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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154597
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】照明装置および表示装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20221005BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
F21S2/00 481
G02F1/13357
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057710
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中森 庸介
(72)【発明者】
【氏名】山本 里奈
【テーマコード(参考)】
2H391
3K244
【Fターム(参考)】
2H391AA03
2H391AB04
2H391AB34
2H391AB40
2H391AC13
2H391AC26
2H391CA02
2H391CA08
2H391CA10
3K244AA01
3K244BA08
3K244CA02
3K244DA01
3K244GA01
3K244GA02
3K244GA03
3K244GA04
3K244KA09
3K244KA16
(57)【要約】
【課題】 安定して均一な面光源を形成することが可能な照明装置および当該照明装置を備える表示装置を提供する。
【解決手段】 一実施形態に係る照明装置は、基板と、前記基板上に実装された複数の発光素子と、前記複数の発光素子上に位置する光学シートと、前記複数の発光素子と前記光学シートの間に位置し、前記複数の発光素子と重なる発泡体とを備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に実装された複数の発光素子と、
前記複数の発光素子上に位置する光学シートと、
前記複数の発光素子と前記光学シートの間に位置し、前記複数の発光素子と重なる発泡体と、を備える、
照明装置。
【請求項2】
前記発光素子を覆い、前記基板上に設けられたオーバーコート層をさらに備える、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記発泡体は、前記オーバーコート層と接している、
請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記発泡体は、前記光学シートと接している、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記光学シートは、偏光シート、プリズムシートおよび波長変換シートの少なくとも1つを有する、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記発泡体は、前記基板よりも厚い、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
スペーサと、
前記基板、前記光学シート、前記発泡体および前記スペーサを収容する収容体と、をさらに備え、
前記収容体は、前記基板の側面に対向する側板を有し、
前記スペーサは、前記側板と前記基板の間に設けられ、
前記スペーサの側面は、前記発泡体の側面と対向している、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記発泡体の側面は、前記スペーサの側面と接着されている、
請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
前記光学シートは、前記基板と前記光学シートの積層方向において、前記スペーサと重なる、
請求項7または8に記載の照明装置。
【請求項10】
前記光学シートは、前記スペーサと接着されている、
請求項7乃至9のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項11】
前記発泡体は、発泡プラスチックで形成されている、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項12】
前記発光素子は、LEDを含む、
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の照明装置と、
