IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ TOTO株式会社の特許一覧

特開2022-154582排水システム、及びそれを備えた流し台
<>
  • 特開-排水システム、及びそれを備えた流し台 図1
  • 特開-排水システム、及びそれを備えた流し台 図2
  • 特開-排水システム、及びそれを備えた流し台 図3
  • 特開-排水システム、及びそれを備えた流し台 図4
  • 特開-排水システム、及びそれを備えた流し台 図5
  • 特開-排水システム、及びそれを備えた流し台 図6
  • 特開-排水システム、及びそれを備えた流し台 図7
  • 特開-排水システム、及びそれを備えた流し台 図8
  • 特開-排水システム、及びそれを備えた流し台 図9
  • 特開-排水システム、及びそれを備えた流し台 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154582
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】排水システム、及びそれを備えた流し台
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/30 20060101AFI20221005BHJP
   E03C 1/182 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
E03C1/30
E03C1/182
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057687
(22)【出願日】2021-03-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-05
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 陽介
(72)【発明者】
【氏名】大野 正博
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061AA01
2D061AB00
2D061AE00
2D061DA03
2D061DD03
2D061DD08
2D061DE03
2D061DE30
(57)【要約】
【課題】吐水、止水が頻繁に繰り返された場合でも、十分な洗浄時間を確保することができ、自動的に封水形成部を洗浄することができる排水システムを提供する。
【解決手段】本発明は排水システム(2)であって、吐水検知部(20)と、排水管の封水を形成する封水形成部(8)と、この封水形成部に溜まった水に超音波振動を付与する超音波発振器(22)と、超音波発振器を制御する制御装置(24)と、を有し、制御装置は、吐水が検知されたとき、超音波発振器を低出力で作動させる準備動作と、吐水が検知されている状態において、準備動作の後、高出力で超音波発振器を作動させる本洗浄動作と、吐水の停止が検知された後、所定の延長洗浄時間が経過するまで、高出力で超音波発振器を作動させる延長洗浄動作と、を選択的に実行するように構成されていることを特徴としている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄機能を備えた排水システムであって、
水栓装置からの吐水、止水を検知する吐水検知部と、
上記水栓装置から吐出された水が流入し、排水管の封水を形成する封水形成部と、
この封水形成部に溜まった水に超音波振動を付与する超音波発振器と、
上記吐水検知部による検出信号に基づいて、上記超音波発振器を制御する制御装置と、
を有し、
上記制御装置は、
上記吐水検知部により吐水が検知されたとき、上記超音波発振器を所定の準備時間に亘って第1の出力で作動させる準備動作と、
上記吐水検知部により吐水が検知されている状態において、上記準備動作の後、第1の出力よりも大きい第2の出力で上記超音波発振器を作動させる本洗浄動作と、
上記吐水検知部により吐水の停止が検知された後、所定の延長洗浄時間が経過するまで、第1の出力よりも大きい第3の出力で上記超音波発振器を作動させる延長洗浄動作と、
を選択的に実行するように構成されていることを特徴とする排水システム。
【請求項2】
上記制御装置は、上記準備動作の開始後、上記準備時間が経過しても吐水が継続されている場合には、上記準備動作の後、上記本洗浄動作を開始させる一方、上記準備動作の開始後、上記準備時間が経過する前に吐水が停止された場合には、上記準備動作が完了した後、上記延長洗浄動作を開始させる請求項1記載の排水システム。
【請求項3】
上記制御装置は、上記本洗浄動作の開始後、所定の本洗浄時間が経過する前に吐水が停止されると、上記本洗浄動作を終了して上記延長洗浄動作を開始させる一方、上記本洗浄動作の開始後、吐水が継続されたまま上記本洗浄時間が経過すると、上記本洗浄動作を一旦終了させる請求項2記載の排水システム。
【請求項4】
上記制御装置は、上記本洗浄動作の開始後、上記本洗浄時間が経過した後も吐水が継続されている場合には、上記本洗浄動作を一旦終了し、上記準備動作を上記準備時間実行した後、再び上記本洗浄動作を開始させる請求項3記載の排水システム。
【請求項5】
上記延長洗浄時間は、上記準備時間以上の長さに設定されている請求項1乃至4の何れか1項に記載の排水システム。
【請求項6】
キッチン用の流し台であって、
水栓装置と、
この水栓装置から吐出された水を受けるシンクと、
このシンクからの排水が流入する封水形成部を洗浄するための請求項1乃至5の何れか1項に記載の排水システムと、
