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特開2022-154758アクリル系有機微粒子の製造方法、アクリル系有機微粒子、およびエポキシ樹脂組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154758
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】アクリル系有機微粒子の製造方法、アクリル系有機微粒子、およびエポキシ樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 265/04 20060101AFI20221005BHJP
   C08L 33/04 20060101ALI20221005BHJP
   C08L 51/00 20060101ALI20221005BHJP
   C08K 5/05 20060101ALI20221005BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
C08F265/04
C08L33/04
C08L51/00
C08K5/05
C08L63/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057944
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000100698
【氏名又は名称】アイカ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】浅井 隆秀
【テーマコード(参考)】
4J002
4J026
【Fターム(参考)】
4J002BN122
4J002CD001
4J002EC026
4J002EC066
4J026AA45
4J026AA46
4J026AC34
4J026BA27
4J026BA28
4J026BB07
4J026DA04
4J026DA07
4J026DA14
4J026DB04
4J026DB14
4J026DB29
4J026FA04
4J026FA07
4J026GA02
(57)【要約】
【課題】エポキシ樹脂への分散性に優れたアクリル系有機微粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】コア部およびシェル部を有するアクリル系有機微粒子の製造方法であって、コア部のガラス転移温度が-100~-30℃であり、コア部を形成する単量体として不飽和基を2以上有する単量体を含み、シェル部のガラス転移温度が80~120℃であり、取り出し工程の前までに炭素数が6~20である水酸基含有飽和化合物を添加することを特徴とするアクリル系有機微粒子の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア部およびシェル部を有するアクリル系有機微粒子の製造方法であって、
コア部のガラス転移温度が-100~-30℃であり、コア部を形成する単量体として不飽和基を2以上有する単量体を含み、シェル部のガラス転移温度が80~120℃であり、
取り出し工程の前までに炭素数が6~20である水酸基含有飽和化合物を添加することを特徴とするアクリル系有機微粒子の製造方法。
【請求項2】
前記水酸基含有飽和化合物の添加量が、コア部およびシェル部を形成する単量体の合計100重量部に対して0.1~5重量部であることを特徴とする請求項1記載のアクリル系有機微粒子の製造方法。
【請求項3】
コア部およびシェル部を有するアクリル系有機微粒子であって、
コア部のガラス転移温度が-100~-30℃であり、コア部を構成する単量体として不飽和基を2以上有する単量体を含み、シェル部のガラス転移温度が80~120℃であり、
炭素数が6~20である水酸基含有飽和化合物を含有することを特徴とするアクリル系有機微粒子。
【請求項4】
前記アクリル系有機微粒子を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ樹脂への分散性に優れたアクリル系有機微粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機微粒子は応力緩和、接着強度向上、粘度調整、割れ防止等を目的として各種樹脂への添加剤として使用されている。一方、有機微粒子の種類によっては特定の樹脂への分散性が十分でなく、本来期待される性能が発現しないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許文献1には、有機溶剤への分散性に優れた樹脂微粒子およびそれを含有する組成物が開示されているが、エポキシ樹脂への分散性については検討されていない。各種粉体塗料に対して優れた分散性を示し、塗膜外観や耐ブロッキング性など粉体塗料本来の特性を保持したまま、塗膜の加工性や耐衝撃性を改良することができる粉体塗膜組成物各種粉体塗料に対して優れた分散性を示し、塗膜外観や耐ブロッキング性など粉体塗料本来の特性を保持したまま、塗膜の加工性や耐衝撃性を改良することができる粉体塗膜組成物
【特許文献1】特開2018-115265