前記照明装置と重なる表示パネルと、を備える、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、照明装置および照明装置を備える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置等の透過型の表示装置は、表示パネルに重ねられた照明装置を備えている(例えば、特許文献1)。照明装置としては、表示パネルに対向する導光板とこの導光板の側面に沿って配列された発光素子とを備えるサイドエッジ型や、表示パネルの直下に配置された発光素子を備える直下型が知られている。
【0003】
直下型の照明装置においては、点光源である発光素子から出射された光を面光源に変換するために光を拡散する必要がある。光を拡散する手法として、発光素子の上方に拡散板を設けたり、発光素子とその上方に配置される光学シートとの間に一定の距離(Optical Distance)を設けたりする技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-205183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、安定して均一な面光源を形成することが可能な照明装置および当該照明装置を備える表示装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る照明装置は、基板と、前記基板上に実装された複数の発光素子と、前記複数の発光素子上に位置する光学シートと、前記複数の発光素子と前記光学シートの間に位置し、前記複数の発光素子と重なる発泡体とを備える。
【0007】
一実施形態に係る表示装置は、前記照明装置と、前記照明装置と重なる表示パネルと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係る表示装置の概略的な分解斜視図である。
図2図2は、一実施形態に係る照明装置の概略的な分解斜視図である。
図3図3は、図2に示す照明装置の概略的な断面図である。
図4図4は、照明装置の比較例を示す概略的な断面図である。
図5図5は、比較例により形成される面光源を示す模式図である。
図6図6は、比較例により形成される面光源を示す模式図である。
図7図7は、照明装置の他の比較例を示す概略的な断面図である。
図8図8は、照明装置と比較例における光の進み方を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の一実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有される。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。各図において、連続して配置される同一または類似の要素については符号を省略することがある。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を省略することがある。
【0010】
本実施形態においては、図示したように第1方向X、第2方向Yおよび第3方向Zを定義する。第1方向X、第2方向Yおよび第3方向Zは互いに直交するが、90°以外の角度で交差してもよい。また、本実施形態において、第3方向Zを上または上方と定義し、第3方向Zと反対側の方向を下または下方と定義する。「第1部材の上方の第2部材」および「第1部材の下方の第2部材」とした場合、第2部材は、第1部材に接していてもよく、第1部材から離れて位置していてもよい。以下、第1方向Xおよび第2方向Yで規定されるX-Y平面を見ることを平面視という。また、第1方向Xおよび第3方向Zで規定されるX-Z平面を見ることを断面視という。
【0011】
図1は、本実施形態に係る表示装置DSPの概略的な分解斜視図である。表示装置DSPは、照明装置ILと、第3方向Zにおいて照明装置ILと重なる表示パネルPNLとを備えている。本実施形態においては、表示装置DSPの一例として液晶表示装置を開示する。表示パネルPNLは、例えば透過型また半透過型の液晶表示パネルである。表示装置DSPは、パーソナルコンピュータや車載装置用のモニタ等の種々の装置に適用することができる。
【0012】
照明装置ILは、表示パネルPNLの直下に設けられている。他の観点からは、照明装置ILは、第3方向Zにおいて表示パネルPNLに対向するように設けられている。照明装置ILは、表示パネルPNLに向けて光を出射し、表示パネルPNLを照明する。照明装置ILは、表示装置DSPのバックライトユニットとして機能している。
