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特開2022-154605検知装置、検知方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154605
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】検知装置、検知方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/232 20060101AFI20221005BHJP
   B60S 1/02 20060101ALI20221005BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20221005BHJP
   B60W 40/02 20060101ALI20221005BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
H04N5/232 290
B60S1/02 400A
H04N5/225 430
B60W40/02
G08G1/16 C
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057719
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】堤 大
(72)【発明者】
【氏名】中島 匡貴
【テーマコード(参考)】
3D225
3D241
5C122
5H181
【Fターム(参考)】
3D225AA02
3D225AB01
3D225AC05
3D225AD02
3D225AD11
3D225AG78
3D241AA66
3D241BA50
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CE02
3D241CE04
3D241DC00Z
5C122DA14
5C122EA06
5C122EA09
5C122EA36
5C122FH11
5C122HA13
5C122HA35
5C122HB01
5C122HB09
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC24
5H181FF04
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL06
5H181LL09
5H181LL20
(57)【要約】
【課題】自車両周辺の物体の認識精度の低下をより確実に抑制することができる検知装置、検知方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【解決手段】自車両前方の物体を検出する第1の物体検出装置の検出結果に基づき、前記第1の物体検出装置が検出した物体の特徴点を第1特徴点として抽出する第1特徴点抽出部と、前記第1の物体検出装置の検出範囲の一部または全部を検出範囲に含む第2の物体検出装置の検出結果に基づき、前記物体の特徴点を第2特徴点として抽出する第2特徴点抽出部と、前記第1の物体検出装置と前記第2の検出装置のうち、前記第1特徴点の点群である第1特徴点群と前記第2特徴点の点群である第2特徴点群のうち対応する特徴点が欠損している方の特徴点群の抽出に係る検出結果を取得した物体検出装置について、記物体の検出に対する阻害要因が存在すると判定する判定部と、を備える検知装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両前方の物体を検出する第1の物体検出装置の検出結果に基づき、前記第1の物体検出装置が検出した物体の特徴点を第1特徴点として抽出する第1特徴点抽出部と、
前記物体を検出する第2の物体検出装置であって前記第1の物体検出装置の検出範囲の一部または全部を検出範囲に含む第2の物体検出装置の検出結果に基づき、前記物体の特徴点を第2特徴点として抽出する第2特徴点抽出部と、
前記第1の物体検出装置と前記第2の物体検出装置のうち、第1特徴点の点群である第1特徴点群と前記第2特徴点の点群である第2特徴点群のうち対応する特徴点が欠損している方の特徴点群の抽出に係る検出結果を取得した方の物体検出装置について、前記物体の検出に対する阻害要因が存在すると判定する判定部と、
を備える検知装置。
【請求項2】
前記判定部は、対応する特徴点を有さない第1特徴点または第2特徴点が、規定時間以上連続して検出された場合に、前記阻害要因が存在すると判定する、
請求項1に記載の検知装置。
【請求項3】
前記判定部は、対応する特徴点を有さない第1特徴点または第2特徴点について、本来検出されるべき特徴点である欠損特徴点を時系列に検出し、検出した前記欠損特徴点の数を、前記検出範囲を分割した部分領域ごとに合計していき、前記欠損特徴点の合計数が閾値以上となった場合、前記合計数が得られた部分領域に前記阻害要因が存在すると判定する、
請求項1または2に記載の検知装置。
【請求項4】
前記第1の物体検出装置は、自車両内からフロントウィンドウを介して自車両前方の物体を検出するカメラであり、
前記第1の物体検出装置による物体検出の阻害要因は、前記フロントウィンドウに付着した水滴である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の検知装置。
【請求項5】
前記第2の物体検出装置は、バンパーの一部に設けられた電波透過部の裏にあるレーダ装置であり、
前記第2の物体検出装置による物体検出の阻害要因は、前記電波透過部に対する付着物である、
請求項4に記載の検知装置。
【請求項6】
前記第2の物体検出装置は、バンパーに設けられたライダー装置であり、
前記第2の物体検出装置による物体検出の阻害要因は、前記ライダー装置の発光部または受光部に対する付着物である、
請求項4に記載の検知装置。
【請求項7】
前記判定部の判定結果に応じて前記フロントウィンドウに温風を吹き出すヒータ装置を作動させるヒータ制御部をさらに備え、
前記ヒータ制御部は、前記判定部により、前記第1の物体検出装置の物体検出に関して前記阻害要因が存在すると判定された場合に前記ヒータ装置を作動させる、
請求項4から6のいずれか一項に記載の検知装置。
【請求項8】
コンピュータが、
自車両前方の物体を検出する第1の物体検出装置の検出結果に基づき、前記第1の物体検出装置が検出した物体の特徴点を第1特徴点として抽出し、
前記物体を検出する第2の物体検出装置であって前記第1の物体検出装置の検出範囲の一部または全部を検出範囲に含む前記第2の物体検出装置の検出結果に基づき、前記物体の特徴点を第2特徴点として抽出し、
前記第1の物体検出装置と前記第2の物体検出装置のうち、前記第1特徴点の点群である第1特徴点群と前記第2特徴点の点群である第2特徴点群のうち対応する特徴点が欠損している方の特徴点群の抽出に係る検出結果を取得した物体検出装置について、前記物体の検出に対する阻害要因が存在すると判定する、
検知方法。
【請求項9】
コンピュータに、
自車両前方の物体を検出する第1の物体検出装置の検出結果に基づき、前記第1の物体検出装置が検出した物体の特徴点を第1特徴点として抽出させ、
前記物体を検出する第2の物体検出装置であって前記第1の物体検出装置の検出範囲の一部または全部を検出範囲に含む前記第2の物体検出装置の検出結果に基づき、前記物体の特徴点を第2特徴点として抽出させ、
