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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154576
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】複眼内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20221005BHJP
   A61B 1/04 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
A61B1/00 522
A61B1/04 530
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057680
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】320008672
【氏名又は名称】i-PRO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 治彦
(72)【発明者】
【氏名】白井 直実
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161BB02
4C161BB03
4C161BB04
4C161CC06
4C161JJ06
4C161LL02
4C161NN01
4C161PP06
4C161PP11
4C161PP13
(57)【要約】
【課題】量産性に優れ、製造コストを低減できる複眼内視鏡を提供する。
【解決手段】複眼内視鏡は、光学系を内包する鏡筒と、イメージセンサと、鏡筒およびイメージセンサを相対的に固定するセンサ保持部材とを有し、同一外形状に形成された2つ以上の撮像モジュールと、2つ以上の撮像モジュールのそれぞれを相対的に固定するサブフレームと、サブフレームと2つ以上の撮像モジュールとを収容かつ固定する外殻と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系を内包する鏡筒と、イメージセンサと、前記鏡筒および前記イメージセンサを相対的に固定するセンサ保持部材とを有する、2つ以上の撮像モジュールと、
前記2つ以上の撮像モジュールのそれぞれを相対的に固定するサブフレームと、
前記サブフレームと前記2つ以上の撮像モジュールとを収容かつ固定する外殻と、を備える、
複眼内視鏡。
【請求項2】
前記2つ以上の撮像モジュールのそれぞれは、予め測定された撮像性能を含む技術的な所定の項目の性能評価試験の結果として、互いに所定の相関関係を満たす性能評価特性を有する、
請求項1に記載の複眼内視鏡。
【請求項3】
前記所定の相関関係は、それぞれの前記撮像モジュールが有する前記性能評価特性が示す値のばらつきが所定範囲内となる関係である、
請求項2に記載の複眼内視鏡。
【請求項4】
前記所定の相関関係は、それぞれの前記撮像モジュールが有する前記性能評価特性が互いに異なる関係である、
請求項2に記載の複眼内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複眼内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、信頼性が高く、一般画像および高品質な立体画像を得ることができる医療用あるいは工業用の電子内視鏡装置が知られている(例えば特許文献1参照)。この電子内視鏡装置のビデオスコープは、先端部に撮像手段を設けた内部構造体と、この内部構造体を外装する外装構造体とからなる二重気密封止構造である。外装構造体は、先端部にカバーガラスを有する外筒と、外筒の後端部に設け映像信号取り出し部を有する操作部とを気密封止した構成であり、その内部に、先端部に対物レンズとCCDモジュールとを有する撮像手段を設けた内筒と、内筒の後端部に設けた映像信号接続部とを気密封止した内部構造体を設けた構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-265047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
左右の視差を有する撮像画像を得て立体的に表示させることが可能な3D内視鏡は、1つの部品に2つのイメージセンサ、2つの鏡筒(光学系)を組み付けることにより構成される。ところが、特許文献1の電子内視鏡装置においては、箱状に形成された実装部材の空洞部に、左眼用CCDモジュールと右眼用CCDモジュールとが一体化されたCCDモジュールが挿入されてネジ、接着剤等で固定される。このため、実装部材の構造が複雑となり、量産性に適さず、3D内視鏡の製造コストが高くなるという問題があった。
【0005】
本開示は、上述した従来の事情に鑑みて案出され、量産性に優れ、製造コストを低減できる複眼内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、光学系を内包する鏡筒と、イメージセンサと、前記鏡筒および前記イメージセンサを相対的に固定するセンサ保持部材とを有する、2つ以上の撮像モジュールと、前記2つ以上の撮像モジュールのそれぞれを相対的に固定するサブフレームと、前記サブフレームと前記2つ以上の撮像モジュールとを収容かつ固定する外殻と、を備える、複眼内視鏡を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、量産性に優れ、製造コストを低減できる複眼内視鏡を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る内視鏡システムの外観例を示す斜視図
図2図1に示す硬性部の斜視図
図3図2に示す硬性部の内部を透視した斜視図
図4】複眼内視鏡および単眼内視鏡の組立手順例を示す説明図
図5】撮像モジュールの組立手順例を示す説明図
図6】3Dサブフレームの組立手順例を示す説明図
図7】内視鏡先端部品が接着固定された3Dサブフレームの斜視図
図8】特性評価値のばらつきが抑制される組合せ例を示す説明図
図9】異なる技術的な性能評価特性における組合せ例を示す説明図
図10図2に示す硬性部の側断面図
図11図3に示す内視鏡先端部品および撮像モジュールの分解斜視図
図12】実施の形態1に係る斜視内視鏡の製造方法の手順例を示すフローチャート
図13】3Dサブフレーム調整の手順例を示すフローチャート
図14】3Dサブフレームの光軸平行度調整および映像水平調整の手順例を示す模式図
図15】カバーガラスが接着固定された内視鏡先端部品の斜視図
図16】可撓基板が折り曲げられる前の撮像モジュールの斜視図
図17】一つの撮像モジュールが側視鏡と直視鏡とに作り分けられる説明図
図18】折り曲げ部が側視鏡用の屈曲状態となった側視用の撮像モジュールの斜視図
図19図18に示した側視用の撮像モジュールの側面図
図20図18に示した側視用の撮像モジュールの正面図
図21図18に示した側視用の撮像モジュールの下面図
図22】側視用の撮像モジュールを収容した側視鏡硬性部の斜視図
図23図22に示した側視鏡硬性部の断面図
図24図22に示した側視鏡硬性部を透視した斜視図
図25図24に示した側視鏡硬性部を光学系と反対側から見た斜視図
図26】折り曲げ部が直視鏡用の屈曲状態となった直視用の撮像モジュールの斜視図
図27図26に示した直視用の撮像モジュールの側面図
図28】直視用の撮像モジュールを収容した直視鏡硬性部の断面図
図29】折り曲げ部が斜視鏡用の屈曲状態となった斜視用の撮像モジュールの斜視図
図30図29に示した斜視用の撮像モジュールの側面図
図31】斜視用の撮像モジュールを収容した斜視鏡硬性部の断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の一構成に至る経緯]
左右の視差を有する撮像画像を得て立体的に表示させることが可能な3D内視鏡は、1つの部品に2つのイメージセンサ、2つの鏡筒(光学系)を組み付けることにより構成される。ところが、特許文献1の電子内視鏡装置においては、箱状に形成された実装部材の空洞部に、左眼用CCDモジュールと右眼用CCDモジュールとが一体化されたCCDモジュールが挿入されてネジ、接着剤等で固定される。このため、実装部材の構造が複雑となり、量産性に適さず、3D内視鏡の製造コストが高くなるという問題があった。
【0010】
一方、特許文献1の電子内視鏡装置では、箱状に形成した実装部材の空洞部に、左眼用CCDモジュールと右眼用CCDモジュールとが一体化されたCCDモジュールが挿入されてネジ、接着剤等によって固定される。このため、直視鏡用の実装部材に固定する専用のCCDモジュールとなり、他の用途の内視鏡(例えば斜視鏡、側視鏡)の製造には別途それらに専用のCCDモジュールを製作しなければならず、汎用性が低く、量産性に適さず、内視鏡の製造コストが高くなる問題があった。
【0011】
以下の実施の形態では、上述した従来の事情に鑑みて案出され、量産性に優れ、製造コストを低減できる複眼内視鏡あるいは内視鏡の例を説明する。
【0012】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る複眼内視鏡ならびに内視鏡を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0013】
[構成]
図1は、実施の形態1に係る内視鏡システム11の外観例を示す斜視図である。ここで用いられる用語として、水平面あるいは水平なテーブル等の載置面に置かれたビデオプロセッサ13の筐体の上方向と下方向をそれぞれ「上」、「下」と称する。また、内視鏡が観察対象を撮像する側を「前(先)」と称し、ビデオプロセッサ13に接続される側を「後」と称する。
