(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154664
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】拡張された確認応答を用いる端末装置、基地局装置、通信方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 28/04 20090101AFI20221005BHJP
H04W 72/04 20090101ALI20221005BHJP
H04W 72/12 20090101ALI20221005BHJP
H04W 72/02 20090101ALI20221005BHJP
H04L 1/16 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
H04W28/04 110
H04W72/04 136
H04W72/12 150
H04W72/02
H04L1/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057799
(22)【出願日】2021-03-30
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大関 武雄
(72)【発明者】
【氏名】山崎 純也
(72)【発明者】
【氏名】山崎 浩輔
【テーマコード(参考)】
5K014
5K067
【Fターム(参考)】
5K014DA02
5K014FA03
5K067AA01
5K067AA11
5K067DD24
5K067DD43
5K067EE02
5K067EE10
5K067HH22
5K067HH28
5K067JJ21
(57)【要約】
【課題】通信に対する要求の多様化に適合可能な自動再送制御技術を提供すること。
【解決手段】端末装置は、上りリンク制御情報を送信するためのリソースを複数含んだリソースのセットを示す情報を基地局装置から取得し、基地局装置からユーザデータを受信し、そのユーザデータの受信に成功したか失敗したかを示す第1の情報と、そのユーザデータの受信状況に関する付随情報を示す第2の情報とを特定することと、リソースのセットの中から、第1の情報と第2の情報との組み合わせに関連付けられたリソースと、そのリソースで確認応答として送信されるべき値であって、第1の情報と第2の情報との組み合わせに関連付けられた値とを選択し、選択されたリソースにおいて選択された値を含んだ上りリンク制御情報を基地局装置へ送信する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置であって、
上りリンク制御情報を送信するためのリソースを複数含んだリソースのセットを示す情報を基地局装置から取得する取得手段と、
前記基地局装置からユーザデータを受信し、当該ユーザデータの受信に成功したか失敗したかを示す第1の情報と、当該ユーザデータの受信状況に関する付随情報を示す第2の情報とを特定する特定手段と、
前記リソースのセットの中から、前記第1の情報と前記第2の情報との組み合わせに関連付けられたリソースと、当該リソースで確認応答として送信されるべき値であって、前記第1の情報と前記第2の情報との組み合わせに関連付けられた値とを選択する選択手段と、
前記選択されたリソースにおいて前記選択された値を含んだ上りリンク制御情報を前記基地局装置へ送信する送信手段と、
を有し、
前記選択されたリソースと当該リソースにおいて送信される前記値との組み合わせにより、前記第1の情報と前記第2の情報との組み合わせが示される、
ことを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記取得手段は、前記上りリンク制御情報のビット数のそれぞれに対してリソースの第1のセットを関連付けた第3の情報と、前記第1のセットのうちで、前記第1の情報と前記第2の情報との組み合わせの送信に使用するための複数のリソースを含んだリソースの第2のセットを示す第4の情報とを、前記基地局装置から取得し、
前記選択手段は、前記ユーザデータの受信に成功したか失敗したかのみを示す場合の前記上りリンク制御情報のビット数に関連付けられた前記第1のセットに含まれる前記第2のセットの中から、前記第1の情報と前記第2の情報との組み合わせに関連付けられたリソースと、当該リソースで確認応答として送信されるべき値を選択する、
ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記第3の情報は、前記基地局装置からブロードキャストで送信され、前記第4の情報は、前記端末装置に個別に送信される、
ことを特徴とする請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記第4の情報は、下りリンク制御情報によって送信される、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の端末装置。
【請求項5】
1つのコードワードの復号を反復して実行する反復復号法を用いて前記ユーザデータの復号を行う復号手段をさらに有し、
前記第1の情報と前記第2の情報との組み合わせは、前記ユーザデータの受信の失敗と、前記ユーザデータの受信に成功した場合に前記反復復号法において当該受信の成功を判定した際の前記反復の回数とのいずれかを示す、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項6】
前記ユーザデータの受信の際の無線品質を測定する測定手段をさらに有し、
前記第1の情報と前記第2の情報との組み合わせは、前記ユーザデータの受信の失敗と成功との少なくともいずれかと、前記無線品質を示す値との組み合わせを示す、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項7】
基地局装置であって、
端末装置が上りリンク制御情報を送信するためのリソースを複数含んだリソースのセットを示す情報を前記端末装置へ通知する通知手段と、
前記端末装置へユーザデータを送信する送信手段と、
前記リソースのセットに含まれる複数のリソースのうちのいずれかにおいて、前記端末装置から上りリンク制御情報を受信する受信手段と、
前記上りリンク制御情報を受信したリソースと、当該リソースにおいて確認応答として送信された値とに基づいて、前記端末装置における前記ユーザデータの受信の成功または失敗を示す第1の情報と前記ユーザデータの受信状況に関する付随情報を示す第2の情報との組み合わせを特定する特定手段と、
を有することを特徴とする基地局装置。