を有することを特徴とする流し台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は排水システムに関し、特に、洗浄機能を備えた排水システム、及びそれを備えたキッチン用の流し台に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2020-51040号公報(特許文献1)には、排水システムが記載されている。この排水システムは、キッチン用水栓から吐水された水が流入する封水形成部に、超音波発振器により超音波振動を付与することにより、封水形成部を洗浄するように構成されている。また、この排水システムは、キッチン用水栓からの吐水が検知されると超音波発振器の発振が自動的に開始され、止水されると超音波発振器の発振が停止されるように構成されている。このように、キッチン用水栓の吐水と連動して超音波発振器の発振が自動的に行われるため、使用者は意図的に封水形成部の洗浄を行わなくとも、封水形成部を清潔に維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-51040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、近年、流し台等の使用者の節水意識が高くなる傾向があり、これに応えて容易に吐水、止水を切り替えることができる手元止水機能付きの水栓装置等が開発されている。このため、一般的に使用者は、水栓の吐水、停止をこまめに切り替えるようになっており、吐水開始後、吐水状態が継続される時間が短くなる傾向にある。
【0005】
一方、排水システムに使用されている超音波発振器は、停止された状態から急激に出力を上昇させるとオーバーシュートが発生し、一時的に消費電流が過大になり、回路負荷が大きく、超音波発振器の耐久性が低下するという問題がある。このため、超音波発振器を起動させる際には、起動後、低出力で所定時間運転を行った後、洗浄に必要な出力まで出力上昇させることが好ましい。
【0006】
特許文献1に記載されている排水システムの超音波発振器をこのように作動させた場合、吐水状態が継続される時間が短いと、超音波発振器が起動直後の低出力運転から、洗浄効果の高い高出力の運転に移行する前に停止されることとなる。この結果、水栓の吐水、止水に連動して自動的に実行される超音波発振器による有効な洗浄時間を十分に確保することができず、封水形成部を清潔に維持できなくなる虞がある。
【0007】
従って、本発明は、吐水、止水が頻繁に繰り返された場合でも、十分な洗浄時間を確保することができ、自動的に封水形成部を洗浄することができる排水システム、及びそれを備えた流し台を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は、洗浄機能を備えた排水システムであって、水栓装置からの吐水、止水を検知する吐水検知部と、水栓装置から吐出された水が流入し、排水管の封水を形成する封水形成部と、この封水形成部に溜まった水に超音波振動を付与する超音波発振器と、吐水検知部による検出信号に基づいて、超音波発振器を制御する制御装置と、を有し、制御装置は、吐水検知部により吐水が検知されたとき、超音波発振器を所定の準備時間に亘って第1の出力で作動させる準備動作と、吐水検知部により吐水が検知されている状態において、準備動作の後、第1の出力よりも大きい第2の出力で超音波発振器を作動させる本洗浄動作と、吐水検知部により吐水の停止が検知された後、所定の延長洗浄時間が経過するまで、第1の出力よりも大きい第3の出力で超音波発振器を作動させる延長洗浄動作と、を選択的に実行するように構成されていることを特徴としている。
【0009】
このように構成された本発明においては、水栓装置からの吐水、止水が、吐水検知部によって検知されると共に、この吐水は、封水形成部に流入する。制御装置は、吐水検知部による検出信号に基づいて超音波発振器を制御し、超音波発振器は封水形成部に超音波振動を付与して、これを洗浄する。制御装置は、吐水が検知されている状態において実行される本洗浄動作と、この本洗浄動作よりも小さい出力で超音波発振器を作動させる準備動作と、吐水の停止が検知された後、準備動作よりも大きい出力で超音波発振器を作動させる延長洗浄動作と、を選択的に実行する。
【0010】
このように構成された本発明によれば、本洗浄動作の前に、本洗浄動作よりも小さい出力で超音波発振器を作動させる準備動作を備えているので、超音波発振器の消費電流が過大になるのを抑制することができる。また、吐水の停止が検知された後、準備動作よりも大きい出力で超音波発振器を作動させる延長洗浄動作を備えているので、吐水が継続されている時間が短い場合であっても、十分な洗浄時間を確保することができる。また、吐水が停止された直後は、封水形成部に残水が流入することが期待できるので、吐水が停止された後に超音波発振器を作動させた場合でも、封水形成部の壁面から剥がれた汚れを封水形成部外に排出することができ、高い洗浄効果を期待することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、制御装置は、準備動作の開始後、準備時間が経過しても吐水が継続されている場合には、準備動作の後、本洗浄動作を開始させる一方、準備動作の開始後、準備時間が経過する前に吐水が停止された場合には、準備動作が完了した後、延長洗浄動作を開始させる。
【0012】
このように構成された本発明によれば、吐水時間が比較的長く、準備時間の経過後も吐水が継続されている場合には、本洗浄動作が行われるので、封水形成部を十分に洗浄することができる。また、吐水時間が短く、準備時間の経過前に吐水が終了した場合には、準備動作の完了後、延長洗浄動作が行われるので、封水形成部を十分に洗浄することができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、制御装置は、本洗浄動作の開始後、所定の本洗浄時間が経過する前に吐水が停止されると、本洗浄動作を終了して延長洗浄動作を開始させる一方、本洗浄動作の開始後、吐水が継続されたまま本洗浄時間が経過すると、本洗浄動作を一旦終了させる。
【0014】
