(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154586
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H05B 33/02 20060101AFI20221005BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20221005BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20221005BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20221005BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20221005BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20221005BHJP
G09G 3/3233 20160101ALI20221005BHJP
【FI】
H05B33/02
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/12 B
G09F9/30 365
G09F9/30 339
G09F9/30 330
G09G3/20 612G
G09G3/20 621A
G09G3/20 624C
G09G3/20 680G
G09G3/3233
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057692
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田畠 弘志
(72)【発明者】
【氏名】森田 哲生
【テーマコード(参考)】
3K107
5C080
5C094
5C380
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC35
3K107DD39
3K107DD44Z
3K107EE57
3K107HH05
5C080AA06
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5C380DA02
5C380DA06
5C380DA20
5C380DA32
5C380DA33
5C380DA47
(57)【要約】
【課題】 高精細化を実現することが可能な表示装置を提供すること。
【解決手段】 一実施形態に係る表示装置は、基材と、基材の上にマトリクス状に配列される複数の画素と、各画素に接続される給電線と、給電線に接続される給電線駆動回路と、を備える。各画素は、基材の上に配置される画素回路と、画素回路に接続される下部電極と、下部電極と対向配置される上部電極と、下部電極と上部電極との間に配置され発光層を含む有機層と、を有する表示素子と、を含む。上部電極は、当該上部電極に所定の電位を与える給電線に接続され、給電線駆動回路は、発光層が発光する発光期間においては上部電極に第1電位を与える第1信号を給電線に供給し、発光層が発光しない非発光期間においては上部電極に第1電位とは異なる第2電位を与える第2信号を給電線に供給する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の上にマトリクス状に配列される複数の画素と、
前記各画素に接続される給電線と、
前記給電線に接続される給電線駆動回路と、を具備し、
前記各画素は、
前記基材の上に配置される画素回路と、
前記画素回路に接続される下部電極と、前記下部電極と対向配置される上部電極と、前記下部電極と前記上部電極との間に配置され発光層を含む有機層と、を有する表示素子と、を備え、
前記上部電極は、当該上部電極に所定の電位を与える前記給電線に接続され、
前記給電線駆動回路は、前記発光層が発光する発光期間においては前記上部電極に第1電位を与える第1信号を前記給電線に供給し、前記発光層が発光しない非発光期間においては前記上部電極に前記第1電位とは異なる第2電位を与える第2信号を前記給電線に供給する、
表示装置。
【請求項2】
前記非発光期間は、ある発光期間から次の発光期間までの間の期間である、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1電位は、前記発光層を発光させるためのコモン電位であり、
前記第2電位は、前記発光期間に与えられた前記コモン電位をリセットするためのリセット電位である、
請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記各画素は、前記給電線に供給される前記第2信号に基づき、前記非発光期間に黒画面を表示する、