【請求項8】
前記通知手段は、前記上りリンク制御情報のビット数のそれぞれに対してリソースの第1のセットを関連付けた第3の情報と、前記第1のセットのうちで、前記第1の情報と前記第2の情報との組み合わせの送信に使用するための複数のリソースを含んだリソースの第2のセットを示す第4の情報とを、前記端末装置へ通知する、
ことを特徴とする請求項7に記載の基地局装置。
【請求項9】
前記通知手段は、ブロードキャストで前記第3の情報を送信し、前記端末装置に対して個別に前記第4の情報を送信する、
ことを特徴とする請求項8に記載の基地局装置。
【請求項10】
前記通知手段は、下りリンク制御情報によって前記第4の情報を送信する、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の基地局装置。
【請求項11】
端末装置によって実行される通信方法であって、
上りリンク制御情報を送信するためのリソースを複数含んだリソースのセットを示す情報を基地局装置から取得することと、
前記基地局装置からユーザデータを受信し、当該ユーザデータの受信に成功したか失敗したかを示す第1の情報と、当該ユーザデータの受信状況に関する付随情報を示す第2の情報とを特定することと、
前記リソースのセットの中から、前記第1の情報と前記第2の情報との組み合わせに関連付けられたリソースと、当該リソースで確認応答として送信されるべき値であって、前記第1の情報と前記第2の情報との組み合わせに関連付けられた値とを選択することと、
前記選択されたリソースにおいて前記選択された値を含んだ上りリンク制御情報を前記基地局装置へ送信することと、
を有し、
前記選択されたリソースと当該リソースにおいて送信される前記値との組み合わせにより、前記第1の情報と前記第2の情報との組み合わせが示される、
ことを特徴とする通信方法。
【請求項12】
基地局装置によって実行される通信方法であって、
端末装置が上りリンク制御情報を送信するためのリソースを複数含んだリソースのセットを示す情報を前記端末装置へ通知することと、
前記端末装置へユーザデータを送信することと、
前記リソースのセットに含まれる複数のリソースのうちのいずれかにおいて、前記端末装置から上りリンク制御情報を受信することと、
前記上りリンク制御情報を受信したリソースと、当該リソースにおいて確認応答として送信された値とに基づいて、前記端末装置における前記ユーザデータの受信の成功または失敗を示す第1の情報と前記ユーザデータの受信状況に関する付随情報を示す第2の情報との組み合わせを特定することと、
を含むことを特徴とする通信方法。
【請求項13】
端末装置に備えられたコンピュータに、
上りリンク制御情報を送信するためのリソースを複数含んだリソースのセットを示す情報を基地局装置から取得させ、
前記基地局装置からユーザデータを受信し、当該ユーザデータの受信に成功したか失敗したかを示す第1の情報と、当該ユーザデータの受信状況に関する付随情報を示す第2の情報とを特定させ、
前記リソースのセットの中から、前記第1の情報と前記第2の情報との組み合わせに関連付けられたリソースと、当該リソースで確認応答として送信されるべき値であって、前記第1の情報と前記第2の情報との組み合わせに関連付けられた値とを選択させ、
前記選択されたリソースにおいて前記選択された値を含んだ上りリンク制御情報を前記基地局装置へ送信させる、
ためのプログラムであって、
前記選択されたリソースと当該リソースにおいて送信される前記値との組み合わせにより、前記第1の情報と前記第2の情報との組み合わせが示される、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項14】
基地局装置に備えられたコンピュータに、
端末装置が上りリンク制御情報を送信するためのリソースを複数含んだリソースのセットを示す情報を前記端末装置へ通知させ、
前記端末装置へユーザデータを送信させ、
前記リソースのセットに含まれる複数のリソースのうちのいずれかにおいて、前記端末装置から上りリンク制御情報を受信させ、
前記上りリンク制御情報を受信したリソースと、当該リソースにおいて確認応答として送信された値とに基づいて、前記端末装置における前記ユーザデータの受信の成功または失敗を示す第1の情報と前記ユーザデータの受信状況に関する付随情報を示す第2の情報との組み合わせを特定させる、
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動再送制御における確認応答の拡張技術に関する。
【背景技術】
【0002】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)によるセルラ通信規格では、複合自動再送要求(HARQ)を用いて、無線フレームの送受信に成功したか否かを送信側と受信側とで共有する仕組みが用いられている。この仕組みによれば、例えば、端末装置は、基地局装置が端末装置へ送信した無線フレームが正常に受信された場合、その無線フレームに関連付けた肯定応答(ACK)を基地局装置へ送信し、その無線フレームが正常に受信されなかった場合には、その無線フレームに関連付けた否定応答(NACK)を基地局装置へ送信する。そして、基地局装置は、NACKを受信すると、同内容のデータを含んだ無線フレームや、そのデータに基づいて生成された別のリダンダンシバージョンの無線フレームを再送する。これにより、基地局装置から端末装置へのデータ送信の信頼性を向上させることができる。また、同様にして、端末装置から基地局装置へのデータ送信の信頼性を向上させることもできる。
【0003】
基地局装置は、さらに、ACKを受信した回数とNACKを受信した回数とを集計すること等により、データ送信に失敗した確率(フレーム誤り率)を特定することができる。基地局装置は、例えば、この特定したフレーム誤り率がターゲットとなる所定値より高い場合には、変調および符号化方式(MCS)を、雑音や干渉の影響を受けにくい方式へと変更する。また、基地局装置は、フレーム誤り率がターゲットとなる所定値より十分に低い場合には、通信レートが相対的に高く、雑音や干渉の影響を相対的に受けやすい方式へとMCSを変更しうる。これにより、通信レートを過剰に抑制することなく、通信の信頼性を向上させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
