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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154692
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】クランプ及び電気融着継手ユニット
(51)【国際特許分類】
   F16L 47/12 20060101AFI20221005BHJP
   F16L 47/03 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
F16L47/12
F16L47/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057845
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】水川 賢司
【テーマコード(参考)】
3H019
【Fターム(参考)】
3H019GA02
3H019JA02
(57)【要約】
【課題】費用を抑えながら、継手重量が重い場合でも樹脂管同士の芯出し性能を確保できるクランプを提供する。
【解決手段】樹脂管Pと、樹脂管Pが熱融着により接続される電気融着継手Fと、を保持する樹脂製のクランプ100であって、樹脂管Pが電気融着継手Fの内部に配置された状態において、樹脂管Pを保持するように縮径可能な帯状の管締付帯部11と、電気融着継手Fを保持するように縮径可能な帯状の継手締付帯部12と、を備える締付帯部10と、締付帯部10の軸方向の周りに周回する周方向に互いに係合することで締付帯部10の縮径状態を維持する係合部20と、を備え、係合部20は、管締付帯部11に設けられた管側係合部21と、継手締付帯部12に設けられた継手側係合部22と、を備え、係合部20には、互いに係合可能な係合歯が形成されており、継手締付帯部12と管締付帯部11とは、連結部30によって軸方向に連結されている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂製の樹脂管と、前記樹脂管が熱融着により接続される電気融着継手と、を保持する樹脂製のクランプであって、
前記樹脂管が前記電気融着継手の内部に配置された状態において、前記樹脂管を保持するように縮径可能な帯状の管締付帯部と、前記電気融着継手を保持するように縮径可能な帯状の継手締付帯部と、を備える締付帯部と、
前記締付帯部の軸方向の周りに周回する周方向に互いに係合することで前記締付帯部の縮径状態を維持する係合部と、
を備え、
前記係合部は、前記管締付帯部に設けられた管側係合部と、前記継手締付帯部に設けられた継手側係合部と、を備え、
前記係合部には、互いに係合可能な係合歯が形成されており、
前記継手締付帯部と前記管締付帯部とは、連結部によって前記軸方向に連結されていることを特徴とする、
クランプ。
【請求項2】
前記係合部は前記締付帯部における前記周方向の端部に設けられ、
前記継手締付帯部の前記端部と前記管締付帯部の前記端部とが前記連結部によって連結されておらずに前記管側係合部と前記継手側係合部とが互いに独立していることを特徴とする、
請求項1に記載のクランプ。
【請求項3】
前記継手締付帯部の前記周方向の長さは、前記管締付帯部の前記周方向の長さより長いことを特徴とする、
請求項1又は2に記載のクランプ。
【請求項4】
前記継手締付帯部の軸方向の長さは、前記管締付帯部の軸方向の長さより長いことを特徴とする、
請求項1から3のいずれか1項に記載のクランプ。
【請求項5】
前記管側係合部と前記継手側係合部とは、前記樹脂管の径方向において互いに離れていることを特徴とする、
請求項1から4のいずれか1項に記載のクランプ。
【請求項6】
前記管締付帯部の及び前記継手締付帯部の内周面において、少なくとも1箇所ずつ突起部が設けられていることを特徴とする、
請求項1から5のいずれか1項に記載のクランプ。
【請求項7】
前記継手締付帯部には、前記電気融着継手の形状に対応した切欠部が設けられていることを特徴とする、
請求項1から6のいずれか1項に記載のクランプ。
【請求項8】
前記連結部には、前記電気融着継手への前記樹脂管の挿入状態を確認する挿入確認口が少なくとも1箇所以上設けられていることを特徴とする、
請求項1から7のいずれか1項に記載のクランプ。
【請求項9】
前記締付帯部が周方向に分割され、前記分割された箇所には、分割された前記締付帯部を互いに組み付ける組付部が設けられていることを特徴とする、
請求項1から8のいずれか1項に記載のクランプ。
【請求項10】
前記樹脂管を熱融着により接続する電気融着継手と、
請求項1から9のいずれか1項に記載のクランプと、
を備える、
電気融着継手ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランプ及び電気融着継手ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱可塑性樹脂製の樹脂管が熱融着により連結される電気融着継手が知られている。筒状の電気融着継手の内部に樹脂管を挿通した状態で給電端子に電流を流すと、電気融着継手の内部に設けられた電熱線が発熱する。この熱によって樹脂管の外周面が溶融され、電気融着継手の内周面と融着される。
