IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントの特許一覧

<>
  • 特開-アームユニット 図1
  • 特開-アームユニット 図2
  • 特開-アームユニット 図3
  • 特開-アームユニット 図4
  • 特開-アームユニット 図5
  • 特開-アームユニット 図6
  • 特開-アームユニット 図7
  • 特開-アームユニット 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154784
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】アームユニット
(51)【国際特許分類】
   B25J 17/00 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
B25J17/00 H
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057988
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊地 一也
(72)【発明者】
【氏名】尾花 功一
(72)【発明者】
【氏名】大澤 洋
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707CY29
3C707HT11
3C707HT21
3C707WA02
(57)【要約】
【課題】関節機構30を大型化することなくアーム20の可動範囲を広くする。
【解決手段】アームユニット100は、基部10と、関節機構30と、を有し、関節機構30は、基部10とアーム20を連結する第1リンク31と、アーム20が初期位置にある状態において上下における基部10の延長上にあるアーム20の回転中心を含む第2リンク32と、基部10と第2リンク32を連結する第3リンク33と、基部10と第2リンク32を連結する第4リンク34と、を含み、第3リンク33及び第4リンク34は、アーム20が初期位置から屈曲位置へ回転移動する際に、アーム20の回転中心を、上下方向における基部10の延長上外の位置に移動可能に、基部10と第2リンク32を連結している。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
アームと、
前記基部と前記アームを連結すると共に、前記アームを、前記基部と第1方向で隣り合う初期位置から屈曲位置へ回転移動させる関節機構と、
を有し、
前記関節機構は、
前記基部と前記アームを連結する第1リンクと、
前記アームが前記初期位置にある状態において前記第1方向における前記基部の延長上にある前記アームの回転中心を含む第2リンクと、
前記基部と前記第2リンクを連結する第3リンクと、
前記基部と前記第2リンクを連結する第4リンクと、
を含み、
前記第3リンク及び前記第4リンクは、
前記アームが前記初期位置から前記屈曲位置へ回転移動する際に、前記アームの回転中心を、前記第1方向における前記基部の延長上外の位置に移動可能に、前記基部と前記第2リンクを連結している、
アームユニット。
【請求項2】
前記屈曲位置は、前記第1方向に交差する第2方向で前記基部に隣り合う位置である、
請求項1に記載のアームユニット。
【請求項3】
前記第2方向は前記第1方向に直交する方向である、
請求項2に記載のアームユニット。
【請求項4】
前記第3リンク及び前記第4リンクは、
前記アームが前記初期位置から前記屈曲位置へ回転移動する際に、前記アームの回転中心を、前記第2方向における前記基部の延長上にある位置に移動可能に、前記基部と前記第2リンクを連結している、
請求項2又は3に記載のアームユニット。
【請求項5】
前記第4リンクは、前記初期位置から前記屈曲位置へ前記アームが回転移動する方向において前記第3リンクよりも上流側に設けられており、
前記第4リンクの回転の径は、前記第3リンクの回転の径よりも長い、
請求項2~4のいずれか1項に記載のアームユニット。
【請求項6】
前記関節機構は、
前記基部に対して前記第1リンクを回転可能に支持する第1回転支持部と、
前記第1リンクに対して前記アームを回転可能に支持する第2回転支持部と、
前記基部に対して前記第3リンクを回転可能に支持する第3回転支持部と、
前記基部に対して前記第4リンクを回転可能に支持する第4回転支持部と、
前記第3リンクに対して前記第2リンクを回転可能に支持する第5回転支持部と、
前記第4リンクに対して前記第2リンクを回転可能に支持する第6回転支持部と、
を含む、
請求項5に記載のアームユニット。
【請求項7】
前記第1リンクは、前記第3リンクと干渉しないように屈曲する第1干渉回避部を含む形状である、
請求項6に記載のアームユニット。
【請求項8】
前記第1干渉回避部は、前記第3回転支持部と干渉しないように屈曲する形状である、
請求項7に記載のアームユニット。
【請求項9】
前記アームが前記屈曲位置にある状態において、前記第3回転支持部の少なくとも一部は、前記第1リンクと、前記第1回転支持部と前記第2回転支持部とを結ぶ仮想線とで囲まれる第1干渉回避領域内に配置される、
