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特開2022-154614業務管理システム、その実行方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154614
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】業務管理システム、その実行方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20120101AFI20221005BHJP
   G06F 11/36 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
G06Q10/06
G06F11/36 168
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057733
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000101617
【氏名又は名称】アマノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】小林 晋太郎
(72)【発明者】
【氏名】山下 浩二
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和義
【テーマコード(参考)】
5B042
5L049
【Fターム(参考)】
5B042HH26
5B042HH49
5L049AA10
(57)【要約】
【課題】異なる業務管理装置(システム)においても、業務管理プログラムを操作するRPAを正常に動作させる。
【解決手段】RPAツールによる業務管理プログラムに対するUIコントロールを用いた処理を定義するRPA定義情報と、当該RPA定義情報に基づくRPAツールの実行時に前記RPAツールが操作対象のUIコントロールを捜索するための、当該UIコントロールの識別子を含む捜索情報と、を記憶する。前記RPA定義情報により定義された処理の実行中に、前記操作対象のUIコントロールが検出できないと判断される場合に、当該処理の操作画面上のUIコントロールに含まれる又はUIコントロールに付された識別子の中から、前記捜索情報に含まれる前記識別子に一致する識別子を検出し、検出した前記識別子が付された前記UIコントロールを操作対象にして前記RPA定義情報により定義された処理を実行する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
企業の業務を管理するための業務管理プログラムと、
当該業務管理プログラムを操作するRPA(Robotic Process Automation)ツールと、
当該RPAツールによる前記業務管理プログラムに対するUI(User Interface)コントロールを用いた処理を定義するRPA定義情報と、
当該RPA定義情報に基づくRPAツールの実行時に前記RPAツールが操作対象のUIコントロールを捜索するための、当該UIコントロールの識別子を含む捜索情報と、を記憶する
記憶部と、
前記RPA定義情報により定義された処理の実行中に、前記操作対象のUIコントロールが検出できないと判断される場合に、当該処理の操作画面上のUIコントロールに含まれる又はUIコントロールに付された識別子の中から、前記捜索情報に含まれる前記識別子に一致する識別子を検出し、
検出した前記識別子が付された前記UIコントロールを操作対象にして前記RPA定義情報により定義された処理を実行する
RPA実行制御部と、
を具備する
業務管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の業務管理システムであって、
前記RPAツールは、ユーザの業務管理プログラムの操作を記録して前記RPA定義情報を生成し、
当該業務管理システムは、
前記RPA定義情報の生成時に、操作画面上のUIコントロール毎に、前記識別子を、前記ユーザが前記UIコントロールをポインティング操作するたびに割り振って付することで前記捜索情報を生成する捜索情報生成部をさらに具備する
業務管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の業務管理システムであって、
前記識別子は、前記UIコントロールに含まれる文字である
業務管理システム。
【請求項4】
請求項2に記載の業務管理システムであって、
前記識別子は、前記UIコントロールに紐付けられたコード化された画像である
業務管理システム。
【請求項5】
請求項2から4のいずれかに記載の業務管理システムであって、
前記捜索情報生成部は、前記ポインティング操作時に前記識別子が付されたUIコントロールの画像をキャプチャすることで前記捜索情報を生成し、
前記RPA実行制御部は、前記操作画面の中から、前記捜索情報が含む前記UIコントロールのキャプチャ画像と一致する画像を検出し、検出した画像の前記UIコントロールを操作対象にして前記RPA定義情報により定義された処理を実行する
業務管理システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の業務管理システムであって、
前記RPA定義情報は、当該RPA定義情報に基づく処理において前記RPAツールの操作対象となるUIコントロールの前記操作画面上の第1の座標を含み、
前記捜索情報は、前記識別子が付された前記UIコントロールの前記操作画面上の第2の座標を含み、
前記RPA実行制御部は、前記操作対象のUIコントロールが検出できないと判断された場合、前記第1の座標と前記第2の座標の差分を前記RPA定義情報により定義された処理において前記UIコントロールをポインティングするポインタの移動距離に加算する
業務管理システム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の業務管理システムであって、
前記記憶部は、さらに、前記業務管理プログラムの操作画面の第1の表示設定を記憶し、
前記RPA実行制御部は、前記RPAツールの実行時に、当該業務管理プログラムの操作画面の第2の表示設定を取得し、第1の表示設定と第2の表示設定の差異を算出し、算出した前記差異に基づいて前記RPA定義情報を変換する
業務管理システム。
【請求項8】
請求項7記載の業務管理システムであって、
前記RPA実行制御部は、前記業務管理プログラムを起動する前に、前記第2の表示設定を取得するためのテストプログラムを起動し、当該テストプログラムの実行画面の表示設定を前記第2の表示設定として取得する
業務管理システム。
【請求項9】
企業の業務を管理するための業務管理プログラムと、当該業務管理プログラムを操作するRPA(Robotic Process Automation)ツールとがインストールされた業務管理システムにより、
当該RPAツールによる前記業務管理プログラムに対するUI(User Interface)コントロールを用いた処理を定義するRPA定義情報を記憶し、
当該RPA定義情報に基づくRPAツールの実行時に前記RPAツールが操作対象のUIコントロールを捜索するための、当該UIコントロールの識別子を含む捜索情報を記憶し、
前記RPA定義情報により定義された処理の実行中に、前記操作対象のUIコントロールが検出できないと判断される場合に、当該処理の操作画面上のUIコントロールに含まれる又はUIコントロールに付された識別子の中から、前記捜索情報に含まれる前記識別子に一致する識別子を検出し、