【0014】
内視鏡システム11は、内視鏡の一例としての斜視内視鏡15と、ビデオプロセッサ13と、モニタ17とを含む構成である。なお、内視鏡システム11に用いられる斜視内視鏡15は一例であり、内視鏡システム11を構成する内視鏡として、斜視内視鏡15以外に直視内視鏡(「直視鏡」と称する場合がある)、あるいは側視内視鏡(「側視鏡」と称する場合がある)が用いられてもよい。斜視内視鏡15は、医療用の例えば硬性鏡または軟性鏡である。ビデオプロセッサ13は、斜視内視鏡15が挿入される被検体内の観察対象(例えば患部)を撮像することで得られる撮像画像(例えば、静止画、動画を含む)に各種の画像処理を施して出力する。モニタ17は、ビデオプロセッサ13から出力された表示用信号にしたがって、画像を表示する。各種の画像処理は、例えば、色補正、階調補正、ゲイン調整を含むが、これらの処理に限定されない。
【0015】
斜視内視鏡15は、観察対象の内部に挿入されるスコープ19と、スコープ19の後端部が接続されるプラグ部21とを備える。スコープ19は、比較的長い可撓性を有する軟性部23と、軟性部23の先端に設けられた剛性を有する硬性部25とを含む構成である。斜視内視鏡15は、硬性部25からプラグ部21までの間を一つの完成品として取り扱い可能である。
【0016】
ビデオプロセッサ13は、筐体27を有し、斜視内視鏡15により撮像された撮像画像に各種の画像処理を施し、画像処理後の表示用信号を出力する。筐体27の前面には、プラグ部21の基端部29が挿入されるソケット部31が配置される。プラグ部21がソケット部31に挿入され、斜視内視鏡15とビデオプロセッサ13とが電気的に接続されることで、斜視内視鏡15とビデオプロセッサ13との間で電力および各種信号(例えば撮像画像信号、あるいは制御信号)の送受信が可能となる。これらの電力および各種信号は、スコープ19の内部に挿通された伝送ケーブル33(図3参照)を介して、プラグ部21から軟性部23に伝送される。また、硬性部25の内側に設けられたイメージセンサ35(図5参照)から出力される撮像画像の信号は、伝送ケーブル33を介して、プラグ部21からビデオプロセッサ13に伝送される。
【0017】
ビデオプロセッサ13は、伝送ケーブル33を介して伝送された撮像画像の信号に対し、各種の画像処理(上述参照)を施し、画像処理後の撮像画像のデータを表示用信号に変換して、モニタ17に出力する。
【0018】
モニタ17は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)あるいはCRT(Cathode Ray Tube)等の表示デバイスにより構成される。モニタ17は、斜視内視鏡15によって撮像された観察対象の撮像画像を表示する。モニタ17は、例えばビデオプロセッサ13からプラグ部21を介して硬性部25に導光された、観察対象を照明するための例えば可視光(つまり白色光)の照明の下で撮像された可視光画像を表示する。
【0019】
図2は、図1に示す硬性部25の斜視図である。斜視内視鏡15では、硬性部25は、内視鏡先端部品37を有する。内視鏡先端部品37は、剛性を有する金属(例えばステンレス鋼)もしくは剛性を有するように成形された樹脂によって形成することができる。内視鏡先端部品37は、例えば楕円板状に形成される。なお、内視鏡システム11を構成する内視鏡が直視鏡である場合には、内視鏡先端部品37は円板状に形成されてよい。図2に示すように、内視鏡先端部品37には、複数の窓用貫通孔39が穿設される。本実施の形態では、3つの窓用貫通孔39が内視鏡先端部品37の中心から放射方向に配置される。それぞれの窓用貫通孔39は、対物用のカバーガラス41が接着固定されることにより気密に塞がれる。斜視内視鏡15において、内視鏡先端部品37と、内視鏡先端部品37に接着固定されたシース43の先端部分とが、円柱状の外観を有した硬性部25を構成している。なお、本実施の形態に係る斜視内視鏡15において、硬性部25の長さは斜視内視鏡15が被検体内の挿入のし易さを満たすものであれば、図2に示した長さに限定されずに特に問わない。
【0020】
図3は、図2に示す硬性部25の内部を透視した斜視図である。斜視内視鏡15は、硬性部25の内部に、内視鏡モジュールの一例としての3Dカメラモジュール45を有する。3Dサブフレーム(以下「3Dカメラモジュール45」と称する)は、複数の撮像モジュール47により構成される。本実施の形態では、3Dカメラモジュール45は、3D内視鏡として3次元画像を構成する画像を撮像するために、例えば2つの撮像モジュール47により構成される。なお、3Dカメラモジュール45は、3D内視鏡として3次元画像を構成する画像を撮像するために、例えば2つの撮像モジュール47により構成される例に限定されず、例えば光学フィルタ特性が異なる撮像モジュール47が組み合わされて構成されてもよい。つまり、後述する複眼内視鏡101は、3D内視鏡としての機能および用途を有するものに限定されず、例えば光学フィルタ特性が異なる少なくとも2つの撮像モジュール47を組み合わせて3次元画像以外の画像を得るものであってもよい。
【0021】
図4は、複眼内視鏡101および単眼内視鏡103の組立手順例を示す説明図である。3Dカメラモジュール45は、同一外形状に形成された撮像モジュール47を2つ組み合わせて複眼内視鏡101を構成する。一方、単体の撮像モジュール47は、単眼内視鏡103を構成する。同一外形状を有する2つの撮像モジュール47は、サブフレーム63に形成された一対の鏡筒挿通孔65にそれぞれの鏡筒51が接着固定されることにより、1つの3Dカメラモジュール45を構成する。サブフレーム63は、長円形状の板材で形成され、長手方向に離間した一対の鏡筒挿通孔65を備える。それぞれの鏡筒挿通孔65は、鏡筒51の外径よりも若干大きく形成される。鏡筒51と鏡筒挿通孔65との間には、動くことのできる隙間が存在する。本実施例では鏡筒挿通孔65の最小許容寸法より、鏡筒51の最大許容寸法が小さい。
【0022】
これにより、2つの鏡筒51は、鏡筒挿通孔65に挿通した状態で動くことができ、光学系の光軸まわりの回転調整、光軸に直交する軸まわりの揺動調整が、鏡筒挿通孔65に挿通した状態で可能となる。相互に位置決めされ、かつ、サブフレーム63に対して位置決めされた2つの撮像モジュール47とサブフレーム63とは、鏡筒51の外周が、鏡筒挿通孔65の内周に、接着剤81により接着固定されて、3Dカメラモジュール45に組立てられる。すなわち、撮像モジュール47は、単体で硬性部25に組み込むことにより、単眼内視鏡103として組み立てられる。また、撮像モジュール47は、同一のものをサブフレーム63で組み合わせた3Dカメラモジュール45を硬性部25に組み込むことにより、複眼内視鏡101として組み立てられる。なお、サブフレーム63の材料をアルミなど変形しやすいものとし、撮像モジュール47を固定後、曲げ・捻じりを加えて永久変形させて調整する調整機構も実施可能である。
【0023】
図5は、撮像モジュール47の組立手順例を示す説明図である。撮像モジュール47は、光学系であるレンズ49を内包する鏡筒51と、イメージセンサ35と、鏡筒51およびイメージセンサ35を相対的に固定するセンサ保持部材53とが第1の雰囲気ENV1中で組み付けられる(図12参照)。ここで、第1の雰囲気とは、例えば精密電子部品の組立を行うことができる程度にクリーンな環境(言い換えると、一般的な組立作業環境)である。センサ保持部材53の外部は、さらに角筒状のカバー55により覆われる。レンズ49と鏡筒51とイメージセンサ35とセンサ保持部材53とカバー55と可撓基板59(後述参照)とは、カメラ部57を構成する。カメラ部57を有した撮像モジュール47は、単体でも動作が可能なカメラモジュールとなる。
【0024】
図6は、3Dサブフレームの組立手順例を示す説明図である。2つの撮像モジュール47がサブフレーム63により固定された3Dサブフレーム(つまり、3Dカメラモジュール45)は、内視鏡先端部品37のサブフレーム固定凹部87に接着固定される。サブフレーム固定凹部87は、長円形状の板材で形成されたサブフレーム63が嵌合する長円形状の凹部で形成され、深さがサブフレーム63の板厚程度で形成される。3Dカメラモジュール45と、内視鏡先端部品37とは、細かい調整を必要とせずに、組付けが可能となる。すなわち、3Dカメラモジュール45と、内視鏡先端部品37とは、サブフレーム63と、サブフレーム固定凹部87との機械的な嵌合(嵌め合い)精度で組立が可能となる。サブフレーム63がサブフレーム固定凹部87に固定された3Dカメラモジュール45は、それぞれの鏡筒51が、内視鏡先端部品37の鏡筒挿入孔89に進入して、同軸に位置決めされる。
【0025】
図7は、内視鏡先端部品37が接着固定された3Dサブフレームの斜視図である。内視鏡先端部品37に一体に組み付けられた3Dカメラモジュール45は、内視鏡先端部品37の2つの窓用貫通孔39に嵌合されたカバーガラス41の背部に、鏡筒51がそれぞれ配置される。なお、内視鏡先端部品37に形成された3つの窓用貫通孔39のうち、残りの1つに嵌合されたカバーガラス41の背部には、光源83が配置される。
【0026】
カメラ部57は、イメージセンサ35の背面に、複数のパッド(図示略)を有している。イメージセンサ35の背面には、可撓基板59がこのパッドを介して導通接続される。可撓基板59は、イメージセンサ35と伝送ケーブル33との間に配置される。伝送ケーブル33には、例えば複数の平行な絶縁導体が同一平面上で帯状となったフラットケーブルが用いられる。可撓基板59には、複数本の線状導体をパターン印刷した伝送回路が形成される。可撓基板59は、伝送ケーブル33のそれぞれの電線を、この伝送回路に導通接続する。これにより、イメージセンサ35は、可撓基板59を介して伝送ケーブル33と接続される。可撓基板59としては、複数の帯状薄板からなる導体を絶縁シート材で覆って、可撓性を有する帯状ケーブルに形成したFFC(フレキシブル・フラット・ケーブル)、可撓性を有する絶縁基板に線状導体をパターン印刷したFPC(フレキシブル・プリント・配線板)等を用いることができる。