請求項8に記載のアームユニット。
【請求項10】
前記第2リンクは、前記第1リンクと干渉しないように屈曲する第2干渉回避部を含む形状である、
請求項6~9のいずれか1項に記載のアームユニット。
【請求項11】
前記第2干渉回避部は、前記第2回転支持部と干渉しないように屈曲する形状である、
請求項10に記載のアームユニット。
【請求項12】
前記アームが前記屈曲位置にある状態において、前記第2回転支持部の少なくとも一部は、前記第アームの回転中心と前記第6回転支持部とを結ぶ仮想線とで囲まれる第2干渉回避領域内に配置される、
請求項11に記載のアームユニット。
【請求項13】
前記第1リンク、前記第3リンク、及び前記第4リンクの少なくともいずれかは、駆動源からの動力により回転可能に前記基部に接続されている、
請求項1~12のいずれか1項に記載のアームユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アームユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、リンクにより連結される関節を有する動物を模したロボットが開示されている。具体的には、第3の回転関節13と、第3の回転関節13に対して回転可能に支持される第2のリンク15が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5185473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ロボット等の動作の表現の幅を増やすためにアームの可動範囲を広くすることの要請がある。特許文献1に開示される構成においては、第3の回転関節13は所定の回転角度となった位置において第2のリンク15に干渉し、その回転が規制されることとなる。また、アームの可動範囲を広くしようとした場合、関節機構の構造が複雑化、大型化してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示で提案するアームユニットは、関節機構を大型化することなくアームの可動範囲を広くすることを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本実施形態に係るアームユニットの全体構成の一例を示す図である。
図2】本実施形態のアームが初期位置にある状態を示している。
図3】本実施形態のアームが屈曲位置にある状態を示している。
図4】本実施形態のアームが初期位置から屈曲位置に移動する途中の状態を示している。
図5】本実施形態のアームが初期位置から屈曲位置に移動する途中の状態を示している。
図6】本実施形態のアームが初期位置から屈曲位置に移動する途中の状態を示している。
図7】本実施形態の変形例に係るアームユニットにおいてアームが初期位置にある状態を示す図である。
図8】本実施形態の変形例に係るアームユニットにおいてアームが初期位置にある状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0008】
[アームユニット100]
図1は、本実施形態に係るアームユニットの全体構成の一例を示す図である。なお、図1においては、基部10の内部構成を破線で示している。
【0009】
アームユニット100は、例えば、二足歩行や四足歩行が可能な人型又は動物型のロボットに用いられるとよい。本実施形態においては、アームユニット100が、上腕としての基部10と、基部10に対して回転可能に設けられる下腕としてのアーム20とを有する例について説明する。
【0010】
本実施形態においては、図1のZ1が示す方向を上方、図1のZ2が示す方向を下方と定義する。また、図1のX1が示す方向を左方、図1のX2が示す方向を右方と定義する。これら方向の定義については、他の図においても同様とする。
【0011】
また、アーム20は、基部10に対して正逆回転可能に設けられている。本実施形態においては、図1における反時計回り方向を正方向、時計回り方向を逆方向と定義する。他の図においても同様とする。
【0012】
アームユニット100は、基部10と、アーム20と、関節機構30とを有している。
【0013】
[アームユニット100:基部10]
基部10は、外装カバー11と、外装カバー11に収容されると共に関節機構30を駆動させる駆動機構12とを有している。基部10は、例えば、その上端部が人型ロボットの肩部に対して固定して設けられているとよい。外装カバー11は、駆動機構12に加えて関節機構30の一部をその内部に収容している。
【0014】
駆動機構12は、不図示のモータと、モータからの動力を関節機構30に伝達する輪列とを含んでいる。図1に示す例においては、輪列は、第1歯車G1と、第1歯車G1と噛み合っており、第1歯車G1の回転に伴い回転する第2歯車G2と、を含んでいる。第2歯車G2は、扇状であって、後述の第1リンク31と一体に回転するように設けられている。なお、駆動機構12、及び駆動機構12に含まれる輪列の配置や形状は、図1に示すものに限られるものではない。
【0015】
[アームユニット100:アーム20]
