(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154704
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】測定装置の導通構造
(51)【国際特許分類】
G01L 19/00 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
G01L19/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057862
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】神谷 聡
(72)【発明者】
【氏名】森 雷太
(72)【発明者】
【氏名】川津 孝圭
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA39
2F055BB08
2F055CC02
2F055DD20
2F055EE25
2F055FF43
2F055GG11
(57)【要約】
【課題】測定装置の組み立てを容易にする。
【解決手段】測定装置の導通構造Sでは、第1方向(上下方向)に延びている導電ピン34Aの先端部と、第1方向とは異なる第2方向(左右方向)に延びている配線L1の一端部L1aと、が端子板41を介して電気的に接続されている。さらに、圧力センサ30の金属部分である上ケース31Cに配置されたインシュレータ45が、導電ピン34Aの先端部が挿入される挿入孔45Aと、配線L1の一端部L1aが挿入される挿入溝45Dと、を備える。そして、挿入孔45Aは、上ケース31Cに向き合うインシュレータ45の下面に開口して第1方向に延びている。挿入溝45Dは、インシュレータ45の下面と反対の上面に開口して第2方向に延び、挿入孔45Aと連通している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理量を検出し、当該物理量を示す電気信号を出力するセンサ素子と、当該センサ素子を収容するケースであり貫通孔が形成された金属部分を有するケースと、第1方向に延びて前記貫通孔を通り、前記電気信号を前記ケースの外部に取り出す導電ピンと、前記貫通孔の内壁と前記導電ピンとの間をシールするハーメチックシールと、を備えるセンサと、
前記導電ピンにより取り出された前記電気信号を伝送する配線であり、前記第1方向とは異なる第2方向に延びた一端部が前記導電ピンの先端部に電気的に接続された配線と、
前記センサの前記金属部分上に固定されたインシュレータであり、前記金属部分と向き合う第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、前記第1面に開口して前記第1方向に延び、前記導電ピンの前記先端部が挿入される挿入孔と、前記第2面に開口して前記第2方向に延び、前記挿入孔と連通し、前記配線の前記一端部が挿入される挿入溝と、を備えるインシュレータと、
を備える測定装置の導通構造。
【請求項2】
前記第2方向に延びた導電性の端子板であって、前記導電ピンの前記先端部が接続された第1接続部と、前記配線の前記一端部が接続された第2接続部とを備える端子板をさらに備える、
請求項1に記載の測定装置の導通構造。
【請求項3】
前記挿入孔は、前記第1面から前記第2面に至る貫通孔であり、
前記端子板の前記第1接続部は、前記挿入孔内に収容されて、前記インシュレータから前記第2面側に露出し、
前記第1接続部と前記導電ピンの前記先端部とは溶接されている、
請求項2に記載の測定装置の導通構造。
【請求項4】
前記第2接続部と前記配線の前記一端部とは圧着されている、
請求項3に記載の測定装置の導通構造。
【請求項5】
前記第1方向と前記第2方向とは直交している、
請求項1から4のいずれか1項に記載の測定装置の導通構造。
【請求項6】
前記インシュレータに被さり、前記配線の前記一端部が挿入された前記挿入溝を覆うホルダをさらに備える、
請求項1から5のいずれか1項に記載の測定装置の導通構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隔膜真空計などの各種の測定装置の導通構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、隔膜真空計などの測定装置に使用されるセンサとして、物理量を検出し、当該物理量を示す電気信号を出力するセンサ素子(30)と、当該センサ素子を収容する金属製のケース(10)と、前記電気信号を前記ケースの外部に取り出す導電ピン(41)と、を備えたセンサが開示されている(括弧内の符号は、特許文献1の参照符号を示す)。このセンサは、導電ピンの信号の電位が、金属製のケースの電位から影響を受けることを防止するため、導電ピンを囲む円筒状のシールド(42)も備える。このようなセンサは、真空計などの所望の測定装置に使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記測定装置の組み立て時、導電ピンは上記測定装置の同軸ケーブルの内部導体と電気的に接続され、シールドは同軸ケーブルの外部導体と電気的に接続される。しかし、シールドと外部導体との電気的な接続は、溶接等により行われ、手間がかかる。