このように構成された本発明によれば、本洗浄動作の開始後、本洗浄時間経過前に吐水が停止された場合には、延長洗浄動作が開始されるので、常に十分な洗浄時間を確保することができる。一方、本洗浄動作の開始後、本洗浄時間が経過しても吐水が停止されない場合には、本洗浄動作が一旦終了されるので、本洗浄動作が長時間継続されることによる超音波発振器の過熱や、過熱による寿命の低下を抑制することができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、制御装置は、本洗浄動作の開始後、本洗浄時間が経過した後も吐水が継続されている場合には、本洗浄動作を一旦終了し、準備動作を準備時間実行した後、再び本洗浄動作を開始させる。
【0016】
このように構成された本発明によれば、本洗浄時間が経過した後も吐水が継続されている場合には、本洗浄動作を一旦終了し、準備動作を実行した後、再び本洗浄動作が開始される。この結果、本洗浄動作が長時間継続されることによる超音波発振器の過熱を抑制することができると共に、再び本洗浄動作を開始させることにより、より洗浄効果を高めることができる。
【0017】
本発明において、好ましくは、延長洗浄時間は、準備時間以上の長さに設定されている。
このように構成された本発明によれば、延長洗浄時間が準備時間以上の長さに設定されているので、吐水時間が短い場合でも十分な洗浄時間を確保することができ、封水形成部を清潔に保つことができる。
【0018】
また、本発明は、キッチン用の流し台であって、水栓装置と、この水栓装置から吐出された水を受けるシンクと、このシンクからの排水が流入する封水形成部を洗浄するための本発明の排水システムと、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の排水システム、及びそれを備えた流し台によれば、吐水、止水が頻繁に繰り返された場合でも、十分な洗浄時間を確保することができ、自動的に封水形成部を洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態による排水システムを正面から見た正面図である。
図2図1のII-II線に沿って見た断面図である。
図3】本発明の第1実施形態による排水システムの構造を概略的に示すブロック図である。
図4】本発明の第1実施形態による排水システムの作用を示すフローチャートである。
図5】本発明の第1実施形態による排水システムの作用の一例を示すタイムチャートである。
図6】本発明の第1実施形態による排水システムに使用されている超音波発振器の起動時における挙動の一例を示す図である。
図7】本発明の第1実施形態による排水システムにおいて、吐水時間が短い場合における作用の一例を示すタイムチャートである。
図8】本発明の第2実施形態による排水システムの作用を示すフローチャートである。
図9】本発明の第2実施形態による排水システムの作用の一例を示すタイムチャートである。
図10】本発明の第2実施形態による排水システムの変形例における作用の一例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態による排水システム、及びそれを備えた流し台を説明する。
図1は本発明の第1実施形態による流し台を正面から見た正面図であり、図2図1のII-II線に沿って見た断面図である。また、図3は本発明の第1実施形態による排水システムを備えた流し台を概略的に示すブロック図である。
【0022】
図1及び図2に示すように、本発明の第1実施形態による流し台1は、キッチンに設けられ、封水形成部の超音波洗浄機能を有する排水システム2を備えている。
流し台1は、キッチンに設けられた水受け部であるシンク4と、このシンク4に水(湯水)を吐水するキッチン用水栓である水栓装置6と、シンク4の底面4aから下方に延びる封水形成部8とを備えている。
【0023】
シンク4は水受け部として機能し、水栓装置6から吐水された水を封水形成部8を介して排水管に排出するように構成されている。
水栓装置6は、水が供給される水給水路10及び、湯が供給される湯給水路12に接続されている。また、水栓装置6は湯水混合水栓6aを内蔵しており、水給水路10からの水と、湯給水路12からの湯とを混合して吐水部6bから吐水させるように構成されている。水給水路10及び湯給水路12から供給された水及び湯は、一旦上昇して湯水混合水栓6aに流入し、湯水混合水栓6aにおいて混合される。
【0024】
湯水混合水栓6aの下流側には吐水側流路6cが接続されており、湯水混合水栓6aにおいて混合された湯水は、吐水側流路6cを通って下方に流れた後、再び上昇して吐水部6bからシンク4へ吐出される。また、吐水側流路6cの途中には、吐水検知部である流れセンサ20が設けられている。流れセンサ20については、後述する。
【0025】
図2に示すように、封水形成部8は、シンク4の下側に設けられ、排水管18の封水を形成するように構成されている。封水形成部8は、上方のシンク4側に開口した入口部14と、入口部14の下方に設けられた排水トラップ流路16と、を備えている。入口部14は、底面4aの一部を下方に窪ませることにより形成されている。
【0026】
排水トラップ流路16は、入口部14の下方に接続された接続部16aと、排水トラップを形成するように下流側に向けて斜め上方に上昇する上昇部16bと、上昇部16bと下降部16dとの間における折り返し部分である頂部16cと、頂部16cから下降する下降部16dとを備えている。下降部16dは排水管18と接続されている。排水トラップ流路16は、トラップ形状の流路を形成し、その頂部16cにより封水水位W0を規定する。封水形成部8内に水が流入すると、頂部16cを超えて水が下流側に排出され、封水形成部8内の水位が封水水位W0に維持される。封水形成部8内には、洗剤、食器の汚れ、シンクの汚れ等を含む生活排水が流入する。
【0027】
排水管18は、下降部16dから鉛直方向下方に延び、さらに下流側の下水道(図示せず)に接続される。排水管18は、その一部が封水形成部8によって形成されていてもよい。