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記上部電極および前記給電線は、画素行毎に配置され、
前記給電線駆動回路は、前記発光期間に前記第1信号を前記各給電線に時分割的に順次供給し、前記非発光期間に前記第2信号を前記各給電線に時分割的に順次供給する、
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記上部電極および前記給電線は、画素列毎に配置され、
前記給電線駆動回路は、前記発光期間に前記第1信号を前記各給電線に時分割的に順次供給し、前記非発光期間に前記第2信号を前記各給電線に時分割的に順次供給する、
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記各画素は、赤色の光を出射する第1副画素と、緑色の光を出射する第2副画素と、青色の光を出射する第3副画素と、を含み、
前記給電線は、前記各画素と、前記各画素に含まれる前記第1副画素、前記第2副画素および前記第3副画素とを区画するように配置される、
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記給電線は、前記有機層と同層に配置され、前記画素回路が配置される層とは異なる層に配置される、
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記給電線は、低抵抗な金属材料によって形成される、
請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を適用した表示装置が実用化されている。表示素子は、画素電極と共通電極との間に有機層を備えている。有機層は、発光層の他に、ホール輸送層や電子輸送層等の機能層を含んでいる。
【0003】
有機発光ダイオードを適用した表示装置の実用化が進む一方で、このような表示装置には、高精細化が困難であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、高精細化を実現することが可能な表示装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る表示装置は、
基材と、前記基材の上にマトリクス状に配列される複数の画素と、前記各画素に接続される給電線と、前記給電線に接続される給電線駆動回路と、を具備する。前記各画素は、前記基材の上に配置される画素回路と、前記画素回路に接続される下部電極と、前記下部電極と対向配置される上部電極と、前記下部電極と前記上部電極との間に配置され発光層を含む有機層と、を有する表示素子と、を備える。前記上部電極は、当該上部電極に所定の電位を与える前記給電線に接続される。前記給電線駆動回路は、前記発光層が発光する発光期間においては前記上部電極に第1電位を与える第1信号を前記給電線に供給し、前記発光層が発光しない非発光期間においては前記上部電極に前記第1電位とは異なる第2電位を与える第2信号を前記給電線に供給する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る表示装置の一構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した副画素の一構成例を示す断面図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係る副画素と、給電線と、給電線駆動回路とを示す平面図である。
【
図4】
図4は、比較例に係る副画素の一構成例を示す等価回路図である。
【
図5】
図5は、同実施形態に係る副画素の一構成例を示す等価回路図である。
【
図6】
図6は、同実施形態に係る副画素と、給電線と、給電線駆動回路とを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
いくつかの実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実施の態様に比べて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を省略することがある。
【0009】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸、および、Z軸を記載する。X軸に沿った方向をX方向または第1方向と称し、Y軸に沿った方向をY方向または第2方向と称し、Z軸に沿った方向をZ方向または第3方向と称する。X軸およびY軸によって規定される面をX-Y平面と称し、X軸およびZ軸によって規定される面をX-Z平面と称する。X-Y平面を見ることを平面視という。
