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特開2022-154626車両用モータのレゾルバ検出角補正制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154626
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】車両用モータのレゾルバ検出角補正制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 3/00 20190101AFI20221005BHJP
   H02P 29/00 20160101ALI20221005BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20221005BHJP
   G01D 5/20 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
B60L3/00 H
H02P29/00
B60L15/20 J
G01D5/20 110Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057747
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174366
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 史郎
(72)【発明者】
【氏名】古澤 竜之介
【テーマコード(参考)】
2F077
5H125
5H501
【Fターム(参考)】
2F077AA20
2F077CC02
2F077FF34
5H125AA01
5H125AC12
5H125BA00
5H125CA01
5H125DD14
5H125EE08
5H125EE51
5H501AA20
5H501CC04
5H501HB07
5H501JJ12
5H501LL01
5H501LL35
5H501MM09
5H501MM19
(57)【要約】
【課題】完成車両において容易にレゾルバの検出値の補正制御を可能にした車両用モータのレゾルバ補正制御装置を提供する。
【解決手段】車両1の走行駆動用のモータ3の基準位置と、当該モータ3の出力軸の回転角度を検出するレゾルバ32の基準位置と、の差であるレゾルバ32の検出角の誤差量を演算する車両1のレゾルバ検出角補正制御装置であって、モータ3によって駆動するドライブシャフト9の回転速度を検出する駆動軸回転速度センサ31と、モータ3の駆動トルクを制御するインバータ30及びレゾルバ補正制御部35と、を備え、レゾルバ補正制御部35は、車両1の前進と後進の夫々において、同一の出力指示トルクPの組を出力するようにモータ3を作動制御して、それぞれ収束したドライブシャフト9の回転速度に基づいてレゾルバ32の検出角の誤差量であるレゾルバ補正角θを演算する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行駆動用モータの基準位置と、当該走行駆動用モータの出力軸の回転角度を検出するレゾルバの基準位置と、の差である前記レゾルバの検出角の誤差量を演算する車両用モータのレゾルバ検出角補正制御装置であって、
前記走行駆動用モータによって駆動する走行駆動軸の回転速度を検出する駆動軸回転速度検出部と、
前記走行駆動用モータのレゾルバ検出角補正制御時の出力指示トルクを設定する補正制御部と、
前記出力指示トルクに基づいて前記走行駆動用モータを制御するモータ作動制御部と、を備え、
前記補正制御部は、同一の所定の駆動トルクで前記走行駆動用モータを前進駆動及び後進駆動させるように前記出力指示トルクを順次設定し、収束した前記前進駆動時の前記走行駆動軸の回転速度と前記後進駆動時の前記走行駆動軸の回転速度とに基づいて前記レゾルバ検出角の誤差量を演算することを特徴とする車両用モータのレゾルバ検出角補正制御装置。
【請求項2】
前記補正制御部は、前記前進駆動及び前記後進駆動の夫々において、前記走行駆動軸の回転速度が収束した状態で、前記走行駆動用モータの出力を停止させてから前記走行駆動軸の回転が停止するまでの経過時間を計測し、当該経過時間に基づいて前記レゾルバ検出角の誤差量を補正することを特徴とする請求項1に記載の車両用モータのレゾルバ検出角補正制御装置。
【請求項3】
前記走行駆動軸の回転速度を検出する際の測定状況を指定する測定状況指定部を備え、
前記補正制御部は、前記測定状況に基づいて前記出力指示トルクを変更することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用モータのレゾルバ検出角補正制御装置。
【請求項4】
前記補正制御部は、前記出力指示トルクを複数種類に設定して、前記レゾルバ検出角の誤差量を複数回演算することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の車両用モータのレゾルバ検出角補正制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両の走行駆動用モータにおけるレゾルバの補正制御に関する。
