(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154663
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】ランダムアクセス手順におけるカバレッジ拡張のための端末装置、基地局装置、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 74/08 20090101AFI20221005BHJP
H04W 72/04 20090101ALI20221005BHJP
【FI】
H04W74/08
H04W72/04 131
H04W72/04 132
H04W72/04 134
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057798
(22)【出願日】2021-03-30
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大関 武雄
(72)【発明者】
【氏名】山崎 純也
(72)【発明者】
【氏名】山崎 浩輔
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA13
5K067AA33
5K067CC02
5K067CC04
5K067CC10
5K067EE02
5K067EE10
(57)【要約】
【課題】ランダムアクセス手順におけるカバレッジ拡張のためのメッセージの反復送信を効率的に実行可能とすること。
【解決手段】端末装置は、4ステップのランダムアクセス手順におけるメッセージ3を連続するスロットで反復送信することができない装置がランダムアクセスプリアンブルを送信可能な第1のリソースと、第1のリソースと異なる第2のリソースであって、メッセージ3を連続するスロットで反復送信することができる装置がランダムアクセスプリアンブルを送信可能な第2のリソースとのいずれかを、端末装置の能力情報に基づいて、端末装置が前記ランダムアクセスプリアンブルを送信する際に使用するリソースとして特定し、特定したリソースにおいて、ランダムアクセスプリアンブルを送信する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置であって、
4ステップのランダムアクセス手順におけるメッセージ3を連続するスロットで反復送信することができない装置がランダムアクセスプリアンブルを送信可能な第1のリソースと、当該第1のリソースと異なる第2のリソースであって、前記メッセージ3を連続するスロットで反復送信することができる装置が前記ランダムアクセスプリアンブルを送信可能な第2のリソースとのいずれかを、前記端末装置の能力情報に基づいて、前記端末装置が前記ランダムアクセスプリアンブルを送信する際に使用するリソースとして特定する特定手段と、
前記特定したリソースにおいて、前記ランダムアクセスプリアンブルを基地局装置へ送信する送信手段と、
を有することを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記特定手段は、前記反復送信を行うことができ、かつ、メッセージ3を連続するスロットで反復送信することができることを基地局装置に示す場合に、前記第2のリソースを特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記特定手段は、前記反復送信を行うことができない場合、又は、メッセージ3を連続するスロットで反復送信することができることを基地局装置に示さない場合には、前記第1のリソースを特定する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記第1のリソースと前記第2のリソースとを区別可能に示す情報を前記基地局装置から取得する取得手段をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項5】
前記送信手段は、2ステップのランダムアクセス手順を用いる場合、当該ランダムアクセス手順における前記基地局装置へ送信するメッセージのうちのランダムアクセスプリアンブルの部分を前記特定したリソースにおいて送信する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項6】
前記第1のリソースと前記第2のリソースは、周波数と、時間と、前記ランダムアクセスプリアンブルに使用されるべき符号と、の少なくともいずれかが異なるように設定される、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項7】
基地局装置であって、
4ステップのランダムアクセス手順におけるメッセージ3を連続するスロットで反復送信することができない装置がランダムアクセスプリアンブルを送信可能な第1のリソースと、当該第1のリソースと異なる第2のリソースであって、前記メッセージ3を連続するスロットで反復送信することができる装置が前記ランダムアクセスプリアンブルを送信可能な第2のリソースとにおいて、端末装置から送信された前記ランダムアクセスプリアンブルを検出する検出手段と、
前記ランダムアクセスプリアンブルが前記第1のリソースと前記第2のリソースにおいて検出されたかに基づいて、前記端末装置に対して前記メッセージ3の前記反復送信を指示するかを判定する判定手段と、
前記判定に基づいて、前記端末装置との接続制御を行う制御手段と、
を有することを特徴とする基地局装置。
【請求項8】
前記判定手段は、前記第1のリソースにおいて前記ランダムアクセスプリアンブルが検出された場合に、前記メッセージ3の前記反復送信を指示しないと判定する、
ことを特徴とする請求項7に記載の基地局装置。
【請求項9】