【0005】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、測定装置の組み立てを容易にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る測定装置の導通構造は、物理量を検出し、当該物理量を示す電気信号を出力するセンサ素子と、当該センサ素子を収容するケースであり貫通孔が形成された金属部分を有するケースと、第1方向に延びて前記貫通孔を通り、前記電気信号を前記ケースの外部に取り出す導電ピンと、前記貫通孔の内壁と前記導電ピンとの間をシールするハーメチックシールと、を備えるセンサと、前記導電ピンにより取り出された前記電気信号を伝送する配線であり、前記第1方向とは異なる第2方向に延びた一端部が前記導電ピンの先端部に電気的に接続された配線と、前記センサの前記金属部分上に固定されたインシュレータであり、前記金属部分と向き合う第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、前記第1面に開口して前記第1方向に延び、前記導電ピンの前記先端部が挿入される挿入孔と、前記第2面に開口して前記第2方向に延び、前記挿入孔と連通し、前記配線の前記一端部が挿入される挿入溝と、を備えるインシュレータと、を備える。
【0007】
前記第2方向に延びた導電性の端子板であって、前記導電ピンの前記先端部が接続された第1接続部と、前記配線の前記一端部が接続された第2接続部とを備える端子板をさらに備える、ようにしてもよい。
【0008】
前記挿入孔は、前記第1面から前記第2面に至る貫通孔であり、前記端子板の前記第1接続部は、前記挿入孔内に収容されて、前記インシュレータから前記第2面側に露出し、前記第1接続部と前記導電ピンの前記先端部とは溶接されている、ようにしてもよい。
【0009】
前記第2接続部と前記配線の前記一端部とは圧着されている、ようにしてもよい。
【0010】
前記第1方向と前記第2方向とは直交している、ようにしてもよい。
【0011】
前記インシュレータに被さり、前記配線の前記一端部が挿入された前記挿入溝を覆うホルダをさらに備える、ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、測定装置の組み立てが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る隔膜真空計の概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態に係る隔膜真空計の要部断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態に係る導通構造の分解斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態に係る導通構造の拡大断面図である。
【
図5】
図5は、
図4の配線の一端部、端子板、及び、導電ピンの拡大斜視図である。
【
図6】
図6は、
図4の配線の一端部、端子板、及び、導電ピンの、
図5とは異なる方向から見た拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の導通構造を隔膜真空計に適用した実施の形態について図面を参照して説明する。なお、この実施の形態では上下左右の方向を設定しているが、上下方向は、センサ装置の設置方向に応じて天地方向と一致しなくてもよい。
【0015】
図1に示すように、本実施の形態に係る隔膜真空計10は、圧力センサ部20と、圧力センサ部20を制御する回路部70と、を含んで構成されている。圧力センサ部20は、半導体制御装置等の真空チャンバTに接続された配管Hに継手Jを介して接続され、真空チャンバTから配管Hに導入されるプロセスガスの気圧を検出し、検出した当該気圧を示す電気信号を回路部70に供給する。回路部70は、圧力センサ部20から供給される電気信号に基づいて各種の処理を行う。例えば、回路部70は、前記の電気信号を増幅、アナログデジタル変換等して、前記の電気信号を隔膜真空計10の上位装置(例えば、半導体製造装置等のコントローラ)が扱える形式のデータに変換し、変換後のデータを上位装置に出力する。
【0016】
図2及び
