(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154588
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H05B 33/02 20060101AFI20221005BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20221005BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20221005BHJP
H05B 33/22 20060101ALI20221005BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
H05B33/02
H01L27/32
H05B33/14 A
H05B33/22 Z
G09F9/30 365
G09F9/30 330
G09F9/30 348A
G09F9/30 339
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057694
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田畠 弘志
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 昌
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC37
3K107DD39
3K107DD44Z
3K107DD90
3K107FF15
5C094AA02
5C094BA27
5C094DA15
5C094ED11
5C094FA03
5C094FB12
5C094FB15
(57)【要約】
【課題】 有機発光ダイオードを適用した表示装置の表示品位を向上させることが可能な表示装置を提供すること。
【解決手段】 一実施形態に係る表示装置は、基材と、基材の上に配置され、多数の配線が配置される配線層と、配線層の上に配置され、有機層を含む表示素子と、表示素子を囲むように配置される金属配線と、を備える。配線層は、配線が密に配置された第1部分と、配線が疎に配置された第2部分とを含む。金属配線に関し、第2部分側に配置される金属配線の幅は、第1部分側に配置される金属配線の幅に比べて大きい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の上に配置され、多数の配線が配置される配線層と、
前記配線層の上に配置され、有機層を含む表示素子と、
前記表示素子を囲むように配置される金属配線と、を具備し、
前記配線層は、前記配線が密に配置された第1部分と、前記配線が疎に配置された第2部分とを含み、
前記金属配線に関し、前記第2部分側に配置される金属配線の幅は、前記第1部分側に配置される金属配線の幅に比べて大きい、
表示装置。
【請求項2】
前記配線層と前記表示素子との間に配置され、前記配線を覆う絶縁層をさらに具備し、
前記絶縁層は、前記第1部分を覆っている部分と、前記第2部分を覆っている部分とで異なる厚さを有する、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記絶縁層に関し、前記第1部分を覆っている部分の厚さは、前記第2部分を覆っている部分の厚さに比べて大きい、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示素子の出射面は、平面視において、前記第1部分と重なる領域から前記第2部分と重なる領域に向けて下がる方向に傾いており、
前記出射面から出射される光のうち、前記第2部分側に向けて出射される光の一部は、前記第2部分側に配置された幅広の金属配線により反射され、外部に取り出されない、
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示素子は、前記有機層を挟むように配置される下部電極および上部電極を含み、
前記金属配線は、前記有機層と同層に配置され、前記上部電極と接触している、
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記金属配線は、低抵抗な金属材料によって形成される、
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を適用した表示装置が実用化されている。表示素子は、画素電極と共通電極との間に有機層を備えている。有機層は、発光層の他に、ホール輸送層や電子輸送層等の機能層を含んでいる。
【0003】
有機発光ダイオードを適用した表示装置の実用化が進む一方で、このような表示装置の表示品位の向上が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、有機発光ダイオードを適用した表示装置の表示品位を向上させることが可能な表示装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る表示装置は、