前記判定手段は、前記第2のリソースにおいて前記ランダムアクセスプリアンブルが検出された場合に、当該端末装置に前記メッセージ3の前記反復送信を指示すべきか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の基地局装置。
【請求項10】
前記判定手段は、前記端末装置から前記第2のリソースにおいて検出した前記ランダムアクセスプリアンブルの無線品質に基づいて、前記端末装置が前記メッセージ3の前記反復送信を実行することができると判定して、当該端末装置に前記メッセージ3の前記反復送信を指示するか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項9に記載の基地局装置。
【請求項11】
前記第1のリソースと前記第2のリソースは、周波数と、時間と、前記ランダムアクセスプリアンブルに使用されるべき符号と、の少なくともいずれかが異なるように設定される、
ことを特徴とする請求項7から10のいずれか1項に記載の基地局装置。
【請求項12】
端末装置によって実行される制御方法であって、
4ステップのランダムアクセス手順におけるメッセージ3を連続するスロットで反復送信することができない装置がランダムアクセスプリアンブルを送信可能な第1のリソースと、当該第1のリソースと異なる第2のリソースであって、前記メッセージ3を連続するスロットで反復送信することができる装置が前記ランダムアクセスプリアンブルを送信可能な第2のリソースとのいずれかを、前記端末装置の能力情報に基づいて、前記端末装置が前記ランダムアクセスプリアンブルを送信する際に使用するリソースとして特定することと、
前記特定したリソースにおいて、前記ランダムアクセスプリアンブルを基地局装置へ送信することと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項13】
基地局装置によって実行される制御方法であって、
4ステップのランダムアクセス手順におけるメッセージ3を連続するスロットで反復送信することができない装置がランダムアクセスプリアンブルを送信可能な第1のリソースと、当該第1のリソースと異なる第2のリソースであって、前記メッセージ3を連続するスロットで反復送信することができる装置が前記ランダムアクセスプリアンブルを送信可能な第2のリソースとにおいて、端末装置から送信された前記ランダムアクセスプリアンブルを検出することと、
前記ランダムアクセスプリアンブルが前記第1のリソースと前記第2のリソースにおいて検出されたかに基づいて、前記端末装置に対して前記メッセージ3の前記反復送信を指示するかを判定することと、
前記判定に基づいて、前記端末装置との接続制御を行うことと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項14】
端末装置に備えられたコンピュータに、
4ステップのランダムアクセス手順におけるメッセージ3を連続するスロットで反復送信することができない装置がランダムアクセスプリアンブルを送信可能な第1のリソースと、当該第1のリソースと異なる第2のリソースであって、前記メッセージ3を連続するスロットで反復送信することができる装置が前記ランダムアクセスプリアンブルを送信可能な第2のリソースとのいずれかを、前記端末装置の能力情報に基づいて、前記端末装置が前記ランダムアクセスプリアンブルを送信する際に使用するリソースとして特定させ、
前記特定したリソースにおいて、前記ランダムアクセスプリアンブルを基地局装置へ送信させる、
ためのプログラム。
【請求項15】
基地局装置に備えられたコンピュータに、
4ステップのランダムアクセス手順におけるメッセージ3を連続するスロットで反復送信することができない装置がランダムアクセスプリアンブルを送信可能な第1のリソースと、当該第1のリソースと異なる第2のリソースであって、前記メッセージ3を連続するスロットで反復送信することができる装置が前記ランダムアクセスプリアンブルを送信可能な第2のリソースとにおいて、端末装置から送信された前記ランダムアクセスプリアンブルを検出させ、
前記ランダムアクセスプリアンブルが前記第1のリソースと前記第2のリソースにおいて検出されたかに基づいて、前記端末装置に対して前記メッセージ3の前記反復送信を指示するかを判定させ、
前記判定に基づいて、前記端末装置との接続制御を行わせる、
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランダムアクセス手順におけるカバレッジ拡張技術に関する。
【背景技術】
【0002】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)のセルラ通信規格では、端末装置が基地局装置に接続する際に、ランダムアクセス手順を実行することが規定されている。ランダムアクセス手順では、まず、端末装置が、ランダムアクセス手順用の所定の周波数・時間リソースにおいて、メッセージ1(ランダムアクセスプリアンブル)を基地局装置へ送信する。基地局装置は、そのメッセージ1を検出したことに応じて、上りリンク(端末装置から基地局装置へ送信する方向のリンク)における送信タイミングやリソースの割り当て情報を含んだメッセージ2(ランダムアクセスレスポンス)を送信する。そして、端末装置は、メッセージ2によって指定されたタイミング及び割り当てられたリソースを用いて、RRC(無線リソース制御)レイヤでの接続を要求するメッセージ3を基地局装置へ送信する。基地局装置は、メッセージ3に応答して、RRC接続のための制御情報等を含んだメッセージ4を端末装置へ送信する。この手順により、端末装置は、基地局装置と接続を確立することができる。
【0003】
