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特開2022-154574天井吊り用空調ユニット、空調ユニットの天井吊り構造、および天井吊り施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154574
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】天井吊り用空調ユニット、空調ユニットの天井吊り構造、および天井吊り施工方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0047 20190101AFI20221005BHJP
   E04B 9/00 20060101ALI20221005BHJP
   E04B 9/18 20060101ALI20221005BHJP
   F24F 13/32 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
F24F1/0047
E04B9/00 F
E04B9/18 D
F24F13/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057678
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000169499
【氏名又は名称】高砂熱学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(72)【発明者】
【氏名】古川 潤
(72)【発明者】
【氏名】堀場 洋祐
(72)【発明者】
【氏名】中坪 剛
(72)【発明者】
【氏名】原 篤士
(72)【発明者】
【氏名】福永 裕也
(57)【要約】
【課題】天井から空調機器を吊下して設置する場合に、吊下位置に対する空調機器の位置関係を調整する。
【解決手段】天井のデッキプレート10に、取付金具21によって支持柱20が垂直方向に設けられている。空調ユニット30の空調機本体31を有している。空調機本体31の上面には、横フレーム32、縦フレーム33が直交して設けられている。横フレーム32は取り付け棒37によって空調機本体31と固定されている。横フレーム32上には支持柱20と固定される支持柱固定金具40が固定されている。横フレーム32、縦フレーム33は長孔を介して固定部材38で固定されている。固定部材38による固定等を一旦緩和することで、横フレーム32、縦フレーム33と空調機本体31のX-Y方向の相対的位置関係を調整できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井から吊下される空調ユニットであって、
空調機本体と、
前記空調機本体に対して、水平面上でX-Y方向に相対移動可能に固定されるフレーム材と、
前記天井に設けられた天井吊下用の支持柱を固定するための支持柱固定金具が、前記フレーム材に固定されたことを特徴とする、天井吊り用空調ユニット。
【請求項2】
前記支持柱と前記支持柱固定金具とは、水平面上でθ方向に移動可能に固定されることを特徴とする、請求項1に記載の天井吊り用空調ユニット。
【請求項3】
前記フレーム材は、
前記空調機本体に固定され、前記空調機本体の上面に直交するように配置される、複数の縦フレームと横フレームとを有し、
前記縦フレームと横フレームには、複数の長孔が長手方向に沿って形成され、
前記長孔を挿通して固定される固定部材によって、前記支持柱固定金具が、前記縦フレームまたは横フレーム固定されていることを特徴とする、請求項1にまたは2のいずれかに記載の天井吊り用空調ユニット。
【請求項4】
前記縦フレームと横フレームは、前記長孔を挿通する固定部材によって相互に固定されていることを特徴とする、請求項3に記載の天井吊り用空調ユニット。
【請求項5】
前記フレーム材の上に、前記空調機本体の運転に使用される機器が固定されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の天井吊り用空調ユニット。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の天井吊り用空調ユニットが、天井から吊下されている構造であって、
前記天井の下面に、支持柱の上端部が固定され、
前記支持柱の下端部が、前記支持柱固定金具に固定されていることを特徴とすることを特徴とする、空調ユニットの天井吊り構造。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載の天井吊り用空調ユニットを天井から吊下させる天井吊り施工方法であって、
天井に支持柱を固定する工程と、
前記空調ユニットを楊重する工程と、
前記支持柱の下端部と前記支持柱固定金具とを固定する工程と、を有することを特徴とする、天井吊り施工方法。
【請求項8】
前記支持柱の下端部と前記支持柱固定金具とを固定する工程の後、
前記空調機本体とフレーム材との相対的位置関係を、水平面上で少なくともXまたはY方向に相対的に調整する工程を有することを特徴とする、請求項7に記載の天井吊り施工方法。
【請求項9】