【0027】
伝送ケーブル33の基端には、コネクタ61が接続される。このコネクタ61は、上述のプラグ部21(図1参照)に収容され、ソケット部31に電気的に接続可能となる。カメラ部57と、伝送ケーブル33と、コネクタ61とは、1つの撮像モジュール47を構成する。
【0028】
複眼内視鏡101は、上述のように、光学系を内包する鏡筒51と、イメージセンサ35と、鏡筒51およびイメージセンサ35を相対的に固定するセンサ保持部材53とを有している。複眼内視鏡101は、同一外形状に形成された2つ以上の撮像モジュール47と、2つ以上の撮像モジュール47のそれぞれを相対的に固定するサブフレーム63と、サブフレーム63と2つ以上の撮像モジュール47とを収容かつ固定する外殻67と、を備えて構成される。
【0029】
図8は、特性評価値のばらつきが抑制される組合せ例を示す説明図である。ここで、2つ以上の撮像モジュール47は、外形状は元より、3Dカメラモジュール45の出荷前に予め測定された3D撮像性能を含む各種の性能評価特性を評価するための技術的な性能評価試験の結果として、所定の相関関係を満たす性能評価特性を有している。
【0030】
技術的な性能評価試験で測定される性能評価特性の項目としては、例えば3D撮像性能に関するベスト合焦位置(言い換えると、観察範囲)、片ボケ度合い、映像明度、色合い(イメージセンサ35の個体差ばらつき)、感度(イメージセンサ35の個体差ばらつき)、周辺光量、解像性能などが挙げられる。ベスト合焦位置(言い換えると、観察範囲)は、3D撮像性能に関する性能評価特性であり、イメージセンサ35と鏡筒51との間の調整誤差で、その撮像モジュール47で観察できる範囲がある程度ばらつく。片ボケ度合いは、光学系(例えばレンズ49)が合わせられて光軸が作られるが、その際、イメージセンサ35のセンサ面に光軸が垂直にならないことにより生じる誤差を示す。映像明度は、光学系(例えばレンズ49)の中にある絞りの開口がずれているなどの理由で生じる。色合い(イメージセンサ35の個体差ばらつき)は、イメージセンサ35の個体差により生じる色相を示す。感度(センサばらつき)も、イメージセンサ35の個体差により生じる出力のばらつきを示す。周辺光量は、画角中心に対して画角の隅部で得られる光量である。解像性能は、主に鏡筒内部のレンズ光学系個体差によるものである。
【0031】
図8には、性能評価特性のうち、例えばベスト合焦位置(言い換えると、観察範囲)における特性評価値(つまり、性能評価特性が示す値)のばらつきを横軸に、確率密度(probability density)を縦軸にとったものである。性能評価特性は、横軸の中央で目標性能に対する差が最小である。この差に任意の幅を当てはめて分類したものがランクである。図8には、所定量の撮像モジュール47の単体サンプルから得られた性能評価特性(例えば、ベスト合焦位置(言い換えると、観察範囲))におけるランクごとのサンプル数を確率分布曲線(正規分布)で表している。この特性評価値のばらつきでは、評価の高い撮像モジュール47が大半を占め、評価特性の差が大きいものほど小数となり、それ以外は規格外NG品となる。撮像モジュール単体サンプルのベスト合焦位置は、例えば30~70mmの範囲を規格内良品(観察OK品)とする。
【0032】
撮像モジュール47は、公差を許して製造するものであるから、実際のベスト合焦位置には上記した30~70mmの範囲がある。この範囲の中央値を例えば50mmとした場合、その範囲は50±20mmとすることができる。この中央値50mmを特性評価値の基準点と考えると、特性評価値の許容範囲は、基準点の値(基準値)±20%とすることができる。つまり、特性評価値が基準値の20%よりも小さいランクは、規格外NG品となり、特性評価値の基準値+その基準値の20%よりも大きいランクは、規格外NG品となる。
【0033】
したがって、複眼内視鏡101を構成する2つの撮像モジュール47のそれぞれの性能評価特性が有する所定の相関関係は、例えば特性評価値のばらつきが抑制された関係(つまり、特性評価値のばらつきが所定範囲内となる関係)とすることができる。
【0034】
複眼内視鏡101は、左右の撮像モジュール47の特性ばらつきを抑えることで長時間使用してもユーザが疲労を感じにくくなる。図8に示す例えばランクC2品とランクA1品の組合せであると、3D視感に違和感が生じ疲労感が増す。そこで、例えば「右C2品と左E2品」、あるいは「左C2品と右A2品」を組み合せて、3Dカメラモジュール45を組む。つまり、特性評価値のばらつきが抑制されたもの同士を使うようにする。これにより、長時間使用してもユーザが疲労を感じにくい複眼内視鏡101が得られるようになる。
【0035】
なお、組合せ間隔(ばらつきの範囲)、左右(正負)はこれに限定されない。また、上記の説明ではベスト合焦位置を一例としたが、特性評価値は、この他、上記した片ボケ度合い、映像明度、色合い(センサばらつき)、感度(センサばらつき)、周辺光量、解像性能のいずれかの性能評価特性に対応する特性評価値であってもよい。
【0036】
図9は、異なる技術的な性能評価特性における組合せ例を示す説明図である。また、所定の相関関係は、上述した特性評価値のばらつきが抑制された関係(つまり、特性評価値のばらつきが所定範囲内となる関係)とする以外に、例えばそれぞれの撮像モジュール47が互いに異なる技術的な性能評価特性を有する関係とすることができる。ここで、異なる技術的な性能評価特性としては、例えばそれぞれの撮像モジュール47が異なる焦点深度(事実上の焦点位置)を有するものを挙げることができる。
【0037】
この場合、撮像モジュールXにおいては、撮像モジュールXに対応するカメラAの観察可能域を例えば15~70mmとする。単眼要求観察範囲は、例えば30~70mmとする。撮像モジュールYにおいては、撮像モジュールYに対応するカメラBの観察可能域を例えば30~100mmとする。この場合、カメラAとカメラBとで構成される3Dカメラモジュール45の観察可能域は15~100mmとなる。このような相関関係を有する2つの撮像モジュール(カメラAとカメラB)を用いて構成された複眼内視鏡101では、ユーザ(人間)の脳内処理によって合成されて認識される画像は、左右それぞれの撮像モジュール47によって撮像される画像が補完し合うため広い認識受容範囲を得ることが可能となる。
【0038】
3Dカメラモジュール45は、2つの撮像モジュール47と、2つの撮像モジュール47のそれぞれを相対的に固定するサブフレーム63と、を備える。サブフレーム63と2つの撮像モジュール47とは、第1の雰囲気とは異なる第2の雰囲気(より具体的には、第1の雰囲気より清浄な環境である第2の雰囲気)中で組み立てられる斜視内視鏡15の本体の外殻内に収容される。ここで、第2の雰囲気とは、第1の雰囲気よりも高い清浄度に設定された組立作業環境である。第2の雰囲気中で外殻内に、3Dカメラモジュール45を収容する作業は、例えば公的認可を受けた限られた清浄な工程で行われることになる。
【0039】
サブフレーム63は、2つの鏡筒51をそれぞれ遊嵌する一対の鏡筒挿通孔65を有する。一対の撮像モジュール47のそれぞれでは、相互に位置決めされた2つの鏡筒51の外周が、鏡筒挿通孔65の内周に接着固定される。
【0040】
3Dカメラモジュール45は、2つ以上の撮像モジュール47のうち少なくとも2つが3次元画像を構成する画像を撮像することができる。
【0041】
図10は、図2に示す硬性部25の側断面図である。斜視内視鏡15の外殻部の一例としての外殻67は、サブフレーム63が固定される内視鏡先端部品37と、管状の先端開口部69が内視鏡先端部品37で塞がれるシース43と、を有する。シース43の後端部には、プラグ部21(図1参照)が取り付けられる。プラグ部21は、伝送ケーブル33の基端に導通接続された上述のコネクタ61が収容される。
【0042】
シース43は、可撓性を有する素材により形成され、斜視内視鏡15の硬性部25の一部と軟性部23との外周を覆っている。シース43の先端開口部69は、硬性部25の軸線71に垂直な仮想面73に対し所定の角度θ傾斜し、開口する。内視鏡先端部品37は、仮想面73に対して傾斜して先端開口部69を塞いでいる。内視鏡先端部品37は、傾斜先端面75における前傾先端部77に、エッジが除去された面取り部79が形成される(図2参照)。サブフレーム63と内視鏡先端部品37とは、接着剤81により接着固定される。
【0043】
図11は、図3に示す内視鏡先端部品37および撮像モジュール47の分解斜視図である。内視鏡先端部品37には、複数の窓用貫通孔39が穿設されている(図2参照)。本実施の形態では、2つの撮像モジュール47と、1つの光源83とに対応する3つの窓用貫通孔39が穿設されている。それぞれの窓用貫通孔39は、対物用のカバーガラス41が接着固定されることにより、気密に塞がれる。内視鏡先端部品37の下部背面には、硬性部25の軸線71に沿ってシース固定部85が突出する。このシース固定部85の外周には、シース43の内周が固定される。
【0044】