超高信頼通信においては、誤り率のターゲットの値として極めて低い値を用いることが想定される。このような場合、フレームを受信する装置においては、ほぼ全てのフレームを正常に受信することができることが想定される。このような場合、ほとんどのフレームが正常に受信され、ACK/NACKの送受信回数が非常に多くない限り、NACKが送受信されないことが想定される。このため、例えば、瞬間的な通信品質の劣化によって1回のNACKが送受信された場合に、実際の通信環境に対して適切な第1のMCSよりも通信レートの低い第2のMCSが使用されることとなりうる。また、第2のMCSの使用が開始されてから、本来の通信環境に適した第1のMCSを使用すべきと判断するためには、膨大な数の無線フレームが送受信される必要がある。このように、従来のHARQの仕組みは、通信に対する要求の多様化に適合できないことがありうる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、HARQ等の自動再送制御の高度化技術を提供する。
【0006】
本発明の一態様による端末装置は、上りリンク制御情報を送信するためのリソースを複数含んだリソースのセットを示す情報を基地局装置から取得する取得手段と、前記基地局装置からユーザデータを受信し、当該ユーザデータの受信に成功したか失敗したかを示す第1の情報と、当該ユーザデータの受信状況に関する付随情報を示す第2の情報とを特定する特定手段と、前記リソースのセットの中から、前記第1の情報と前記第2の情報との組み合わせに関連付けられたリソースと、当該リソースで確認応答として送信されるべき値であって、前記第1の情報と前記第2の情報との組み合わせに関連付けられた値とを選択する選択手段と、前記選択されたリソースにおいて前記選択された値を含んだ上りリンク制御情報を前記基地局装置へ送信する送信手段と、を有し、前記選択されたリソースと当該リソースにおいて送信される前記値との組み合わせにより、前記第1の情報と前記第2の情報との組み合わせが示される。
【0007】
本発明の一態様による基地局装置は、端末装置が上りリンク制御情報を送信するためのリソースを複数含んだリソースのセットを示す情報を前記端末装置へ通知する通知手段と、前記端末装置へユーザデータを送信する送信手段と、前記リソースのセットに含まれる複数のリソースのうちのいずれかにおいて、前記端末装置から上りリンク制御情報を受信する受信手段と、前記上りリンク制御情報を受信したリソースと、当該リソースにおいて確認応答として送信された値とに基づいて、前記端末装置における前記ユーザデータの受信の成功または失敗を示す第1の情報と前記ユーザデータの受信状況に関する付随情報を示す第2の情報との組み合わせを特定する特定手段と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、通信に対する要求の多様化に適合可能な自動再送制御技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】基地局装置および端末装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図5】無線通信システムで実行される処理の流れを概説するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
(システム構成)
図1に、本実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す。本無線通信システムは、基地局装置101と端末装置102とを含んだセルラ通信システムでありうる。基地局装置101と端末装置102は、3GPPのいずれかの世代のセルラ無線通信規格に従って無線通信を実行する。例えば、基地局装置101は、基本的な制御情報をブロードキャスト送信し、端末装置102は、その制御情報を取得する。そして、端末装置102は、例えば、その制御情報に基づいてランダムアクセス手順等の手順を実行することにより、基地局装置101との間で接続を確立する。その後、基地局装置101から端末装置102へ下りリンクのユーザデータが送信され、また、端末装置102から基地局装置101へ上りリンクのユーザデータが送信される。基地局装置101は、例えば、下りリンクのユーザデータを送信する際のリソース(周波数・時間リソース)を指定する情報を下りリンク制御情報(DCI)において送信し、端末装置102は、そのDCIに基づいて特定したリソースにおいてユーザデータを受信する。また、基地局装置101は、DCIを用いて、端末装置102が使用すべき上りリンクのリソースを指定し、端末装置102は、その指定されたリソースを用いて上りリンクのユーザデータを基地局装置101へ送信することができる。
【0012】
なお、ユーザデータの通信では、複合自動再送要求(HARQ)が使用されうる。例えば、端末装置102は、基地局装置101から下りリンクのユーザデータを受信すると、その受信の結果を示す確認応答を基地局装置101へ送信する。なお、基地局装置101が、端末装置102から送信されたユーザデータに関してHARQの確認応答を送信するようにしてもよい。確認応答は、一般に、ユーザデータの受信に成功した場合に送信される肯定応答(ACK)と、ユーザデータの受信に失敗した場合に送信される否定応答(NACK)とを含む。なお、例えば、誤り訂正符号を用いて符号化されたユーザデータを対応する復号方法で復号し、その復号の結果に対するCRC(Cyclic Redundancy Check)によって復号結果に誤りがないと判定された場合に、ユーザデータの受信に成功したと判定される。一方で、CRCによって復号結果に誤りが含まれていない状態にならなかった場合にはユーザデータの受信に失敗したと判定される。
【0013】
一例において、誤り訂正符号は、LDPC(Low Density Parity Check)符号やポーラ符号でありうる。誤り訂正符号によって一定サイズのユーザデータが符号化されて、1つのコードワードが生成される。復号は、コードワード単位で実行されうる。また、復号は、1つのコードワードに対する復号処理が、(例えば軟判定値を用いて)反復して実行される反復復号法が用いられうる。この場合、復号処理の反復の途中で得られる復号結果に誤りが含まれているかを、CRCを用いて判定することができる。この場合、途中で得られた復号結果に誤りが含まれていない場合には、復号処理の反復を終了してもよい。
【0014】
端末装置102は、上りリンク制御情報(UCI)に、HARQの確認応答を含めて送信する。このとき、端末装置102は、コードワードごとに確認応答を送信する。UCIは、例えば物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)によって伝送される。このため、例えばキャリアアグリゲーションなどによって、複数のコードワード数が一斉に送信される場合には、複数の確認応答も一斉に送信されるべき状態となりうる。この場合、端末装置102は、コードワード数に応じたビット数の確認応答をUCIにおいて送信することとなる。すなわち、UCIのビット数は可変でありうる。
