cに向かって延びる傾斜部27dと、傾斜部27dとつながり吸着部27a及び内側面12cから離れるよう延びる逆傾斜部27eと、を有する。板金27は、上端側の吸着部27a、挟持部27c、および連結部27bによって取付部12の突出部12jを挟むことで、取付部12に固定される。板金27を取付部12に挟む際、吸着部27aと挟持部27cを離れるよう広げ、板金27を取付部12の外側面12a、上面12b、内側面12cに引っ掛けると、板金27が形状記憶により弾性変形することによって取付部12に保持力が働いて、板金27が取付部12に固定される。これにより、板金27が便器本体3の取付部12に接着剤を用いずに嵌合されるため、作業工程が少なく、容易に板金27を取り付けることができる。また、板金27と便器本体3の取り付け位置が悪い際にやり直しが可能であるため、作業性の良い水洗大便器1を提供することができる。
【0036】
また、弾性変形可能な吸着部27aと、挟持部27cによって取付部12が板金27に挟み込むように固定されるため、板金27と取付部12の接触面積を大きくすることができる。接触面積が大きくなることで、板金27と取付部12との摩擦力が大きくなるため、取付部12から板金27が脱落することを抑制できる。
【0037】
取付部12は、外側面12aが内側に凹んでいる凹部12iを、外側面12aの上下方向の上部と下部に1か所ずつ備えている。また、板金27は、吸着部27aが内側に凹んでいる凹部27iを、吸着部27aの上下方向の上部と下部に1か所ずつ備えている。板金27を便器本体3に組付けた際、凹部12iに凹部27iが後面視で内包されるよう配置される。パネル部材9が便器本体3に組付けられた際、パネル部材9の磁石25が凹部27iに位置する。これにより、パネル部材9が便器本体3に組付けられた際、磁石25の幅方向の厚みを軽減でき、パネル部材9の幅方向への突出量を減らすことができる。
【0038】
また、板金27の傾斜部27dは、板金27が便器本体3に取り付けられていない状態において、
図7において破線で示すように、連結部27b側の端部から吸着部27aに向かって延びる。なお、
図7では、板金27が便器本体3に取り付けられる前の傾斜部27dを破線で示し、板金27が便器本体3に取り付けられた後の傾斜部27dを実線で示す。
【0039】
板金27の傾斜部27dの角度は、板金27を取付部12の突出部12jに取り付ける前に比べ、板金27を取付部12取り付ける後の方が大きくなるため、傾斜部27dが元の形状に戻ろうとする復元力が生まれる。また、傾斜部27dによって生まれた復元力により、吸着部27aが取付部12により密着する。これにより、取付部12に対する板金27の保持力を向上させることができる。
【0040】
また、
図7の破線に示すように、板金27を取付部12に取り付ける前の状態において、板金27の連結部27bと挟持部27cとの接続箇所の曲率は、取付部12の上面12bと内側面12cとの接続箇所の曲率よりも大きい。そのため、板金27を取付部12に取り付けた際、連結部27bと挟持部27cとの接続箇所が取付部12に引き込まれる。これにより、取付部12に対する板金27の保持力を向上させることができる。
【0041】
また、板金27が便器本体3に取り付けられた状態においても、傾斜部27dは内側面12cに対して傾斜している。ここで、傾斜部27dの先端で取付部12と接触する箇所を当接部27fと称する。
【0042】
これにより、取付部12から当接部27fに加わる力が、当接部27fを起点とし、傾斜部27d、連結部27b、および吸着部27aにモーメント力を生み出すことにより、吸着部27aと取付部12がより密着する。これにより、取付部12に対する板金27の保持力を向上させることができる。
【0043】
次に、
図4、および8を参照して板金27と取付部12の下方との取付について説明する。
図8は、実施形態に係る水洗大便器1の、板金27と取付部12の下方付近を表した後面図である。
【0044】
板金27の下方のうち、連結部27bに接続する端部とは反対側の端部には、取付部12の後面12fの下端側を覆うよう吸着部27aから内側に延びる、固定部27hを有する。固定部27hは上面視でL字形状をしており、取付部12の外側面12aと後面12fは、固定部27hのL字形状を形成する2面にて、接触しつつ囲われる。
【0045】
また、固定部27hは、下端から後方に突出する突出部27jを備える。突出部27jには、ねじ孔27kが形成される。固定部27hは、ねじ孔27kにねじが挿入され、便器本体3の後端に設けられた底部3aに固定される。これにより、固定部27hが、便器本体3に取り付けられる。
【0046】
これにより、板金27の端部が2つとも便器本体3に固定された状態になるため、板金27の内、連結部27bから離れた個所においても取付部12と密着することができる。また、固定個所を二つとすることで、板金27にかかる応力を分散することが可能である。
【0047】
変形例にかかる水洗大便器1では、
図9に示すように、取付部12は、取付部12の上面12bの後端から上方に向かって延びるリブ部12gを備えている。
図9は、変形例に係る水洗大便器1の取付部12の上面12b付近を表した側面図である。
【0048】
連結部27bは上面12bの前方を覆い、リブ部12gは連結部27bよりも後方の上面12bから延びる。これにより、板金27が取付部12と直交する方向に動作する際、連結部27bがリブ部12gに接触することで、板金27が便器本体3から脱落することを防止できる。また、リブ部12gが上面12bから上方に突出しているため、リブ部12gとパネル部材9とが接触せず、パネル部材9が便器本体3に対して幅方向に膨らまず、パネル部材9と便器本体3との間に段差が生じない。
【0049】
なお、リブ部12gは上面12bから上方に延びているのに限らず、外側面12aの後方領域から外側に向かって延びているものでも良いし、内側面12cから内側に向かって延びているものでも良い。
【0050】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 水洗大便器
3 便器本体
3a 底部
4 ボウル部
5 機能部
6 リム部
7 衛生洗浄装置
8 リム吐水口
9 パネル部材
10 便座部
11 縁部
12 取付部
12a 外側面
12b 上面
12c 内側面
12f 後面
12g リブ部
12i 凹部
12j 突出部
13 排水トラップ管路
15 蓋部
21 第一保持部
23 第二保持部
25 磁石
27 板金(磁性体)
27a 吸着部
27b 連結部
27c 挟持部
27d 傾斜部
27e 逆傾斜部
27f 当接部
27h 固定部
27i 凹部
27j 突出部
27k ねじ孔
31 板金
33 磁石
A 境界部