図3に示すように、隔膜真空計10は、圧力センサ部20と回路部70の他、これらを接続する配線L1~L5も備える。配線L1~L3は、圧力センサ部20の圧力センサ30と、回路部70の回路基板71とを接続している。配線L4は、圧力センサ部20のヒータ51と、回路基板71とを接続している。配線L5は、圧力センサ部20の温度センサ53と、回路基板71とを接続している。配線L1~L5の機能については後述する。配線L1、L4及びL5は、
図2においては立面図として描かれている(
図4の配線L1も同様)。
【0017】
図2及び
図3に示すように、圧力センサ部20は、圧力センサ30と、端子板41~43と、インシュレータ45と、ホルダ47と、ヒータ51と、ヒータ支持部材52と、温度センサ53と、断熱材55及び56と、ケース58と、断熱材支持部59と、を備える。
【0018】
圧力センサ30は、その内部に、真空室R1と、配管H内のプロセスガスが流入する流入室R2と、を備え、真空室R1及び流入室R2の各気圧の差圧を電気信号に変換することで、真空室R1の気圧を基準としたプロセスガスの気圧を電気信号に変換する。圧力センサ30は、端子板41~43、インシュレータ45、ホルダ47、及び、配線L1~L3とともに、本発明の実施の形態に係る導通構造Sを構成する。これらの詳細な説明は後述する。
【0019】
ヒータ51は、プロセスガスが圧力センサ30内で析出することを防止するために圧力センサ30を加熱する。ヒータ51は、円筒状のバンドヒータであり(
図2において内部構造は省略)、円筒状のヒータ支持部材52に締め付け固定されている。この締め付け固定により、ヒータ支持部材52はヒータ51を支持している。ヒータ51には、配線L4を介して回路部70の回路基板71から電力が供給され、この電力により発熱する。ヒータ支持部材52は、内周方向に突出した円環状の突出部52Aを備える。突出部52Aは、圧力センサ30の外周の段差に係合している。この係合により、ヒータ支持部材52は、ヒータ51とともに圧力センサ30により支持される。
【0020】
温度センサ53は、圧力センサ30に接触し、ヒータ51により加熱される圧力センサ30の温度を検出する。
図2において温度センサ53の内部構造は省略されている。温度センサ53は、検出した温度を、配線L5を介して回路部70の回路基板71に出力する。回路基板71は、温度センサ53から出力された温度をフィードバック値として、圧力センサ30が所望の温度(例えば、200℃)となるように、ヒータ51に供給する電力を制御する。
【0021】
断熱材55及び56は、ヒータ51の熱を断熱し、ヒータ51の熱により圧力センサ部20の外部、特に、回路部70が加熱され難くするように構成されている。断熱材55及び56は、断熱効果のある任意の材料により構成される。断熱材55は、ヒータ51を囲むように円筒状に設けられている。断熱材56は、円板状に形成され、圧力センサ30等を上から覆うように、圧力センサ30等の上に配置される。
【0022】
ケース58は、全体として径方向に厚みを有する円筒形状の内ケース58Aと、内ケース58Aを外側から覆うカップ状の外ケース58Bと、を備える。内ケース58Aは、断面が逆U字形状の円環状の上ケース58AAと、中央が貫通孔となっているカップ状の下ケース58ABとを含んで構成されている。内ケース58Aは、内部に円筒状の断熱材55を収容している。円板状の断熱材56は、上ケース58AAの内周に嵌め込まれている。断熱材56は、柔軟性を有しており、円環状の上ケース58AAの中を通る配線L1~L5を上ケース58AAの内周壁に押し付ける。配線L1~L5は、断熱材56の外周部が周囲に回り込む態様で、断熱材56と上ケース58AAの内周壁とにより挟まれ保持される。内ケース58Aは、断熱材56の断熱効果を阻害しないよう合成樹脂で形成されている。一方、外ケース58Bは、金属で形成されている。
【0023】
断熱材支持部59は、導通構造Sの最上部を構成するホルダ47の上に配置され、断熱材56の中央部を下から支持する。断熱材支持部59は、上ケース58AAに繋がる形状に形成され、上ケース58AAとともに一体に形成されてもよい。
【0024】
ここで、
図3~
図7を参照して、導通構造S、つまり、圧力センサ30、端子板41~43、インシュレータ45、ホルダ47、及び、配線L1~L3について詳細に説明する。
【0025】
図3及び
図4に示すように、圧力センサ30は、ケース31と、支持部32と、センサ素子33と、導電ピン34A~34Cと、ハーメチックシール35A~35Cと、を備える。
【0026】
ケース31は、支持部32とセンサ素子33とを収容する。ケース31は、コバール又はインコネル等の金属製である。ケース31は、ロート形状の内周壁を有する下ケース31Aと、下ケース31Aに溶接等により接合された円筒状の中ケース31Bと、中ケース31Bの上端に溶接等により接合され、中ケース31Bの上端を塞ぐ円板状の上ケース31Cと、を備える。配管Hからケース31に流入するプロセスガスは、下方から下ケース31Aに流入する。
