(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154715
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】嫌気処理装置、嫌気処理方法及び監視装置
(51)【国際特許分類】
C02F 3/28 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
C02F3/28 A
C02F3/28 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057887
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】507036050
【氏名又は名称】住友重機械エンバイロメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】田中 良昌
【テーマコード(参考)】
4D040
【Fターム(参考)】
4D040AA01
4D040AA31
4D040AA61
(57)【要約】 (修正有)
【課題】反応槽の汚泥の界面を常時監視する監視手段を備えた嫌気処理装置を提供する。
【解決手段】嫌気処理装置1Aは、反応槽2と監視装置3Aと嫌気処理装置制御部4とを備え、嫌気処理装置は、反応槽に被処理液W0を導入する導入配管L1、反応槽2から処理液W1を排出する排出管L2を備える。導入配管には、嫌気処理装置制御部からの制御を受けて、反応槽への処理液の量を制御する供給量調整部24を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
嫌気処理装置において、反応槽の汚泥の界面を常時監視する監視手段を備えることを特徴とする、嫌気処理装置。
【請求項2】
前記監視手段は、前記界面を自動追従する追従手段を有することを特徴とする、請求項1に記載の嫌気処理装置。
【請求項3】
前記監視手段により得られた情報に基づいて、前記嫌気処理装置の運転条件を制御する制御部を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の嫌気処理装置。
【請求項4】
監視手段により得られた情報に基づいて嫌気処理装置の運転条件を制御することを特徴とする、嫌気処理方法。
【請求項5】
嫌気処理装置に用いる監視手段を備えた監視装置であって、監視手段は反応槽の界面を常時監視することを特徴とする、監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嫌気処理装置、嫌気処理方法及び監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
嫌気性グラニュール汚泥を使用した嫌気処理装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、反応槽にカメラを底まで沈めた後、巻き上げ装置でカメラの位置を一定間隔ごとに移動させ、その位置の映像から汚泥濃度を計測し、グラニュール汚泥の界面を検出することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
グラニュール汚泥のような界面の高さ変化幅の大きい嫌気処理装置の場合、界面の上昇が起こり、グラニュール汚泥が流出する虞がある。よって、グラニュール汚泥の状態を常時把握し、状態に合わせた嫌気処理を行うことが求められている。
しかしながら、特許文献1の装置では、カメラを反応槽の底まで沈め、カメラの位置を上昇させながら一定間隔ごとの画像からグラニュール汚泥の界面を検出するため、グラニュール汚泥の界面を常時監視できない。
【0006】
そこで、本発明の課題は、反応槽の汚泥の界面を常時監視する監視手段を備えた嫌気処理装置を提供することで、汚泥の状態を常時監視することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題について、鋭意検討した結果、反応槽の界面を常時監視する監視手段を嫌気処理装置に設けることで、汚泥の界面を常時監視できることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の嫌気処理装置、嫌気処理方法及び監視装置である。
【0008】
上記課題を解決するための本発明の嫌気処理装置は、反応槽の汚泥の界面を常時監視する監視手段を備えることを特徴とする。
この嫌気処理装置によれば、監視手段を有することにより、反応槽の界面を常時監視でき、汚泥の界面の状態を常時監視できる効果がある。よって、汚泥の状態に合わせた反応槽の管理がしやすくなり、嫌気性汚泥の流出を抑制できる効果がある。
【0009】
本発明の嫌気処理装置の一実施態様としては、汚泥の界面を自動追従する追従手段を有することを特徴とする。
この特徴によれば、追従手段を有することにより、汚泥の界面を自動で追従することから、汚泥の界面の状態をより正確に常時監視できる効果がある。