従来のセルラ通信規格では、同じデータを連続する複数のタイムスロットにおいて反復送信することによって、カバレッジを拡張する技術が規定されている。そして、3GPPのリリース17規格の標準化作業において、このカバレッジ拡張技術がランダムアクセス手順の上述のメッセージ3に適用することが検討されている(非特許文献1)。メッセージ3が反復送信されることにより、より広いエリアに存在する端末装置が基地局装置と接続することが可能となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】3GPP、RP-202928、2020年12月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基地局装置は、リリース17の規格に準拠した端末装置にメッセージ3を反復送信させる、メッセージ2において、反復送信を指示することになる。しかしながら、基地局装置は、端末装置がリリース17の規格に準拠しているかを、その端末装置からメッセージ1を受信した段階では認識することができない。このため、基地局装置は、リリース16以前の規格に準拠した端末装置に対しても反復送信を指示してしまいうる。この結果、その端末装置には反復送信用に連続するタイムスロットが割り当てられるが、そのタイムスロットが使用されずに周波数利用効率が劣化してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ランダムアクセス手順におけるカバレッジ拡張のためのメッセージの反復送信を効率的に実行可能とする技術を提供する。
【0007】
本発明の一態様による端末装置は、4ステップのランダムアクセス手順におけるメッセージ3を連続するスロットで反復送信することができない装置がランダムアクセスプリアンブルを送信可能な第1のリソースと、当該第1のリソースと異なる第2のリソースであって、前記メッセージ3を連続するスロットで反復送信することができる装置が前記ランダムアクセスプリアンブルを送信可能な第2のリソースとのいずれかを、前記端末装置の能力情報に基づいて、前記端末装置が前記ランダムアクセスプリアンブルを送信する際に使用するリソースとして特定する特定手段と、前記特定したリソースにおいて、前記ランダムアクセスプリアンブルを基地局装置へ送信する送信手段と、を有する。
【0008】
本発明の一態様による基地局装置は、4ステップのランダムアクセス手順におけるメッセージ3を連続するスロットで反復送信することができない装置がランダムアクセスプリアンブルを送信可能な第1のリソースと、当該第1のリソースと異なる第2のリソースであって、前記メッセージ3を連続するスロットで反復送信することができる装置が前記ランダムアクセスプリアンブルを送信可能な第2のリソースとにおいて、端末装置から送信された前記ランダムアクセスプリアンブルを検出する検出手段と、前記ランダムアクセスプリアンブルが前記第1のリソースと前記第2のリソースにおいて検出されたかに基づいて、前記端末装置に対して前記メッセージ3の前記反復送信を指示するかを判定する判定手段と、前記判定に基づいて、前記端末装置との接続制御を行う制御手段と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ランダムアクセス手順におけるカバレッジ拡張のためのメッセージの反復送信を効率的に実行可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】基地局装置および端末装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図5】無線通信システムで実行される処理の流れを概説するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
(システム構成)
図1に、本実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す。本無線通信システムは、基地局装置101と端末装置102とを含んだセルラ通信システムでありうる。基地局装置101と端末装置102は、3GPPのいずれかの世代のセルラ無線通信規格に従って無線通信を実行する。例えば、基地局装置101は、基本的な制御情報(例えばSIB(System Information Block)など)をブロードキャスト送信し、端末装置102は、その制御情報を取得する。そして、端末装置102は、その制御情報に基づいてランダムアクセス手順を実行することにより、基地局装置101との間で接続を確立する。
【0013】
ランダムアクセス手順は、4ステップの手順と2ステップの手順とが存在する。
【0014】
4ステップのランダムアクセス手順では、まず、端末装置102が、基地局装置101からブロードキャスト送信された制御情報によって指定されたランダムアクセスプリアンブルの送信用の時間・周波数リソースにおいて、ランダムアクセスプリアンブル(メッセージ1)を送信する。ランダムアクセスプリアンブルとして、基地局装置101と端末装置102の双方において既知の系列が送信される。基地局装置101は、ランダムアクセス手順用のリソースにおいて受信された信号に対してその既知の系列を用いて相関検出を行うことにより、ランダムアクセスプリアンブルの受信を検出することができる。ランダムアクセスプリアンブルとして送信される系列は、Zadoff-Chu系列に対して、端末装置102が基地局装置101から通知された中から選択したCyclic Shiftを適用して生成される。このような系列が用いられることにより、複数の端末装置が並行してランダムアクセスプリアンブルを送信したとしても、異なるCyclic Shiftが用いられている限りにおいて、基地局装置101は、これらのランダムアクセスプリアンブルを別個に検出することができる。
【0015】