【0015】
このとき、基地局装置101は、UCIにおいて送信されるべきビット数と、そのUCIが送信されるべき1つ以上のリソースとを関連付けた情報を端末装置102へ送信する。そして、端末装置102は、送信すべきUCIのビット数を特定すると、そのビット数に対応するリソースをその情報に基づいて特定し、そのリソースにおいてUCIを送信するようにする。例えば、基地局装置101は、UCIのビット数が第1の所定ビット数以下である場合の第1のリソース、ビット数が第1の所定ビット数より大きく第2の所定ビット数以下の場合の第2のリソース、・・・などのような、リソースとビット数とを関連付けた情報を送信する。そして、端末装置102は、例えば、第1の所定のビット数より大きく第2の所定ビット数以下のUCIを送信すべき状況においては、第2のリソースを使用してUCIを送信する。なお、基地局装置101は、端末装置102によって送信されるべきUCIのビット数を、例えば並行して送信されるコードワード数などに基づいて事前に知ることができるため、端末装置102がUCIを送信するリソースを事前に認識することができる。なお、UCIは、例えば下りリンクのチャネルの状態を示す情報(CSI、Channel State Information)を含んでもよく、UCIのビット数の特定の際には、確認応答の送信に要するビット数のみならず、CSIのような送信されるべき情報のすべてが考慮される。
【0016】
なお、各ビット数に関連付けられるリソースは複数存在してもよく、この場合、基地局装置101は、その複数のリソースのうちのいずれを使用すべきかを指定する情報を端末装置102へ通知しうる。すなわち、基地局装置101は、UCIのビット数が第1の所定ビット数以下である場合のリソース0~リソースN1-1、ビット数が第1の所定ビット数より大きく第2の所定ビット数以下の場合のリソースN1~リソースN2-1、・・・などのような、リソースのセットとビット数とを関連付けた情報を送信する。そして、基地局装置101は、例えば、UCIのビット数が第1の所定ビット数より大きく第2の所定ビット数以下であり、リソースN1+3(リソースのセットのうち4番目のリソース)を使用すべきと決定した場合、例えば「4番目」のリソースを使用するように、端末装置102へ通知することができる。これにより、端末装置102は、送信対象のUCIのビット数が第1の所定ビット数より大きく第2の所定ビット数以下であることにより、リソースN1~リソースN2-1を特定し、さらに、そのリソースの中で4番目のリソースであるリソースN1+3を特定して、そのリソースでUCIを送信することができる。
【0017】
基地局装置101は、HARQの確認応答や再送に基づいて、無線リンクで使用すべき変調および符号化方式(MCS)を決定するように構成されうる。例えば、端末装置102との間の通信における(例えば、QCI(QoS Class Indicator)等によって示される)サービス品質に基づいてターゲットのフレーム誤り率が設定される。そして、基地局装置101は、例えば下りリンクのユーザデータの送信回数に対するNACKの受信回数の比が、そのターゲットのフレーム誤り率に近接するように、MCSを設定しうる。同様に、基地局装置101は、例えば上りリンクのユーザデータの受信回数に対する受信の失敗回数(NACKの送信回数)に基づいて、端末装置102が使用すべきMCSを変更するように動作してもよい。これにより、通信環境に適したMCSを適応的に選択して使用することが可能となる。このとき、ターゲットのフレーム誤り率が極めて低い場合、使用しているMCSが適切であるか否かをACKとNACKとの2値からなる確認応答のみで判定するためには、膨大な数のコードワードの送受信が行われる必要がある。さらに、そのような大量のコードワードの送受信が行われている間に通信環境が変化してしまい、適切なMCSの選択を行うことが困難となりうる。
【0018】
本実施形態では、このような事情に鑑みて、HARQの確認応答を高度化し、それにより、無線リンクで使用されるMCSの設定などを高精度に行うことを可能とする。本実施形態では、一例において、ACKとNACKとの2値ではなく、3つ以上の段階で情報を表現可能とするように確認応答を構成する。
【0019】
例えば、1つのコードワードの復号を反復して実行する反復復号法が用いられる場合であって、コードワードの復号に成功(すなわちユーザデータの受信に成功)した場合に、その反復復号法において復号に成功した際の反復の回数を、確認応答に含めて送信しうる。すなわち、確認応答においてACKが送信される際に、ユーザデータの受信成功に付随する付随情報として、どれだけの回数の反復によって復号に成功したかが送信されるように、確認応答を構成する。例えば、復号に成功するまでの処理の反復回数が少ない(例えば1回などの)場合、無線品質が過剰に良好であると評価することができる。一方、復号に成功するまでの処理の反復回数が、事前に設定されている反復回数の最大値であった場合、そのコードワードについては復号に成功したが、無線品質が少しでも劣化した場合には復号に失敗する確率が一定程度あると評価することができる。このため、基地局装置101は、例えば復号に成功した際の反復回数が(例えば1回より多く、かつ、最大回数より少ない)所定回数に近接するように、付随情報を伴う確認応答に基づいて、使用するMCSを決定することができる。なお、反復回数は様々な粒度で表現されてもよく、付随情報のとり得る値の数を増やすほど、反復回数を示す粒度を細かく設定することができる。
【0020】
一例において、付随情報を伴う確認応答は、例えば、1回の復号処理でコードワードの復号に成功した場合に「1」、2回~9回の復号処理で復号に成功した場合に「2」、10回~最大反復回数の復号処理で復号に成功した場合に「3」、復号に失敗した場合に「4」などのように、4値で表現することができる。また、付随情報を伴う確認応答は、例えば、1回の復号処理でコードワードの復号に成功した場合に「1」、2回~3回の復号処理で復号に成功した場合に「2」、4回~5回の復号処理で復号に成功した場合に「3」、6回~7回の復号処理で復号に成功した場合に「4」、8回~9回の復号処理で復号に成功した場合に「5」、10回~11回の復号処理で復号に成功した場合に「6」、12回~最大反復回数の復号処理で復号に成功した場合に「7」、復号に失敗した場合に「0」のように、8値で表現されてもよい。なお、これらは一例に過ぎず、ビット列と復号回数との関係は上述の例と異なる対応関係で関連付けられてもよいし、例えば上述の例より詳細な情報を提供可能な形式の確認応答が用いられてもよい。また、上述の例では、付随情報を伴う確認応答が2の累乗個の値を取りうる場合について説明したが、取りうる値の個数は2の累乗個でなくてもよい。