請求項2に記載の天井吊り用空調ユニットを天井から吊下させる天井吊り施工方法であって、
天井に支持柱を固定する工程と、
前記空調ユニットを楊重する工程と、
前記支持柱の下端部と前記支持柱固定金具とを固定する工程と、を有し、
前記支持柱の下端部と前記支持柱固定金具とを固定する工程の後、
前記空調機本体とフレーム材との相対的位置関係を、水平面上で少なくともX方向、Y方向またはθ方向のいずれかを相対的に調整する工程を有することを特徴とする、天井吊り施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の天井から吊下げて使用する天井吊り用空調ユニット、当該空調ユニットの天井吊り構造、および天井吊り施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ビル等に設置される空気吹出部を形成するファンコイルユニットのような空調機器は、100kg程度の質量を有するものもあり、このような空調機器を室内の天井部に設置するには、天井部を構成する床スラブの下面から、支持部材を介して天井吊りされる。
【0003】
この点に関し、例えば特許文献1には、吊りフックを直接又は間接的に設けた天付き金具を、建造物のコンクリート躯体の下面に固定する工程と、支持コラムを備えたスライド機構を有する枠体を、天吊り機器の上面に地組みにより取付けて天吊りユニットを形成する工程と、前記吊りフックに支持させた揚重操作具で前記天吊りユニットを引上げる工程と、前記支持コラムを天付き金具に連結する工程と、前記スライド機構で天吊りユニットの水平方向の位置を調節してスライド機構を枠体に固定する工程と、を有する天吊り機器の一点吊り工法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3923185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記した特許文献1に記載の技術によれば、1人の作業員であっても空調機器などの天吊り機器を天井に取付けできるようになるなど、当時の技術下では、作業性が良好なものであった。
【0006】
ところで室内の天井面、例えば居室や事務室など人の居住空間の天井面には、意匠的にも天井部のスラブ下面を露出させるわけにはいかないので、適宜天井パネル材を張り巡らせている。これら天井パネル材は、一般的に吊り金具で複数個所を支持した格子状のパネル用フレーム材に、下方から固定される。
【0007】
このような条件で、空調機器を天井面に吊下して設置する場合、格子状に設定されたパネル用フレーム材における所定のフレーム枠内に、正しく空調機器を吊下して設置する必要がある。またその一方で、天井面は、例えば断面が凹凸状のデッキプレートで形成されていることがある。かかる場合、デッキプレート下面において空調機器を吊下させるための金具、部材を取り付ける位置が制限されることがある。
【0008】
以上のことを鑑みると、空調機器を天井のスラブ下面から吊下して、かつ前記したような格子状のパネル用フレーム材が設定されている場合、所定のフレーム枠内に空調機器を正確に収めることは、当然それを考慮して予め設計されているとはいえ実際は難しいことがあり、位置ずれ等に簡易迅速に対応することが難しかった。
【0009】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、天井から空調機器を吊下して設置する場合も、位置調整を可能とし、前記問題を解決することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明は、天井から吊下される空調ユニットであって、空調機本体と、前記空調機本体に対して、水平面上でX-Y方向に相対移動可能に固定されるフレーム材と、前記天井に設けられた天井吊下用の支持柱を固定するための支持柱固定金具が、前記フレーム材に固定されたことを特徴としている。
【0011】
本発明によれば、空調機本体に対して、水平面上でX-Y方向に相対移動可能に固定されるフレーム材を有しており、このフレーム材に、天井に設けられた天井吊下用の支持柱を固定するための支持柱固定金具が固定されているので、天井吊下用の支持柱と支持柱固定金具を固定して、空調ユニットを吊下しても、空調ユニットを、支持柱、すなわち吊下位置からX-Y方向に位置調整することができる。
【0012】
またこの場合、さらに前記支持柱と前記支持柱固定金具とが、水平面上でθ方向に移動可能に固定されていてもよい。これによって、X-Y方向の位置調整のみならず、水平面上でθ方向への位置調整も可能になる。θ方向の位置調整が可能な固定部材としては、例えばボルト止めされるルーズフランジが例示できる。
【0013】
前記フレーム材としては、例えば前記空調機本体に固定され、前記空調機本体の上面に直交するように配置される、複数の縦フレームと横フレームとを有し、前記縦フレームと横フレームには、複数の長孔が長手方向に沿って形成され、前記長孔を挿通して固定される固定部材によって、前記支持柱固定金具が、前記縦フレームまたは横フレーム固定されているものが例示できる。
【0014】