【0027】
支持部32は、センサ素子33を支持する。さらに、支持部32は、センサ素子33とともに、ケース31内の空間を、真空室R1と、プロセスガスが流入する流入室R2と、に区画する。支持部32は、円板状に形成され、その外周部が下ケース31Aと中ケース31Bとの間に挟み込まれている。これにより、支持部32は、ケース31に支持されている。支持部32の中央には、センサ素子33が固定されている。
【0028】
センサ素子33は、真空室R1の気圧を基準としたプロセスガスの気圧を検出し、検出した気圧を示す電気信号を出力する。センサ素子33は、真空室R1内の気圧を基準としたプロセスガスの気圧に応じて変形するダイアフラム(隔膜)を有する。センサ素子33は、ダイアフラムの変形度に応じて静電容量が変化する静電容量式の隔膜式センサ素子である。センサ素子33は、ダイアフラムの変形度に応じて抵抗値が変化する圧電型の素子であってもよい。センサ素子33は、上記のプロセスガスの気圧に応じて変化する静電容量又は抵抗値を示す電気信号(電圧信号など)を出力することで、気圧の検出及び当該気圧を示す電気信号の出力を行う。センサ素子33には、センサ素子33が出力する電気信号を圧力センサ30のケース31の外部に取り出す導電ピン34A及び34Bと、センサ素子33に電圧を印加するための導電ピン34Cと、が接続されている。
【0029】
導電ピン34A~34Cは、上ケース31Cに形成されている貫通孔31CA~31CCを通ってケース31の外側に突き出ている。このようにして、導電ピン34A~34Cは、貫通孔31CA~31CCをそれぞれ通ることでケース31を貫通している。導電ピン34Aは、圧力センサ30の平坦な上面に対して直交する上下方向に延びており、貫通孔31CAの内壁との間をシールするハーメチックシール35Aにより固定されている。同様に、導電ピン34B及び34Cは、上下方向に延び、貫通孔31CB又は31CCの内壁との間をシールするハーメチックシール35B又は35Cにより固定されている。導電ピン34A~34Cは、導電性の端子板41~43にそれぞれ接続されている。端子板41~43は、金属等により形成されている。
【0030】
端子板41は、導電ピン34Aの先端部と配線L1の一端部L1aとを電気的に接続する。端子板42は、導電ピン34Bの先端部と配線L2の一端部L2aとを電気的に接続する。端子板43は、導電ピン34Cの先端部と配線L3の一端部L3aとを電気的に接続する。端子板41~43は、上下方向に直交する左右方向に延びた板状部材である。配線L1~L3は、同軸ケーブルであり、各芯線が端子板41~43にそれぞれ接続される。端子板41~43は、同じ形状を有する。以下、端子板41~43を代表して端子板41の形状を
図4~
図6を参照しながら説明する。なお、下記の配線L1の説明は、配線L2及び配線L3にも適用される。
【0031】
端子板41は、導電ピン34Aの先端部と接続される平板状の第1接続部41Aと、配線L1の一端部L1aと接続される第2接続部41Bとを備える。第1接続部41Aと導電ピン34Aの先端部とは、導電ピン34Aの先端(円柱形状の上面)が第1接続部41Aに突き当たった状態で溶接されている。第2接続部41Bと配線L1の一端部L1aとは、第2接続部41Bの平板部41BAと折れ曲がった一対の脚部41BBとにより一端部L1aの内部導体である芯線L1bを挟み込むことにより圧着されている(ここでは、かしめられている)。
図4に示すように、芯線L1bは、平板部41BAの突起Yに押し付けられている。芯線L1bは、圧着しやすいようにヨリ線である。端子板41は、さらに、第1接続部41Aから配線L1側の反対の方向に突出する突出部41Cと、配線L1の一端部L1aの芯線L1bを覆う絶縁体L1cを拘束する拘束部41Dと、を備える。
図2に示すように配線L1の他端部は、回路部70の回路基板71に接続されており、配線L1の外部導体であるシールドL1dは、回路基板71側で回路部70の金属製のケース72等を介して接地される。
【0032】
図3、
図4、及び
図7に示すように、インシュレータ45は、円板形状を有し、圧力センサ30の導電ピン34A~34Cが突き出た平坦な金属部分である上面に固定され、配線L1の一端部L1aと導電ピン34Aの先端部と端子板41との組み合わせ等を内部に収容する。インシュレータ45は、絶縁性を有しており、例えば、セラミックにより形成されている。
【0033】