【0021】
また、ユーザデータの受信の際に、例えばDMRS(Demodulation Reference Signal)などの既知の信号を用いてSINR(Signal to Interference plus Noise Ratio)等の無線品質を測定し、その測定結果の無線品質を示す値を付随情報として含めた確認応答が送受信されるようにしてもよい。なお、無線品質として、SNR(Signal to Noise Ratio)、RSSI(Received Signal Strength Indicator)、RSRP(Reference Signal Received Power)、RSRQ(Reference Signal Received Quality)などの他の数量が用いられてもよい。なお、この無線品質は、コードワードの復調に成功した場合に肯定応答に付随する情報として送受信されてもよいし、コードワードの復調に失敗した場合に否定応答に付随する情報として送受信されてもよい。すなわち、復号に成功している場合であっても、無線品質が不十分であるか、十分であるか、又は、過剰であるかが、付随情報として送受信されるようにすることで、通信状況に適したMCSの設定を行うことが可能となる。また、復号に失敗している場合に、無線品質に応じて、どのMCSを使用すべきかが適切に選択されるようにすることができる。すなわち、付随情報を用いない場合には、復号に成功するためには大幅にMCSを変更する(すなわち、干渉や雑音に対する耐性の強いMCSを選択する)必要がある場合であっても、徐々にMCSを変更することにより、復号誤りが継続してしまいうる。一方で、付随情報を伴う確認応答が送受信されることにより、一度に適切なMCSを設定することができるようになる。
【0022】
なお、この無線品質の情報と、上述の反復回数の情報とを組み合わせて用いるようにしてもよい。例えば、復号に成功した場合には反復回数が通知され、復号に失敗した場合には無線品質が通知されるように、付随情報を伴う確認応答が構成されてもよい。また、この場合に、復号に成功した際に、反復回数に加えて無線品質が通知されるようにしてもよい。
【0023】
本実施形態では、上りリンク制御情報を送信する際に使用されるべきリソースを複数含んだリソースのセットのうちの、いずれのリソースを用いるかに情報を持たせる。例えば、UCIにはユーザデータの受信に成功したか失敗したかを示す確認応答が含まれるが、本実施形態では、UCIが送信されるリソースと、確認応答として送信される値との組み合わせによって、ユーザデータの受信に成功したか否かを示す情報(第1の情報)とそのユーザデータの受信状況(例えば上述のような復号処理の反復回数や無線品質)を示す付随情報(第2の情報)との組み合わせを表現する。例えば、2つのリソースが用意されており、第1のリソースにおいて確認応答の値が「0」であるUCIが送信された場合、ユーザデータの受信に失敗したことを示し、第2のリソースにおいて確認応答の値が「0」であるUCIが送信された場合、復号処理の反復回数が1回でユーザデータの受信に成功したことを示しうる。また、第1のリソースにおいて確認応答の値が「1」であるUCIが送信された場合、復号処理の反復回数が2回~9回でユーザデータの受信に成功したことを示し、第2のリソースにおいて確認応答の値が「1」であるUCIが送信された場合、復号処理の反復回数が10回~最大反復回数においてユーザデータの受信に成功したことを示しうる。このように、確認応答として送信される値と、使用されるリソースとの関係により、ユーザデータの受信の成否と受信状況との組み合わせが示されうる。なお、使用可能なリソース数をNとすると、この手法により表現することができる情報の種類が2N個となる。このように、使用可能なリソースの数(「N」)を増やすことにより、より詳細な情報を伝達することができる。
【0024】
なお、複数の確認応答が送信される場合、その複数の確認応答のそれぞれについて対応する第2の情報が全て送信されてもよいし、例えば、最も多い/最も少ない反復回数や最も低い/最も高い無線品質、反復回数や無線品質の平均値や中央値、などの一部のコードワードに関する第2の情報のみが送信されるようにしてもよい。
【0025】
本実施形態の基地局装置101は、上述のような処理のために、端末装置102に対して、端末装置102がUCIを送信するためのリソースを複数含んだリソースのセットを通知する。なお、このときの複数のリソースのそれぞれと、そのリソースにおいて確認応答として送信される値との組み合わせが、ユーザデータの受信の成否を示す第1の情報とそのユーザデータの受信状況を示す第2の情報との組み合わせに関連付けられている。この関連付けのルールは、事前に(例えば規格による定義がなされることにより)基地局装置101と端末装置102との間で共有されていてもよいし、基地局装置101がその関連付けを決定して端末装置102へ通知してもよい。
【0026】
そして、基地局装置101は、端末装置102へ、ユーザデータを送信する。端末装置102は、ユーザデータを基地局装置101から受信すると、そのユーザデータの受信に成功したかを示す第1の情報と、そのユーザデータの受信状況を示す第2の情報とを特定する。そして、端末装置102は、通知されたリソースのセットの中から、第1の情報と第2の情報との組み合わせに関連付けられたリソースと、そのリソースで確認応答として送信されるべき値であって、前記第1の情報と前記第2の情報との組み合わせに関連付けられた値とを選択する。すなわち、端末装置102は、第1の情報及び第2の情報との組み合わせを表現している、UCIが送信されるリソースと、そのリソースにおいて確認応答として送信される値との組み合わせを特定する。そして、端末装置102は、その選択したリソースにおいて、選択した値を確認応答として含んだUCIを、基地局装置101へ送信する。基地局装置101は、端末装置102へ通知した複数のリソースにおいてUCIが受信されるのを待ち受け、そのいずれかのリソースでUCIを受信すると、そのリソースと、そのリソースにおいて確認応答として送信された値とに基づいて、上述の第1の値と第2の値との組み合わせを特定する。このようにして、端末装置102から、基地局装置101へ、ユーザデータの受信に成功したか否かのみならず、そのユーザデータの受信状況を通知することが可能となる。