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、エポキシ樹脂への分散性に優れたアクリル系有機微粒子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、コア部およびシェル部を有するアクリル系有機微粒子の製造方法であって、コア部のガラス転移温度が-100~-30℃であり、コア部を形成する単量体として不飽和基を2以上有する単量体を含み、シェル部のガラス転移温度が80~120℃であり、取り出し工程の前までに炭素数が6~20である水酸基含有飽和化合物を添加することを特徴とするアクリル系有機微粒子の製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の製造方法により得られるアクリル系有機微粒子は分散性に優れ、エポキシ樹脂に添加した際に凝集しにくい。したがって、エポキシ樹脂の応力緩和剤等をして有用である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明に係るアクリル系有機微粒子はコア部およびシェル部を有する。コア部はガラス転移温度が-100~-30℃であり、重合開始剤を用いて単量体を重合したものである。コア部を形成する単量体の内、ガラス転移温度を前期範囲とするために用いる単量体としては、ブタジエンや、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレートを挙げることができる。これらのうち、ブタジエンやブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートが好ましく用いられる。
【0008】
また、ガラス転移温度が前記温度となる範囲であれば、これらと共重合可能な単量体、例えばスチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル、芳香族ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル、シアン化ビニリデン、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のアルキルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート等を共重合させることもできる。
ガラス転移温度(Tg)は単量体ホモポリマーのTgと組成比から下記FOX式を用いて算出することができ、単量体の選定とその組成比率によりコントロールすることができる。
1/Tg=Σ(Wn/Tgn)/100
(Wnは単量体nの質量%、Tgnは単量体nのホモポリマーのTg(K:絶対温度))
【0009】
コア部を形成する単量体として不飽和基を2以上有する単量体を含有する。不飽和基を2以上有する単量体を用いることにより、各種樹脂への添加剤として用いた際に応力緩和、接着強度向上、粘度調整、割れ防止等の性能を向上塗膜の外観や、粉体塗料の粉砕性、耐ブロッキング性が低下しできる。
不飽和基を2以上有する単量体としては、同種の不飽和基を有する単量体および反応性の異なる不飽和基を有する単量体が挙げられる。前者はコア内部の架橋に寄与すると考えられ、後者はコア部とシェル部の架橋に寄与すると考えられる。
【0010】
同種の不飽和基を有する単量体としては、ジビニルベンゼン等の芳香族ジビニル化合物、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、オリゴエチレングリコールジアクリレート、オリゴエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のアルカンポリオールポリアクリレートまたはアルカンポリオールポリメタクリレート等が挙げられ、特にブチレングリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレートが好ましく用いられる。
【0011】
反応性の異なる不飽和基を有する単量体としては、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、ジアリルイタコネート等の不飽和カルボン酸アリルエステル等を挙げることができる。これらの内、特に、アリルメタクリレートが好ましく用いられる。
不飽和基を2以上有する単量体は、コア部を形成する単量体全量に対して、0.1~5重量%用いることが好ましい。
【0012】
コア部の重合方法としては、前記単量体、分散安定剤、重合開始剤および水を重合容器に仕込んで、攪拌下重合を行う。
前記分散安定剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸エステルナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤やポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル等の界面活性剤、ゼラチン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール部分ケン化物等の水溶性高分子、リン酸三カルシウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素等の無機物などが例示できる。これらの分散安定剤は2種類以上を併用してもよい。
