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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154644
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61M 21/02 20060101AFI20221005BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20221005BHJP
   G10K 15/04 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
A61M21/02 Z
H04R1/02 103Z
G10K15/04 302A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057767
(22)【出願日】2021-03-30
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、総務省、独創的な人向け特別枠「異能(Inno)vation」プログラム委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】521134961
【氏名又は名称】平井 博
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】平井 博
(57)【要約】
【課題】ユーザに対し、例えば声を浴びるという新しい体感を与えることができるシステムを提供する。
【構成】 シャワーヘッド本体31のヘッド部312にスピーカー部14を実装し、ヘッド部の前面からスピーカー部の発する音が外部に出力される。音は、人の声であるが前記人が発声する言葉ではなく意味の無い音であり、例えば「シャー」という声とする。本体ケース30がシャワーヘッドを模した形態で一般のスピーカーを想像できない形態であることも相まって、例えばヘッド部をユーザM1の顔に向けると、ユーザは音を浴びる感じを体感し、ヘッド部に対向する身体の部位で例えば温度変化や圧を感じることができる。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカー部と、前記スピーカー部を備える本体ケースとを備え、
前記本体ケースは、スピーカーを想定しない外観を有し、
前記スピーカーから、人の声であるが前記人が発声する言葉ではなく意味の無い音を出力し、ユーザに対して前記音を浴びせる体感を生じさせるシステム。
【請求項2】
無線通信機能を備え、
外部の別の装置から無線通信を利用して送られる前記音を受信し、その受信した前記音を前記スピーカー部から出力する機能を備える
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記音を浴びせる体感は、少なくとも前記スピーカー部に対向させた身体の部位に温度変化或いは圧を感じさせるものである請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記本体ケースは、シャワーヘッドに応じた形態とし、
前記スピーカー部から発する前記音は、前記シャワーヘッドのヘッド部の前面側から出力されるように構成した請求項1から3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記ヘッド部の前面には、多数の孔部を有するシートカバーを装着し、
前記シートカバーは、その周縁側で前記ヘッド部の前面と接着され、その他の部位ではその前面と非接着とした請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記音は、前記人が発したシャーという声である請求項1から5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記音を浴びせる体感に変え、聞かせるのと異なる体感を前記音により前記ユーザに与える請求項1から6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
人の声であるが前記人が発声する言葉ではなく意味の無い音を出力し、ユーザに対して前記音を浴びせる体感を生じさせる機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば音を浴びることのできるシステム及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
癒やし効果やリラックス効果をうたったフィーリングミュージックがある。このヒーリングミュージックは、例えば心理的に安心感を与えることを目的につくられた音楽のことであり、1/fゆらぎを利用して作成される。この1/fゆらぎとは、音や光、空気の流れやものの動きの規則性に反発して、部分的に生まれる「ゆらぎ(=不規則性)」であり、この1/fゆらぎの音楽を聞くと、癒やしの効果が得られているときに脳から出る脳波の1種であるα波が出やすくなるといわれている。