検出した前記識別子が付された前記UIコントロールを操作対象にして前記RPA定義情報により定義された処理を実行する
業務管理プログラム実行方法。
【請求項10】
企業の業務を管理するための業務管理プログラムと、当該業務管理プログラムを操作するRPA(Robotic Process Automation)ツールとがインストールされた業務管理システムに、
当該RPAツールによる前記業務管理プログラムに対するUI(User Interface)コントロールを用いた処理を定義するRPA定義情報を記憶するステップと、
当該RPA定義情報に基づくRPAツールの実行時に前記RPAツールが操作対象のUIコントロールを捜索するための、当該UIコントロールの識別子を含む捜索情報を記憶するステップと、
前記RPA定義情報により定義された処理の実行中に、前記操作対象のUIコントロールが検出できないと判断される場合に、当該処理の操作画面上のUIコントロールに含まれる又はUIコントロールに付された識別子の中から、前記捜索情報に含まれる前記識別子に一致する識別子を検出するステップと、
検出した前記識別子が付された前記UIコントロールを操作対象にして前記RPA定義情報により定義された処理を実行するステップ
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務管理システム、その実行方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、働き方改革の必要性が高まる中で、業務を効率化する手段として、RPA(Robotic Process Automation)を導入する企業が増加している。RPAでは、人間がキーボードやマウスを用いて行う業務管理システムを使用した定型業務等をソフトウェアロボットに覚えさせて、人間の代わりにソフトウェアロボットがコンピュータ操作を実行することで業務の自動化を実現している。
【0003】
また、業務管理システムについては、テレワークや在宅勤務への対応により、例えば、主にオフィス内で使用するデスクトップPCの他に、在宅などで使用可能なタブレットやスマートフォンなどのPDA(Personal Digital Assistant)で動作するシステムも導入されている。業務管理システムが動作するさまざまなOS(Operating System)やハードウェア(マウス、タッチパネル、ディスプレイ等)環境において、RPAを導入することにより、企業の業務効率化が一層求められる。
【0004】
例えば、特許文献1では、ソフトウェアの操作手順が記録されたときの表示環境とは異なる表示環境にてソフトウェアを実行する場合であっても、各ソフトウェア間の相対的な表示位置関係が定められた領域にて操作されたソフトウェアの操作手順を記録し、操作手順に従ってソフトウェアの操作を制御する技術が開示されている。
【0005】
ところが、特許文献1の情報処理装置及びプログラムでは、記録した操作手順の相対的な位置情報について、業務管理プログラムの操作を記録したOSやハードウェアと異なる環境にてRPAを用いて業務管理プログラムを操作する際、OSやハードウェアによっては画面上のボタン等の相対的な表示位置関係が異なるため、記録した位置情報を適用することができない。また、ユーザ(使用者)が、業務管理システムの使い勝手を良くするために、ユーザが使用する業務装置の業務管理プログラムのボタン等の位置をカスタマイズすることもある。したがって、各々の業務装置において、業務管理システムのボタン等の位置が異なる可能性がある。
【0006】
ハードウェア又はソフトウェア環境の相違、もしくは、ユーザによるカスタマイズにより業務管理プログラムの所定の操作の操作画面が、業務管理システム又は業務管理装置ごとに異なる可能性がある。操作画面が異なっていても、RPAのソフトウェアプログラムが業務管理プログラムに対して上記所定の操作を正常に実行できることが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018-206288
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、異なる業務管理装置(システム)においても、業務管理プログラムを操作するRPAを正常に動作させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の第1の業務管理システムは、企業の業務を管理するための業務管理プログラムと、当該業務管理プログラムを操作するRPA(Robotic Process Automation)ツールと、当該RPAツールによる前記業務管理プログラムに対するUI(User Interface)コントロールを用いた処理を定義するRPA定義情報と、当該RPA定義情報に基づくRPAツールの実行時に前記RPAツールが操作対象のUIコントロールを捜索するための、当該UIコントロールの識別子を含む捜索情報と、を記憶する記憶部と、前記RPA定義情報により定義された処理の実行中に、前記操作対象のUIコントロールが検出できないと判断される場合に、当該処理の操作画面上のUIコントロールに含まれる又はUIコントロールに付された識別子の中から、前記捜索情報に含まれる前記識別子に一致する識別子を検出し、検出した前記識別子が付された前記UIコントロールを操作対象にして前記RPA定義情報により定義された処理を実行するRPA実行制御部と、を具備する。
【0010】
この業務管理システムによれば、RPAツールによる業務管理プログラムの操作時に操作対象のUIコントロールが検出できない場合であってもそのUIコントロールに含まれる又は紐づけされた識別子を検出することによって当該UIコントロールを捜索することができ、これにより、RPAを正常に動作させることができる。
ここで、「業務管理システム」は業務管理プログラムがインストールされたコンピュータシステムを指し、「業務管理装置」も同じくそのようなコンピュータシステムを指す。当該コンピュータシステムはスタンドアローンでもよく、複数台のコンピュータを含んでもよく、いわゆる「クラウド」と呼ばれる形態をとってもよい。
【0011】
前記RPAツールは、ユーザの業務管理プログラムの操作を記録して前記RPA定義情報を生成し、当該業務管理システムは、前記RPA定義情報の生成時に、操作画面上のUIコントロール毎に、前記識別子を、前記ユーザが前記UIコントロールをポインティング操作するたびに割り振って付することで前記捜索情報を生成する捜索情報生成部をさらに具備してもよい。
【0012】
これによれば、RPA定義情報の生成時に当該RPA定義情報に対応する捜索情報を生成することで、RPA定義情報と捜索情報を記憶部に記憶させることができ、再利用が容易になる。
【0013】
前記識別子は、前記UIコントロールに含まれる文字であってもよい。
また、前記識別子は、前記UIコントロールに紐付けられたコード化された画像であってもよい。
【0014】
これによれば、識別子を検出して操作対象のUIコントロールを捜索することを容易に実現することができる。