基材と、前記基材の上に配置され、多数の配線が配置される配線層と、前記配線層の上に配置され、有機層を含む表示素子と、前記表示素子を囲むように配置される金属配線と、を具備する。前記配線層は、前記配線が密に配置された第1部分と、前記配線が疎に配置された第2部分とを含む。前記金属配線に関し、前記第2部分側に配置される金属配線の幅は、前記第1部分側に配置される金属配線の幅に比べて大きい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る表示装置の一構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した画素および副画素を示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示したA-B線で切断された副画素の断面を示す断面図である。
【
図4】
図4は、比較例に係る構成の副画素の断面を示す断面図である。
【
図5】
図5は、同実施形態に係る構成により得られる効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
いくつかの実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実施の態様に比べて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を省略することがある。
【0009】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸、および、Z軸を記載する。X軸に沿った方向をX方向または第1方向と称し、Y軸に沿った方向をY方向または第2方向と称し、Z軸に沿った方向をZ方向または第3方向と称する。X軸およびY軸によって規定される面をX-Y平面と称し、X軸およびZ軸によって規定される面をX-Z平面と称する。X-Y平面を見ることを平面視という。
【0010】
いくつかの実施形態に係る表示装置DSPは、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であり、テレビ、パソコン、携帯端末、携帯電話等に搭載される。なお、以下に説明する表示素子は照明装置の発光素子として適用することができ、表示装置DSPは照明装置等の他の電子機器に転用することができる。
【0011】
図1は、本実施形態に係る表示装置DSPの一構成例を示す図である。表示装置DSPは、絶縁性の基材10の上に、画像を表示する表示部DAを備えている。基材10は、ガラスであってもよいし、可撓性を有する樹脂フィルムであってもよい。
【0012】
表示部DAは、第1方向Xおよび第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。画素PXは、複数の副画素SP1,SP2,SP3を備えている。一例では、画素PXは、赤色の副画素SP1、緑色の副画素SP2、および、青色の副画素SP3を備えている。なお、画素PXは、上記した3色の副画素の他に、白色等の他の色の副画素を加えた4個以上の副画素を備えていてもよい。
【0013】
画素PXに含まれる1つの副画素SPの一構成例について簡単に説明する。
副画素SPは、画素回路1と、画素回路1によって駆動制御される表示素子20と、を備えている。画素回路1は、画素選択スイッチSSTと、駆動トランジスタDRTと、出力スイッチBCTと、キャパシタCsと、を備えている。画素選択スイッチSST、駆動トランジスタDRTおよび出力スイッチBCTは、例えば薄膜トランジスタ(TFT)により構成されたスイッチ素子であり、それぞれ、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極を有している。
【0014】
画素選択スイッチSSTについて、ゲート電極は走査線GLに接続され、ソース電極は信号線SLに接続され、ドレイン電極はノードN1に接続されている。ノードN1は、画素選択スイッチSSTのドレイン電極、駆動トランジスタDRTのゲート電極、キャパシタCsを構成する一方の電極に接続されている。画素選択スイッチSSTは、走査線GLから供給される走査信号に応答してオンされると、信号線SLから供給される映像信号を取り込む。
【0015】
駆動トランジスタDRTについて、ゲート電極はノードN1に接続され、ソース電極は出力スイッチBCTのドレイン電極に接続され、ドレイン電極はノードN2に接続されている。ノードN2は、駆動トランジスタDRTのドレイン電極、キャパシタCsを構成する他方の電極、表示素子20のアノードに接続されている。駆動トランジスタDRTは、上記した映像信号に応じた電流量の駆動電流を表示素子20に出力する。
【0016】
出力スイッチBCTについて、ゲート電極は出力制御信号線L1に接続され、ソース電極は電源線PLに接続され、ドレイン電極は駆動トランジスタDRTのソース電極に接続されている。出力スイッチBCTは、表示素子20が発光する発光期間を制御するためのスイッチである。
【0017】
表示素子20のカソードは給電線FLに接続されている。なお、画素回路1の構成は図示した例に限らない。
【0018】
表示素子20は、発光素子である有機発光ダイオード(OLED)である。例えば、副画素SP1は赤波長に対応した光を出射する表示素子を備え、副画素SP2は緑波長に対応した光を出射する表示素子を備え、副画素SP3は青波長に対応した光を出射する表示素子を備えている。画素PXが表示色の異なる複数の副画素SP1,SP2,SP3を備えることで、多色表示を実現できる。