基地局装置101は、ランダムアクセスプリアンブルを受信すると、それに応答して、ランダムアクセスレスポンス(メッセージ2)を、端末装置102へ送信する。メッセージ2では、端末装置102が信号を送信する際のタイミング(タイミングアドバンス)を示す情報や、その後のメッセージ3を送信すべき時間・周波数リソースの指定などの制御情報が端末装置102へ送信される。端末装置102は、メッセージ2によって指定されたタイミング及び割り当てられたリソースを用いて、RRC(無線リソース制御)レイヤでの接続を要求するメッセージ3を基地局装置101へ送信する。基地局装置101は、メッセージ3に応答して、RRC接続のための制御情報等を含んだメッセージ4を端末装置102へ送信する。この手順により、端末装置102は、基地局装置101と接続を確立することができる。なお、基地局装置101は、メッセージ3の受信に失敗した場合には、端末装置102にメッセージ3を再送させることができる。なお、再送が所定回数行われても基地局装置101がメッセージ3の受信に成功しなかった場合、端末装置102が基地局装置101との接続に失敗したと判定される。
【0016】
なお、2ステップのランダムアクセス手順では、端末装置102が、上述のメッセージ1及びメッセージ3に対応する第1のメッセージを送信し、基地局装置101は、それに応答して、上述のメッセージ2及びメッセージ4に対応する第2のメッセージを送信する。なお、基地局装置101は、例えば、第1のメッセージのうちのランダムアクセスプリアンブルの部分を検出した場合であっても、メッセージ3の部分の復号ができなかった場合は、4ステップのランダムアクセス手順へと移行させ、端末装置102にメッセージ3を再送させてもよい。
【0017】
セルラ通信システムでは、同じデータを連続するタイムスロットで反復送信する手法によるカバレッジ拡張技術が規定されている。この手法は、受信側においてデータの受信に失敗した場合の再送ではなく、初期送信から同じデータが反復送信される。受信側の装置では、同じデータが反復して受信されることにより得られる利得によって無線品質を向上させることができ、1回の送信によっては通信ができない位置に存在する端末装置102と基地局装置101との間で通信を行うことが可能となる。
【0018】
従来の反復送信は、接続が確立された後に行われる。これに対して、上述のように、接続の確立時のランダムアクセス手順のメッセージ3に反復送信を適用することが検討されている。しかしながら、基地局装置101は、端末装置102がメッセージ3の反復送信をサポートしているか否かを、メッセージ2を送信する段階では認識できていない。基地局装置101は、端末装置102がメッセージ3の反復送信をサポートしていない場合にもメッセージ3の反復送信を指示して、その反復送信のためにリソースを確保することはできる。しかしながら、端末装置102は、メッセージ3の反復送信をサポートしていない場合、その反復送信の指示を認識することができず、1回だけメッセージ3を送信することとなる。この結果、基地局装置101が確保した、メッセージ3の反復送信のための無線リソースは使用されないこととなり、周波数利用効率が低下してしまう。
【0019】
このため、本実施形態では、端末装置102がメッセージ3の反復送信をサポートしているか否かを、基地局装置101がメッセージ1の段階で判別できるようにする。
【0020】
本実施形態では、4ステップのランダムアクセス手順におけるメッセージ3を連続するスロットで反復送信することができない端末装置がメッセージ1(ランダムアクセスプリアンブル)を送信可能な第1のリソースと、その第1のリソースと異なる第2のリソースであって、メッセージ3を連続するスロットで反復送信することができる端末装置がメッセージ1を送信可能な第2のリソースとを用意する。ここで、第1のリソースと第2のリソースは、例えば、相互に時間及び/又は周波数の異なるリソースとして設定される。例えば、第1のリソースと第2のリソースは、同じタイムスロットにおける異なる周波数リソースであってもよいし、同じ周波数における異なるタイムスロットであってもよいし、タイムスロットと周波数リソースが共に異なるリソースであってもよい。また、これらに加えて、又はこれらに代えて、第1のリソースと第2のリソースは、メッセージ1に使用されるべき符号が異なるように設定されてもよい。なお、符号は、例えば、Zadoff-Chu系列のベースシーケンスを第1のリソースと第2のリソースとで異ならせてもよいし、これに加えて又はこれに代えて、Cyclic shiftの値を、第1のリソースと第2のリソースとで異ならせてもよい。なお、これら以外の要素によって、第1のリソースと第2のリソースとが異なるように設定されてもよい。
【0021】
端末装置102は、自装置の能力情報(UE Capability)に基づいて、第1のリソースと第2のリソースとの中から、メッセージ1を送信する際に使用するリソースを選択する。そして、端末装置102は、選択したリソースにおいて、メッセージ1を送信する。端末装置102は、メッセージ3の反復送信をサポートしていない場合には、第2のリソースを使用しない。すなわち、メッセージ3の反復送信をサポートしている端末装置のみが第2のリソースを送信するようにする。また、端末装置102は、メッセージ3の反復送信をサポートしている場合であっても、メッセージ3の反復送信をサポートしていることを基地局装置101に示さない場合には、第1のリソースでメッセージ1を送信する。一方で、端末装置102は、メッセージ3の反復送信をサポートしている場合で、かつ、メッセージ3の反復送信をサポートしていることを基地局装置101に示す場合に、第2のリソースを使用してメッセージ1を送信する。すなわち、第1のリソースは、メッセージ3の反復送信のサポートの有無によらずに全ての端末装置が使用することができ、第2のリソースは、メッセージ3の反復送信をサポートしている端末装置のみが、その反復送信のサポートを基地局装置101に通知すべき場合にのみ、使用されうる。