ここで、UIコントロールに含まれる文字は、例えば「印刷実行」や「登録実行」のようなボタン(グラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI:Graphical User Interface)におけるUIコントロールの一例)に含まれる具体的な処理内容の文字である。UIコントロールに紐づけられたコード化された画像は、例えば、QRコード(登録商標)を含む二次元バーコードやカラーコードである。
【0015】
前記捜索情報生成部は、前記ポインティング操作時に前記識別子が付されたUIコントロールの画像をキャプチャすることで前記捜索情報を生成し、前記RPA実行制御部は、前記操作画面の中から、前記捜索情報が含む前記UIコントロールのキャプチャ画像と一致する画像を検出し、検出した画像の前記UIコントロールを操作対象にして前記RPA定義情報により定義された処理を実行してもよい。
【0016】
これによれば、識別子によりUIコントロールの検出(捜索)ができない場合でも、UIコントロールを検出することができる。
【0017】
前記RPA定義情報は、当該RPA定義情報に基づく処理において前記RPAツールの操作対象となるUIコントロールの前記操作画面上の第1の座標を含み、前記捜索情報は、前記識別子が付された前記UIコントロールの前記操作画面上の第2の座標を含み、前記RPA実行制御部は、前記操作対象のUIコントロールが検出できないと判断された場合、前記第1の座標と前記第2の座標の差分を前記RPA定義情報により定義された処理において前記UIコントロールをポインティングするポインタの移動距離に加算してもよい。
【0018】
これにより、RPA定義情報において操作対象となるUIコントロールの座標(第1の座標)と識別子に基づいて検出されたUIコントロールの座標(第2の座標)が異なる場合でも、ポインタによりUIコントロールを正確にポインティングすることができる。
【0019】
前記記憶部は、さらに、前記業務管理プログラムの操作画面の第1の表示設定を記憶し、前記RPA実行制御部は、前記RPAツールの実行時に、当該業務管理プログラムの操作画面の第2の表示設定を取得し、第1の表示設定と第2の表示設定の差異を算出し、算出した前記差異に基づいて前記RPA定義情報を変換してもよい。
【0020】
これにより、第1の表示設定と第2の表示設定が異なる場合でも、RPA定義情報がRPAツールの実行時に変換されるため、RPAを正常に動作させることができる。
【0021】
前記RPA実行制御部は、前記業務管理プログラムを起動する前に、前記第2の表示設定を取得するためのテストプログラムを起動し、当該テストプログラムの実行画面の表示設定を前記第2の表示設定として取得してもよい。
【0022】
これにより、業務管理プログラムの起動前にあらかじめ取得した第2の表示設定を、RPAツールの実行時に利用できるため、RPAツールの動作がより確実になる。
【0023】
本発明の他の形態に係る業務管理プログラム実行方法は、
企業の業務を管理するための業務管理プログラムと、当該業務管理プログラムを操作するRPA(Robotic Process Automation)ツールとがインストールされた業務管理システムにより、
当該RPAツールによる前記業務管理プログラムに対するUI(User Interface)コントロールを用いた処理を定義するRPA定義情報を記憶し、
当該RPA定義情報に基づくRPAツールの実行時に前記RPAツールが操作対象のUIコントロールを捜索するための、当該UIコントロールの識別子を含む捜索情報を記憶し、
前記RPA定義情報により定義された処理の実行中に、前記操作対象のUIコントロールが検出できないと判断される場合に、当該処理の操作画面上のUIコントロールに含まれる又はUIコントロールに付された識別子の中から、前記捜索情報に含まれる前記識別子に一致する識別子を検出し、
検出した前記識別子が付された前記UIコントロールを操作対象にして前記RPA定義情報により定義された処理を実行する。
【0024】
本発明の他の形態に係るプログラムは、
企業の業務を管理するための業務管理プログラムと、当該業務管理プログラムを操作するRPA(Robotic Process Automation)ツールとがインストールされた業務管理システムに、
当該RPAツールによる前記業務管理プログラムに対するUI(User Interface)コントロールを用いた処理を定義するRPA定義情報を記憶するステップと、
当該RPA定義情報に基づくRPAツールの実行時に前記RPAツールが操作対象のUIコントロールを捜索するための、当該UIコントロールの識別子を含む捜索情報を記憶するステップと、
前記RPA定義情報により定義された処理の実行中に、前記操作対象のUIコントロールが検出できないと判断される場合に、当該処理の操作画面上のUIコントロールに含まれる又はUIコントロールに付された識別子の中から、前記捜索情報に含まれる前記識別子に一致する識別子を検出するステップと、
検出した前記識別子が付された前記UIコントロールを操作対象にして前記RPA定義情報により定義された処理を実行するステップ
を実行させる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、異なる業務管理装置(システム)においても、業務管理プログラムを操作するRPAを正常に動作させることが可能になる。
本発明によれば、異なる機種・OSで共通のRPAツールやRPA定義情報が使えるのがメリットである。また、RPAツールは、通常の機能のままでよいのもメリットである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態に係る業務管理システムの構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る業務管理装置および業務装置の構成図である。
図3】本実施形態における情報処理の流れの説明図である。
図4】本実施形態に係るRPAモジュール600による記録処理のフロー図である。
図5】本実施形態に係るRPAツール300による再現処理(自動実行処理)のフロー図である。
図6】本実施形態に係るRPAモジュール600の動作状態説明図である。
図7】本実施形態における出力の一例を示す図である。
図8】本実施形態に係るRPA定義情報400の一例を示す説明図である。
図9】本実施形態に係る捜索情報450の一例を示す説明図である。
図10】本実施形態に係る変換情報460の一例を示す説明図である。
図11】上記実施形態の変形例の説明図である。
図12】上記実施形態の変形例における情報処理の流れの説明図である。
図13】上記実施形態の変形例の画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。以下の実施形態は、本発明の好適な具体例であって、種々の好ましい技術を開示しているが、本発明の技術範囲はこれらの態様に限定されるものではない。
【0028】
[業務管理システムの構成]
図1は、本発明の実施形態に係る業務管理システムの構成図である。
【0029】
同図に示すように、業務管理システムは、企業内で構築され、業務管理装置100(サーバ)と、従業者の業務装置200(A-E・・・)とを有し、それらがネットワーク50(例えば社内LAN等)で通信可能に接続されている。
【0030】