前記第1の物体検出装置と前記第2の物体検出装置のうち、前記第1特徴点の点群である第1特徴点群と前記第2特徴点の点群である第2特徴点群のうち対応する特徴点が欠損している方の特徴点群の抽出に係る検出結果を取得した物体検出装置について、前記物体の検出に対する阻害要因が存在すると判定させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知装置、検知方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の周辺情報の検出性能の低下を防止することを目的として、周辺情報の不良率に基づいて汚れを検知した場合に洗浄装置を作動させる技術が開発されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-179767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、洗浄対象のセンサが出力する周辺情報の不良率を当該センサによる信号の出力状況に基づいて検出するため、検出対象の種類や状態によっては必ずしも精度の良い不良率を取得することができない場合があり、周辺情報の認識率低下を回避できない場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、自車両周辺の物体の認識精度の低下をより確実に抑制することができる検知装置、検知方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る検知装置、検知方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る検知装置は、自車両前方の物体を検出する第1の物体検出装置の検出結果に基づき、前記第1の物体検出装置が検出した物体の特徴点を第1特徴点として抽出する第1特徴点抽出部と、前記物体を検出する第2の物体検出装置であって前記第1の物体検出装置の検出範囲の一部または全部を検出範囲に含む第2の物体検出装置の検出結果に基づき、前記物体の特徴点を第2特徴点として抽出する第2特徴点抽出部と、前記第1の物体検出装置と前記第2の物体検出装置のうち、前記第1特徴点の点群である第1特徴点群と前記第2特徴点の点群である第2特徴点群のうち対応する特徴点が欠損している方の特徴点群の抽出に係る検出結果を取得した方の物体検出装置について、前記物体の検出に対する阻害要因が存在すると判定する判定部と、を備える。
【0007】
(2):上記(1)の態様において、前記判定部は、対応する特徴点を有さない第1特徴点または第2特徴点が、規定時間以上連続して検出された場合に、前記阻害要因が存在すると判定するものである。
【0008】
(3):上記(1)または(2)の態様において、前記判定部は、対応する特徴点を有さない第1特徴点または第2特徴点について、本来検出されるべき特徴点である欠損特徴点を時系列に検出し、検出した前記欠損特徴点の数を、前記検出範囲を分割した部分領域ごとに合計していき、前記欠損特徴点の合計数が閾値以上となった場合、前記合計数が得られた部分領域に前記阻害要因が存在すると判定するものである。
【0009】
(4):上記(1)から(3)のいずれかの態様において、前記第1の物体検出装置は、自車両内からフロントウィンドウを介して自車両前方の物体を検出するカメラであり、前記第1の物体検出装置による物体検出の阻害要因は、前記フロントウィンドウに付着した水滴である。
【0010】
(5):上記(4)の態様において、前記第2の物体検出装置は、バンパーの一部に設けられた電波透過部の裏にあるレーダ装置であり、前記第2の物体検出装置による物体検出の阻害要因は、前記電波透過部に対する付着物である。
【0011】
(6):上記(4)の態様において、前記第2の物体検出装置は、バンパーに設けられたライダー装置であり、前記第2の物体検出装置による物体検出の阻害要因は、前記ライダー装置の発光部または受光部に対する付着物である。
【0012】
(7):上記(4)から(6)のいずれかの態様において、前記判定部の判定結果に応じて前記フロントウィンドウに温風を吹き出すヒータ装置を作動させるヒータ制御部をさらに備え、前記ヒータ制御部は、前記判定部により、前記第1の物体検出装置の物体検出に関して前記阻害要因が存在すると判定された場合に前記ヒータ装置を作動させるものである。
【0013】
(8):この発明の一態様に係る検知方法は、コンピュータが、自車両前方の物体を検出する第1の物体検出装置の検出結果に基づき、前記第1の物体検出装置が検出した物体の特徴点を第1特徴点として抽出し、前記物体を検出する第2の物体検出装置であって前記第1の物体検出装置の検出範囲の一部または全部を検出範囲に含む前記第2の物体検出装置の検出結果に基づき、前記物体の特徴点を第2特徴点として抽出し、前記第1の物体検出装置と前記第2の物体検出装置のうち、前記第1特徴点の点群である第1特徴点群と前記第2特徴点の点群である第2特徴点群のうち対応する特徴点が欠損している方の特徴点群の抽出に係る検出結果を取得した方の物体検出装置について、前記物体の検出に対する阻害要因が存在すると判定するものである。
【0014】
(9):この発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、自車両前方の物体を検出する第1の物体検出装置の検出結果に基づき、前記第1の物体検出装置が検出した物体の特徴点を第1特徴点として抽出させ、前記物体を検出する第2の物体検出装置であって前記第1の物体検出装置の検出範囲の一部または全部を検出範囲に含む前記第2の物体検出装置の検出結果に基づき、前記物体の特徴点を第2特徴点として抽出させ、前記第1の物体検出装置と前記第2の物体検出装置のうち、前記第1特徴点の点群である第1特徴点群と前記第2特徴点の点群である第2特徴点群のうち対応する特徴点が欠損している方の特徴点群の抽出に係る検出結果を取得した物体検出装置について、前記物体の検出に対する阻害要因が存在すると判定させるものである。
【発明の効果】
【0015】
上記(1)~(9)の態様によれば、自車両前方の物体を検出する第1の物体検出装置の検出結果に基づき、前記第1の物体検出装置が検出した物体の特徴点を第1特徴点として抽出し、前記物体を検出する第2の物体検出装置であって前記第1の物体検出装置の検出範囲の一部または全部を検出範囲に含む前記第2の物体検出装置の検出結果に基づき、前記物体の特徴点を第2特徴点として抽出し、前記第1の物体検出装置と前記第2の物体検出装置のうち、前記第1特徴点の点群である第1特徴点群と前記第2特徴点の点群である第2特徴点群のうち対応する特徴点が欠損している方の特徴点群の抽出に係る検出結果を取得した物体検出装置について、前記物体の検出に対する阻害要因が存在すると判定することにより、自車両周辺の物体の認識精度の低下をより確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態の車両制御装置を利用した車両システムの構成図である。
図2】第1制御部および第2制御部の機能構成図である。
図3】運転モードと自車両の制御状態、およびタスクの対応関係の一例を示す図である。
図4】実施形態の物体認識装置が阻害要因を検知するために備える構成の一例を示すブロック図である。
図5】実施形態の物体認識装置において、阻害要因判定部が“阻害要因無し”と判定する場合の一例を示す図である。
図6】実施形態の物体認識装置において、阻害要因判定部が“阻害要因有り”と判定する場合の一例を示す図である。
図7】実施形態の物体認識装置が実行する非対応特徴点検出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8】実施形態の物体認識装置が実行する阻害要因判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】実施形態における阻害要因判定処理の具体例を示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の検知装置、検知方法、およびプログラムの実施形態について説明する。
【0018】
[全体構成]
図1は、実施形態に係る車両制御装置を利用した車両システム1の構成図である。車両システム1が搭載される車両は、例えば、二輪や三輪、四輪等の車両であり、その駆動源は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの内燃機関、電動機、或いはこれらの組み合わせである。電動機は、内燃機関に連結された発電機による発電電力、或いは二次電池や燃料電池の放電電力を使用して動作する。
【0019】