【0010】
いくつかの実施形態に係る表示装置DSPは、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であり、テレビ、パソコン、携帯端末、携帯電話等に搭載される。なお、以下に説明する表示素子は照明装置の発光素子として適用することができ、表示装置DSPは照明装置等の他の電子機器に転用することができる。
【0011】
図1は、本実施形態に係る表示装置DSPの一構成例を示す図である。表示装置DSPは、絶縁性の基材10の上に、画像を表示する表示部DAを備えている。基材10は、ガラスであってもよいし、可撓性を有する樹脂フィルムであってもよい。
【0012】
表示部DAは、第1方向Xおよび第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。画素PXは、複数の副画素SP1,SP2,SP3を備えている。一例では、画素PXは、赤色の副画素SP1(第1副画素)、緑色の副画素SP2(第2副画素)、および、青色の副画素SP3(第3副画素)を備えている。なお、画素PXは、上記した3色の副画素の他に、白色等の他の色の副画素を加えた4個以上の副画素を備えていてもよい。
【0013】
画素PXに含まれる1つの副画素SPの一構成例について簡単に説明する。
副画素SPは、画素回路1と、画素回路1によって駆動制御される表示素子20と、を備えている。画素回路1は、画素選択スイッチSSTと、駆動トランジスタDRTと、出力スイッチBCTと、キャパシタCsと、を備えている。画素選択スイッチSST、駆動トランジスタDRTおよび出力スイッチBCTは、例えば薄膜トランジスタ(TFT)により構成されたスイッチ素子であり、それぞれ、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極を有している。
【0014】
画素選択スイッチSSTについて、ゲート電極は走査線GLに接続され、ソース電極は信号線SLに接続され、ドレイン電極はノードN1に接続されている。ノードN1は、画素選択スイッチSSTのドレイン電極、駆動トランジスタDRTのゲート電極、キャパシタCsを構成する一方の電極に接続されている。画素選択スイッチSSTは、走査線GLから供給される走査信号に応答してオンされると、信号線SLから供給される映像信号を取り込む。
【0015】
駆動トランジスタDRTについて、ゲート電極はノードN1に接続され、ソース電極は出力スイッチBCTのドレイン電極に接続され、ドレイン電極はノードN2に接続されている。ノードN2は、駆動トランジスタDRTのドレイン電極、キャパシタCsを構成する他方の電極、表示素子20のアノードに接続されている。駆動トランジスタDRTは、上記した映像信号に応じた電流量の駆動電流を表示素子20に出力する。
【0016】
出力スイッチBCTについて、ゲート電極は出力制御信号線L1に接続され、ソース電極は電源線PLに接続され、ドレイン電極は駆動トランジスタDRTのソース電極に接続されている。出力スイッチBCTは、表示素子20が発光する発光期間を制御するためのスイッチである。
【0017】
表示素子20のカソードは給電線FLに接続されている。なお、画素回路1の構成は図示した例に限らない。
【0018】
表示素子20は、発光素子である有機発光ダイオード(OLED)である。例えば、副画素SP1は赤波長に対応した光を出射する表示素子を備え、副画素SP2は緑波長に対応した光を出射する表示素子を備え、副画素SP3は青波長に対応した光を出射する表示素子を備えている。画素PXが表示色の異なる複数の副画素SP1,SP2,SP3を備えることで、多色表示を実現できる。
【0019】
但し、副画素SP1,SP2,SP3の各々の表示素子20が同一色の光を出射するように構成されてもよい。これにより、単色表示を実現できる。
【0020】
また、副画素SP1,SP2,SP3の各々の表示素子20が白色の光を出射するように構成された場合、表示素子20に対向するカラーフィルタが配置されてもよい。例えば、副画素SP1は表示素子20に対向する赤カラーフィルタを備え、副画素SP2は表示素子20に対向する緑カラーフィルタを備え、副画素SP3は表示素子20に対向する青カラーフィルタを備える。これにより、多色表示を実現できる。
【0021】
あるいは、副画素SP1,SP2,SP3の各々の表示素子20が紫外光を出射するように構成された場合、表示素子20に対向する光変換層が配置されることで、多色表示を実現できる。
【0022】
図2は、
図1に示す副画素SP(表示素子20)の構成例を示す断面図である。
図1に示した画素回路1は、基材10の上に配置され、絶縁層11によって覆われている。