【0019】
但し、副画素SP1,SP2,SP3の各々の表示素子20が同一色の光を出射するように構成されてもよい。これにより、単色表示を実現できる。
【0020】
また、副画素SP1,SP2,SP3の各々の表示素子20が白色の光を出射するように構成された場合、表示素子20に対向するカラーフィルタが配置されてもよい。例えば、副画素SP1は表示素子20に対向する赤カラーフィルタを備え、副画素SP2は表示素子20に対向する緑カラーフィルタを備え、副画素SP3は表示素子20に対向する青カラーフィルタを備える。これにより、多色表示を実現できる。
【0021】
あるいは、副画素SP1,SP2,SP3の各々の表示素子20が紫外光を出射するように構成された場合、表示素子20に対向する光変換層が配置されることで、多色表示を実現できる。
【0022】
図2は、画素PXに含まれる副画素SP1,SP2,SP3を示す平面図である。
1個の画素PXに含まれる副画素SP1,SP2,SP3は、表示部DAにおいて、それぞれ第2方向Yに延びた略長方形状に形成される。赤波長に対応した光を出射する表示素子を備える副画素SP1と、緑波長に対応した光を出射する表示素子を備える副画素SP2とは、第2方向Yに隣接して並んでいる。また、副画素SP1,SP2と、青波長に対応した光を出射する表示素子を備える副画素SP3とは、第1方向Xに隣接して並んでいる。副画素SP1,SP2の大きさ(X-Y平面における面積)は、副画素SP3に比べて小さく形成される。
【0023】
図2では、副画素SP1,SP2,SP3がペンタイル方式で配列された場合を例示したが、副画素SP1,SP2,SP3の配列方式はこれに限定されず、副画素SP1,SP2,SP3は、例えばストライプ方式で配列されても構わない。
【0024】
金属配線MLは、各画素PXおよび各画素PXに含まれる副画素SP1,SP2,SP3の間に配置され、各画素PXおよび各画素PXに含まれる副画素SP1,SP2,SP3を囲むように配置されている。各画素PXおよび各画素PXに含まれる副画素SP1,SP2,SP3は、金属配線MLによって区画されている。
【0025】
金属配線MLに関し、ある画素PXに含まれる副画素SP1,SP2の間に配置された部分の幅W1は、他の部分の幅W2に比べて大きくなっている。なお、副画素SP1,SP2の間に配置された金属配線MLの幅W1が、他の部分の幅W2に比べて大きい理由については後述する。
【0026】
図3は、
図2に示すA-B線で切断された副画素SPの断面を示す断面図である。
図1に示した画素回路1は、基材10の上に配置され、絶縁層11によって覆われている。
図3では、画素回路1に含まれる駆動トランジスタDRTのみを簡略化して図示している。絶縁層11は、表示素子20の下地層に相当し、例えば、ポリイミド、アクリル樹脂、シリコン窒化物(SiN)、シリコン酸化物(SiO)等の絶縁材料によって形成されている。
【0027】
駆動トランジスタDRTが配置される層は、配線層と称される層であり、当該配線層には、駆動トランジスタDRTの他にも、多数の配線Lが配置されている。配線Lは、例えば、走査線GLや信号線SL、電源線PL、給電線FL、画素選択スイッチSST、出力スイッチBCT、等である。
図3では、説明の便宜上、上記した各種配線やスイッチ素子の全てを配線Lとして図示することを省略しているが、実際には、上記した各種配線やスイッチ素子が配線Lとして配置されている。
【0028】
また、ここでは、多数の配線Lが駆動トランジスタDRTと同層に配置される構成を示したが、これに限定されず、配線Lの一部は、例えば、基材10と絶縁層11との間にさらに配置される図示しない別の層に配置されてもよい。この場合、駆動トランジスタDRTや多数の配線Lが配置される複数の層が、纏めて配線層と称される。
【0029】
表示素子20は、下部電極E1と、有機層ORと、上部電極E2と、を備えている。有機層ORは、下部電極E1と上部電極E2との間に挟まれて配置されている。
【0030】
下部電極E1は、副画素毎あるいは表示素子毎に配置された電極であり、駆動トランジスタDRTと電気的に接続されている。このような下部電極E1は、画素電極、反射電極、アノード等と称される場合がある。
【0031】
上部電極E2は、複数の副画素あるいは複数の表示素子に亘って配置された電極である。このような上部電極E2は、共通電極、対向電極、カソード等と称される場合がある。
【0032】
上部電極E2は、金属配線MLに接続されている。金属配線MLは、例えば、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等、低抵抗な金属材料によって形成される。金属配線MLは、上記した金属材料のうちの1つにより形成される単層体であってもよいし、上記した金属材料のうちの複数の金属材料が積層された積層体であってもよい。
【0033】
金属配線MLは、上部電極E2の低抵抗化を図るために当該上部電極E2に接続されている。また、金属配線MLは、隣接する2つの有機層ORの間に配置され、これら有機層ORを区画する役割も有している。
【0034】