【背景技術】
【0002】
走行駆動用モータに使用されているレゾルバは、モータの、ステータコイルに対するロータの回転角度(検出角)を精密に検出できる。そして、インバータにおいて、レゾルバによって検出されたロータの回転角度に基づいて、ステータコイルに入力する電流の位相を制御するスイッチング制御を行うことで、モータの駆動制御が行われる。
一般的にレゾルバはモータの製造業者においてモータに組み付けられるが、その際に、固定子側のステータコイルとレゾルバの検出部、および回転子側のモータのロータとレゾルバのロータ部、夫々の回転角度の基準を一致させる必要がある。しかしながら、部品公差や組み付け時の組み付け公差によって全ての基準を一致させることが出来ない場合に、レゾルバの検出角には真値からのずれ(誤差量)が生じている虞がある。
【0003】
そこで、レゾルバの検出角の誤差量を解消するための補正制御が行われている。例えば特許文献1には、レゾルバが等速度で回転しているときのレゾルバの検出値の誤差量を回転角毎に例えばインバータ内の記憶装置に記憶しておき、この記憶された誤差量をレゾルバの検出値に加減算する補正制御を行うことで、レゾルバの検出値の精度を向上させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-238431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、レゾルバを組み付けたモータを走行駆動用モータとして使用した車両がある。このような車両では、モータの製造業者においてレゾルバを組み付け、例えば誤差量を記憶させたインバータとモータをセットで車両生産工場に納入している場合が多い。
しかしながら、事故や故障等によりインバータとモータのいずれか、もしくは両方を新しく揃えて、車両の販売店やサービス工場等にて交換すると、モータ固有のレゾルバ誤差量を記憶したインバータとの組み合わせではないため、検出角を正確に補正できず、モータの出力トルク過多や過少を招く可能性がある。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、完成車両において容易にレゾルバ検出角の補正を可能にした車両用モータのレゾルバ検出角補正制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る車両用モータのレゾルバ検出角補正制御装置は、車両の走行駆動用モータの基準位置と、当該走行駆動用モータの出力軸の回転角度を検出するレゾルバの基準位置と、の差である前記レゾルバの検出角の誤差量を演算する車両用モータのレゾルバ検出角補正制御装置であって、前記走行駆動用モータによって駆動する走行駆動軸の回転速度を検出する駆動軸回転速度検出部と、前記走行駆動用モータのレゾルバ検出角補正制御時の出力指示トルクを設定する補正制御部と、前記出力指示トルクに基づいて前記走行駆動用モータを制御するモータ作動制御部と、を備え、前記補正制御部は、同一の所定の駆動トルクで前記走行駆動用モータを前進駆動及び後進駆動させるように前記出力指示トルクを順次設定し、収束した前記前進駆動時の駆動軸回転速度と前記後進駆動時の駆動軸回転速度とに基づいて前記レゾルバ検出角の誤差量を演算することを特徴とする。
【0008】
これにより、走行駆動用モータを同一の所定の駆動トルクで前進駆動及び後進駆動させて、夫々収束した走行駆動軸の回転速度を検出することで、両者の回転速度の差よりレゾルバ検出角の誤差量を容易に演算できる。
好ましくは、前記補正制御部は、前記前進駆動及び前記後進駆動の夫々において、前記走行駆動軸の回転速度が収束した状態で、前記走行駆動用モータの出力を停止させてから前記走行駆動軸の回転が、回転系の駆動抵抗で停止するまでの経過時間を計測し、当該経過時間に基づいて前記レゾルバ検出角の誤差量を補正するとよい。尚、駆動軸回転速度が収束した回転速度から停止するまでの間の、任意の二つの回転速度の間の移行時間を用いて演算してもよい。
【0009】
これにより、走行駆動軸が停止するまでの経過時間の差に基づいてレゾルバ検出角の誤差量を補正することで、前進駆動と後進駆動における、回転系の駆動抵抗の差を考慮してレゾルバ検出角の誤差量をより正確に得ることができる。
好ましくは、前記走行駆動軸の回転速度を検出する際の作業者が選択する測定状況を指定する測定状況指定部を備え、前記補正制御部は、前記測定状況に基づいて、もしくは補正制御開始後に得られる収束回転速度等の測定値から推定される測定状況に基づいて、前記出力指示トルクを変更するとよい。
【0010】
これにより、測定状況に応じて適切な出力指示トルクに設定して走行駆動軸の収束回転速度を検出し、レゾルバ検出角の誤差量をより正確に得ることができる。
好ましくは、前記補正制御部は、前記出力指示トルクを複数種類に設定して、前記レゾルバ検出角の誤差量を複数回演算するとよい。