かかる場合、各フレームの長手方向に沿って形成されている長孔を挿通する固定部材によって固定されるので、固定部材の固定位置を長孔内で適宜移動させることができ、これによって当該方向に支持柱と空調機本体との相対的位置関係を調整することができる。それにより、天井から空調機器を吊下して設置する場合も、位置調整が可能になる。固定部材としては、例えばボルト、ネジ類や、ボルトとナットとの組み合わせが例示できる。さらに長孔を形成した分、フレーム材全体としての質量を低減することができる。
【0015】
また縦フレームと横フレームとを例えば直交する方向に交差させて相互に固定するようにしてもよく、かかる場合も、各フレームの長手方向に沿った長孔を介して、前記した固定部材を使うと、当該長孔内で固定部材による固定位置の位置調整が可能となり、さらに調整の範囲が広がる。
【0016】
前記縦フレームと横フレームは、前記長孔を挿通する固定部材によって相互に固定されていてもよい。かかる構成を採ることで、空調機本体の上面を有効に利用することができる。
【0017】
フレーム材の上に、空調機本体の運転に必要な機器が固定されていてもよい。
例えば空調機本体をエレベーター式の楊重機等を用いることで、特許文献1に記載されていたような4点支持のためのワイヤ等を平面視で十字型に引っかける必要はなく、これにより、空調機本体の上面スペースを有効に使用できる。しかも空調機本体の運転に使用される機器が予め空調ユニットに設置されているので、これらの機器の現場での取り付け作業が不要であり、作業性が良好である。
なお空調機本体の運転に使用される機器とは、例えば冷媒の切り替え装置や、その他、例えば電装機器、信号機器、モデム等の通信機器、ルータ、アンテナなどの種々の機器が例示できる。
【0018】
前記支持柱固定金具における前記固定部材が挿通する部分には、長孔が形成されていてもよい。これによって前記したボルト等による固定位置を簡単に調整することができ、さらに空調ユニットの設置位置を調整できる範囲が広がる。
【0019】
前記支持柱固定金具の上面には、前記天井から吊下される支持柱との間でθ方向の位置調整が可能な固定部材が設けられていてもよい。かかる構成を採ることで、X-Y方向の調整のみならず、θ方向、すなわち水平面における角度調整も可能となる。θ方向の位置調整が可能な固定部材としては、例えばボルト止めされるルーズフランジが例示できる。
【0020】
別な観点による本発明は、前記した空調ユニットが、天井から吊下されている構造であって、前記天井の下面に、支持柱の上端部が固定され、前記支持柱の下端部が、前記支持柱固定金具に固定されていることを特徴としている。
【0021】
さらに別な観点による本発明は、前記した空調ユニットを天井から吊下させる天井吊り施工方法であって、天井に支持柱を固定する工程と、前記空調ユニットを楊重する工程と、前記支持柱の下端部と前記支持柱固定金具とを固定する工程と、を有している。
【0022】
かかる場合、前記支持柱の下端部と前記支持柱固定金具とを固定する工程の後、前記空調機本体とフレーム材との相対的位置関係を、水平面上で少なくともXまたはY方向に相対的に調整する工程を有するようにしてもよい。
ボルト、ナット等の固定部材で固定している場合には、当該固定を一旦緩和することで、そのような調整を行うようにしてもよい。
【0023】
また前記支持柱の下端部と前記支持柱固定金具とを固定する工程の後、前記空調機本体とフレーム材との相対的位置関係を、水平面上で少なくともX方向、Y方向またはθ方向のいずれかを相対的に調整する工程を有していてもよい。例えばルーズフランジを用いてθ方向の回転を可能とするように固定している場合には、ルーズフランジを固定する固定部材を一旦緩和させて、θ方向に空調ユニットを位置調整するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、天井から空調機器を吊下して設置する場合も、空調機器の吊下位置に対する位置関係を調整することが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施の形態にかかる空調ユニットの天井吊り構造の斜視図である。
図2】実施の形態にかかる空調ユニットの天井吊り構造の正面図である。
図3】実施の形態にかかる空調ユニットの天井吊り構造の側面図である。
図4図2のA-A線矢視図である。
図5】実施の形態にかかる空調ユニットにおける空調機本体と化粧パネルの斜視図である。
図6】実施の形態にかかる天井吊り施工方法の施工手順を示し。デッキプレートの下面に支持柱を固定した様子を示す正面図である。
図7】実施の形態にかかる天井吊り施工方法の施工手順を示し、空調ユニットを楊重している様子を示す正面図である。
図8】実施の形態にかかる天井吊り施工方法の施工手順を示し、化粧パネルを空調機本体の下面に取り付ける様子を示す正面図である。
図9】実施の形態にかかる天井吊り施工方法の施工手順を示し、化粧パネルを空調機本体の下面に取り付ける様子を示す斜視図である。
図10】補強部材に溝型鋼を用いた場合のデッキプレートと取付金具との固定状況を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、実施の形態について説明する。図1図3は、それぞれ実施の形態にかかる天井吊り構造1の構成の概略を示す斜視図、同正面図。及び側面図である。なお、以下の説明において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0027】
