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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022015464
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】アンモニア燃料燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23K 5/00 20060101AFI20220114BHJP
【FI】
F23K5/00 303
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020118314
(22)【出願日】2020-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(72)【発明者】
【氏名】河本 祐作
(72)【発明者】
【氏名】田口 脩平
(72)【発明者】
【氏名】友澤 健一
(72)【発明者】
【氏名】服部 成真
【テーマコード(参考)】
3K068
【Fターム(参考)】
3K068AA01
3K068AB20
3K068AB36
(57)【要約】
【課題】 アンモニア燃料を燃焼用空気と混合させて安定して燃焼できるようにすると共に、アンモニア燃料を燃焼させる際の火炎温度が高くなるのを抑制し、燃焼時にNOxが発生するのを抑制する。
【解決手段】 アンモニアガスNHを改質器20内において加熱させて、アンモニア燃料の一部を水素ガスHと窒素ガスNとに分解させ、アンモニア燃料に分解された水素ガスと窒素ガスとが含まれた改質アンモニア燃料(NH+H+N)を燃焼用空気Aと混合させて燃焼させるようにした。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニア燃料を改質器内においてアンモニア燃料の一部を水素ガスと窒素ガスとに分解させ、アンモニア燃料に分解された水素ガスと窒素ガスとが含まれた改質アンモニア燃料を燃焼用空気と混合させて燃焼させることを特徴とするアンモニア燃料燃焼装置。
【請求項2】
アンモニア燃料の一部を改質器内において水素ガスと窒素ガスとに分解させ、残りのアンモニア燃料に分解された水素ガスと窒素ガスとを混合させた改質アンモニア燃料を燃焼用空気と混合させて燃焼させることを特徴とするアンモニア燃料燃焼装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のアンモニア燃料燃焼装置において、前記の改質器に、アンモニア燃料を水素ガスと窒素ガスとに分解させる触媒を収容させた触媒収容部を設けると共に、触媒収容部内に導かれたアンモニア燃料を加熱させる加熱手段を設けたことを特徴とするアンモニア燃料燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニア燃料を燃焼用空気と混合させて燃焼させるアンモニア燃料燃焼装置に関するものである。特に、アンモニア燃料を燃焼用空気と混合させて燃焼させるにあたり、アンモニア燃料を改質させて燃焼性を高め、改質させた改質アンモニア燃料を燃焼用空気と混合させて、低温で燃焼させる場合にも安定した燃焼が行えるようにすると共に、燃焼時におけるNOxの発生を抑制できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
燃料を燃焼用空気と混合させて燃焼させる燃焼装置においては、一般に、燃料として炭化水素系燃料を用いたものが使用されている。
【0003】
しかし、このように燃焼装置において炭化水素系燃料を燃焼用空気と混合させて燃焼させた場合、二酸化炭素などの温室効果ガスが多く発生するという問題があった。
【0004】
そして、近年においては、二酸化炭素などの温室効果ガスを削減することが要望され、燃料に炭化水素系燃料以外のものを用いることが検討されている。
【0005】
また、従来から、燃焼装置における燃料として、アンモニア燃料を用いることが知られているが、アンモニア燃料は炭化水素系燃料に比べて燃焼性が悪く、完全燃焼させることが困難であり、また低温での燃焼時に失火しやすい一方、強く燃焼させるようにすると、火炎温度が高くなって、NOxが発生しやすくなるという問題あった。
【0006】