【0003】
ユーザは例えば当該フィーリングミュージックが記録された記録媒体を音楽再生装置にセットし、音楽再生装置のスピーカーから出力される音楽を聞くことで、上記の効果を体感する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1/fゆらぎを利用した音楽をユーザ自ら作成することは難しい。そして本発明の目的の一つは、音を用いてユーザに新しい体感を与える技術を提供する。
【0005】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できればよい。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明のシステムは、(1)スピーカー部と、前記スピーカー部を備える本体ケースとを備え、前記本体ケースは、スピーカーを想定しない外観を有し、前記スピーカーから、人の声であるが前記人が発声する言葉ではなく意味の無い音を出力し、ユーザに対して前記音を浴びせる体感を生じさせるように構成した。
【0007】
(2)無線通信機能を備え、外部の別の装置から無線通信を利用して送られる前記音を受信し、その受信した前記音を前記スピーカー部から出力する機能を備えるとよい。
【0008】
(3)前記音を浴びせる体感は、少なくとも前記スピーカー部に対向させた身体の部位に温度変化或いは圧を感じさせるものとするとよい。
【0009】
(4)前記本体ケースは、シャワーヘッドに応じた形態とし、前記スピーカー部から発する前記音は、前記シャワーヘッドのヘッド部の前面側から出力されるように構成するとよい。
【0010】
(5)前記ヘッド部の前面には、多数の孔部を有するシートカバーを装着し、前記シートカバーは、その周縁側で前記ヘッド部の前面と接着され、その他の部位ではその前面と非接着とするとよい。
【0011】
(6)前記音は、前記人が発したシャーという声とするとよい。
【0012】
(7)前記音を浴びせる体感に変え、聞かせるのと異なる体感を前記音により前記ユーザに与えるようにするとよい。
【0013】
(8)人の声であるが前記人が発声する言葉ではなく意味の無い音を出力し、ユーザに対して前記音を浴びせる体感を生じさせる機能をコンピュータに実現させるためのプログラムが提供されるとよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、例えばスピーカーに見えないスピーカーを提供でき、また、ユーザに対し、例えば声を浴びるという新しい体感を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(a)は本発明に係るシステムの好適な実施形態を示す斜視図であり、(b)はブロック構成図である。
図2】その分解斜視図である。
図3】使用状態を説明する図である。
図4】本実施形態の効果を説明するための図である。
図5】別の実施形態を説明する図である。
図6】別の実施形態を説明する図である。
図7】別の実施形態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0017】
[1.基本構成]
図1図2は、本発明に係るシステムの好適な一実施形態を示している。図1(b)に示すように、本実施形態では、スピーカー装置10と、録音機20を備え、両者は通信機能を備え、録音機20で記録した音をスピーカー装置10から出力可能とする。スピーカー装置10は、本体ケース30内に制御部11と、電源部12と、通信部13と、スピーカー部14と、記憶部15等を備える。
【0018】
電源部12は、一次電池或いは充電可能な二次電池を用いるとよい。通信部13は、例えばBluetooth(登録商標)、Wi-Fi等の短距離の無線通信や、LTE(Long Term Evolution)等の公衆回線、インターネット等の通信網等に接続し、スピーカー装置10と離れた場所にある装置、この実施形態では録音機20とデータの送受を可能とする。
【0019】
スピーカー部14は、電気信号を音に変えて出力する部位であり、スピーカーユニットとも称される部位である。本実施形態では、スピーカー部14は、通信部13を介して受信した信号に基づく音を出力する。記憶部15は、例えば、所定の音を記録するとよい。制御部11は、スピーカー装置10の動作の制御を司るもので、例えば、通信部13が受信した音をスピーカー部14から出力したり、受信した音を記憶部15に記録したり、記憶部15に記録した音をスピーカー部14から出力したりする機能を備えるとよい。なお、記憶部15に音を記録せず、受信した音をリアルタイムでスピーカー部14から出力する構成にするとよい。このようにすると、スピーカー装置10側では、出力する音の選択操作が不要となる。また、記憶部15に記録する場合、1曲とすると選択操作を行うための操作部等が不要となる。また、複数の曲を記録し、再生する場合は、所定の順或いは記録した順などで連続して再生するとよい。