車両システム1は、例えば、カメラ10と、レーダ装置12と、LIDAR(Light Detection and Ranging)14と、物体認識装置16と、通信装置20と、HMI(Human Machine Interface)30と、車両センサ40と、ナビゲーション装置50と、MPU(Map Positioning Unit)60と、ドライバモニタカメラ70と、運転操作子80と、自動運転制御装置100と、走行駆動力出力装置200と、ブレーキ装置210と、ステアリング装置220と、ヒータ装置300とを備える。これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって互いに接続される。なお、図1に示す構成はあくまで一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。
【0020】
カメラ10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ10は、車両システム1が搭載される車両(以下、自車両)の任意の箇所に取り付けられる。前方を撮像する場合、カメラ10は、フロントウインドシールド上部やルームミラー裏面等に取り付けられる。カメラ10は、例えば、周期的に繰り返し自車両の周辺を撮像する。カメラ10は、ステレオカメラであってもよい。
【0021】
レーダ装置12は、自車両の周辺にミリ波などの電波を放射すると共に、物体によって反射された電波(反射波)を検出して少なくとも物体の位置(距離および方位)を検出する。レーダ装置12は、自車両の任意の箇所に取り付けられてよい。レーダ装置12は、FM-CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体の位置および速度を検出してもよい。例えば、レーダ装置12は、バンパーの一部に設けられた電波透過部の裏に設置される。
【0022】
LIDAR14は、自車両の周辺に光(或いは光に近い波長の電磁波)を照射し、散乱光を測定する。LIDAR14は、発光から受光までの時間に基づいて、対象までの距離を検出する。照射される光は、例えば、パルス状のレーザー光である。LIDAR14は、自車両の任意の箇所に取り付けられてよい。
【0023】
物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびLIDAR14のうち一部または全部による検出結果に対してセンサフュージョン処理を行って、物体の位置、種類、速度などを認識する。物体認識装置16は、認識結果を自動運転制御装置100に出力する。物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびLIDAR14の検出結果をそのまま自動運転制御装置100に出力してよい。車両システム1から物体認識装置16が省略されてもよい。
【0024】
また、本実施形態における物体認識装置16は、上述の物体認識機能に加えて、カメラ10、レーダ装置12、およびLIDAR14による物体検出の阻害要因となり得る物体の有無を検知する機能を有する。例えば、カメラ10の物体検出に対しては、カメラ10の検出範囲(撮像範囲)に存在し、本来検出したい物体への見通しを悪くする物体が阻害要因となり得る。
【0025】
例えば、カメラ10による物体検出の阻害要因の一例としてフロントウィンドウやレンズに付着した水滴が挙げられる。また、レーダ装置12が、バンパーの一部に設けられた電波透過部の裏に設置される場合、レーダ装置12による物体検出の阻害要因の一例として電波透過部に付着した汚れなどが挙げられる。また、LIDAR14による物体検出の阻害要因の一例としてLIDAR14の発光部または受光部に付着した汚れなどが挙げられる。
【0026】
物体認識装置16は、これらの阻害要因の有無をカメラ10やレーダ装置12、LIDAR14などの物体検出装置の検出結果に基づいて判定するものである。なお、阻害要因の有無を判定する方法の詳細については後述する。物体認識装置16は「検知装置」の一例である。物体認識装置16は、物体認識機能を有する物体認識装置と、阻害要因の有無を検知する検知装置とに分離して構成されてもよい。
【0027】
通信装置20は、例えば、セルラー網やWi-Fi網、Bluetooth(登録商標)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)などを利用して、自車両の周辺に存在する他車両と通信し、或いは無線基地局を介して各種サーバ装置と通信する。
【0028】
HMI30は、自車両の乗員に対して各種情報を提示すると共に、乗員による入力操作を受け付ける。HMI30は、各種表示装置、スピーカ、ブザー、タッチパネル、スイッチ、キーなどを含む。
【0029】
車両センサ40は、自車両の速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、自車両の向きを検出する方位センサ等を含む。
【0030】
ナビゲーション装置50は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機51と、ナビHMI52と、経路決定部53とを備える。ナビゲーション装置50は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置に第1地図情報54を保持している。GNSS受信機51は、GNSS衛星から受信した信号に基づいて、自車両の位置を特定する。自車両の位置は、車両センサ40の出力を利用したINS(Inertial Navigation System)によって特定または補完されてもよい。ナビHMI52は、表示装置、スピーカ、タッチパネル、キーなどを含む。ナビHMI52は、前述したHMI30と一部または全部が共通化されてもよい。経路決定部53は、例えば、GNSS受信機51により特定された自車両の位置(或いは入力された任意の位置)から、ナビHMI52を用いて乗員により入力された目的地までの経路(以下、地図上経路)を、第1地図情報54を参照して決定する。第1地図情報54は、例えば、道路を示すリンクと、リンクによって接続されたノードとによって道路形状が表現された情報である。第1地図情報54は、道路の曲率やPOI(Point Of Interest)情報などを含んでもよい。地図上経路は、MPU60に出力される。ナビゲーション装置50は、地図上経路に基づいて、ナビHMI52を用いた経路案内を行ってもよい。ナビゲーション装置50は、例えば、乗員の保有するスマートフォンやタブレット端末等の端末装置の機能によって実現されてもよい。ナビゲーション装置50は、通信装置20を介してナビゲーションサーバに現在位置と目的地を送信し、ナビゲーションサーバから地図上経路と同等の経路を取得してもよい。
【0031】
MPU60は、例えば、推奨車線決定部61を含み、HDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に第2地図情報62を保持している。推奨車線決定部61は、ナビゲーション装置50から提供された地図上経路を複数のブロックに分割し(例えば、車両進行方向に関して100[m]毎に分割し)、第2地図情報62を参照してブロックごとに推奨車線を決定する。推奨車線決定部61は、左から何番目の車線を走行するといった決定を行う。推奨車線決定部61は、地図上経路に分岐箇所が存在する場合、自車両が、分岐先に進行するための合理的な経路を走行できるように、推奨車線を決定する。
【0032】
第2地図情報62は、第1地図情報54よりも高精度な地図情報である。第2地図情報62は、例えば、車線の中央の情報あるいは車線の境界の情報等を含んでいる。また、第2地図情報62には、道路情報、交通規制情報、住所情報(住所・郵便番号)、施設情報、電話番号情報、後述するモードAまたはモードBが禁止される禁止区間の情報などが含まれてよい。第2地図情報62は、通信装置20が他装置と通信することにより、随時、アップデートされてよい。
【0033】