図2では、画素回路1に含まれる駆動トランジスタDRTのみを簡略化して図示している。絶縁層11は、表示素子20の下地層に相当し、例えば、ポリイミド、アクリル樹脂、シリコン窒化物(SiN)、シリコン酸化物(SiO)等の絶縁材料によって形成されている。
【0023】
表示素子20は、下部電極E1と、有機層ORと、上部電極E2と、を備えている。有機層ORは、下部電極E1と上部電極E2との間に挟まれて配置されている。
【0024】
下部電極E1は、副画素毎あるいは表示素子毎に配置された電極であり、駆動トランジスタDRTと電気的に接続されている。このような下部電極E1は、画素電極、反射電極、アノード等と称される場合がある。
【0025】
上部電極E2は、画素行毎に配置された電極である。つまり、上部電極E2は、第1方向Xに隣接する複数の画素PXに亘って配置された電極である。
図2においては、図中左側に配置された画素PXと、図中右側に配置された画素PXとが、異なる画素行に配置された画素である場合を想定している。このため、これら画素PXの間において上部電極E2は分断され、これら画素PXの間には上部電極E2のない所定のスペースが存在する。このような上部電極E2は、共通電極、対向電極、カソード等と称される場合がある。
【0026】
上部電極E2は、給電線FLに接続されている。給電線FLは、上部電極E2に所定の電位を与えるための配線である。より詳しくは、給電線FLは、上部電極E2の電位をコモン電位(第1電位)、または、コモン電位とは異なるリセット電位(第2電位)にするための信号を供給する配線である。なお、給電線FLは、隣接する2つの有機層ORの間に配置され、これら有機層ORを区画する役割も有している。
【0027】
下部電極E1は、絶縁層11の上に配置され、絶縁層11に形成された開口部OP1を通って駆動トランジスタDRTに接続されている。開口部OP1は、駆動トランジスタDRTと重なる領域に形成され、絶縁層11を駆動トランジスタDRTまで貫通した貫通孔である。
【0028】
下部電極E1は、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)等の透明導電材料によって形成された透明電極である。なお、下部電極E1は、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等の金属材料によって形成された金属電極であってもよい。また、下部電極E1は、透明電極および金属電極の積層体であってもよい。例えば、下部電極E1は、透明電極、金属電極、および、透明電極の順に積層された積層体として構成されてもよいし、3層以上の積層体として構成されてもよい。
【0029】
絶縁層12は、下部電極E1を覆うように、絶縁層11の上に設けられる。絶縁層12は、開口部OP2を有しており、当該開口部OP2において下部電極E1の一部が露出されている。
【0030】
有機層ORは、開口部OP2を通って下部電極E1に接続されている。本実施形態において、有機層ORは、赤色、緑色、青色のうちのいずれかの色で発光する発光層を含む。有機層ORは、発光層の他に、ホール注入層、ホール輸送層、電子ブロック層、ホールブロック層、電子輸送層、電子注入層、等の機能層を含んでいてもよい。このため、
図2では、有機層ORを単層体として図示したが、有機層ORは、発光層の他に、上記した機能層のうちの少なくとも1つを含む複数の層が積層された積層体であってもよい。
【0031】
絶縁層12の上には、給電線FLが配置されている。
図2においては、給電線FLが、ある画素PXに含まれる副画素SP1の有機層ORと、当該副画素SP1に隣接する副画素SP2の有機層ORとの間に配置され、これら2つの有機層ORを区画している場合を例示している。また、
図2においては、給電線FLが、ある画素PXと、当該画素PXに隣接する別の画素PX(ある画素PXとは異なる画素行の画素PX)との間にも配置され、ある画素PXに含まれる有機層OR(ある画素PXの副画素SP2に含まれる有機層OR)と、隣接する別の画素PXに含まれる有機層OR(隣接する別の画素PXの副画素SP1に含まれる有機層OR)とを区画している場合を例示している。このように、各画素PXおよび各画素PXに含まれる副画素SP1,SP2,SP3は、給電線FLによって区画されている。
【0032】
給電線FLは、例えば、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等、低抵抗な金属材料によって形成される。給電線FLは、上記した金属材料のうちの1つにより形成される単層体であってもよいし、上記した金属材料のうちの複数の金属材料が積層された積層体であってもよい。
【0033】