内視鏡先端部品37は、サブフレーム63を相対的に位置決めして固定するサブフレーム固定凹部87を有する。サブフレーム固定凹部87は、2つの撮像モジュール47の並列方向に長い長円状の凹部となる。このサブフレーム固定凹部87の底には、2つの撮像モジュール47の鏡筒51を個別に挿入する鏡筒挿入孔89が穿設されている。つまり、図10に示すように、サブフレーム63がサブフレーム固定凹部87に接着固定されると同時に、サブフレーム63の鏡筒挿通孔65に固定されて突出した鏡筒51は内視鏡先端部品37の鏡筒挿入孔89に接着固定される。この鏡筒51の前方には、カバーガラス41が配置されることになる。
【0045】
斜視内視鏡15は、少なくとも1つのカバーガラス41の背面には、外殻67の外部へ照明光を照射する光源83が配置される。光源83には、例えば点光源の一例としてのLED(Light Emission Diode)を好適に用いることができる。LEDは、3つの窓用貫通孔39のうちの1つの背部に光出射部が一致するようにして内視鏡先端部品37に接着固定される。なお、光源83には、LEDだけでなくLEDからの光の照射中の放熱対策として、冷却機構(図示略)が内蔵されてよい。
【0046】
以上の構成を有する斜視内視鏡15は、構造的に捉えれば、以下の構造を有すると言える。すなわち、斜視内視鏡15の構造は、光学系を内包する鏡筒51と、イメージセンサ35と、鏡筒51およびイメージセンサ35を相対的に固定するセンサ保持部材53とを有する、2つ以上の撮像モジュール47を備え、2つ以上の撮像モジュール47のそれぞれを相対的に固定するサブフレーム63を斜視内視鏡15の本体の外殻内に持つ。
【0047】
そして、斜視内視鏡15の構造では、サブフレーム63が、外殻67の外部と隔絶されている。ここで、隔絶とは、サブフレーム63の一部分も外殻67の外部に表れることなく完全に覆われていることの意である。
【0048】
[製造方法]
次に、実施の形態1に係る斜視内視鏡15の製造方法を説明する。
【0049】
図12は、実施の形態1に係る斜視内視鏡15の製造方法の手順例を示すフローチャートである。斜視内視鏡15の製造は、一般的な環境である第1の雰囲気中と、一般的な環境よりも清浄な環境である第2の雰囲気中とに分離して行われる。
【0050】
図12において、一般的な環境では、撮像モジュール47の組付け調整(図12に示すステップstA)と、3Dカメラモジュール45の組付け調整(ステップstB)とが行われる。すなわち、第1の雰囲気ENV1中においては、光学系を内包する鏡筒51と、イメージセンサ35とを、センサ保持部材53を用いて相対的に固定して撮像モジュール47を組立てる工程と(ステップstA)、サブフレーム63を用いて2つ以上の撮像モジュール47のそれぞれを相対的に固定する工程と(ステップstB)、を含む。
【0051】
一方、清浄な環境では、内視鏡先端部品37に対するカバーガラス41等の接着固定(ステップstC)と、サブフレーム63と内視鏡先端部品37との接着固定(ステップstD)と、サブフレーム63が固定された内視鏡先端部品37にシース43を固定する内視鏡組立(ステップstE)とが行われる。すなわち、第1の雰囲気ENV1より清浄な第2の雰囲気ENV2中においては、内視鏡先端部品37にカバーガラス41が接着固定される工程(ステップstC)と、サブフレーム63を内視鏡先端部品37の背面に固定する工程と(ステップstD)、内視鏡先端部品37を管状のシース43における先端開口部69に固定することにより内視鏡本体の外殻67を形成すると同時に、この外殻内にサブフレーム63と2つ以上の撮像モジュール47とを気密封止する工程と(ステップstE)、を含む。
【0052】
図13は、3Dサブフレーム調整の手順例を示すフローチャートである。図14は、3Dカメラモジュール45の光軸平行度調整および映像水平調整の手順を示す模式図である。図15は、カバーガラス41が接着固定された内視鏡先端部品37の斜視図である。図13の説明にあたり、必要に応じて図9図12を参照する。
【0053】
図13において、撮像モジュール47の組付け調整(ステップstA)において、3Dカメラモジュール45の組立を開始する(st1、図13参照)には、先ず、2つの撮像モジュール47と、サブフレーム63とが3D調整治具(図示略)にクランプ(固定)される(st2)。
【0054】
図14において、3D調整治具にクランプされた2つの撮像モジュール47(つまり、左カメラ、右カメラ)のそれぞれから、ターゲット91を撮像した映像が取得される。なお、図14中において、ターゲット91の映像は一点鎖線十字印で示す。左カメラにおける光軸の方向および回転状態を表す左カメラ映像93は細十字印で示す。右カメラにおける光軸の方向および回転状態を表す右カメラ映像95は太十字印で示す。
【0055】
この調整手順は、先ず、作業者が左右カメラ映像を見ながら、光軸平行度調整が行われる(st3)。例えば、左カメラ映像93の光軸がターゲット91の左目盛97に合わせられる。次に、右カメラ映像95の光軸がターゲット91の右目盛99に合わせられる。なお、左目盛97と右目盛99とは、ターゲット中心から水平方向に左右等距離で設定される。この左右目盛り間の距離は、視差pxとなる。
【0056】
次に、作業者が左右カメラ映像を見ながら、映像水平調整が行われる(st4)。映像水平調整は、左右カメラのそれぞれを光軸まわりに回転して行われる。光軸平行度調整および映像水平調整が完了した後、例えば作業者により、右カメラ(つまり一方の撮像モジュール47)がサブフレーム63に接着固定される(st5)。
【0057】
次に、作業者により、接着固定された右カメラのクランプが解除される(st6)。右カメラのクランプが解除された状態で、再び光軸平行度と映像水平とのズレが基準内であるか否かが判定される(st7)。クランプ解除により基準内でなくなった場合には、再び光軸平行度調整から調整が再びやり直される。クランプ解除によっても基準内であった場合には、左カメラ(つまり他方の撮像モジュール47)がサブフレーム63に接着固定される(st8)。
【0058】
次に、作業者により、接着固定された左カメラのクランプが解除される(st9)。再び光軸平行度と映像水平とのズレが基準内であるか否かが判定される(st10)。クランプ解除により基準内でなくなった場合には、ワーク(つまり作業中の右カメラおよび左カメラ)が廃棄または再利用される(st11)。クランプ解除によっても基準内であった場合には、完成されたワークを3D調整治具から取り外され(st12)、一般的な環境である第1の雰囲気中での3Dカメラモジュール45の組付け調整が終了する(stB)。
【0059】
一方、清浄な環境である第2の雰囲気中では、作業者により、カバーガラス41等が内視鏡先端部品37の窓用貫通孔39に接着固定される(stC)。
【0060】
次に、作業者により、3Dカメラモジュール45のサブフレーム63に対して、内視鏡先端部品37が接着固定される(stD)。内視鏡先端部品37は、サブフレーム固定凹部87(図11参照)に、3Dカメラモジュール45の外周を挿入した状態で接着固定される。なお、第2の雰囲気ENV2中に3Dカメラモジュール45を持ち込む際、必要に応じて3Dカメラモジュール45に対し滅菌処理を行うこともある。
【0061】
最後に、作業者により、サブフレーム63が固定された内視鏡先端部品37にシース43が固定される内視鏡組立が行われる(stE)。この内視鏡組立では、内側に伝送ケーブル33を通したシース43が、内視鏡先端部品37まで送られ、このシース43の先端開口部69が内視鏡先端部品37の外周に接合されて、第2の雰囲気中での硬性部25の封止が完了する。
【0062】
シース43の基端から導出された伝送ケーブル33にはコネクタ61が接続される。シース43の基端には、コネクタ61を収容するプラグ部21が取り付けられる。これにより、斜視内視鏡15の製造が完了する。
【0063】
[応用例]
図16は、可撓基板59が折り曲げられる前の撮像モジュール47の斜視図である。実施の形態1に係る内視鏡は、撮像モジュール47に備えられる可撓基板59が、複数の折り曲げ部105で屈曲可能となる。可撓基板59は、フラットケーブルにより形成される伝送ケーブル33が両端に接続される帯板状となった一対の両翼部107と、この一対の両翼部107の長手方向中央から直交方向に延出する脚状部109と、によりT字状に形成される。T字状の可撓基板59には、脚状部109を一端とし、一対の両翼部107を他端とする複数の線状導体が平行に埋入されている。それぞれの線状導体の端部は、脚状部109および両翼部107の少なくとも表裏いずれかの面でランドとして表出する。
【0064】
可撓基板は、一対の両翼部107が、四角形となる両翼接続部111の平行な一対の辺部のそれぞれに接続される。この両翼接続部111の他の一つの辺部には、脚状部109が接続される。可撓基板59は、一対の両翼部107と両翼接続部111との間に、線状の第1側部折曲部113と、第2側部折曲部115と、を有する。可撓基板59は、両翼接続部111と脚状部109との間が矩形状の首部117となる。可撓基板59は、首部117と両翼接続部111との間、首部117と脚状部109との間に、平行な線状の第1首部折曲部119と、第2首部折曲部121と、を有する。また、脚状部109は、延出先端に、第1首部折曲部119と平行な線状の先端折曲部123を有する。これら第1側部折曲部113、第2側部折曲部115、第1首部折曲部119、第2首部折曲部121、先端折曲部123は、可撓基板59の表裏いずれ側にも折り曲げ自在な折り曲げ部105を構成している。
【0065】
イメージセンサ35は、脚状部109の一方の面に、パッドを介して導通接続される。パッドと接続された複数の線状導体は、一対の両翼部107において、2つの伝送ケーブル33の少なくとも一方に導通接続される。
【0066】
