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  • 特開-タクシー車両殺菌システム 図1
  • 特開-タクシー車両殺菌システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154557
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】タクシー車両殺菌システム
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
A61L2/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057653
(22)【出願日】2021-03-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年8月25日 境交通株式会社にて公開 令和3年1月30日 自動車会館にて公開 令和3年2月2日 ウェブサイトにて公開 令和3年3月4日 KM自動車にて公開 令和3年3月26日 境交通株式会社にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】507041353
【氏名又は名称】株式会社ジュナック
(74)【代理人】
【識別番号】100134050
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 博孝
(72)【発明者】
【氏名】荒井 直行
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA30
4C058BB06
4C058DD11
4C058DD16
4C058KK02
4C058KK22
4C058KK32
4C058KK33
(57)【要約】
【課題】
乗客が入れ替わる毎に運転手の作業を増やすことなく安全に殺菌作業を行うことができ、また、乗客も安心してタクシーを利用することができるタクシー車両殺菌システムを提供する。
【解決手段】
紫外線C波を照射できるLEDを備えた紫外線照射部10と、当該紫外線照射部10から紫外線C波が照射されるエリアと運転席との間に配置され、紫外線C波を遮るシールド20と、紫外線照射部10からの紫外線C波の照射を制御する制御部40と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線C波を照射できるLEDを備えた紫外線照射部と、
当該紫外線照射部から紫外線C波が照射されるエリアと運転席との間に配置され、紫外線C波を遮るシールドと、
前記紫外線照射部からの紫外線C波の照射を制御する制御部と、を備える、
ことを特徴とするタクシー車両殺菌システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御部はタクシー車両のメーターと連動して作動する構造の車内表示装置に接続され、当該車内表示装置が所定の表示となっているときは前記紫外線照射部からの照射を停止する
ことを特徴とするタクシー車両殺菌システム。
【請求項3】
請求項1又は2において、
乗客の有無を検知できる人感センサを備え、
前記制御部は、前記人感センサが乗客の存在を検知している間は前記紫外線照射部からの照射を停止する
ことを特徴とするタクシー車両殺菌システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかにおいて、
前記制御部は、パーキングブレーキの状態を検知して当該パーキングブレーキが作動している間は前記紫外線照射部からの照射を停止する
ことを特徴とするタクシー車両殺菌システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかにおいて、
前記制御部は、ドアの開閉状態を検知して当該ドアが開いている状態の間は前記紫外線照射部からの照射を停止する
ことを特徴とするタクシー車両殺菌システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タクシー車両、特に乗客が利用する後部座席を殺菌するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、除菌や殺菌についての重要性は知られていたが、COVID-19の発生・蔓延によって更に人々の関心が高まっている状況である。
【0003】
車両における除菌や殺菌についても既に色々な提案がなされている。その1つが例えば、除菌スプレ-を噴霧等することによるものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】島根トヨタのウェブサイト「車内の正しい除菌方法」のページhttps://shimanetoyota.jp/event/info2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記非特許文献でも示されているように、車両室内を構成するプラスチックや金属、ゴム製品への影響から、アルコールや次亜塩素酸を含むものはこれら部材の劣化や変質等の原因となるため好ましくなく、使えるものが限られてしまう。
【0006】
また、例えばタクシー車両の場合、乗客が入れ替わる毎に除菌・殺菌を行いたいという要望があるものの、乗客の入れ替わりの都度車を停めてスプレ-を噴霧したりそれを拭き取ったりする作業を行うのは作業効率の観点からも望ましくないし、特に都心部において停車中にそれを行うのは危険でもある。
【0007】
そこで本発明は、こういった問題点を解決するべくなされたものであって、乗客が入れ替わる毎に運転手の作業を増やすことなく安全に殺菌作業を行うことができ、また、乗客も安心してタクシーを利用することができるタクシー車両殺菌システムを提供する事をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するべく、本願発明は、紫外線C波を照射できるLEDを備えた紫外線照射部と、当該紫外線照射部から紫外線C波が照射されるエリアと運転席との間に配置され、紫外線C波を遮るシールドと、前記紫外線照射部からの紫外線C波の照射を制御する制御部と、を備える、ことを特徴とする。
【0009】
このような構成を採用したことによって、客が入れ替わる毎に運転手の作業を増やすことなく安全に殺菌作業を行うことができるようになっている。即ち、制御部によって特定の条件のときのみ照射部から紫外線C波を照射するようコントロールすると共に、照射時において運転手はシールドの存在によって紫外線C波から守られる。この特定の条件を「乗客がいないとき」となるように設定すれば、乗客が車内にいるときには紫外線C波の照射を停止し、それ以外のとき(例えば客待ちしているときや、回送中など)にウィスルの殺菌を行うことができる。