【0027】
なお、基地局装置101は、UCIの送信に要するビット数の値のそれぞれに対して、それぞれ別個にリソースの第1のセットを関連付けた第3の情報を端末装置102へ通知しておき、その後、リソースの第1のセットのうち、端末装置102が上りリンク制御情報を送信するためのリソースを複数含んだリソースの第2のセットを示す第4の情報を、端末装置102へ通知するようにしてもよい。この場合、端末装置102は、例えば、ユーザデータの受信に成功したか失敗したかのみを示す(付随情報を用いない)場合のUCIのビット数に関連付けられたリソースの第1のセットを特定する。そして、端末装置102は、その第1のセットに含まれる第2のセットの中から、ユーザデータの受信の成否を示す第1の情報とそのユーザデータの受信状況を示す第2の情報との組み合わせに対応するリソースと、そのリソースにおいて送信されるべき値とを選択する。なお、上述の第3の情報は、例えばSIB(System Information Block)などのブロードキャスト信号によって送信され、第4の情報は、下りリンク制御情報(DCI)やRRC(無線リソース制御)シグナリングなどによって個別に送信されうる。なお、UCIの送信に要するビット数に対応するリソースの第1のセットは定義されなくてもよく、基地局装置101は、UCIの送信のための複数のリソースを直接指定して、端末装置102へ通知するようにしてもよい。
【0028】
なお、UCIの送信のための複数のリソースは、端末装置ごとに個別に設定され、一例において、複数の端末装置に対して指定されるリソースがそれぞれ重複しないように設定されうる。なお、一部のリソースが重複するように設定されてもよい。
【0029】
なお、基地局装置101は、付随情報を用いない場合は、例えば、従来通りにUCIを送信するためのリソースを1つだけ指定する情報を端末装置102へ通知しうる。端末装置102は、リソースが1つだけ通知されたことによって、従来の確認応答のみを送信すべきことを認識し、付随情報を伴わないUCIを送信することができる。なお、基地局装置101は、付随情報を伴う確認応答を使用するか、付随情報を伴わない確認応答を使用するかを、例えばサービス品質や、対応するターゲットのフレーム誤り率の値などに基づいて決定しうる。例えば、超高信頼を要求される通信サービスが提供される場合など、ターゲットのフレーム誤り率が所定値より低い場合に、付随情報を伴う確認応答を使用し、それ以外の場合には、付随情報を伴わない確認応答を使用するようにしてもよい。また、例えばターゲットのフレーム誤り率が低いほど、付随情報を伴う確認応答の情報量を増やす(例えばビット数を増やす、取りうる値の数を増やす)ようにしうる。付随情報を伴う確認応答の情報量を増やすことにより、受信の状態がより詳細に表現されることとなるため、その詳細な情報に基づいて、詳細かつ適切なMCSの設定等を行うことが可能となる。なお、ここでは、基地局装置101が、端末装置102へユーザデータを送信し、端末装置102が(必要に応じて付随情報を含む)確認応答を基地局装置101へ送信する場合について説明するが、これに限られない。すなわち、HARQ等の受信の成否に基づく無線リンクの制御等の、受信状況の詳細な報告が有用なシステムにおいて上述のような確認応答の高度化を使用することができる。
【0030】
なお、端末装置102は、上りリンクでユーザデータを送信するためのリソースが割り当てられている場合は、上述の第1の情報及び第2の情報を示す情報を、そのリソースを用いて送信することができる。すなわち、必要に応じて付随情報を伴う確認応答が、上りリンクのユーザデータと多重化されて、ユーザデータと共に送信されてもよい。
【0031】
以上のようにして、本実施形態では、HARQの確認応答を高度化することにより、端末装置102が、ユーザデータの受信状況を詳細に基地局装置101へ通知することを可能とする。これによれば、基地局装置101が、ユーザデータの送信に使用するMCSなどを、受信の成否によらずに適応的に調整することができるようになる。このため、少ない確認応答に基づいて、適切なMCSが使用されるように無線リンクの設定を行うことが可能となる。なお、このような確認応答の高度化は、HARQやARQ等の確認応答を使用する任意のシステムにおいて利用可能であり、端末装置102から送信されるユーザデータに対する確認応答についても適用可能であり、また、基地局装置101および端末装置102ではない任意の無線通信装置がこの手法を利用することができる。
【0032】
(装置の構成)
続いて、上述のような処理を実行する基地局装置101および端末装置102のハードウェア構成例について
図2を用いて説明する。基地局装置101および端末装置102は、一例において、プロセッサ201、ROM202、RAM203、記憶装置204、及び通信回路205を含んで構成される。プロセッサ201は、汎用のCPU(中央演算装置)や、ASIC(特定用途向け集積回路)等の、1つ以上の処理回路を含んで構成されるコンピュータであり、ROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、基地局装置101および端末装置102の全体の処理や、上述の各処理を実行する。ROM202は、基地局装置101および端末装置102が実行する処理に関するプログラムや各種パラメータ等の情報を記憶する読み出し専用メモリである。RAM203は、プロセッサ201がプログラムを実行する際のワークスペースとして機能し、また、一時的な情報を記憶するランダムアクセスメモリである。記憶装置204は、例えば着脱可能な外部記憶装置等によって構成される。通信回路205は、例えば、5Gの無線通信用の回路によって構成される。なお、
図2では、1つの通信回路205が図示されているが、基地局装置101および端末装置102は、複数の通信回路を有しうる。例えば、基地局装置101および端末装置102は、使用可能な複数の周波数帯域のそれぞれについて別個の通信回路205を有してもよい。また、基地局装置101および端末装置102は、複数の周波数帯域の少なくとも一部に対して共通の通信回路205を有してもよい。また、例えば端末装置102は、セルラ通信用の通信回路205のみならず、無線LAN等の他の無線通信規格に対応する通信回路205を有してもよい。
【0033】
図3は、端末装置102の機能構成例を示す図である。端末装置102は、その機能として、例えば、リソース情報取得部301と、ユーザデータ受信処理部302と、応答生成処理部303と、応答送信部304とを有する。なお、