【0013】
表示パネルPNLは、第1基板SUB1と、第1基板SUB1に向かい合う第2基板SUB2と、第1基板SUB1と第2基板SUB2の間に位置する図示しない液晶層とを有している。表示パネルPNLは、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAの周囲の非表示領域NDAとを有している。第1基板SUB1は、表示領域DAにおいて、複数の画素PXを含んでいる。
【0014】
画素PXは、第1方向Xおよび第2方向Yにマトリクス状に配置されている。画素PXには、例えば赤色、緑色および青色の副画素が含まれる。副画素は、スイッチング素子と、スイッチング素子に接続された画素電極と、画素電極に対向する共通電極とを備えている。
【0015】
表示パネルPNLは、第1偏光板PL1、および第2偏光板PL2をさらに有している。第1偏光板PL1は第1基板SUB1の下面側に位置し、第2偏光板PL2は第2基板SUB2の上面側に位置している。第1偏光板PL1および第2偏光板PL2は、第3方向Zにおいて表示領域DAと重なっている。
【0016】
照明装置ILは、表示パネルPNLのうち少なくとも表示領域DAの全体を照明するように構成されている。表示パネルPNLは、照明装置ILから出射された光を選択的に透過させることで画像を表示するように構成されている。
【0017】
図2は、本実施形態に係る照明装置ILの概略的な分解斜視図である。照明装置ILは、基板1と、基板1上に実装された複数の発光素子2と、オーバーコート層3と、発泡体4と、光学シート51とを備えている。
【0018】
発光素子2は、例えば、基板1が有する、光学シート51と対向する面の上に第1方向Xおよび第2方向Yにマトリクス状に設けられている。隣り合う発光素子2の距離(ピッチ)は、表示装置DSPのサイズによって任意に決定される。隣り合う発光素子2の距離は、一例として6mmである。複数の発光素子2はマトリクス状に設けられなくともよく、所定のパターンで設けられてもよい。光学シート51は、複数の発光素子2の上方に位置している。発泡体4は、複数の発光素子2と光学シート51の間に位置し、複数の発光素子2と重なっている。
【0019】
基板1、発光素子2、オーバーコート層3、発泡体4および光学シート51は、収容体10に収容されている。収容体10は、リアベゼル11と、リアベゼル11と嵌合するフロントベゼル12とを有している。リアベゼル11は、底板11aと、第2方向Yに延び、第1方向Xに沿って並ぶ一対の側板11bと、第1方向Xに延び、第2方向Yに沿って並ぶ一対の側板11cとを有している。
【0020】
底板11a、一対の側板11bおよび一対の側板11cは、一体的に形成されている。一対の側板11bおよび一対の側板11cは、例えば底板11aに対して垂直に設けられている。リアベゼル11やフロントベゼル12は、例えばアルミニウムやステンレス鋼などの金属材料で形成されている。底板11aの厚さは、例えば1mm以下である。一例として、底板11aの厚さは、0.3mmである。
【0021】
基板1、オーバーコート層3、発泡体4および光学シート51は、第3方向Zにおいて、リアベゼル11上にこの順に積層されている。第3方向Zは、基板1と光学シート51の積層方向と一致している。図1に図示した表示パネルPNLは、フロントベゼル12の上に両面テープ等の接着材により接着されている。
【0022】
光学シート51は、波長変換シート6と、プリズムシート7と、偏光シート8とを有している。波長変換シート6、プリズムシート7および偏光シート8は、第3方向Zにおいて、この順に積層されている。光学シート51は、波長変換シート6、プリズムシート7および偏光シート8以外のシートを有してもよいし、波長変換シート6、プリズムシート7および偏光シート8の少なくとも1つを有さなくてもよい。照明装置ILは、リアベゼル11の側板11b,11cに沿って枠形状に設けられたスペーサ13をさらに備えている。
【0023】
図3は、図2に示す照明装置ILの概略的な断面図である。図3以降において、フロントベゼル12の図示は省略している。基板1、複数の発光素子2、オーバーコート層3、発泡体4および光学シート51は、第1方向Xにおいて一対の側板11bの間に位置している。側板11bは、基板1の側面1aと対向している。
【0024】
基板1は、例えば可撓性を有するフレキシブルプリント基板や、プリント回路基板である。基板1は、リアベゼル11の底板11a上に位置している。基板1は、例えば両面テープ等の接着材により底板11aに接着されている。
