(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154788
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】太陽光発電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/38 20060101AFI20221005BHJP
H02S 50/00 20140101ALI20221005BHJP
H02S 10/20 20140101ALI20221005BHJP
【FI】
H02J3/38 130
H02S50/00
H02S10/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057994
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】牧 優太郎
(72)【発明者】
【氏名】松本 暁
(72)【発明者】
【氏名】湯▲浅▼ 一史
(72)【発明者】
【氏名】植嶋 美喜
【テーマコード(参考)】
5F151
5G066
【Fターム(参考)】
5F151JA28
5F151KA02
5F151KA05
5F151KA08
5G066HA13
5G066HB06
(57)【要約】
【課題】太陽光パネルの故障を発見しやすい太陽光発電システムを提供する。
【解決手段】複数の太陽光パネル22が直列に接続されたストリング21と、複数の太陽光パネル22の少なくとも1つに並列に接続された充放電部31と、充放電部31および太陽光パネル22の間に接続され、充放電部31の充放電に用いられる第1電力変換部41と、ストリング21から出力された直流電力を交流電力に変換する第2電力変換部51と、太陽光パネル22の出力特性を計測する計測部42と、予め取得された太陽光パネル22の出力特性を記憶する記憶部43と、記憶された出力特性および計測された出力特性に基づいて太陽光パネル22の故障の有無を判定する判定部44と、が設けられていることを特徴とする。記憶された出力特性および計測された出力特性に基づくことにより、太陽光パネル22の故障を発見しやすくなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の太陽光パネルが直列に接続されたストリングと、
前記複数の太陽光パネルの少なくとも1つに並列に接続された充放電部と、
前記充放電部および前記太陽光パネルの間に接続され、前記充放電部の充放電に用いられる第1電力変換部と、
前記ストリングから出力された直流電力を交流電力に変換する第2電力変換部と、
前記太陽光パネルの出力特性を計測する計測部と、
予め取得された前記太陽光パネルの出力特性を記憶する記憶部と、
前記記憶された出力特性および前記計測された出力特性に基づいて前記太陽光パネルの故障の有無を判定する判定部と、
が設けられていることを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項2】
前記計測部、前記記憶部、および、前記判定部は、前記第1電力変換部に設けられていることを特徴とする請求項1記載の太陽光発電システム。
【請求項3】
前記出力特性は、前記太陽光パネルにおける出力電流と出力電圧の関係である出力IV特性であることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽光発電システム。
【請求項4】
前記第1電力変換部は、自身が接続された前記太陽光パネルの出力電力と、自身が接続されていない他の前記太陽光パネルを含む複数の前記太陽光パネルの出力電力の平均値と、に基づいて前記充放電部への充電および放電を制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の太陽光発電システム。
【請求項5】
前記第1電力変換部は、自身が接続された前記太陽光パネルの出力電力が、前記平均値よりも小さい場合には前記充放電部から放電を行う制御を行い、自身が接続された前記太陽光パネルの出力電力が、前記平均値よりも大きい場合には前記充放電部に充電を行う制御を行うことを特徴とする請求項4記載の太陽光発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、再生可能エネルギーを用いた発電システム、例えば、太陽光発電システムが注目されている。太陽光発電システムは、太陽光(日射とも表記する。)を電力に変換する太陽光パネルを有するものである。そのため、太陽光発電システムの発電出力は天候の影響、具体的には日射量の変化の影響を大きく受け、電力の安定供給を行いにくいという問題があった。
【0003】
上述の問題を解決するために、太陽光発電システムに電力の充放電が可能な蓄電部を設ける技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この太陽光発電システムは、太陽光パネルの発電出力が要求値よりも大きなときに余剰となる電力を蓄電部に充電する。その一方で、太陽光パネルの発電出力が要求値よりも小さなときには、蓄電部から放電することにより不足分を補っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の太陽光発電システムには、太陽光パネルの故障を発見しにくいという問題があった。具体的には、故障などにより太陽光パネルの発電出力が小さくなっても、蓄電部から放電が行われる。そのため、太陽光発電システム単位でみると、供給される電力の低下等の不具合が発生せず故障に気が付きにくい。蓄電部に充電された電力が全て放電されると、太陽光発電システム単位でも、供給される電力の低下等の不具合が発生して故障に気が付くが、気が付くまでに時間がかかりすぎる。