業務管理システムは、主に人事・就業・給与等の企業の業務処理をおこなう業務管理システムである。従業者の業務装置200には、人事・就業・給与等の各業務管理プログラム500がインストールされている。すなわち業務管理プログラム500は、企業の業務を管理するためのソフトウェアプログラムである。もちろん、オフィススイート・ブラウザ・CAD(Computer-Aided Design)等の各従業者の業務毎に必要な業務用アプリケーションは適宜記憶されている。
【0031】
また、従業者の業務装置200には、RPAツール300と、RPAツール300を用いた処理内容を定義するRPA定義情報400が記憶されている。
【0032】
RPA(Robotic Process Automation)とは主に人間がパソコンを使って行っている作業を自動化するソフトウェアのことであり、ソフトウェアロボットとも言われるが、本実施形態では業務プロセスを自動化するために導入する既成のソフトウェアロボットアプリケーションをRPAツール300という。本実施形態では、RPAツール300は、業務管理プログラム500を操作するためのソフトウェアプログラムである。
【0033】
従業者の業務装置200は、例えばデスクトップタイプのPC(Personal Computer)であり、従業者の業務装置200には、上記デスクトップタイプのPCの他、ノート型PCやタブレット等の所謂PDA(Personal Digital Assistance)も含まれる。
【0034】
[業務管理装置および業務装置の構成]
図2は、上記業務管理装置100及び業務装置200の構成を示した図である。
【0035】
同図に示すように、業務管理装置100は、制御部110(CPU;Central Processing Unit)と、記憶部120(HDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等で構成されるデータベース)と、例えばNIC(Network Interface Card)や無線通信インターフェイスからなり業務装置200との通信処理を担う通信インターフェイス150を備える。また業務管理装置100は、適宜表示装置130と入力装置140を備えてもよい。
【0036】
記憶部120には、RPA定義情報400と捜索情報450が記憶されている。詳細については後述する。
【0037】
業務装置200は、制御部210(CPU)と、記憶部220(HDD、RAM、ROM等で構成されるデータベース)と、例えばNICや無線通信インターフェイスからなる通信インターフェイス250と、表示装置230(例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等)及び入力装置240(マウスやタッチパネル等)を備える。
【0038】
記憶部220には、上記RPAツール300と、複数のRPA定義情報400と、複数の捜索情報450と、複数の業務管理プログラム500(A,B,・・・)が記憶されている。個々の業務管理プログラム500としては、例えば就業管理プログラム、入室管理プログラム、人事管理プログラム、給与管理プログラム等が挙げられ、上記RPA定義情報400は、当該就業管理プログラム毎、及び、各就業管理プログラムを用いた異なる作業毎に記憶されている。
【0039】
また、業務装置200は、制御部210の機能モジュールとして、RPA実行制御部211と、捜索情報生成部212と、表示画面比較部213を有する。
【0040】
RPA実行制御部211は、業務装置200にインストールされた業務管理プログラム500の状態に応じて、RPAツール300の実行を制御する。
【0041】
以下の捜索情報生成部212と表示画面比較部213は、RPAモジュール600(図3を参照して後述)が制御部210により実行されることにより制御部210の機能モジュールになるものである。
【0042】
表示画面比較部213は、業務装置200にインストールされた業務管理プログラム500のRPAツール300による再現時、例えば、業務装置200のログイン画面のキャプチャ情報に、複数の二次元バーコードを含めておき、座標の差異と縮尺の差を算出する。表示画面比較部213は、表示装置230の表示設定の差異、例えば、操作画面の縮尺の差、大きさの差、アスペクト比の違いといった情報に基づいて変換情報460を生成し、記憶部220に保持する。
【0043】
捜索情報生成部212は、二次元バーコードを含んだキャプチャ情報、算出された座標の差異と縮尺の差、画面設定等の情報に基づいて捜索情報450を生成して記憶部220に保存する。
【0044】
業務管理装置100と業務装置200は、互いの通信インターフェイス150、通信インターフェイス250を介して通信可能に接続されている。なお図1で示した通り、業務装置200は複数あり、ネットワーク50に接続されているが、他の業務装置200の詳細な構成は省略する。
【0045】
[RPAモジュールの説明]
図3は、本実施形態の情報処理の流れの説明図である。図3には本発明の実施形態に係るRPAツール300による業務管理プログラム500の操作手順の記録から、RPA定義情報400の生成・保存、RPA定義情報400の読み込み、業務管理プログラム500の操作の流れが示されている。図3において、業務装置200Aは、これにインストールされているRPAツール300が、操作者による業務管理プログラム500の操作手順を記録する業務装置200である。他方、業務装置200Bは、これにインストールされているRPAツール300が、記録された操作手順を業務管理プログラム500に対して実行する業務装置200である。
【0046】
業務装置200Aにおいて、RPAツール300は、操作者が操作する業務装置200Aの業務管理プログラム500の操作状況を記録してRPA定義情報400を生成し、生成したRPA定義情報400を業務装置200Bが使用できるよう、業務管理装置100に保存する。業務装置200Bでは、業務管理装置100に保存されているRPA定義情報400をRPAツール300が読み込み、RPA定義情報400に従って、業務管理プログラム500の処理を、業務装置200Aで操作されたように再現する。但し、RPAモジュール600の表示画面比較部213が、業務装置200Aの表示設定(第1の表示設定)と業務装置200Bの表示設定(第2の表示設定)を比較し、座標の差異を検知した場合は、RPAツール300の操作の再現の際に、座標の差異分を考慮した操作の再現を行う。
【0047】
RPAモジュール600は、例えば、API(Application Programming Interface)や、DLL(Dynamic Link Library)の形態で、RPAベンダから業務管理システム側に提供されることにより、RPAベンダは、RPAモジュール600を業務管理システムに組み込み・適用することで、同様にRPAモジュール600を適用した業務管理システムのさまざまなプログラムについて、OSやハードウェアに関わらず、RPAツール300にてシームレスに操作することが可能となる。
【0048】
業務管理プログラム500の一部であるRPAモジュール600は、業務装置200Aにおいて、制御部210により実行されることで捜索情報生成部212として機能し、二次元バーコードを含んだキャプチャ情報、算出された座標の差異と縮尺の差、画面設定等の情報に基づいて捜索情報450を生成して記憶部220に保存する。
【0049】
業務管理プログラム500の一部であるRPAモジュール600は、業務装置200Bにおいて、制御部210により実行されることで表示画面比較部213としても機能し、業務装置200Bにインストールされた業務管理プログラム500のRPAツール300による再現時、例えば、業務装置200のログイン画面のキャプチャ情報に、複数の二次元バーコードを含めておき、座標の差異と縮尺の差を算出する。