【0022】
一例として、メッセージ3の反復送信をサポートしている端末装置102は、基地局装置101から送出されている同期信号や報知信号を受信した際の無線品質が十分に高く、メッセージ3の反復送信を行う必要がないと判定した場合に、第1のリソースでメッセージ1を送信するようにしうる。なお、これは一例であり、端末装置102は、これ以外の要因により、メッセージ3の反復送信が不要であると判定した場合にも、第1のリソースでメッセージ1を送信してもよい。例えば、端末装置102は、提供を受けるべきサービス種別に応じて、通信の信頼性を重要視するサービス種別の通信を行う場合は第2のリソースでメッセージ1を送信し、それ以外の場合には、第1のリソースでメッセージ1を送信するようにしてもよい。
【0023】
基地局装置101は、上述の第1のリソースと第2のリソースとにおいて、メッセージ1の検出処理を実行する。そして、基地局装置101は、メッセージ1を検出したリソースが第1のリソースであるか第2のリソースであるかに基づいて、メッセージ3の反復送信を端末装置102に指示するか否かを判定し、その判定の結果に基づいて、その後の接続確立のための制御を実行する。基地局装置101は、第1のリソースで端末装置102からのメッセージ1を検出した場合には、端末装置102に対してメッセージ3の反復送信を指示しない。すなわち、第1のリソースでメッセージ1を送信する端末装置は、メッセージ3の反復送信をサポートしていないか、メッセージ3の反復送信を必要としてないと考えられるため、このような端末装置に対しては反復送信を指示しない。
【0024】
一方、基地局装置101は、第2のリソースで端末装置102からのメッセージ1を検出した場合には、さらに、端末装置102に対してメッセージ3の反復送信を指示すべきか否かを判定しうる。すなわち、基地局装置101は、第2のリソースで端末装置102からのメッセージ1を検出したとしても、必ずしも端末装置102に対してメッセージ3の反復送信を指示しなくてもよい。一例において、基地局装置101は、メッセージ1の受信強度などの無線品質に基づいて、端末装置102にメッセージ3を反復送信させるかを決定しうる。すなわち、基地局装置101は、メッセージ1の受信強度などの無線品質が十分に高い場合には、メッセージ3を反復送信させなくても、メッセージ3の受信に成功する確率が十分に高いと判定して、端末装置102に対してメッセージ3の反復送信を指示しないと決定しうる。一方、基地局装置101は、メッセージ1の受信強度などの無線品質が一定レベル以下である場合には、メッセージ3の反復送信を端末装置102に指示するようにしうる。なお、基地局装置101は、メッセージ3の反復送信の指示を端末装置102へ送信する場合は、メッセージ2においてその指示を送信する。
【0025】
基地局装置101は、第1のリソースと第2のリソースとを区別可能に示す情報を端末装置102へ送信する。例えば、SIBの、リリース16以前の端末装置が解釈可能な情報要素において第1のリソースの情報を示し、リリース17以降の端末装置が解釈可能な情報要素において第2のリソースの情報を示しうる。これによれば、リリース16の端末装置は、リリース17以降の端末装置が解釈可能な情報要素を解釈することができないため、第1のリソースの情報のみを取得することができる。一方、リリース17の端末装置は、リリース16以前の端末装置が解釈可能な情報要素とリリース17以降の端末装置が解釈可能な情報要素との両方を解釈することができるため、第1のリソースの情報と第2のリソースの情報との両方を取得することができる。なお、これは一例であり、メッセージ3の反復送信をサポートしていない端末装置が無視する情報要素において、第2のリソースの情報が通知されうる。端末装置102は、このような情報を取得することにより、第1のリソースと第2のリソースとを区別して特定することができるようになる。
【0026】
なお、端末装置102は、2ステップのランダムアクセス手順を用いる場合に、第1のメッセージのランダムアクセスプリアンブルの部分を、上述のようにして第1のリソースと第2のリソースとのいずれかにおいて送信するようにしうる。基地局装置101は、第1のメッセージのランダムアクセスプリアンブルの部分を検出して残りの部分の復号に成功し、接続を確立する場合には、ランダムアクセスプリアンブルの部分が送信されたリソースが第1のリソースと第2のリソースとのいずれであっても同様に、第2のメッセージを端末装置102へ送信する。一方、基地局装置101は、第1のメッセージのランダムアクセスプリアンブルの部分を検出したが、残りの部分の復号に失敗した場合には、ランダムアクセス手順を4ステップのランダムアクセス手順に移行させる。この場合、基地局装置101は、メッセージ3を送信するように端末装置102へ指示するが、このときに、例えば、ランダムアクセスプリアンブルの部分が第1のリソースで検出されていた場合には、メッセージ3の反復送信を端末装置102へ指示しない。一方、基地局装置101は、例えば、ランダムアクセスプリアンブルの部分が第2のリソースで検出されていた場合には、必要に応じて、メッセージ3の反復送信を端末装置102へ指示しうる。このときのメッセージ3の反復送信の要否は、上述のように、ランダムアクセスプリアンブルの部分の受信時の無線品質などに基づいて判定されうる。すなわち、2ステップのランダムアクセス手順から4ステップのランダムアクセス手順に移行する場合であって、第2のリソースにおいてランダムアクセスプリアンブルの部分が検出されたとしても、必ずしもメッセージ3の反復送信が指示されなくてもよい。
【0027】