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、太陽光パネルの故障を発見しやすい太陽光発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の太陽光発電システムは、複数の太陽光パネルが直列に接続されたストリングと、前記複数の太陽光パネルの少なくとも1つに並列に接続された充放電部と、前記充放電部および前記太陽光パネルの間に接続され、前記充放電部の充放電に用いられる第1電力変換部と、前記ストリングから出力された直流電力を交流電力に変換する第2電力変換部と、前記太陽光パネルの出力特性を計測する計測部と、予め取得された前記太陽光パネルの出力特性を記憶する記憶部と、前記記憶された出力特性および前記計測された出力特性に基づいて前記太陽光パネルの故障の有無を判定する判定部と、が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明の太陽光発電システムによれば、記憶された出力特性および計測された出力特性に基づくことにより、太陽光パネルの故障の有無を判定することができる。例えば、計測された出力特性が、記憶された出力特性から所定の範囲を超えて異なる場合には、太陽光パネルに故障が発生したと判定される。また、計測された出力特性が、記憶された出力特性から所定の範囲内に収まる場合には、太陽光パネルの故障はないと判定される。
【0009】
上記発明において、前記計測部、前記記憶部、および、前記判定部は、前記第1電力変換部に設けられていることが好ましい。
このように計測部、記憶部、および、判定部を第1電力変換部に設けることにより、第1電力変換部において太陽光パネルの故障の有無を判定することができる。
【0010】
上記発明において、前記出力特性は、前記太陽光パネルにおける出力電流と出力電圧の関係である出力IV特性であることが好ましい。
このように出力IV特性を用いて太陽光パネルの故障の有無を判定することにより、出力電流のみで判定する場合や、出力電圧のみで判定する場合と比較して、太陽光パネルの故障の有無を判定しやすい。
【0011】
上記発明において、前記第1電力変換部は、自身が接続された前記太陽光パネルの出力電力と、自身が接続されていない他の前記太陽光パネルを含む複数の前記太陽光パネルの出力電力の平均値と、に基づいて前記充放電部への充電および放電を制御することが好ましい。
【0012】
上記発明において、前記第1電力変換部は、自身が接続された前記太陽光パネルの出力電力が、前記平均値よりも小さい場合には前記充放電部から放電を行う制御を行い、自身が接続された前記太陽光パネルの出力電力が、前記平均値よりも大きい場合には前記充放電部に充電を行う制御を行うことが好ましい。
【0013】
このように接続された太陽光パネルの出力電力と、複数の太陽光パネルの出力電力の平均値に基づいて、充放電部の充放電を制御することにより、太陽光発電システムから供給される電力の平準化を図りやすくなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の太陽光発電システムによれば、記憶された出力特性および計測された出力特性に基づくことにより、太陽光パネルの故障を発見しやすくなるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る太陽光発電システムの構成を説明する模式図である。
【
図2】
図1の第1電力変換部の構成を説明する模式図である。
【
図3】通常時の第1電力変換部の制御を説明する模式図である。
【
図4】発電量低下時の第1電力変換部の制御を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明の一実施形態に係る太陽光発電システムについて、
図1から
図4を参照しながら説明する。本実施形態の太陽光発電システム10は、負荷設備60への電力の安定供給を可能にするとともに、故障の発見を容易にするものである。なお、本実施形態では太陽光発電システム10が負荷設備60に電力を供給する例に適用して説明するが、負荷設備60の代わりに系統に電力を供給してもよい。
【0017】
太陽光発電システム10には、
図1に示すように、複数の太陽光パネル22が直列に接続されたストリング21と、太陽光パネル22に並列に接続された充放電部31と、充放電部31および太陽光パネル22の間に配置された第1電力変換部41と、ストリング21から出力された直流電力を交流電力に変換する第2電力変換部51と、が主に設けられている。
【0018】
ストリング21は、複数の太陽光パネル22が直列に接続されたものである。
図1では、直列に接続される太陽光パネル22の数が3つの例が示されているが、接続される太陽光パネル22の数は3つよりも多くてもよいし、少なくてもよい。また、太陽光パネル22の種類や規模を限定するものではない。
【0019】
充放電部31は、太陽光パネル22に並列に接続された充放電可能な機器である。本実施形態では充放電部31が、二次電池である例に適用して説明するが、充放電可能な機器であればキャパシタなどの他の機器であってもよい。また、本実施形態では全ての太陽光パネル22に充放電部31が並列に接続された例に適用して説明するが、一部の太陽光パネル22のみに充放電部31が並列に接続されてもよい。
【0020】
第1電力変換部41は、充放電部31および太陽光パネル22の間に接続され、充放電部31の充放電に用いられるものである。本実施形態では、第1電力変換部41がDC-DCコンバータとしての機能を有する例に適用して説明する。第1電力変換部41における充放電部31の充放電制御の詳細については後述する。