上述の連結作業において、熱融着の最中に、電気融着継手と樹脂管とが位置ずれを起こすことがある。これを防ぐために、熱融着における冷却中に、電気融着継手における給電端子に取り付けた樹脂製のクランプによって樹脂管を保持する構造が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-211063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気融着継手および樹脂管に許容される位置ずれ量としては、例えば、電気融着継手の中心軸と樹脂管の中心軸との相対角度が3°以下であることが求められる。また、電気融着継手からの樹脂管の抜け量が1mm以内であることが求められる。
しかしながら、前記従来のクランプは、管を保持する締付部材と給電端子を保持する保持部とが部分的にしか一体化していない。このため、管軸方向の抜けに対しては強いが、特に継手重量が重くなる中口径及び大口径の樹脂管を融着する際は、樹脂管同士の芯出し性能が弱いという課題があった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、安価な構成として費用を抑えながら、継手重量が重い中口径及び大口径の場合でも、樹脂管同士の芯出し性能を確保できるクランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係るクランプは、熱可塑性樹脂製の樹脂管と、前記樹脂管が熱融着により接続される電気融着継手と、を保持する樹脂製のクランプであって、前記樹脂管が前記電気融着継手の内部に配置された状態において、前記樹脂管を保持するように縮径可能な帯状の管締付帯部と、前記電気融着継手を保持するように縮径可能な帯状の継手締付帯部と、を備える締付帯部と、前記締付帯部の軸方向の周りに周回する周方向に互いに係合することで前記締付帯部の縮径状態を維持する係合部と、を備え、前記係合部は、前記管締付帯部に設けられた管側係合部と、前記継手締付帯部に設けられた継手側係合部と、を備え、前記係合部には、互いに係合可能な係合歯が形成されており、前記継手締付帯部と前記管締付帯部とは、連結部によって前記軸方向に連結されていることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、継手締付帯部と管締付帯部とは、連結部によって軸方向に連結されている。つまり、樹脂管及び電気融着継手の周囲に、管締付帯部と継手締付帯部とが一体的に設けられている。
これにより、クランプの形状によって、樹脂管だけでなく電気融着継手も同時に保持することができる。よって、樹脂管と継手との間にずれや角度が生じることを防ぐことができる。その結果として、電気融着継手に挿入された樹脂管同士の間に角度が生じることを防ぐが可能となる。よって、樹脂管同士の芯出し性能を向上することができる。
【0008】
さらに、本発明に係るクランプは特殊な材質等を必要としないため安価な構成とすることができる。このため、大量に生産しても費用面に影響がないことから、複数の箇所で効率的に作業を行うことができる。
【0009】
また、前記係合部は前記締付帯部における前記周方向の端部に設けられ、前記継手締付帯部の前記端部と前記管締付帯部の前記端部とが前記連結部によって連結されておらずに前記管側係合部と前記継手側係合部とが互いに独立していることを特徴としてもよい。
【0010】
この発明によれば、管側係合部と継手側係合部とが互いに独立している。これにより、管締付帯部と継手締付帯部との一体性を保ちながら、管締付帯部の係合部と継手締付帯部の係合部とを独立して移動させることができる。よって、管締付帯部と継手締付帯部とを同時に縮径させる必要がないことから、作業を容易にすることができる。
【0011】
また、前記継手締付帯部の周方向の長さは、前記管締付帯部の周方向の長さより長いことを特徴としてもよい。
【0012】
この発明によれば、継手締付帯部の周方向の長さは、管締付帯部の周方向の長さより長い。つまり、継手締付帯部が保持できる外径は、管締付帯部が保持できる外径よりも大きい。よって、互いに外径の異なる樹脂管と電気融着継手とを、1つのクランプで保持することができる。
【0013】
また、前記継手締付帯部の前記軸方向の長さは、前記管締付帯部の前記軸方向の長さより長いことを特徴としてもよい。
【0014】
この発明によれば、継手締付帯部の軸方向の長さは、管締付帯部の軸方向の長さより長い。ここで、電気融着継手は、樹脂管に対して比較的重量が大きい。これに対し、継手締付帯部の軸方向の長さが管締付帯部の軸方向の長さより長いことで、継手締付帯部によってより電気融着継手を確実に保持することができる。
【0015】
また、前記管側係合部と前記継手側係合部とは、前記樹脂管の径方向において互いに離れていることを特徴としてもよい。
【0016】