図17は、一つの撮像モジュール47が側視鏡125と直視鏡127とに作り分けられる説明図である。なお、図17の作成例は一例であり、撮像モジュール47は、斜視鏡129として作り分けできる。可撓基板59は、第1側部折曲部113、第2側部折曲部115、第1首部折曲部119、第2首部折曲部121、先端折曲部123が適宜に折り曲げられることにより、光学系における光軸Oc方向と伝送ケーブル33の導出方向とを種々に変えることが可能となる。
【0067】
内視鏡は、軟性部23の先端に設けられた剛性を有する硬性部25の内方へ組み込まれるときに、硬性部25の形状に応じ可撓基板59の折り曲げ部105が屈曲状態にされる。
【0068】
図18は、折り曲げ部105が側視鏡用の屈曲状態となった側視用の撮像モジュール47の斜視図である。側視用の撮像モジュール47は、T字状の撮像モジュール47において、両翼接続部111に対し、両翼部107が、第1側部折曲部113と第2側部折曲部115とで平行に折り曲げられる。この場合、脚状部109は、第2首部折曲部121で両翼接続部111と直角に折り曲げられる。また、先端折曲部123は、両翼接続部111と同方向で平行に折り曲げられる。
【0069】
図19は、図18に示した側視用の撮像モジュール47の側面図である。側視用の撮像モジュール47において、カメラ部57は、光軸Ocに沿う方向の全長が伝送ケーブル33の延在方向に直交方向となる。両翼接続部111のカメラ部57に対向する面には、抵抗やコンデンサなどの電子部品131が実装される。
【0070】
図20は、図18に示した側視用の撮像モジュール47の正面図である。側視用の撮像モジュール47において、鏡筒51は、光軸Oc方向の先端が両翼接続部111から外側に突出する。
【0071】
図21は、図18に示した側視用の撮像モジュール47の下面図である。側視用の撮像モジュール47において、一対の伝送ケーブル33の離間間隔は、ほぼ正方形となる両翼接続部111の一辺部の長さの範囲に収まる。
【0072】
図22は、側視用の撮像モジュール47を収容した側視鏡硬性部の斜視図である。側視用の撮像モジュール47は、硬性部25の切欠側面133に形成される窓用貫通孔39に鏡筒51が位置合わせされる。切欠側面133には、窓用貫通孔39を挟んで軸線71に沿う方向で一対の光源83が配置される。
【0073】
図23は、図22に示した側視鏡硬性部の断面図である。側視用の撮像モジュール47は、光学系の光軸Ocが硬性部25の軸線71(伝送ケーブル33の導出方向)に直交方向となる。
【0074】
図24は、図22に示した側視鏡硬性部を透視した斜視図である。側視用の撮像モジュール47は、伝送ケーブル33に接続される両翼接続部111に対してカメラ部57の光軸Ocが平行に折り曲げられる。このため、硬性部25は、ほぼカメラ部57の全長が直径方向に収容される内径で形成できる。
【0075】
図25は、図24に示した側視鏡硬性部を光学系と反対側から見た斜視図である。側視用の撮像モジュール47は、両翼接続部111の平行な2辺部から折り曲げられ、相互に平行となる一対の両翼部107のそれぞれに伝送ケーブル33が接続される。これにより、可撓基板59を用いた側視用の撮像モジュール47によれば、多数本の電線を、カメラ部57の直近で、小さな収容スペースを利用して高密度でカメラ部57に接続することができる。
【0076】
図26は、折り曲げ部105が直視鏡用の屈曲状態となった直視用の撮像モジュール47の斜視図である。直視用の撮像モジュール47は、T字状の撮像モジュール47において、両翼接続部111に対し、一対の両翼部107が、第1側部折曲部113と第2側部折曲部115とで平行に折り曲げられる。この場合、脚状部109は、第1首部折曲部119と第2首部折曲部121とで両翼接続部111と平行に折り曲げられる。
【0077】
図27は、図26に示した直視用の撮像モジュール47の側面図である。直視用の撮像モジュール47は、イメージセンサ35と両翼接続部111とが平行に折り曲げられる。これにより、直視用の撮像モジュール47は、カメラ部57の光軸Ocと、伝送ケーブル33の延在方向とを直線状に配置できる。
【0078】
図28は、直視用の撮像モジュール47を収容した直視鏡硬性部の断面図である。直視用の撮像モジュール47は、光学系の光軸Ocが硬性部25の軸線71(伝送ケーブル33の導出方向)と同じ向きとなる。
【0079】
図29は、折り曲げ部105が斜視鏡用の屈曲状態となった斜視用の撮像モジュール47の斜視図である。斜視用の撮像モジュール47は、T字状の撮像モジュール47において、両翼接続部111に対し、一対の両翼部107が、第1側部折曲部113と第2側部折曲部115とで平行に折り曲げられる。この場合、脚状部109は、第2首部折曲部121により両翼接続部111に対して略45°傾斜して折り曲げられる。
【0080】
図30は、図29に示した斜視用の撮像モジュール47の側面図である。斜視用の撮像モジュール47は、イメージセンサ35と、両翼接続部111とが45°程度の交差角度で折り曲げられる。これにより、斜視用の撮像モジュール47は、カメラ部57の光軸Ocと、伝送ケーブル33の延在方向とを傾斜させて配置できる。
【0081】
図31は、斜視用の撮像モジュール47を収容した斜視鏡硬性部の断面図である。斜視用の撮像モジュール47は、光学系の光軸Ocが硬性部25の軸線71(伝送ケーブル33の導出方向)に交差する斜視鏡用となり、斜視鏡129に組み込まれる。
【0082】
なお、撮像モジュール47は、可撓基板59における第1首部折曲部119と第2首部折曲部121とが折り曲げられることにより、対向配置される両翼接続部111と脚状部109との間に、接着剤81(図31参照)を充填して固定することができる。また、撮像モジュール47は、硬性部25の内部構造が、可撓基板59を直視用、側視用、斜視用に保持できるものであれば、接着剤81を充填しなくても勿論よい。
【0083】
また、この応用例では、内視鏡が、直視鏡127、側視鏡125、斜視鏡129である場合を説明したが、これらを一対で組み込んだ直視内視鏡、側視内視鏡、斜視内視鏡15においても同様の作用効果を奏する。
【0084】
本明細書中、内視鏡とは、単眼内視鏡103と、複眼内視鏡101と、を含む。単眼内視鏡103は、直視鏡127と、側視鏡125と、斜視鏡129と、を含む。複眼内視鏡101は、直視内視鏡(図示せず)と、側視内視鏡(図示せず)と、斜視内視鏡15と、を含むものとする。
【0085】
[作用]
次に、実施の形態1に係る斜視内視鏡15の作用を説明する。
【0086】
実施の形態1に係る内視鏡モジュール(3Dカメラモジュール45)は、光学系を内包する鏡筒51と、イメージセンサ35と、鏡筒51およびイメージセンサ35を相対的に固定するセンサ保持部材53とが第1の雰囲気ENV1中で組み付けられた、2つ以上の撮像モジュール47と、第1の雰囲気ENV1中で組み付けられ、2つ以上の撮像モジュール47のそれぞれを相対的に固定するサブフレーム63と、を備える。第1の雰囲気ENV1より清浄な第2の雰囲気ENV2中で組み立てられる内視鏡本体(つまり斜視内視鏡15の本体)の外殻67内に、サブフレーム63と2つ以上の撮像モジュール47とが収容かつ固定される。
【0087】
実施の形態1に係る3Dカメラモジュール45では、2つ以上の撮像モジュール47が、内視鏡本体の外殻内に収容かつ固定される。それぞれの撮像モジュール47は、光学系を内包する鏡筒51と、イメージセンサ35と、これら鏡筒51およびイメージセンサ35を相対的に固定するセンサ保持部材53と、により組み立てられている。撮像モジュール47は、センサ保持部材53により、光学系とイメージセンサ35とが相対的に位置あわせされることによって、被写体からの撮像光がイメージセンサ35の受光領域に最適に結像される。このようにして組み立てられたそれぞれの撮像モジュール47は、第1の雰囲気ENV1中でサブフレーム63により組み付けられることで、それぞれが相対的に位置決めされて一体となる。
【0088】
サブフレーム63を介して一体となった2つ以上の撮像モジュール47は、第1の雰囲気ENV1より清浄な第2の雰囲気ENV2で組み立てられる内視鏡本体の外殻内に収容される。つまり、内視鏡は、内視鏡本体の外殻内に、2つ以上を一体とした撮像モジュール47を収容して封止する。
【0089】
ここで、センサ保持部材53を用いて鏡筒51とイメージセンサ35とを固定する撮像モジュール47は、精密な調整ジグ等を用いて組立が行われる。また、2つ以上の撮像モジュール47は、精密な調整ジグ等を用いてそれぞれが相対的に位置決めされて一体となる。撮像モジュール47の単体の組立と、2つ以上の撮像モジュール47をサブフレーム63により一体とする組立は、同一の第1の雰囲気中で行われる。これら第1の雰囲気中で組み立てられる各部材は、患者に非接触となるため、比較的清浄度が緩和された雰囲気中での作業が可能となる。
【0090】
一方、第1の雰囲気中で組み立てられて2つ以上がサブフレーム63により一体となった撮像モジュール47は、第2の雰囲気中で外殻内に収容される。第2の雰囲気は、第1の雰囲気よりも高い清浄度に設定される。一体となった2つ以上の撮像モジュール47を、第2の雰囲気中で外殻内に収容する作業は、公的認可を受けた清浄な工程で行われる。つまり、3Dカメラモジュール45において、格段に清浄性が要求される工程は、2つ以上が一体となった撮像モジュール47を、外殻内に収容するだけの最小限の作業で完結させることができる。
【0091】
このように、3Dカメラモジュール45では、2つ以上の撮像モジュール47を相対的に位置決めして固定するサブフレーム63を設けたので、比較的清浄度が緩和された第1の雰囲気中で、精密な調整ジグ等を用いて組立が行える。これにより、これら精密な調整ジグ等を高い清浄度の第2の雰囲気中に設置して組立を行う必要がなくなる。
【0092】