【0021】
第1電力変換部41には、
図2に示すように、計測部42と、記憶部43と、判定部44と、が設けられている。なお、本実施形態では第1電力変換部41に計測部42と、記憶部43と、判定部44と、が設けられている例に適用して説明するが、計測部42、記憶部43、および、判定部44は、第1電力変換部41以外の他の機器に設けられてもよい。
【0022】
計測部42は、第1電力変換部41が接続された太陽光パネル22の出力特性を計測するものである。本実施形態では、出力特性が太陽光パネル22における出力電流Iと出力電圧Vの関係である出力IV特性である例に適用して説明する。
【0023】
記憶部43は、予め取得された第1電力変換部41が接続された太陽光パネル22の出力特性を記憶するものである。本実施形態では、記憶される出力特性が、当該太陽光パネル22が出荷される際に取得された出力特性である例に適用して説明する。
【0024】
判定部44は、記憶部43に記憶された出力特性、および、計測部42により計測された出力特性に基づいて太陽光パネル22の故障の有無を判定するものである。故障の有無の判定の詳細については後述する。
【0025】
第2電力変換部51は、複数のストリング21から出力された直流電力を交流電力に変換するものである。本実施形態では、第2電力変換部51がDC-ACコンバータである例に適用して説明する。
【0026】
次に、上記の構成からなる太陽光発電システム10における制御内容について
図3および
図4を参照しながら説明する。まず、第1電力変換部41による充放電部31への充放電制御について説明する。
【0027】
まず、太陽光パネル22において発電される電力量が、他の太陽光パネル22の発電電力の平均値と比較して予め設定された範囲内に収まっている場合(「通常時」とも表記する。)、
図3に示すように、第1電力変換部41は充放電部31への充電も放電も行わない。なお、第1電力変換部41は、他の第1電力変換部41と太陽光パネル22の発電電力の値を通信等の手段により取得し、他の太陽光パネル22の発電電力の平均値を算出している。
【0028】
図3では、第2電力変換部51に最も近い太陽光パネル22における電圧がV
1、中央の太陽光パネル22における電圧がV
2、最も遠い太陽光パネル22における電圧がV
3である例を示している。また、これら3つの太陽光パネル22を含むストリング21から第2電力変換部51に向かって出力される電流がI
0である例を示している。
【0029】
中央の太陽光パネル22における発電電力が他の太陽光パネル22の発電電力の平均値と比較して減少(電圧がV
2からV
2´に減少)した場合(「発電量低下時」とも表記する。)には、
図4に示すように、中央の太陽光パネル22に接続された第1電力変換部41は、自身が接続された充放電部31から電力(電流I
02)を放電させる制御を行う。
【0030】
ここで、充放電部31から放電される電力(電流I02)の値は、中央の太陽光パネル22における発電電力および充放電部31から放電される電力の合計が、他の太陽光パネル22の発電電力の平均値と等しくなるように制御される。
【0031】
また、中央の太陽光パネル22における発電電力が所定値から増加した場合には、中央の太陽光パネル22に接続された第1電力変換部41は、自身が接続された充放電部31に充電する制御を行う。
【0032】
ここで、充放電部31に充電される電力の値は、中央の太陽光パネル22における発電電力から充放電部31に充電される電力を減算した値が、他の太陽光パネル22の発電電力の平均値と等しくなるように制御される。
【0033】
次に、上記の構成からなる太陽光発電システム10における太陽光パネル22の故障判定について説明する。
第1電力変換部41の計測部42は、自身が接続された太陽光パネル22の出力特性を計測する。判定部44は、記憶部43に記憶された出力特性を呼び出し、呼び出した出力特性と、計測部42により計測された出力特性とを比較する処理を行う。
【0034】
比較の結果、呼び出した出力特性と計測部42により計測された出力特性との間に予め定められた閾値以上の乖離が存在した場合には、判定部44は自身に接続された太陽光パネル22が故障したと判定する。予め定められた閾値未満の乖離の場合には、判定部44は自身に接続された太陽光パネル22に故障はないと判定する。
【0035】
上記の構成の太陽光発電システム10によれば、記憶された出力特性および計測された出力特性に基づくことにより、太陽光パネル22の故障の有無を判定することができる。例えば、計測された出力特性が、記憶された出力特性から所定の位置を超えて異なる場合には、太陽光パネル22に故障が発生したと判定される。また、計測された出力特性が、記憶された出力特性から所定の閾値内に収まる場合には、太陽光パネル22の故障はないと判定される。
【0036】
計測部42、記憶部43、および、判定部44を第1電力変換部41に設けることにより、第1電力変換部41において太陽光パネル22の故障の有無を判定することができる。
【0037】
出力IV特性を用いて太陽光パネル22の故障の有無を判定することにより、出力電流のみで判定する場合や、出力電圧のみで判定する場合と比較して、太陽光パネル22の故障の有無を判定しやすい。
【0038】
太陽光パネル22の出力電力と、他の太陽光パネル22の出力電力の平均値に基づいて、充放電部31の充放電を制御することにより、太陽光発電システム10から供給される電力の平準化を図りやすくなる。
【符号の説明】
【0039】
10…太陽光発電システム、 21…ストリング、 31…充放電部、 41…第1電力変換部、 51…第2電力変換部、 42…計測部、 43…記憶部、 44…判定部