【0025】
複数の発光素子2は、基板1上に実装されている。発光素子2は、例えば発光ダイオード(LED)である。発光素子2は、例えば最長の一辺の長さが100μm~1mmの矩形状である。一例として、発光素子2は、300μm×300μmの正方形状である。このようなサイズの発光素子2は、ミニ発光ダイオード、あるいはミニLEDと呼ばれる場合がある。
【0026】
オーバーコート層3は、基板1上に設けられており、複数の発光素子2を覆っている。オーバーコート層3は、基板1および発光素子2と接している。オーバーコート層3は、発光素子2を覆うことができる十分な厚さを有している。オーバーコート層3の上面31は、平坦な面である。
【0027】
例えば、オーバーコート層3の第1方向Xおよび第2方向Yの長さは、基板1の第1方向Xおよび第2方向Yの長さとおおよそ等しい。図示した例において、オーバーコート層3の側面3aは、第3方向Zにおいて基板1の側面1aと一致している。オーバーコート層3は、発光素子2が基板1から脱落するのを防止している。オーバーコート層3は、発光素子2から出射された光の波長を別の波長に変換することなく光を透過させる。
【0028】
オーバーコート層3は、可視光に対する透過率が高い材料で形成されることが好ましい。オーバーコート層3は、例えば基板1よりも薄い。一例として、基板1の厚さが0.6mmである場合、オーバーコート層3の厚さは0.4mmである。
【0029】
発泡体4は、オーバーコート層3と光学シート51の間に位置している。発泡体4は、平板状であり、複数の気泡(図8参照)を有している。発泡体4は、光学シート51と対向する上面41と、上面41の反対側に位置し、オーバーコート層3と対向する下面42と、上面41と下面42を接続する側面43とを有している。図示した例において、側面43は、一対の側板11bと対向している。他の観点からは、上面41および下面42はX-Y平面と平行な面であり、側面43は、Y-Z平面と平行な面である。
【0030】
発泡体4は、第3方向Zにおいて、少なくとも基板1に実装された複数の発光素子2の上に位置している。図示した例おいて、発泡体4は、オーバーコート層3の全体と重なっている。この場合、発泡体4の第1方向Xおよび第2方向Yの長さは、オーバーコート層3の第1方向Xおよび第2方向Yの長さとおおよそ等しい。図示した例において、発泡体4の側面43は、第3方向Zにおいて基板1の側面1aおよびオーバーコート層3の側面3aと一致している。発泡体4は、複数の発光素子2を覆い、オーバーコート層3の第1方向Xおよび第2方向Yの長さよりも小さくてもよい。また、発泡体4は、複数の発光素子2を覆い、オーバーコート層3の第1方向Xおよび第2方向Yの長さよりも大きくてもよい。
【0031】
発泡体4は、発泡プラスチック等の発泡材料で形成されている。発泡プラスチックには、例えばポリエチレン、ウレタン、ポリプロピレン、ポリスチレンやシリコン樹脂等の材料が用いられる。
【0032】
発泡体4に入射した光は、発泡体4が有する気泡を通過する際に屈折、散乱、反射を繰り返す。そのため、発泡体4に入射した光は、発泡体4内を広がりながら進むことができる。すなわち、発泡体4は、入射した光を拡散する機能を有している。光学シート51は拡散板を有さないが、発泡体4から出射された光が光学シート51を通過すると、光学シート51上には、均一な面光源が形成される。
【0033】
発泡体4は、温度に対する耐性があることが好ましい。さらに、発泡体4は、表示装置DSPの表示品位を保つため、白色や無色透明であることが好ましい。さらに、発泡体4は、照明装置IL上に重ねられる表示パネルPNLやカバーガラス等の質量に耐えうる十分な強度等を有することが好ましい。
【0034】
スペーサ13は、側板11bと基板1の間に設けられている。スペーサ13は、断面視において、矩形状である。スペーサ13は、底板11aと反対側に位置する上面131と、発泡体4が有する側面43と対向する側面132とを有している。スペーサ13は、例えば両面テープ等の接着材によりリアベゼル11と接着されている。
【0035】
光学シート51は、上述の波長変換シート6、プリズムシート7および偏光シート8を有している。波長変換シート6は、発光素子2から出射された光を吸収して、吸収した光の波長よりも長い光の波長へ変換することができる。波長変換シート6は、例えば蛍光体が分散された高分子材料で形成されている。波長変換シート6は、発光材料として量子ドットを含んでもよい。