なお、端末装置102は、上りリンクの同期確立のためにランダムアクセス手順のメッセージ1を送信することがありうる。この場合は、処理がメッセージ2までで完結するため、端末装置102は、第1のリソースと第2のリソースとのいずれかを例えばランダムで選択して、その選択したリソースにおいてメッセージ1を送信するようにしうる。メッセージ3が送信されない以上、端末装置102がメッセージ3の反復送信をサポートしているか否かを示す情報が意味を持たないからである。
【0028】
(装置の構成)
続いて、上述のような処理を実行する基地局装置101および端末装置102のハードウェア構成例について
図2を用いて説明する。基地局装置101および端末装置102は、一例において、プロセッサ201、ROM202、RAM203、記憶装置204、及び通信回路205を含んで構成される。プロセッサ201は、汎用のCPU(中央演算装置)や、ASIC(特定用途向け集積回路)等の、1つ以上の処理回路を含んで構成されるコンピュータであり、ROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、基地局装置101および端末装置102の全体の処理や、上述の各処理を実行する。ROM202は、基地局装置101および端末装置102が実行する処理に関するプログラムや各種パラメータ等の情報を記憶する読み出し専用メモリである。RAM203は、プロセッサ201がプログラムを実行する際のワークスペースとして機能し、また、一時的な情報を記憶するランダムアクセスメモリである。記憶装置204は、例えば着脱可能な外部記憶装置等によって構成される。通信回路205は、例えば、5Gの無線通信用の回路によって構成される。なお、
図2では、1つの通信回路205が図示されているが、基地局装置101および端末装置102は、複数の通信回路を有しうる。例えば、基地局装置101および端末装置102は、使用可能な複数の周波数帯域のそれぞれについて別個の通信回路205を有してもよい。また、基地局装置101および端末装置102は、複数の周波数帯域の少なくとも一部に対して共通の通信回路205を有してもよい。また、例えば端末装置102は、セルラ通信用の通信回路205のみならず、無線LAN等の他の無線通信規格に対応する通信回路205を有してもよい。
【0029】
図3は、端末装置102の機能構成例を示す図である。端末装置102は、その機能として、例えば、リソース情報取得部301、使用リソース特定部302、およびランダムアクセス処理部303を有する。なお、
図3では、本実施形態に特に関係する機能のみを示しており、端末装置102が有しうる他の各種機能については図示を省略している。例えば、端末装置102は、セルラ通信システムにおける端末装置が一般的に有する他の機能を当然に有する。また、
図3の機能ブロックは概略的に示したものであり、それぞれの機能ブロックが一体化されて実現されてもよいし、さらに細分化されてもよい。また、
図3の各機能は、例えば、プロセッサ201がROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを実行することにより実現されてもよいし、例えば通信回路205の内部に存在するプロセッサが所定のソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。なお、各機能部が実行する処理の詳細について、上述の詳細についてはここでは説明せず、その大まかな機能のみを概説する。
【0030】
リソース情報取得部301は、ランダムアクセスプリアンブル(4ステップのランダムアクセス手順におけるメッセージ1)の送信に使用可能なリソースを特定する。ここでは、ランダムアクセスプリアンブルの送信に使用可能なリソースとして、第1のリソースと、その第1のリソースとは異なる第2のリソースとが特定される。第1のリソースは、4ステップのランダムアクセス手順におけるメッセージ3を連続するスロットで反復送信することができない端末装置がランダムアクセスプリアンブルを送信可能なリソースである。一方で、第2のリソースは、メッセージ3を連続するスロットで反復送信することができる端末装置が前記ランダムアクセスプリアンブルを送信可能なリソースである。なお、上述のように、第1のリソースと第2のリソースは、時間、周波数、および符号(系列)の少なくともいずれかが異なるリソースとして設定される。リソース情報取得部301は、基地局装置101から送信されるSIB(System Information Block)等を受信することによって、この設定情報を取得する。なお、例えば、リリース16に準拠する端末装置102は、第1のリソースの情報を取得することはできるが、第2のリソースの情報を取得できないような形式で設定情報が通知されうる。また、リリース17に準拠する端末装置102であっても、メッセージ3の反復送信をサポートしていない端末装置102が、第1のリソースの情報を取得することはできるが、第2のリソースの情報を取得できないような形式で設定情報が通知されてもよい。なお、ここでの情報を取得できないとは、情報自体を受信することはできるが、その内容を無視する、又は、解釈できないことを含む。
【0031】
使用リソース特定部302は、端末装置102の能力情報に少なくとも基づいて、ランダムアクセスプリアンブルを送信するリソースを特定する。使用リソース特定部302は、リソース情報取得部301によって特定された第1のリソースと第2のリソースとのいずれを、ランダムアクセスプリアンブルの送信に使用するかを決定する。なお、端末装置102がメッセージ3の反復送信をサポートしていない場合には、リソース情報取得部301が第2のリソースの情報を取得していないため、使用リソース特定部302は、使用するリソースとして第1のリソースを特定する。一方、端末装置102がメッセージ3の反復送信をサポートしている場合には、使用リソース特定部302は、第1のリソースと第2のリソースとの両方を使用可能であるため、そのいずれかを使用するリソースとして特定する。一例において、使用リソース特定部302は、基地局装置101からの同期信号や報知信号の受信強度などの無線品質が所定値以下である場合に、メッセージ3の反復送信が必要となりうると判定し、使用するリソースとして第2のリソースを特定する。一方、使用リソース特定部302は、基地局装置101からの信号の無線品質が所定品質を上回っており、メッセージ3の反復送信が必要でないと判定した場合には、使用するリソースとして、第1のリソースを特定してもよい。なお、使用リソース特定部302は、第2のリソースを使用可能な場合(すなわち、メッセージ3の反復送信をサポートしている場合)、基地局装置101から受信した信号の無線品質によらずに、使用するリソースとして、第2のリソースを特定するようにしてもよい。