【0028】
さらに、封水形成部8には、封水形成部8内に溜められた水に超音波を付与する超音波発振器22が設けられ、この超音波発振器22は、制御装置24(図3)によって作動が制御される。また、封水形成部8の上方には網かご26が設けられ、網かご26の下方には封水筒28が設けられている。ここで、本実施形態において、封水形成部8、吐水検知部である流れセンサ20、超音波発振器22、及び制御装置24は、排水システム2を構成する。
【0029】
即ち、図3に示すように、本実施形態の排水システム2においては、水給水路10及び湯給水路12から供給された水及び湯が、湯水混合水栓6aで混合され、この流れが流れセンサ20によって検出される。混合された湯水は、吐水部6bからシンク4に吐出され、封水形成部8で封水を形成する。制御装置24は、流れセンサ20の検出信号に基づいて、封水形成部8に設けられた超音波発振器22を作動させ、封水形成部8の内壁面を洗浄する。
【0030】
流れセンサ20は、キッチン用の水栓装置6の湯水混合水栓6aよりも下流側、且つ湯水混合水栓6aと吐水部6bとの間の供給流路内に設けられている。流れセンサ20は、キッチン用の水栓装置6の吐水部6bから水が吐水されているか否かを検知するように構成されている。例えば、流路内を流れる水の単位時間当たりの流量を測定する流量センサを、流れセンサとして使用することができる。本実施形態においては、流れセンサ20により、所定の閾値以上の流量が検出された場合に、水栓装置6による吐水が行われていると判断される。また、流れセンサ20は、制御装置24と電気的に接続されている。
【0031】
なお、本実施形態においては、吐水部6bよりも上流側に設けられた流れセンサ20により吐水の有無を検知しているが、変形例として、排水側に設けたセンサにより、吐水部6bからの吐水を検知するように本発明を構成することもできる。例えば、排水管18に設けた流れセンサにより吐水部6bからの吐水を検知することもでき、或いは、封水形成部8内に設けた水位センサにより吐水部6bからの吐水を検知することもできる。また、水栓装置6が、電磁弁等により電気的に吐水、止水を切り替えるタイプのものである場合には、電磁弁等を作動させるための電気信号に基づいて、吐水の有無を検知することができる。この場合には、吐水、止水を切り替えるための信号の信号源が吐水検知部として機能する。
【0032】
超音波発振器22は、封水形成部8内の入口部14の下方、且つ封水水位W0よりも下方に配置されている。超音波発振器22は、上方に向けて超音波を発振し、封水形成部8内に溜まっている水に超音波を付与するように構成されている。また、超音波発振器22は、制御装置24と電気的に接続され、発振中の発振周波数が一定に維持される。
【0033】
制御装置24は、CPU及びメモリ等を内蔵し、流れセンサ20から送信される検知信号を受信する機能を有すると共にメモリに記憶された所定の制御プログラム等に基づいて超音波発振器22の動作を制御する。即ち、制御装置24は、流れセンサ20による検出信号に基づいて、超音波発振器22による超音波の発振、停止、及び出力を制御する。具体的には、制御装置24は、流れセンサ20の検出信号に基づいて、準備動作と、本洗浄動作と、延長洗浄動作と、を選択的に実行するように構成されている。
【0034】
準備動作は、流れセンサ20により吐水が検知されたとき、超音波発振器22を所定の準備時間に亘って第1の出力である低出力で作動させる動作である。また、本洗浄動作は、流れセンサ20により吐水が検知されている状態において、準備動作の後、準備動作における出力よりも大きい第2の出力である高出力で超音波発振器22を作動させる動作である。さらに、延長洗浄動作は、流れセンサ20により吐水の停止が検知された後、所定の延長洗浄時間が経過するまで、準備動作における出力よりも大きい第3の出力である高出力で超音波発振器22を作動させる動作である。
【0035】
次に、図4乃至図7を新たに参照して、本発明の第1実施形態による排水システム2の作用を説明する。
図4は、本発明の第1実施形態による排水システム2の作用を示すフローチャートである。図5は、本発明の第1実施形態による排水システム2の作用の一例を示すタイムチャートであり、その上段は流れセンサ20による検出信号を示し、下段は超音波発振器22の作動状態を示している。図6は、超音波発振器22の起動時における挙動の一例を示す図である。図7は、吐水時間が短い場合における、本発明の第1実施形態による排水システム2の作用の一例を示すタイムチャートである。
【0036】
図4に示すフローチャートは、排水システム2の稼働中、制御装置24により所定の時間間隔で繰り返し実行される。まず、図4のステップS1においては、吐水検知部である流れセンサ20によって、吐水が検知されているか否かが判断される。吐水が検知されていない場合には、図4に示すフローチャートの1回の処理を終了する。即ち、水栓装置6による吐水が行われていない場合には、排水システム2による封水形成部8の洗浄は実行されない。
【0037】
一方、吐水が検知されている場合にはステップS2に進み、ステップS2においては、所定の準備時間TPのカウントダウンが開始される。さらに、ステップS3においては、水栓装置6からの吐水が継続されているか否かが判断され、吐水が継続されている場合にはステップS4に進み、吐水が終了している場合にはステップS8に進む。次いで、ステップS4において、制御装置24は、準備動作として、超音波発振器22を第1の出力である低出力で作動させる。図5に示す例においては、時刻t1において水栓装置6からの吐水が開始され、これに伴い制御装置24は、超音波発振器22を低出力で作動させている。この低出力による超音波発振器22の発振は、準備動作であり、超音波発振器22の出力が小さく、封水形成部8の洗浄を行うには十分なものではない。
【0038】