上部電極E2は、第1方向Xに隣接する複数の画素PXに亘って配置される共通層であり、各画素PXに含まれる絶縁層12および有機層ORを覆い、給電線FLに接続されている。
【0034】
上部電極E2は、例えば、ITOやIZO等の透明導電材料によって形成された透明電極である。なお、上部電極E2は、マグネシウム(Mg)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)等の金属材料によって形成された半透過性の金属電極であってもよい。
【0035】
下部電極E1の電位が上部電極E2の電位よりも相対的に高い場合、下部電極E1がアノードに相当し、上部電極E2がカソードに相当する。また、上部電極E2の電位が下部電極E1の電位よりも相対的に高い場合、上部電極E2がアノードに相当し、下部電極E1がカソードに相当する。
本実施形態では、一例として、下部電極E1がアノードに相当し、上部電極E2がカソードに相当する場合を想定している。
【0036】
図2に示す構成によれば、開口部OP2に配置された下部電極E1と、共通層として配置された上部電極E2との間に配置された有機層ORが位置する部分に、表示素子20の発光領域を形成することができる。但し、有機層ORのうち、開口部OP2の斜面と絶縁層12の上面とに配置された部分は、下部電極E1と上部電極E2との間に絶縁層12が介在するため、ほとんど発光しない。
【0037】
図3は、画素PXに含まれる副画素SP1,SP2,SP3と、給電線FLと、給電線FLに接続される給電線駆動回路FDとを示す平面図である。
1個の画素PXに含まれる副画素SP1,SP2,SP3は、表示部DAにおいて、それぞれ第2方向Yに延びた略長方形状に形成される。赤波長に対応した光を出射する表示素子を備える副画素SP1と、緑波長に対応した光を出射する表示素子を備える副画素SP2とは、第2方向Yに隣接して並んでいる。また、副画素SP1,SP2と、青波長に対応した光を出射する表示素子を備える副画素SP3とは、第1方向Xに隣接して並んでいる。副画素SP1,SP2の大きさ(X-Y平面における面積)は、副画素SP3に比べて小さく形成される。
【0038】
図3では、副画素SP1,SP2,SP3がペンタイル方式で配列された場合を例示したが、副画素SP1,SP2,SP3の配列方式はこれに限定されず、副画素SP1,SP2,SP3は、例えばストライプ方式で配列されても構わない。
【0039】
給電線FLは画素行毎に配置されている。各給電線FLは、それぞれ接続される上部電極E2の電位をコモン電位またはリセット電位にするための信号を供給する。各給電線FLは、各画素PXおよび各画素PXに含まれる副画素SP1,SP2,SP3を区画している。
【0040】
ここで、給電線FLの形状について詳しく説明する。
図3に示すように、各給電線FLは、第1部分FL1と、第2部分FL2と、第3部分FL3とを有している。第1部分FL1は、隣接する2つの画素行の間に配置され、第1方向Xに延出した部分である。第2部分FL2は、第1方向Xに並ぶ各画素PXの間に配置され、かつ、各画素PXに含まれる副画素SP1,SP2と副画素SP3との間に配置され、第1部分FL1から分岐して第2方向Yに延出した部分である。第3部分FL3は、2つの第2部分FL2を繋ぐように第1方向Xに延出した部分である。各給電線FLはこのような形状を有することにより、各画素PXおよび各画素PXに含まれる副画素SP1,SP2,SP3を区画している。
【0041】
各給電線FLの両端は、第1給電線駆動回路FD1および第2給電線駆動回路FD2にそれぞれ接続されている。
図3では、各給電線FLの両端が第1給電線駆動回路FD1および第2給電線駆動回路FD2にそれぞれ接続されている場合を例示したが、これに限定されず、各給電線FLは、少なくとも一端が第1給電線駆動回路FD1および第2給電線駆動回路FD2の一方に接続されていればよい。
【0042】
第1給電線駆動回路FD1および第2給電線駆動回路FD2は、上部電極E2の電位をコモン電位またはリセット電位にするための信号を各給電線FLに時分割的に順次供給する。第1給電線駆動回路FD1および第2給電線駆動回路FD2はそれぞれ切替回路SWを有している。切替回路SWは、第1給電線駆動回路FD1および第2給電線駆動回路FD2が、上部電極E2の電位をコモン電位にするための信号(第1信号)を給電線FLに供給するか、上部電極E2の電位をリセット電位にするための信号(第2信号)を給電線FLに供給するか(より詳しくは、上部電極E2を介して
図1に示すノードN2の電位をリセット電位にするための信号を給電線FLに供給するか)、を切り替えるための回路である。
【0043】