【0032】
ランダムアクセス処理部303は、使用リソース特定部302によって特定されたリソースにおいてランダムアクセスプリアンブルを送信することを含んだランダムアクセス処理を実行する。例えば、ランダムアクセス処理部303は、特定されたリソースにおいてランダムアクセスプリアンブルを送信して、4ステップのランダムアクセス手順を実行する。このとき、ランダムアクセス処理部303は、例えば基地局装置101からのメッセージ2(ランダムアクセスレスポンス)によりメッセージ3の反復送信を指示された場合、そのメッセージ2で指定された時間・周波数リソースにおいて、指定された回数だけ反復して同じメッセージ3を送信する。また、ランダムアクセス処理部303は、2ステップのランダムアクセス処理を実行してもよく、この場合、特定されたリソースにおいてランダムアクセスプリアンブルを送信すると共に、別途指定されたリソースにおいてメッセージ3に相当する情報を含んだ第1のメッセージを基地局装置101へ送信する。ランダムアクセス処理部303は、この第1のメッセージに対して、基地局装置101から、メッセージ3の再送を指示するランダムアクセスレスポンスを受信しうる。この場合、ランダムアクセス処理部303は、処理を4ステップのランダムアクセス手順に移行させ、ランダムアクセスレスポンスによって指定されたリソースにおいて指定された回数だけ反復してメッセージ3を送信しうる。
【0033】
図4は、基地局装置101の機能構成例を示す図である。基地局装置101は、その機能として、例えば、リソース情報通知部401、ランダムアクセスプリアンブル検出部402、反復要否判定部403、および接続制御部404を有する。なお、
図4では、本実施形態に特に関係する機能のみを示しており、基地局装置101が有しうる他の各種機能については図示を省略している。例えば、基地局装置101は、セルラ通信システムにおける基地局装置が一般的に有する他の機能を当然に有する。また、
図4の機能ブロックは概略的に示したものであり、それぞれの機能ブロックが一体化されて実現されてもよいし、さらに細分化されてもよい。また、
図4の各機能は、例えば、プロセッサ201がROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを実行することにより実現されてもよいし、例えば通信回路205の内部に存在するプロセッサが所定のソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。なお、各機能部が実行する処理の詳細について、上述の詳細についてはここでは説明せず、その大まかな機能のみを概説する。
【0034】
リソース情報通知部401は、上述のような第1のリソースと第2のリソースとを、基地局装置101が展開するエリアに存在する端末装置に対して通知する。この通知はSIBなどの報知信号を用いて行われる。なお、第1のリソースと第2のリソースは区別可能に通知される。一例において、リリース17以降の規格に準拠した端末装置のみ又はメッセージ3の反復送信をサポートしている端末装置のみが、第2のリソースを特定可能な形式で情報要素が記述された報知信号が送信される。ランダムアクセスプリアンブル検出部402は、第1のリソースと第2のリソースとにおいてランダムアクセスプリアンブルの検出処理(例えば既知の系列を用いた相関検出処理)を実行する。
【0035】
反復要否判定部403は、ランダムアクセスプリアンブル検出部402においてランダムアクセスプリアンブルが検出されたリソースが第1のリソースであるか第2のリソースであるかに少なくとも基づいて、メッセージ3の反復送信を指示するかを判定する。反復要否判定部403は、端末装置102からのランダムアクセスプリアンブルが第1のリソースで検出された場合、その端末装置102に対しては、メッセージ3の反復送信を指示しない。一方、反復要否判定部403は、端末装置102からのランダムアクセスプリアンブルが第2のリソースで検出された場合、例えばそのランダムアクセスプリアンブルの受信強度などの無線品質に基づいて、その端末装置102に対してメッセージ3の反復送信を指示するか否かを判定する。
【0036】
接続制御部404は、4ステップまたは2ステップのランダムアクセス処理を完遂して端末装置102との間の接続を確立するための制御を実行する。例えば、接続制御部404は、ランダムアクセスプリアンブルに応答して、ランダムアクセスレスポンスを端末装置102へ送信する。なお、接続制御部404は、2ステップのランダムアクセス手順が用いられている場合に、第1のメッセージに含まれるランダムアクセスプリアンブルを検出すると共に残りの部分の復号に成功した場合、第2のメッセージを端末装置102へ送信して、接続の確立を完了する。一方、接続制御部404は、第1のメッセージに含まれるランダムアクセスプリアンブルを検出したが残りの部分の復号に失敗した場合、メッセージ3を送信すべきことを指示するメッセージ2を端末装置102へ送信して、4ステップのランダムアクセス手順に移行させる。なお、接続制御部404は、4ステップのランダムアクセス手順が用いられる場合には、ランダムアクセスプリアンブルを検出したことに応じて、ランダムアクセスレスポンスを送信して、端末装置102がメッセージ3を送信するようにする。接続制御部404は、端末装置102がメッセージ3を送信するように制御する場合、例えば、反復要否判定部403の判定に基づいて、端末装置102に対して、メッセージ3の反復送信の要否や反復回数、その送信のためのリソースを示す情報などを含んだランダムアクセスレスポンスを端末装置102へ送信する。