【0020】
上述した制御部11、電源部12、通信部13及びスピーカー部14は、個々に実装してもよいし、所定のケース内に各部が実装されて一体化されて一般にスピーカーと称されて市販等されるものを用いてもよい。
【0021】
録音機20は、通常の録音機能と、その録音した音を無線通信で送信出力する機能を備えるものでよく、例えば、制御部21と、電源部22と、通信部23と、マイク24と、記憶部25と、操作部26等を備える。電源部22は、一次電池或いは充電可能な二次電池を用いるとよい。また、商用電源に接続し、電源供給を受けるようにしてもよい。マイク24は、音を集音する。制御部21は、マイク24で集音した音を、所定のファイル形式で記憶部25に記録したり、記憶部25に記録した音のファイルを、通信部23を介して出力したり、マイク24で集音した音をリアルタイムで通信部23を介して出力したりする機能を備える。操作部26は、操作ボタン部やタッチパネルなどからなり、ユーザ操作に伴い制御部11を所定の機能を発揮するように指示を与える。
【0022】
[2.シャワーヘッドの外観を備えるスピーカー装置10]
上述した基本構成において、本実施形態では、スピーカー装置10は、音楽や言葉を聞く一般的なスピーカー装置に見えず、このスピーカー装置10を持ったり、スピーカー装置10に対面したりしたユーザが、スピーカー装置と認識しない構成にしている。具体的には、例えばスピーカー部14の部分が外部に露出しないように配置したり、装置本体の外形状をスピーカーらしくない形態にしたりするとよい。スピーカー部14が外部に露出しない配置は、例えば、本体ケース30の内部に実装したり、本体ケース30の外部に設置する場合にはスピーカーの表面を本体ケース30と同系色や同じ質感の表面に加工したりするとよい。
【0023】
そして本実施形態では、図1(a)に示すように、スピーカー装置10の外観形状である本体ケース30をシャワーヘッドそのもの或いはシャワーヘッドを模した形態とした。本体ケース30は、シャワーヘッド本体31と、シャワーヘッド本体31の下端に接続するホース部32と、ホース部32の一端に装着されシャワーヘッド本体31の下端に設けた雄ネジ部に装着される第1ナット部33と、ホース部32の他端に装着される第2ナット部34を備える。第2ナット部34は、一般のシャワーヘッドでは、給水栓側に接続するためのものと同じ袋ナットなど用いるとよい。また、例えばシャワーヘッド本体31が、本物のシャワーヘッドそのものの場合、ホース部32も本物のシャワーホースと同じものを用い、本物よりも長さを短くするとよい。
【0024】
シャワーヘッド本体31は、ユーザが使用時に把持する筒状のグリップ部311と、そのグリップ部311の先端に設けられるヘッド部312を有する。ヘッド部312は、通常のシャワーヘッドでは、その前面から水等が放出される。ヘッド部312は、グリップ部311に比べて大きく、ヘッド部312に、上述したスピーカー部14その他の電子機器類を実装するとよい。また、上述したように、スピーカー部14等を市販の一体化されたスピーカーを用いる場合、寸法形状の関係から、ヘッド部312の内部に実装してもよいし、ヘッド部312の前面に取り付けてもよい。前面に取り付ける場合には、その取り付けた部分がスピーカーである感じがしないようにするため、外周がなめらかにつながるようにしたり、表面の色や質感を同じ(例えば、ヘッド部312が樹脂製の場合、一般に使用される白やクリーム色等、ヘッド部が金属の場合には同系の金属等)にしたりするとよい。
【0025】
また、通常のシャワーヘッドでは、ヘッド部312の前面に散水板が配置されるが、本実施形態では、その散水板に変えて、或いは散水板に重ねて多数の孔部351を設けたシートカバー35を設ける。このシートカバー35は、例えば、銀紙等を用い、外周縁部をヘッド部312に接着し、その他の部位ではヘッド部312の前面と非接触にするとよい。また、ヘッド部312にスピーカー部14を実装した場合にそのスピーカー部14の前面が露出する場合には、その露出面にシートカバー35を装着する。この場合に、シートカバー35は、その外周縁部をスピーカー部14に接着し、その他の部位は非接着とするとよい。このようにすると、スピーカー部14の前面がシートカバー35で覆われるので、スピーカー部14の前面が隠れ、スピーカーだとわからないようになる。
【0026】
[3.スピーカー装置10から出力する音]
本実施形態でスピーカー装置10から出力する音は、人間が発する声であり、特に意味のある言葉ではない音である。本実施形態では、スピーカー装置10の本体ケース30を、シャワーヘッドを模したものとしたため、それにあわせてシャワーヘッドから放出される水等の音に対応する「シャー」という音をしている。すなわち、人が「シャー」という音を発声し、その音を録音機20で録音したり、リアルタイムでスピーカー装置10に送信したりする。このようにと、音は意味のある言葉ではない、人間が出した何かの音とし、ユーザが自由に感じ取れる音とするとよい。
【0027】