その結果、3Dカメラモジュール45では、患者接触部を含まない内部製造と、患者接触部を含む外部製造との工程を分離でき、内部製造工程においては格段の清浄性を保つ必要がなくなるので、工程管理や工程構築コストを削減できる。特に精密な調整ジグ等が必要なカメラ部組立の工程が分離できるので、大幅な工程構築コストの削減が可能となる。
【0093】
また、3Dカメラモジュール45は、2つ以上の撮像モジュール47のうち、少なくとも2つが3次元画像を構成する画像を撮像する。
【0094】
この3Dカメラモジュール45では、2つ以上の撮像モジュール47のうち、少なくとも2つが3次元画像を構成する画像(例えば左画像、右画像)の撮像用の撮像モジュール47となる。3次元画像を構成する画像の撮像用の2つの撮像モジュール47は、仕様を一致させ、それぞれの光軸を平行とする。従って、2つの撮像モジュール47は、光軸が一定距離で離れる。このような撮像条件の下で、3Dカメラモジュール45は、2つの撮像モジュール47の撮像面が同一平面となるようにする。この2つの撮像モジュール47において、それぞれが座標を有する2つの撮像画像の同じ被写体における同一点の像の座標のずれは、視差pxとなる。
【0095】
3Dカメラモジュール45では、連動する複数の撮像モジュール47から取得した視差pxにより、異なる複数の撮像画像を画像処理し、奥行き情報を反映させた立体画像を表示デバイスに表示させることが可能となる。
【0096】
また、3Dカメラモジュール45において、サブフレーム63は、2つの鏡筒51をそれぞれ遊嵌する一対の鏡筒挿通孔65を有し、相互に位置決めされた2つの鏡筒51の外周が、鏡筒挿通孔65の内周に接着固定される。
【0097】
この3Dカメラモジュール45では、サブフレーム63が、2つの鏡筒51のそれぞれを、遊びを持った状態にはめる(遊嵌する)一対の鏡筒挿通孔65を有する。つまり、鏡筒51と鏡筒挿通孔65との間には、動くことのできる隙間が存在する。
【0098】
これにより、2つの鏡筒51は、鏡筒挿通孔65に挿通した状態で動くことができ、光学系の光軸まわりの回転調整、光軸に直交する軸まわりの揺動調整が、鏡筒挿通孔65に挿通した状態で可能となる。相互に位置決めされ、かつ、サブフレーム63に対して位置決めされた2つの鏡筒51とサブフレーム63とは、鏡筒51の外周が、鏡筒挿通孔65の内周に、接着剤81により接着固定が可能となる。なお、接着剤81を鏡筒挿通孔65の開口からセンサ保持部材53に亘る鏡筒51の側面周囲の空間に満たしたうえで硬化させることで接着強度および位置精度を長期間に亘って維持できる。
【0099】
その結果、2つの鏡筒51は、サブフレーム63に対して位置決めされることになる。従って、3Dカメラモジュール45は、サブフレーム63が、外殻67に対して所定の位置に位置決めされれば、2つの撮像モジュール47の光学系が、外殻67(硬性部25)に対して同時に位置決めされることになる。
【0100】
また、実施の形態1に係る斜視内視鏡15は、光学系を内包する鏡筒51と、イメージセンサ35と、鏡筒51およびイメージセンサ35を相対的に固定するセンサ保持部材53とが第1の雰囲気ENV1中で組み付けられた、2つ以上の撮像モジュール47と、第1の雰囲気ENV1中で組み付けられ、2つ以上の撮像モジュール47のそれぞれを相対的に固定するサブフレーム63と、サブフレーム63と2つ以上の撮像モジュール47とを収容かつ固定し、第1の雰囲気ENV1より清浄な第2の雰囲気ENV2中で組み立てられる外殻部(例えば外殻67)と、を備える。外殻67は、サブフレーム63が固定される内視鏡先端部品37と、管状の先端開口部69が内視鏡先端部品37で塞がれるシース43と、を有する。
【0101】
実施の形態1に係る内視鏡では、内視鏡本体の外殻67が、内視鏡先端部品37と、シース43と、からなる。内視鏡先端部品37は、円板状や楕円板状に形成される。内視鏡先端部品37は、例えばステンレス鋼等の金属により形成される。内視鏡先端部品37は、厚み方向の外周面に、シース43の内周面が接着固定される。シース43が外周面に固定された内視鏡先端部品37は、外周面よりもシース43の肉厚分だけ外径が大きい張り出し部が先端に形成されている。従って、内視鏡先端部品37は、この張り出し部の外径と、シース43の外径とが面一となる。
【0102】
これにより、内視鏡は、シース43の先端開口部69に、内視鏡先端部品37の外周面を差し込んで、張り出し部に先端を当接して接着固定することにより、段差のない同一外径で、高強度な外殻67を簡単な作業で組立できる。
【0103】
また、シース43の後端部には、シース43に挿通された伝送ケーブル33を介して撮像モジュール47と電力および各種信号の送受信が可能となるプラグ部21が接続される。
【0104】
これにより、斜視内視鏡15により撮像された撮像画像のデータをビデオプロセッサ13に伝送可能となり、医師等が手術あるいは検査時等において、斜視内視鏡15により撮像された高精度な画像をモニタ17で表示可能となる。
【0105】
また、内視鏡は、内視鏡先端部品37と、この内視鏡先端部品37に接着固定されたシース43の先端部分とが、円柱状の硬性部25を構成する。シース43の先端開口部69が、硬性部25の軸線71に垂直な仮想面73に対して傾斜して開口し、内視鏡先端部品37が、仮想面73に対して傾斜して先端開口部69を塞ぎ、内視鏡先端部品37の傾斜先端面75における前傾先端部77には面取り部79が形成される。なお、内視鏡が直視鏡である場合には、シース43の先端開口部69は、硬性部25の軸線71に垂直な仮想面73に対して傾斜せずに開口する。また、内視鏡先端部品37は、シース43の先端開口部69を塞ぎ、内視鏡先端部品37の先端面には面取り部79(例えば面取り部79参照)が形成されてよい。
【0106】
この内視鏡では、シース43の先端開口部69が、硬性部25の軸線71に垂直な仮想面73に対して傾斜して開口する。内視鏡先端部品37は、仮想面73に対して傾斜して先端開口部69を塞ぐ。すなわち、内視鏡は、内視鏡先端部品37が、硬性部25の軸線71に垂直な仮想面73に対して傾斜する斜視内視鏡15となる。
【0107】
内視鏡は、傾斜した内視鏡先端部品37の傾斜先端面75において、最も先端となる前傾先端部77に、面取り部79が形成される。円柱状の硬性部25は、内視鏡先端部品37が傾斜することにより、前傾先端部77が鋭利となる。この鋭利となった前傾先端部77は、面取りされることにより、例えば血管等の体腔挿入時における管壁の傷付を防止して、安全性を高めることができる。この安全性の向上は、内視鏡が直視鏡であっても内視鏡先端部品37の先端面に面取り部79(例えば面取り部79参照)が形成されることで同様に適用可能である。
【0108】
また、内視鏡は、内視鏡先端部品37には複数の窓用貫通孔39が穿設され、それぞれの窓用貫通孔39がカバーガラス41により気密に封止される。
【0109】
この内視鏡では、内視鏡先端部品37に、複数の窓用貫通孔39が穿設されている。この窓用貫通孔39は、カバーガラス41により封止されている。従って、内視鏡先端部品37は、シース43の先端開口部69を塞いで取り付けられることにより、内視鏡先端部品37とシース43とにより構成される外殻67によって、内視鏡の内部が外部から気密に遮蔽される。
【0110】
そして、複数の窓用貫通孔39を閉塞して設けられたそれぞれのカバーガラス41は、外部からの撮像光の取り込み、内部からの照明光の出射を可能とする。これにより、内視鏡は、撮像光の入射、照明光の出射を可能とする内視鏡先端部品37でシース43の先端開口部69を封止することにより、受光機能、照明機能を確保しながら、内部構造を同時に密閉できる。
【0111】
また、内視鏡において、内視鏡先端部品37は、サブフレーム63を相対的に固定するサブフレーム固定凹部87を有する。
【0112】
この内視鏡では、内視鏡先端部品37が、サブフレーム63を相対的に固定するサブフレーム固定凹部87を有する。撮像モジュール47が、サブフレーム固定凹部87に固定されることにより、2つの撮像モジュール47がサブフレーム63を介して相互に位置決めされている撮像モジュール47は、内視鏡先端部品37に対しても、サブフレーム63を介して位置決めされることになる。
【0113】
これにより、2つの撮像モジュール47は、サブフレーム63およびサブフレーム固定凹部87を介して内視鏡先端部品37に位置決め固定され、カバーガラス41で塞がれたそれぞれの窓用貫通孔39に対して同時に位置決めが可能となる。
【0114】
また、内視鏡では、少なくとも1つのカバーガラス41の背面には、外殻67の外方へ照明光を照射する光源83が配置される。
【0115】
この内視鏡では、少なくとも1つのカバーガラス41の背面には、外殻67の外方へ照明光を照射する光源83が配置される。光源83は、例えば内視鏡先端部品37の背面に接着固定したLEDとすることができる。
【0116】
光源83を内視鏡先端部品37に直付けした内視鏡では、曲率半径が小さくなって放射損失が大きくなったライトガイドに比べ、十分な光量が得られ、被写体を十分に明るく照明することが可能となる。
【0117】
また、内視鏡では、光源83はLED(Light Emission Diode)であり、カバーガラス41の背面にはLEDとLEDの冷却機構とが光源83として配置されてよい。
【0118】
これにより、LEDが光源83として使用された際に、LEDから生じる熱の放熱対策が施され、内視鏡先端部品37への熱伝搬による悪影響を抑制可能となる。
【0119】
また、内視鏡では、光源83はシース43により覆われて内視鏡の基端側から内視鏡先端部品37まで延在している光ファイバであってもよい。
【0120】