そして、従来においては、燃焼性が悪いアンモニア燃料を燃焼させるにあたって、特許文献1に示されるように、アンモニア燃料を噴出させるバーナーチップの下流側にディフューザーを配置し、アンモニア燃料を自然吸引された燃焼用空気と一緒にディフューザーの周辺を迂回させて混合させ、このように混合させたアンモニア燃料と燃焼用空気とを渦流状態にしてディフューザーの上側に滞留させて一気に燃焼させ、アンモニア燃料の燃焼性を高めるようにしたものが提案されている。
【0007】
しかし、特許文献1のように燃焼用空気を自然吸引させる場合、多くのアンモニア燃料を燃焼させる大型の燃焼装置に用いることは困難であり、またこのようにして多くのアンモニア燃料を燃焼させるようにした場合、アンモニア燃料が一気に燃焼されて火炎温度が高くなり、NOxの発生が多くなるという問題もあった。
【0008】
また、特許文献2においては、アンモニア燃料と燃焼用空気とを予混合させて均一化させた後、このように予混合させたガスを、スワラにより旋回させて強く攪拌しながら燃焼させて、アンモニア燃料の燃焼性を高めるようにしたものが提案されている。
【0009】
しかし、特許文献2のように、アンモニア燃料と燃焼用空気とを予混合させたガスを、スワラにより旋回させて強く攪拌しながら燃焼させるようにした場合においても、アンモニア燃料が一気に燃焼されて火炎温度が高くなり、NOxの発生が多くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実公昭50-8257号公報
【特許文献2】特開2016-130619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、アンモニア燃料を燃焼用空気と混合させて燃焼させる場合における前記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0012】
すなわち、本発明は、前記のようにアンモニア燃料を燃焼用空気と混合させて燃焼させるあたり、アンモニア燃料を改質させて燃焼性を高め、改質させた改質アンモニア燃料を燃焼用空気と混合させ、低温で燃焼させる場合にも安定した燃焼が行えるようにすると共に、燃焼時におけるNOxの発生を抑制できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るアンモニア燃料燃焼装置においては、前記のような課題を解決するため、アンモニア燃料を改質器内においてアンモニア燃料の一部を水素ガスと窒素ガスとに分解させ、アンモニア燃料に分解された水素ガスと窒素ガスとが含まれた改質アンモニア燃料を燃焼用空気と混合させて燃焼させるようにした。
【0014】
また、本発明に係るアンモニア燃料燃焼装置においては、前記のような課題を解決するため、アンモニア燃料の一部を改質器内において水素ガスと窒素ガスとに分解させ、残りのアンモニア燃料に分解された水素ガスと窒素ガスとを混合させた改質アンモニア燃料を燃焼用空気と混合させて燃焼させるようにした。
【0015】
ここで、本発明における前記の各アンモニア燃料燃焼装置においては、前記の改質器に、アンモニア燃料を水素ガスと窒素ガスとに分解させる触媒を収容させた触媒収容部を設けると共に、触媒収容部内に導かれたアンモニア燃料を加熱させる加熱手段を設けるようにすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明におけるアンモニア燃料燃焼装置においては、前記のようにアンモニア燃料を改質器内においてアンモニア燃料の一部を水素ガスと窒素ガスとに分解させ、アンモニア燃料に分解された水素ガスと窒素ガスとが含まれた改質アンモニア燃料を燃焼用空気と混合させて燃焼させ、或いは、アンモニア燃料の一部を改質器内において水素ガスと窒素ガスとに分解させ、残りのアンモニア燃料に分解された水素ガスと窒素ガスとを混合させた改質アンモニア燃料を燃焼用空気と混合させて燃焼させるようにした。
【0017】
この結果、本発明におけるアンモニア燃料燃焼装置においては、アンモニア燃料と、アンモニア燃料が分解された水素ガスと窒素ガスとを含む改質アンモニア燃料が燃焼用空気と混合されて燃焼されるようになり、アンモニア燃料だけを用いた場合に比べて、アンモニア燃料に加えた水素ガスにより改質アンモニア燃料の燃焼性が向上し、改質アンモニア燃料を燃焼用空気と混合させて低温で燃焼させる場合においても、安定した燃焼が行えるようになると共に、従来のように、アンモニア燃料を燃焼させるために強く攪拌する必要がなく、燃焼時におけるNOxの発生を抑制できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態に係るアンモニア燃料燃焼装置の構造を示した概略説明図である。