ドライバモニタカメラ70は、例えば、CCDやCMOS等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。ドライバモニタカメラ70は、自車両の運転席に着座した乗員(以下、運転者)の頭部を正面から(顔面を撮像する向きで)撮像可能な位置および向きで、自車両における任意の箇所に取り付けられる。例えば、ドライバモニタカメラ70は、自車両のインストルメントパネルの中央部に設けられたディスプレイ装置の上部に取り付けられる。
【0034】
運転操作子80は、例えば、ステアリングホイール82の他、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、その他の操作子を含む。運転操作子80には、操作量あるいは操作の有無を検出するセンサが取り付けられており、その検出結果は、自動運転制御装置100、もしくは、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220のうち一部または全部に出力される。ステアリングホイール82は、「運転者による操舵操作を受け付ける操作子」の一例である。操作子は、必ずしも環状である必要は無く、異形ステアリングやジョイスティック、ボタンなどの形態であってもよい。ステアリングホイール82には、ステアリング把持センサ84が取り付けられている。ステアリング把持センサ84は、静電容量センサなどにより実現され、運転者がステアリングホイール82を把持している(力を加えられる状態で接していることをいう)か否かを検知可能な信号を自動運転制御装置100に出力する。
【0035】
自動運転制御装置100は、例えば、第1制御部120と、第2制御部160とを備える。第1制御部120と第2制御部160は、それぞれ、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め自動運転制御装置100のHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体(非一過性の記憶媒体)がドライブ装置に装着されることで自動運転制御装置100のHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。
【0036】
図2は、第1制御部120および第2制御部160の機能構成図である。第1制御部120は、例えば、認識部130と、行動計画生成部140と、モード決定部150とを備える。第1制御部120は、例えば、AI(Artificial Intelligence;人工知能)による機能と、予め与えられたモデルによる機能とを並行して実現する。例えば、「交差点を認識する」機能は、ディープラーニング等による交差点の認識と、予め与えられた条件(パターンマッチング可能な信号、道路標示などがある)に基づく認識とが並行して実行され、双方に対してスコア付けして総合的に評価することで実現されてよい。これによって、自動運転の信頼性が担保される。
【0037】
認識部130は、カメラ10、レーダ装置12、およびLIDAR14から物体認識装置16を介して入力された情報に基づいて、自車両の周辺にある物体の位置、および速度、加速度等の状態を認識する。物体の位置は、例えば、自車両の代表点(重心や駆動軸中心など)を原点とした絶対座標上の位置として認識され、制御に使用される。物体の位置は、その物体の重心やコーナー等の代表点で表されてもよいし、領域で表されてもよい。物体の「状態」とは、物体の加速度やジャーク、あるいは「行動状態」(例えば車線変更をしている、またはしようとしているか否か)を含んでもよい。
【0038】
また、認識部130は、例えば、自車両が走行している車線(走行車線)を認識する。例えば、認識部130は、第2地図情報62から得られる道路区画線のパターン(例えば実線と破線の配列)と、カメラ10によって撮像された画像から認識される自車両の周辺の道路区画線のパターンとを比較することで、走行車線を認識する。なお、認識部130は、道路区画線に限らず、道路区画線や路肩、縁石、中央分離帯、ガードレールなどを含む走路境界(道路境界)を認識することで、走行車線を認識してもよい。この認識において、ナビゲーション装置50から取得される自車両の位置やINSによる処理結果が加味されてもよい。また、認識部130は、一時停止線、障害物、赤信号、料金所、その他の道路事象を認識する。
【0039】
認識部130は、走行車線を認識する際に、走行車線に対する自車両の位置や姿勢を認識する。認識部130は、例えば、自車両の基準点の車線中央からの乖離、および自車両の進行方向の車線中央を連ねた線に対してなす角度を、走行車線に対する自車両の相対位置および姿勢として認識してもよい。これに代えて、認識部130は、走行車線のいずれかの側端部(道路区画線または道路境界)に対する自車両の基準点の位置などを、走行車線に対する自車両の相対位置として認識してもよい。
【0040】
行動計画生成部140は、原則的には推奨車線決定部61により決定された推奨車線を走行し、更に、自車両の周辺状況に対応できるように、自車両が自動的に(運転者の操作に依らずに)将来走行する目標軌道を生成する。目標軌道は、例えば、速度要素を含んでいる。例えば、目標軌道は、自車両の到達すべき地点(軌道点)を順に並べたものとして表現される。軌道点は、道なり距離で所定の走行距離(例えば数[m]程度)ごとの自車両の到達すべき地点であり、それとは別に、所定のサンプリング時間(例えば0コンマ数[sec]程度)ごとの目標速度および目標加速度が、目標軌道の一部として生成される。また、軌道点は、所定のサンプリング時間ごとの、そのサンプリング時刻における自車両の到達すべき位置であってもよい。この場合、目標速度や目標加速度の情報は軌道点の間隔で表現される。
【0041】
行動計画生成部140は、目標軌道を生成するにあたり、自動運転のイベントを設定してよい。自動運転のイベントには、定速走行イベント、低速追従走行イベント、車線変更イベント、分岐イベント、合流イベント、テイクオーバーイベントなどがある。行動計画生成部140は、起動させたイベントに応じた目標軌道を生成する。
【0042】
モード決定部150は、自車両の運転モードを、運転者に課されるタスクが異なる複数の運転モードのいずれかに決定する。モード決定部150は、例えば、運転者状態判定部152と、モード変更処理部154とを備える。これらの個別の機能については後述する。
【0043】
図3は、運転モードと自車両の制御状態、およびタスクの対応関係の一例を示す図である。自車両の運転モードには、例えば、モードAからモードEの5つのモードがある。制御状態すなわち自車両の運転制御の自動化度合いは、モードAが最も高く、次いでモードB、モードC、モードDの順に低くなり、モードEが最も低い。この逆に、運転者に課されるタスクは、モードAが最も軽度であり、次いでモードB、モードC、モードDの順に重度となり、モードEが最も重度である。なお、モードDおよびEでは自動運転でない制御状態となるため、自動運転制御装置100としては自動運転に係る制御を終了し、運転支援または手動運転に移行させるまでが責務である。以下、それぞれの運転モードの内容について例示する。
【0044】
モードAでは、自動運転の状態となり、運転者には前方監視、ステアリングホイール82の把持(図ではステアリング把持)のいずれも課されない。但し、モードAであっても運転者は、自動運転制御装置100を中心としたシステムからの要求に応じて速やかに手動運転に移行できる体勢であることが要求される。なお、ここで言う自動運転とは、操舵、加減速のいずれも運転者の操作に依らずに制御されることをいう。前方とは、フロントウインドシールドを介して視認される自車両の進行方向の空間を意味する。モードAは、例えば、高速道路などの自動車専用道路において、所定速度(例えば50[km/h]程度)以下で自車両が走行しており、追従対象の前走車両が存在するなどの条件が満たされる場合に実行可能な運転モードであり、TJP(Traffic Jam Pilot)と称される場合もある。この条件が満たされなくなった場合、モード決定部150は、モードBに自車両の運転モードを変更する。
【0045】