【0050】
[本実施形態における情報処理の概要]
次に、以上のように構成された業務管理システムの動作について説明する。以下の説明では、業務管理装置100の制御部110及び業務装置200の制御部210を主な動作主体として説明するが、当該動作は、業務管理装置100や業務装置200が有するRPAツール300とRPAモジュール600を含む制御用プログラム、並びに、業務装置200にインストールされた業務管理プログラム500及びその他のプログラムと協働して実行される。
【0051】
図3に示したように、本実施形態においては、大きく分けて2つの情報処理が実行される。第1は、操作者による業務管理プログラム500の操作をRPAモジュール600により記録し、RPA定義情報400、捜索情報450、変換情報460を生成し記憶する情報処理である。操作を記録する業務装置200を以下「業務装置200A」とする。第2は、記憶されているあるいは業務管理装置100からダウンロードしたRPA定義情報400、捜索情報450、変換情報460に基づいて、操作者による業務管理プログラム500の操作を再現する情報処理である。操作を再現する業務装置200を以下「業務装置200B」とする。
【0052】
図4は、本実施形態に係るRPAモジュール600による記録処理のフロー図である。また、図5は、本実施形態に係るRPAツール300による再現処理(自動実行処理)のフロー図である。図6および図7は、本実施形態に係るRPAツール300の動作状態説明図である。実施例として、就業管理アプリケーションの就業管理プログラムを操作している状態を説明する。なお、この実施例では、就業管理プログラム、入室管理プログラム、給与管理プログラム、その他図示しない経理プログラム、会計プログラムなどが統合的に操作できる、所謂ERP(Enterprise Resources Planning)型の業務プログラムパッケージを示している。
【0053】
[業務管理プログラム500の操作の記録処理]
ERP型の業務管理プログラム500を企業などに導入する場合、定型業務をRPAに実行させると効率が良い。この場合、例えば、総務部などに設置した一台の業務装置200AでRPA定義情報400を作成し、他の業務装置200(例えば、業務装置200B)に配布し、他の業務装置200ではRPA定義情報400に基づいて定型業務の業務管理プログラム500の操作を再生するとさらに業務効率が向上する。以下に説明する業務管理プログラム500の操作の記録処理は、RPA定義情報400と、これに対応する捜索情報450などを作成するための処理である。
【0054】
操作者は、RPAツール300による実行対象とする新たな業務管理プログラム500(例えば、就業/入室/給与/人事プログラム)を起動する。この場合、図4に示すように、まず業務装置200(図3の業務装置200A)の制御部210が、操作者から、RPAツール300による業務管理プログラム500の実行/記録を起動する操作を受け付ける(ステップS101)。操作者が業務管理プログラム500を実行可能になったとき、制御部210は、RPAツール300を起動する(ステップS102)。
【0055】
業務管理プログラム500の起動後、制御部210は、RPAモジュール600により、表示画面のサイズ等のデータを取得し、変換情報460として保存する(ステップS103)。変換情報460の具体的な記録については後述する。
【0056】
まず制御部210は、操作者による明示的な終了操作などが検出されるまで(S104/No)、業務管理プログラムに対する操作者の操作を記録する(図4中、S104からS110の符号が振られたループ)。
【0057】
次に制御部210は、マウスカーソルのクリックなど、ポインティングデバイスを用いた操作画面上のUIコントロールに対するポインティング操作を検出する(S105)。ここでいうポインティング操作にはマウスオーバー、クリック、ダブルクリック、プレースなどを含む種々のポインティング操作である。
【0058】
ポインティング操作が検出された場合、制御部210は、ポイントされたUIコントロールの座標を取得する(S106)。
【0059】
次に制御部210は、ポイントされたUIコントロールに識別子を付与する(S107)。UIコントロールにそもそも識別子が含まれる場合はS107を省略できる。
【0060】
次に制御部210は、識別子が付与された又は識別子を含むUIコントロールの画像をキャプチャする(S108)。
【0061】
次に制御部210(捜索情報生成部212)は、上記ポインティング操作された場所の操作画面上の座標、付与又は含まれる識別子、UIコントロールのキャプチャ画像に基づいて、捜索情報450を生成し、記録する(S109)。捜索情報450の具体的な記録については後述する。
【0062】
次に制御部210は、操作者が入力した値やポインティング操作の詳細(クリックやダブルクリックなど)を操作者が操作した動作として記録する(S110)。
【0063】
RPAの終了が検出されると(S104/Yes)、制御部210は、S106とS110で記録した情報をRPA定義情報400として、S107とS108で記録した情報を捜索情報450として、記憶部220に記憶する(S111)。次に制御部210はRPAツール300を停止し業務管理プログラム500の操作の記録処理を終了する(S112)。
【0064】
以上のように、制御部210は、RPA定義情報400の生成時に、操作者がUIコントロールをポインティング操作するたびに(S105)、識別子をUIコントロールに割り振って付し(S107)、これにより捜索情報450を生成する(S109)。
【0065】
なお、捜索情報450と変換情報は、業務管理プログラム500動作中は、業務装置200の記憶部220に記録し、業務管理プログラム500が終了する際、業務管理装置100に送信し、受信した業務管理装置100は、データベースに記録する。
【0066】
図6の本実施形態に係るRPAツール300の動作状態説明図を参照しながら、S106からS109の処理について説明する。
【0067】
図6(A)には業務装置200の表示装置230が表示している操作画面2300の全体が示されている。操作画面2300の上には、RPAツール起動ボタン2301、マウスカーソル2303、業務管理プログラム500のウィンドウ2302がある。図6(A)中には複数のUIコントロールが示されているが、そのうちの一つUIコントロール2304は、業務管理プログラム500において「就業週報」の作成を指示するコマンドと結びついたUIコントロールである。
【0068】
操作者による操作によりマウスカーソル2303が業務管理プログラム500のウィンドウ2302中のUIコントロール2304をマウスオーバーすると、QRコード2305(識別子の一例)が表示される。他方でメニュー2306には識別子が表示されていないが、これはメニュー2306にマウスオーバーされておらずフォーカスが当たっていないためである。なお識別子はUIコントロール2304に含まれる文字列(図6中では「就業週報」)などでもよい。
【0069】