副画素SP1,SP2,SP3の有機層OR(発光層)を発光させる発光期間においては、切替回路SWは、各上部電極E2の電位をコモン電位にするための信号が各給電線FLに順次供給されるように、第1給電線駆動回路FD1および第2給電線駆動回路FD2の動作を制御する。一方、上記した発光期間から次の発光期間までの間(つまり、非発光期間)においては、切替回路SWは、各上部電極E2の電位(ノードN2の電位)をリセット電位にするための信号が各給電線FLに順次供給されるように、第1給電線駆動回路FD1および第2給電線駆動回路FD2の動作を制御する。非発光期間に、上部電極E2および下部電極E1を介してノードN2の電位がリセット電位に設定されることにより、黒画面を挿入することができる。これによれば、前回の発光期間における影響をリセットすることが可能であり、表示品位を向上させることが可能である。
【0044】
ここで、
図4に示す比較例を用いて、本実施形態の効果について説明する。なお、比較例は、本実施形態が奏し得る効果の一部を説明するためのものであって、比較例と本実施形態とで共通する効果を本願発明の範囲から除外するものではない。
【0045】
図4は、比較例に係る副画素SP’の一構成例を示す等価回路図である。
図4に示すように、副画素SP’は、画素回路1’と、表示素子20とを備えている。画素回路1’は、画素選択スイッチSSTと、駆動トランジスタDRTと、出力スイッチBCTと、キャパシタCsと、リセットスイッチRSTと、を備えている。画素選択スイッチSST、駆動トランジスタDRT、出力スイッチBCTおよびリセットスイッチRSTは、例えば薄膜トランジスタ(TFT)により構成されたスイッチ素子であり、それぞれ、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極を有している。
【0046】
比較例に係る副画素SP’は、画素回路1’がリセットスイッチRSTを備えている点で、本実施形態に係る副画素SPと相違している。
【0047】
リセットスイッチRSTについて、ゲート電極はリセット制御信号線L2に接続され、ソース電極はリセット電源線RLに接続され、ドレイン電極はノードN2に接続されている。リセットスイッチRSTは、リセット制御信号線L2から供給される制御信号に応答してオンされると、ノードN2の電位を、リセット電源線RLより与えられるリセット電位に設定し、リセットする。
【0048】
比較例に係る構成においては、
図4に示すように、ノードN2の電位をリセットする構成として、リセットスイッチRSTが副画素SP’毎に配置されている。また、比較例に係る構成においては、リセットスイッチRSTのオン・オフを制御するためのリセット制御信号線L2が画素行毎に配置されている。さらに、比較例に係る構成においては、ノードN2の電位をリセットするために、リセット電源線RLが配置されている。これら要素は、上記したように、副画素SP’毎あるいは画素行毎に設けられるため、表示装置の高精細化が進むほどその数を増やし、ある数を境に、配置するスペースの関係上、配置することができなくなることが考えられる。このため、比較例に係る構成では、表示装置の高精細化が難しいという問題がある。
【0049】
これに対し、本実施形態に係る表示装置DSPにおいては、給電線FLを、比較例におけるリセット電源線RLとしても機能させることにより、リセット電源線RLの配置を省略することが可能である。これは、発光期間においては、上部電極E2の電位をコモン電位にするための信号を給電線FLに供給し、非発光期間においては、上部電極E2および下部電極E1を介してノードN2の電位をリセット電位にするための信号を給電線FLに供給するように、第1給電線駆動回路FD1および第2給電線駆動回路FD2の動作を切替可能な切替回路SWが設けられることにより実現される。
【0050】
また、本実施形態に係る表示装置DSPにおいては、上部電極E2および給電線FLが画素行毎に配置されるため、比較例におけるリセットスイッチRSTやリセット制御信号線L2を配置しなくても、画素行毎にリセット電位を順次供給することが可能である。例えば、上部電極E2が画素行毎に配置されるのではなく、全ての画素PX(副画素SP)に亘って配置された状態で、給電線FLをリセット電源線RLとして機能させた場合、全ての画素PXが一斉に黒く表示されてしまうため、コントラストが低下する等、表示品位が低下してしまう恐れがある。しかしながら、本実施形態に係る構成においては、上部電極E2および給電線FLが画素行毎に配置されているため、このような表示品位の低下を招くことなく、比較例におけるリセットスイッチRSTやリセット制御信号線L2の配置を省略することが可能である。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係る表示装置DSPが備える副画素SPは、