【0010】
本発明の嫌気処理装置の一実施態様としては、監視手段により得られた情報に基づいて運転条件を制御する制御部を有することを特徴とする。
この特徴によれば、監視手段により得られた情報に基づいて運転条件を制御する制御部を有することにより、より汚泥の状態に合わせた条件で嫌気処理を行える効果がある。
【0011】
上記課題を解決するための本発明の嫌気処理方法は、監視手段により得られた情報に基づいて嫌気処理装置の運転条件を制御することを特徴とする。
本発明の嫌気処理方法によれば、監視手段により得られた情報に基づいて嫌気処理装置の運転条件を制御することができることから、汚泥の状態に合わせた条件で嫌気処理を行うことができる方法とすることができる。
【0012】
上記課題を解決するための本発明の監視装置は、嫌気処理装置に用いる監視手段を備えた監視装置であって、監視手段は反応槽の界面を常時監視することを特徴とする。
本発明の監視装置によれば、監視手段を有することにより、反応槽の界面を常時監視でき、汚泥の界面の状態を常時監視できる効果がある。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、反応槽の汚泥の界面を常時監視する監視手段を備えた嫌気処理装置を提供することで、汚泥の状態を常時監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施態様の嫌気処理装置を示す概要図である。
【
図2】本発明の第1の実施態様の嫌気処理装置の動作の流れを示す図である。
【
図3】本発明の第1の実施態様の嫌気処理装置の動作の流れを示す図である。
【
図4】本発明の第2の実施態様の嫌気処理装置を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る嫌気処理装置の実施態様を詳細に説明する。また、本発明に係る嫌気処理方法及び監視装置の説明については、本発明に係る嫌気処理装置の動作に係る説明に置き換えるものとする。
なお、実施態様に記載する嫌気処理装置、嫌気処理方法及び監視装置については、本発明に係る嫌気処理装置、嫌気処理方法及び監視装置を説明するために例示したに過ぎず、これに限定されるものではない。
【0016】
[第1の実施態様]
〔嫌気処理装置〕
図1を参照し、本発明の第1の実施の態様の嫌気処理装置1Aについて説明する。
本発明の嫌気処理装置1Aは、反応槽2と監視装置3Aと嫌気処理装置制御部4とを備える。
また、嫌気処理装置1Aは、反応槽2に被処理液W0を導入する導入配管L1、反応槽2から処理液W1を排出する排出管L2を備える。導入配管L1には、嫌気処理装置制御部4からの制御を受けて、反応槽2への処理液W0の量を制御する供給量調整部24を備える。
【0017】
<反応槽>
反応槽2は、被処理液W0に対して嫌気処理を行うための槽である。
反応槽2で行う処理は、被処理液W0の中に含まれる処理対象に合った嫌気処理であり、処理後の排出物(処理液W1)中に還元性物質を含むものであれば、特に制限されない。例えば、酸生成菌及びメタン生成菌によるメタン発酵や、脱窒菌により硝酸・亜硝酸の還元を行う脱窒処理や、硫酸還元菌により硫酸の還元を行う硫酸還元処理等が挙げられる。反応槽2は、被処理液W0の消化を行う消化設備として機能する構造を有することが好ましい。
本実施態様における反応槽2で行う嫌気処理として、グラニュール汚泥を用いたメタン発酵の場合を用いて説明する。反応槽2は、消化槽として公知の構造を有することが好ましく、消化槽に係る具体的な構造については特に限定されない。
【0018】
反応槽2には、被処理液W0を処理する嫌気性汚泥21と、被処理液W0の上澄み22とを槽内に有しており、槽内の嫌気性汚泥21と上澄み22との間には界面23が存在する。
【0019】
<監視装置>
監視装置3Aは、界面23の位置を常時監視する機能を有する。監視装置3Aは、監視手段31と監視手段制御部32を有する。
【0020】
≪監視手段≫
監視手段31は、反応槽2の内部の情報を取得する機能を有する。
監視手段31は、巻き取り装置311と吊り部材312と情報取得部313とを備える。
巻き取り装置311は、吊り部材312を巻き取ったり、吊り部材312を送り出したりすることで、吊り部材312の一端の側に設けられた情報取得部313の位置を調整する部材である。
吊り部材312は、巻き取り装置311で巻き取ることができればどのような部材であってもよい。具体的には、ワイヤーが該当する。
また、情報取得部313は、反応槽2の嫌気性汚泥21、上澄み22や界面23の情報を常時取得するものである。具体的には、カメラのような撮像手段や濁度計が例示できる。本実施態様では、カメラを使用した場合で説明する。情報取得部313が取得した情報は、有線又は無線により監視手段制御部32に送られる。
なお、巻き取り装置311は、監視手段制御部32の制御信号を受けて、吊り部材312の巻き取り操作の制御が行われる。