これにより、先端にLEDを使用することを回避できるのでLEDを光源として使用する場合に比べて内視鏡先端部品37の小型化が可能となり易く、内視鏡の基端側から内視鏡先端部品37まで光ファイバで導光できるので、LEDと同様に被写体を十分に明るく照明することが可能となる。
【0121】
また、実施の形態1に係る斜視内視鏡15は、イメージセンサ35と、光学系を内包する鏡筒51と、鏡筒51およびイメージセンサ35を相対的に固定するセンサ保持部材53とを有する、2つ以上の撮像モジュール47と、2つ以上の撮像モジュール47のそれぞれを相対的に固定するサブフレーム63と、サブフレーム63と2つ以上の撮像モジュール47とを収容する外殻部(例えば外殻67)と、を備える。
【0122】
実施の形態1に係る内視鏡構造では、2つ以上の撮像モジュール47が、内視鏡本体の外殻内に収容される。それぞれの撮像モジュール47は、光学系を内包する鏡筒51と、イメージセンサ35と、これら鏡筒51およびイメージセンサ35を相対的に固定するセンサ保持部材53と、により組み立てられている。撮像モジュール47は、センサ保持部材53により、光学系とイメージセンサ35とが相対的に位置あわせされることによって、被写体からの撮像光がイメージセンサ35の受光領域に最適に結像される。このようにして組み立てられたそれぞれの撮像モジュール47は、サブフレーム63により、それぞれが相対的に位置決めされて一体となる。
【0123】
サブフレーム63を介して一体となった2つ以上の撮像モジュール47は、内視鏡本体の外殻内に収容される。つまり、内視鏡構造は、内視鏡本体の外殻内に、2つ以上を一体とした撮像モジュール47を収容して封止することができる。
【0124】
また、斜視内視鏡15では、サブフレーム63が、外殻67の外部と隔絶されている。
【0125】
この内視鏡構造では、サブフレーム63が、外殻67の外部と隔絶される。センサ保持部材53を用いて鏡筒51とイメージセンサ35とを固定する撮像モジュール47は、精密な調整ジグ等を用いて組立が行われる。また、2つ以上の撮像モジュール47は、精密な調整ジグ等を用いてそれぞれが相対的に位置決めされて一体となる。撮像モジュール47の単体の組立と、2つ以上の撮像モジュール47をサブフレーム63により一体とする組立は、患者に非接触となる部分の組立となる。このため、比較的清浄度が緩和された雰囲気中での作業が可能となる。
【0126】
一方、一体となった2つ以上の撮像モジュール47を、外殻内に収容する作業は、患者に接触する部分の組立となるため、公的認可を受けた清浄な工程で行われる必要がある。
【0127】
従って、この内視鏡構造では、格段に清浄性の要求される工程は、2つ以上を一体とした撮像モジュール47を、外殻内に収容するだけの最小限の作業で完結させることができる。
【0128】
このように、斜視内視鏡15では、2つ以上の撮像モジュール47を相対的に位置決めして固定するサブフレーム63を設けたので、比較的清浄度が緩和された製造環境で、精密な調整ジグ等を用いて組立が行える。これにより、これら精密な調整ジグ等を高い清浄度の製造環境に設置して組立を行う必要がなくなる。
【0129】
その結果、斜視内視鏡15では、患者接触部を含まない内部製造と、患者接触部を含む外部製造との工程を分離でき、内部製造工程においては格段の清浄性を保つ必要がなくなるので、工程管理や工程構築コストを削減できる。特に精密な調整ジグ等が必要なカメラ部組立の工程が分離できるので、大幅な工程構築コストの削減が可能となる。
【0130】
また、実施の形態1に係る内視鏡の製造方法は、第1の雰囲気中において、光学系を内包する鏡筒51と、イメージセンサ35とを、センサ保持部材53を用いて相対的に固定して撮像モジュール47を組立てる工程と、サブフレーム63を用いて2つ以上の撮像モジュール47のそれぞれを相対的に固定する工程と、を含み、第1の雰囲気とは異なる第2の雰囲気中において、サブフレーム63を内視鏡先端部品37の背面に固定する工程と、内視鏡先端部品37を管状のシース43における先端開口部69に固定することにより内視鏡本体の外殻67を形成すると同時に、この外殻内にサブフレーム63と2つ以上の撮像モジュール47とを気密封止する工程と、を含む。
【0131】
実施の形態1に係る内視鏡製造方法では、斜視内視鏡15が、第1の雰囲気ENV1中と、第2の雰囲気中ENV2との異なる2つの雰囲気中で組立てられる。第2の雰囲気ENV2は、第1の雰囲気ENV1よりも高い清浄度に設定される。
【0132】
第1の雰囲気中では、センサ保持部材53を用いて鏡筒51とイメージセンサ35とを固定して撮像モジュール47が組立てられる。この撮像モジュール47の組立は、精密な調整ジグ等を用いて行われる。また、第1の雰囲気中では、2つ以上の撮像モジュール47が、精密な調整ジグ等を用いて、それぞれが相対的に位置決めされ、サブフレーム63を介して一体に組立てられる。
【0133】
すなわち、撮像モジュール47の単体の組立と、2つ以上の撮像モジュール47をサブフレーム63により一体とする組立は、同一の第1の雰囲気中で行われる。これら第1の雰囲気中で組み立てられる各部材は、患者に非接触となるため、比較的清浄度が緩和された雰囲気中での作業が可能となる。
【0134】
一方、第1の雰囲気中で組み立てられて2つ以上がサブフレーム63により一体となった撮像モジュール47は、第2の雰囲気ENV2中で外殻内に収容される。つまり、3Dカメラモジュール45において、格段に清浄性が要求される工程は、2つ以上が一体となった撮像モジュール47を、外殻内に収容するだけの最小限の作業で完結される。
【0135】
このように、内視鏡製造方法では、2つ以上の撮像モジュール47を相対的に位置決めして固定するサブフレーム63を使用するので、比較的清浄度が緩和された第1の雰囲気中で、精密な調整ジグ等を用いて組立が行える。これにより、これら精密な調整ジグ等を高い清浄度の第2の雰囲気中に設置して組立を行う必要がなくなる。
【0136】
その結果、内視鏡製造方法では、患者接触部を含まない内部製造と、患者接触部を含む外部製造との工程を分離でき、内部製造工程においては格段の清浄性を保つ必要がなくなるので、工程管理や工程構築コストを削減できる。特に精密な調整ジグ等が必要なカメラ部組立の工程が分離できるので、大幅な工程構築コストの削減が可能となる。
【0137】
従って、実施の形態1に係る3Dカメラモジュール45、斜視内視鏡15、内視鏡構造および内視鏡製造方法によれば、清浄性が要求される組立工程と清浄性が要求されない組立工程とを分離でき、製造に係るコストアップの増大を抑制できる。
【0138】
また、実施の形態1に係る複眼内視鏡101は、光学系(例えばレンズ49)を内包する鏡筒51と、イメージセンサ35と、鏡筒51およびイメージセンサ35を相対的に固定するセンサ保持部材53とを有し、同一外形状に形成された2つ以上の撮像モジュール47と、2つ以上の撮像モジュール47のそれぞれを相対的に固定するサブフレーム63と、サブフレーム63と2つ以上の撮像モジュール47とを収容かつ固定する外殻67と、を備える。2つ以上の撮像モジュール47のそれぞれは、予め測定された3D撮像性能を含む技術的な所定の項目の性能評価試験の結果として、互いに所定の相関関係を満たす性能評価特性を有する。
【0139】
実施の形態1に係る複眼内視鏡101では、鏡筒51とイメージセンサ35とが、センサ保持部材53により固定されて、同一外形状の一つの撮像モジュール47となる。撮像モジュール47は、単体でも動作が可能となる。すなわち、同じ撮像モジュール47を2つ組み合わせて複眼内視鏡101を組立てでき、単体で使用して単眼内視鏡103を組立てできる。複眼内視鏡101では、2つ以上の撮像モジュール47が、サブフレーム63により相対的に固定される。サブフレーム63により一体となった2つ以上の撮像モジュール47は、外殻67の内方に固定されて収容される。
【0140】
外殻に収容される撮像モジュール47は、3D撮像性能を含む技術的な性能評価試験の結果として、互いに所定の相関関係を満たす性能評価特性を有する。この場合、それぞれの撮像モジュール47は、外形状は元より、技術的な評価特性においても所定の相関関係の下、共通性を備えたものとすることができる。つまり、部品を共通化できる。これにより、撮像モジュール47は、単眼内視鏡と複眼内視鏡101とで共通化を図ることができる。すなわち、撮像モジュール47は、他の内視鏡(単眼内視鏡)と部品を共通化することができる。その結果、撮像モジュール単体の生産個数を増やすことができるようになり、量産効果によって部品コストを低減させることができる。また、同じものを多量に作ることで品質の安定化も図ることができる。
【0141】
また、複眼内視鏡101は、2つ以上の撮像モジュール47が、簡素な板状のサブフレーム63により固定されるので、例えば特許文献1の電子内視鏡装置において用いられた箱状の実装部材に比べ、構造を単純化でき、さらに部品コストを低減させることができる。従来の実装部材で必要となっていたネジ等も不要となるので、生産する全体の部品点数も抑えられ、部品コスト、管理コストの双方も低減可能となる。また、上述した部品の共通化に伴い組立工程および生産治具、工具も少なくて済み、組立コストも低減させることができる。
【0142】
また、複眼内視鏡101は、2つの撮像モジュール47が、簡素な板状のサブフレーム63により固定されるので、組立て中に片方の撮像モジュール47が不調になっても、基本的にそれぞれの撮像モジュール47は共通性を備えるため、すぐに交換することができ、リカバリしやすい。言い換えれば、組立て中の電気的なトラブル(断線、静電破壊など)で片方の撮像モジュール47が故障した場合であっても、2つのモジュール全体を廃棄する必要がない。