この発明によれば、管側係合部と継手側係合部とは、樹脂管の径方向において互いに離れている。ここで、管側係合部と継手側係合部とが径方向において同じ位置にあると、管手締付帯部の縮径と継手締付帯部の縮径とが工具又は手等によって同時に行われることがある。これにより、上述の縮径が十分に行われないおそれがある。これに対し、管側係合部と継手側係合部とが径方向において互いに離れていることで、管手締付帯部の縮径と継手締付帯部の縮径とが同時に行われることを避けることができる。よって、上述の問題が生じることを防ぐことができる。
【0017】
また、前記管締付帯部の及び前記継手締付帯部の内周面において、少なくとも1箇所ずつ突起部が設けられていることを特徴としてもよい。
【0018】
この発明によれば、管締付帯部及び継手締付帯部の内周面において、少なくとも1箇所ずつ突起部が設けられている。つまり、管締付帯部及び継手締付帯部が縮径した時、突起部のみがそれぞれ樹脂管及び電気融着継手に接する。よって、締付帯部による締付力が突起部に集中することで、締付帯部による保持力を向上することができる。
【0019】
また、前記継手締付帯部には、前記電気融着継手の形状に対応した切欠部が設けられていることを特徴としてもよい。
【0020】
この発明によれば、継手締付帯部には電気融着継手の形状に対応した切欠部が設けられている。ここで、電気融着継手の端部付近には、給電端子やインジケータが設けられていることがある。このような形状に対応した切欠部を備えることによって、電気融着継手に干渉することなくクランプを取付けることができる。
【0021】
また、前記連結部には、前記電気融着継手への前記樹脂管の挿入状態を確認する挿入確認口が少なくとも1箇所以上設けられていることを特徴としてもよい。
【0022】
この発明によれば、連結部には挿入確認口が設けられている。これにより、電気融着継手による融着作業を開始する前に、樹脂管が電気融着継手に挿入されていることを目視で確認することができる。
【0023】
また、前記締付帯部が周方向に分割され、前記分割された箇所には、分割された前記締付帯部を互いに組み付ける組付部が設けられていることを特徴としてもよい。
【0024】
この発明によれば、締付帯部が周方向に分割されている。ここで、締付帯部が分割されていない場合、電気融着継手に対して位置合わせを行う際に、樹脂管にクランプが挿入された状態において、樹脂管の軸方向に沿ってクランプを移動させる必要がある。このとき、樹脂管の長さが短いと、十分にクランプを移動させることができない場合がある。これに対し、クランプが分割されていることで、樹脂管の上を移動させることなく、分割された締付帯部を、樹脂管に対して径方向の外側から近づけた後、係合部を係合させて組付部を組付ければよく、直接クランプを電気融着継手に取り付けることができる。
【0025】
また、本発明に係る電気融着継手ユニットは、前記樹脂管を熱融着により接続する電気融着継手と、前記クランプと、を備える。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、安価な構成として費用を抑えながら、継手重量が重い中口径及び大口径の場合でも、樹脂管同士の芯出し性能を確保できるクランプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態に係るクランプの斜視図である。
図2図1に示すクランプの正面図である。
図3図1に示すクランプの平面図である。
図4図1に示すクランプの側面図である。
図5図1に示すクランプの電気融着継手及び樹脂管への第1取付例である。
図6図5のVI-VI方向の断面図である。
図7図1に示すクランプの電気融着継手及び樹脂管への第1取付例である。
図8図7のVIII-VIII方向の断面図である。
図9図1に示すクランプを用いた電気融着継手と樹脂管との接続工程を示す図である。
図10図9において樹脂管を電気融着継手に挿入した状態を示す図である。
図11】本発明に係るクランプが締付帯部において分割された変形例である。
図12図11に示すクランプの正面図である。
図13図11に示すクランプの雌側クランプの平面図である。
図14図11にクランプの第1方向の側面図である。
図15図11にクランプの第2方向の側面図である。
図16図11に示すクランプの管への取付け工程を示す模式図である。
図17図11に示すクランプが接続状態の管及び電気融着継手に取り付けられた状態を示す図である。
図18図11に示すクランプの施工例である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係るクランプ100を説明する。
図1に示すクランプ100は、下記の工程により樹脂管Pと電気融着継手Fとを融着する際に用いられる。具体的には、電気融着継手Fに熱可塑性樹脂製の樹脂管Pが挿入された状態で、電気融着継手Fの備える端子Tから電流を負荷する。すると、電気融着継手Fの備える不図示の電熱線が熱を生ずる。これにより、電気融着継手Fと樹脂管Pとの表面が熱融着する。
【0029】
本実施形態に係るクランプ100は、上述の工程を行う際、樹脂管Pと電気融着継手Fとの接続部に取り付けることで、樹脂管Pと電気融着継手Fとの位置及び中心軸がずれないようにする役割を有する。なお、樹脂管Pと電気融着継手Fとが接合された後、クランプ100は他の箇所に使い回すことなく、当該接続部に残置される。