アーム20は、関節機構30に連結される外装カバー21と、外装カバー21の先端部に取り付けられるエンドエフェクタ22とを有している。外装カバー21は、関節機構30の一部をその内部に収容している。なお、図1においては、球状のエンドエフェクタ22を示すが、これに限られない。エンドエフェクタ22は、例えば、ハンド型や足型であってもよい。
【0016】
[アームユニット100:関節機構30]
図1図3を参照して、本実施形態の関節機構30について説明する。図2は、本実施形態のアームが初期位置にある状態を示している。図3は、本実施形態のアームが屈曲位置にある状態を示している。図2図3、及び後述の図4~6においては、関節機構30の構成を示すため、基部10の外装カバー11及びアーム20の外装カバー21のうち紙面手前側を省略している。
【0017】
なお、図2図3、及び後述の図4~6に示す各構成の形状は、図1に示す各構成の形状と異なっているが、それら各構成の機能は共通である。そのため、図1と、図2図6とを同一の実施形態とみなし、共通の構成については同一の符号を付けて説明することとする。
【0018】
本実施形態においては、図1図2に示すアーム20の位置を「初期位置」と定義する。初期位置は、アーム20が基部10と上下方向(第1方向)で隣り合う位置である。また、図3に示すアーム20の位置を「屈曲位置」と定義する。屈曲位置は、アーム20が初期位置から正方向に180°回転した位置であって、アーム20が基部10と左右方向(第2方向)で隣り合う位置である。
【0019】
関節機構30は、基部10とアーム20を連結すると共に、アーム20を、基部10と上下方向で隣り合う初期位置から、基部10と左右方向で隣り合う屈曲位置へ回転移動させる。図2に示すように、関節機構30は、第1リンク31と、第2リンク32と、第3リンク33と、第4リンク34とを含んでいる。
【0020】
第1リンク31は、第1-1端部311と、第1-2端部312を含む形状である。第2リンク32は、第2-1端部321と、第2-2端部322と、第2-3端部323を含む形状である。第3リンク33は、第3-1端部331と、第3-2端部332を含む形状である。第4リンク34は、第4-1端部341と、第4-2端部342とを含む形状である。
【0021】
関節機構30は、第1回転支持部A1~第7回転支持部A7をさらに含んでいる。
【0022】
第1回転支持部A1は、基部10に対して第1リンク31の第1-1端部311を回転可能に支持している。第2回転支持部A2は、第1リンク31の第1-2端部312に対してアーム20を回転可能に支持している。第3回転支持部A3は、基部10に対して第3リンク33の第3-1端部331を回転可能に支持している。第4回転支持部A4は、基部10に対して第4リンク34の第4-1端部341を回転可能に支持している。第5回転支持部A5は、第3リンク33の第3-2端部332に対して第2リンク32の第2-1端部321を回転可能に支持している。第6回転支持部A6は、第4リンク34の第4-2端部342に対して第2リンク32の第2-2端部322を回転可能に支持している。
【0023】
第7回転支持部A7は、第2リンク32の第2-3端部323に対してアーム20を回転可能に支持している。第7回転支持部A7は、第2リンク32に含まれるアーム20の回転中心である。アーム20の回転中心は、アーム20が初期位置にある状態において上下方向における基部10の延長上にある。図2図3において、上下方向における基部10の延長上の領域をO1で示している。
【0024】
以上のように、基部10には、第1リンク31の第1-1端部311、第3リンク33の第3-1端部331、及び第4リンク34の第4-1端部341が回転可能に支持されている。また、アーム20には、第1リンク31の第1-2端部312、及び第2リンク32の第2-3端部323が回転可能に支持されている。また、第2リンク32には、第3リンク33の第3-2端部332、及び第4リンク34の第4-2端部342が回転可能に支持されている。
【0025】
なお、上述の各回転支持部は、一般的なリンク機構において関節又はジョイントとも呼ばれる部分である。各回転支持部の具体的な構造は特に限定されないが、例えば、第1回転支持部A1は、第1リンク31の第1-1端部311に固定される回転軸と、基部10の外装カバー11に形成される軸受けと、を含んで構成されるものであるとよい。または、例えば、第1回転支持部A1は、第1リンク31の第1-1端部311に形成される軸孔と、当該軸孔に挿通される回転軸と、基部10の外装カバー11に形成される軸受けと、を含んで構成されるものであるとよい。
【0026】
[アームユニット100:関節機構30の各リンクの詳細]
第3リンク33は、アーム20が正逆回転する際に、第7回転支持部A7に干渉しないように湾曲する形状を有している。第4リンク34は、アーム20が正逆回転する際に、第1リンク31に干渉しないように湾曲した形状を有している。
【0027】
第4リンク34は、初期位置から屈曲位置へアーム20が回転移動する方向において第3リンク33よりも上流側に設けられている。すなわち、図示の例において、第4リンク34は、第3リンク33よりも左側に設けられている。
【0028】