【0036】
光学シート51は、1枚のプリズムシート7を有している。プリズムシート7は、波長変換シート6の上方に位置している。プリズムシート7は、波長変換シート6から入射する光を集光し、第3方向Zへ出射する。プリズムシート7には、偏光シート8に対向する面に複数のプリズム形状が平行に設けられている。光学シート51は、平行なプリズム形状が直交するように2枚のプリズムシート7を有してもよい。
【0037】
偏光シート8は、プリズムシート7の上方に位置している。偏光シート8は、例えば反射型偏光フィルムである。偏光シート8は、プリズムシート7から入射する光のうち、所定の方向に偏光する光のみを第3方向Zへ出射する。
【0038】
光学シート51は、第3方向Z(積層方向)においてスペーサ13と重なっている。一方、基板1、オーバーコート層3および発泡体4は、第3方向Zにおいて、スペーサ13と重なっていない。光学シート51は、スペーサ13と接着されている。例えば、波長変換シート6の下面61は、両面テープ等の接着材によりスペーサ13の上面131と接着されている。
【0039】
光学シート51はスペーサ13に接着されているため、光学シート51とオーバーコート層3との間には一定の間隔を有する隙間が形成されている。発泡体4は、当該隙間に挿入されている。他の観点からは、オーバーコート層3は、光学シート51と接していない。本実施形態において、オーバーコート層3の上面31から波長変換シート6の下面61までの距離を距離D1とする。
【0040】
図示した例において、発泡体4の上面41は、波長変換シート6の下面61と接している。発泡体4の下面42は、オーバーコート層3の上面31と接している。この場合、底板11aの上面から発泡体4の上面41までの高さは、底板11aの上面からスペーサ13の上面131までの高さとおおよそ等しい。
【0041】
発泡体4がオーバーコート層3の上面31および波長変換シート6の下面61と接する場合、発泡体4の厚さは距離D1とおおよそ等しい。発泡体4により、オーバーコート層3の上面31から波長変換シート6の下面61までの距離D1が保持されている。
【0042】
発泡体4は、オーバーコート層3の上面31と波長変換シート6の下面61のどちらか一方のみと接してもよいし、どちらとも接しなくともよい。発泡体4とオーバーコート層3との間、および、発泡体4と波長変換シート6との間には、隙間がそれぞれ形成される場合がある。発泡体4がオーバーコート層3および光学シート51とそれぞれ接する場合、発泡体4は光学シート51やリアベゼル11等の変形を抑制することができる。
【0043】
発泡体4は、スペーサ13と接続されている。例えば、発泡体4の側面43は、樹脂材料や両面テープ等の接着材によりスペーサ13の側面132と接着されている。接着材は、発泡体4の側面43とスペーサ13の側面132との間に設けられる。この場合、側面43のうちの少なくとも1つがスペーサ13と接着されていればよい。
【0044】
図示した例において、発泡体4は、底板11a、基板1、オーバーコート層3、波長変換シート6、プリズムシート7および偏光シート8よりも厚い。発泡体4の厚さは、例えば、1mm~5mmの範囲にある。上述の厚さを有する発泡体4であれば、発泡体4に入射する光は、十分に発泡体4内で広がり光学シート51へ向けて出射される。
【0045】
図4は、照明装置ILの比較例EX1を示す概略的な断面図である。比較例EX1は、オーバーコート層3と光学シート52との間に発泡体4を備えていない。比較例EX1において、オーバーコート層3と光学シート52の間に隙間Gが形成されている。隙間Gは、例えば空気層である。
【0046】
比較例EX1が備える光学シート52は、拡散板9をさらに有している。拡散板9は、光学シート52の最も下方に位置し、オーバーコート層3と波長変換シート6との間に位置している。拡散板9の下面91は、例えば両面テープ等の接着材によりスペーサ13の上面131と接着されている。拡散板9は、発光素子2から出射された光を拡散させて、波長変換シート6に向けて出射する。
【0047】
光学シート52とスペーサ13が接着されることで、オーバーコート層3の上面31から拡散板9の下面91までの距離D2が保持されている。拡散板9に入射する前に発光素子2から出射された光を十分に広げるため、距離D2は十分に確保しておく必要がある。距離D2は、照明装置ILにおける距離D1よりも大きい。他の観点からは、距離D2は、図3における発泡体4の厚さよりも大きくなる。
【0048】