本実施形態に係るクランプ100は、樹脂製であり、例えば、硬質塩化ビニル、耐衝撃性硬質塩化ビニル、ポリアセタール、ナイロン等が好適に用いられる。
以下において、各構成部品の方向を定義する際、電気融着継手Fの中心軸の方向を軸方向、電気融着継手F及び樹脂管Pの径方向を径方向、軸方向を周回する方向を周方向と呼称することがある。
【0030】
図1及び図2に示すクランプ100は、締付帯部10と、係合部20と、連結部30と、を備える。
締付帯部10は、樹脂管Pが電気融着継手Fの内部に配置された状態において、樹脂管P及び電気融着継手Fを保持する役割を有する。締付帯部10は、管締付帯部11と継手締付帯部12と、を備える。
【0031】
管締付帯部11は、電気融着継手Fに挿入された樹脂管Pを保持する。管締付帯部11は、樹脂管Pの周方向に沿うように環状に形成された帯状の部材である。管締付帯部11の周方向の長さは、樹脂管Pの外径より長い。また、前記帯状の両端部には、管側係合部21が形成されている(後述する)。また、管締付帯部11の前記環状の内周面には、管側突起部11pを備える。
【0032】
管側突起部11pは、管締付帯部11の内周面に少なくとも1箇所設けられる。図1に示すように、管側突起部11pは管締付帯部11の帯状に沿って環状に設けられている。あるいは、管側突起部11pは間隔をあけて複数設けられていてもよい。管側突起部11pは、管締付帯部11によって樹脂管Pを保持する際に樹脂管Pに接する部位である。管締付帯部11によって樹脂管Pを締め付ける力が管側突起部11pに集中することで、樹脂管Pの保持力を向上する役割を有する。
【0033】
継手締付帯部12は、電気融着継手Fに樹脂管Pが挿入された状態において、電気融着継手Fを保持する。継手締付帯部12は、電気融着継手Fの周方向に沿うように環状に形成された帯状の部材である。ここで、継手締付帯部12が保持する電気融着継手Fには樹脂管Pが挿入される。このため、継手締付帯部12の環状の内径は、管締付帯部11の内径よりも大きい。継手締付帯部12の周方向の長さは、管締付帯部11の周方向の長さよりも長い。また、継手締付帯部12の軸方向の長さ、すなわち継手締付帯部12の前記帯状の幅は、管締付帯部11の軸方向の長さより長い。
【0034】
樹脂管Pが差し込まれる電気融着継手Fの開口部において、電気融着継手Fの外径は、樹脂管Pの外径より大きい。継手締付帯部12の周方向の長さは、電気融着継手Fの前記開口部の外径より長い。また、継手締付帯部12と管締付帯部11とは連結部30によって連結される(後述する)。このため、継手締付帯部12の管締付帯部11に面する側の端部は、管締付帯部11に向かって中心側に延びている。つまり、継手締付帯部12は断面L字状となっている。
【0035】
継手締付帯部12の帯状の両端部には、継手側係合部22が形成されている(後述する)。また、継手締付帯部12の前記環状の内周面には、継手側突起部12pを備える。更に、継手締付帯部12には、電気融着継手Fの形状に対応した切欠部12hを備える。
継手側突起部12pは、継手締付帯部12の内周面に少なくとも1箇所設けられる。継手側突起部12pは継手締付帯部12の帯状に沿って環状に設けられている。あるいは、間隔をあけて複数設けられていてもよい。継手側突起部12pは、継手締付帯部12によって電気融着継手Fを保持する際に電気融着継手Fに接する部位である、継手締付帯部12によって電気融着継手Fを締め付ける力が継手側突起部12pに集中することで、電気融着継手Fの保持力を向上する役割を有する。
【0036】
切欠部12hは、継手締付帯部12を電気融着継手Fに取り付けるとき、電気融着継手Fの形状(特に端子T)と干渉することで継手締付帯部12が取りつけられなくなることを防ぐ。切欠部12hは、電気融着継手Fの形状に対応するために、端子Tの形状及び大きさに合わせて設けられる。
ここで、電気融着継手Fに設けられる端子Tは、同じ口径の電気融着継手Fであっても品種によって大きさや位置が異なることがある。このため、切欠き部は、複数の種類の端子Tの形状に対して対応できるように形成されている。
【0037】
図3に示すように、切欠部12hは、第1切欠部12h1と、第2切欠部12h2と、を備える。
第1切欠部12h1は、継手締付帯部12の軸方向において比較的中央側に設けられた円状の切り欠きである。第1切欠部12h1は、図7及び図8に示すように、電気融着継手Fにおいて比較的端部付近に設けられ、かつ比較的小径の端子Tに対応して設けられた形状である。
【0038】
第2切欠部12h2は、継手締付帯部12の軸方向において管締付帯部11に面しない側の端部側に設けられた半円状の切り欠きである。また、第2切欠部12h2の一部は、第1切欠部12h1の一部と連結している。第2切欠部12h2は、図5及び図6に示すように、電気融着継手Fにおいて比較的端部付近から離れた箇所に設けられ、かつ比較的大径の端子Tに対応して設けられた形状である。
【0039】