図3では、本実施形態に特に関係する機能のみを示しており、端末装置102が有しうる他の各種機能については図示を省略している。例えば、端末装置102は、セルラ通信システムにおける端末装置が一般的に有する他の機能を当然に有する。また、
図3の機能ブロックは概略的に示したものであり、それぞれの機能ブロックが一体化されて実現されてもよいし、さらに細分化されてもよい。また、
図3の各機能は、例えば、プロセッサ201がROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを実行することにより実現されてもよいし、例えば通信回路205の内部に存在するプロセッサが所定のソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。
【0034】
リソース情報取得部301は、ユーザデータを受信した際に送信されるべき確認応答を含んだ、UCIの送信のためのリソースを複数含んだリソースのセットの情報を、基地局装置101から取得する。なお、リソース情報取得部301は、例えば、従来通りに、送信されるべきUCIのビット数のそれぞれについて別個に、リソースのセットを取得していてもよい。この場合、リソース情報取得部301は、UCIのビット数ごとのリソースの第1のセットを(例えば基地局装置101から送信されたSIB等のブロードキャスト信号によって)事前に取得しておき、その第1のセットの中から、複数のリソースを指定する第2のセットを指定する情報を取得しうる。第2のセットを指定する情報は、例えばDCIによって、ユーザデータの送信の際に送信される制御信号(PDCCH、物理下りリンク制御チャネル)によって通知されうる。この場合、第2のセットによって特定される複数のリソースが、UCIの送信のための複数のリソースとして取り扱われる。なお、UCIのビット数と関係なく、UCIの送信のためのリソースの候補として(多数のリソースを含んだ)リソースのセットを事前に規定しておき、そのいずれを使用するかを基地局装置101から端末装置102へ通知するようにしてもよい。
【0035】
UCIの送信のためのリソースの候補の一部が、実際にUCIを送信するのに使用可能なリソースとして指定される場合、例えば、リソース情報取得部301は、リソースの候補をそれぞれ一意に特定可能な識別番号のリストを取得しうる。また、リソースの候補のリストが事前に定義されている場合、そのリストにおける順序を示す番号によって、使用されるべきリソースが特定されてもよい。一例において、リソースの候補が16個存在する場合、その順序を示す番号0~15を用いて、使用すべきリソースが指定されうる。例えば、情報「0、7」によって、リストの最初に列挙されているリソースの候補と、リストの8番目に列挙されているリソースの候補が、使用すべきリソースとして指定されうる。なお、情報の順序に意味が持たされてもよい。例えば、「0、7」と情報が通知された場合には、1番目のリソースにおいて確認応答として「0」が送信されることによりユーザデータの受信に失敗したことが示され、1番目のリソースにおいて確認応答として「1」が送信されることにより無線品質が使用中のMCSに対して過剰に良好である値であることが示され、8番目のリソースにおいて確認応答「0」又は「1」が送信されることにより、無線品質がMCSに適した値であること又は無線品質が低いことが示されうる。一方、「7、0」と情報が通知された場合には、8番目のリソースにおいて確認応答として「0」が送信されることによりユーザデータの受信に失敗したことが示され、8番目のリソースにおいて確認応答として「1」が送信されることにより無線品質が使用中のMCSに対して過剰に良好である値であることが示され、1番目のリソースにおいて確認応答「0」又は「1」が送信されることにより、無線品質がMCSに適した値であること又は無線品質が低いことが示されうる。
【0036】
また、リソースの候補のリストに連続的に列挙されている複数のリソースを、先頭のリソースと使用可能なリソースの数とを用いて指定することにより、UCIの送信に使用可能なリソースが指定されてもよい。例えば、リソースの候補が16個存在する場合、その順序を示す番号0~15を用いて、情報「3、2」によって、4番目のリソースから2つ、すなわち、4番目のリソースと5番目のリソースとが、UCIの送信に使用可能であることが指定されうる。また、連続するリソースの先頭の番号と最後の番号とによって、UCIの送信に使用可能なリソースが指定されてもよい。例えば情報「3、8」により、4番目のリソースから9番目のリソースまでが、UCIの送信に使用可能なリソースとして指定されうる。また、この場合も、順序に情報を持たせてもよい。
【0037】
なお、UCIの送信に使用可能なリソースが1つだけ指定される場合は、従来のように付随情報を伴わない確認応答が送信されることとなる。
【0038】
ユーザデータ受信処理部302は、基地局装置101から送信されたユーザデータの受信処理を実行する。なお、ユーザデータ受信処理部302が実行する受信処理は、従来のユーザデータの受信処理と同様であるが、このときに、例えば反復復号法が用いられる場合の、復号に成功した時点での復号処理の反復回数や、DMRSに基づく無線品質の測定などを行い、その結果を保持・出力するように構成される。
【0039】
応答生成処理部303は、まず、ユーザデータ受信処理部302によってユーザデータの受信に成功したか失敗したかを示す第1の情報と、受信状況(例えば復号処理の反復回数や無線品質の測定値)を示す第2の情報との組み合わせを特定する。そして、その第1の情報と第2の情報との第1の組み合わせに関連付けられた、UCIの送信用のリソースと確認応答として送信すべき値との第2の組み合わせを特定する。そして、応答生成処理部303は、特定した第2の組み合わせに対応する確認応答の値を含んだUCIを生成する。
【0040】
応答送信部304は、応答生成処理部303によって生成されたUCIを、上述のようにして特定された第2の組み合わせに対応するUCIの送信用のリソースを用いて、基地局装置101へ送信する。
【0041】
図4は、基地局装置101の機能構成例を示す図である。基地局装置101は、その機能として、例えば、リソース情報通知部401、ユーザデータ送信部402、応答受信部403、および確認応答解析部404を有する。なお、
図4では、本実施形態に特に関係する機能のみを示しており、基地局装置101が有しうる他の各種機能については図示を省略している。例えば、基地局装置101は、セルラ通信システムにおける基地局装置が一般的に有する他の機能を当然に有する。また、