実施の形態にかかる天井吊り構造1は、天井を構成するスラブ下面のデッキプレート10から、支持柱20を介して、空調ユニット30を吊下しているものである。デッキプレート10は、凹凸が一方向に連続したいわゆる波板構造を有している。
【0028】
支持柱20は、取付金具21を介して、デッキプレート10の下面に固定される。詳述すれば、取付金具21の中心には、予め溶接等により支持柱20が固着されている。また取付金具21は、平板部22と、この平板部22と支持柱20との間に固着されている4枚の略三角形の支持板部23を有している。そして平板部22は、ボルト、ナット等からなる固定部材24によって、デッキプレート10の上部11と固定されている。具体的には、図2に示したように、例えばデッキプレート10の上部11と平板部22との間に、スペーサーを兼ねた補強部材Hとして鋼管を配置し、この鋼管をスリーブとして用いている。そして当該鋼管内を固定部材24のボルトなどを挿通させるようにして、取付金具21の平板部22と、デッキプレート10の上部11とが固定されている。これによって、補強部材Hは、デッキプレート10の上部11の下面と、取付金具21の平板部22の上面との間を埋めるスペーサーとして機能し、かつデッキプレート10への取付金具21の固定部の補強をすることが可能である。なお図示の都合上、図2以下では、一部ハッチングを示す線は省略している場合がある。
【0029】
支持柱20の下端部には、空調ユニット30のθ方向への調整を可能とするための部材として、例えばルーズフランジ25が設けられている。
【0030】
空調ユニット30は、空調機本体31を有し、空調機本体31の上面には、断面がアングル形状の横フレーム32と縦フレーム33とが直交して交差するように設けられている。より詳述すると、横フレーム32には、長手方向に沿って、長さの異なる長孔32a、32bが複数形成されている。また縦フレーム33にも長手方向に沿って、長さの異なる長孔33a、33bが複数形成されている。
【0031】
この例では、例えば4本の横フレーム32の上に3本の縦フレーム33が配置され、各々の長孔、例えば横フレーム32の両端近傍の長孔32aと、縦フレーム33に中央寄りに位置する長孔33bとを、ボルト、ナット等からなる固定部材35で締め付け固定することで、4本の横フレーム32の上に3本の縦フレーム33が一体化されている。
【0032】
そしてこのようにして一体化された4本の横フレーム32と3本の縦フレーム33は、両端に位置する縦フレーム33の端部の長孔33aと、空調機本体31のコーナー部に固定されているブラケット36との間に、両端にねじを切った取り付け棒37を挿通し、各突出端部にナット38を締め付けて、空調機本体31と固定されている。
【0033】
中央に位置している2本の横フレーム32、32の上には、支持柱固定金具40が固定されている。支持柱固定金具40は、中心に位置している柱状部41と、平板部42と、この平板部42と柱状部41との間に固着されている2枚の略三角形の支持板部43を有している。そして平板部42の四隅近傍に形成された長孔42aと、横フレーム32の長孔32bとを固定部材44で挿通して、固定することで、支持柱固定金具40は2本の横フレーム32、32の上に固定されている。
【0034】
柱状部41の上端部には、空調ユニット30のθ方向への調整を可能とするための部材として、例えばルーズフランジ45が設けられている。
【0035】
そして本実施の形態では、一側の2本の縦フレーム33、33の上に、空調機本体31を運転する際に使用される機器として、例えば冷媒切替装置50が設けられている。2本の縦フレーム33、33上に載置、固定するにあたっては、例えば冷媒切替装置50における対向する2つの面に、各々貫通長孔を有するブラケット51を固着しておき、前記した取り付け棒37と同様な構成を有する取り付け棒52を、ブラケット51の長孔と縦フレーム33の長孔33a間に挿通させ、各突出端を、たとえばナットなどの固定部材53で締め付け固定することで、固定される。
【0036】
空調機本体31の下面には、吹き出し口を有する化粧パネル60が着脱自在に設けられている。この化粧パネル60は、図5に示したように、四隅に三角形の開口部61を有しており、開口部61の中心寄りの部分に支持部62が設けられている。支持部62には、係止部材63が図中の往復矢印に示したように回動自在に設けられている。この場合、バネ部材などによって中心側(空調機本体31側)に係止部材63が付勢されていてもよい。
【0037】
前記化粧パネル60の係止部材63は、空調機本体31に設けられているフック39に係止することが可能であり、係止部材63がフック39に係止されることで化粧パネル60は空調機本体31に固定される。固定を解除する場合には、開口部61から手を入れて係止部材63の係止を解除すればよい。なお開口部61は、適宜の蓋板(図示せず)で覆うことが可能である。
【0038】
実施の形態にかかる天井吊り構造1は以上の構成を有しており、次にその施行方法について説明する。まず図6に示したように、スラブ下面のデッキプレート10に、固定部材24によって、支持柱20と一体になった取付金具21を固定する。