インシュレータ45は、導電ピン34A~34Cがそれぞれ挿入される挿入孔45A~45Cと、配線L1~L3の各一端部L1a~L3aがそれぞれ挿入される挿入溝45D~45Fと、が形成されている。挿入孔45A~45Cは、インシュレータ45における圧力センサ30の上面(金属部分)に向き合っている(ここでは、前記上面に合わさる)下面に開口している。挿入孔45A~45Cは、導電ピン34A~34Cが延びる方向と同方向である上下方向(圧力センサ30の上面に直交する方向)に延びてインシュレータ45の下面から上面に至っており、当該インシュレータ45を貫通する貫通孔として形成されている。挿入溝45D~45Fは、インシュレータ45の下面の反対側の上面に開口し、導電ピン34A~34Cが延びる方向に直交する左右方向(圧力センサ30の上面に平行な方向)に延びている。挿入溝45Dに配線L1の一端部L1aが挿入されることで、この一端部L1aが左右方向に延びるようにガイドされる。同様に、挿入溝45E(又は45F)は、一端部L2a(又はL3a)を左右方向に延びるようにガイドする。一端部L1a~L3aは、端子板41~43が延びている方向と同方向に延び、導電ピン31A~31Cが延びている方向と直交する方向に延びている。
【0034】
挿入孔45Aと挿入溝45Dとは連通しており、これらにより形成される空間には、配線L1の一端部L1aと導電ピン34Aの先端部と端子板41とが収容される。端子板41は、第1接続部41Aが挿入孔45A内に配置され、第2接続部が挿入溝45D内に配置される。このようなことは、他の挿入孔45B及び45Cと、挿入溝45E及び45Fについても同様である。
【0035】
さらに、インシュレータ45は、挿入孔45Aの上側の開口の一部を覆うことで、端子板41より具体的には突出部41Cを覆うカバー45Gを備える。突出部41Cは、挿入孔45Aに左右方向から挿入され、カバー45Gの下方に入り込む。これにより、端子板41が上方に移動することが規制される。同様に、インシュレータ45は、端子板42及び43(突出部41Cに対応する突出部)と覆うカバー45H及び45Iを備える。
【0036】
図3及び
図4に示すように、インシュレータ45が配置された圧力センサ30には、上からホルダ47が被さる。ホルダ47は、中央に貫通孔が形成された平板部47Aと、上下方向に延びる4本の脚47Bと、4つの脚それぞれの下端に設けられた4つの爪47Cと、を備える。爪47Cは、圧力センサ30の外周面に設けられた凹部30Bの内壁に係合する。これにより、インシュレータ45が、圧力センサ30とホルダ47とで挟まれ固定される。なお、インシュレータ45が圧力センサ30に対して位置決めされるよう、インシュレータ45の下面と圧力センサ30の上面とのいずれか一方に凸部を設け、他方に当該凸部に係合する凹部を設けてもよい。ホルダ47は、配線L1~L3の一端部L1a~L3aが挿入された挿入溝45D~45Fの一部を覆い、これにより、配線L1~L3が挿入溝45D~45Fから、上方にそれぞれ飛び出すことを防止する。
【0037】
図2の説明に戻り、回路部70は、複数の基板の組み合わせからなる回路基板71と、回路基板71を収容するケース72と、を備える。回路基板71には、配線L1~L3(
図3等)の他端部が接続されている。例えば、センサ素子33が容量式の場合、回路基板71は、配線L3を介してセンサ素子33に交流電圧を印加する。さらに、回路基板71は、センサ素子33により構成される第1コンデンサCXの容量値に応じて変化する電圧信号(センサ素子33から出力される電気信号)を、配線L1を介して取得する。回路基板71は、センサ素子33により構成される第2コンデンサCRの容量値に応じて変化する電圧信号(センサ素子33から出力される電気信号)を、配線L2を介して取得する。これらにより、センサ素子33により出力され導電ピン34A及び34Bにより取り出される電気信号が、圧力センサ30外部に配置されている配線L1又はL2により伝送されて回路基板71に供給される。回路基板71は、取得した電気信号に基づいて処理(例えば、回路部70が行う処理として上述した処理)を行う。回路基板71は、さらに、上述のようなヒータ51に供給する電力の制御も行う。
【0038】
以上のように、本実施の形態に係る導通構造Sでは、第1方向(上下方向)に延びている導電ピン34Aの先端部と、第1方向とは異なる第2方向(左右方向)に延びている配線L1の一端部L1aと、が端子板41を介して電気的に接続されている。さらに、圧力センサ30の金属部分である上ケース31Cに配置されたインシュレータ45が、導電ピン34Aの先端部が挿入される挿入孔45Aと、配線L1の一端部L1aが挿入される挿入溝45Dと、を備える。そして、挿入孔45Aは、上ケース31Cに向き合うインシュレータ45の下面に開口して第1方向に延びている。挿入溝45Dは、インシュレータ45の下面と反対の上面に開口して第2方向に延び、挿入孔45Aと連通している。これにより、インシュレータ45は、導電ピン34A、一端部L1aの芯線L1b、及び端子板41の多くの部分を金属製の上ケース31Cから電気的に隔離する。従って、インシュレータ45を配置するだけで、容易に、導電ピン34A等により伝送される電気信号の電位が、金属製の上ケース31Cの電位から影響を受け難くすることができ、結果として隔膜真空計10の組み立てが容易となっている。なお、本実施の形態では、第1方向と第2方向とが直交しているが、第1方向と第2方向とは直交していなくてもよい。ケース31は、導電ピン34Aが通る貫通孔31CAなどが形成された部分が金属であればよい。導電ピン34Aの先端部と配線L1の一端部L1aとは、端子板41を介さずに直接接続されることで、電気的に接合されてもよい。これによっても、上記と同様の効果が得られる。