モードBでは、運転支援の状態となり、運転者には自車両の前方を監視するタスク(以下、前方監視)が課されるが、ステアリングホイール82を把持するタスクは課されない。モードCでは、運転支援の状態となり、運転者には前方監視のタスクと、ステアリングホイール82を把持するタスクが課される。モードDは、自車両の操舵と加減速のうち少なくとも一方に関して、ある程度の運転者による運転操作が必要な運転モードである。例えば、モードDでは、ACC(Adaptive Cruise Control)やLKAS(Lane Keeping Assist System)といった運転支援が行われる。モードEでは、操舵、加減速ともに運転者による運転操作が必要な手動運転の状態となる。モードD、モードEともに、当然ながら運転者には自車両の前方を監視するタスクが課される。
【0046】
自動運転制御装置100(および運転支援装置(不図示))は、運転モードに応じた自動車線変更を実行する。自動車線変更には、システム要求による自動車線変更(1)と、運転者要求による自動車線変更(2)がある。自動車線変更(1)には、前走車両の速度が自車両の速度に比して基準以上に小さい場合に行われる、追い越しのための自動車線変更と、目的地に向けて進行するための自動車線変更(推奨車線が変更されたことによる自動車線変更)とがある。自動車線変更(2)は、速度や周辺車両との位置関係等に関する条件が満たされた場合において、運転者により方向指示器が操作された場合に、操作方向に向けて自車両を車線変更させるものである。
【0047】
自動運転制御装置100は、モードAにおいて、自動車線変更(1)および(2)のいずれも実行しない。自動運転制御装置100は、モードBおよびCにおいて、自動車線変更(1)および(2)のいずれも実行する。運転支援装置(不図示)は、モードDにおいて、自動車線変更(1)は実行せず自動車線変更(2)を実行する。モードEにおいて、自動車線変更(1)および(2)のいずれも実行されない。
【0048】
モード決定部150は、決定した運転モード(以下、現運転モード)に係るタスクが運転者により実行されない場合に、よりタスクが重度な運転モードに自車両の運転モードを変更する。
【0049】
例えば、モードAにおいて運転者が、システムからの要求に応じて手動運転に移行できない体勢である場合(例えば許容エリア外の脇見を継続している場合や、運転困難となる予兆が検出された場合)、モード決定部150は、HMI30を用いて運転者に手動運転への移行を促し、運転者が応じなければ自車両を路肩に寄せて徐々に停止させ、自動運転を停止する、といった制御を行う。自動運転を停止した後は、自車両はモードDまたはEの状態になり、運転者の手動操作によって自車両を発進させることが可能となる。以下、「自動運転を停止」に関して同様である。モードBにおいて運転者が前方を監視していない場合、モード決定部150は、HMI30を用いて運転者に前方監視を促し、運転者が応じなければ自車両を路肩に寄せて徐々に停止させ、自動運転を停止する、といった制御を行う。モードCにおいて運転者が前方を監視していない場合、或いはステアリングホイール82を把持していない場合、モード決定部150は、HMI30を用いて運転者に前方監視を、および/またはステアリングホイール82を把持するように促し、運転者が応じなければ自車両を路肩に寄せて徐々に停止させ、自動運転を停止する、といった制御を行う。
【0050】
運転者状態判定部152は、上記のモード変更のために運転者の状態を監視し、運転者の状態がタスクに応じた状態であるか否かを判定する。例えば、運転者状態判定部152は、ドライバモニタカメラ70が撮像した画像を解析して姿勢推定処理を行い、運転者が、システムからの要求に応じて手動運転に移行できない体勢であるか否かを判定する。また、運転者状態判定部152は、ドライバモニタカメラ70が撮像した画像を解析して視線推定処理を行い、運転者が前方を監視しているか否かを判定する。
【0051】
モード変更処理部154は、モード変更のための各種処理を行う。例えば、モード変更処理部154は、行動計画生成部140に路肩停止のための目標軌道を生成するように指示したり、運転支援装置(不図示)に作動指示をしたり、運転者に行動を促すためにHMI30の制御をしたりする。
【0052】
第2制御部160は、行動計画生成部140によって生成された目標軌道を、予定の時刻通りに自車両が通過するように、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220を制御する。
【0053】
図2に戻り、第2制御部160は、例えば、取得部162と、速度制御部164と、操舵制御部166とを備える。取得部162は、行動計画生成部140により生成された目標軌道(軌道点)の情報を取得し、メモリ(不図示)に記憶させる。速度制御部164は、メモリに記憶された目標軌道に付随する速度要素に基づいて、走行駆動力出力装置200またはブレーキ装置210を制御する。操舵制御部166は、メモリに記憶された目標軌道の曲がり具合に応じて、ステアリング装置220を制御する。速度制御部164および操舵制御部166の処理は、例えば、フィードフォワード制御とフィードバック制御との組み合わせにより実現される。一例として、操舵制御部166は、自車両の前方の道路の曲率に応じたフィードフォワード制御と、目標軌道からの乖離に基づくフィードバック制御とを組み合わせて実行する。
【0054】
走行駆動力出力装置200は、車両が走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。走行駆動力出力装置200は、例えば、内燃機関、電動機、および変速機などの組み合わせと、これらを制御するECU(Electronic Control Unit)とを備える。ECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、上記の構成を制御する。
【0055】
ブレーキ装置210は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ブレーキECUとを備える。ブレーキECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。ブレーキ装置210は、運転操作子80に含まれるブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置210は、上記説明した構成に限らず、第2制御部160から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
【0056】
ステアリング装置220は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
【0057】
ヒータ装置300は、フロントウィンドウに付着した水滴を除去するためにフロントウィンドウに対して温風を吹き出す装置である。本実施形態において、ヒータ装置300は、送風の開始または停止をドライバの操作に応じて実施するほか、物体認識装置16の指示に応じて実施することができるように構成される。
【0058】
図4は、本実施形態における物体認識装置16が阻害要因を検知するために備える構成の一例を示すブロック図である。物体認識装置16は、例えば、記憶部610と、制御部620とを備える。制御部620は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め自動運転制御装置100のHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体(非一過性の記憶媒体)がドライブ装置に装着されることで自動運転制御装置100のHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。
【0059】
記憶部610は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory、ROM(Read Only Memory)、またはRAM(Random Access Memory)等により実現される。記憶部610には、例えば、物体認識装置16が阻害要因を検知する処理において利用する基準や閾値などを含む情報が記憶されている。