図2】前記の第1の実施形態に係るアンモニア燃料燃焼装置の変更例を示した概略説明図である。
図3】本発明の第2の実施形態に係るアンモニア燃料燃焼装置の構造を示した概略説明図である。
図4】前記の第2の実施形態に係るアンモニア燃料燃焼装置の変更例を示した概略説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係るアンモニア燃料燃焼装置を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係るアンモニア燃料燃焼装置は、下記の実施形態に示したものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
【0020】
(実施形態1)
実施形態1におけるアンモニア燃料燃焼装置においては、図1に示すように、燃料案内管10を通して、アンモニア燃料のアンモニアガスNHを改質器20に導くようにしている。
【0021】
ここで、前記の改質器20においては、その内部に、加熱されたアンモニアガスNHを水素ガスHと窒素ガスNとに分解させる触媒Sを収容させた触媒収容部21を設けると共に、上記の触媒SによるアンモニアガスNHの分解作用を活性化させるために、この触媒収容部21内に導かれたアンモニアガスNHを加熱させる加熱手段としてヒーター22を設けている。
【0022】
そして、この実施形態1におけるアンモニア燃料燃焼装置においては、前記のように燃料案内管10を通してアンモニアガスNHを、改質器20内に設けられた前記の触媒収容部21内に導くと共に、前記のヒーター22によりアンモニアガスNHが導かれた触媒収容部21を加熱させて、触媒収容部21内に導かれたアンモニアガスNHの一部を、前記の触媒Sにより水素ガスHと窒素ガスNとに分解させるようにしている。
【0023】
次いで、アンモニアガスNHに、前記のようにアンモニアガスNHの一部が触媒Sによって分解された水素ガスHと窒素ガスNとを含んだ改質アンモニアガス(NH+H+N)からなる改質アンモニア燃料を、前記の触媒収容部21から改質燃料案内管31を通して燃焼管30内に導くと共に、燃焼用空気供給管32を通してこの燃焼管30内に燃焼用空気Aを供給し、この燃焼用空気Aを前記の改質燃料案内管31の外周に沿って改質燃料案内管31の先端部に導いて、前記の改質アンモニアガス(NH+H+N)とこの燃焼用空気Aを混合させて燃焼させるようにしている。
【0024】
ここで、前記の改質アンモニアガス(NH+H+N)においては、アンモニアガスNHの他に、アンモニアガスNHを分解させて得た水素ガスHが含まれているため、アンモニアガスNHだけを燃焼用空気Aと混合させて燃焼させる場合に比べて燃焼性が向上し、前記の改質アンモニアガス(NH+H+N)を低温で燃焼させる場合に、安定した燃焼が行えるようになると共に、燃焼時に強く攪拌する必要がなく、燃焼時に火炎温度が高くなるのを防止して、燃焼時にNOxが発生するのを抑制することができる。
【0025】
なお、この実施形態1においては、触媒収容部21内に導かれたアンモニアガスNHを加熱させる加熱手段として、改質器20内にヒーター22を設けるようにしたが、図示していないが、改質器20内に触媒収容部21だけを設け、改質器20の外部にヒーター22を設けるようにすることも可能である。
【0026】
また、触媒収容部21内に導かれたアンモニアガスNHを加熱させるにあたり、図2に示すように、熱風供給管23から改質器20内に熱風HAを供給し、この熱風HAにより、触媒収容部21内に導かれたアンモニアガスNHを加熱させて、前記の触媒SによりアンモニアガスNHを水素ガスHと窒素ガスNとに分解させ、その後、前記の熱風HAを改質器20内から熱風排気管24を通して排気させるようにすることもできる。
【0027】
ここで、前記の改質アンモニアガス(NH+H+N)の成分を調整する場合には、ヒーター22や熱風HAの温度を変えることにより、前記の触媒SによってアンモニアガスNHを活性化させる度合いを変更させて、アンモニアガスNHを水素ガスHと窒素ガスNとに分解させる量を調整させるようにすることができる。