これにより、走行駆動用モータの出力トルクの異なる条件で、レゾルバの検出角の誤差量を夫々演算するので、走行駆動用モータのより広い作動範囲でレゾルバ検出角の誤差量を正確に演算して、レゾルバの補正精度を向上できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る車両用モータのレゾルバ検出角補正制御装置によれば、車両の走行駆動用モータを前進駆動及び後進駆動させて、夫々走行駆動軸の回転速度を検出することで、レゾルバ検出角の誤差量が演算されるので、レゾルバ検出角の補正を容易に行うことができる。
したがって、走行駆動用モータやモータ作動制御部を備えた完成状態の車両に対して、レゾルバ検出角の誤差量を確認できるので、例えば事故により走行駆動用モータやモータ作動制御部を交換、修理した際にも、修理工場等にてレゾルバ検出角の誤差量の確認及び補正を行うことができる。これにより、レゾルバの検出精度を確保し、モータの出力精度を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係るレゾルバ検出角補正制御装置及び車両の駆動系の一例を示す概略構成図である。
図2】本実施形態のレゾルバ補正制御部において実行されるレゾルバ補正制御のルーチンの一例を示すフローチャートである。
図3】前進と後進の減速比が同一の車両でのレゾルバ補正制御におけるモータの出力指示トルク及びドライブシャフトの回転速度の推移の一例を示すタイムチャートである。
図4】前進と後進の減速比が同一の車両でのレゾルバ補正制御におけるモータの出力指示トルク及びドライブシャフトの回転速度の推移の一例を示すタイムチャートである。
図5】前進と後進の減速比が異なる車両でのレゾルバ補正制御におけるモータの出力指示トルク及びドライブシャフトの回転速度の推移の一例を示すタイムチャートである。
図6】前進と後進の減速比が異なる車両でのレゾルバ補正制御におけるモータの出力指示トルク及びドライブシャフトの回転速度の推移の一例を示すタイムチャートである。
図7図3とドライブシャフトが収束する回転速度は同じであるが、収束した回転速度が停止するまでの間における、任意の二つの回転速度の間の移行時間を示すタイムチャートである。
図8図4とドライブシャフトが収束する回転速度は同じであるが、収束した回転速度が停止するまでの間における、任意の二つの回転速度の間の移行時間を示すタイムチャートである。
図9図5とドライブシャフトが収束する回転速度は同じであるが、収束した回転速度が停止するまでの間における、任意の二つの回転速度の間の移行時間を示すタイムチャートである。
図10図6とドライブシャフトが収束する回転速度は同じであるが、収束した回転速度が停止するまでの間における、任意の二つの回転速度の間の移行時間を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るレゾルバ検出角補正制御装置及び車両の駆動系の一例を示す概略構成図である。
本発明の実施形態に係るレゾルバ検出角補正制御装置を採用した車両1は、車両走行駆動の動力源としてエンジン2及び電動のモータ3(走行駆動用モータ)を備えたハイブリッド車である。また、車両1はEVモード、 シリーズモード、パラレルモードの三種類の走行モードが可能である。
【0014】
図1に示すように、車両1は、エンジン2、走行駆動用のモータ3 、発電用のジェネレータ4、トランスアクスル5、蓄電池11を備えている。
エンジン2は、ガソリンや軽油を燃料とする内燃機関(ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン)である。エンジン2は、ECU10及び図示しないエンジンECUにより作動制御される。
【0015】
車両1の走行駆動輪8を駆動するドライブシャフト9には、トランスアクスル5を介してエンジン2及びモータ3が並列に接続され、エンジン2及びモータ3のそれぞれの動力が個別に伝達できる。また、エンジン2には、トランスアクスル5を介してジェネレータ4及びドライブシャフト9が並列に接続され、エンジン2の動力が走行駆動輪8に加えてジェネレータ4にも伝達される。
【0016】
モータ3及びジェネレータ4 はいずれも、電動機としての機能と発電機としての機能とを兼ね備えた電動発電機(モータ・ジェネレータ)である。モータ3は、蓄電池11から電力を供給されて駆動して車両1を走行駆動し、回生時には発電機として機能する。ジェネレータ4は、エンジン2を始動させる際に電動機(スターター)として機能し、エンジン2の作動時にはエンジン動力で発電し、走行時のエンジン動力を補助することも可能である。ジェネレータ4によって発電された電力は、モータ3に供給されて駆動電力として使用されたり、蓄電池11の充電に利用されたりする。モータ3及びジェネレータ4の各周囲(又は各内部)には、直流電流と交流電流とを変換するインバータ30、25が設けられている。
【0017】
トランスアクスル5は、デファレンシャルギヤ18を含むファイナルドライブ(終減速機) とトランスミッション(変速機)とを一体に形成した動力伝達装置であり、駆動源と被駆動装置との間の動力伝達を担う複数の機構を内蔵する。トランスアクスル5は、エンジン2とデファレンシャルギヤ18との間にクラッチ20を有しており、エンジン2と走行駆動輪8との間を断接するとともに、ハイ、ロー切替( 高速段、低速段の切替)が可能に構成されている。