次に、図6を参照して、準備動作について説明する。
本実施形態の排水システム2においては、封水形成部8を効果的に洗浄するには、超音波発振器22を40W程度の出力で作動させる必要がある。しかしながら、超音波発振器22の起動後、出力を直ちに40W程度まで上昇させようとすると、図6の破線に示すように、超音波発振器22の出力に大きなオーバーシュートが発生し、超音波発振器22の出力は瞬間的に約70W近くまで上昇してしまう。このようなオーバーシュートが発生すると、超音波発振器22には瞬間的に過大な電流が流れる。ここで、超音波発振器22等の高周波機器を、50Wを超える出力で作動させる機器は、電波法上、個別の設置許可が必要な機器に分類される。このため、超音波発振器22を図6の破線に示すように作動させた場合には、排水システム2を一般家庭に設置することは困難となる。
【0039】
これに対して、本実施形態の排水システム2では、図6の実線に示すように、準備動作として、起動直後は20W以下の低出力で超音波発振器22を作動させ、所定の準備時間TPが経過した後、約40Wの高出力で超音波発振器22を作動させている。これにより、オーバーシュートの発生を抑制することができ、超音波発振器22への瞬間的な過大電流の発生を抑制することができる。
【0040】
次いで、図4のステップS5においては、ステップS2におけるカウントダウン開始後、所定の準備時間TPが経過したか否かが判断される。所定の準備時間TPが経過した場合にはステップS6に進み、経過していない場合にはステップS3に戻る。図5に示す例においては、時刻t1において準備時間のカウントダウンが開始された後、吐水状態が継続しているため、図4のフローチャートにおいては、ステップS3→S4→S5→S3の処理が繰り返される。これにより、準備動作として、約20Wの低出力で超音波発振器22が作動される。そして、図5の時刻t2において準備時間TPが経過すると、フローチャートにおける処理は、ステップS5からS6に移行する。なお、本実施形態においては、準備時間TPは約3秒に設定されている。
【0041】
さらに、ステップS6においては、水栓装置6からの吐水が継続されているか否かが判断され、吐水が継続されている場合にはステップS7に進み、吐水が終了している場合にはステップS11に進む。
【0042】
次いで、ステップS7において、制御装置24は、超音波発振器22に制御信号を送り、これを第2の出力である高出力で発振させ、ステップS6に戻る。即ち、制御装置24は、準備動作の後、本洗浄動作として準備動作における第1の出力よりも大きい第2の出力で、超音波発振器22を作動させる。図5に示す例においては、時刻t2において本洗浄動作が開始されると、超音波発振器22の出力は約40Wの高出力に高められ、本洗浄動作が実行される。本洗浄動作が実行されている間、図4のフローチャートにおいては、ステップS6→S7→S6の処理が繰り返される。このように、制御装置24は、準備動作の開始後、準備時間TPが経過しても吐水が継続されている場合には、準備動作の後、本洗浄動作を開始させる。
【0043】
この本洗浄動作においては、超音波発振器22が高出力で作動されるため、封水形成部8内の水に強力な超音波振動が付与され、封水形成部8の内壁面に付着した汚れを効果的に落とすことができる。また、本洗浄動作中は、水栓装置6からの吐水が封水形成部8に流入し続け、封水形成部8内の水が入れ替わるので、封水形成部8の内壁面から剥がれ落ちた汚れは、封水形成部8の下流へ排出され、剥がれ落ちた汚れが封水形成部8内で再付着するのを防止することができる。
【0044】
続いて、図5の時刻t3において、使用者が水栓装置6からの吐水を停止させると、流れセンサ20がこれを検知し、検知信号が制御装置24に入力される。吐水の停止が検知されると、図4のフローチャートにおける処理は、ステップS6からS11に移行する。ステップS11においては、所定の延長洗浄時間TEのカウントダウンが開始される。
【0045】
次いで、ステップS12において、制御装置24は、超音波発振器22に制御信号を送り、これを第3の出力である高出力で発振させる。即ち、制御装置24は、吐水の停止が検知されると、延長洗浄動作として準備動作における第1の出力よりも大きい第3の出力で、超音波発振器22を作動させる。図5に示す例においては、時刻t3において吐水が停止されると、超音波発振器22を第3の出力で作動させる延長洗浄動作が開始されている。本実施形態においては、延長洗浄動作における第3の出力は、本洗浄動作における出力と同じ約40Wに設定されている。
【0046】
さらに、図4のステップS13においては、ステップS11においてカウントダウンが開始された延長洗浄時間TEが経過したか否かが判断され、経過していない場合には、フローチャートにおける処理はステップS12に戻る。即ち、カウントダウンの開始後、延長洗浄時間TEが経過するまでは、ステップS12→S13→S12の処理が繰り返され、延長洗浄動作が実行される。本実施形態においては、延長洗浄動作を実行する延長洗浄時間TEは、準備時間TPと同じ約3秒に設定されている。好ましくは、延長洗浄時間TEは、準備時間TP以上の長さに設定する。
【0047】
この延長洗浄動作においても、超音波発振器22が高出力で作動されるため、封水形成部8内の水に強力な超音波振動が付与され、封水形成部8の内壁面に付着した汚れを効果的に落とすことができる。また、延長洗浄動作は、水栓装置6からの吐水が停止された後に実行されるが、吐水停止直後は、シンク4内の残水が封水形成部8に流入するため、延長洗浄動作により剥がれ落ちた汚れを、封水形成部8から排出することができる。これにより、封水形成部8の内壁面から剥がれ落ちた汚れの再付着を抑制することができる。
【0048】