上述のように、大きさの異なる第1切欠部12h1と第2切欠部12h2を備えることで、複数の種類の端子形状に対応できるようにする。あるいは、比較的大径の第1切欠部12h1を大まかな位置合わせに用いて、細かな位置決めに比較的小径の第2切欠部12h2を用いるといった用途としてもよい。
【0040】
係合部20は、上述の締付帯部10の帯状の両端部に設けられる。係合部20は、締付帯部10の両端部を周方向に互いに係合させることで締付帯部10の環状の径を縮径可能とする。これにより、締付帯部10によって樹脂管P及び電気融着継手Fを締め付けて保持する役割を有する。係合部20は、管側係合部21と、継手側係合部22と、を備える。
【0041】
管側係合部21は、管締付帯部11の帯状の両端に設けられる。管側係合部21は、管側雄部21mと、管側雌部21fと、を備える。
管側雄部21mは、管締付帯部11の帯状の一方の端に設けられる。管側雄部21mは、管側雄係合歯21mtと、管側雄把持部21mgと、を備える。管側雄係合歯21mtは、管側雌部21fに挿入され、管側雌係合歯21ftと係合可能である。管側雄把持部21mgは、管側雄部21mの管締付帯部11の側における径方向の外側に立ち上がった部位である。
【0042】
管側雌部21fは、管締付帯部11の帯状の他方の端に設けられる。管側雌部21fは、管側雌係合歯21ftと、管側雌把持部21fgと、を備える。
管側雌部21fの管締付帯部11の側は径方向の外側に立ち上がっている。更に、前記立ち上がった部位の径方向外側の端部は、周方向に沿って管締付帯部11の帯状の他方の端側に更に立ち上がっている。これにより、管側雌部21fはL字状の形状を備える。このL字状の形状と、管締付帯部11の他方の端部に位置する帯状とによって、管側雌部21fが形成される。
【0043】
管側雌部21fは、前記立ち上がった部位の径方向外側の端部から周方向に立ち上がった部位における、管締付帯部11の帯状に面した側の部位に管側雌係合歯21ftを備える。管側雌係合歯21ftは、管側雄係合歯21mtと係合し、管側雄部21mが管側雌部21fから抜けることを防ぎ、管締付帯部11の縮径状態を維持する役割を有する。
管側雌把持部21fgは、管側雌部21fの、特に管締付帯部11から径方向の外側に立ち上がった部位を指す。
【0044】
管側雄部21mを管側雌部21fに挿入する時は、管側雄把持部21mgと、管側雌把持部21fgとを同時に工具又は手等によって挟み込むことで挿入力を付与する。また、管側雄部21mが管側雌部21fに挿入されると、管側雌部21fの先端と、管側雄把持部21mgとが突き当たる。これにより、管側雄把持部21mgは、挿入量を規制するストッパとしての役割も有する。
【0045】
継手側係合部22は、継手締付帯部12の帯状の両端に設けられる。継手側係合部22は、継手側雄部22mと、継手側雌部22fと、を備える。
継手側雄部22mは、継手締付帯部12の帯状の一方の端に設けられる。継手側雄部22mは、継手側雄係合歯22mtと、継手側雄把持部22mgと、を備える。継手側雄係合歯22mtは、継手側雌部22fに挿入され、継手側雌係合歯22ftと係合可能である。継手側雄把持部22mgは、継手側雄部22mの継手締付帯部12の側における径方向の外側に立ち上がった部位である。
【0046】
継手側雌部22fは、継手締付帯部12の帯状の他方の端に設けられる。継手側雌部22fは、継手側雌係合歯22ftと、継手側雌把持部22fgと、を備える。
継手側雌部22fの継手締付帯部12の側は径方向の外側に立ち上がっている。更に、前記立ち上がった部位の径方向外側の端部は、周方向に沿って継手締付帯部12の帯状の他方の端側に更に立ち上がっている。これにより、継手側雌部22fはL字状の形状を備える。このL字状の形状と、継手締付帯部12の他方の端部に位置する帯状とによって、継手側雌部22fが形成される。
【0047】
継手側雌部22fは、前記立ち上がった部位の径方向外側の端部から周方向に立ち上がった部位における、継手締付帯部12の帯状に面した側の部位に継手側雌係合歯22ftを備える。継手側雌係合歯22ftは、継手側雄係合歯22mtと係合し、継手側雄部22mが継手側雌部22fから抜けることを防ぎ、継手締付帯部12の縮径状態を維持する役割を有する。
継手側雌把持部22fgは、継手側雌部22fの、特に継手締付帯部12から径方向の外側に立ち上がった部位を指す。
【0048】
継手側雄部22mを継手側雌部22fに挿入する時は、継手側雄把持部22mgと、継手側雌把持部22fgとを同時に工具又は手等によって挟み込むことで挿入力を付与する。また、継手側雄部22mが継手側雌部22fに挿入されると、継手側雌部22fの先端と、継手側雄把持部22mgとが突き当たる。これにより、継手側雄把持部22mgは、挿入量を規制するストッパとしての役割も有する。
以下において、管側雌係合歯21ft、管側雄係合歯21mt、継手側雌係合歯22ft、継手側雄係合歯22mtをまとめて、係合歯と呼称することがある。また、管側突起部11p、継手側突起部12pをまとめて、突起部と呼称することがある。
【0049】