【0018】
また、トランスアクスル5は、モータ3とデファレンシャルギヤ18との間にも、クラッチ21を備えている。
ECU10は、車両1の総合的な制御を行うための制御装置であり、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央演算処理装置(CPU)及びタイマ等を含んで構成される。
【0019】
ECU10には、車速情報として駆動軸回転速度センサ31(駆動軸回転速度検出部)よりドライブシャフト9の回転速度が入力するとともに、車両1のアクセル操作情報等の各種検出量及び各種作動情報が入力する。ECU10は、これらの各種検出量及び各種作動情報に基づいて、車両1のエンジン2、モータ3、ジェネレータ4の作動を制御するとともに、クラッチ20、21の作動を制御して走行モードを切り換える。
【0020】
EVモードは、クラッチ20を切断し、クラッチ21を接続して、エンジン2及びジェネレータ4を停止させたまま、駆動用の蓄電池11の充電電力を用いてモータ3のみで車両1を走行駆動する走行モードである。EVモードは、走行負荷、走行速度が低い場合や蓄電池11の充電レベルが高い場合に選択される。
シリーズモードは、クラッチ20を切断し、クラッチ21を接続して、エンジン2でジェネレータ4を駆動して発電しつつ、その発電電力及び蓄電池11の充電電力を使用してモータ3で車両1を走行駆動する走行モードである。シリーズモードは、走行負荷、走行速度が中程度の場合や蓄電池11の充電レベルが低い場合に選択される。
【0021】
パラレルモードは、クラッチ20、21を接続し、おもにエンジン2で車両1を走行駆動し、必要に応じてモータ3で車両1の駆動をアシストする走行モードであり、走行負荷、走行速度が高い場合に選択される。なお、パラレルモードにおいては、クラッチ20は、走行速度等に基づいてハイ、ロー(高速段、 低速段)のいずれかに切り替えられる。
また、モータ3には、ロータの回転角度を検出するセンサであるレゾルバ32が備えられている。レゾルバ32の検出値はインバータ30(モータ作動制御部)に入力され、モータ3に入力する電流の位相制御に使用される。
【0022】
レゾルバ32は、例えばモータ3の回転子であるロータ(モータ出力軸側)に組み付けて固定されたレゾルバのロータ部と、モータ3の固定子であるステータコイル側(モータ筐体側)に組み付けて固定されたレゾルバの検出部によって構成されており、ロータの回転に伴うレゾルバロータ部の回転により、検出部から出力する交流信号によって、モータ3のロータの回転角度が演算される。したがって、回転角度の検出精度を正確に得るために、レゾルバ32がモータ3に正確に取り付けられていることが必要である。
【0023】
本実施形態のECU10には、レゾルバ補正制御部35(補正制御部)が備えられている。レゾルバ補正制御部35は、モータ3に対するレゾルバ32の検出角の誤差量を演算するレゾルバ補正制御を実行する。
図2は、レゾルバ補正制御部35において実行されるレゾルバ補正制御のルーチンの一例、特に、作業者が測定状況を指定する場合の例を示すフローチャートである。
【0024】
尚、同じ出力指示トルクを与えても、測定状況によって測定値が異なるため、作業者を介さずとも、補正制御初期に得られる収束回転速度等の測定値から測定状況を判別して自動的に測定状況を選択し、補正制御初期より以降の補正制御を実行することも可能である。
レゾルバ補正制御は、車両1の工場出荷前でだけでなく、車両の販売店や修理工場等において実行できる。作業者が選択するレゾルバ補正制御の実行環境である測定状況(補正制御モード)は、車両1のドライブシャフト9に走行駆動輪(タイヤ)8を取り付けたままの状態で車両1をリフトアップさせ、車両1のドライブシャフト9を走行駆動輪8とともに空転させる第1の補正制御モード、車両1のドライブシャフト9から走行駆動輪8を取り外してドライブシャフト9を空転させる第2の補正制御モード、車両1をシャシダイナモ上で走行駆動させる第3の補正制御モードがある。なお、これらの第1~第3の補正制御モードは、少なくとも1つの補正制御モードが実行できればよい。
【0025】
レゾルバ補正制御は、例えばECU10に接続したハンディターミナル等の携帯端末36(測定状況指定部)によって、補正制御モード(測定状況)を指定(入力)した上で開始操作をすることで実行開始される。
始めにステップS10では、測定カウンタcと補正カウンタhをリセットする(c=0、h=0)。また、指定された補正制御モードmを認識する(第1の補正制御モードである場合にはm=1、第2の補正制御モードである場合にはm=2、第3の補正制御モードである場合にはm=3)。更に、現在設定されているレゾルバ補正角θを読み込む(尚、補正制御を中止し、レゾルバ補正角θを補正制御開始時のθに戻すこともあるのでθは記憶しておく)。そして、ステップS20に進む。なお、cは測定回数を計測するカウンタであり、hは補正回数を計測するカウンタである。
【0026】