図6(B)は、(A)の状態からマウスクリックにより個人指定ダイアログ2307が表示された状態を示している。同様に、操作者による操作によりマウスカーソル2303が業務管理プログラム500のウィンドウ2302中のUIコントロール2308(「印刷」)をマウスオーバーすると、QRコード2309(識別子の一例)が表示される。
【0070】
図6(B)の状態で操作者が、UIコントロール2308をクリックする操作をすると、図7に示すような就業週報が印刷される。図7は本実施形態における出力の一例を示す図である。
【0071】
図6(C)は、(B)の状態から引き続いて、個人指定ダイアログ2307の右端を示している。同様に、操作者による操作によりマウスカーソル2303が業務管理プログラム500のウィンドウ2302中のUIコントロール2310(「終了」)をマウスオーバーすると、QRコード2311(識別子の一例)が表示される。(B)から(C)の間に画面遷移はないが、制御部210はポインティング操作を検出して、ポイントされた座標、ポイントされたUIコントロールの識別子、UIコントロールのキャプチャ画像、ポインティング操作の詳細を記録する。
【0072】
上述のように、制御部210はポインティングデバイスの動きを監視する。また、キャプチャした画像には、コントロールに付されているQRコードが含まれてもよい。また、操作者が操作した動作には、操作者が入力した値なども含まれてもよい。
【0073】
[業務管理プログラム500の操作の再現処理]
次に再現処理のフローについて説明する。操作の再現処理は業務管理プログラム500の自動実行処理ともいう。本処理は、業務装置200Aで作成されたRPA定義情報400に基づいて、業務装置200BがRPAを実行する処理である。
【0074】
図5に示すように、まず業務装置200Bの制御部210が、操作者から、RPAツール300による業務管理プログラム500の実行/再現を起動する操作を受け付ける(ステップS201)。当該操作は、例えば操作者によるRPAツール起動ボタン2301のクリックである。制御部210は、RPAツール300を起動し、記憶部220から読み出してあるいは業務管理装置100からダウンロードして取得したRPA定義情報400を読み込む(ステップS202)。
【0075】
RPAツール300は、読み込んだRPA定義情報400に基づいて、業務管理プログラム500を起動して操作を再現する準備を開始する(ステップS203)。
【0076】
RPAツール300により起動された業務管理プログラム500と、組み込まれたRPAモジュール600とにより制御部210に形成されるRPA実行制御部211は、変換情報460、1つ又は複数のRPA定義情報400、RPA定義情報400に紐づいた捜索情報450を読み込む(S204)。
【0077】
次にRPA実行制御部211は、変換情報460に基づいて、RPA定義情報400を記録した業務装置200Aと、業務装置200Bの表示設定に基づいて変換テーブルを生成し、RPA定義情報400を変換テーブルにより変換する(S205)。本処理では例えば、RPA定義情報400中のUIコントロールの座標が変換される。
【0078】
以降の処理は、1又は複数のRPA定義情報400が逐次、順番に処理される。
【0079】
まず制御部210は、S205における変換情報460によるRPA定義情報400の変換があるか否かを判断する(S206)。RPA定義情報400の変換がある場合、表示画面に差異があるので、制御部210は、ポインティング動作などすべてのグラフィカル・ユーザ・インタフェースの動作を変換情報460に基づいて変換するモードで動作させる(S207)。他方で、RPA定義情報400の変換がない場合、表示画面に差異がないので、制御部210は、ポインティング動作などすべてのグラフィカル・ユーザ・インタフェースの動作を通常のモードで動作させる(S208)。
【0080】
続いて制御部210は、未処理のRPA定義情報400があるか否かを判定する(S209)。未処理のRPA定義情報400がある場合、当該RPA定義情報400を処理の実行中のRPA定義情報400とする。
【0081】
続いて制御部210は、業務管理プログラム500が検出可能か否かを判定する(S210)。検出できない場合はエラーとして処理を中断する。
【0082】
続いて制御部210は、実行中のRPA定義情報400に定義された情報に含まれる座標に、操作対象のUIコントロールが、検出できるか否かを判定する(S211)。検出できる場合、制御部210(RPAツール300)は、検出されたUIコントロールに対して定義された操作処理を実行する(S212)。
【0083】
ここで制御部210は、操作対象のUIコントロールが検出できないと判断される場合に、当該UIコントロールを捜索する。具体的には、制御部210は、処理中の操作画面上のUIコントロールに含まれる又はUIコントロールに付された識別子の中から、このRPA定義情報400に対応する捜索情報450に含まれる識別子に一致する識別子を検出する(S213)。
【0084】
操作画面上のUIコントロールの識別子の中から捜索情報450に含まれる識別子に一致する識別子を検出できる場合は(S213/Yes)、検出した識別子のUIコントロールに対して定義された操作処理を実行する(S212)。
【0085】
操作画面上のUIコントロールの識別子の中から捜索情報450に含まれる識別子に一致する識別子を検出できない場合(S213/No)、制御部210は、操作画面の中に、上記捜索情報450に含まれる操作対象のUIコントロールのキャプチャ画像に一致する画像を検出する(S214)。これにより検出できた場合、検出した画像のUIコントロールに対して定義された操作処理を実行する(S212)。検出できなかった場合、S206に戻る。
【0086】
ここで、検出したUIコントロールに対する操作処理の実行(S212)において、制御部210(RPA実行制御部211)は、RPA定義情報400に定義されたUIコントロールの位置(第1の座標)への移動距離に、捜索情報450におけるUIコントロールの位置(第2の座標)と第1の座標の差分を加算して処理する。RPA定義情報400は、当該RPA定義情報に基づく処理において前記RPAツールの操作対象となるUIコントロールの操作画面上の第1の座標を含む。捜索情報450は、識別子が付されたUIコントロールの操作画面上の第2の座標を含む。
【0087】
制御部210は、1又は複数のRPA定義情報400に対して順番に処理したのち(S209/No)、RPAツール300を停止して処理を終了する(S215)。この一連の処理により、自動的に図7に示したような就業週報が業務管理プログラム500により印刷され出力される。操作者がする操作はRPAツール起動ボタン2301のクリックのみである。
【0088】
[RPA定義情報400について)
図8は、RPA定義情報400の例である。業務装置200にて操作者が操作した表示画面上のコントロールをRPAツール300が認識して座標と操作内容(操作、入力内容、等)を記録し、保存する。また、RPAツール300は、業務装置200において業務管理プログラム500を再現する際、RPA定義情報400に保存された座標を用いて、表示画面上で所望のコントロールを検出し、保存された操作内容により、操作者の操作を再現する。
【0089】
図8に示すように、RPA定義情報400は、シーケンス番号(操作処理の順番)、操作対象プログラム、操作内容、操作対象のUIコントロール、入力内容(数値など)、操作対象のUIコントロールのX座標、Y座標、当該操作の説明を含む。
【0090】