図2に示すように、管側係合部21と継手側係合部22とは、径方向において互いに離れていることが好ましい。より具体的には、管側係合部21の管側雄把持部21mg及び管側雌把持部21fgと、継手側係合部22の継手側雄把持部22mg及び継手側雌把持部22fgは、径方向において互いに離れていることが好ましい。ここで、径方向においてこれらの部位が同じ位置にあると、工具又は手等によって管側係合部21及び継手側係合部22に挿入力を付与する時、管側係合部21と継手側係合部22が同時に把持されることがある。これにより、管側係合部21又は継手側係合部22において係合歯の挿入量が十分に得られない原因となる。上述のようにこれらの部位が径方向において互いに離れていることで、上述の問題が発生することを防ぎ、確実に挿入作業が行われることを担保する。
【0050】
また、図2に示すように、管側係合部21の管側雄把持部21mg及び管側雌把持部21fgと、継手側係合部22の継手側雄把持部22mg及び管側雌把持部21fgとは、周方向において互いに同じ位置にあることが好ましい。言い換えれば、図2のような軸方向からの視点において、これらの部位が互いに面一となることが好ましい。これにより、管側係合部21と継手側係合部22とにそれぞれ挿入力を付与する際、工具又は手等を円滑に移動させることができる。これにより、作業性の向上を担保する。
【0051】
連結部30は、管締付帯部11と継手締付帯部12とを連結する。これにより、クランプ100において管締付帯部11と継手締付帯部12とを一体に成形することで、クランプ100によって樹脂管Pと電気融着継手Fとを一体的に保持するようにする。
図3及び図4に示すように、連結部30は、周方向の半周程度に設けられていることが好ましい。連結部30が設けられていない周方向の残りの半周の部位は、管締付帯部11と継手締付帯部12とが連結されていない隙間部30sが形成されている。
【0052】
なお、係合部20は、クランプ100の周方向においてこの隙間部30sが形成されている領域に含まれていることが好ましい。係合部20が隙間部30sの形成されている領域に含まれるということは、継手締付帯部12の端部と管締付帯部11の端部とが連結部30によって連結されておらずに、管側係合部21と継手側係合部22とが互いに独立していることを意味する。
【0053】
このような形状とすることで、管側係合部21の係合と継手側係合部22の係合とは、それぞれ別個に行うことができる。ここで、樹脂管P及び電気融着継手Fの外径には交差の範囲でバラツキがある。また、樹脂管P及び電気融着継手Fのバラツキは一様とならない。このため、管側係合部21と継手側係合部22とが互いに独立せず一体となっていると、管側係合部21と継手側係合部22の締付量が共通となることから、係合部20のいずれかが締付不足となることがある。管側係合部21と継手側係合部22の係合を別個に行うことができることで、上述の問題を避けることができるほか、工具などを用いた係合の作業を容易とすることができる。
【0054】
挿入確認口30hは、管締付帯部11と継手締付帯部12との間に設けられた貫通穴である。挿入確認口30hは、樹脂管Pが電気融着継手Fに挿入され、更にクランプ100が取付けられた状態において、挿入確認口30hから樹脂管Pと電気融着継手Fとの接続部を可視化する役割を有する。これにより、樹脂管Pが電気融着継手Fから抜けていないかを確認するために用いられる。
【0055】
挿入確認口30hは、クランプ100の周方向において少なくとも1箇所以上設けられていることが好ましい。挿入確認口30hは、例えば、図3及び図4に示すように、周方向に設けられた連結部30の両端、つまり、隙間部30sの両端に設けられていることが好ましい。このような形状とすることで、挿入確認口30hは、上記の役割に加えて、締付帯部10を移動した際におけるクランプ100の応力集中を少なくし、材料の割れるリスクを低減する役割も同時に有する。
【0056】
このような構成を備えるクランプ100と電気融着継手Fからなる電気融着継手ユニットを用いた樹脂管Pと電気融着継手Fとの保持については、下記のように行われる。
すなわち、まず、図9に示すように、予め樹脂管Pにクランプ100を取付け、樹脂管Pの電気融着継手Fに対する挿入代から十分離れた位置に配置する。この状態で樹脂管Pを電気融着継手Fに挿入する。その後、図10に示すように、電気融着継手Fの端子Tと継手締付帯部12の切欠部12hとの位置を合わせながらクランプ100を樹脂管Pに沿って移動させる。そして、ペンチ等の工具などを用いて係合部20をそれぞれ係合させて締付帯部10の管側突起部11p及び継手側突起部12pを樹脂管P及び電気融着継手Fにそれぞれ接することで、樹脂管P及び電気融着継手Fを保持する。
【0057】
ここで、通常、電気融着継手Fは、樹脂管Pに対して比較的重量が大きい。このため、樹脂管Pを電気融着継手Fに挿入すると、電気融着継手Fが樹脂管Pの中心軸に対してずれようとする。これに対し、継手締付帯部12の軸方向の長さは、管締付帯部11の軸方向の長さより長い。このため、電気融着継手Fを確実に固定することができる。よって、電気融着継手Fと樹脂管Pとの芯出しの精度が高まる。
【0058】