ステップS20では、補正カウンタhが2であるか否かを判別する。補正カウンタhが2である場合には、ステップS30に進む。補正カウンタhが2でない場合には、ステップS40に進む。
ステップS30では、レゾルバ補正制御の完了を、例えば携帯端末36において表示させる。そして、本ルーチンを終了する。
【0027】
ステップS40では、測定カウンタcを1進める(c=c+1)。そして、測定カウンタcが5になったか否かを判別する。c=5になった場合には、ステップS41に進む。測定カウンタcが5でない場合には、ステップS50に進む。
ステップS41では、レゾルバ補正角θを補正制御開始時のθに戻す。そして、ステップS42に進む。
【0028】
ステップS42では、レゾルバ補正制御を中止し、例えば携帯端末36にレゾルバ補正制御の中止を警告表示させる。ステップS41とS42は、h=2とならず、制御が終了しない場合を想定している。そして、本ルーチンを終了する。
ステップS50では、補正制御モードm及び測定カウンタcに基づいて、あらかじめ設定された出力指示トルクP(駆動トルク(Nm))を出力するようにインバータ30に指示する。出力指示トルクPについては、c=1の場合は前進小トルクPc1(前進方向のモータ回転速度1000rpmにする程度のモータトルク)、c=2の場合は後進小トルクPc2(後進方向のモータ回転速度1000rpmにする程度のモータトルク)、c=3の場合は前進中トルクPc3(前進方向のモータ回転速度2000rpmにする程度のモータトルク)、c=4の場合は後進中トルクPc4(後進方向のモータ回転2000rpmにする程度モータトルク)である。但し、前進小トルクPc1と後進小トルクPc2は、絶対値が同一の、一方は正転で、もう一方は逆転を指示する二つのトルクであり(Pc2=-Pc1)、前進中トルクPc3と後進中トルクPc4は、Pc1やPc2より大きく、絶対値が同一の、一方は正転で、もう一方は逆転を指示する二つのトルクである(Pc4=-Pc3)である。これらの出力指示トルクPは、更に補正制御モードmに応じて異なる値が夫々記憶されている。即ち、出力指示トルクPは、測定カウンタcによって決定されるとともに、更に補正制御モードmに応じて決定される。なお、これらの出力指示トルクPは、任意のモータ回転速度にするモータトルクに変更してよいが、前進と後進で絶対値が同一の、一方は正転で、もう一方は逆転を指示する二つの駆動トルクの組を設ける。そして、ステップS60に進む。
【0029】
ステップS60では、駆動軸回転速度センサ31よりドライブシャフト9の回転速度N(rpm)を入力し、回転速度Nが所定値Na以下であるか否かを判別する。所定値Naは、走行駆動軸がフリーで回転できる場合に到達する速度の下限値より低い値に適宜設定すればよい。回転速度Nが所定値Na以下である場合には、ステップS70に進む。回転速度Nが所定値Naより高い場合には、ステップS90に進む。
【0030】
ステップS70では、モータ3の出力指示トルクPを0にして(モータ3の出力を停止して)、レゾルバ補正角θを補正制御開始時のθに戻す。そして、ステップS80に進む。
ステップS80では、レゾルバ補正制御を中止し、例えば携帯端末36にレゾルバ補正制御の中止を警告表示させる。なおステップS70とS80は、モータ3の出力指示トルクPが設定されているにも拘わらず、ドライブシャフト9の回転速度NがNa以下であることから、走行駆動輪8やドライブシャフト9等に想定以上の負荷が掛かっていたり、第1の補正制御モードや第2の補正制御モードにおいて走行駆動輪8が接地状態であったり、第3の補正制御モードにおいてシャシダイナモがなんらかの理由でロックされていたり等、想定外の事態が発生している状況を想定している。そして、本ルーチンを終了する。
【0031】
ステップS90では、レゾルバ32の出力信号あるいは駆動軸回転速度センサ31よりモータ3の回転速度が収束したか否かを判別する。モータ3の回転速度が収束したか否かについては、モータ3の回転速度が適宜設定した所定範囲内で所定時間ts経過したことで収束したものと判定すればよい。モータ3の回転速度が収束した場合には、ステップS100に進む。モータ3の回転速度が収束していない場合にはステップS150に進む。
【0032】
ステップS100では、モータ3の出力指示トルクを0にする(モータ3の出力を停止する)。そして、測定カウンタc毎にドライブシャフト9の収束回転速度Nc(Nc1、Nc2、Nc3、Nc4)と、出力指示トルクを0にしてから(モータ3の出力を停止してから)ドライブシャフト9が停止するまでの経過時間を計測して停止時間tc(tc1、tc2、tc3、tc4)としてECU10内の記憶装置に記憶する。そして、ステップS110に進む。
【0033】
ステップS110では、測定カウンタcが偶数であるか否かを判別する。測定カウンタcが偶数である場合には、ステップS120に進む。測定カウンタcが奇数である場合には、ステップS20に戻る。