【0039】
さらに、挿入孔45Aは、インシュレータ45の上面から下面に至る貫通孔であり、端子板41の第1接続部41Aは、挿入孔45A内に収容されて(
図4参照)、インシュレータ45から上面側に露出し、第1接続部41Aと導電ピン34Aの先端とが溶接されている。このような構成により、インシュレータ45を圧力センサ30上に配置し、挿入溝45Dに端子板41が接続された配線L1を挿入したあと(つまり
図4の状態にした後)に、第1接続部41Aと導電ピン34Aとを挿入孔45Aの上側の開口を介して上から溶接できる(
図4の矢印X参照)。従って、第1接続部41Aなどがある程度位置決めされた状態で溶接が行われるので、第1接続部41Aと導電ピン34Aとの溶接が容易に行われる。これにより、隔膜真空計10の組み立てが容易となる。なお、ホルダ47の平板部47Aの貫通孔が、第1接続部41Aをホルダ47から露出させることにより、当該ホルダ47の取り付け後でも溶接が可能となる。これによっても、溶接が容易となっており、隔膜真空計10の組み立てが容易となる。
【0040】
さらに、インシュレータ45は、挿入孔45Aの一部を上方から覆うカバー45Gを備え、端子板41の一部(ここでは、突出部41C)が、挿入孔45Aの前記一部に入り込みカバー45Gにより覆われている(
図4参照)。これにより、端子板41及び配線L1の一端部L1aが上方に移動して、挿入孔45A及び挿入溝45Dから飛び出すことが防止される。
【0041】
上記実施の形態のように第2接続部41Bと配線L1の一端部L1aとが圧着されていることで、これらの接続が容易となり、また、これらの接続のための溶接が不要になる。さらに、圧着される配線L1の一端部L1aの芯線がヨリ線であることで、圧着が容易となり、また、配線L1の最小曲げ半径を芯線が単線のときよりも小さくできる。このため、配線L1をコンパクトな領域内で引き回せるので、隔膜真空計10のサイズをコンパクトにすることができる。さらに、ホルダ47がインシュレータ45に被さり、配線L1の一端部L1aが挿入された挿入溝45Dを覆うので、配線L1の一端部L1aが挿入溝45Dから上方に飛び出ることが抑制される。さらに、ホルダ47は、
図3及び
図4に示すように、配線L1と導電ピン34Aとの接続部分を避けて挿入溝45Dを覆うことで、ホルダ47が金属製であっても、当該接続部分とホルダ47とを離すことができ、当該接続部分の信号電位がホルダ47の電位の影響を受け難くなる。
【0042】
上記実施の形態については、種々の変形が可能である。例えば、上記で説明した各部材の形状は、任意である。例えば、インシュレータ45は、円板以外の板状であってもよい。上記で説明した円筒、円板などは、それぞれ、多角筒、多角板などに変更可能である。また、導通構造Sは、隔膜真空計以外の他の測定装置にも適用可能である。
【0043】
以上、実施の形態及び変形例を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記の実施の形態及び変形例に限定されるものではない。例えば、本発明には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る、上記の実施の形態及び変形例に対する様々な変更が含まれる。上記実施の形態及び変形例に挙げた各構成は、矛盾の無い範囲で適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0044】
10…隔膜真空計、20…圧力センサ部、30…圧力センサ、31…ケース、31C…上ケース、31CA~31CC…貫通孔、32…支持部、33…センサ素子、34A~34C…導電ピン、35A~35C…ハーメチックシール、41~43…端子板、41A…第1接続部、41B…第2接続部、41BA…平板部、41BB…脚部、41C…突出部、41D…拘束部、45…インシュレータ、45A~45C…挿入孔、45D~45F…挿入溝、45G~45I…カバー、47…ホルダ、51…ヒータ、53…温度センサ、55,56…断熱材、58A…内ケース、58B…外ケース、70…回路部、71…回路基板、72…ケース、L1~L3…配線、L1a~L3a…一端部、L1b…芯線、L1c…絶縁体、L1d…シールド、R1…真空室、R2…流入室、S…導通構造。