次に、本実施形態に係るクランプ100の変形例について説明する。すなわち、図11に示すように、組付部40を備えていてもよい。言い換えると、本実施形態に係るクランプ100は、締付帯部10において周方向に分割されていてもよい。この場合における組付部40は、図11及び図12に示すように、雄側組付部41と、雌側組付部42と、を備える。
このように、クランプ100が分割されている場合は、雄側組付部41を備える側を雄側クランプ51、雌側組付部42を備える側を雌側クランプ52と称することがある。
【0059】
雄側組付部41と雌側組付部42は互いに係合可能な形状を有しており、雌側組付部42に雄側組付部41を挿入することで係合する。
互いに対応した形状同士を係合する点では係合部20と同じであるが、係合部20が係合歯を備えて挿入量を調整できることに対して、組付部40は単に互いを組み合わせるのみである点において相違する。
【0060】
また、本実施形態において、図12に示すように、雄側組付部41はクランプ100における管側雄部21m及び継手側雄部22mが設けられた側に設けられ、雌側組付部42はクランプ100における管側雌部21f及び継手側雌部22fが設けられた側に設けられているが、これに限らない。つまり、上記組み合わせは逆であってもよい。
【0061】
雄側組付部41は、雄側クランプ51における締付帯部10の分割された端部から、径方向の外側に立ち上がるように形成される。雄側組付部41は、例えば、雌側組付部42の穴42hに挿入できるような四角柱状であることが好ましい。また、これに加えて、前記四角柱状の径方向外側の端部には、雌側組付部42に引掛けられるような爪状の形状を備えていてもよい。
【0062】
雌側組付部42は、雌側クランプ52における締付帯部10の分割された端部から、径方向の外側に立ち上がるように形成された部位を根元として、前記根元から雄側組付部41が設けられた側に向かって更に立ち上がるように形成される。雌側組付部42における前記根元から更に立ち上がった部位には、雄側組付部41を受け入れるための穴42hが形成される。
【0063】
穴42hは、雌側組付部42を径方向に貫通する。この穴42hに雄側組付部41を挿入することで、雄側組付部41と雌側組付部42とを係合する。本実施形態において、穴42hは、雄側組付部41の四角柱状を受け入れられるように四角柱状に形成されていることが好ましい。また、上述のように雄側組付部41に爪状の形状を備えている場合は、雌側組付部42に前記爪状に対応した形状を有していてもよい。
【0064】
このように、雄側組付部41を備える雄側クランプ51と雌側組付部42を備える雌側クランプ52とにより構成されるクランプ100を用いた樹脂管Pと電気融着継手Fとの保持については、下記のように行われる。
すなわち、まず、図16に示すように、予め樹脂管Pを電気融着継手Fに挿入した状態で、樹脂管Pの径方向外側から雄側クランプ51及び雌側クランプ52を接近させる。このとき、電気融着継手Fの端子Tとクランプ100の切欠部12hとの位置を合わせながら、雌側クランプ52を樹脂管P及び電気融着継手Fに接する。次に、雌側クランプ52の雌側組付部42に、雄側クランプ51の雄側組付部41を挿入する。その後に雄側クランプ51の締付帯部10を樹脂管Pに接するように移動させ、係合部20を係合させる。
【0065】
上記工程によってクランプ100が樹脂管P及び電気融着継手Fに係合されると、図17に示すような状態となる。このように、組付部40が係合された後は、組付部40を有さないクランプ100と同様の組付状態となる。
このような構成を備えるクランプ100は、一例として、下記のような施工条件の場合に有効である。すなわち、図18に示すように、施工現場のレイアウト条件によって樹脂管Pの両端に設けられたエルボE同士の距離が短い場合は、樹脂管Pの長さを短くせざるを得ないことがある。この場合は、図9及び図10のように樹脂管Pの上においてクランプ100を十分に移動させることができない。このような場合において、組付部40を有さないクランプ100は、締付帯部10を開口するように広げる必要があるが、クランプ100が破損するおそれがある。
【0066】
これに対して、組付部40を備えるクランプ100によっては、先に樹脂管Pが電気融着継手Fに挿入された状態で、クランプ100を後付けすることができる。よって、樹脂管Pの上を移動させることなく、直接クランプを電気融着継手Fに取り付ける必要がある場合に有効である。
【0067】
以上説明したように、本実施形態に係るクランプ100によれば、継手締付帯部12と管締付帯部11とは、連結部30によって軸方向に連結されている。つまり、樹脂管P及び電気融着継手Fの周囲に、管締付帯部11と継手締付帯部12とが一体的に設けられている。
これにより、クランプ100の形状によって、樹脂管Pだけでなく電気融着継手Fも同時に保持することができる。よって、樹脂管Pと継手との間にずれや角度が生じることを防ぐことができる。その結果として、電気融着継手Fに挿入された樹脂管同士の間に角度が生じることを防ぐが可能となる。よって、樹脂管同士の芯出し性能を向上することができる。
【0068】