ステップS120では、レゾルバ補正角θを演算する。レゾルバ補正角θは、測定カウンタc=n-1、n(n=2および4)における、収束回転速度Ncn-1及び収束回転速度Ncn(n=2および4)と停止時間tcn-1及び停止時間tcn(n=2および4)より、レゾルバの検出角のずれ(誤差量)を演算し、この検出角のずれ(誤差量)を0にするレゾルバ補正角θを計算する。そして、ステップS130に進む。
【0034】
なお、レゾルバ補正角θは、基本的には収束回転速度Ncn-1と収束回転速度Ncn(n=2および4)との差より演算する。収束回転速度Ncn-1と収束回転速度Ncn(n=2および4)との差が0であればレゾルバ補正角θは0である。また、レゾルバ補正角θを停止時間tcn-1及び停止時間tcn(n=2および4)によって更に補正する。出力指示トルクを0にしてから(モータ3の出力を停止してから)ドライブシャフト9が停止するまでの停止時間tcは、前進と後進の動力伝達路での回転系の駆動抵抗に関連する。したがって、これらの値tc(tcn-1及びtcn(n=2および4))に基づいて、前進と後進の動力伝達路における回転系の駆動抵抗に差がある場合は、それを考慮して、レゾルバ補正角θの演算がより正確になるように補正する。なお、レゾルバ補正角θの演算及び補正は、例えばECU10内の記憶装置に記憶したマップ等に基づいて演算してもよい。
【0035】
ステップS130では、レゾルバ補正角θを含むレゾルバ32の検出角の誤差量が所定値以下であるかを判別する。所定値以下であれば、S140に進み、所定値を超えておれば、ステップS131に進む。なお、ステップS130での所定値は、レゾルバ32の検出角の誤差量が想定範囲の値に適宜設定する。
ステップS131では、レゾルバ補正角θを補正制御開始時のθに戻す。そして、ステップS132に進む。ステップS132では、レゾルバ補正制御を中止し、例えば携帯端末36にレゾルバ補正制御の中止を警告表示させる。
【0036】
なおステップS131とS132は、ステップS130の判別により、想定外のレゾルバ補正角の採用を防止することを想定している。そして、本ルーチンを終了する。
ステップS140では、レゾルバ補正角θを更新する。なお、このレゾルバ補正角θの更新により、以降のレゾルバ32の検出角に対してレゾルバ補正角θを加算して補正することになる。そして、補正カウンタhに1を加算する(h=h+1)。そして、ステップS20に戻る。
【0037】
ステップS150では、ステップS50において、出力指示トルクPを指示してから所定時間t1経過したか否かを判別する。この所定時間t1は、出力指示トルクPを変更した際に、モータ3の回転速度が十分に収束できる時間に設定すればよく、例えば1分程度である。所定時間t1経過した場合にはステップS160に進む。所定時間t1経過していない場合にはステップS90に戻る。
【0038】
ステップS160では、モータ3の出力指示トルクを0にして(モータ3の出力を停止して)レゾルバ補正角θを補正制御開始時のθに戻す。そして、ステップS170に進む。
ステップS170では、レゾルバ補正制御を中止し、例えば携帯端末36にレゾルバ補正制御の中止を警告表示させる。なお、このときは、モータ3の出力指示トルクPが設定されて所定時間t1経過しているにも拘わらず、ドライブシャフト9の回転速度Nが収束しない状態であって、計測不能な状態等の想定外の状態であることから、レゾルバ補正制御を中止させる。そして、本ルーチンを終了する。
【0039】
図3は、前進と後進の減速比が同一の車両でのレゾルバ補正制御におけるモータ3の出力指示トルクP及びドライブシャフト9の回転速度Nの推移の一例を示すタイムチャートである。図4は、前進と後進の減速比が同一の車両1でのレゾルバ補正制御におけるモータ3の出力指示トルクP及び回転速度Nの推移の一例を示すタイムチャートである。
図3、4を用いてレゾルバ補正制御における出力指示トルクPと、ドライブシャフト9の回転速度Nの推移について説明する。
【0040】
図3の(1)に示すように、測定カウンタc=1の場合には、モータ3の出力指示トルクPがPc1に設定されることで、ドライブシャフト9の回転速度Nが0から増加して(モータ3が想定の1000rpm付近で)収束する。そして、回転速度Nが収束してts経過したときの回転速度Nを収束回転速度Nc1として記憶する。更に、回転速度Nが収束してts経過した時点でモータ3の出力指示トルクPを0とし(モータ3の出力を停止し)、この時点から回転速度Nが0になるまでの時間を計測して停止時間tc1として記憶する。
【0041】
図3の(2)に示すように、測定カウンタc=2の場合には、モータ3の出力指示トルクPがPc2、即ちPc1と絶対値が同一で後進側(-)のトルクに設定されることで、回転速度Nが0から後進側に増加して(モータ3が想定の-1000rpm付近で)収束する。そして、回転速度Nが収束してts経過したときの回転速度Nを収束回転速度Nc2として記憶する。更に、回転速度Nが収束してts経過した時点でモータ3の出力指示トルクPを0とし(モータ3の出力を停止し)、この時点から回転速度Nが0になるまでの時間を計測して停止時間tc2として記憶する。
【0042】