また、「シャー」という音を発する人は、スピーカー装置10を使用する人とは異なる人とするとよく、例えば、好意をよせている人や、家族や親族等の近しい人や、憧れている人などとすると特によい。
【0028】
[4.声を浴びる音シャワー]
上述したように、録音機20で集音した音は、言葉と指定のみを持たない第三者が発した声であり、本実施形態では「シャー」というシャワーから水等が放出され、使用者が当該水等を浴びる時に発する音に類するものとした。本システムを使用するユーザは、例えば図示省略する電源スイッチを操作してスピーカー装置10を起動する。これともない、スピーカー装置10の制御部11は、通信部13を制御し、録音機20と通信を確立する。この状態で、録音機20は、「シャー」という音をスピーカー装置10に向けて送信する。例えば、当該「シャー」という音を記録したファイルが記憶部25に記録されている場合、そのファイル再生が最後に至ると先頭に戻り再生を行うというようにエンドレスで送信するとよい。
【0029】
一方、ユーザM1は、図3に示すように、グリップ部311を手で持ち、シャワーヘッド本体31のヘッド部312を自分の身体の所定部位、図示の例では、顔や頭部に向ける。すると、ヘッド部312の前面からは、スピーカー部14から出力される「シャー」という音が出力され、ユーザM1の顔等に向かって進む。
【0030】
これにより、ユーザM1は、「シャー」という音を聞くのではなく、「浴びる」ということを体感する。すなわち、人は、それまでの人生経験で得られた知識や固定概念等から、見た目の外観に基づきその後に発生する事態を予測することが行われ、例えば、矩形のボックスなど見た目が一般的なスピーカーシステムの場合、そのボックスからは何かしらの音が出ることが容易に推測でき、その結果、何かの音が出力されると、その音を聞き、その意味を理解しようとすることが行われる。これに対し、本実施形態のように見た目かシャワーヘッドで、およそ音が出るとは推測できない状態で、しかも、言葉のように意味があるものではなく、「シャー」という音が出力されると、そのシャワーヘッドを持っている姿勢も相まって、「シャー」という音を浴びている体感を得る。これは、人が有する「スピーカー」と言えば聞くというイメージがあるのに対し、「シャワー」と言えば「浴びる」というイメージを持っていることを利用している。
【0031】
また、図3では、ヘッド部312を顔等に向かせているが、首、腕、脚その他の身体の任意の場所に向かせるとよい。そして、家族が入院中の家庭、高齢の夫婦、一人暮らしの男女等に対し実験を行った結果、声を浴びている感じを体感できたとの回答が得られた。また、感じる場所は人によって様々であるが、同一人が身体の異なる部位で浴びることを体感できている。浴びているという体感は、ヘッド部312の前面を向けている身体の部位に、熱い、冷たい等の温度や圧を感じることに基づいている。
【0032】
体験者によれば例えば「がんばれ」という意味のある言葉の場合は、その言葉を聞いてしまい、浴びているような感じ、すなわち、温度や圧を感じることができなかったが、「シャー」という単純な音により、上述したように浴びるという感じを発することができた。また、娘の声(意味の無い言葉、以下同じ)を浴びた時、その間幸福度が増し、妻の声シャワーを浴びて、妻への想いが高まり、友人の声を浴びた時にいつもとは違う好きという感じが出るなど、声の主への愛情が増す効果が期待できる。また、現在の声を浴びているのに過去の記憶が蘇ることがあり、本システムによる「声」は思い出や、記憶を引っ張り出す効果が期待できる。さらに、子供の声を浴びると元気になるという光が期待できる。
【0033】
また、本実施形態では、シャワーヘッド本体31の下端に、ホース部32を接続し、さらにホース部32の両端にそれぞれ第1ナット部33と第2ナット部34を設けたため、より通常の水等のシャワーを浴びている感じを醸し出すことができ、「シャー」という声を浴びる感じをより得られるようになる。
【0034】
さらに本実施形態では、無線通信を用いているため、録音機20と離れた地点でスピーカー装置10を利用することができる。さらに、シャワーヘッド本体31を本物のシャワーヘッドを用いたり、シャワーヘッドを模した同じような寸法のものを用いたりすると、例えば風呂場のシャワーヘッドと差し替えてフックに取り付けると、より本物感が強くなり、そのフックにかけている本実施形態のシャワーヘッド本体31をフックから取り外し、声を浴びるようにすると、実際にお風呂場でシャワーを浴びるように、声を浴びることが強く体感できる。
【0035】
また、本システムでは、スピーカー装置10としてシャワーヘッドを模した形態としたため、音が出力されるヘッド部312の前面を、ユーザの顔などの至近距離に位置した状態で使用でき、これにより、日常に置いて物理的に難しい声だけを至近距離で顔の真正面で浴びることができる。
【0036】