下部電極E1は、絶縁層11の上に配置され、絶縁層11に形成された開口部OP1を通って駆動トランジスタDRTに接続されている。開口部OP1は、駆動トランジスタDRTと重なる領域に形成され、絶縁層11を駆動トランジスタDRTまで貫通した貫通孔である。
【0035】
下部電極E1は、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)等の透明導電材料によって形成された透明電極である。なお、下部電極E1は、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等の金属材料によって形成された金属電極であってもよい。また、下部電極E1は、透明電極および金属電極の積層体であってもよい。例えば、下部電極E1は、透明電極、金属電極、および、透明電極の順に積層された積層体として構成されてもよいし、3層以上の積層体として構成されてもよい。
【0036】
絶縁層12は、下部電極E1を覆うように、絶縁層11の上に設けられる。絶縁層12は、開口部OP2を有しており、当該開口部OP2において下部電極E1の一部が露出されている。
【0037】
有機層ORは、開口部OP2を通って下部電極E1に接続されている。本実施形態において、有機層ORは、赤色、緑色、青色のうちのいずれかの色で発光する発光層を含む。有機層ORは、発光層の他に、ホール注入層、ホール輸送層、電子ブロック層、ホールブロック層、電子輸送層、電子注入層、等の機能層を含んでいてもよい。このため、
図3では、有機層ORを単層体として図示したが、有機層ORは、発光層の他に、上記した機能層のうちの少なくとも1つを含む複数の層が積層された積層体であってもよい。
【0038】
絶縁層12の上には、金属配線MLが配置されている。金属配線MLは、副画素SP1の有機層ORと、副画素SP2の有機層ORとをそれぞれ囲むように配置される。このため、
図3の断面図においては、金属配線MLは、副画素SP1の有機層ORの両端部に隣接する位置と、副画素SP2の有機層ORの両端部に隣接する位置と、に位置している。詳しくは後述するが、副画素SP1の有機層ORと副画素SP2の有機層ORとの間に位置する金属配線MLの幅W1は、他の部分に位置する金属配線MLの幅W2に比べて大きくなっている。
【0039】
上部電極E2は、複数の画素PX(副画素SP)に亘って配置される共通層であり、各画素PXに含まれる絶縁層12および有機層ORを覆い、金属配線MLに接続されている。
【0040】
上部電極E2は、例えば、ITOやIZO等の透明導電材料によって形成された透明電極である。なお、上部電極E2は、マグネシウム(Mg)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)等の金属材料によって形成された半透過性の金属電極であってもよい。
【0041】
下部電極E1の電位が上部電極E2の電位よりも相対的に高い場合、下部電極E1がアノードに相当し、上部電極E2がカソードに相当する。また、上部電極E2の電位が下部電極E1の電位よりも相対的に高い場合、上部電極E2がアノードに相当し、下部電極E1がカソードに相当する。
本実施形態では、一例として、下部電極E1がアノードに相当し、上部電極E2がカソードに相当する場合を想定している。
【0042】
図3に示す構成によれば、開口部OP2に配置された下部電極E1と、共通層として配置された上部電極E2との間に配置された有機層ORが位置する部分に、表示素子20の発光領域を形成することができる。但し、有機層ORのうち、開口部OP2の斜面と絶縁層12の上面とに配置された部分は、下部電極E1と上部電極E2との間に絶縁層12が介在するため、ほとんど発光しない。
【0043】
図3に示すように、絶縁層11の上に配置される、副画素SP1の下部電極E1と副画素SP2の下部電極E2とは共に、傾いて配置されている。より詳しくは、副画素SP1の下部電極E1は、
図3において右下がりの傾斜を有し、副画素SP2の下部電極E1は、
図3において右上がりの傾斜を有している。
【0044】
副画素SP1の下部電極E1が、
図3において右下がりの傾斜を有するのは、絶縁層11の第3方向Zに沿った長さ(厚さ)が、開口部OP1側と開口部OP2側とで異なることに起因する。絶縁層11の開口部OP1側の厚さと、絶縁層11の開口部OP2側の厚さとが異なるのは、配線層に配置される駆動トランジスタDRTや配線Lによる配線密度が開口部OP1側と開口部OP2側とで異なるためである。
【0045】
絶縁層11の厚さは、配線密度が密な部分を覆うほど大きくなり、配線密度が疎な部分を覆うほど小さくなる。
図3では、副画素SP1においては、開口部OP1側の配線密度が開口部OP2側の配線密度に比べて密である場合を想定しているため、絶縁層11の開口部OP1側の厚さが、絶縁層11の開口部OP2側の厚さに比べて大きくなり、その結果、副画素SP1の下部電極E1は、
図3に示すような右下がりの傾斜を有している。
【0046】
同様に、副画素SP2の下部電極E1が、
図3において右上がりの傾斜を有するのは、開口部OP1側の配線密度が開口部OP2側の配線密度に比べて疎であり、絶縁層11の開口部OP1側の厚さが、絶縁層11の開口部OP2側の厚さに比べて小さいことに起因する。
【0047】