そして、本実施形態の車両1のように前進と後進の減速比が同一である場合には、収束回転速度Nc1とNc2の絶対値は同一であるはずである。また、停止時間tc1とtc2についても同一であるはずである。これらの値が異なる場合には、レゾルバ32の検出角に誤差量を有し、前進におけるモータ3の実出力トルクと後進におけるモータ3の実出力トルクとが一致していないものと推定できる。
【0043】
更に、図4の(3)に示すように、測定カウンタc=3の場合には、モータ3の出力指示トルクPがPc3に設定されることで、回転速度Nが0から増加して(モータ3が想定の2000rpm付近で)収束する。そして、回転速度Nが収束してts経過したときの回転速度Nを収束回転速度Nc3として記憶する。更に、回転速度Nが収束してts経過した時点でモータ3の出力指示トルクPを0とし(モータ3の出力を停止し)、この時点から回転速度Nが0になるまでの時間を計測して停止時間tc3として記憶する。
【0044】
図4の(4)に示すように、測定カウンタc=4の場合には、モータ3の出力指示トルクPがPc4、即ちPc3と絶対値が同一で後進側(-)のトルクに設定されることで、回転速度Nが0から後進側に増加して(モータ3が想定の-2000rpm付近で)収束する。そして、回転速度Nが収束してts経過したときの回転速度Nを収束回転速度Nc4として記憶する。更に、回転速度Nが収束してts経過した時点でモータ3の出力指示トルクPを0とし(モータ3の出力を停止し)、この時点から回転速度Nが0になるまでの時間を計測して停止時間tc4として記憶する。
【0045】
測定カウンタc=3及び4についても、測定カウンタc=1及び2のときと同様に、収束回転速度Nc3とNc4の絶対値は同一であるはずである。また、停止時間tc3とtc4についても同一であるはずであり、これらの値が異なる場合には、レゾルバ32の検出角に誤差量を有し、モータの前進駆動におけるモータ3の実出力トルクとモータの後進駆動におけるモータ3の実出力トルクとが一致していないものと推定できる。
【0046】
以上のように、本実施形態では、測定カウンタc=n-1、n(n=2および4)での収束回転速度Nc-1及び収束回転速度Ncnと停止時間tcn-1及び停止時間tcn(n=2および4)より、よりレゾルバ32の検出角の誤差量を演算し、この検出角の誤差量を0にするレゾルバ補正角θを計算する。即ちモータ3に絶対値が同一の、一方が正転で、もう一方が逆転となる二つの出力指示トルクPを指示して前進及び後進を行い、その際の収束回転速度Ncn-1とNcn(n=2および4)とによりレゾルバ32の検出角の誤差量、即ちモータ3の基準位置とレゾルバ32の基準位置とのずれ、であるレゾルバ検出角の誤差量を補正するレゾルバ補正角θを演算する。
【0047】
本実施形態の車両1では、前進の減速比と後進の減速比とが同一であるため、収束回転速度Ncn-1とNcn(n=2および4)が同一になるはずであるが、これらの値に差が生じた場合には、レゾルバ32の検出角に真値とのずれが生じており、前進と後進とで実際の出力トルクに差を生じていることが推定される。したがって、この収束回転速度Ncn-1とNcn(n=2および4)の差をなくすようにレゾルバ補正角θを演算でき、レゾルバ32の検出値の精度を向上できる。
【0048】
更に、ドライブシャフト9が停止するまでの停止時間tcn-1とtcn(n=2および4)に基づいてレゾルバ補正角θを更に補正することで、前進と後進における回転系の駆動抵抗に差があったとしてもレゾルバ補正角θをより正確に得ることができ、レゾルバ補正角θの精度、延いてはレゾルバ32の検出値の精度を更に向上できる。
また、本実施形態では、測定カウンタc=1及び2ではモータ3の出力指示トルクPを小トルクPc1、Pc2に、測定カウンタc=3及び4ではモータ3の出力指示トルクPを中トルクPc3、Pc4に設定し、夫々の組においてレゾルバ補正角θの演算及び補正を行うので、モータ3の広い作動範囲でレゾルバ32のレゾルバ検出角の誤差量をより正確に演算して、レゾルバ32の補正精度を向上できる。
【0049】
また、m=1、2または3に切り換えることで、複数の測定環境に対応してレゾルバ補正角θを正確に推定できる。
そして、本実施形態では、モータ3及びインバータ30を備えた完成状態の車両に対して、レゾルバ32のレゾルバ検出角の誤差量を補正できるので、車両1の出荷直前にレゾルバ32のレゾルバ検出角の誤差量の補正が可能になるとともに、例えば事故によりモータ3やインバータ30を交換、修理した際にも、修理工場等にてレゾルバ補正角θを設定でき、レゾルバ32の検出精度を維持し、モータ3の出力精度を維持できる。
【0050】
以上で、本実施形態の説明を終了するが、本発明は上記の実施形態以外にも適用できる。
上記実施形態では、前進の減速比と後進の減速比が同一の車両1に本発明を適用しているが、前進の減速比と後進の減速比が異なる車両にも本発明を適用できる。
図5、6は、前進と後進の減速比が異なる車両でのレゾルバ補正制御におけるモータ3の出力指示トルクP及びドライブシャフト9の回転速度Nの推移の一例を示すタイムチャートである。
【0051】