【0037】
(処理の流れ)
続いて、本実施形態に係る基地局装置101と端末装置102とが実行する処理の流れの例について、
図5を用いて概説する。なお、ここでは一例であり、基地局装置101および端末装置102は、上で例示したような各種の処理を実行してもよい。
【0038】
本処理では、基地局装置101は、例えばSIB等の報知信号によって、ランダムアクセスプリアンブルの送信に使用可能なリソースを示す情報を、基地局装置101が展開しているエリア内の端末装置に通知する(S501)。この通知では、例えば、上述のような第1のリソースと第2のリソースとが含まれる報知情報が送信される。端末装置102は、このリソース情報を受信すると、基地局装置101と接続を確立する必要がある場合(例えば基地局装置101からのページングチャネルを受信した場合や端末装置102の内部で送信すべきデータが発生した場合)に、ランダムアクセスプリアンブルの送信に使用すべきリソースとして記憶しておく。なお、端末装置102は、自装置の能力情報に基づいて、例えば4ステップのランダムアクセス手順におけるメッセージ3の反復送信をサポートしていない場合には第1のリソースを記憶しておき、メッセージ3の反復送信をサポートしている場合には第2のリソースを記憶しておくように動作しうる。また、端末装置102は、メッセージ3の反復送信をサポートしている場合に、第1のリソースと第2のリソースの両方を記憶しておいてもよい。
【0039】
その後、端末装置102は、基地局装置101と接続を確立すべき状況となったことに応じて、ランダムアクセスプリアンブルを送信するためのリソースを特定する(S502)。端末装置102は、例えば、自装置がメッセージ3の反復送信をサポートしているか否かの能力情報に基づいて、第1のリソースと第2のリソースとのいずれを使用するかを決定する。なお、例えばS501において、第1のリソースと第2のリソースとのいずれかのみを記憶している場合には、端末装置102は、その記憶しているリソースを、使用するリソースとして特定するため、選択処理を実行する必要はない。その後、端末装置102は、S502において特定したリソースを用いて、ランダムアクセスプリアンブルを送信する(S503)。ここでは、端末装置102は、例えば第2のリソースを用いて、ランダムアクセスプリアンブルを送信したものとする。
【0040】
基地局装置101は、端末装置102から送信されたランダムアクセスプリアンブルを検出すると、そのランダムアクセスプリアンブルが検出されたリソースが第1のリソースであるか第2のリソースであるかに少なくとも基づいて、端末装置102によるメッセージ3の反復送信の要否を判定する(S504)。例えば、基地局装置101は、S503において、第2のリソースで検出したランダムアクセスプリアンブルの無線品質などに基づいて、メッセージ3の反復送信の要否を判定する。ここでは、基地局装置101が、メッセージ3の反復送信が必要であると判定したものとする。この場合、基地局装置101は、端末装置102に対して、端末装置102が信号を送信すべきタイミングの情報やメッセージ3を送信すべき時間・周波数リソースを指定する情報を含んだメッセージ2(ランダムアクセスレスポンス)を端末装置102へ送信する(S505)。ここで、基地局装置101は、端末装置102に対して、メッセージ3の反復送信を指示する場合、その反復送信における反復回数と、それに応じた量の無線リソースを指定する情報を通知する。なお、基地局装置101は、例えば、メッセージ3の反復送信における反復回数の候補を事前に(例えばS501の時点で)端末装置102へ通知しておき、S505の時点では、その候補のうちのいずれの反復回数を使用すべきかを端末装置102へ通知するようにしてもよい。これによれば、端末装置102に個別で通知されるべき情報量を抑制することが可能となる。
【0041】
その後、端末装置102は、S505において指定された反復回数だけ反復して、指定されたリソースにおいてメッセージ3を反復送信する(S506)。基地局装置101は、この反復送信された複数のメッセージ3を合成して1つのメッセージ3を取得する。そして、基地局装置101は、このメッセージ3の受信に成功すると、メッセージ4を端末装置102へ送信して(S507)、端末装置との接続を確立する。なお、基地局装置101は、メッセージ3の受信に失敗した場合には、メッセージ3を再送するように端末装置102に対して指示してもよい。なお、このときに、基地局装置101は、反復送信回数を増やすなどの処理を行ってもよい。
【0042】
以上のようにして、本実施形態では、ランダムアクセスプリアンブルが送信されるリソースによって、端末装置102がメッセージ3の反復送信をサポートしているか否かを基地局装置101に通知することができる。この結果、基地局装置101は、メッセージ3の反復送信をサポートしている端末装置に対してのみ、メッセージ3の反復送信を指示すると共にその反復送信のためのリソースを確保することができる。これにより、ランダムアクセス手順におけるカバレッジ拡張のためのメッセージの反復送信を効率的に実行可能とすることができる。
【0043】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。