また、第4リンク34の長さは、第3リンク33の長さよりも長い。言い換えると、第4リンク34の回転の径は、第3リンク33の回転の径よりも長い。すなわち、第4回転支持部A4と第6回転支持部A6との間の距離は、第3回転支持部A3と第5回転支持部A5との間の距離よりも長い。
【0029】
また、第3リンク33及ぶ第4リンク34は、アーム20が初期位置から屈曲位置へ回転移動する際に、アーム20の回転中心(第7回転支持部A7)を、上下方向における基部10の延長上外の位置に移動可能に、基部10と第2リンク32を連結している。すなわち、アーム20の回転中心は、アーム20が初期位置から屈曲位置へ移動するのに伴い右方に移動する。
【0030】
また、第3リンク33及ぶ第4リンク34は、アーム20が初期位置から屈曲位置へ回転移動する際に、アーム20の回転中心(第7回転支持部A7)を、左右方向における基部10の延長上にある位置に移動可能に、基部10と第2リンク32を連結している。図3において、左右方向における基部10の延長上の領域をO2で示している。すなわち、アーム20の回転中心は、アーム20が初期位置から屈曲位置へ移動するのに伴い上方に移動する。
【0031】
第1リンク31も湾曲した形状を有している。具体的には、第1リンク31は、アーム20が正逆回転する際に、第3リンク33と干渉しないように湾曲する第1干渉回避部31eを含む形状である。また、第1干渉回避部31eは、アーム20が正逆回転する際に、第3回転支持部A3と干渉しないように湾曲する形状である。
【0032】
このような形状により、第1リンク31は、第1リンク31と、第1回転支持部A1と第2回転支持部A2とを結ぶ仮想線L1と、で囲まれる第1干渉回避領域E1を形成している。図3に示すように、第3回転支持部A3は、アーム20が屈曲位置にある状態において、少なくともその一部が干渉回避領域E1内に位置するように設けられている。
【0033】
第2リンク32も湾曲した形状を有している。具体的には、第2リンク32は、アーム20が正逆回転する際に、第1リンク31と干渉しないように湾曲する第2干渉回避部32eを含む形状である。また、第2干渉回避部32eは、アーム20が正逆回転する際に、第2回転支持部A2と干渉しないように湾曲する形状である。
【0034】
このような形状により、第2リンク32は、第2リンク32と、第6回転支持部A6と第7回転支持部A7とを結ぶ仮想線L2と、で囲まれる第2干渉回避領域E2を形成している。図3に示すように、第2回転支持部A2は、アーム20が屈曲位置にある状態において、少なくともその一部が第2干渉回避領域E2内に位置するように設けられている。
【0035】
[アームユニット100の動作]
次に、図2図6を参照して、本実施形態に係るアームユニット100の動作について説明する。図3図5は、本実施形態のアームが初期位置から屈曲位置に移動する途中の状態を示している。すなわち、アーム20は、正方向に回転する場合、図2に示す初期位置から、図4図5図6の状態を経由して、図3に示す屈曲位置へ移動する。一方、アーム20は、逆方向に回転する場合、図3に示す屈曲位置から、図6図5図4の状態を経由して、図2に示す初期位置へ移動する。
【0036】
以下の説明においては、アーム20が、初期位置から正方向に回転して屈曲位置に移動する際の動作について説明する。
【0037】
まず、駆動機構12に含まれる不図示のモータからの動力により、図1に示した輪列が回転することで、第1回転支持部A1が回転する。これにより、第1リンク31が、第1回転支持部A1を回転中心として、正方向に回転する。第1リンク31の正方向の回転により、アーム20が第1リンク31の第1-2端部312によりに押され、アーム20が正方向に回転するように移動する。
【0038】
アーム20の移動に伴って、アーム20に接続されている第5回転支持部A5及び第6回転支持部A6が移動する。これにより、第3リンク33が、第3回転支持部A3を回転中心として正方向に回転する。同様に、第4リンク34が、第4回転支持部A4を回転中心として正方向に回転する。
【0039】
また、第5回転支持部A5及び第6回転支持部A6に接続されている第2リンク32が、第5回転支持部A5及び第6回転支持部A6の移動に伴って移動する。
【0040】
図4図6に示すように、第2リンク32が移動することにより、第7回転支持部A7が、上下方向における基部10と重ならない位置に移動する。言い換えると、第7回転支持部A7は、基部10の右端よりも右方に移動する。
【0041】
第7回転支持部A7は、上下方向における基部10と重ならない位置に移動することにより、上下方向において、上方に移動可能となる。すなわち、第7回転支持部A7は、基部10の下端よりも上方に移動可能となる。
【0042】
アーム20の回転中心である第7回転支持部A7が、基部10の右端よりも右方であって、基部10の下端よりも上方に移動することにより、アーム20は、基部10と干渉することなく、初期位置から180°回転した位置、すなわち図3に示す屈曲位置へ移動可能となる。
【0043】