次いで、延長洗浄時間TEが経過すると、フローチャートにおける処理はステップS13からS14に移行し、ステップS14において制御装置24は、超音波発振器22を停止させる。図5に示す例では、時刻t4において延長洗浄時間TEが経過し、超音波発振器22が停止されている。このように、延長洗浄動作では、吐水の停止が検知された後、延長洗浄時間TEが経過するまで、準備動作における出力よりも大きい第3の出力で超音波発振器22が作動される。
【0049】
次に、図7を新たに参照して、吐水時間が短い場合における排水システム2の作用を説明する。
図7は、吐水時間が短い場合における排水システム2の作用の一例を示すタイムチャートである。
【0050】
図7に示す例においては、時刻t11において、水栓装置6からの吐水が開始される。これにより、ステップS2において、準備時間TPのカウントダウンが開始される。さらに、準備動作が開始され、図4に示すフローチャートにおいては、ステップS3→S4→S5→S3の処理が繰り返される。
次いで、図7の時刻t11から所定の準備時間TPが経過する前の、時刻t12において、水栓装置6からの吐水が停止されると、図4のフローチャートにおける処理は、ステップS3からS8に移行する。
【0051】
ステップS8においては、所定の延長洗浄時間TEのカウントダウンが開始される。なお、この際、ステップS2において開始された準備時間TPのカウントダウンも継続される。
【0052】
次に、ステップS9においては、超音波発振器22が起動されているか否かが判断され、起動されていない場合には、図4に示すフローチャートにおける1回の処理を終了する。即ち、吐水が行われた時間が極めて短い場合には、ステップS2において準備時間TPのカウントダウンが開始された後、超音波発振器22が起動されずに(ステップS4が実行されずに)、フローチャートにおける処理がステップS8→S9に移行する。このような場合には、誤動作を防止するため、延長洗浄動作を実行することなく、図4に示すフローチャートの1回の処理を終了し、準備動作及び延長洗浄動作は実行されない。
【0053】
一方、ステップS9において、超音波発振器22が起動されている場合には、ステップS10に進み、ステップS10においては、ステップS2においてカウントダウンが開始された準備時間TPが経過しているか否かが判断される。準備時間TPが経過している場合にはステップS12に進み、経過していない場合にはステップS9に戻る。即ち、準備時間TPが経過するまでステップS10→S9→S10の処理が繰り返され、準備時間TPが経過すると、フローチャートにおける処理はステップS12に移行する。
【0054】
図7に示す例においては、時刻t12において吐水が停止された後も準備動作が継続され、時刻t13において準備時間TPが経過すると、ステップS12の処理が実行される。このように、準備時間TPが経過する前に吐水が停止された場合でも、準備時間TPが経過するまで準備動作が継続されるので、超音波発振器22のオーバーシュートを確実に抑制することができる。
【0055】
ステップS12において、制御装置24は、超音波発振器22に制御信号を送り、これを第3の出力である高出力で発振させる。即ち、制御装置24は、吐水が停止された後、準備動作が終了すると延長洗浄動作を開始させる。このように、制御装置24は、準備動作の開始後、準備時間TPが経過する前に吐水が停止された場合には、準備動作が完了した後、延長洗浄動作を開始させる。
【0056】
次いで、ステップS13においては、ステップS8においてカウントダウンが開始された延長洗浄時間TEが経過したか否かが判断され、経過していない場合には、フローチャートにおける処理はステップS13に戻る。即ち、カウントダウンの開始(図7における時刻t12)後、延長洗浄時間TEが経過するまでは、ステップS12→S13→S12の処理が繰り返され、延長洗浄動作が実行される。
【0057】
次いで、図7の時刻t14において延長洗浄時間TEが経過すると、フローチャートにおける処理はステップS13からS14に移行し、ステップS14において制御装置24は、超音波発振器22を停止させる。即ち、時刻t12においてカウントダウンが開始された延長洗浄時間TEが、時刻t14において経過し、超音波発振器22が停止される。延長洗浄動作では、吐水の停止が検知された後、延長洗浄時間TEが経過するまで、準備動作における出力よりも大きい第3の出力で超音波発振器22が作動される。
【0058】
このように、本実施形態の排水システム2では、流れセンサ20からの検知信号に基づいて、準備動作の後、本洗浄動作及び/又は延長洗浄動作が、制御装置24により選択的に実行される。これにより、吐水時間が短く、準備動作が終了する前に吐水が停止された場合でも、延長洗浄動作により、準備動作における出力よりも大きい出力で超音波発振器22が作動される。このため、短時間で吐水、止水が繰り返された場合でも、封水形成部8の洗浄が確実に実行され、封水形成部8を清潔に維持することができる。
【0059】
本発明の第1実施形態の排水システム2によれば、本洗浄動作の前に、本洗浄動作よりも小さい出力で超音波発振器22を作動させる準備動作(図5の時刻t1~t2図7の時刻t11~t13)を備えているので、超音波発振器22の消費電流が過大になるのを抑制することができる。また、吐水の停止が検知された後、準備動作よりも大きい出力で超音波発振器22を作動させる延長洗浄動作(図5の時刻t3~t4図7の時刻t13~t14)を備えているので、吐水が継続されている時間が短い場合であっても、十分な洗浄時間を確保することができる。また、吐水が停止された直後は、封水形成部8に残水が流入することが期待できるので、吐水が停止された後に超音波発振器22を作動させた場合でも、封水形成部8の壁面から剥がれた汚れを封水形成部8外に排出することができ、高い洗浄効果を期待することができる。
【0060】