【0021】
≪監視手段制御部≫
監視手段制御部32は、巻き取り装置311を制御する機能を有する。また、監視手段制御部32は、嫌気処理装置制御部4に嫌気処理装置1の運転に関係する制御信号を送る機能を有する。
監視手段制御部32は、界面判断部321と、位置判断部322と、位置制御部323とを有する。
【0022】
界面判断部321は、情報取得部313から常時送られてきた情報から、画像に界面23が存在するか否かを判断する。具体的には、情報取得部313であるカメラからの映像を画像解析することがあげられる。
例えば、画像解析の結果、界面判断部321が、界面23として予め定めたグラニュール粒子の大きさ及び/又は粒子の存在密度の状態を検出した場合は、界面23であると判断する。
また、画像解析の結果、界面判断部321が、グラニュール粒子を検出できないか又は上澄み22の中として予め定めたグラニュール粒子の大きさ及び/又は粒子の存在密度の状態を検出した場合は、上澄み22の中であると判断する。
一方、画像解析の結果、界面判断部321が、嫌気性汚泥21の中としてあらかじめ定めたグラニュール粒子の大きさ及び/又は粒子の存在密度が界面23の密度よりも大きいと判断した場合に、嫌気性汚泥21の内部であると判断する。
【0023】
位置判断部322は、界面判断部321が界面23と決定した際の情報取得部313(カメラ)の位置から、界面23の位置(高さ)を特定する。具体的には、巻き取り装置311が吊り部材312を送り出した量から反応槽2の界面23の位置を特定することができる。界面23の位置とは、界面23が反応槽2の底からの距離(高さ)又は排出管L2から排出される液面からの距離である。
【0024】
本発明は、界面23を常時監視する。情報取得部313から送られてくる常時画像を、界面判断部321が画像解析を常時行い続け、界面23の変動を把握する。そして、界面23の変動に合わせて界面判断部321の位置を自動的に移動させることにより、界面23を常時自動追従する。この機能は追従手段に該当する。
【0025】
位置制御部323は、巻き取り装置311に制御信号を送り、吊り部材312を巻き取らせたり、送り出させたり、巻き取り又は送り出しを停止させたりすることで、情報取得部313の位置を調整する機能を有する。
【0026】
<嫌気処理装置制御部>
嫌気処理装置制御部4は、監視装置3Aから界面23の位置情報を受け取り、嫌気処理装置1Aの制御に関する判断を行う。具体的には、嫌気性汚泥21であるグラニュール汚泥が排出管L2から排出されないように、反応槽2に供給される被処理液W0の量を制御する。
予め定められた界面23の位置よりも監視装置3Aから送られてきた界面23の位置が高くなった場合、言い換えると、排出管L2からグラニュール汚泥が流出する虞がある界面23の位置になった場合に、嫌気処理装置制御部4は、供給量調整部24を制御し、被処理液W0の供給量を少なくする制御を行う。この制御により、嫌気性汚泥21が排出管L2から流出することを抑制できる効果がある。
また、嫌気処理装置制御部4は、予め定められた界面23の位置と監視装置3Aから送られてきた界面23の位置とを比較して、嫌気性汚泥21が効率的に嫌気処理できる最適な量の被処理液W0を供給するように供給量調整部24を制御するようにしてもよい。なお、この制御は、界面23の位置の情報の他に、情報取得部313が撮影した界面23の画像を画像解析により解析して嫌気性汚泥21の活性状態を判断し、その活性状態を考慮して制御するようにしてもよい。
【0027】
≪その他の機能≫
その他の機能として、監視装置3Aは、表示部33を備えてもよい。表示部33には、監視手段制御部32が制御する情報や、情報取得部313から常時送られてくる画像を常時表示させてもよい。
【0028】
また、監視装置3Aは、常時観察中に嫌気性汚泥21の内部の状態を確認する機能を有していてもよい。この機能を有することにより、嫌気性汚泥21の内部の状態を把握することができる。
具体的には、常時監視中の監視手段31に対し、予め定められた一定の時間ごとに、位置制御部232が界面23の位置から嫌気性汚泥21の中に情報取得部313を移動させるように制御する。情報取得部313は、グラニュール汚泥の状態を常時撮影し、図示しない監視手段制御部32の保存部に保存したり、表示部33に表示したりすることを行う。なお、撮影は、反応槽2の底まで又は予め定められた界面23からの距離分まで行われる。また、撮影した高さも併せて記録される。
その後、界面23の位置まで情報取得部313の位置が戻され、界面23の常時監視が継続される。
【0029】
また、嫌気性汚泥の状態を確認する機能は、予め定められた一定の時間ごとに行うことなく、任意に行われてもよい。例えば、人により監視手段制御部32が操作され、嫌気性汚泥の状態を確認することが例示できる。
【0030】