さらに、本発明に係るクランプ100は特殊な材質等を必要としないため安価な構成とすることができる。このため、大量に生産しても費用面に影響がないことから、複数の箇所で効率的に作業を行うことができる。
【0069】
また、管側係合部21と継手側係合部22とが互いに独立している。これにより、管締付帯部11と継手締付帯部12との一体性を保ちながら、管締付帯部11の係合部20と継手締付帯部12の係合部20とを独立して移動させることができる。よって、管締付帯部11と継手締付帯部12とを同時に縮径させる必要がないことから、作業を容易にすることができる。
【0070】
また、継手締付帯部12の周方向の長さは、管締付帯部11の周方向の長さより長い。つまり、継手締付帯部12が保持できる外径は、管締付帯部11が保持できる外径よりも大きい。よって、互いに外径の異なる樹脂管Pと電気融着継手Fとを、1つのクランプ100で保持することができる。
【0071】
また、継手締付帯部12の軸方向の長さは、管締付帯部11の軸方向の長さより長い。ここで、電気融着継手Fは、樹脂管Pに対して比較的重量が大きい。これに対し、継手締付帯部12の軸方向の長さが管締付帯部11の軸方向の長さより長いことで、継手締付帯部12によってより電気融着継手Fを確実に保持することができる。
【0072】
また、管側係合部21と継手側係合部22とは、樹脂管Pの径方向において互いに離れている。ここで、管側係合部21と継手側係合部22とが径方向において同じ位置にあると、管締付帯部11の縮径と継手締付帯部12の縮径とが工具又は手等によって同時に行われることがある。これにより、上述の縮径が十分に行われないおそれがある。これに対し、管側係合部21と継手側係合部22とが径方向において互いに離れていることで、管締付帯部11の縮径と継手締付帯部12の縮径とが同時に行われることを避けることができる。よって、上述の問題が生じることを防ぐことができる。
【0073】
また、管締付帯部11及び継手締付帯部12の内周面において、少なくとも1箇所ずつ突起部が設けられている。つまり、管締付帯部11及び継手締付帯部12が縮径した時、突起部のみがそれぞれ樹脂管P及び電気融着継手Fに接する。よって、締付帯部10による締付力が突起部に集中することで、締付帯部10による保持力を向上することができる。
【0074】
また、継手締付帯部12には電気融着継手Fの形状に対応した切欠部12hが設けられている。ここで、電気融着継手Fの端部付近には、給電端子やインジケータが設けられていることがある。このような形状に対応した切欠部12hを備えることによって、電気融着継手Fに干渉することなくクランプ100を取付けることができる。
【0075】
また、連結部30には挿入確認口30hが設けられている。これにより、電気融着継手Fによる融着作業を開始する前に、樹脂管Pの電気融着継手Fへの挿入状態を目視で確認することができる。
【0076】
また、締付帯部10が周方向に分割されている。ここで、締付帯部10が分割されていない場合、電気融着継手Fに対して位置合わせを行う際に、樹脂管Pにクランプ100が挿入された状態において、樹脂管Pの軸方向に沿ってクランプ100を移動させる必要がある。このとき、樹脂管Pの長さが短いと、十分にクランプ100を移動させることができない場合がある。これに対し、クランプ100が分割されていることで、樹脂管Pの上を移動させることなく、分割された締付帯部10を、樹脂管Pに対して径方向の外側から近づけた後、係合部20を係合させて組付部40を組付ければよく、直接クランプを電気融着継手Fに取り付けることができる。
【0077】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、管側雌係合歯21ft及び継手側雌係合歯22ftは、それぞれL字状における締付帯部10に面した側に備えられているものとして説明したが、前記L字状に面する締付帯部10の側にも同様の係合歯が設けられていてもよい。つまり、管側雄係合歯21mt及び継手側雄係合歯22mtは、径方向における両面に係合歯を備えていてもよい。
また、挿入確認口30hは連結部30の周方向の両端部に設けられているとして説明したが、例えば、連結部30の周方向に間欠部を設けるように、挿入確認口30hが設けられていてもよい。
また、管側雄把持部21mg及び管側雌把持部21fgと、継手側雄把持部22mg及び継手側雌把持部22fgとは、周方向において互いに同じ位置にあることが好ましいと説明したが、これに限らない。例えば、管側係合部21と継手側係合部22とが、図2のような軸方向からの視点における中心軸を基準とした4象限において同一の象限に含まれるようにすることで、上述の作業性の向上を担保するとしてもよい。
【0078】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0079】
10 締付帯部
11 管締付帯部
12 継手締付帯部
12h 切欠部
20 係合部
21 管側係合部
22 継手側係合部
30 連結部
30h 挿入確認口
40 組付部
100 クランプ
F 電気融着継手
P 樹脂管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18