図5および図6は、比較例EX1により形成される面光源SLを示す模式図である。図5において、隙間Gには発光素子2から出射された光を広げるのに適切な距離が確保されている。この場合、発光素子2から出射された光Lは、拡散板9に入射する前に隙間Gで十分に広がる。隙間Gで広がった光Lが拡散板9に入射し、波長変換シート6、プリズムシート7および偏光シート8の順に通過すると、光学シート52の上で均一な面光源SLが形成される。
【0049】
拡散板9は、周囲の温度変化、輸送時の振動、自重および組み立て時の外力等により変形することがある。拡散板9が変形すると、隙間Gにおける距離D2が適切に保持されない場合がある。
【0050】
図6において、拡散板9は基板1に向けて変形している。この場合、比較例EX1の中央部におけるオーバーコート層3の上面31から拡散板9の下面91までの距離D3や、側板11b側におけるオーバーコート層3の上面31から拡散板9の下面91までの距離D4は、図6における距離D2よりも小さい。第3方向Zにおける拡散板9の変形量は中央部の方が側板11b側と比較して大きいため、距離D3は距離D4よりも小さい。
【0051】
拡散板9が変形している場合、発光素子2から出射された光Lは、拡散板9に入射する前に隙間Gで広がりにくい。光Lが十分に広がることなく拡散板9に入射すると、光学シート52の上で均一な面光源SLが形成されにくくなる。隙間Gにおける光の広がりが不十分であると、表示装置DSPの表示品位の低下を招く原因となり得る。図6において、拡散板9が変形する場合を例示したが、リアベゼル11の底板11aが拡散板9に向けて変形することにより隙間Gが不均一になる場合もある。
【0052】
拡散板9やリアベゼル11は、オーバーコート層3の上面31から拡散板9の下面91までの距離が小さくなる方向に変形しやすい。照明装置のサイズが大きくなれば、オーバーコート層3の上面31から拡散板9の下面91までの距離を適切な距離で保持しにくくなる。また、拡散板9やリアベゼル11の変形を想定した上で距離D2を適切に確保しようとすると、照明装置が厚くなる。
【0053】
図7は、照明装置ILの他の比較例EX2を示す概略的な断面図である。比較例EX2は、比較例EX1の構成に加え、隙間Gにサブスペーサ14をさらに備えている。
【0054】
サブスペーサ14は、例えば平面視において発光素子2と重ならないように設けられている。サブスペーサ14は柱形状であって、例えばオーバーコート層3の上面31から拡散板9の下面91に向けて、X-Y平面における断面積が小さくなるように延びている。サブスペーサ14は、支柱として距離D2を保持する機能と、反射板としての機能を有している。隙間Gにサブスペーサ14を設けることで、距離D2を適切な距離に保持しやすくなる。
【0055】
一方、サブスペーサ14を設けた場合、照明装置ILの点灯時にサブスペーサ14の影が表示される等、サブスペーサ14の形状、サイズおよび位置等により、表示装置DSPの表示品位に影響を与えるおそれがある。また、隣り合う発光素子2の距離(ピッチ)はサブスペーサ14の最小加工サイズに依存するため、サブスペーサ14の最小加工サイズよりも隣り合う発光素子2の距離を狭くすることが困難な場合がある。
【0056】
本実施形態の照明装置ILであれば、オーバーコート層3と光学シート51の間に発泡体4を設けることで、サブスペーサ14を設けることなく、光学シート51やリアベゼル11の変形を抑制し、距離D1を適切な距離に保持することができる。
【0057】
図8は、照明装置ILと比較例EX1における光の進み方を示す模式図である。図8においては、リアベゼル11の図示を省略している。図8において、距離D1は、距離D2と等しい。比較例EX1の場合、発光素子2から出射された光Lが拡散板9に到達すると、光Lは拡散板9に入射する際に一度屈折し広がる。さらに、光Lは拡散板9から出射する際に屈折し広がり、波長変換シート6に入射する。比較例EX1において、発光素子2から出射された光Lは、拡散板9を通過する際に最大2回広がる。
【0058】
一方、照明装置ILの場合、発光素子2から出射された光Lは、発泡体4が有する気泡Bを通過する際に気泡Bとその他の部分との境界B1において、屈折、散乱、反射を繰り返し、発泡体4内を広がる。発泡体4における気泡Bの密度が高くなれば光Lが通過する気泡Bの数も増える。光Lは、通過する気泡Bの数に応じて発泡体4内で広がる。
【0059】