【0143】
このように、複眼内視鏡101は、技術的な評価特性において、所定の相関関係を有する2つ以上の撮像モジュール47を備えて構成されていることにより、例えば良好な3D視感の得られる良品を増やしながら、製造コストを低減することができる。
【0144】
なお、複眼内視鏡101では、背景技術で示した電子内視鏡装置のように、3D調整(両眼の相対的な方向を調整)のために、故意に偏芯させた光学系を作る必要もないので、偏芯光学系製造のためのコストもかからず、それによる画質の低下も生じなくなる。
【0145】
また、複眼内視鏡101において、所定の相関関係は、それぞれの撮像モジュール47が有する性能評価特性が示す値のばらつきが抑制された関係(つまり、所定範囲内となる関係)である。
【0146】
この複眼内視鏡101では、例えば2つの撮像モジュール47が、所定の相関関係を有する。所定の相関関係は、特性評価値のばらつきが抑制された関係となる。特性評価値としては、例えばベスト合焦位置が挙げられる。公差を有して組み立てられた撮像モジュール47は、交差外の規格外NG品と、交差内の規格内良品とに分けることができる。規格内良品には、さらに特性評価値(例えばベスト合焦位置)がばらつく複数の固体(撮像モジュール47)が含まれる。ベスト合焦位置は、人の目視による観察範囲と関連する。
【0147】
観察時において、複眼内視鏡101は、左眼用、右眼用で使用した撮像モジュール47のそれぞれのベスト合焦位置に、大きな差(ばらつき内における大きな格差)があると、ユーザに疲労が生じやすくなる。例えば図8に示した格差(ランク)C2品と、ランクA1品の組合せであると、3D視感に違和感が生じ、疲労感が増す。
【0148】
そこで、複眼内視鏡101では、特性評価値のばらつきが抑制された所定の相関関係を有する2つの撮像モジュール47が組み込まれる。例えば、図8に示すランクC2品同士、若しくはランクC2品とであれば、ランクD2品、若しくはランクB2品を組合せて、サブフレーム63に組み込む。これにより、長時間使用してもユーザが疲労を感じにくい複眼内視鏡101が得られるようになる。
【0149】
この場合、組合せによっては、不適切となる撮像モジュール47を、補完し合える相関関係のもの同時で組合せることにより、良品として使用することができるようになる。つまり、撮像モジュール47の歩留まりが向上する。これによっても、複眼内視鏡101、単眼内視鏡103の製造コストを低減することができる。
【0150】
また、複眼内視鏡101においては、所定の相関関係は、それぞれの撮像モジュール47が有する性能評価特性が互いに異なる関係である。
【0151】
この複眼内視鏡101では、例えば2つの撮像モジュール47が、所定の相関関係を有する。所定の相関関係は、異なる技術的な評価特性における相互の関係となる。異なる技術的な評価特性としては、例えば焦点深度と、解像度と、を挙げることができる。また、異なる技術的な評価特性としては、例えば焦点深度(事実上の焦点位置)のみを挙げることもできる。3D映像観察機器の特有の性能向上手段として、2つの撮像モジュール47の特定の評価特性(すなわち、焦点位置)を意識的に左右で異なるようにすることがある。このような相関関係を有する2つの撮像モジュール47を用いて構成された複眼内視鏡101では、脳内合成画像は、左右が補完し合うため広い認識受容範囲を得ることが可能となる。
【0152】
また、実施の形態1に係る内視鏡(例えば側視鏡125、直視鏡127、斜視鏡129)は、光学系(例えばレンズ49)を内包する鏡筒51と、イメージセンサ35と、鏡筒51およびイメージセンサ35を相対的に固定するセンサ保持部材53と、イメージセンサ35の信号を伝送ケーブル33へ送る可撓基板59と、を有する撮像モジュール47を備え、可撓基板59が、任意の数の折り曲げ部105で屈曲可能となる。ここで、任意の数とは、2以上の整数に限定されず、1も含む。なお、1つの折り曲げ部105のみを有する可撓基板59は、L字型の形状を有する場合が該当する。
【0153】
実施の形態1に係る内視鏡では、イメージセンサ35と伝送ケーブル33を接続した可撓基板59が、第1側部折曲部113、第2側部折曲部115、第1首部折曲部119、第2首部折曲部121、先端折曲部123において、適宜に折り曲げられることにより、光学系における光軸Oc方向と伝送ケーブル33の導出方向とを種々に変えることが可能となる。
【0154】
これにより、特許文献1の電子内視鏡装置のように、斜視鏡129や側視鏡125、直視鏡127の製造のために、専用のCCDモジュールを製作する必要がない。すなわち、T字状に展開された可撓基板59の折り曲げ部105を種々に折り曲げることにより、1種類の撮像モジュール47を、斜視鏡129や側視鏡125、直視鏡127に適用することが可能となる。このため、撮像モジュール47は、汎用性が高まり、量産性に適したものとなり、安価に製造できるようになる。その結果、内視鏡の製造コストを低減することができる。
【0155】
また、内視鏡において、撮像モジュール47は、軟性部23の先端に設けられた剛性を有する硬性部25の内方へ組み込まれるときに、硬性部25の形状に応じ折り曲げ部105が屈曲状態にされる。
【0156】
この内視鏡では、撮像モジュール47が、可撓基板59を展開した状態で、ユーザへ供給することができる。一方、ユーザは、撮像モジュール47を、斜視鏡129や側視鏡125、直視鏡127の別に応じ折り曲げて、組み込むことができ、内視鏡のタイプ別に複数種の撮像モジュール47を在庫として保有する必要がなくなる。つまり、1種類の撮像モジュール47のみを在庫として保有すればよいことになる。撮像モジュール47の製造元では、斜視鏡129や側視鏡125、直視鏡127に適用される1種類の撮像モジュール47を製造すればよいので、生産個数を増やし量産効果で部品コストを低減することができる。また、製品種類を少なくできるので、管理コストも低減できる。
【0157】
また、内視鏡において、撮像モジュール47は、光学系の光軸Ocが硬性部25の軸線71と同じ向きで、折り曲げ部105が屈曲状態となる。
【0158】
この内視鏡で(例えば直視鏡127)は、T字状の撮像モジュール47において、両翼接続部111に対し、両翼部107が、第1側部折曲部113と第2側部折曲部115とで平行に折り曲げられる。T字状の撮像モジュール47は、脚状部109が、第1側部折曲部113と第2首部折曲部121とで両翼接続部111と平行に折り曲げられることにより、光学系の光軸Ocが硬性部25の軸線71(伝送ケーブル33の導出方向)と同じ向きの直視鏡用となる。
【0159】
また、内視鏡において、撮像モジュール47は、光学系の光軸Ocが硬性部25の軸線71と直交する向きで、折り曲げ部105が屈曲状態にされる。
【0160】
この内視鏡(例えば側視鏡125)では、T字状の撮像モジュール47において、両翼接続部111に対し、両翼部107が、第1側部折曲部113と第2側部折曲部115とで平行に折り曲げられる。T字状の撮像モジュール47は、脚状部109が、第2首部折曲部121で両翼接続部111と直角に折り曲げられることにより、光学系の光軸Ocが硬性部25の軸線71(伝送ケーブル33の導出方向)に直交する側視鏡用となる。
【0161】
また、内視鏡において、撮像モジュール47は、光学系の光軸Ocが硬性部25の軸線71と交差する向きで、折り曲げ部105が屈曲状態にされる。
【0162】
この内視鏡(例えば斜視鏡129)では、T字状の撮像モジュール47において、両翼接続部111に対し、両翼部107が、第1側部折曲部113と第2側部折曲部115とで平行に折り曲げられる。T字状の撮像モジュール47は、脚状部109が、第2首部折曲部121で両翼接続部111と略45°に折り曲げられることにより、光学系の光軸Ocが硬性部25の軸線71(伝送ケーブル33の導出方向)に交差する斜視鏡用となる。
【0163】
従って、実施の形態1に係る複眼内視鏡101によれば、量産性に優れ、製造コストを低減できる。また、実施の形態1に係る内視鏡(例えば側視鏡125、直視鏡127、斜視鏡129)によれば、汎用性が高く、量産性に優れ、製造コストを低減できる。
【0164】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0165】
本開示は、量産性に優れ、製造コストを低減できる複眼内視鏡として有用である。
【符号の説明】
【0166】
23 軟性部
25 硬性部
33 伝送ケーブル
35 イメージセンサ
47 撮像モジュール
49 レンズ
51 鏡筒
53 センサ保持部材
59 可撓基板
63 サブフレーム
67 外殻
71 軸線
101 複眼内視鏡
105 折り曲げ部
125 側視鏡
127 直視鏡
129 斜視鏡
Oc 光軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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図30
図31
【手続補正書】
【提出日】2022-02-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
撮像モジュール47は、公差を許して製造するものであるから、実際のベスト合焦位置には上記した30~70mmの範囲がある。この範囲の中央値を例えば50mmとした場合、その範囲は50±10mmとすることができる。この中央値50mmを特性評価値の基準点と考えると、特性評価値の許容範囲は、基準点の値(基準値)±20%とすることができる。つまり、特性評価値が基準値の20%よりも小さいランクは、規格外NG品となり、特性評価値の基準値+その基準値の20%よりも大きいランクは、規格外NG品となる。