【0060】
制御部620は、例えば、第1特徴点抽出部621と、第2特徴点抽出部622と、特徴点重畳部623と、阻害要因判定部624と、ヒータ制御部625とを備える。第1特徴点抽出部621は、カメラ10による物体の検出結果に基づき、カメラ10が検出した物体の特徴点を第1特徴点として抽出する。同様に、第2特徴点抽出部622は、レーダ装置12による物体の検出結果に基づき、レーダ装置12が検出した物体の特徴点を第2特徴点として抽出する。なお、第2特徴点抽出部622は、LIDAR14による物体の検出結果に基づき、LIDAR14が検出した物体の特徴点を第2特徴点として抽出するように構成されてもよい。
【0061】
ここで、カメラ10は、電磁波の受信結果に基づいて自車両前方の物体を検出する「第1の物体検出装置」の一例であり、レーダ装置12およびLIDAR14は「第2の物体検出装置」の一例である。また、レーダ装置12およびLIDAR14は、カメラ10の検出範囲の一部または全部を検出範囲に含む位置および姿勢で設置される。第1特徴点抽出部621および第2特徴点抽出部622は、それぞれ抽出した第1特徴点群および第2特徴点群を示す情報を特徴点重畳部623に出力する。
【0062】
特徴点重畳部623は、第1特徴点群と第2特徴点群とを同じ座標空間において重畳することにより、第1特徴点群および第2特徴点群において同じ対象を示す特徴点(以下「対応特徴点」という。)の組を抽出する。さらに特徴点重畳部623は、第1特徴点群または第2特徴点群に含まれる特徴点のうち対応特徴点の組として抽出されなかった特徴点を「非対応特徴点」として検出する。すなわち、非対応特徴点は、第1特徴点群および第2特徴点群のうちの一方の特徴点群に属する特徴点であって、他方の特徴点群に対応特徴点を有さない特徴点である。
【0063】
阻害要因判定部624は、特徴点重畳部623による非対応特徴点の検出結果に基づいて、カメラ10およびレーダ装置12の物体検出に関する阻害要因の有無を判定する。具体的には、阻害要因判定部624は、特徴点重畳部623によって非対応特徴点が検出された場合、第1特徴点群および第2特徴点群のうち、当該非対応特徴点が検出されなかった方の特徴点群に係る物体の検出手段に関して阻害要因が存在していると判定する。
【0064】
図5は、阻害要因判定部624が判定の結果、いずれの検出手段に関しても“阻害要因無し”と判定する場合の一例を示す図である。図5は、時刻t10およびt11(>t10)におけるカメラ10およびレーダ装置12の検出結果を示している。図5は、自車両が道路区画線L1およびL2で区切られた車線R1を紙面手前側から紙面奥側に向かう方向に走行している状況での検出結果を示している。図中の車両M1は、自車両の前を走行する車両である。
【0065】
この例では、阻害要因判定部624は、時刻t10およびt11のいずれの時刻においても、カメラ10の検出結果およびレーダ装置12の検出結果の両方で同じ対象物(車線R1の左側に存在する街路樹T1を検出している。この場合、街路樹T1について、カメラ10とレーダ装置12とで同じ特徴点が抽出されるため、特徴点重畳部623は、非対応特徴点を検出しない。したがって、この場合、阻害要因判定部624は、カメラ10およびレーダ装置12のいずれの検出手段に関しても“阻害要因無し”と判定することになる。
【0066】
これに対して図6は、阻害要因判定部624が判定の結果、カメラ10による物体検出に関して“阻害要因有り”と判定する場合の一例を示す図である。図6は、時刻t20およびt21(>t20)におけるカメラ10およびレーダ装置12の検出結果を示している。図6は、自車両が図5と同様の走行状況において実施した物体検出の結果を示している。図中の阻害要因W1は、例えば、フロントウィンドウに付着した水滴である。
【0067】
この例では、時刻t20においては、水滴W1が街路樹T1への見通しを遮っていないので、このタイミングでは、阻害要因判定部624は、カメラ10およびレーダ装置12のいずれの検出手段に関しても“阻害要因無し”と判定する。これに対して、時刻t11においては、水滴W1が街路樹T1への見通しを遮っているので、カメラ10による検出結果に関して抽出される街路樹T1の特徴点群F1は、水滴W1で遮られていない部分の特徴点となる。一方、レーダ装置12は街路樹T1の全体を検出しているため、レーダ装置12による検出結果に関して抽出される街路樹T1の特徴点群F2のうち、特徴点群F1に対応しない特徴点群F3は非対応特徴点となる。したがって、この場合、阻害要因判定部624は、カメラ10による物体検出に関して“阻害要因有り”と判定することになる。
【0068】
ヒータ制御部625は、阻害要因判定部624による阻害要因の有無の判定結果に基づいてヒータ装置300を制御する。具体的には、ヒータ制御部625は、阻害要因判定部624によって“阻害要因有り”と判定された場合にヒータ装置300を作動させる。これにより、検出された阻害要因がフロントウィンドウに付着した水滴である場合に、阻害要因を除去することができる。
【0069】
[阻害要因の判定方法]
図7は、本実施形態の物体認識装置16が非対応特徴点を検出する処理(以下「非対応特徴点検出処理」という。)の流れの一例を示すフローチャートである。まず、特徴点重畳部623が、第1特徴点抽出部621から第1特徴点群の情報を取得するとともに、第2特徴点抽出部622から第2特徴点群の情報を取得する(ステップS101)。
【0070】
続いて、特徴点重畳部623は、第1特徴点群から1つの特徴点を選択し(ステップS102)、選択した第1特徴点について、対応特徴点が第2特徴点群に存在している否かを判定する(ステップS103)。ここで、選択した第1特徴点について、対応特徴点が第2特徴点群に存在していないと判定した場合、特徴点重畳部623は、選択した第1特徴点を非対応特徴点として記録して(ステップS104)、ステップS105に処理を進める。一方、ステップS103において、選択した第1特徴点について、対応特徴点が第2特徴点群に存在していると判定した場合、特徴点重畳部623は、ステップS104をスキップしてステップS105に処理を進める。
【0071】
続いて、特徴点重畳部623は、第1特徴点群に含まれる全ての特徴点について対応特徴点の検査を行ったか否かを判定する(ステップS105)。ここで、第1特徴点群において未検査の特徴点が存在すると判定した場合、特徴点重畳部623は、ステップS102に処理を戻し、未検査の特徴点がなくなるまでステップS102~S104を繰り返し実行する。一方、ステップS105において、第1特徴点群に含まれる全ての特徴点について対応特徴点の検査を行ったと判定した場合、特徴点重畳部623は、ステップS106に処理を進める。
【0072】
続いて、特徴点重畳部623は、第2特徴点群から1つの特徴点を選択し(ステップS106)、選択した第2特徴点について、対応特徴点が第1特徴点群に存在している否かを判定する(ステップS107)。ここで、選択した第2特徴点について、対応特徴点が第1特徴点群に存在していないと判定した場合、特徴点重畳部623は、選択した第2特徴点を非対応特徴点として記録して(ステップS108)、ステップS109に処理を進める。一方、ステップS107において、選択した第2特徴点について、対応特徴点が第1特徴点群に存在していると判定した場合、特徴点重畳部623は、ステップS108をスキップしてステップS109に処理を進める。
【0073】
続いて、特徴点重畳部623は、第2特徴点群に含まれる全ての特徴点について対応特徴点の検査を行ったか否かを判定する(ステップS109)。ここで、第2特徴点群において未検査の特徴点が存在すると判定した場合、特徴点重畳部623は、ステップS106に処理を戻し、未検査の特徴点がなくなるまでステップS106~S108を繰り返し実行する。一方、ステップS109において、第2特徴点群に含まれる全ての特徴点について対応特徴点の検査を行ったと判定した場合、特徴点重畳部623は、非対応特徴点検出処理を終了する。
【0074】