【0028】
(実施形態2)
実施形態2におけるアンモニア燃料燃焼装置においては、図3に示すように、アンモニア燃料のアンモニアガスNHを案内する燃料案内管10を、改質器20に導く前において、第1燃料案内管10Aと第2燃料案内管10Bとに分岐させ、分岐された第1燃料案内管10Aに第1流量調整弁11Aを設け、この第1流量調整弁11Aにより、第1燃料案内管10Aを通して導かれるアンモニアガスNHの量を調整すると共に、分岐された第2燃料案内管10Bに第2流量調整弁11Bを設け、この第2流量調整弁11Bにより、第2燃料案内管10Bを通して導かれるアンモニアガスNHの量を調整するようにしている。
【0029】
ここで、この実施形態2におけるアンモニア燃料燃焼装置においては、燃料案内管10から分岐された前記の第1燃料案内管10Aを、前記の実施形態1のものと同様に構成された改質器20に接続させ、前記の第1流量調整弁11Aにより、この第1燃料案内管10Aを通して改質器20に導かれるアンモニアガスNHの量を調整し、所定量のアンモニアガスNHを改質器20内に設けられた前記の触媒収容部21内に導き、前記のヒーター22により触媒収容部21を加熱させて、触媒収容部21内に導かれた所定量のアンモニアガスNHを、前記の触媒Sにより水素ガスHと窒素ガスNとに分解させるようにしている。
【0030】
そして、このようにアンモニアガスNHを触媒収容部21内において分解させた水素ガスHと窒素ガスNとを、前記の触媒収容部21から分解ガス案内管34を通して燃焼管30内に導くにようにしている。
【0031】
一方、燃料案内管10から分岐された前記の第2燃料案内管10Bを、前記のように触媒収容部21から燃焼管30内に導かれた分解ガス案内管34に合流させ、前記の第2流量調整弁11Bによって、この第2燃料案内管10Bを通して分解ガス案内管34に導くアンモニアガスNHの量を調整し、この第2燃料案内管10Bから所定量のアンモニアガスNHを、前記の分解ガス案内管34を通して導かれる水素ガスHと窒素ガスNとに合流させて前記の改質アンモニアガス(NH+H+N)の状態にし、この改質アンモニアガス(NH+H+N)を、分解ガス案内管34と第2燃料案内管10Bとが合流された改質燃料案内管31に導くようにしている。
【0032】
そして、前記の燃焼管30内において、前記の改質アンモニアガス(NH+H+N)を前記改質燃料案内管31の先端部に導くようにすると共に、前記の実施形態1のものと同様に、前記の燃焼用空気供給管32を通して燃焼管30内に燃焼用空気Aを供給し、この燃焼用空気Aを前記の改質燃料案内管31の外周に沿って改質燃料案内管31の先端部に導き、前記の改質アンモニアガス(NH+H+N)と、燃焼用空気Aとを混合させて燃焼させるようにしている。
【0033】
このようにすると、前記の実施形態1の場合と同様に、前記の改質アンモニアガス(NH+H+N)においては、アンモニアガスNHの他に、アンモニアガスNHを分解させて得た水素ガスHが含まれているため、アンモニアガスNHだけを燃焼用空気Aとを混合させて燃焼させる場合に比べて、その燃焼性が向上し、前記の改質アンモニアガス(NH+H+N)を低温で燃焼させる場合に、安定した燃焼が行えるようになると共に、燃焼時に強く攪拌する必要がなく、燃焼時に火炎温度が高くなるのを防止して、燃焼時にNOxが発生するのを抑制することができる。
【0034】
なお、この実施形態2においても、触媒収容部21内に導かれたアンモニアガスNHを加熱させる加熱手段として、改質器20内にヒーター22を設けるようにしたが、前記の実施形態1のものと同様に、改質器20内に触媒収容部21だけを設け、改質器20の外部にヒーター22を設けるようにすることができ、また前記の実施形態1の図2に示したものと同様に、熱風供給管23から改質器20内に熱風HAを供給し、この熱風HAにより、触媒収容部21内に導かれたアンモニアガスNHを加熱させて、前記の触媒SによりアンモニアガスNHを水素ガスHと窒素ガスNとに分解させ、その後、前記の熱風HAを改質器20内から熱風排気管24を通して排気させるようにすることもできる。
【0035】
ここで、前記の改質アンモニアガス(NH+H+N)の成分を調整する場合には、前述したようにヒーター22や熱風HAの温度を変えるのに加えて、第1流量調整弁11Aと第2流量調整弁11Bの開度を変更させて調整することもできる。