すなわち、第1方向Xにおいて同じ位置にある発光素子2から出射された光Lの進み方を比較すると、例えば発泡体4を備える照明装置ILの方が比較例EX1よりも幅Wに相当する分だけ波長変換シート6に入射する前に光Lを広げることができる。
【0060】
他の観点からは、照明装置ILの場合、比較例EX1と同一の光の広がりを得るためには、距離D1を距離D2より小さくすることができる。すなわち、距離D2よりも発泡体4の厚みを薄くすることができる。
【0061】
例えば、比較例EX1は厚さ1mmの拡散板9を有する光学シート52を備え、距離D2は4.3mmである。一方、照明装置ILは、厚さ2.53mmの発泡体4と、拡散板9を有さない光学シート51を備える。この場合、比較例EX1と照明装置ILの厚さを比較すると、照明装置ILは、比較例EX1よりも2.77mm薄くなる。
【0062】
以上説明した本実施形態によれば、安定して均一な面光源を形成することが可能な照明装置IL、および照明装置ILを備える表示装置DSPを提供することができる。つまり、発泡体4をオーバーコート層3と光学シート51の間に挿入することで、発泡体4により光学シート51やリアベゼル11等の変形を抑制し、発光素子2から光学シート51までの距離を保持することができる。そのため、発光素子2から出射された光により、光学シート51上に安定して均一な面光源を形成することができる。
【0063】
発泡体4は入射した光を拡散させるため、光学シート51は拡散板を有していない。照明装置ILにおいては、図4および図7に図示した比較例EX1,EX2よりもオーバーコート層3の上面31から波長変換シート6の下面61までの距離を小さくできる。これにより、照明装置ILの薄型化を実現することができる。
【0064】
照明装置ILは図7に図示したサブスペーサ14を有さない。そのため、発光素子2を基板1に対して狭いピッチで配置することができる。例えば、発光素子2を設けたセグメントを基板1上にマトリクス状に形成する場合により多くのセグメントを形成することができる。
【0065】
さらに、隣り合う発光素子2の距離を狭くすることで発光素子2から出射された光を広げる必要のある範囲が狭くなり、発泡体4をさらに薄くすることができる。また、図7に図示したサブスペーサ14の作成には成形用金型を製作するためのコストが必要となるが、本実施形態であればこのような成型用金型が不要である。このため、照明装置ILおよび表示装置DSPの製造にかかるコストを抑えることができる。
【0066】
なお、本実施形態の表示装置DSPは、さらにタッチセンサを備えてもよい。タッチセンサは、例えば表示パネルPNLと重なるように設けられてもよいし、表示パネルPNLと一体化されてもよい。
【0067】
本実施形態において、スペーサ13は枠形状に設けられているが、スペーサ13は基板1と側板11bおよび側板11cとの間において、いずれかの側板11b,11cに沿って少なくとも1つ配置されていればよい。スペーサ13は、断面視において矩形状に形成されているが、階段形状に形成されてもよい。この場合、スペーサ13は、第3方向Zにおける位置の異なる、底板11aの上面と平行な面を複数有している。光学シート51が有する各シート6,7,8は、当該面と接着材によりそれぞれ接着されてもよい。
【0068】
本実施形態において、照明装置ILはオーバーコート層3を備えていたが、オーバーコート層3を備えなくともよい。基板1上にオーバーコート層3が設けられていない場合、発泡体4の下面42は発光素子2と接してもよい。また、発泡体4の下面42と発光素子2との間に隙間が形成されてもよい。
【0069】
以上、本発明の実施形態として説明した照明装置および表示装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての照明装置および表示装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0070】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0071】
また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0072】
DSP…表示装置、IL…照明装置、PNL…表示パネル、1…基板、2…発光素子、3…オーバーコート層、4…発泡体、51,52…光学シート、6…波長変換シート、7…プリズムシート、8…偏光シート、9…拡散板、10…収容体、11…リアベゼル、12…フロントベゼル、13…スペーサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8