分散安定剤の使用量は、コア部を形成する単量体100重量部に対して0.01~5重量部程度である。
【0013】
重合開始剤としては水溶性開始剤および油溶性重合開始剤が挙げられる。水溶性開始剤としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩系重合開始剤、2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジハイドロクロライド、2,2'-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド]等のアゾ系重合開始剤等を用いることができる。
【0014】
油溶性重合開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、o-メトキシベンゾイルパーオキサイド、o-クロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル等のアゾ系化合物等が例示される。これらのラジカル重合開始剤のうち、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル等が好ましく用いられる。
【0015】
これらの重合開始剤は2種類以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量は、コア部を形成する単量体100重量部に対して0.1~5重量部、好ましくは0.1~2重量部程度である。
【0016】
反応開始に先立って、単量体、分散安定剤および水の混合物を攪拌による剪断力によりモノマー乳化滴を形成させ、所望の大きさに調整するのが好ましい。微小な単量体滴を形成するためには、ホモミキサー、ホモディスパー、ホモジナイザー、ラインミキサー等の各種の分散手段を使用するのが好ましい。モノマー乳化滴の大きさは、分散手段の回転速度などによる剪断力の調整により、制御することが可能である。
このようにして調製されたモノマー乳化液と重合開始剤を重合容器に仕込んで、通常重合開始剤の10時間半減期温度まで昇温し重合反応を行うことにより、コア部粒子の分散液が得られる。
【0017】
なお、粒子径や粒度分布等の制御を目的として、コア部重合の前にシード重合を行ってもよい。
【0018】
シェル部はガラス転移温度が80~120℃である。シェル部を形成する単量体の内、ガラス転移温度を前期範囲とするために用いる単量体としては、メチルメタクリレートやエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートの様なアルキルメタクリレート、スチレン等の芳香族ビニルを用いることができる。これらの内、メチルメタクリレートとスチレンが好ましく用いられる。ガラス転移温度が前記温度となる範囲であれば、これらと共重合可能な単量体、例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアルキルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のアルキルメタクリレート、ビニルトルエン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル、芳香族ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル、シアン化ビニリデン、等を共重合させることができる。
また、コア部と同様の不飽和基を2以上有する単量体を含有してもよい。
【0019】
シェル部の重合方法としては、前記シェル部と同様に予め単量体、分散安定剤および水の混合物を攪拌による剪断力により単量体滴を形成させ、重合開始剤とともに加熱下でコア部粒子の分散液に添加することにより、シェル部を合成できる。
分散安定剤および重合開始剤としては、コア部の重合に用いたものと同様のものを使用できる。
【0020】
このようにして得られたコア部およびシェル部を有する有機微粒子の分散液から、スプレー・ドライヤーによる噴霧乾燥、凍結乾燥、遠心脱水等の方法による取り出し工程を経て微粉状の粉体として取り出すことができる。中でも本発明においては凍結乾燥を行うことが好ましい。
【0021】
凍結乾燥の方法としては、得られた分散液に疎水性溶媒を有機微粒子量に対して1重量%~25重量%、より好ましくは3重量%~15重量%添加させ、攪拌した後に-20℃の冷凍庫にて24時間分散液を凍結させ、常温にて融解させることで微粉末状の粉体を取り出すことができる。疎水性溶媒はトルエンが好ましく、添加前に界面活性剤と水を用いて乳化させることで効率良く凍結融解させることができる。乾燥条件は疎水性溶媒が揮発し、かつ後述する炭素数が6~20である水酸基含有飽和化合物が揮発しない条件であれば特に限定されない。
【0022】