また、第1リンク31は、第1干渉回避部31eを含む形状であるため、アーム20が初期位置から屈曲位置へ移動する際に、第3リンク33や第3回転支持部A3に干渉することはない。また、第2リンク32は、第2干渉回避部32eを含む形状であるため、アーム20が初期位置から屈曲位置へ移動する際に、第1リンク31や第2回転支持部A2に干渉することはない。
【0044】
[まとめ]
以上説明した本実施形態のアームユニット100においては、アーム20の可動範囲を広くすることができる。具体的には、アーム20を、初期位置から180°回転させた屈曲位置へ移動させることができる。これにより、アームユニット100の動作の表現の幅を増やすことができる。また、本実施形態においては、アーム20の回転中心を左右に移動可能な構成を採用することより、関節機構30が左右方向に大型化することがない。そのため、基部10とアーム20とを連結する関節を目立たなくすることができる。また、本実施形態においては、複数のリンクを含む関節機構30を採用することより、関節を構成する機構を軽量化することができる。
【0045】
[変形例]
次に、図7図8を参照して、本実施形態の変形例に係るアームユニット200について説明する。図7は、本実施形態の変形例に係るアームユニットにおいてアームが初期位置にある状態を示す図である。図8は、本実施形態の変形例に係るアームユニットにおいてアームが屈曲位置にある状態を示す図である。
【0046】
変形例においては、関節機構30を動作させる駆動機構の構成が異なることを除いて、図1等で示した本実施形態と同様の構成を有するものである。そのため、同じ機能を有する構成については同じ符号を用いてその詳細な説明については省略する。
【0047】
図1等においては、不図示のモータを含む駆動機構12からの回転運動を第1リンク31に伝達することでアーム20を駆動させる例について示したが、変形例においては、駆動機構212からの直線運動を第1リンク31に伝達することでアーム20を駆動させる構成を採用する。
【0048】
アームユニット200の基部10は、駆動機構212を含んでいる。駆動機構212は、駆動源51と、筒状部材52と、上下動部材53とを含んでいる。筒状部材52は、モータ等の駆動源51からの回転力により、上下方向を回転中心として回転する。また、筒状部材52には、らせん状の溝52aが形成されている。上下動部材53は、その上端が筒状部材52の溝52aに嵌っており、その下端が第1リンク31に接続されている。
【0049】
筒状部材52が回転することにより、上下動部材53の上端が溝52aに沿って移動する。これにより、上下動部材53は上下方向に移動する。図7においては、上下動部材53の上端が、筒状部材52の溝52aの上端にあり、図8においては、上下動部材53の上端が、筒状部材52の溝52aの下端にある状態を示している。
【0050】
このように、変形例においては、筒状部材52が回転するのに伴い上下動部材53が上下動する。そして、上下動部材53が上下動するのに伴い、第1リンク31が第1回転支持部A1を回転中心として回転する。なお、この際の他のリンク及びアーム20の動きは、図2図6で示した本実施形態の構成における動きと同様である。
【0051】
以上説明したように、本実施形態及びその変形例のアームユニットにおいては、回転運動に限らず、直線運動も利用することができるため、基部10の形状や大きさに応じた駆動機構を適用することが可能となる。
【0052】
[その他]
本実施形態及びその変形例においては、駆動源からの動力によりアーム20が駆動する例について説明したが、これに限られず、駆動源を有していなくてもよい。すなわち、アーム20は、ユーザが手で動かすものであってもよい。
【0053】
また、本実施形態及びその変形例においては、駆動源からの動力を第1リンク31に伝達する例について説明したが、これに限られない。関節機構30の各リンクは互いに連動するものであるため、基部10側に接続されるいずれかのリンクが動力を受けるものであるとよい。例えば、第3リンク33又は第4リンク34に動力を伝達することでアーム20を駆動させる構成であってもよい。
【0054】
また、本実施形態及びその変形例においては、アーム20が、180°回転移動することで、初期位置から屈曲位置へ移動する例について説明したが、これに限られない。例えば、屈曲位置は、アーム20が初期位置から90°より大きく180°よりも小さい角度、正方向に回転した位置であってもよい。すなわち、屈曲位置は、上下方向に直交する左右方向においてアーム20が基部10に隣り合う位置に限らず、少なくとも上下方向に交差する方向においてアーム20が基部10に隣り合う位置であるとよい。
【0055】
また、本実施形態及びその変形例においては、各回転支持部が各リンクの端部に設けられる例を示したが、これに限られるものではない。
【符号の説明】
【0056】
10 基部、11 外装カバー、12,212 駆動機構、20 アーム、21 外装カバー、22 エンドエフェクタ、30 関節機構、31 第1リンク、32 第2リンク、33 第3リンク、34 第4リンク、51 駆動源、52 筒状部材、53 上下動部材、100,200 アームユニット。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8