例えば図4に示すように、例えば声シャワーを発した第三者M2が、ユーザM1のそばで声を発した場合、ユーザM1は第三者M2の存在を意識することになり、第三者M2から発する声は人から発したものであるため、たとえ「シャー」という意味の無い言葉であっても何かしらの意味がある言葉という認識が生じ、声を聞いてしまい、浴びる感じは体感できない。またユーザM1の顔の近くに第三者M2の顔が存在することになり、ユーザM1は、第三者M2の顔など声以外にも部位にも注意が向いてしまい、さらには、匂いや息づかいなども気になり、純粋に声を浴びることはできない。これに対し、本実施形態では、係る問題が無く、例えばユーザの顔に声のみを浴びせさせることができるシステムとなる。
【0037】
さらに本実施形態では、多数の孔部351を備えたシートカバー35を設け、シートカバー35の多くの部位がヘッド部312の前面と非接着としたため、スピーカー部14から出力された音は、最終的にシートカバー35の孔部351を通って外部に放出されるが、微小な孔部351にしたことと、ヘッド部312の前面とシートカバー35の非接着の部位の隙間に存在する空間とが相まって、スピーカー部14から出力された音(空気の振動)が、空間内を様々な方向に進みシートカバー35を振動さる。これにより、「シャー」という声も、より振動した音、揺らいだ音となり、声を浴びたときの感じに深みが出る。
【0038】
[5.その他の実施形態]
<5-1.遠隔地での利用可能なシステム>
上述した実施形態では、無線通信回線はBluetooth(登録商標)やWi-Fi等の比較的近距離通信に適用した例を説明したが、LTEその他の公衆回線等の遠距離通信可能な通信回線などを利用することで、例えば、国内での遠隔地はもとより海外に存在する人との間で声のシャワー提供し、体感することができる。また、その場合に録音機20は、例えばスマートフォンなどの公衆回線やインターネット網などの通信機能を供えた携帯端末を用いると、簡単に利用することができる。
【0039】
<5-2.スマホアプリ>
図5に示すように、例えばスピーカー装置10としてスマートフォン50を利用し、そのスマートフォン50に本システムを利用するスマホアプリをインストールするとよい。スマホアプリは、例えばスマートフォン50の表示部51に、シャワーヘッドの全体或いはヘッド部の前面を模したイメージ52を表示し、シャワーヘッドから音が出ている感じを醸し出すようにするとよい。
【0040】
このようにすると、ユーザは、スマートフォン50の表示部51を、自分の顔その他の身体に対向するように配置することで音を浴びる感じが出る。スマートフォン50の場合、表示部51に表示されるシャワーヘッド等のイメージ52を確認しながら音を浴びられるようにするのがよく、特に顔や頭に対して音を浴びる対応に利用するとよい。
【0041】
<5-3.声水道>
図6に示すように、水道の蛇口60のたとえは吐水口61内にスピーカー部を内蔵する。取っ手62をひねると所定の声(言葉として意味は無い音)が出力され、取っ手62を逆方向にひねると所定の音の出力が停止するとよい。この実施形態では、例えば蛇口60の所定部位に所定の音を記憶した記憶部を設け、取っ手62の操作に基づいて音の出力と停止を制御できるようにすると、実際の水道を操作しているのと同じ感じが出るのでよい。なお、上述した実施形態と同様に、無線通信により上述した実施形態のように通信を利用して、別途用意した音源を受信し、スピーカー部から出力するようにしてもよい。
【0042】
この場合に出力する音は、例えば、「ジャー」「ジョロジョロ」など水道から水が出ているときの音を模したものとするとよく、本実施形態でも人が発声した声を用いるとよい。
【0043】
そして、本実施形態によれば、例えば蛇口60の吐水口61の下方にコップ65を置くことで、声がコップ65に注がれている感じとなり、その声が注がれたコップ65を用いて当該声を飲むという感覚が得られる。また、吐水口61の下に手をかざすことで、声で手を洗う感覚が得られる。
【0044】
<5-4.声マッサージ機>
具体的な図示は省略するが、例えばマッサージ機に適用するとよい。例えば、通常のハンドタイプの電動式マッサージ器は、例えばユーザが持った状態で振動する加圧部を肩や腰などの患部に押し当てて使用する。そこで本実施形態では、係る電動式マッサージ器の外観を模した本体ケースを用い、例えば加圧部内にスピーカー部等を実装する。
【0045】
スピーカー部から出力する言葉の意味が無い例えば「ウイーン」「グイーン」「ブー」など通常の電動式マッサージ器の動作音を模した音を人の声で言ってもらい、それをリアルタイム或いは記録したものを再生する。この声マッサージ器も、通信機能を備えて外部から音の提供を受けてもよいし、音源を内蔵してもよい。スピーカー部を実装する加圧部を含め、声マッサージ器は、外部からスピーカーであることがわからない形態とするとよい。
【0046】
この声マッサージ器を使用する場合、スピーカー部が内蔵される加圧部を、例えば患部や人のツボに接触させた状態で音を出力するとよい。このようにすると、声を直接身体に当てることができ、ユーザは、音からマッサージ器が動作している感じを受け、さらに声の波が振動としてダイレクトに伝わるために、振動による物理的な作用と上述したユーザが音から受ける感覚・イメージ力が相乗的に作用し、より効果的なマッサージ効果が期待できる。