【0036】
また、この実施形態2におけるアンモニア燃料燃焼装置においては、燃料案内管10から分岐された前記の第2燃料案内管10Bを、前記の触媒収容部21から燃焼管30内に導かれた分解ガス案内管34に接続させるようにしたが、図4に示すように、触媒収容部21内において分解された水素ガスHと窒素ガスNとを導く分解ガス案内管34が燃焼管30内に導かれる前に、前記の第2燃料案内管10Bをこの分解ガス案内管34に接続させ、第2燃料案内管10Bを通して導かれた所定量のアンモニアガスNHを、前記の分解ガス案内管34を通して導かれる水素ガスHと窒素ガスNとに合流させて前記の改質アンモニアガス(NH+H+N)の状態にし、この改質アンモニアガス(NH+H+N)を、分解ガス案内管34と第2燃料案内管10Bとが合流された改質燃料案内管31を通して燃焼管30内に導くようにすることもできる。
【0037】
ここで、図3に示す構成であれば、改質器20と燃焼管30とが一体になるため、単体で燃焼装置(バーナー)として取り扱いがしやすく、炉体(図示せず)への組み立てや保守、管理が行いやすくなる。
【0038】
一方、図4に示す構成であれば、改質器20を燃焼管30と別に設置できるため、炉体(図示せず)への取付部品を小さくできたり、分解ガス案内管34を分岐して、複数の燃焼管30に対して、1つの改質器20でまとめて賄ったりすることができる。
【0039】
ここで、前記の実施形態1、2における前記の改質アンモニアガス(NH+H+N)において、アンモニアガスNHの量が多くなりすぎて、水素ガスHの量が少なくなると、改質アンモニアガス(NH+H+N)の燃焼性を十分に向上させることができず、低温での燃焼時に失火するおそれが生じる一方、アンモニアガスNHの量が少なくなって、水素ガスHの量が多くなりすぎると、改質アンモニアガス(NH+H+N)の燃焼性が高くなりすぎて、燃焼時の火炎温度が高くなり、NOxの発生を抑制することが困難になる。
【0040】
このため、前記の改質アンモニアガス(NH+H+N)に含まれるアンモニアガスNHと水素ガスHとの割合を、適正な範囲に調整することが好ましい。
【0041】
このように、本発明では、低燃焼性燃料であるアンモニアガスNH自体を用いて燃焼性の高い水素ガスHを作り出すことができるので、改質アンモニアガス(NH+H+N)を作るために、水素タンクや水素供給設備を設ける必要がなく、本発明のアンモニア燃料燃焼装置を、非常に低コストで省スペースで実現することができる。
【符号の説明】
【0042】
10 :燃料案内管
10A :第1燃料案内管
10B :第2燃料案内管
11A :第1流量調整弁
11B :第2流量調整弁
20 :改質器
21 :触媒収容部
22 :ヒーター
23 :熱風供給管
24 :熱風排気管
30 :燃焼管
31 :改質燃料案内管
32 :燃焼用空気供給管
34 :分解ガス案内管
A :燃焼用空気
HA :熱風
:水素ガス
:窒素ガス
NH :アンモニアガス(アンモニア燃料)
NH+H+N :改質アンモニアガス(改質アンモニア燃料)
S :触媒
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2021-09-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニア燃料を改質器内においてアンモニア燃料の一部を水素ガスと窒素ガスとに分解させ、アンモニア燃料に分解された水素ガスと窒素ガスとが含まれた改質アンモニア燃料を燃焼用空気と混合させて燃焼管内で燃焼させるアンモニア燃料燃焼装置において、前記の改質器と燃焼管とを連続して設けたことを特徴とするアンモニア燃料燃焼装置。
【請求項2】
アンモニア燃料の一部を改質器内において水素ガスと窒素ガスとに分解させ、残りのアンモニア燃料に分解された水素ガスと窒素ガスとを混合させた改質アンモニア燃料を燃焼用空気と混合させて燃焼管内で燃焼させるアンモニア燃料燃焼装置において、前記の改質器と燃焼管とを連続して設けたことを特徴とするアンモニア燃料燃焼装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のアンモニア燃料燃焼装置において、前記の改質器に、アンモニア燃料を水素ガスと窒素ガスとに分解させる触媒を収容させた触媒収容部を設けると共に、触媒収容部内に導かれたアンモニア燃料を加熱させる加熱手段を設けたことを特徴とするアンモニア燃料燃焼装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明に係るアンモニア燃料燃焼装置においては、前記のような課題を解決するため、アンモニア燃料を改質器内においてアンモニア燃料の一部を水素ガスと窒素ガスとに分解させ、アンモニア燃料に分解された水素ガスと窒素ガスとが含まれた改質アンモニア燃料を燃焼用空気と混合させて燃焼管内で燃焼させるアンモニア燃料燃焼装置において、前記の改質器と燃焼管とを連続して設けるようにした。