図4の機能ブロックは概略的に示したものであり、それぞれの機能ブロックが一体化されて実現されてもよいし、さらに細分化されてもよい。また、
図4の各機能は、例えば、プロセッサ201がROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを実行することにより実現されてもよいし、例えば通信回路205の内部に存在するプロセッサが所定のソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。
【0042】
リソース情報通知部401は、端末装置102がUCIを送信するために使用可能なリソースを複数含んだリソースのセットの情報を、端末装置102へ通知する。このリソースのセットの通知方法については、端末装置102のリソース情報取得部301に関する説明で述べたため、ここでは説明を省略する。ユーザデータ送信部402は、端末装置102へユーザデータを送信する。このユーザデータの送信は、従来の手法で行われるため、ここでは詳細に説明しない。応答受信部403は、ユーザデータに対する確認応答を含んだUCIを端末装置102から受信する。応答受信部403は、例えば、リソース情報通知部401によって端末装置102に通知したUCIの送信に使用可能な複数のリソースのそれぞれにおいて、端末装置102からのUCIを受信するのを待ち受け、その複数のリソースのいずれかにおいて、UCIを受信する。確認応答解析部404は、応答受信部403において受信されたUCIが、どのリソースにおいて受信されたか、および、そのUCIにおける確認応答として受信された値を特定する。そして、確認応答解析部404は、UCIが受信されたリソースと、確認応答として受信された値との組み合わせに基づいて、ユーザデータの受信に成功したか失敗したかを示す第1の情報とそのユーザデータの(受信の成否に追加した付随情報としての)受信状況を示す第2の情報との組み合わせを特定する。
【0043】
上述のような構成を用いることにより、端末装置102は、ユーザデータの受信に成功したか失敗したかを示す第1の情報とユーザデータの受信状況に関する付随情報を示す第2の情報との組み合わせを、UCIの送信に使用するリソースと、そのリソースで確認応答として送信される値との組み合わせにより示す。そして、基地局装置101は、UCIを受信したリソースと、そのリソースで確認応答として受信した値との組み合わせによって、上述の第1の情報と第2の情報との組み合わせを特定することができる。これによれば、ユーザデータの受信の成否のみならず、そのときの受信状況(例えば復号処理の反復回数や無線品質の測定値)が基地局装置101に通知されるため、少ない数の確認応答によって、基地局装置101がMCSを決定するなどの制御を迅速かつ適切に行うことができるようになる。
【0044】
(処理の流れ)
続いて、本実施形態に係る基地局装置101と端末装置102とが実行する処理の流れの例について、
図5を用いて概説する。なお、ここでは一例であり、基地局装置101および端末装置102は、上で例示したような各種の処理を実行してもよい。
【0045】
本処理において、まず、基地局装置101は、例えばブロードキャストされるSIB等を介して、UCIのビット数と関連付けられており、そのビット数のUCIを送信する際に使用すべきリソースの候補を複数示す情報を、端末装置102へ送信する(S501)。なお、この情報は、端末装置102に対して、例えばRRCメッセージ等を用いて個別に通知されてもよい。なお、UCIの送信に使用されうるリソースの候補が予め定められている場合や、UCIのビット数ごとのリソースのセットが定義されない場合などにおいては、S501の処理は省略されてもよい。基地局装置101は、端末装置102が実際にUCIの送信に使用可能な複数のリソースを特定する情報を、端末装置102へ送信する(S502)。その後、基地局装置101は、ユーザデータを端末装置102へ送信する(S503)。なお、端末装置102がUCIの送信に使用可能な複数のリソースを特定する情報は、RRCメッセージやDCIなどによって、端末装置102に対して個別に送信される。なお、DCIによる通知が行われる場合、S503のユーザデータの送信の際に共に送信されるPDCCHによって送信されるDCIによって、S502の情報が送信される。このため、S502とS503の処理は、1回のユーザデータの送信によって行われる。なお、基地局装置101は、ユーザデータの送信ごとにUCIの送信に使用可能なリソースを通知してもよいし、例えば、複数のユーザデータの送信に対して1回、UCIの送信に使用可能なリソースを通知してもよい。
【0046】
端末装置102は、ユーザデータを受信すると、そのユーザデータの受信状況を判定する(S504)。ここで、端末装置102は、そのユーザデータの受信(コードワードの復号)に成功したか否かを判定し、また、付随情報を伴う確認応答を送信する場合は、その付随情報の内容に対応して、無線品質や反復復号法による復号処理の反復回数などを判定する。そして、端末装置102は、判定した受信状況の結果(ユーザデータの受信の成否を示す情報と付随情報)に応じて、S502で特定されたUCIの送信に使用可能な複数のリソースの中から、使用するリソースを特定し、そのリソースにおいて確認応答として送信すべき値を特定する(S505)。そして、端末装置102は、その特定したリソースにおいて、特定した値を確認応答の値として有するUCIを基地局装置101へ送信する(S506)。
【0047】
基地局装置101は、UCIの送信に使用可能な複数のリソースにおいて確認応答が到来するのを待ち受け、そのいずれかのリソースにおいてUCIを受信する。そして、基地局装置101は、そのUCIをどのリソースにおいて受信したか、および、そのUCIに確認応答の値として含まれる値に基づいて、端末装置102がユーザデータの受信に成功したか失敗したか、および、そのユーザデータの受信の際に得られた付随情報(復号処理の反復回数や受信信号の無線品質など)を特定する(S507)。基地局装置101は、この特定した情報に基づいて、例えばMCSの調整などを実行することができる。
【0048】
このように、本実施形態では、付随情報を伴って確認応答を構成するようにしたことにより、ユーザデータの受信の成否のみならず、例えばどのような状況においてユーザデータの受信に成功/失敗したのかを、基地局装置101が認識することができるようになる。これにより、基地局装置101は、端末装置102との間の無線リンクを様々な状況において適切に制御することが可能となる。
【0049】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。