【0010】
より具体的には、例えば、前記制御部はタクシー車両のメーターと連動して作動する構造の車内表示装置に接続され、当該車内表示装置が所定の表示となっているときは前記紫外線照射部からの照射を停止するといった制御である。
【0011】
タクシー車両の内部には、表示項目が運賃メーター器と連動して作動する構造の装置であって、昼間夜間を問わず車外から明瞭に確認できる表示装置を装着することが義務づけられている。例えば、その車両の状況に応じて「空車」「賃走」「迎車」「予約」「貸切」「観光」「回送」「非営業」といった表示を車外に知らせるための装置である。制御部をこの車内表示装置と接続して、当該表示が特定の表示(例えば「空車」)以外の表示のときは紫外線照射部からの照射を停止することによって、誤照射を防止することができる。
【0012】
また、乗客の有無を検知できる人感センサを備え、前記制御部は、前記人感センサが乗客の存在を検知している間は前記紫外線照射部からの照射を停止するといった制御である。
【0013】
また、前記制御部は、パーキングブレーキの状態を検知して当該パーキングブレーキが作動している間は前記紫外線照射部からの照射を停止するといった制御である。
【0014】
また、前記制御部は、ドアの開閉状態を検知して当該ドアが開いている状態の間は前記紫外線照射部からの照射を停止するといった制御である。
【0015】
こういった制御を行うことによって、誤照射を防止することができる。もちろんこれらの制御を組み合わせて利用してもよく、その方がよりフェイルセーフ性能の高いシステムとなるので望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明を適用することで、乗客が入れ替わる毎に運転手の作業を増やすことなく安全に殺菌作業を行うことができ、また、乗客も安心してタクシーを利用することができるタクシー車両殺菌システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態の一例であるタクシー車両殺菌システムを概略構成図である。
図2】制御部を中心として各部との繋がりを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態の一例であるタクシー車両殺菌システムについて説明を加える。なお、図面理解容易の為、各部の大きさや寸法を誇張して表現している部分があり、実際の製品と必ずしも一致しない部分があることを付記しておく。また各図面は符号の向きに見るものとし、当該向きを基本に上下左右、手前、奥と表現する。
【0019】
〈タクシー車両殺菌システムの構成〉
図1に示しているように、本発明の実施形態の一例として示したタクシー車両殺菌システムは、タクシー車両1の天井面に取り付けられ、紫外線C波を照射できるLEDを備えた紫外線照射部10と、当該紫外線照射部10から紫外線C波が照射されるエリアと運転席との間に配置され、紫外線C波を遮るシールド20と、紫外線照射部10からの紫外線C波の照射を制御する制御部40(図2参照)とを備える。なお制御部40は、例えば紫外線照射部10の中に組み込まれるように構成してもよいし、別のユニットとして構成してもよい。
【0020】
紫外線照射部10には、照射方向の「人の存在」を検知できる人感センサ50(図1においては図示していない)が設けられている。また、紫外線が照射されていることを視覚的に確認できる表示(ランプなど)も設けられる。なお、取付場所は天井面に限らないし、必要に応じて複数設けてもよい。
【0021】
シールド20は、紫外線C波を遮るものであれば材質等限定されるものではないが、透明なビニールシート(塩化ビニルなど)を天井面から吊すように配置し、運転席と照射対象となる後部座席との間に配置するのが望ましい。更に、透明なビニールシートに開閉できる小窓を設けたりすれば、運賃支払時のやりとりが阻害されることもない。
【0022】
制御部40は、図2に示しているように、紫外線照射部10に接続され、紫外線照射のON/OFFを制御する。また制御部40には、車内表示装置30、人感センサ50、パーキングブレーキ(の作動状態を確認できる信号線)60及びドア(の作動状態を確認できる信号線)70にも電気的に接続されている。即ち、制御部40は、車内表示装置30の状態、人感センサ50が人の存在を検知しているか否か、パーキングブレーキ60が作動しているか否か、ドア70が開いているか否かを把握することができる構成となっている。
〈タクシー車両殺菌システムの作用・機能〉
タクシー車両殺菌システムには、そのシステム自体をON/OFFする物理的なスチッチが設けられており、そのスイッチをONにすることによって、紫外線照射部10からの紫外線C波の照射が行われる。
【0023】
ただし、制御部40から紫外線C波の照射を停止するよう命令が出ている間は、照射は行われない。具体的には、車内表示装置30が所定の表示となっている間(例えば「賃走」の表示となっているとき)は照射が行われない。また、人感センサ50が乗客の存在を検知している間は照射されない。また、パーキングブレーキ60が作動している間は照射されない。また、ドア70が1つでも開いている(完全に閉まっていない)状態の間は照射されない。
【0024】
このような制御を行うことによって、乗客が居るにも関わらず紫外線を誤照射することを完全に排除している。また、このような制御を行うことによって、乗客が入れ替わる間、例えば、次の乗客を拾うために走行している間に自動的に殺菌を行うことが可能となっている。
【0025】
なお、例えば、所定の時間分だけ紫外線の照射が完了したことを運転手に知らせることができる表示を別途設けるようにしてもよい。このようにすれば、運転手が次の乗客を乗せることができるレベルの殺菌が完了したことを容易に知ることができる。
【0026】
また、所定の時間分だけの紫外線照射が完了するまでの間、車外から認識できるように「殺菌中」といった表示がされるような構成を採用してもよい。このように構成すれば、殺菌が完了するまでの間にタクシーを利用しようとする者に対して「乗車拒否された」といった誤解を与えることを低減させることが可能となる。
【符号の説明】
【0027】
1・・・タクシー車両
10・・・紫外線照射部
20・・・シールド
30・・・車内表示装置
40・・・制御部
50・・・人感センサ
60・・・パーキングブレーキ
70・・・ドア
図1
図2