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
また、本発明に係るアンモニア燃料燃焼装置においては、前記のような課題を解決するため、アンモニア燃料の一部を改質器内において水素ガスと窒素ガスとに分解させ、残りのアンモニア燃料に分解された水素ガスと窒素ガスとを混合させた改質アンモニア燃料を燃焼用空気と混合させて燃焼管内で燃焼させるアンモニア燃料燃焼装置において、前記の改質器と燃焼管とを連続して設けるようにした。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
本発明におけるアンモニア燃料燃焼装置においては、前記のようにアンモニア燃料を改質器内においてアンモニア燃料の一部を水素ガスと窒素ガスとに分解させ、アンモニア燃料に分解された水素ガスと窒素ガスとが含まれた改質アンモニア燃料を燃焼用空気と混合させて燃焼管内で燃焼させ、或いは、アンモニア燃料の一部を改質器内において水素ガスと窒素ガスとに分解させ、残りのアンモニア燃料に分解された水素ガスと窒素ガスとを混合させた改質アンモニア燃料を燃焼用空気と混合させて燃焼管内で燃焼させるようにした。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
この結果、本発明におけるアンモニア燃料燃焼装置においては、アンモニア燃料と、アンモニア燃料が分解された水素ガスと窒素ガスとを含む改質アンモニア燃料が燃焼用空気と混合されて燃焼管内で燃焼されるようになり、アンモニア燃料だけを用いた場合に比べて、アンモニア燃料に加えた水素ガスにより改質アンモニア燃料の燃焼性が向上し、改質アンモニア燃料を燃焼用空気と混合させて低温で燃焼させる場合においても、安定した燃焼が行えるようになると共に、従来のように、アンモニア燃料を燃焼させるために強く攪拌する必要がなく、燃焼時におけるNOxの発生を抑制できるようになる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態に係るアンモニア燃料燃焼装置の構造を示した概略説明図である。
図2】前記の第1の実施形態に係るアンモニア燃料燃焼装置の変更例を示した概略説明図である。
図3】本発明の第2の実施形態に係るアンモニア燃料燃焼装置の構造を示した概略説明図である。
図4】前記の第2の実施形態に係るアンモニア燃料燃焼装置を変更させた参考形態 概略説明図である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
また、この実施形態2におけるアンモニア燃料燃焼装置においては、燃料案内管10から分岐された前記の第2燃料案内管10Bを、前記の触媒収容部21から燃焼管30内に導かれた分解ガス案内管34に接続させるようにしたが、図4に示す参考形態においては、触媒収容部21内において分解された水素ガスHと窒素ガスNとを導く分解ガス案内管34が燃焼管30内に導かれる前に、前記の第2燃料案内管10Bをこの分解ガス案内管34に接続させ、第2燃料案内管10Bを通して導かれた所定量のアンモニアガスNHを、前記の分解ガス案内管34を通して導かれる水素ガスHと窒素ガスNとに合流させて前記の改質アンモニアガス(NH+H+N)の状態にし、この改質アンモニアガス(NH+H+N)を、分解ガス案内管34と第2燃料案内管10Bとが合流された改質燃料案内管31を通して燃焼管30内に導くようにした
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
一方、図4に示す参考形態においては、改質器20を燃焼管30と別に設置できるため、炉体(図示せず)への取付部品を小さくできたり、分解ガス案内管34を分岐して、複数の燃焼管30に対して、1つの改質器20でまとめて賄ったりすることができる。