なお、図7で説明した非対応特徴点検出処理は、カメラ10およびレーダ装置12について時系列に取得される各検出結果のそれぞれに実施される処理である。特徴点重畳部623は、各時点で取得されるカメラ10およびレーダ装置12の検出結果に対して図7の非対応特徴点検出処理を実施して、検出した非対応特徴点の座標を検出手段(本実施形態ではすなわちカメラ10またはレーダ装置12)に対応づけて記録していく。このようにして、非対応特徴点の検出情報が累積的に記録されていくことにより、阻害要因判定部624は、規定期間に発生した非対応特徴点の数をカウントすることが可能となり、規定期間における非対応特徴点の発生数に基づいて阻害要因の有無を判定することが可能となる。具体的には、阻害要因判定部624は、次の図8に示す阻害要因判定処理を実行することにより阻害要因の有無を検知することができる。
【0075】
また、図7の例では、特徴点重畳部623は、第1特徴点の検査を実施した後で第2特徴点の検査を実施したが、特徴点の検査はどちらが先に行われてもよいし、両者が並列に実施されてもよい。
【0076】
図8は、本実施形態の物体認識装置16が実行する阻害要因判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、阻害要因判定部624は、特徴点重畳部623から、カメラ10およびレーダ装置12に関して検出された全ての非対応特徴点について座標情報を取得する(ステップS201)。続いて、阻害要因判定部624は、座標情報を取得した非対応特徴点群から処理対象の非対応特徴点を選択し(ステップS202)、選択した非対応特徴点について、本来検出されるべき対応特徴点(以下「欠損特徴点」という。)の座標を、その検出手段に応じた記録面に記録する(ステップS203)。ここで、記録面とは、欠損特徴点の存在を、本来検出されるべき位置に対応づけて記録するためのメモリ領域であり、カメラ10およびレーダ装置12の検出手段ごとに確保されるものである。
【0077】
続いて、阻害要因判定部624は、各検出手段の記録面に記録された欠損特徴点の数について、検出範囲内に設定される部分領域ごとに合計をとり、合計数が閾値以上となっている部分領域が存在するか否かを判定する(ステップS204)。ここで、欠損特徴点の合計数が閾値以上となっている部分領域が存在すると判定した場合、阻害要因判定部624は、本来当該部分領域の欠損特徴点を検出すべき検出手段につき、当該部分領域の検出に関して“阻害要因有り”と判定して(ステップS205)、阻害要因判定処理を終了する。一方、ステップS204において、欠損特徴点の合計数が閾値以上となっている部分領域が存在しないと判定した場合、阻害要因判定部624は、“阻害要因無し”と判定して(ステップS206)、阻害要因判定処理を終了する。
【0078】
図9は、阻害要因判定処理の具体例を示すイメージ図である。ここでは、例えば、カメラ10およびレーダ装置12のそれぞれについて、検出結果を示すフレームが、N(Nは1以上の整数を表す)、N+1、N+2の順に所定の時間間隔で物体認識装置16に入力される場合を想定する。以下では、N、N+1、N+2の順に入力されるフレームを、それぞれNフレーム、N+1フレーム、N+2フレームといい、各フレームは、カメラ10およびレーダ装置12が共通の検出領域について取得した検出結果を表すものとする。また、図9の例は、カメラ10がNフレーム、N+1フレーム、N+2フレームの検出において阻害要因B2を撮像した場合を表している。
【0079】
この場合、阻害要因判定部624は、カメラ10およびレーダ装置12について、欠損特徴点を記録するための記録面としてそれぞれ記録面M1およびM2を各検出手段に共通の検出範囲に対応させて確保する。続いて、阻害要因判定部624は、レーダ装置12による物体検出結果に基づいて抽出された第2特徴点群のうち非対応特徴点と判定された第2特徴点のそれぞれについて、対応する欠損特徴点をカメラ10の記録面M1に記録する。
【0080】
図9の例では、カメラ10の物体検出に関して阻害要因B1が存在しているので、第2特徴点群において、阻害要因B1に対応する位置A1に非対応特徴点F11-1、F11-2、F12-1~F12-3、F13が検出され、それらに対応する欠損特徴点D11-1、D11-2、D12-1~D12-3、D13が記録面M1に記録される。図8に示す記録面M1は、Nフレーム、N+1フレーム、およびN+2フレームについて欠損特徴点を記録する処理を行った結果を表している。記録面M1において、欠損特徴点D11-1およびD11-2は、レーダ装置12のNフレームにおいて検出された非対応特徴点F11-1およびF11-2に対応する欠損特徴点である。また、欠損特徴点D12-1~D12-3は、レーダ装置12のN+1フレームにおいて検出された非対応特徴点F12-1~F12-3に対応する欠損特徴点である。また、欠損特徴点D13は、レーダ装置12のN+2フレームにおいて検出された非対応特徴点F13に対応する欠損特徴点である。
【0081】
この場合、阻害要因判定部624は、NフレームからN+2フレームまでの間において欠損特徴点が記録されたカメラ10の第4領域(図中(4)で示される部分領域)および第7領域(図中(7)で示される部分領域)に関して阻害要因が存在していると判定してもよい。また、阻害要因判定部624は、欠損特徴点が同じ位置に規定時間以上連続して検出された領域に関して阻害要因が存在していると判定してもよい。例えば、阻害要因判定部624は、Nフレームで検出された欠損特徴点D11-1およびD11-2が、N+1フレームおよびN+2フレームにおいて連続して検出された場合に、欠損特徴点D11-1およびD11-2が記録された第4領域および第7領域の物体検出に関して阻害要因が存在していると判定してもよい。
【0082】
また、阻害要因判定部624は、検出された欠損特徴点の数を検出範囲内の部分領域ごとに時系列に合計していき、その合計数が閾値以上となった部分領域の物体検出に関して阻害要因が存在していると判定してもよい。例えば、図9は、検出範囲内に第1から第9までの9つの部分領域(図中(1)~(9)で示される領域)が設定された場合の例を表している。なお、図9における部分領域の分割方法は一例であり、部分領域の数や大きさ、形状などは任意に決定されてよい。
【0083】
記録面M1の例では、第4領域には、Nフレームの処理タイミングにおいて1つの欠損特徴点D11-1が記録され、N+1フレームの処理タイミングにおいてさらに1つの欠損特徴点D12-1が記録され、N+2フレームの処理タイミングにおいてさらに1つの欠損特徴点D13が記録されている。この場合、閾値が2であれば、阻害要因判定部624は、第4領域の物体検出に関しては、領域内の欠損特徴点の数が2以上となるN+1フレームおよびN+2フレームの処理タイミングにおいて、阻害要因が存在していると判定する。また、閾値が3であれば、阻害要因判定部624は、領域内の欠損特徴点の数が3以上となるN+2フレームの処理タイミングにおいて、阻害要因が存在していると判定することになる。
【0084】
一方、記録面M1の第7領域には、Nフレームの処理タイミングにおいて1つの欠損特徴点D11-2が記録され、N+1フレームの処理タイミングにおいてさらに2つの欠損特徴点D12-2およびD12-3が記録され、N+2フレームの処理タイミングにおいては新たな欠損特徴点が記録されない。この場合、領域内の欠損特徴点の数が2または3以上となるのは、いずれもN+1フレームの処理タイミングである。したがって、図9の例では、閾値が2および3のいずれの場合であっても、阻害要因判定部624は、第7領域の物体検出に関しては、N+1フレームの処理タイミングにおいて、阻害要因が存在していると判定することになる。
【0085】