また、本実施形態の排水システム2によれば、吐水時間が比較的長く、準備時間TPの経過後も吐水が継続されている場合(図5)には、本洗浄動作(図5の時刻t2~t3)が行われるので、封水形成部8を十分に洗浄することができる。また、吐水時間が短く、準備時間TPの経過前に吐水が終了(図7の時刻t12)した場合には、準備動作の完了後、延長洗浄動作(図7の時刻t13~t14)が行われるので、封水形成部8を十分に洗浄することができる。
【0061】
さらに、本実施形態の排水システム2によれば、延長洗浄時間TEが準備時間TPと同じ長さに設定されているので、吐水時間が短い場合でも十分な洗浄時間を確保することができ、封水形成部8を清潔に保つことができる。また、延長洗浄時間TEを準備時間TPよりも長く設定することで、より十分な洗浄時間を確保することができる。
【0062】
次に、図8及び図9を参照して、本発明の第2実施形態による排水システムを説明する。
本発明の第2実施形態による排水システムは、制御装置による制御のみが上述した第1実施形態とは異なる。従って、ここでは本発明の第2実施形態の、第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成、作用、効果については説明を省略する。図8は、本発明の第2実施形態による排水システムの作用を示すフローチャートである。図9は、本発明の第2実施形態による排水システムの作用の一例を示すタイムチャートである。
【0063】
まず、図9の時刻t21において、水栓装置6からの吐水が開始されると、制御装置24は、超音波発振器22を第1の出力である低出力で作動させ、準備動作を開始させる。準備動作中においては、図8に示すフローチャートにおけるステップS23→S24→S25→S23の処理が繰り返される。図8のステップS21乃至S25における処理は、図4のステップS1乃至S5における処理と同一であるため、説明を省略する。
【0064】
図9に示す例においては、時刻t21の後、所定の準備時間TPが経過した後も吐水が継続されているため、図8のフローチャートにおける処理は、ステップS25からS26に移行する。なお、準備時間TPが経過する前に吐水が停止された場合には、図8のフローチャートにおける処理は、ステップS23からS30に移行する。準備時間TPが経過する前に吐水が停止された場合における作用は、上述した第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0065】
ステップS26においては、所定の本洗浄時間TWのカウントダウンが開始される。
次いで、ステップS27においては、水栓装置6からの吐水が継続しているか否かが判断され、吐水が停止された場合にはステップS33に進み、吐水が継続している場合にはステップS28に進む。
【0066】
ステップS28において、制御装置24は、超音波発振器22を第2の出力である高出力で作動させ、本洗浄動作を開始させる。図9に示す例においては、準備時間TPが経過した時刻t22から本洗浄動作が開始される。
【0067】
さらに、ステップS29においては、ステップS26においてカウントダウンが開始された本洗浄時間TWが経過したか否かが判断され、本洗浄時間TWが経過した場合にはステップS37に進み、経過していない場合にはステップS27に戻る。即ち、図8のフローチャートにおいては、本洗浄時間TWが経過するまで、ステップS27→S28→S29→S27の処理が繰り返される。本実施形態において、本洗浄時間TWは、準備時間TP、及び延長洗浄時間TEよりも長い約7秒に設定されている。
【0068】
図9に示す例においては、時刻t22の後、吐水が継続されているため、本洗浄時間TWが経過した時刻t23において、図8のフローチャートにおける処理はステップS29からS37に移行する。なお、本洗浄時間TWが経過する前に吐水が停止された場合には、図8のフローチャートにおける処理は、ステップS27からS33に移行する。ステップS33の後、所定の延長洗浄時間TE延長洗浄が実行され、図8のフローチャートの1回の処理を終了する作用は、上述した第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0069】
ステップS37において、制御装置24は、超音波発振器22に制御信号を送り、超音波発振器22を所定の休止時間TS停止させ、その後、図8のフローチャートの1回の処理を終了する。図9に示す例においては、時刻t23において本洗浄時間TWが経過した後、超音波発振器22が休止時間TS停止される。本実施形態において、休止時間TSは、約3秒に設定されている。
【0070】
即ち、上述した第1実施形態においては、本洗浄動作が開始されると、水栓装置6からの吐水が停止されるまで、本洗浄動作が継続されていた。これに対し、本実施形態においては、本洗浄動作開始後、吐水が継続されたまま所定の本洗浄時間TWが経過すると、超音波発振器22は所定の休止時間TSだけ一旦停止される。これにより、水栓装置6からの吐水が非常に長い時間継続している場合に、超音波発振器22が連続して長時間作動され、過熱するのを防止することができる。
【0071】
図9に示す例においては、休止時間TSが経過した後も吐水が継続されているため、図8に示すフローチャートの次回の処理により、時刻t24において、再び準備動作が開始されている。図9に示す例では、さらに吐水が継続されているため、準備時間TPが経過した時刻t25から時刻t26まで再び本洗浄動作が実行され、さらに休止時間TSを経た後、時刻t27から準備動作が開始されている。このように、制御装置24は、本洗浄動作の開始後、本洗浄時間TWが経過した後も吐水が継続されている場合には、本洗浄動作を一旦終了し、準備動作を準備時間TP実行した後、再び本洗浄動作を開始させる。
【0072】
次いで、図9の時刻t28において準備時間TPが経過すると、図8のフローチャートにおける処理はステップS25からS26に移行し、本洗浄動作が開始される。さらに、図9に示す例では、時刻t28における本洗浄動作の開始後、本洗浄時間TWが経過する前の時刻t29において、水栓装置6からの吐水が停止されている。