以上のように、配線層は、配線密度が密な部分(第1部分)と疎な部分(第2部分)とを含んでおり、配線密度が密な部分を覆う絶縁層11の厚さは、配線密度が疎な部分を覆う絶縁層11の厚さに比べて大きくなる傾向がある。
【0048】
副画素SP1の下部電極E1が、
図3において右下がりの傾斜を有することにより、当該下部電極E1より上に配置される要素(例えば有機層OR等)は、同様に右下がりの傾斜を有して配置される。副画素SP2の下部電極E2が、
図3において右上がりの傾斜を有することにより、当該下部電極E1より上に配置される要素は、同様に右上がりの傾斜を有して配置される。
【0049】
このため、
図3に示すように、副画素SP1の表示素子20から出射される光の出射面に相当する有機層ORは図中右方向に傾いて配置され、副画素SP2の表示素子20から出射される光の出射面に相当する有機層ORは図中左方向に傾いて配置されている。これによれば、副画素SP1の表示素子20より出射される光の光量は図中右側ほど多くなり(光の強度は図中右側ほど強くなり)、副画素SP2の表示素子20より出射される光の光量は図中左側ほど多くなる(光の強度は図中左側ほど強くなる)。要するに、各副画素SPの表示素子20より出射される光の光量は、平面視において、配線密度が疎な部分と重なる領域側ほど多くなり、配線密度が密な部分と重なる領域側ほど少なくなる。
【0050】
ここで、
図4に示す比較例を用いて、本実施形態の効果について説明する。なお、比較例は、本実施形態が奏し得る効果の一部を説明するためのものであって、比較例と本実施形態とで共通する効果を本願発明の範囲から除外するものではない。
【0051】
比較例に係る構成は、
図4に示すように、副画素SP1の有機層ORと、副画素SP2の有機層ORとの間に位置する金属配線MLの幅が、他の部分に位置する金属配線MLの幅と同様に幅W2である点で、本実施形態に係る構成と相違している。つまり、比較例に係る構成は、副画素SP1の有機層ORと、副画素SP2の有機層ORとの間に位置する金属配線MLの幅が、本実施形態に比べて小さい点で相違している。
【0052】
比較例に係る構成においては、本実施形態に係る構成と同様に、副画素SP1の有機層ORは図中右方向に傾いて配置され、副画素SP2の有機層ORは図中左方向に傾いて配置されている。このため、上記したように、副画素SP1の表示素子20より出射される光の光量は図中右側ほど多くなり、副画素SP2の表示素子20より出射される光の光量は図中左側ほど多くなる。
【0053】
このように、表示素子20より出射される光の光量が、ある特定方向のみに多くなってしまうと、視野角の方位依存が発生してしまう恐れがある。例えば、ユーザが表示部DAに表示される画像を観察する際に、ある方向から表示部DAを観察した場合には明るく表示された画像を観察できるのに対し、別の方向から表示部DAを観察した場合には暗く表示された画像しか観察できない等、観察方向によって画像の色味が変わってしまう恐れがある。
【0054】
これに対し、本実施形態に係る構成においては、光量が多い側に位置する金属配線MLの幅(換言すると、配線密度が疎な部分側に位置する金属配線MLの幅)を、他の部分に比べて大きくしている。これによれば、
図5に示すように、副画素SP1の表示素子20より図中右方向に向けて出射される光の一部を金属配線MLにおいて反射し、外部に取り出されないようにすることができるため(つまり、光量が多い側の光量を低下させることができるため)、副画素SP1の表示素子20より出射される光が等方的に外部に取り出されることを可能にする。同様に、
図5に示すように、副画素SP2の表示素子20より図中左方向に向けて出射される光の一部を金属配線MLにおいて反射し、外部に取り出されないようにすることができるため、副画素SP2の表示素子20より出射される光が等方的に外部に取り出されることを可能にする。
【0055】
これによれば、上記した視野角の方位依存の発生を抑制することが可能であり、表示装置DSPの表示品位を向上させることが可能である。
【0056】
以上説明した一実施形態によれば、表示装置DSPは、画素PXおよび画素PXに含まれる副画素SP1,SP2,SP3を区画する金属配線MLを備えている。金属配線MLは、配線層における配線密度が密な部分側において幅W2を有し、配線密度が疎な部分側において幅W2よりも大きい幅W1を有している。これによれば、光量が多くなる傾向のある配線密度が疎な部分側の光の一部を、幅広の金属配線MLにより反射し、外部に取り出されないようにすることができる。つまり、配線密度が疎な部分側の光量を低下させて、配線密度が密な部分側の光量に近似させることが可能である(換言すると、光量が多い側の光量を低下させて、光量が少ない側の光量に近似させることが可能である)。これによれば、上記した視野角の方位依存の発生を抑制することが可能であり、表示品位を向上させることが可能な表示装置DSPを提供することが可能である。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
DA…表示部、PX…画素、SP1,SP2,SP3…副画素、10…基材、DRT…駆動トランジスタ、L…配線、11,12…絶縁層、20…表示素子、E1…下部電極、OR…有機層、E2…上部電極、ML…金属配線。