このように構成された実施形態の物体認識装置16は、カメラ10の検出結果に基づき、検出された物体の特徴点を第1特徴点として抽出する第1特徴点抽出部621と、レーダ装置12の検出結果に基づき、検出された上記物体の特徴点を第2特徴点として抽出する第2特徴点抽出部622と、カメラ10とレーダ装置12のうち、第1特徴点の点群である第1特徴点群と第2特徴点の点群である第2特徴点群のうち対応する特徴点が欠損している方の特徴点群(すなわち欠損特徴点を有している方の特徴点群)の抽出に係る検出結果を取得した方の物体検出装置について、上記物体の検出に対する阻害要因が存在すると判定する阻害要因判定部624とを備える。そして、このような構成を備えることにより、実施形態の物体認識装置16は、複数の物体検出装置による物体の検出結果を比較し、検出結果の違いから阻害要因の有無を判定するとともに、阻害要因の位置を特定することができる。このため、実施形態の物体認識装置16によれば、自車両周辺の物体の認識精度の低下をより確実に抑制することができる。
【0086】
なお、上記の実施形態では、阻害要因の一例としてフロントウィンドウに付着した水滴を想定し、これを除去する手段の一例としてヒータ装置300を作動させる場合について説明したが、阻害要因を除去する手段はヒータ装置300に限定されない。例えば、阻害要因としてフロントウィンドウの外側に付着した汚れを想定する場合、これを除去する手段の一例として不図示のワイパ装置を作動させてもよい。
【0087】
また、上記の実施形態では、簡単のため、二次元の記録面に対して欠損特徴点を記録する場合について説明したが、欠損特徴点の記録は、検出範囲に対応させた三次元空間(以下「記録空間」という。)に対して行われてもよい。この場合、阻害要因判定部624は、三次元の記録空間を部分空間に分割し、各部分空間における欠損特徴点の発生状況に基づいて阻害要因の有無を判定するように構成されてもよい。
【0088】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
プログラムを記憶した記憶装置と、
ハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサが前記プログラムを実行することにより、
自車両前方の物体を検出する第1の物体検出装置の検出結果に基づき、前記第1の物体検出装置が検出した物体の特徴点を第1特徴点として抽出し、
前記物体を検出する第2の物体検出装置であって前記第1の物体検出装置の検出範囲の一部または全部を検出範囲に含む前記第2の物体検出装置の検出結果に基づき、前記物体の特徴点を第2特徴点として抽出し、
前記第1特徴点の点群である第1特徴点群と前記第2特徴点の点群である第2特徴点群のうち対応する特徴点が欠損している方の特徴点群の抽出に係る検出結果を取得した物体検出装置について、前記物体の検出に対する阻害要因が存在すると判定する、
ように構成されている、車両制御装置。
【0089】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0090】
1…車両システム、10…カメラ、12…レーダ装置、14…LIDAR、20…通信装置、30…HMI、40…車両センサ、50…ナビゲーション装置、51…GNSS受信機、52…ナビHMI、53…経路決定部、54…第1地図情報、60…MPU、61…推奨車線決定部、62…第2地図情報、70…ドライバモニタカメラ、80…運転操作子、82…ステアリングホイール、84…ステアリング把持センサ、100…自動運転制御装置、120…第1制御部、130…認識部、140…行動計画生成部、150…モード決定部、152…運転者状態判定部、154…モード変更処理部、160…第2制御部、162…取得部、164…速度制御部、166…操舵制御部、200…走行駆動力出力装置、210…ブレーキ装置、220…ステアリング装置、300…ヒータ装置、16…物体認識装置、610…記憶部、620…制御部、621…第1特徴点抽出部、622…第2特徴点抽出部、623…特徴点重畳部、624…阻害要因判定部、625…ヒータ制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-09-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両前方の物体を検出する第1の物体検出装置の検出結果に基づき、前記第1の物体検出装置が検出した物体の特徴点を第1特徴点として抽出する第1特徴点抽出部と、
前記物体を検出する第2の物体検出装置であって前記第1の物体検出装置の検出範囲の一部または全部を検出範囲に含む第2の物体検出装置の検出結果に基づき、前記物体の特徴点を第2特徴点として抽出する第2特徴点抽出部と、
前記第1の物体検出装置と前記第2の物体検出装置のうち、第1特徴点の点群である第1特徴点群と前記第2特徴点の点群である第2特徴点群のうち対応する特徴点が欠損している方の特徴点群の抽出に係る検出結果を取得した方の物体検出装置について、前記物体の検出に対する阻害要因が存在すると判定する判定部と、
を備える検知装置。
【請求項2】
前記判定部は、対応する特徴点を有さない第1特徴点または第2特徴点が、同じ位置に規定時間以上連続して検出された場合に、前記阻害要因が存在すると判定する、
請求項1に記載の検知装置。
【請求項3】
前記判定部は、対応する特徴点を有さない第1特徴点または第2特徴点について、本来検出されるべき特徴点である欠損特徴点を時系列に検出し、検出した前記欠損特徴点の数を、前記検出範囲を分割した部分領域ごとに合計していき、前記欠損特徴点の合計数が閾値以上となった場合、前記合計数が得られた部分領域に前記阻害要因が存在すると判定する、
請求項1または2に記載の検知装置。
【請求項4】
前記第1の物体検出装置は、自車両内からフロントウィンドウを介して自車両前方の物体を検出するカメラであり、
前記第1の物体検出装置による物体検出の阻害要因は、前記フロントウィンドウに付着した水滴である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の検知装置。
【請求項5】
前記第2の物体検出装置は、バンパーの一部に設けられた電波透過部の裏にあるレーダ装置であり、
前記第2の物体検出装置による物体検出の阻害要因は、前記電波透過部に対する付着物である、
請求項4に記載の検知装置。
【請求項6】
前記第2の物体検出装置は、バンパーに設けられたライダー装置であり、
前記第2の物体検出装置による物体検出の阻害要因は、前記ライダー装置の発光部または受光部に対する付着物である、
請求項4に記載の検知装置。
【請求項7】
前記判定部の判定結果に応じて前記フロントウィンドウに温風を吹き出すヒータ装置を作動させるヒータ制御部をさらに備え、
前記ヒータ制御部は、前記判定部により、前記第1の物体検出装置の物体検出に関して前記阻害要因が存在すると判定された場合に前記ヒータ装置を作動させる、
請求項4から6のいずれか一項に記載の検知装置。
【請求項8】
コンピュータが、
自車両前方の物体を検出する第1の物体検出装置の検出結果に基づき、前記第1の物体検出装置が検出した物体の特徴点を第1特徴点として抽出し、
前記物体を検出する第2の物体検出装置であって前記第1の物体検出装置の検出範囲の一部または全部を検出範囲に含む前記第2の物体検出装置の検出結果に基づき、前記物体の特徴点を第2特徴点として抽出し、
前記第1の物体検出装置と前記第2の物体検出装置のうち、前記第1特徴点の点群である第1特徴点群と前記第2特徴点の点群である第2特徴点群のうち対応する特徴点が欠損している方の特徴点群の抽出に係る検出結果を取得した物体検出装置について、前記物体の検出に対する阻害要因が存在すると判定する、
検知方法。
【請求項9】
コンピュータに、
自車両前方の物体を検出する第1の物体検出装置の検出結果に基づき、前記第1の物体検出装置が検出した物体の特徴点を第1特徴点として抽出させ、
前記物体を検出する第2の物体検出装置であって前記第1の物体検出装置の検出範囲の一部または全部を検出範囲に含む前記第2の物体検出装置の検出結果に基づき、前記物体の特徴点を第2特徴点として抽出させ、
前記第1の物体検出装置と前記第2の物体検出装置のうち、前記第1特徴点の点群である第1特徴点群と前記第2特徴点の点群である第2特徴点群のうち対応する特徴点が欠損している方の特徴点群の抽出に係る検出結果を取得した物体検出装置について、前記物体の検出に対する阻害要因が存在すると判定させる、
プログラム。