本発明においては、取り出し工程の前までに炭素数が6~20である水酸基含有飽和化合物を添加する必要がある。取り出し工程の前であれば特に添加のタイミングは限定されず、有機微粒子重合後に添加してもよいし、有機微粒子重合時に単量体とともに添加してもよい。
【0023】
水酸基含有飽和化合物は、直鎖、分岐、脂環式、芳香族のいずれであってもよく、好適にはラウリルアルコールやステアリルアルコールが挙げられる。水酸基含有飽和化合物の添加量はコア部およびシェル部を形成する単量体の合計100重量部に対して0.1~5重量部であることが好ましい。
【0024】
以下に本発明を参考例、実施例および比較例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【実施例0025】
シード重合
冷却管を取り付けたセパラブルフラスコに純水14.2重量部、アニオン性界面活性剤(ジアルキルスルホコハク酸エステルナトリウム)0.3重量部を仕込み、72℃に昇温しながら窒素置換を行い、エチルアクリレート(EA)1.0重量部、2%水溶液の過硫酸ナトリウム0.5重量部を投入し、60分間重合を行うことでシード溶液を作製した。
【0026】
コア重合
ポリカップにブチルアクリレート(BA)78.9重量部、1,4-ブタンジオールジメタクリレート(BGA)1.7重量部、アリルメタクリレート(AMA)3.4重量部を仕込み、純水66.7重量部、アニオン性界面活性剤(ジアルキルスルホコハク酸エステルナトリウム)0.8重量部を投入し、撹拌機を用いて乳化させることでコアモノマー乳化液を作製した。
冷却管を取り付けたセパラブルフラスコに上記シード溶液に純水56.1重量部を仕込み、72℃に昇温しながら窒素置換を行い、指定温度に到達後2%水溶液の過硫酸ナトリウム6.3重量部を投入し、上記モノマー乳化液を240分かけて滴下し重合することでコア粒子分散液を作製した。
【0027】
シェル重合
ポリカップにメチルメタクリレート(MMA)13.4重量部、エチルアクリレート1.5重量部、1,4-ブタンジオールジメタクリレート0.1重量部仕込み、純水16.7重量部、ジアルキルスルホコハク酸エステルナトリウム0.1重量部を投入し、撹拌機を用いて乳化させることでシェルモノマー乳化液を作製した。上記コア粒子分散液を72℃に昇温しながら窒素置換を行い、2%水溶液の過硫酸ナトリウム0.9重量部を仕込み、シェルモノマー乳化液を90分かけて滴下し重合することでシェル粒子分散液を作製した。
【0028】
取り出し工程
ポリカップにトルエン3.0重量部、ラウリルアルコール0.3重量部仕込み、純水1.1重量部、ジアルキルスルホコハク酸エステルナトリウム0.02重量部を投入し、撹拌機を用いて乳化させることでトルエン乳化液を作製し、撹拌中の上記シェル粒子分散液に投入し、凍結させることで粒子を凝集させ、室温にて融解させ、ろ過・洗浄を行い、80℃一晩棚段乾燥させることにより実施例1のアクリル系有機微粒子を得た。
【0029】
実施例1のアクリル系有機微粒子の製造方法において、取り出し工程におけるラウリルアルコール仕込み時にさらにステアリルアルコール0.3重量部を添加した他は実施例1と同様に行い、実施例2のアクリル系有機微粒子を得た。
【0030】
実施例1のアクリル系有機微粒子の製造方法において、取り出し工程で添加したラウリルアルコール0.3重量部をシェルモノマーに添加するようにした他は実施例1と同様に行い、実施例3のアクリル系有機微粒子を得た。
【0031】
実施例2のアクリル系有機微粒子の製造方法において、シェルモノマーについてメチルメタクリレートを12.4重量部として、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-HEMA)を1.0重量部追加し、取り出し工程におけるトルエンの仕込み量を15重量部とした他は実施例2と同様に行い、実施例4のアクリル系有機微粒子を得た。
【0032】
実施例2のアクリル系有機微粒子の製造方法において、取り出し工程におけるラウリルアルコールおよびステアリルアルコールの仕込み量をそれぞれ2.0重量部とした他は実施例2と同様に行い、実施例5のアクリル系有機微粒子を得た。
【0033】
実施例1のアクリル系有機微粒子の製造方法において、取り出し工程においてラウリルアルコールを添加しなかった他は実施例1と同様に行い、比較例1のアクリル系有機微粒子を得た。
【0034】
分散性評価
セパラブルフラスコにエポキシ樹脂であるJER828(三菱ケミカル社製、商品名)を91重量部仕込み、80℃に加熱し、スリーワンモーター等の撹拌機にプロペラ羽根を取り付け500rpmで撹拌し、撹拌下に各アクリル系有機微粒子を9重量部徐々に添加し、6時間分散処理することでエポキシ分散液を作製した。ポリカップにエポキシ分散液を10重量部測り取り、酢酸エチルなどの有機溶剤で希釈し、120目のろ布でろ過し、乾燥させ、ろ布上に残存したろ過残渣量にて分散性の評価をした。ろ過残渣が5重量%以下を〇、5%重量以上を×と評価した。
【0035】
【表1】

【0036】
実施例の各アクリル系有機微粒子は、エポキシ樹脂への分散性に優れていた。一方、取り出し工程の前までに炭素数が6~20である水酸基含有飽和化合物を添加しなかった比較例1のアクリル系有機微粒子は、エポキシ樹脂への分散性が劣っていた。