また、嫌気性汚泥21の状態を確認する機能により撮影した画像を画像解析し、嫌気性汚泥21の内部のグラニュール汚泥の活性状態を画像解析により判断してもよい。さらに、その結果を監視手段制御部32が嫌気処理装置制御部4に送り、界面23の位置情報と合わせて被処理液W0の供給量の制御に使用し、嫌気性汚泥21の流出を抑制させたり、効率のよい嫌気処理が行われるように制御したりしてもよい。
【0031】
〔嫌気処理装置の動作について〕
本発明の嫌気処理装置1Aにおいて、監視装置3Aを使用して界面23を常時監視する際の動作について、
図2及び
図3を用いて説明する。
まず、嫌気処理中の反応槽2の内部の界面23の常時監視を始めるにあたり、監視装置3Aの位置制御部323が巻き取り装置311に対し吊り部材312を送り出す制御を行う。反応槽2の上部から情報取得部313が下ろされて、情報取得部313のカメラから画像が監視手段制御部32に常時送信される(S1)。
【0032】
映像を受信した監視手段制御部32は、界面判断部321において、常時送られてくる画像に対し、画像解析処理を連続して行う(S2)。
【0033】
画像解析処理の結果、グラニュール粒子を検出できないか又は上澄み22の中として予め定めたグラニュール粒子の大きさ及び/又は粒子の存在密度の状態を検出した場合は、情報取得部313が界面23よりも上の位置であるため、情報取得部313の位置を下げる制御が位置制御部323により行われる(S3のNO)。
【0034】
情報取得部313がさらに下におろされることにより、界面判断部321は、送られてくる画像を画像解析し続ける。画像解析の結果、界面23を検出した場合、界面判断部321は、情報取得部313が界面23の位置であると決定する(S3のYES)。
この場合、界面23が、情報取得部313の位置に存在することから、情報取得部313の位置を維持する制御が、界面判断部321の信号を受けた位置制御部323により行われる(S4)。つまり、位置制御部323は、巻き取り装置311に対し吊り部材312の送り出す動作を停止させる制御を行う。
位置の維持された情報取得部313は、界面23の位置で常時画像を監視手段制御部32に送り続け、画像解析が連続して行われる。これにより、界面23の状態を常時監視することができる(S5)。
さらに、情報取得部313の位置を維持する制御が行われた後、位置判断部322は、反応槽2における界面23の位置を決定し、その界面23の位置情報を嫌気処理装置制御部4に送信する。嫌気処理装置制御部4は、予め定められた界面23の位置に合わせた運転条件とする制御を供給量調整部24に対して行う。つまり、嫌気処理装置制御部4は、供給量調整部24を制御し、グラニュール汚泥が排出管L2から流出しないように被処理液W0の供給量を調整する(S4)。
【0035】
その後、嫌気処理装置1Aは、界面23が常時監視された状態で嫌気処理を行う。嫌気処理が行われ、反応槽2内のグラニュール粒子が増減することにより、界面23の位置は上側又は下側に変化する。
【0036】
常時監視中の監視装置3Aは、情報取得部313から送られてくる画像を画像解析した結果、界面23であると判断した場合は、情報取得部313の位置を維持し界面23の常時監視を継続する(S6のNO)。
一方、情報取得部313から送られてくる画像を画像解析した結果、界面23が検出できない場合、界面23が変動したと判断する(S6のYES)。言い換えると、画像解析の結果が、上澄み22の中又は嫌気性汚泥の中と判断した場合は、界面23が変動したと判断する。
【0037】
界面判断部321の解析の結果、情報取得部313が上澄み22の中であると判断した場合(S7のYES)には、情報取得部313が界面23よりも上の位置であるため、情報取得部313の位置を下げる制御が位置制御部323により行われる(S8)。
情報取得部313が下方に下げられつつ、界面判断部321は、送られてくる画像を画像解析し続ける。画像解析の結果、界面23を検出できない場合、さらに情報取得部313が下方に下げられつつ、界面判断部321は、送られてくる画像を画像解析し続ける(S9のNO)。
一方、画像解析の結果、界面23を検出した場合、界面判断部321は、情報取得部313が界面23の位置であると決定する(S9のYES)。
そして、情報取得部313の位置を維持する制御が、界面判断部321の信号を受けた位置制御部323により行われる。そして、界面23の常時監視が継続される(S4)。
さらに、情報取得部313の位置を維持する制御がされた後、位置判断部322は、反応槽2における界面23の位置を決定し、その界面23の位置情報を嫌気処理装置制御部4に送信する。嫌気処理装置制御部4は、予め定められた界面23の位置に合わせた運転条件とする制御を行う(S4)。
【0038】
一方、界面判断部321の解析の結果、情報取得部313が上澄み22の中ではなく(S7のNO)、情報取得部313がグラニュール汚泥の中であると判断した場合(S10)には、情報取得部313が界面23よりも下の位置であるため、情報取得部313の位置を上げる制御が位置制御部323により行われる(S11)。画像解析の結果、界面23を検出できない場合、さらに情報取得部313が上方に上げられつつ、界面判断部321は、送られてくる画像を画像解析し続ける(S12のNO)。