[捜索情報450について]
図9は、捜索情報450の例である。まず、操作者が業務管理プログラム500を操作する際、業務管理プログラム500に組み込まれているRPAモジュール600が、操作した画面表示上のコントロールにQRコードを付与して表示させ、さらにその画面表示をキャプチャして記録し、座標とともに捜索情報450に保存する。なお、座標は、例えば、表示画面のサイズをVGA基準とした場合の座標の基準値として使用する。
【0091】
また、業務装置200B(ここでも図3と同様に操作記録側を「業務装置200A」操作再現側を「業務装置200B」とする)において、RPAツール300を使用して業務管理プログラム500の動作を再現する際、RPAツール300により動作した業務管理プログラム500に組み込まれているRPAモジュール600が、捜索情報450を読み込み、捜索情報450に保存されている最初のコントロールを読み込み、読み込んだコントロールを業務装置2の表示画面の中から捜索して位置を特定し、その座標から、業務装置200Aと業務装置200Bの画面の差異を算出し、以降、RPAツール300で業務管理プログラム500の再現動作において、表示画面上のUIコントロールにマウスカーソルを移動するたびに、算出した差異を反映させて移動する。
【0092】
図9に示すように、捜索情報450は、シーケンス番号(操作処理の順番)、操作対象プログラム、操作内容、操作対象のUIコントロール、UIコントロールのキャプチャ画像、操作対象のUIコントロールのX座標、Y座標、当該操作の説明を含む。
【0093】
[変換情報460について]
図10は、変換情報460の例である。まず、操作者が、業務装置200A(ここでも図3と同様に操作記録側を「業務装置200A」操作再現側を「業務装置200B」とする)にて業務管理プログラム500を操作する際、業務管理プログラム500に組み込まれているRPAモジュール600が、操作した画面表示のサイズを計測し、保存する。例えば、表示画面のサイズがVGAの場合は、基準のVGAと比較して1.0のようになる。
【0094】
また、業務装置200Bにおいて、RPAツール300を使用して業務管理プログラム500の動作を再現する際、RPAツール300により動作した業務管理プログラム500に組み込まれているRPAモジュール600が、操作した画面表示のサイズを計測し、保存する。例えば、表示画面のサイズがXGAの場合は、操作記録側の業務装置200(基準のVGA)と比較して1.6のようになる。
【0095】
[実施形態の効果]
このように、この業務管理システムによれば、RPAツール300による業務管理プログラム500の操作時に操作対象のUIコントロールが検出できない場合であってもそのUIコントロールに含まれる又は紐づけされた識別子を検出することによって当該UIコントロールを捜索することができ、これにより、RPAを正常に動作させることができる。
【0096】
また、本例は、異なる機種・OSで共通のRPAツールやRPA定義情報が使えるのがメリットである。また、RPAツールは、通常の機能のままでよいのもメリットである。
【0097】
本例のRPAツール300は、操作者がおこなう就業週報の印刷処理を行っているが、使用する業務装置のOSやハードウェアに関わらず、操作者の操作によりRPAツール300が作成したRPA定義情報400を使用して印刷処理を行うことができる。従って本実施形態によれば、業務管理システムに対してRPAツール300を導入・利用しやすくして業務効率を向上させることができる。
【0098】
本例のRPAツール300は、操作者の業務管理プログラム500の操作を記録して前記RPA定義情報400を生成する。業務装置200A(ここでも図3と同様に操作記録側を「業務装置200A」操作再現側を「業務装置200B」とする)は、RPA定義情報400の生成時に、操作画面上のUIコントロール毎に、識別子を、操作者がUIコントロールをポインティング操作するたびに割り振って付することで捜索情報450を生成する捜索情報生成部212を具備する。
【0099】
これによれば、RPA定義情報400の生成時に当該RPA定義情報400に対応する捜索情報450を生成することで、RPA定義情報400と捜索情報450を記憶部220に記憶させることができ、再利用が容易になる。
【0100】
本例の捜索情報生成部212は、ポインティング操作時に識別子が付されたUIコントロールの画像をキャプチャすることで捜索情報450を生成し、RPA実行制御部211は、操作画面の中から、捜索情報450が含むUIコントロールのキャプチャ画像と一致する画像を検出し、検出した画像のUIコントロールを操作対象にしてRPA定義情報400により定義された処理を実行する。
【0101】
これによれば、識別子によりUIコントロールの検出(捜索)ができない場合でも、UIコントロールを検出することができる。
【0102】
本例の記憶部220は、さらに、業務管理プログラム500の操作画面の第1の表示設定を記憶する(この第1の表示設定は業務装置200Aの操作画面の表示設定である)。RPA実行制御部211は、RPAツール300の実行時に、当該業務管理プログラム500の操作画面の第2の表示設定(業務装置200Bの操作画面の表示設定)を取得し、第1の表示設定と第2の表示設定の差異を算出し、算出した前記差異に基づいて前記RPA定義情報を変換する。
【0103】
これにより、第1の表示設定と第2の表示設定が異なる場合でも、RPA定義情報がRPAツールの実行時に変換されるため、RPAを正常に動作させることができる。
【0104】
本例のRPA定義情報400は、当該RPA定義情報に基づく処理においてRPAツール300の操作対象となるUIコントロールの前記操作画面上の第1の座標を含み、捜索情報450は、識別子が付されたUIコントロールの操作画面上の第2の座標を含む。また、RPA実行制御部211は、操作対象のUIコントロールが検出できないと判断された場合、第1の座標と第2の座標の差分をRPA定義情報400により定義された処理においてUIコントロールをポインティングするポインタの移動距離に加算する。
【0105】
これにより、RPA定義情報400において操作対象のUIコントロールの座標(第1の座標)と識別子に基づいて検出されたUIコントロールの座標(第2の座標)が異なる場合でも、UIコントロールをポインタにより正確にポインティングすることができる。
【0106】
[変形例]
以上に述べた実施形態は、種々の変形実施が可能である。
【0107】
変形例1:
上記実施形態では、UIコントロールの識別子として、二次元バーコードを示した。また、UIコントロールに含まれる「印刷実行」や「終了」などの文字であってもよいと示した。このように、上記実施形態はユニークなQRコードが付された画面のRPA定義情報400の例であるが、二次元バーコードの代わりにカラーコードや文字を使用してもよい。カラーコードは、周囲の色との差を少なくして、RPAモジュール600には識別できても人には識別できないようなステルス化をしてもよい。カラーコードや二次元バーコードといったコード化された画像も、本開示においてUIコントロールに紐づける「識別子」として用いることができる。
【0108】
これによれば、識別子を検出して操作対象のUIコントロールを捜索することを容易に実現することができる。
【0109】
変形例2:
上記実施形態では、業務装置200Bにおいて、RPAツール300を使用して業務管理プログラム500の動作を再現する際、RPAツール300により動作した業務管理プログラム500に組み込まれているRPAモジュール600が、捜索情報450を読み込み、捜索情報450に保存されている最初のUIコントロールを読み込み、読み込んだUIコントロールを業務装置200Bの表示画面の中から捜索して位置を特定し、その座標から、業務装置200Aと業務装置200Bの画面の差異を算出し、以降、RPAツール300で業務管理プログラム500の再現動作において、表示画面上のUIコントロールにマウスカーソルを移動するたびに、算出した差異を反映させて移動する。
【0110】
しかしながら、業務装置200BにてRPAツール300を使用して業務管理プログラム500の動作を再現する際、RPAツール300により動作した業務管理プログラム500に組み込まれているRPAモジュール600が、捜索情報450を読み込み、読み込んだ捜索情報450に保存されているUIコントロールについて、業務装置の表示画面上にQRコードを付与して全表示し、各々のUIコントロールの座標を算出し、業務装置200BのRPA定義情報400に保存し、RPAツール300がこれを再度読み込んで再現するように構成してもよい。図11(A)は、全表示する場合の表示画面例である。
【0111】
これによれば、あらかじめUIコントロールの座標がRPA定義情報400に保存されるので、確実な動作が可能になる。さらに、図11(B)に示すように、例えばOSの違いにより、業務装置200Aの表示画面のコントロールのレイアウトと異なる場合でも有効になる。図11(B)は、図11(A)と同じ機能を提供するが表示レイアウトの異なる、業務装置200Aの表示画面例である
【0112】
変形例3:
上記実施形態では、図3に示したように、業務装置200Aの表示設定を、業務装置200Bにおいても使用して変換情報460を生成している。これに代えて、変換情報460をあらかじめ業務管理装置100で生成しておいてもよい。図12にこの場合のフローを示す。また、図13(A)に下記画像マッチングにより変換情報を取得するためのログイン画面1302を含む操作画面2300の例を示す。図13(A)には、操作画面2300の中にRPAツール起動ボタン2301とともに、業務管理プログラム500の操作画面1301が示されており、操作画面1301の中にはログイン画面1302が示されている。
【0113】
この場合、例えば、業務装置200Aにて業務管理プログラム500を動作させる際、業務管理プログラム500の操作画面1301中のログイン画面1302に、複数のQRコードを含めておき、キャプチャして記録する。また、業務装置200Bにて業務管理プログラム500を再現させる際、業務管理プログラム500のログイン画面1302に、複数のQRコードを含めておき、キャプチャして、画像マッチングにより、記録した業務装置200Aとの座標の差異や縮尺の差を算出し、変換情報に記録し、RPAツール300が再現動作を行う際のマウスカーソルの動作に反映させる。なお、RPAツール300の再現動作において、所望のコントロールを見失った場合は、これをRPAモジュール600が検知し、RPAモジュール600が捜索情報450のキャプチャ画像からQRコードを取得して、表示画面上をマウスオーバーしてQRコードを表示させて捜索し、座標を特定した場合、マウスカーソルの動作に反映させる。
【0114】
これによれば、業務装置200Aの表示設定に基づいて再現処理を実行する必要がなくなる。
【0115】
変形例4:
上記実施形態では、変換情報をあらかじめ取得する方法を開示していない。そこで、例えば、業務管理プログラム500を動作させる際、トライアルプログラムを起動させて、各PCの画面の収縮度を計測する元となる画面サイズの情報を取得してもよい。図13(B)に当該トライアルプログラムの画面の例(トライアルプログラムのウィンドウ1305及び1306)を示す。なお、図13(B)中のウィンドウ1305とウィンドウ1306は、オペレーティングシステムにより異なる画面表示例である。
【0116】
業務装置200Bにて業務管理プログラム500を再現させる際、業務装置200Bでトライアルプログラムを起動し、業務装置200Bの画面サイズの情報を記録し、業務装置200Aの画面サイズの情報と比較して、座標の差異や縮尺の差を算出して変換情報に保存し、RPAツール300が再現動作を行う際、RPAモジュール600がマウスカーソルの動作に変換情報を反映させる。画面サイズの情報は図示しないが、例えば、業務装置200の表示画面毎のピクセル数や画面アスペクト比である。
【0117】
これによれば、変換情報の生成があらかじめ可能になるので、軽い処理になり、性能の低い業務装置200でも処理の確実な実行が可能になる。
【0118】
変形例5:
上記実施形態では、変換情報460を作成するRPAモジュール600は、一部の業務装置200の業務管理プログラム500に組み込まれる。変換情報460は、OSやハードウェア環境が同一の業務装置では共通して使用できるため、例えば管理者が使用する業務装置200の業務管理プログラム500に変換情報を作成する機能を組み込み、一般の操作者が使用する業務装置200の業務管理プログラム500には、変換情報を作成する機能が含まれないものとしてもよい。この場合、操作者が使用する業務装置200は、業務管理装置100に保存されている、業務装置200と環境が同一の変換情報460を読み込んで、RPAツール300が再現動作を行う。
【0119】
これにより、変換情報の再利用が可能になり、効率的なシステムの運用が可能になる。また、他の業務管理プログラム500(人事・就業・給与等)の再現においても、変換情報は使用可能である。
【0120】
その他の変形例:
上記実施形態では、制御部210に機能的に構成されるRPA実行制御部211、捜索情報生成部212、表示画面比較部213を、例えばRPA実行制御部211であればRPAツール300により構成され、捜索情報生成部212と表示画面比較部213であればRPAモジュール600により構成されるとした。しかしながら、これに限定されず、RPA実行制御部211の機能をRPAモジュール600により構成してもよいし、他のソフトウェアプログラムにより構成してもよい。捜索情報生成部212と表示画面比較部213についても同様、RPAツール300により構成してもよいし、他のソフトウェアプログラムにより構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明の技術は、人事・就業・給与等の企業の業務処理をおこなう業務管理システムにおいて、好適に利用できるものである。
【0122】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う業務管理システムおよびコンピュータプログラムもまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0123】
100…業務管理装置
200…業務装置
210…制御部
211…RPA実行制御部
212…捜索情報生成部
213…表示画面比較部
220…記憶部
300…RPAツール
400…RPA定義情報
450…捜索情報
460…変換情報
500…業務管理プログラム
600…RPAモジュール
2304…UIコントロール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13