【0039】
次に、図7に示したように、空調ユニット30を楊重する。空調ユニット30自体は、現場ではなく、例えば組み立て工場によって予めユニットとして製作されている。すなわち、空調機本体31に対して、横フレーム32、縦フレームの固定、支持柱固定金具40の横フレーム32への固定、冷媒切替装置50の固定、さらには冷媒切替装置50の冷媒配管54の空調機本体31への接続が、予め行われている。したがって、これらの部材を組み立てての空調ユニット30の完成は作業が行いやすい場所で実施でき、しかも現場に搬入し、楊重してからの作業も大きく軽減される。
【0040】
空調ユニット30を現場へ搬入した後、例えばジャッキ等を使用した揚重機によって、デッキプレート10側へと空調ユニット30を楊重していく。そして図8に示したように、支持柱20の下端部のルーズフランジ25と支持柱固定金具40の柱状部41上端部のルーズフランジ45とを突き合わせ、ボルト、ナット等の固定部材65によってルーズフランジ25、45を固定する。
【0041】
その後は、図8図9に示したように、化粧パネル60を押し上げて、空調機本体31のコーナー部に設けたフック39に、化粧パネル60の係止部材63を係止させると、図1に示したように、天井吊り構造1が完成する。
【0042】
ところで既述したように、空調機器を天井面に吊下して設置する場合、図9に示したように、格子状に設定されたパネル用フレーム材70における所定のフレーム枠71内に、正しく空調機本体31を吊下して、設置する必要がある。また天井面は、断面が凹凸状のデッキプレート10で形成されているから、取付金具21を下面に取り付ける場合、デッキプレート10の上部11に固定する必要があり、このことから取付金具21の固定位置の自由度は制限されている。したがって、パネル用フレーム材70における所定のフレーム枠71内に、正しく空調機本体31を吊下することが従来は難しかった。
【0043】
しかしながら、実施の形態にかかる天井吊り構造1によれば、空調機本体31に固定される横フレーム32、縦フレーム33は、長孔を介して固定部材で固定されており、また支持柱固定金具40の横フレーム32への固定も横フレーム32の形成されている長孔32aを介して固定部材44によって固定されているから、楊重して空調ユニット30の柱状部41を支持柱と固定した後も、一旦これらの固定部材による固定を緩和することで、図1に示したX方向、Y方向への微調整が可能である。したがって、現場にて簡易迅速に空調ユニット30における空調機本体31の位置調整が行える。
【0044】
さらにまた、ルーズフランジ25、45の固定を一旦緩和することで、図1の往復矢印で示したθ方向への空調機本体31の位置調整も可能になる。したがって、実施の形態にかかる天井吊り構造1によれば、水平面におけるX方向、Y方向、θ方向への調整が可能であり、しかもこれらを容易に行うことができる。
【0045】
さらにまたX方向、Y方向への位置調整を実現している横フレーム32、縦フレーム33は、直交する方向に配置され、そして各々長手方向に形成した長孔32a、32b、33a、33bを用いて、ボルト等の固定部材を挿通させるようにしているが、これら長孔の長さを適宜調整することで、調整の範囲を設定できる。しかも横フレーム32、縦フレーム33にこれらの長孔を形成することで、横フレーム32、縦フレーム33の質量もその分軽減することができ、その分空調ユニット30を楊重する際の負担も軽減される。
【0046】
なお前記した実施の形態では、図2などに示したように、デッキプレート10の上部11と平板部22との間に、補強部材Hとして鋼管を配置していたが、鋼管に代えて図10に示したように、補強部材Hとして所謂溝型鋼を用いてもよい。
【0047】
すなわち、各々デッキプレート10の上部11の下面と、取付金具21の平板部22の上面との間に配置し、溝型鋼の対向する面の1つの面は、デッキプレート10の上部11の下面と突き合わせて、固定部材24のボルト材24aで貫通させて、突出端部をナット材24bで締め付け、溝型鋼の対向する面の他の面は、平板部22と突き合わせて、固定部材24のボルト材24aで貫通させて、ボルト材24aの突出端部をナット材24bで締め付けて固定したものである。これによって、補強部材Hは、デッキプレート10の上部11の下面と、取付金具21の平板部22の上面との間を埋めるスペーサーとして機能し、かつデッキプレート10への取付金具21の固定部の補強をすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、天井面に空調機器を吊下設置する際に有用である。
【符号の説明】
【0049】
1 天井吊り構造
10 デッキプレート
11 上部
20 支持柱
21 取付金具
24 固定部材
25 ルーズフランジ
30 空調ユニット
31 空調機本体
32 横フレーム
32a、32b 長孔
33 縦フレーム
33a、33b 長孔
40 支持柱固定金具
50 冷媒切替装置
60 化粧パネル
70 パネル用フレーム材
H 補強部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10