一方、画像解析の結果、界面23を検出した場合、界面判断部321は、情報取得部313が界面23の位置であると決定する(S12のYES)。そして、情報取得部313の位置を維持する制御が、界面判断部321の信号を受けた位置制御部323により行われる。そして、界面23の常時監視が継続される(S4)。
さらに、情報取得部313の位置を維持する制御がされた後、位置判断部322は、反応槽2における界面23の位置を決定し、その界面23の位置情報を嫌気処理装置制御部4に送信する。嫌気処理装置制御部4は、予め定められた界面23の位置に合わせた運転条件とする制御を行う(S4)。
【0039】
以上のように、監視手段制御部32が情報取得部313を制御することにより、常時監視中に界面23の位置が変動した場合であっても、嫌気性汚泥21の界面23を自動的に自動追従しながら界面23の常時監視を行うことを可能とすることができる。さらに、常時監視の結果を使用して嫌気処理装置制御部4が、被処理液W0の供給量を調整することから、嫌気性汚泥21であるグラニュール汚泥の流出を抑制できる効果がある。
【0040】
本実施態様では、常時監視中に界面23が変動した場合、位置制御部323が情報取得部313の位置を制御する場合を例示したが、常時監視中に界面判断部321が界面23を検出できなくなった場合に、界面23が検出できないことを表示部33に表示したり、警告音を発生させたりして人が認識できるようにしてもよく、さらに、人の操作によって、情報取得部313の位置が上方又は下方に移動させられるようにして常時監視が継続できるようにしてよい。
また、位置制御部323により、情報取得部313の位置を維持する制御が行われた後に、界面23の位置情報を嫌気処理装置制御部4に送り、被処理液W0の供給量を制御する場合を例示したが、表示部33に界面23が検出できないことを表示したり、界面23の位置を表示したり、警告音を発生させたりして人が界面23の位置や状態を認識できるようにし、被処理液W0の供給量の制御が、人の操作によって行われてもよい。
【0041】
[第2の実施態様]
図4を参照し、第2の実施の態様について説明する。第2の実施態様の嫌気処理装置1Bは、第1の実施の態様と同じ機能及び構造のものは同一の符号を付し、説明を省略する。第2の実施態様は、監視手段31に替えて監視手段34を有する点と、位置制御部323を有しない点が、第1の実施の態様と相違する。
【0042】
監視手段34は、吊り部材312に複数の情報取得部313が上下方向に並べられるように配置される。吊り部材312の一端が吊り部材固定部341に固定され、反応槽2の内部に複数の情報取得部313が一定の位置に維持された状態となる。
【0043】
[嫌気処理装置の動作について]
本発明の嫌気処理装置1Bにおいて、監視装置3Bを使用して界面23を常時監視する際の動作について説明する。
まず、嫌気処理中の反応槽2の内部の界面23の常時監視を始めるにあたり、複数の情報取得部313から送られてきた常時撮影された画像を界面判断部321が画像解析を連続して行う。界面23が検出された情報取得部313の位置を界面23の位置として決定し、界面23を常時監視する。また、界面23の位置が嫌気処理装置制御部4に送られ、被処理液W0の供給量が調整される。
常時監視中に界面23が検出できなくなった場合、複数の情報取得部313から送られてきた常時撮影された画像を界面判断部321が画像解析し、界面23が検出された情報取得部313の位置を新たな界面23の位置として決定し、常時監視が継続される。また、界面23の位置が嫌気処理装置制御部4に送られ、被処理液W0の供給量を調整する。
【0044】
本発明では、情報取得部313がカメラの場合を例示したが、カメラに変えて濁度計を用いてもよい。濁度計を用いた場合、界面判断部321は、予め定められた濁りの度合いに基づいて、界面23、上澄み22の中及び嫌気性汚泥21の中の判断が行われ、情報取得部313の位置が決定される。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の嫌気処理装置、嫌気処理方法及び監視装置は、グラニュール汚泥以外の他の嫌気性汚泥を用いた嫌気処理装置、嫌気処理方法及び監視装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1A,1Bは嫌気処理装置、2は反応槽、3A,3Bは監視装置、4は嫌気処理装置制御部、21は嫌気性汚泥、22は上澄み、23は界面、24は供給量調整部、31は監視手段、32は監視手段制御部、33は表示部、34は監視手段、311は巻き取り装置、312は吊り部材、313は情報取得部、321は界面判断部、322は位置判断部、323は位置制御部、341吊り部材固定部。