【0047】
<5-5.声滝>
図7に示すように、例えば滝を模したオブジェクト70の上方に、スピーカー装置71を配置する。オブジェクト70は、例えば立体的なものでもよいし、平面的なものでもよい。このようなオブジェクト70を設けることで、滝の前にいることがイメージしやすくなるが、オブジェクト70は必ずしも設けなくてもよい。
【0048】
スピーカー装置71は、上述した声シャワーのスピーカー装置10と同様に外部からスピーカーであることがわかりにくい形態とし、図示の例では岩を模した本体ケースを備えている。また本実施形態ではこのように岩に限ることはなく草木等の滝の周囲に存在する自然物を模したものとすると、存在に違和感がないのでよい。この岩を模したスピーカー装置71は、スピーカー装置10と同様に、通信機能を備え、録音機20のマイク24で集音した音を受信し、出力するとよい。また、通信機能を用いず、音源もスピーカー装置71内に実装し、所定の音を出力するようにしてもよい。
【0049】
本実施形態で出力する音は、人、特に僧侶が発声した言葉の意味が無い声とするとよい。僧侶が発声した声は、例えば滝で水が落ちてくる様子を表す音とするとよいが、必ずしもそのような水の音に限らず、任意の声とすることができる。僧侶が持つ独特な語り口、イントネーション、声質などから、説法その他の特別に意味を有する言葉でない声でであっても、上から振ってくるその声を滝のように浴びることで、滝行を行っているような感じとなる。
【0050】
また、上述した実施形態では、スピーカー装置71は上方におき、上から声が振ってくるのを浴びるようにしたが、上野は地に変えて或いは上の配置に加えて床面などの下方に同様のスピーカー装置を配置するとよい。上下両方に設置した場合には、下方のスピーカー装置の音を適宜に設定することで、例えば滝の水が滝壺に落ちたときに発生する水しぶきなどを感じることができるようになるのでよい。
【0051】
<5-6.声ドライヤー>
具体的な図示を省略するが、例えば本体ケースとしてドライヤーを模したものとし、その吹き出し口内にスピーカー部を配置するとよい。このようにして構成される声ドライヤーは、吹き出し口から主力される音として、例えば「ゴー」等の通常のドライヤーの動作時に温風が送り出されているときの音に類するものとするとよい。この「ゴー」という音も、人が発する声である。そして、例えばアイドル、人気声優等の声とするとよい。このようにすると、ドライヤーから出力される「ゴー」という声で髪が乾くもではないが、例えば、通常のドライヤーで出力される温風や冷風の風により、髪が舞、風により髪全体が包み込まれるように、声で髪を優しく包まれる感じを生じる。
【0052】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0053】
10 :スピーカー装置
11 :制御部
12 :電源部
13 :通信部
14 :スピーカー部
15 :記憶部
20 :録音機
21 :制御部
22 :電源部
23 :通信部
24 :マイク
25 :記憶部
26 :操作部
30 :本体ケース
31 :シャワーヘッド本体
311 :グリップ部
312 :ヘッド部
32 :ホース部
33 :第1ナット部
34 :第2ナット部
35 :シートカバー
351 :孔部
50 :スマートフォン
51 :表示部
52 :イメージ
60 :蛇口
61 :吐水口
62 :取っ手
65 :コップ
70 :オブジェクト
71 :スピーカー装置
M1 :ユーザ
M2 :第三者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-06-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカー部と、前記スピーカー部を備える本体ケースとを備え、
前記本体ケースは、シャワーヘッドに応じた形態とし、
前記スピーカー部から、人の声であるが前記人が発声する言葉ではなく意味の無い音を前記シャワーヘッドのヘッド部の前面側から出力させるようにし、
前記意味の無い音は、シャワーヘッドから放出される水の音に対応する音声である
システム。
【請求項2】
無線通信機能を備え、
外部の別の装置から無線通信を利用して送られる前記意味の無い音を受信し、その受信した前記意味の無い音を前記スピーカー部から出力する機能を備える
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ヘッド部の前面には、多数の孔部を有するシートカバーを装着し、
前記シートカバーは、その周縁側で前記ヘッド部の前面と接着され、その他の部位ではその前面と非接着とした請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記意味の無い音は、前記人が発したシャーという声である請求項1から3のいずれか1項に記載のシステム。