【0073】
これにより、図8のフローチャートにおける処理はステップS27からS33に移行し、延長洗浄動作が開始される。このように、制御装置24は、本洗浄動作の開始後、所定の本洗浄時間TWが経過する前に吐水が停止されると、本洗浄動作を終了して延長洗浄動作を開始させる。延長洗浄動作が開始された時刻t29の後、所定の延長洗浄時間TEが経過するまで、図8のフローチャートにおいては、ステップS34→S35→S34の処理が繰り返し実行される。図8のステップS33乃至S35における処理は、図4のステップS11乃至S13における処理と同一であるため説明を省略する。なお、図8のステップS30乃至S32における処理についても、図4のステップS8乃至S10における処理と同一であるため説明を省略する。
【0074】
次いで、図9の時刻t30において延長洗浄時間TEが経過すると、図8のフローチャートにおける処理はステップS36に移行する。ステップS36において、制御装置24は超音波発振器22を停止させ、図8のフローチャートの1回の処理を終了する。このように、本実施形態においては、水栓装置6からの吐水が長時間継続された場合でも、その間、本洗浄動作が継続して実行されることがない。即ち、本実施形態においては、吐水が長時間継続されていても所定の本洗浄時間TWの間に休止時間TS及び準備時間TPが挟まれるため、超音波発振器22が高出力で長時間連続して作動されることがなく、超音波発振器22の過熱を防止することができる。
【0075】
また、上述した本発明の第2実施形態においては、所定の本洗浄時間TWが経過した後、図8のステップS37により、所定の休止時間TSだけ超音波発振器22が停止されていた。これに対して、変形例として、図8のステップS37を省略することもできる。この場合において、水栓装置6からの吐水が長時間継続されると、排水システム2は、図10に一例を示すタイムチャートのように作動する。
【0076】
図10に示す変形例では、時刻t31において最初の準備動作が開始され(図8のステップS23乃至S25による処理)、時刻t32において準備時間TPが経過すると、本洗浄動作が開始される(ステップS27乃至S29による処理)。時刻t32の後、時刻t33において本洗浄時間TWが経過すると、図8のステップS37が省略されているため、そのまま図8のフローチャートの1回の処理が終了する(ステップS29→リターン)。そして、水栓装置6からの吐水が継続されていれば、図8のフローチャートの次の開始により、時刻t33から再び準備動作が開始される(図8のフローチャートが実行される時間間隔は極めて短いため)。
【0077】
このように、図8のステップS37が省略された場合、本洗浄動作の後、休止時間TSを挟むことなく、次の準備動作が開始され、水栓装置6からの吐水が停止されるまで準備動作と本洗浄動作が交互に繰り返される。この変形例においても、超音波発振器22が高出力で作動される本洗浄動作の間に、超音波発振器22が低出力で作動される準備動作が挟まれるため、超音波発振器22の過熱を防止することができる。
【0078】
また、図10に示す例においては、本洗浄動作の途中の時刻t37において吐水が停止されているため、時刻t37から延長洗浄動作が開始される(図8のステップS34及びS35による処理)。この延長洗浄動作は、延長洗浄時間TEが経過した時刻t38に終了する。
【0079】
これに対して、更なる変形例として、水栓装置6からの1回の吐水に対して、1回以上本洗浄動作が完結している場合において、延長洗浄動作を行うことなく、超音波発振器22を停止させるように本発明を構成することもできる。即ち、水栓装置6からの1回の吐水に対して、1回以上本洗浄動作が完結していれば、延長洗浄動作を行わなくとも、封水形成部8を十分清潔に維持することができる。この変形例によれば、図10に示す例において、時刻t37において吐水が停止されたとき、直ちに超音波発振器22が停止される。
【0080】
本発明の第2実施形態の排水システム、及びその変形例によれば、本洗浄動作の開始後、本洗浄時間TW経過前に吐水が停止された場合には、延長洗浄動作が開始されるので、常に十分な洗浄時間を確保することができる。一方、本洗浄動作の開始後、本洗浄時間TWが経過しても吐水が停止されない場合(図9の時刻t23図10の時刻t33等)には、本洗浄動作が一旦終了されるので、本洗浄動作が長時間継続されることによる超音波発振器22の過熱や、過熱による寿命の低下を抑制することができる。
【0081】
また、本実施形態の排水システム、及びその変形例によれば、本洗浄時間TWが経過した後も吐水が継続されている場合(図9の時刻t23図10の時刻t33等)には、本洗浄動作を一旦終了し、準備動作を実行した後、再び本洗浄動作が開始(図9の時刻t25図10の時刻t34等)される。この結果、本洗浄動作が長時間継続されることによる超音波発振器22の過熱を抑制することができると共に、再び本洗浄動作を開始させることにより、より洗浄効果を高めることができる。
【0082】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した実施形態においては、排水システムをキッチン用の流し台に適用していたが、キッチン用の流し台の他、種々の水回り製品に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 流し台
2 排水システム
4 シンク
4a 底面
6 水栓装置
6a 湯水混合水栓
6b 吐水部
6c 吐水側流路
8 封水形成部
10 水給水路
12 湯給水路
14 入口部
16 排水トラップ流路
16a 接続部
16b 上昇部
16c 頂部
16d 下降部
18 排水管
20 流れセンサ(吐水検知部)
22 超音波発振器
24 制御装置
26 網かご
28 封水筒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10