図5、6に示すように、前進の減速比と後進の減速比が異なる車両では、出力指示トルクPの絶対値が同一であっても、収束回転速度Ncn-1とNcn(n=2および4)の絶対値が異なるとともに、停止時間tcn-1とtcn(n=2および4)とが異なる。しかしながら、これらの値に減速比を考慮(乗算)することで、前進の減速比と後進の減速比が同一の車両と同様に比較が可能になり、レゾルバ32のレゾルバ検出角の補正が可能になる。
【0052】
尚、レゾルバ補正角θを演算する際に、収束した回転速度が停止するまでの停止時間tc-1とtcn(n=2および4)ではなく、それぞれの収束した回転速度が停止するまでの間の、任意の二つの回転速度の間の移行時間tdn-1とtdn(n=2および4)を用いて演算してもよい。これにより、ドライブシャフト9の回転速度を停止させるまで計測を行わなくてもよく、また収束する回転速度がそれぞれの条件で異なっても、あらかじめ任意に選択する回転速度を定めておくことで、レゾルバ検出角の誤差量の演算の精度を向上できる可能性を有する。
【0053】
この移行時間tdn-1とtdn(n=2および4)について、図3~6とドライブシャフト9が収束した回転速度が同じである図7~10で説明する。
図7は、図3のc=1のように、出力指示トルクPc1において、ドライブシャフト9が収束する回転速度Nc1は同じであるが、それが0rpmになるまでの任意の二つの回転速度をそれぞれNc1a、Nc1bとし、ドライブシャフト9の回転速度がNc1aを経過して、Nc1bを経過するまでの移行時間td1を用いてレゾルバ検出角の誤差量を演算できる。
【0054】
また、図3のc=2のように、出力指示トルクPc2において、ドライブシャフト9が収束する回転速度Nc2は同じであるが、それが0rpmになるまでの任意の二つの回転速度をそれぞれNc2a、Nc2bとし、ドライブシャフト9の回転速度がNc2aを経過して、Nc2bを経過するまでの移行時間td2を用いてレゾルバ検出角の誤差量を演算できる。
図8は、図4のc=3のように、出力指示トルクPc3において、ドライブシャフト9が収束する回転速度Nc3は同じであるが、それが0rpmになるまでの任意の二つの回転速度をそれぞれNc3a、Nc3bとし、ドライブシャフト9の回転速度がNc3aを経過して、Nc3bを経過するまでの移行時間td3を用いてレゾルバ検出角の誤差量を演算できる。
【0055】
また、図4のc=4のように、出力指示トルクPc4において、ドライブシャフト9が収束する回転速度Nc4は同じであるが、それが0rpmになるまでの任意の二つの回転速度をそれぞれNc4a、Nc4bとし、ドライブシャフト9の回転速度がNc4aを経過して、Nc4bを経過するまでの移行時間td4を用いてレゾルバ検出角の誤差量を演算できる。
図9は、図5のc=1のように、出力指示トルクPc1において、ドライブシャフト9が収束する回転速度Nc1は同じであるが、それが0rpmになるまでの任意の二つの回転速度をそれぞれNc1a、Nc1bとし、ドライブシャフト9の回転速度がNc1aを経過して、Nc1bを経過するまでの移行時間td1を用いてレゾルバ検出角の誤差量を演算できる。
【0056】
また、図5のc=2のように、出力指示トルクPc2において、ドライブシャフト9が収束する回転速度Nc2は同じであるが、それが0rpmになるまでの任意の二つの回転速度をそれぞれNc2a、Nc2bとし、ドライブシャフト9の回転速度がNc2aを経過して、Nc2bを経過するまでの移行時間td2を用いてレゾルバ検出角の誤差量を演算できる。
図10は、図6のc=3のように、出力指示トルクPc3において、ドライブシャフト9が収束する回転速度Nc3は同じであるが、それが0rpmになるまでの任意の二つの回転速度をそれぞれNc3a、Nc3bとし、ドライブシャフト9の回転速度がNc3aを経過して、Nc3bを経過するまでの移行時間td3を用いてレゾルバ検出角の誤差量を演算できる。
【0057】
また、図6のc=4のように、出力指示トルクPc4において、ドライブシャフト9が収束する回転速度Nc4は同じであるが、それが0rpmになるまでの任意の二つの回転速度をそれぞれNc4a、Nc4bとし、ドライブシャフト9の回転速度がNc4aを経過して、Nc4bを経過するまでの移行時間td4を用いてレゾルバ検出角の誤差量を演算できる。
また、車両のトランスミッション等の詳細な構成について異なる車両にも、本発明を適用できる。例えば、上記実施形態では、モータ3とドライブシャフト9との間にクラッチ21を有しているが、モータと駆動軸との間にクラッチを有していない車両にも、本発明を適用できる。
【0058】
また、各種の走行モードが可能な電気自動車、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車等、走行駆動用のモータを有する車両に本発明を広く適用できる。
【符号の説明】
【0059】
1 車両
3 モータ(走行駆動用モータ)
30 インバータ(モータ作動制御部)
31 駆動軸回転速度センサ(駆動軸回転速度検出部)
32 レゾルバ
35 レゾルバ補正制御部(補正制御部)
36 携帯端末(測定状況指定部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10