図5に示す構成を備えているため、
図4に示す比較例の構成に比べて、リセット電源線RL、リセットスイッチRST、リセット制御信号線L2の配置を省略することが可能である。これによれば、リセット電源線RL、リセットスイッチRST、リセット制御信号線L2を配置しない分だけ、その他の配線を配置するスペースを空けることができ、表示装置DSPの高精細化を実現することが可能である。
【0052】
なお、
図2に示したように、給電線FLは、有機層ORと同層に配置されている。一般的に、上記したリセット電源線RLやリセットスイッチRST、リセット制御信号線L2、さらには、走査線GLや信号線SL等の各種配線や各種スイッチ素子は、配線層と称される、駆動トランジスタDRT(画素回路1)等が配置される層に配置されることが多い。これに対し、本実施形態においては、給電線FLが、上記した配線層ではなく有機層ORと同層に配置されているため、この点においても、その他の配線を配置するスペースを空けることができ、表示装置DSPの高精細化を実現することが可能である。
【0053】
また、本実施形態においては、低抵抗な金属材料により形成された給電線FLが画素行毎に配置され、同じく画素行毎に配置された各上部電極E2に接続する構成としているため、各上部電極E2の低抵抗化を図ることが可能である。
【0054】
さらに、本実施形態においては、給電線FLは、
図3に示すような形状を有しているため、各画素PXおよび各画素PXに含まれる副画素SP1,SP2,SP3を区画する役割も果たすことが可能である。
【0055】
なお、本実施形態においては、
図3に示したように、上部電極E2および給電線FLが画素行毎に配置されている構成を示したが、これに限定されず、例えば
図6に示すように、上部電極E2および給電線FLは画素列毎に配置されても構わない。以下では、上部電極E2および給電線FLが画素列毎に配置された場合の給電線FLの形状について説明する。
【0056】
図6に示すように、画素列毎に配置された各給電線FLは、第1部分FL11と、第2部分FL12と、第3部分FL13と、第4部分FL14とを有している。第1部分FL11は、隣接する2つの画素列の間に配置され、第2方向Yに延出した部分である。第2部分FL12は、第2方向Yに並ぶ各画素PXの間に配置され、第1部分FL11から分岐して第1方向Xに延出した部分である。第3部分FL13は、各画素PXに含まれる副画素SP1,SP2と副画素SP3との間に配置され、第2部分FL12から分岐して第2方向Yに延出した部分である。第4部分FL14は、各画素PXに含まれる副画素SP1と副画素SP2との間に配置され、第3部分FL13から分岐して第1方向Xに延出した部分である。各給電線FLはこのような形状を有することにより、画素列毎に配置された場合であっても、各画素PXおよび各画素PXに含まれる副画素SP1,SP2,SP3を区画することが可能である。
【0057】
図6に示すように、各給電線FLの一端は、給電線駆動回路FDに接続されている。なお、給電線駆動回路FDの構成や機能は、
図3に示した第1給電線駆動回路FD1および第2給電線駆動回路FD2と同じであるため、ここではその詳しい説明を省略する。
【0058】
図6に示した構成であっても、
図3に示した構成と同様に、上部電極E2が分断されて配置され、各上部電極E2にそれぞれ接続される複数の給電線FLが配置され、給電線駆動回路FDが、上部電極E2の電位をコモン電位にするための信号を給電線FLに供給するか、ノードN2の電位をリセット電位にするための信号を給電線FLに供給するかを切替可能な切替回路SWを有している点に変わりはないため、
図3に示した構成と同じ効果を得ることが可能である。つまり、
図4の比較例におけるリセット電源線RL、リセットスイッチRST、リセット制御信号線L2の配置を省略し、ひいては、表示装置DSPの高精細化を実現することが可能である。
【0059】
以上説明した一実施形態によれば、給電線FLを、上部電極E2の電位をコモン電位にするための信号を供給する配線として、また、上部電極E2の電位をリセット電位にするための信号を供給する配線として兼用することが可能であり、非発光期間に黒画面を挿入するリセットに関連した構成の配置を省略することができるため、表示装置の高精細化を実現することが可能である。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
DA…表示部、PX…画素、SP1,SP2,SP3…副画素、FL…給電線、FL1…第1部分、FL2…第2部分、FL3…第3部分、E2…上部電極、FD1…第1給電線駆動回路、FD2…第2給電線駆動回路、SW…切替回路。